JPH08294243A - 電動機の鉄心の絶縁部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻線の設置作業の妨げにならずに巻線と鉄心
との電気的絶縁距離を確保できる電動機の鉄心の絶縁部
材を提供する。 【構成】 固定子鉄心１６と巻線２２との間を電気的に
絶縁する絶縁部材１０は、スロット２０の壁面（すなわ
ち固定子鉄心１６の内周面１６ａ、歯１８の側面１８
ａ、及びフック２４の一側面２４ａ）を直接に被覆する
絶縁主部３０と、隣合う歯１８の対向する各フック２４
に配置される絶縁主部３０の両縁部領域から一体的に相
互接近方向に延長され、スロット２０の開口２６を実質
的に閉鎖する絶縁補助部３２とを備える。絶縁補助部３
２は、外力によって比較的容易に変形する可撓性を有す
るとともに変形後に比較的迅速に原形に復元する曲げ反
発性すなわち「腰」を有し、開口２６を通したスロット
２０への巻線２２の設置作業を妨げないようになってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電動機の鉄心とそのス
ロットに設置される巻線とを電気的に絶縁するために鉄
心のスロットに配置される絶縁部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】電動機の鉄心に設けた巻線設置用の複数
のスロットに、鉄心と巻線との間を電気的に絶縁する絶
縁部材を配置することは周知である。一例として、交流
サーボモータとして多用される同期電動機の固定子鉄心
の従来の絶縁構造を、図９に示す。この同期電動機で
は、回転子１に対向する固定子鉄心２の内周側に複数の
歯３が突設され、隣合う歯３の間に画成されたスロット
４に巻線５が設置される。各歯３の先端部には、巻線５
の脱落を防止するためのフック６が周方向へ延設され、
隣合うフック６の間に、スロット４の開口７が画成され
る。巻線５は、開口７を利用してスロット４内に配置さ
れる。電気絶縁性樹脂材料の成形品からなる絶縁部材８
は、スロット４の壁面（すなわち鉄心２の内周面２ａ、
歯３の側面３ａ、及びフック６の一側面６ａ）と、歯３
の軸方向両端面（図示せず）とを被覆するように配置さ
れ、鉄心２と巻線５との間を電気的に絶縁する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、特にサーボモー
タの分野では、外形寸法の縮小及び出力の向上が要求さ
れており、鉄心のスロット内に配置される巻線の占積率
（スロット断面積に対する巻線の総断面積の割合）が増
加するとともに、鉄心の歯のフックが短くなる傾向にあ
る。その結果、上記のような従来の絶縁部材を使用した
ときに、巻線と鉄心（特に歯のフック）との電気的絶縁
距離が短くなり、電動機の使用条件に応じて要請される
電気的絶縁距離を充分に確保できない場合が生じる。

【０００４】このような課題を解決するために、本願出
願人は本願に先立って出願された特願平６−１４９３４
３号の明細書及び図面において、鉄心のスロット内部を
包囲する絶縁主部と、スロット開口からスロットの内奥
に向かって延びる衝立壁状の絶縁補助部とを有したイン
シュレータを開示している。この先願に係るインシュレ
ータによれば、巻線の占積率が増加したり鉄心の歯のフ
ックが短くなったりした場合にも、絶縁補助部の延長寸
法を適当に設定することにより、巻線と鉄心の歯のフッ
クとの間に所望量の電気的絶縁距離を確保できる。

【０００５】しかしながら、このインシュレータの絶縁
補助部は、スロットの開口近傍に配置される巻線に対し
周方向への衝立壁として作用するので、スロットに巻線
を設置する際には逆に障害物となり、スロットの開口近
傍への巻線の配置を困難にする危惧がある。その結果、
巻線の占積率を高めることが困難になったり、巻線が絶
縁補助部を巻き込んでしまうことにより電気的絶縁距離
が確保できなくなったりする問題が生じる。このような
問題は、特に自動巻線機を用いて鉄心の歯に巻線を巻付
ける場合に顕著となる。

【０００６】したがって本発明の目的は、巻線の設置作
業の妨げにならずに巻線と鉄心との電気的絶縁距離を確
保でき、電動機の小形化及び高出力化に寄与することが
できる電動機の鉄心の絶縁部材を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数の歯を有して隣合う歯の間にスロッ
トを画成する鉄心と、スロットに設置される巻線とを、
相互に電気的に絶縁する電動機の鉄心の絶縁部材におい
て、スロットの壁面を被覆する絶縁主部と、隣合う歯の
各先端部に配置される絶縁主部の両縁部領域から一体的
に相互接近方向に延長され、それら両先端部の間に画成
されるスロットの開口を実質的に閉鎖する絶縁補助部と
を具備し、少なくとも絶縁補助部が、所望の可撓性及び
曲げ反発性を有する材料から形成されることを特徴とす
る電動機の鉄心の絶縁部材を提供する。

【０００８】

【作用】絶縁主部の両縁部領域から一体的に相互接近方
向に延長される絶縁補助部は、隣合う歯の両先端部の間
に画成されるスロットの開口を実質的に閉鎖して、巻線
と鉄心との間の電気的絶縁距離を確保する。所望の可撓
性及び曲げ反発性を有するこの絶縁補助部は、スロット
に巻線を設置する際に撓んで開口を開放し、設置作業を
可能にするとともに、作業終了後に原形に復元して開口
を閉鎖し、電気的絶縁距離を維持する。

【０００９】

【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明をその好
適な実施例に基づき詳細に説明する。図１及び図２は、
本発明の実施例による絶縁部材１０を備えた電動機の一
部分を、それぞれ断面図及び斜視図で示す。この電動機
は同期機であり、空隙を介して回転子１２を囲繞する固
定子１４を備える。固定子１４は、珪素鋼板等の複数の
磁性薄板の積層体からなる円筒状の固定子鉄心１６を備
え、固定子鉄心１６の内周側に、半径方向へ延びる複数
の歯１８が周方向へ略等間隔に形成される。隣合う歯１
８の間にはそれぞれスロット２０が画成され、それらス
ロット２０に巻線２２が設置される。各歯１８の先端部
には、巻線２２の脱落を防止するための一対のフック２
４が周方向両側に延設され、隣合う歯１８のフック２４
の間に、スロット２０の開口２６が画成される。巻線２
２は、開口２６を利用してスロット２０内に配置され
る。

【００１０】一般に巻線２２は、固定子鉄心１６の複数
のスロット２０に所定の規則に従って配置される複数の
コイル２８から構成される。図１の電動機では、固定子
鉄心１６の１つの歯１８に、１つのコイル２８が巻付け
られる。このようなコイル配置を、本明細書では「直
（じか）巻き」と称する。例えば直巻きのコイル配置を
有する同期電動機では、固定子鉄心１６の隣合う歯１８
に、それぞれ異なる三相の交流電圧が印加されるコイル
２８が巻付けられる。したがってこの場合、固定子鉄心
１６の１つのスロット２０には、異なる相の交流電流を
流す２つのコイル部分２８ａ（図２参照）が収容され
る。しかしながら本発明は、直巻きの巻線形態を有する
鉄心に限らず、複数の歯を跨いで巻付けられる分布巻き
等の他の様々な巻線形態を有する鉄心に適用できる。

【００１１】図１の電動機において、固定子鉄心１６と
巻線２２との間を電気的に絶縁する絶縁部材１０は、例
えばポリエステル等の電気絶縁性樹脂材料からなり、ス
ロット２０の壁面（すなわち固定子鉄心１６の内周面１
６ａ、歯１８の側面１８ａ、及びフック２４の一側面２
４ａ）を直接に被覆する絶縁主部３０と、隣合う歯１８
の対向する各フック２４に配置される絶縁主部３０の両
縁部領域から一体的に相互接近方向に延長され、スロッ
ト２０の開口２６を実質的に閉鎖する絶縁補助部３２と
を備える。したがって、相互接近方向に延びる両絶縁補
助部３２は、それらの鉄心軸方向全長に亙る端縁部３２
ａにて、開口２６の略中央で相互に実質的に接触する。
また絶縁補助部３２は、外力によって比較的容易に変形
する可撓性を有するとともに変形後に比較的迅速に原形
に復元する曲げ反発性すなわち「腰」を有し、開口２６
を通したスロット２０への巻線２２の設置作業を妨げな
いようになっている。

【００１２】さらに絶縁部材１０は、図２及び図３に示
すように、歯１８の軸方向両端面を直接に被覆する被覆
部３４と、歯１８の先端部及び基端部にてコイル２８の
コイル端２８ｂと鉄心１６との絶縁距離を確保するため
に、絶縁主部３０及び被覆部３４から軸方向に延長され
る内側巻線支持部３６及び外側巻線支持部３８とを備え
る。

【００１３】製造工程の簡便さ及び製造コストの削減の
観点から、好ましくは絶縁部材１０は、絶縁主部３０、
絶縁補助部３２、被覆部３４、内側巻線支持部３６、及
び外側巻線支持部３８が、例えばポリエステル等の樹脂
材料から射出成形等の成形加工法により一体成形され
る。絶縁補助部３２は、例えば成形加工後の切断工程に
よって、端縁部３２ａで相互に実質的に接触する２部分
に分割される。この場合、絶縁部材１０は、固定子鉄心
１６から独立して、図３に鎖線で示すように周方向へ延
長された円筒状部品として形成できる。円筒状部品から
なる絶縁部材１０は、固定子鉄心１６の複数の歯１８に
対応して、複数の絶縁主部３０、絶縁補助部３２、被覆
部３４、及び内側巻線支持部３６、並びに環状に延びる
外側巻線支持部３８を備える。

【００１４】円筒状の絶縁部材１０は、固定子鉄心１６
への取付けを可能にするために、図３に示すように軸方
向略中間部で２つのユニット１０ａ、１０ｂに分割され
る。この場合、各ユニット１０ａ、１０ｂは、固定子鉄
心１６の軸方向両端面の外側からそれぞれ矢印Ａ、矢印
Ｂ方向に、固定子鉄心１６に嵌め込み式に取着される。
なお、ユニット１０ａとユニット１０ｂとの突合せ部分
では、ユニット１０ａがスロット空間側に僅かに曲折さ
れて重なり部分４０を形成し、重なり部分４０によりユ
ニット１０ａとユニット１０ｂとが所定幅に亙って重ね
合わされることが好ましい。これにより、電気的絶縁の
切れ目の発生が防止される。

【００１５】或いは図４（ａ）、（ｂ）に示すように、
固定子鉄心１６を所望の型１００内にインサートとして
配置し、固定子鉄心１６の所望表面（例えばスロット壁
面）に沿って樹脂材料を注入、固化させることにより、
絶縁部材１０を固定子鉄心１６に一体的に成形すること
もできる。この場合、例えば図示の型１００は一体構造
の可動型として形成され、その空間に固定子鉄心１６が
軸方向へ挿入される。絶縁部材１０の成形後、固定子鉄
心１６は可動型１００から軸方向へ脱離される。図示の
例では、絶縁部材１０の両絶縁補助部３２は、固定子鉄
心１６のスロット内方に僅かに傾斜して成形され、成形
直後にはそれらの端縁部３２ａにて相互に微細に連結さ
れている。この微細連結部分は、巻線の設置時に容易に
破断することができる。この成形方法によれば、固定子
鉄心１６への絶縁部材１０の取付け工程が省略され、ま
た絶縁部材１０を２ユニットに分割成形する必要が無く
なる。

【００１６】上記構成を有する絶縁部材１０によれば、
スロット２０の開口２６が実質的に閉鎖されるので、高
占積率の巻線を有する小形電動機においても、巻線２２
と固定子鉄心１６（特に歯１８のフック２４）との電気
的絶縁距離を、電動機の使用条件に応じて充分に確保す
ることができる。しかも、開口２６を閉鎖する両絶縁補
助部３２は、比較的容易に変形するとともに比較的迅速
に原形に復元するので、例えば図２に示すように、自動
巻線機のノズル４２をスロット２０に挿入する際に変形
して開口２６を部分的に開放し、巻線２２の巻付け作業
を可能にする。このとき絶縁補助部３２は、特に歯１８
のフック２４近傍への巻線２２の配置を妨げないので、
巻線２２の占積率を向上させることができる。ノズル４
２の通過後には、両絶縁補助部３２は元の形状に復元し
て開口２６を閉鎖し、それにより電気的絶縁距離が維持
される。また、自動巻線機を使用する場合だけでなく、
分布巻きの巻線形態を有する場合に型巻きコイルをスロ
ット２０に挿入する際にも、両絶縁補助部３２は開口２
６を開閉して、設置作業を妨げずに電気的絶縁距離を確
保する。

【００１７】絶縁補助部３２の軸方向両端部分は、斜め
にカットされた傾斜縁部４４を備えて内側巻線支持部３
６に連結されることが好ましい。傾斜縁部４４は、自動
巻線機のノズル４２をスロット２０の軸方向端部外側か
ら軸方向へ移動させてスロット２０内に進入させるとき
に、絶縁補助部３２の変形をさらに容易にする。なお、
傾斜縁部４４の傾斜角度は、傾斜縁部４４と絶縁補助部
３２の周方向端縁部３２ａとの遷移点４６が、固定子鉄
心１６の歯１８の軸方向端面よりも軸方向内側に位置し
ないような角度とすることが、遷移点４６近傍の電気的
絶縁距離を確保する観点で肝要である。

【００１８】なお、鉄心の巻線設置用スロットの開口
を、所望の可撓性及び「腰」を有する絶縁部材の絶縁補
助部によって実質的に閉鎖するという本発明の基本的概
念は、上記実施例のような同期電動機の固定子に限ら
ず、例えば直流機の電機子や誘導機の固定子等、他の様
々な電動機の巻線を有する鉄心に適用できることは言う
までもない。

【００１９】図５は、本発明の他の実施例による絶縁部
材５０を示す。絶縁部材５０は、樹脂含浸した絶縁紙等
からなる絶縁性シートを、図５（ａ）に示す形状のブラ
ンク５２に打抜いて形成される。ブランク５２は、破線
５４に沿って、図５（ｂ）に矢印Ｃで示すように内側に
折り畳まれる。折り畳まれた絶縁部材５０は、絶縁主部
５６と絶縁補助部５８とを備える。絶縁部材５０に好適
に使用できる絶縁性シートは、例えばポリエチレンナフ
タレート、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド
等の樹脂を含浸した絶縁紙が挙げられる。

【００２０】図６〜図８は、絶縁部材５０を備えた電動
機の固定子鉄心６０を示す。固定子鉄心６０は、図１の
固定子鉄心１６と同様に、回転子（図示せず）を囲繞す
る内周側に、半径方向へ延びる複数の歯６２を周方向へ
略等間隔配置で備える。隣合う歯６２の間には、巻線
（図示せず）を設置するためのスロット６４が画成され
る。各歯６２の先端部には、一対のフック６６が周方向
両側に延設され、隣合う歯６２のフック６６の間に、ス
ロット６４の開口６８が画成される。

【００２１】さらに固定子鉄心６０は、図９に示す従来
構造の絶縁部材８と同様の、樹脂成形品からなる絶縁層
７０を備える。絶縁層７０は、スロット６４の壁面（す
なわち固定子鉄心６０の内周面６０ａ、歯６２の側面６
２ａ、及びフック６６の一側面６６ａ）を直接に被覆す
る絶縁主部７２と、歯６２の軸方向両端面を直接に被覆
する被覆部７４と、歯６２の先端部及び基端部にて巻線
と鉄心６０との絶縁距離を確保するよう絶縁主部７２及
び被覆部７４から軸方向に延長される内側巻線支持部７
６及び外側巻線支持部７８とを備える。また絶縁層７０
は、図６に示す形状から周方向へ延長された円筒状部品
として、例えば固定子鉄心６０に一体的に形成される。

【００２２】絶縁部材５０は、図５（ｂ）に示すように
折り畳まれた状態で、絶縁層７０を有する固定子鉄心６
０の各スロット６４に軸方向へ挿入される（図６〜図８
は、絶縁部材５０を１つのスロット６４のみに配置した
状態を示す）。このとき、絶縁部材５０の絶縁主部５６
は、絶縁層７０の絶縁主部７２に実質的に整合して重ね
られ、スロット６４の壁面（すなわち固定子鉄心６０の
内周面６０ａ、歯６２の側面６２ａ、及びフック６６の
一側面６６ａ）を間接に被覆する。絶縁部材５０の絶縁
補助部５８は、隣合う歯６２の対向する各フック６６に
配置される絶縁主部５６の両縁部領域から相互接近方向
に延長され、スロット６４の開口６８を実質的に閉鎖す
る。このとき、相互接近方向に延びる両絶縁補助部５８
は、それらの鉄心軸方向全長に亙る端縁部５８ａにて、
開口６８の略中央で相互に実質的に接触し、好ましくは
僅かに重ね合わされる（図７参照）。

【００２３】絶縁性シートからなる絶縁部材５０は、外
力によって比較的容易に変形する可撓性を有するととも
に変形後に比較的迅速に原形に復元する「腰」を有す
る。したがって、図５（ｂ）に示すような、スロット配
置時よりも両絶縁補助部５８が開いた形状に折り畳まれ
た絶縁部材５０を、両絶縁補助部５８が相互接近するよ
うに弾性変形させつつスロット６４に挿入することによ
り、絶縁部材５０はそれ自体の弾性復元力によってスロ
ット６４内に保持される。また絶縁補助部５８は、図２
に示す絶縁部材１０の絶縁補助部３２と同様に、自動巻
線機のノズルをスロット６４に挿入する際に変形して開
口６８を開放し、巻線の巻付け作業を可能にするととも
に、ノズルの通過後には元の形状に復元して開口６８を
閉鎖し、電気的絶縁距離を維持する。

【００２４】絶縁補助部５８の軸方向両端部分は、斜め
にカットされた傾斜縁部８０を備えることが好ましい。
傾斜縁部８０は、自動巻線機のノズルをスロット６４内
に進入させるときに、絶縁補助部５８の変形をさらに容
易にする。なお、傾斜縁部８０の傾斜角度は、傾斜縁部
８０と絶縁補助部５８の周方向端縁部５８ａとの遷移点
８２が、固定子鉄心６０の歯６２の軸方向端面よりも軸
方向内側に位置しないような角度とすることが、遷移点
８２近傍の電気的絶縁距離を確保する観点で肝要であ
る。

【００２５】上記構成を有する絶縁部材５０によれば、
従来の絶縁構造を有した鉄心のスロットに、別工程で成
形され折り畳まれた絶縁性シートからなる絶縁部材５０
を挿入するだけで、高占積率の巻線を有する小形電動機
においても、巻線と鉄心（特に歯のフック）との電気的
絶縁距離を、電動機の使用条件に応じて充分に確保する
ことができる。しかも、絶縁性シートが有する可撓性及
び「腰」により、巻線の巻付け作業を妨げることがな
い。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、スロットの壁面を被覆する絶縁主部と、所望の可撓
性及び曲げ反発性を有してスロットの開口を実質的に閉
鎖する絶縁補助部とを具備した絶縁部材を使用すること
により、巻線の設置作業を妨げずに巻線と鉄心との電気
的絶縁距離を確保することを可能にする。したがって本
発明によれば、高占積率の巻線を有する小形電動機にお
いても、巻線と鉄心との電気的絶縁距離を電動機の使用
条件に応じて充分に確保でき、以て、電動機の小形化及
び高出力化が促進される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による絶縁部材を備えた電動機
の一部分を示す断面図である。

【図２】図１の電動機における固定子の一部分を示す斜
視図である。

【図３】図１の電動機に使用される絶縁部材の一部分を
示す斜視図である。

【図４】変形例による絶縁部材を固定子鉄心に一体成形
するための型を示す図で、（ａ）固定子鉄心及び絶縁部
材と共に示す断面図、及び（ｂ）円ｂ部分の拡大図、で
ある。

【図５】本発明の他の実施例による絶縁部材の図で、
（ａ）ブランクの平面図、及び（ｂ）折り畳まれた絶縁
部材の斜視図、である。

【図６】図５の絶縁部材を備えた電動機の固定子の一部
分を、巻線を省略して示す斜視図である。

【図７】図６の固定子の一部分の端面図である。

【図８】図６の固定子の一部分の断面図である。

【図９】従来の絶縁部材を備えた電動機の一部分を示す
断面図である。

【符号の説明】

１０、５０…絶縁部材 １４…固定子 １６、６０…固定子鉄心 １８、６２…歯 ２０、６４…スロット ２２…巻線 ２４、６６…フック ２６、６８…開口 ３０、５６…絶縁主部 ３２、５８…絶縁補助部 ３４…被覆部 ３６…内側巻線支持部 ３８…外側巻線支持部 ７０…絶縁層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の歯を有して隣合う歯の間にスロッ
   トを画成する鉄心と、該スロットに設置される巻線と
   を、相互に電気的に絶縁する電動機の鉄心の絶縁部材に
   おいて、 前記スロットの壁面を被覆する絶縁主部と、 前記隣合う歯の各先端部に配置される前記絶縁主部の両
   縁部領域から一体的に相互接近方向に延長され、それら
   両先端部の間に画成される前記スロットの開口を実質的
   に閉鎖する絶縁補助部とを具備し、 少なくとも前記絶縁補助部が、所望の可撓性及び曲げ反
   発性を有する材料から形成されること、を特徴とする電
   動機の鉄心の絶縁部材。