JPH0827899B2 - 磁気ヘッドとその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドとその製造方法

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JPH0827899B2
JPH0827899B2 JP1001494A JP149489A JPH0827899B2 JP H0827899 B2 JPH0827899 B2 JP H0827899B2 JP 1001494 A JP1001494 A JP 1001494A JP 149489 A JP149489 A JP 149489A JP H0827899 B2 JPH0827899 B2 JP H0827899B2
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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 この発明は、磁気回路を構成する軟磁性薄膜とその軟
磁性薄膜を支持する基板からなる磁気ヘッドとその製造
方法に関する。
(ロ)従来の技術 磁記記録技術の高密度化に伴ってメタルテープのよう
な高保持力媒体が主流になってきた現在、磁気ヘッドA
に使用されるコア材料は、高い飽和磁束密度を有するも
のが要求されている。
このような情況の下で、第30図ないし第32図に示すよ
うに、高い飽和磁束密度を有する軟磁性金属からなる薄
膜aをコア材料とし、これを非磁性基板bや軟磁性フェ
ライトcで挟み込むようにした磁気ヘッドが作製されて
いる。
(ハ)発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の述べたようにして作られた磁気
ヘッドAにおいては、基板b(またはフェライトc)と
軟磁性薄膜aの熱膨張係数の差によって基板b(または
フェライトc)上に成膜できる厚さが制限されたり、軟
磁性薄膜aが特性劣化を起こして磁気ヘッドAの効率が
低下するという問題点を有していた。
また、これらの磁気ヘッドAでは、軟磁性薄膜aをス
ライスする際、その平坦度、平行度、厚み公差などに厳
しい条件が必要で、製造工程の管理に対する負担が大き
く、かつ、この時生じたピッチ誤差が磁気ヘッドの量産
性に大きなかかわりを持ち、製品の歩留りを低下させる
原因となっていた。
このような問題点を解決するために、本発明者等は軟
磁性薄膜を基板に膜着し、その上から低融点ガラスで基
板および軟磁性薄膜をモールドすることによって、軟磁
性薄膜を基板と低融点ガラス層とで挟持するようにした
磁気ヘッドを先に出願した(昭和62年9月14日出願の特
許願(2))(第31図参照)。
しかし、このようなヘッドでは、広いトラック幅を実
現するためには、軟磁性薄膜を成膜するのにかなりの時
間を要する。また、基板と軟磁性薄膜との熱膨張係数の
差のために膜圧に比例して内部応力が増加するので、厚
い膜を形成するのに困難を伴い、広いトラックの幅を有
する磁気ヘッドを作成することはむずかしかった。
この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、従来の技術の有するこれらの
問題点を解決するとともに、摺動面に露出している面積
が非常に多いことから生じていた基板と軟磁性薄膜の間
の偏摩耗の問題をも解決することができる磁気ヘッドと
その製造方法を提供しようとするものである。
(ニ)課題を解決するための手段 本願における第1発明は、非磁性基板上に被着された
軟磁性金属薄膜層を対向させてこれら軟磁性金属薄膜層
のみで磁気回路を形成する磁気ギャップを備えた磁気ヘ
ッドにおいて、前記軟磁性金属薄膜層が、磁気ギャップ
の近位に形成された第1の面と、磁気ギャップの遠位に
形成された第2の面とからなり、第1の面が磁気ギャッ
プの対向面となす角度が第2の面が磁気ギャップの対向
面となす角度よりも小さく形成されていることを特徴と
する磁気ヘッドである。
また、本願における第2発明は、基板の表面の一部に
傾斜した部分を設ける工程と、その傾斜部に軟磁性薄膜
を形成する工程と、成膜した面の反対側に低融点ガラス
の層を設ける工程と、軟磁性薄膜と低融点ガラスとを合
わせるように複数枚の基板を張り合わせる工程と、傾斜
を設けた側の基板の断面をギャップ対向面とするように
して成型されたコアブロックを作製する工程と、作製さ
れたコアブロックの少なくとも一方のブロックに巻き線
窓を形成後、ギャップ面を精密研磨し、ギャップ材を形
成した後2個のコアブロックの前記軟磁性薄膜が対向す
るように密着させて接合させる工程と、この接合された
コアブロックから磁気ヘッドチップを切り出す工程と、
切り出された磁気ヘッドチップコイルを巻いた後、テー
プ研磨を施す工程を付して磁気ヘッドの製造方法とした
ものである。
さらに、本願における第3発明は、基板の表面に略V
字状の複数の溝を連続して形成する工程と、この工程に
よって形成された各峰の部分を斜めに削り取ってV字状
の溝の一つの斜面に角度の違う傾斜部を設ける工程と、
前記2つの工程によって形成された角度の異なる2つの
傾斜部を持つ面を所定の面粗度に仕上げる工程、その仕
上面に所定の膜厚で軟磁性薄膜を形成する工程と、前記
各溝に低融点ガラスを充填する工程と、前記基板を前記
溝と直角方向に所定のピッチで切断し前記低融点ガラス
の充填部の表面を前記基板表面に一致するよう平面状に
研磨してコアブロックを作製する工程と、このコアブロ
ックにコイル巻線用窓加工、ギャップ面形成加工を施し
た後2個のコアブロックの各低融点ガラスの充填面を前
記各軟磁性薄膜の断面が直線状に並ぶように互いに密着
させて接合させる工程と、この接合されたコアブロック
から磁気ヘッドチップを切出す工程と、切出された磁気
ヘッドチップにコイルを巻回する工程を付して磁気ヘッ
ドの製造方法としたものである。
前記第1発明では、磁気ヘッドのアジマス角度と入射
角度と軟磁性薄膜の摺動面における記録媒体移動方向と
のなす角度、以上の三者により決定される角度によっ
て、磁気ヘッドのトラック幅を増やす工夫がなされてい
る。
前記第2発明における軟磁性薄膜には、センダスト合
金やアモルフアス合金が用いられ、基板には、一般に感
光性ガラス、結晶化ガラス、あるいは、セラミックなど
の非磁性材料が用いられるが、その場合の選択基準とし
ては、熱膨張係数と摩耗特性とが考慮される。
また、低融点ガラスについては、転移点が300〜450℃
程度のものが望ましい。
さらに、前記第3発明における上記の軟磁性薄膜の材
料には、FeAlSi系合金やNiFe系合金などが用いられる。
また、基板には、一般に感光性結晶化ガラス、結晶化ガ
ラス、あるいは、セラミックスなどの非磁性材料が用い
られるが、軟磁性フェライトといった磁性材料を用いて
も良い。その場合、基板の選択基準としては摩耗特性に
よるものが主であるが、その他に、所望する磁気ヘッド
のインダクタンスを考慮して選択することが好ましい。
また、低融点ガラスには、屈伏点が350℃〜550℃程度
で、基板と同等の摩耗性を有しているものを用いること
が望ましい。
(ホ)作用 第1の発明の磁気ヘッドでは、軟磁性金属薄膜層が、
磁気ギャップの近位に形成された第1の面と、磁気ギャ
ップの遠位に形成された第2の面とからなり、第1の面
が磁気ギャップの対向面となす角度が、第2の面が磁気
ギャップの対向面となす角度よりも小さくなるよう形成
し、同じ厚さの軟磁性薄膜に対するトラック幅を広くす
るため、広いトラック幅の磁気ヘッドの作成を容易に
し、軟磁性薄膜の成膜に要する時間の短縮を可能にす
る。
第2および第3発明による磁気ヘッドの製造方法につ
いても、第1発明について述べたと全く同じ作用が認め
られる。
(ヘ)実施例 以下、図面に示す実施例に基づいて第1ないし第3発
明を詳述する。なお、これらによって第1ないし第3の
各発明が限定されるものではない。
I.第1発明について(第1図〜第10図) (a)第1実施例(第1図〜第5図、第10図) 第30図に示すような磁気ヘッドが、現在までに考えら
れ、試作実験がなされている。
しかしこのような磁気ヘッドの場合は、この発明が解
決しようとする問題点であったトラック幅の問題があっ
た。本実施例では、このタイプの磁気ヘッドを更に進め
たタイプの磁気ヘッドを詳しく述べる。
実際の実施例を、第1図(a)に示した。詳しい作り
方は、第30図の磁気ヘッドとほぼ同じであるが、基板1
の準備段階に大きな違いがある。まず基板表面に第2図
に示したように、一部に傾斜面1cを形成する。この傾斜
角度θとしては、成膜される軟磁性薄膜の特性からして
0〜40℃が好ましい。一例として、本実施例に使用し
た、センダスト膜の入射角度依存性の特性を第10図に示
す。この成膜方法は、電子ビーム蒸着によって行われ
る。
この後の工程は、従来の磁気ヘッドとほぼ同じであ
り、前記基板1の表面に軟磁性薄膜2を成膜する(第3
図)。本実施例では、軟磁性薄膜2としてセンダスト膜
とSiO2の積層膜を使用した。但し、この軟磁性薄膜2は
センダスト膜でなければ本実施例の効果が出ないという
ものではない。
次に、第4図に示すように基板1の何枚も重ねて準備
する。この重ねる工程は、本発明には直接関係無いので
簡単な説明で済ませるが、成膜された基板1の反対側に
低融点ガラス3などの層を設けておき接着する。
次に、第5図に示すように、適当な大きさに成型され
たブロックの一面に巻き線窓要の溝4を設けて精密研磨
を施す。
このとき溝4を設ける面としては、当然トラック幅の
広くなる面が選ばれる。トラック幅Twは、アジマス角の
影響を省略すると次の式で示される。
Tw=t÷sin(90−θ) ここにtは膜厚、θは傾斜面の傾斜角度である。
また、摺動面における軟磁性薄膜の摺動方向とのなす
角度の項が加われば、更に広いトラック幅の磁気ヘッド
が作成できる。
次に、第5図に示すギャップ対向面8にギャップ材を
成膜したのちにギャップ溶着し円筒研削したものを、ワ
イヤーソーなどの手段を用いてチップに切断する。この
チップをヘッドベースに貼り付け、巻き線、研磨の工程
を施せば、第1図(a)に示すような磁気ヘッドベース
が、完成する。
(b)実施例2(第6図〜第9図) 第31図に示すような磁気ヘッドが、提案され試作され
ているがこのような磁気ヘッドの場合も前記従来磁気ヘ
ッドの同様な問題点があった。このような磁気ヘッドの
場合もこの発明によって解決される。次に実際の工程を
簡単に示す。
まず、第一の工程としては、第7図に示すように従来
例の磁気ヘッドの場合と同様に、非磁性体基板1に連続
して溝5を設ける。この溝の角度θはアジマス角と磁
気ヘッドの摺動面における軟磁性薄膜の摺動方向とのな
す角度θ(第6図(b)参照)と、軟磁性薄膜の入射
角θとによって決定される。次に第8図に示すように
第一の溝加工時に残った峰の部分を削り取り第二の傾斜
部6を形成する。この第二の傾斜部6の角度は軟磁性薄
膜の入射角とV字状の溝5の角度によって決定される。
つまり第10図に示したように軟磁性薄膜の入射角度θ
には許容範囲が存在する。また磁気ヘッドのギャップ
近傍となる傾斜面aには、0℃で入射するほうが軟磁性
薄膜にとっては特性上好ましい。従って、斜面aと斜面
bのなす角度θabは、40゜以下であることが望ましい。
ただし、斜面bの角度は、前述のように、磁気ヘッドの
摺動面形状によって決定される。実際の実施例において
は、V字状の溝5の角度θは60゜,θabは20゜とし
た。この場合のこの発明の効果による、トラック幅Twの
増加は、アジマス角の項を除けば、次の式によって表さ
れる。
Tw=t÷sin(60−θab) それ故、本実施例の場合は、約1.6倍になる。
更に、第二の傾斜部6を設けることの効果として、軟
磁性薄膜が成膜される、溝側面の面粗度が、小さくでき
る事にある。これは例えば面粗度が1μm以上の場合よ
り、面粗度を、例えば1000Å程度にした場合、テープ速
度21m/s、18MHzにおける、メタルテープを使用した自己
録再実験において、2dB以上の差があった。
次に軟磁性薄膜2と非磁性薄膜1を前述の実施例と同
様に成膜し、溝の部分を低融点ガラス3で埋める。余分
なガラスを除去して第9図に示すようなコアブロック7
を作成する。そのブロックのギャップ対向面8になる部
分に巻き線窓用の溝4をいれ、精密研磨を施し、ギャッ
プ材となる二酸化珪素を成膜し、ギャップ溶着し、円筒
研磨を施し、ワイヤーソーでチップに切断し、ヘッドベ
ースにはりつけ、テープ研磨巻き線をして第6図(a)
に示すような磁気ヘッドを得る。
上記各実施例で示された磁気ヘッドによれば、非磁性
基板上における軟磁性薄膜の入射角度を変化させること
ができるため、軟磁性薄膜を成膜する時間が短くできる
だけでなく、基板と軟磁性薄膜との熱膨張係数の差によ
り広くできなかったトラック幅の広い磁気ヘッドを提供
することができる。
II.第2発明について(第11図〜第19図) 第12図〜第19図は、この発明による磁気ヘッドの製造
方法の一実施例を示す説明図であり、以下に述べる手順
で第11図(a)(b)に示す磁気ヘッドを作成する。
まず、第12図に示すように、感光性結晶化ガラスから
なる基板1aの表面の一部に傾斜部を設ける。このときの
基板1aの厚みは、最終工程となるチップ切断のほぼピッ
チと等しくする。傾斜角度については、実際の最終形態
でのトラック幅Twとアジマス角によって決定される。
つまり簡単に式で表現すると次のようになる。但し、
アジマス角の影響を無視している。
Tw=t÷sin(90−θ) 但し、Twはトラック幅、tは膜厚を表す。
ここで、上式の関係をみると、傾斜角θは、大きいほ
どトラック幅Twは、大きくできそうであるが、実際には
軟磁性薄膜2aの基板1aに対する入射角依存性が、第10図
のように存在するために、0〜40℃であるのが好まし
い。
次に、第13図に示すように基板1aの表面に軟磁性薄膜
2aを成膜する。本実施例では、軟磁性薄膜2aとしてセン
ダスト薄膜を蒸着で作成した。この場合、磁気ヘッドの
高周波での特性を考えて、センダスト薄膜は、5μm以
下の膜厚として中間層として二酸化珪素を用いた積層膜
とした。
なお、本発明の効果は、センダスト合金でなければ効
果が出ないことはなく、実際にCoZrNb系アモルファス合
金でも同じような効果は得られた。
次に、第14図に示すように、基板1aの反対側の面に低
融点ガラス3aの層を設ける。実際の方法としては、スク
リーン印刷で行った。このときの実際の厚みは、10〜50
μmとした。この厚みは、後の工程によって決定され
る。つまり、基板1aの厚みでチップ切断の精度を出そう
としたときは、薄いほうが良い。但し、接着強度を考え
たときには、程々の厚みが要求される。従って、じっさ
いには10μm程度の薄い膜を用いて第15図に示す基板1a
の張り合せのときに加圧力を加えて、1μm以下になる
ようにした。スクリーン印刷の代わりにスパッタ法によ
り、低融点ガラス層を設けることも可能である。また、
第15図に示す低融点ガラス3′aは、基板1aに傾斜があ
るため空間4aができるが、それを無くすためであり、低
融点ガラス3aと同じもので良い。
次に、第16図に示すようにギャップ対向面6aになる面
に巻き線窓用の溝4を得るための溝5aを形成する。つづ
いて、精密研磨を施し、ギャップ材を形成して、第17図
に示すように、軟磁性薄膜2aのギャップ面6aを互いに対
向するように位置合わせをし、加圧固着を行って、低融
点ガラス3aが、接着力をもつような温度まで昇温してガ
ラス溶着を行って接合しブロック7aを形成する。
そして、その接合されたコアブロック7aから、磁気ヘ
ッドチップを切り出す。
第18図はこのようにして切り出された磁気ヘッドチッ
プを示す斜視図である。また、図中、8aで示した点線で
摺動面を規制する工程をいれることもできる。つまり、
チップ切り出しの前に、ブロック7aの摺動面となる面に
ダイシング装置などで、規制をいれることもできる。
次に、第19図を用いてこの規制をいれる効果を説明す
る。図中、幅Wで示した領域で規制を行った場合、実際
に記録媒体と接触する軟磁性薄膜2aは、ギャップ付近の
みとなる。
従って、基板1aと軟磁性薄膜2aの間の偏摩耗は減少す
る。つまり、今まで起こっていた損失を小さくできるの
で再生出力は大きくなる。
第18図に示す磁気ヘッドチップをヘッドベースに張り
付け、巻き線、テープ研磨を行い、最終的に第11図
(a)(b)に示すような磁気ヘッドを得る。
この実施例に示された製造手順によれば、基板の一部
分に設けた傾斜部分に成膜することになるため、成膜時
間の短縮だけでなく、ブロックの摺動面となる面に規制
を入れることにより基板と軟磁性薄膜の間の偏巻耗を押
さえてトラック幅の広い磁気ヘッドを提供することがで
きる。
III.第3の発明について(第20図〜第29図) 第21図〜第29図は、この発明による磁気ヘッドの製造
方法の一実施例を示す説明図であり、以下に述べる手順
で第20図(a)(b)に示す磁気ヘッドを作製する。
まず、第21図に示すように、感光性結晶化ガラスから
なる基板1bの表面に、最終的な磁気ヘッドの厚さ、分断
する際の切り代を考慮したピッチ寸法Aで略V字状の溝
8bを連続して形成する。
この溝8bの角度θはアジマス角と磁気ヘッドの摺動
面における軟磁性薄膜の摺動方向とのなす角度θ(第
20図(b)参照)と、磁性薄膜の入射角θとによって
決定される。次に、第22図に示すようにV字状の溝加工
時に形成された峰の部分を削り取るように第二の傾斜部
9bを設ける。この第二の傾斜部9bの角度θabは軟磁性薄
膜の入射角とV字状の溝8bの角度によって決定される。
つまり、第10図に示したように軟磁性薄膜の入射角度
には許容範囲が存在する。また磁気ヘッドのギャップ近
傍となる斜面aには、0゜で入射するほうが軟磁性薄膜
にとっては特性上好ましい。従って、斜面aと斜面bの
なす角度θabは、40゜以下であることが望ましい。ただ
し、斜面bの角度は、前述のように、磁気ヘッドの摺動
面形状によって決定される。実際の実施例においては、
V字状の溝8bの角度θは60゜,θabは20゜とした。こ
の場合のこの発明の効果による、トラック幅Twの増加
は、アジマス角の項を除けば、次の式によって表され
る。
Tw=t÷sin(60−θab) それ故、本実施例の場合は、約1.6倍になる。
更に、第二の傾斜部9bを設けることの効果として、軟
磁性薄膜が成膜される、溝側面の面粗度が、小さくでき
る事である。
基板1bの表面に溝8bを形成する加工方法としては、ダ
イシングによって行う。
一般に、この実施例で用いたような感光性結晶化ガラ
スや、結晶化ガラスなどの高い摩耗性を有する基板1b
は、加工性が悪く、ダイシングブレードには、そのダイ
ヤモンド粒径が8〜16μmのものを用いなければ十分な
加工がおこなえない。従って、溝8bの一方の斜面bの面
粗度は通常、最大2〜3μmである。
この斜面bの面粗度を、磁気ヘッドの効率を高めるた
めに微細にするには、次のような加工方法がある。
斜面bを、まず、加工性の良いダイヤモンド径のダイ
シングブレードで粗仕上げをした後、ダイヤモンドの平
均粒径が4μm以下のダイシングブレードで、その粗仕
上げ面をごく僅かに削るように走らせて本仕上げをする
方法である。本実施例では、さらにその後、第22図に示
すように第2の傾斜部9bを形成するが、この場合は、切
り込み量が少ないために、最初から、ダイヤモンド粒径
の小さいブレードが使用可能であり、さらに同じブレー
ドでも斜面aは斜面bより面粗度が向上する。双方の場
合とも面粗度は1000Å以下になる。
斜面a,bの面粗度と磁気ヘッドの記録再生特性との関
係は、面粗度が2μmであったものを1μm以下にした
ときには再生出力は2dB向上し、その面粗度を1000Å以
下にしたときにはさらに2dB向上した。従って、斜面a,b
の面粗度は1000Å以下にするのが最良であるが、磁気ヘ
ッドの再生出力をみた場合には、1μm以下の面粗度で
あれば使用可能である。
次に、第24図に示すように、1μm以下に仕上げた斜
面a,bに、真空蒸着法、あるいはスパッタ法などの薄膜
形成技術によって、所定の膜厚、つまり磁気ヘッドのト
ラック幅Twにほぼ相当する膜厚となるようにFeAlsi系合
金からなる軟磁性薄膜3bを形成する。
FeAlsi系合金の組成としては、例えば、5.5wt%Al、
9.5wt%Si−bal,Feといったものが一般的である。
この時、蒸着法を用いた場合は、第23図に示すよう
に、成膜に寄与する蒸着粒子の飛来方向Rが一様である
ので、この飛来方向角α(=θ)を適当に設定すれ
ば、隣接する溝8bの頂点による陰影効果により、斜面b
の底に近い部分で軟磁性薄膜3bを途切れさせることがで
きる。この蒸着粒子の入射角度は、前述したように本実
施例では、斜面aでは0゜、斜面bでは20゜となるよう
にして、良好な軟磁気特性を得ている。
また、軟磁性薄膜3bは、磁気ヘッドの動作帯域によっ
て絶縁層を挟み込んだ積層構造にしてもよい。
次に、第25図に示すように、軟磁性薄膜3bの上に、Si
O2からなる非磁性酸化膜4bを保護膜として成膜する。こ
の実施例においては、軟磁性薄膜3bの上にだけ非磁性酸
化膜4bを形成しているが、溝8bの全体を被覆するように
形成してもよい。また、非磁性酸化膜4bとしてはSiO2
を用いたが、特に限定せず、他の非磁性酸化膜を用いて
もよい。
この非磁性酸化膜4bが必要な理由は、後述する次の工
程(第26図参照)で、金属Cr膜5bを形成する場合、軟磁
性薄膜3bの上に直接形成すると、軟磁性薄膜3bと金属Cr
膜5bとが拡散を引き起こし特性劣化を招くので、それら
両者を直接接触させないようにするためである。
この金属Cr膜5bを形成するのは、次の工程(第27図参
照)で低融点ガラス2bでモールドする際、濡れ性を良く
し、反応による発泡や巻き込みによる泡などが生じない
ようにするためであり、特にこの方法に限定するもので
はない。
次に、第28図に示すように、基板1bをピッチEで切断
する。この切断ピッチEは最終ヘッド形態の寸法によっ
て決められる。
そして、ここまでの工程を得られた基板1bに、公知の
VTR用フェライトヘッド加工工程と同様に、コイル巻線
用窓4の加工およびギャップ面6bの形成加工をそれぞれ
施す。
次に、第29図に示すように、軟磁性薄膜3bのギャップ
面6bを互いに対向するように位置を合わせ加圧固定をお
こなって、低融点ガラス2bが接着力をもつような温度ま
で昇温してガラス溶着をおこなって接合しコアブロック
7bを形成する。
そして、その接合されたコアブロック7bから、磁気ヘ
ッドチップを切出す。
第20図(a)はこのようにして切出された磁気ヘッド
チップを示す斜視図である。
上述のようにして得られた磁気ヘッドチップについて
は、従来の磁気ヘッドチップと同様に、ベース板への接
着固定、コイル巻線、テープ研磨を施して第20図(a)
(b)に示す磁気ヘッドを完成する。
このように、以上に示した工程から作製される磁気ヘ
ッドは、基板の表面に略V字状の複数の溝を連続して形
成した後、その各溝の一方の溝壁面を所定の面粗度に仕
上げ、その仕上面に磁気ヘッドのトラック幅に相当する
膜厚で軟磁性薄膜を形成して低融点ガラスを充填してい
るため、軟磁性薄膜が特性劣化をおこすことがなく、軟
磁性薄膜の良好な特性を十分に生かした、効率の良い磁
気ヘッドとなる。
(ト)発明の効果 この発明は上述の通り構成されているので、次に記載
する効果を奏する。
請求項1の磁気ヘッドにおいては、軟磁性薄膜は基板
の一部に形成された傾斜している部分に成膜されている
ので、軟磁性薄膜についての成膜時間の短縮ができるだ
けでなく、トラック幅の広い磁気ドラムを提供すること
ができる。
請求項2の磁気ヘッドの製造方法においては、基板の
一部分に傾斜している部分を設け該部分に軟磁性薄膜を
成膜しているため、請求項1について述べた効果に加え
て基板と軟磁性薄膜の偏摩耗をも押さえることができる
磁気ヘッドの製造方法を提供することができる。
請求項3の磁気ヘッドの製造方法においては、請求項
2について述べたのと全く同じ作用効果を奏する磁気ヘ
ッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は第1発明の一実施例の斜視図、第1図
(b)は同平面図、第2図から第5図までは第1実施例
の作り方の手順を示す説明図、第6図(a)は第1発明
の他の実施例の斜視図、第6図(b)は同平面図、第7
図から第9図までは第2実施例の作り方の手順を示す説
明図、第10図はセンダスト膜の入射角度依存性の特性を
示すグラフ、第11図(a)は第2発明を実施して得られ
た一実施例の磁気ヘッドの斜視図、第11図(b)は同平
面図、第12図から第19図までは第2発明の磁気ヘッドの
製造方法の一実施例を示す説明図、第20図(a)は第3
発明を実施して得られた一実施例の磁気ヘッド斜視図、
第20図(b)は同平面図、第21図から第29図までは第3
発明の磁気ヘッドの製造方法の一実施例を示す説明図、
第30図から第32図はそれぞれ異なる従来例の斜視図であ
る。 1,1a,1b……基板、 2,2a,3b……軟磁性薄膜、 2b,3,3a……低融点ガラス、 4……巻き線窓用の溝、 5,8b……V字状の溝、 6,9b……傾斜部、 6a,6b,8……ギャップ対向面、 a,b……V字状の溝の斜面。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基板上に被着された軟磁性金属薄膜
    層を対向させてこれら軟磁性金属薄膜層のみで磁気回路
    を形成する磁気ギャップを備えた磁気ヘッドにおいて、
    前記軟磁性金属薄膜層が、磁気ギャップの近位に形成さ
    れた第1の面と、磁気ギャップの遠位に形成された第2
    の面とからなり、第1の面が磁気ギャップの対向面とな
    す角度が第2の面が磁気ギャップの対向面となす角度よ
    りも小さく形成されていることを特徴とする磁気ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】基板の表面の一部に傾斜した部分を設ける
    工程と、その傾斜部を含む基板上に軟磁性薄膜を形成す
    る工程と、成膜した面の反対側に低融点ガラスの層を設
    ける工程と、軟磁性薄膜と低融点ガラスとを合わせるよ
    うに複数枚の基板を張り合わせる工程と、傾斜を設けた
    側の基板の断面をギャップ対向面とするようにして成型
    されたコアブロックを作製する工程と、作製されたコア
    ブロックの少なくとも一方のブロックに巻き線窓を形成
    後、ギャップ面を精密研磨し、ギャップ材を形成した後
    2個のコアブロックの前記軟磁性薄膜が対向するように
    密着させて接合させる工程と、この接合されたコアブロ
    ックから磁気ヘッドチップを切り出す工程と、切り出さ
    れた磁気ヘッドチップにコイルを巻いた後、テープ研磨
    を施す工程を付してなる磁気ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】基板の表面に略V字状の複数の溝を連続し
    て形成する工程と、この工程によって形成された各峰の
    部分を斜めに削り取ってV字状の溝の一つの傾斜に角度
    の違う傾斜部を設ける工程と、前記2つの工程によって
    形成され角度の異なる2つの傾斜部を持つ面を所定の面
    粗度に仕上げる工程と、その仕上面に所定の膜厚で軟磁
    性薄膜を形成する工程と、前記各溝に低融点ガラスを充
    填する工程と、前記基板を前記溝と直角方向に所定のピ
    ッチで切断し前記融点ガラスの充填部の表面を前記基板
    表面に一致するよう平面状に研磨してコアブロックを作
    製する工程と、このコアブロックにコイル巻線用窓加
    工、ギャップ面形成加工を施した後2個のコアブロック
    各低融点ガラスの充填面を前記各軟磁性薄膜の断面が直
    線状に並ぶように互いに密着させて接合させる工程と、
    この接合されたコアブロックから磁気ヘッドチップを切
    出す工程と、切出された磁気ヘッドチップコイルを巻回
    する工程を付してなる磁気ヘッドの製造方法。
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