JP2669965B2 - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドの製造方法

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JP2669965B2 JP3164573A JP16457391A JP2669965B2 JP 2669965 B2 JP2669965 B2 JP 2669965B2 JP 3164573 A JP3164573 A JP 3164573A JP 16457391 A JP16457391 A JP 16457391A JP 2669965 B2 JP2669965 B2 JP 2669965B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性材料からなる基
板上に軟磁性薄膜を設け薄膜積層ヘッドとして構成され
る磁気ヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体の高密度化に伴
いメタルテープのような高保磁力媒体が主流となってき
ているため、磁気ヘッドに使用される磁気コアの材料も
高い飽和磁束密度を有するものが要求されている。そこ
で、例えば図10に示すように、磁気コアとして高い飽
和磁束密度を有するFeAlSi合金から成る軟磁性薄膜21
を、非磁性材料から成る基板22上に設けてなる薄膜積
層型の磁気ヘッドチップ20が知られている。
【0003】また、近年、長時間録画等に対応するため
にトラック幅が狭くなってきているが、上記のような磁
気ヘッドチップ20において、トラック幅に対応して軟
磁性薄膜21の厚さを薄くすると、磁気コアとしての磁
気断面積が減少し、その磁気抵抗が大きくなって、記録
・再生、特に再生効率が低下するという問題を生じてい
た。
【0004】そこで、上記問題を回避するために、図1
1に示すように、ギャップ23近傍の軟磁性薄膜21の
厚さを薄く形成する、つまり絞り込むことにより、狭い
トラック幅に対応する一方、ギャップ23近傍以外の軟
磁性薄膜21の厚さを厚くして磁気断面積を増やし、磁
気抵抗を低減した磁気ヘッドチップ20が提案されてい
る。
【0005】上記のような磁気ヘッドチップ20の製造
方法について、以下説明する。まず、図12に示すよう
に、結晶化ガラス等の非磁性材料から成る略直方体形状
の基板22に、ダイシング加工により断面略V字状の溝
24を連続して形成した後、図13に示すように、これ
ら各溝24…の一方の側壁24a上に沿って軟磁性薄膜
21とSiO2等の非磁性体材料からなる絶縁層25とを、
真空蒸着法により所定の層数交互に積層蒸着して、所定
の厚さの軟磁性積層薄膜26を形成する。なお、軟磁性
積層薄膜26の積層構造は、以下簡略化して図示する。
【0006】次に、図14に示すように、側壁24aの
頂点付近から頂点にいたる軟磁性積層薄膜26をイオン
ミリング等のドライエッチングにより所定厚さ分除去す
るために、基板22をイオン入射方向に対して傾けて、
イオンの当たる所望する軟磁性積層薄膜26部分にドラ
イエッチングを施す。このときの基板22の傾け方は、
溝24間に形成される山型部22aによって軟磁性積層
薄膜26上の山型部22a頂部付近にイオンが当たり、
他の部分にイオンの当たらない影をつくるようにする。
【0007】その後、図15に示すように、ドライエッ
チングにより薄くなった軟磁性積層薄膜26部分である
トラック幅用薄膜26aの厚さをトラック幅に相当する
厚さとした基板22を作製する。続いて、図16に示す
ように、軟磁性積層薄膜26と後述する低融点ガラスと
の所望しない反応を防止するために、SiO2等の反応防止
膜を形成し、さらに、その反応防止膜の上に、上記低融
点ガラスとのぬれを改善するためにクロム等の活性金属
膜をスパッタリング法等により形成した複合膜27を形
成する。
【0008】上記の工程後は、図17に示すように、溝
24上に低融点ガラス28を充填した後、図18に示す
ように、各山型部22a…の稜線を結んだ平面まで低融
点ガラス28の表面を研削すると共に、図19に示すよ
うに、その研削された面およびその反対面にコイル巻線
用溝29・29をそれぞれ形成して片側基板ブロック3
0を作製し、次いで、一対の片側基板ブロック30・3
0を非磁性ギャップ材(図示せず)を挟んで相互に接合
した後、所定の幅で切断することで、図11に示すよう
な磁気ヘッドチップ20を得る。
【0009】このように上記磁気ヘッドチップ20で
は、狭いトラック幅に精度よく対応するため、ギャップ
23およびその近傍における軟磁性積層薄膜26の厚さ
を、ドライエッチングにより薄くし、一方、磁気ヘッド
の記録再生、特に再生効率を著しく向上させるために、
上記ギャップ23およびその近傍以外の磁気コア部分で
ある軟磁性積層薄膜26部分の厚みを厚くして磁気抵抗
を下げることにより、狭いトラック幅に対応すると共に
再生効率の高い磁気ヘッドを製造している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の方法
では、イオンミリング等のドライエッチングによる軟磁
性積層薄膜26の除去速度が数 100Å/minであることか
ら、必要な膜厚(絞り込み量)の軟磁性積層薄膜26を
除去するのに非常に長時間を要し、磁気ヘッド製造の生
産性が悪いという問題を生じている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ヘッドの製
造方法は、上記課題を解決するために、結晶化ガラス等
の非磁性体材料からなる基板に相互に平行に隣接して溝
形成する工程と、この溝の一方の側壁に沿って、例え
ばFeAlSi合金からなる軟磁性薄膜を形成する工程と、
記一方の側壁の頂点近傍から頂点に向かって上記軟磁性
薄膜の厚さが薄くなるように、ブレードを用いるダイシ
ング加工により上記軟磁性薄膜を研削し、上記軟磁性薄
膜におけるギャップ付近の厚さを薄くする工程と、上記
軟磁性薄膜の形成された基板表面を研磨した後、その研
磨面であるギャップ面を互いに対向させて一対の上記基
板を接合する工程とからなることを特徴としている。
【0012】
【作用】上記の方法によれば、相互に平行に隣接して形
成された溝の一方の側壁の頂点近傍から頂点に向かって
軟磁性薄膜の厚さが薄くなるように、ブレードを用いる
ダイシング加工により上記軟磁性薄膜が研削加工され
る。これにより、上記軟磁性薄膜におけるギャップ付近
の厚さが薄くなる。上記軟磁性薄膜の形成された一対の
基板は、その表面が研磨された後、研磨面であるギャッ
プ面を互いに対向させて接合され、磁気ヘッドが完成さ
れる。 ここで、従来のイオンミリング等によるドライエ
ッチングでは、ドライエッチングの速度が数100Å/
minと遅いため、軟磁性薄膜の形成加工に時間がかか
り、その結果、磁気ヘッドの製造における生産性が低下
していた。しかし、ダイシング加工によれば、数mm/
secの速さで上記軟磁性薄膜を研削加工することがで
きる。したがって、上記方法によれば、上記軟磁性薄膜
が、従来のようなイオンミリング等のドライエッチング
ではなく、加工速度の比較的速いダイシング加工によっ
て研削加工されるので、従来より、上記軟磁性薄膜の形
成加工時間を大幅に短縮することができる。その結果、
長時間モード用等の狭いトラック幅に対応すると共に、
磁気断面積の増加により、記録再生効率、特に再生効率
の向上した磁気ヘッドを、従来よりも短時間で効率よく
製造することができ、磁気ヘッドの製造における生産性
を従来よりも確実に向上させることができる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図9に
基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、図2に
示すように、結晶化ガラス等の非磁性材料からなる略直
方体形状の基板1の表面にピッチ寸法Aで、断面略V字
状の刃先のブレードを用いたダイシング加工(研削速
度、数mm/sec)により断面略V字状の溝2を相互に平行
に隣接して作成する。このとき、各溝2…は、基板1に
おける溝2の底部から上方に延ばす法線に対してほぼ左
右対称に形成される。
【0014】その後、図3に示すように、溝2の一方の
側壁2aに沿ってFeAlSi合金等の軟磁性薄膜3を真空蒸
着法、あるいはスパッタリング法で形成する。続いて、
SiO2等の非磁性体材料からなる非磁性薄膜4を軟磁性薄
膜3上に真空蒸着法等により形成し、さらに、その上に
軟磁性薄膜3を上記と同様の方法で形成するというよう
に、所定の膜数だけ交互に積層して、所定の厚さの軟磁
性積層薄膜5を形成する。なお、図では軟磁性積層薄膜
5の積層状態を簡略化して示した。
【0015】次に、図1に示すように、隣接する溝2・
2間に形成される山型部1aの頂点近傍から頂点に向か
って軟磁性積層薄膜5の厚さが薄くなるように、軟磁性
積層薄膜5を断面略V字状の刃先のブレード6を用いた
ダイシング加工(研削速度、数mm/sec)により研削加工
する。このとき、山型部1aの頂点側にある軟磁性積層
薄膜5の厚さはトラック幅に相当する厚さとなってい
る。
【0016】また、ダイシング加工は、溝2の形状を示
す指標としての溝2の底部からの法線と一方の側壁2a
との角度Bに対して、その角度B以上の刃先の角度Cを
有するブレード6を用いて施され、その上、ブレード6
の刃先の一方の刃先壁面6aを、前記法線と一致させる
ことで、軟磁性積層薄膜5の研削加工を精度よく施すこ
とができる。
【0017】続いて、図4に示すように、軟磁性積層薄
膜5と後述する低融点ガラスとの所望しない反応を防止
するために、SiO2等の反応防止膜を軟磁性積層薄膜5上
に形成し、次に、その反応防止膜の上に、上記低融点ガ
ラスとのぬれを改善するためにクロム等の活性金属膜を
スパッタリング法等により形成して、上記反応防止膜お
よび活性金属膜が積層された複合膜7を形成する。
【0018】その後、図5に示すように、各溝2…上に
前述した低融点ガラス8を充填し、次に、図6に示すよ
うに、充填された低融点ガラス8の表面を、前記各山型
部1aの稜線を結んだ平面まで研磨する。このとき、そ
の研磨面であるギャップ面9には軟磁性積層薄膜5がほ
ぼトラック幅となるように露出している。
【0019】この後、図7に示すように、ギャップ面9
に、所定のギャップ長となるようにSiO2等の非磁性体材
料からなるギャップスペース材(図示せず)をスパッタ
リング法等により形成し、さらに、基板1におけるギャ
ップ面9とその反対面にコイル巻線用溝10・10をそ
れぞれ形成して片側基板ブロック11を作製する。
【0020】次に、図8に示すように、一対の片側基板
ブロック11・11をギャップ面9が互いに対向すると
共に各軟磁性積層薄膜5が直線状としてギャップ12が
形成されるように位置を合わせ、加圧固定して各低融点
ガラス8…により接合して基板ブロック13を作製す
る。その後、その接合された基板ブロック13を所定の
ピッチDで切り出して、図9に示すような磁気ヘッドチ
ップ14を得る。
【0021】上記のようにして得られた磁気ヘッドチッ
プ14は、以下図示しないが、ベース板への接着固定、
コイル巻線やテープ摺動面の研磨が施されて磁気ヘッド
を完成する。
【0022】このように上記実施例の方法では、得られ
た磁気ヘッドのトラック幅は、軟磁性積層薄膜5のダイ
シング加工による研削加工により、そのギャップ12と
なる軟磁性積層薄膜5の厚さが設定できて、例えば長時
間モード専用磁気ヘッドのように狭いトラック幅にも対
応でき、一方、最初に真空蒸着法等により形成される磁
気コアとしての軟磁性積層薄膜5の厚さは、充分な磁気
断面積を確保して、磁気抵抗の充分小さな所定の厚さに
設定できる。
【0023】ところで、従来は、軟磁性積層薄膜の形成
加工にイオンミリング等のドライエッチングが用いられ
ており、その軟磁性積層薄膜のの除去速度が数100Å/mi
nであることから、必要な膜厚(絞り込み量)の軟磁性
積層薄膜を除去するのに非常に長時間を要し、磁気ヘッ
ド製造の生産性が悪かった。
【0024】しかしながら、上記の方法では、軟磁性積
層薄膜5の厚さを側壁2aの頂点近傍から頂点に向かっ
て薄く形成する軟磁性積層薄膜5の形成加工がブレード
を用いたダイシング加工による研削によって施されるの
で、従来のようにイオンミリング等のドライエッチング
による軟磁性積層薄膜の形成加工と比べて、その形成加
工時間を大幅に短縮することができる。
【0025】したがって、狭いトラック幅に対応でき、
その上、低い磁気抵抗を実現して記録再生効率、特に再
生効率の高いという優れた特性を有する磁気ヘッドが、
従来より短時間で製造でき、磁気ヘッド製造の生産性を
向上させることができる。
【0026】
【発明の効果】本発明の磁気ヘッドの製造方法は、以上
のように、狭いトラック幅に対応すると共に磁気抵抗の
小さな磁気ヘッドを製造するために、磁気コアとなる軟
磁性薄膜におけるギャップ付近の厚さを薄くする形成加
工をブレードによるダイシング加工により施す方法であ
る。
【0027】それゆえ、従来は軟磁性薄膜の厚さを薄く
する形成加工がイオンミリング等によるドライエッチン
グにより施されており、そのドライエッチングの速度が
遅いため、形成加工に時間がかかり、磁気ヘッドの製造
における生産性が悪化していたが、上記方法では、軟磁
性薄膜の形成加工がブレードを用いたダイシング加工に
よる研削によって施されるので、従来より、その形成加
工時間を大幅に短縮することができる。
【0028】この結果、長時間モード用等の狭いトラッ
ク幅に対応できると共に、磁気断面積を増加させて、記
録再生効率、特に再生効率を向上させた磁気ヘッドの製
造を短時間で効率よくでき、磁気ヘッドの製造における
生産性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドの製造方法において、ダイ
シング加工により軟磁性積層薄膜が形成加工されている
基板の要部正面図である。
【図2】上記製造方法における溝の形成された基板の斜
視図である。
【図3】上記溝に軟磁性積層薄膜が形成された基板の要
部正面図である。
【図4】上記軟磁性積層薄膜上に複合層が形成された基
板の要部正面図である。
【図5】溝に低融点ガラスが充填された上記基板の要部
正面図である。
【図6】上記低融点ガラスの表面が研削された基板の要
部正面図である。
【図7】上記基板にコイル巻線用溝を形成した片側基板
ブロックの斜視図である。
【図8】一対の上記片側基板ブロックを接合した基板ブ
ロックの斜視図である。
【図9】上記基板ブロックを切断してなる磁気ヘッドチ
ップの斜視図である。
【図10】従来の磁気ヘッドチップの斜視図である。
【図11】従来の他の磁気ヘッドチップの斜視図であ
る。
【図12】上記磁気ヘッドチップの製造方法において、
溝の形成された基板の斜視図である。
【図13】溝に軟磁性積層薄膜が形成された上記基板の
要部正面図である。
【図14】軟磁性積層薄膜がドライエッチングされてい
る上記基板の正面図である。
【図15】軟磁性積層薄膜の一部がドライエッチングさ
れた上記基板の要部正面図である。
【図16】積層合金薄膜上に複合層が形成された上記基
板の要部正面図である。
【図17】低融点ガラスが充填された上記基板の要部正
面図である。
【図18】低融点ガラスの表面が研磨された上記基板の
要部正面図である。
【図19】上記基板にコイル巻線溝等を形成してなる片
側基板ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 溝 2a 側壁 5 軟磁性積層薄膜(軟磁性薄膜) 6 ブレード

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性体材料からなる基板に相互に平行に
    隣接して溝を形成する工程と、 この溝の一方の側壁に沿って磁気コアとなる軟磁性薄膜
    形成する工程と、 上記一方の側壁の頂点近傍から頂点に向かって上記軟磁
    性薄膜の厚さが薄くなるように、ブレードを用いるダイ
    シング加工により上記軟磁性薄膜を研削し、上記軟磁性
    薄膜におけるギャップ付近の厚さを薄くする工程と、 上記軟磁性薄膜の形成された基板表面を研磨した後、そ
    の研磨面であるギャップ面を互いに対向させて一対の上
    記基板を接合する工程とからなる ことを特徴とする磁気
    ヘッドの製造方法。
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