JPH08276194A - 廃水の処理方法 - Google Patents

廃水の処理方法

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JPH08276194A
JPH08276194A JP8229895A JP8229895A JPH08276194A JP H08276194 A JPH08276194 A JP H08276194A JP 8229895 A JP8229895 A JP 8229895A JP 8229895 A JP8229895 A JP 8229895A JP H08276194 A JPH08276194 A JP H08276194A
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祐介 塩田
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紀一郎 三井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 触媒湿式酸化処理において、窒素含有化合
物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等が含まれて
いる一般的に処理の困難な廃水においても、浄化性高く
廃水を処理し、なおかつ経済性にも優れた廃水の処理方
法を提供する。 【構成】 酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃水が
液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度で、
少なくとも2種類以上の触媒組成または触媒組成比の異
なる触媒を用い、なおかつこのうち少なくとも1種は、
ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび
白金よりなる群から選ばれる元素の金属および/または
その金属の化合物の少なくとも1種を含有する触媒を用
いて廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の
組成または組成比のうち、ルテニウム、ロジウム、パラ
ジウム、イリジウムおよび白金よりなる群から選ばれる
元素の金属および/またはその金属の化合物の触媒中の
含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側
に対して多くなる方向で廃水を触媒湿式酸化処理する廃
水の処理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃水の処理方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、化学プラント設備、メ
ッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱業
設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設備、
紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設備、
機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、写真処
理設備等から排出される廃水を浄化処理する場合に用い
られる廃水の処理方法に関する。特に廃水の浄化方法の
中でも、廃水中の有機物および/または無機COD成分
を分解するため、該廃水を固体触媒の存在下に湿式酸化
処理する該廃水の浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、廃水の処理方法として、活性汚泥
法と広く一般的に呼ばれる生物的処理法、焼却による燃
焼処理法、チンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化処
理法などが知られている。
【0003】生物的処理法は、有機物等の分解に長時間
を要し、またアンモニアなどの難分解性窒素化合物の処
理のためには複雑な工程を要し、しかも藻類、バクテリ
ヤ等の微生物の生育に適した濃度に廃水を希釈したり、
微生物の生育に適したpHに廃水を調節するなどの必要
があるため処理施設の設置面積が広大になるなどの欠点
がある。
【0004】燃焼処理法は、燃焼のための燃料費等のコ
ストがかかるうえ、排ガス等の二次公害の問題などの欠
点がある。
【0005】チンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化
処理法は、高温高圧下で廃水を酸素含有ガスの存在下に
処理し、有機物および/または無機COD成分等を酸化
もしくは酸化分解させる方法であって、優れた処理方法
ではある。しかし、一般的に処理効率が低いため、さら
に二次処理設備を必要とすることが多く、高処理効率を
目的とする場合には設備上の問題も少なくない。
【0006】このため、この湿式酸化処理法において処
理効率を向上させることを主たる目的として各種の触媒
を使用する方法が提案されている。特に固体触媒を用い
た湿式酸化法(以下、触媒湿式酸化処理とも記載する)
は、その高い廃水の浄化性ならびに優れた経済性等の面
から近年特に注目されている。これらの触媒の例として
は、パラジウム、白金等の貴金属類をアルミナ、シリ
カ、シリカゲル、活性炭等の担体に担持した触媒である
(特開昭49−44556号、特開昭49−94157
号)。
【0007】しかしながら廃水は、一般に含有される成
分の種類が同じであることは希であり、例えば、窒素原
子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない有機物以外に
窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物
等が廃水に含まれている場合も多くある。従って、上記
の触媒を使用するだけでは、これらの成分を充分に処理
することができないことが多いものである。
【0008】例えば、上に挙げた従来の方法では、各種
化学プラント廃水等に多く含まれるアミン化合物、アミ
ド化合物、アミノ酸化合物等の有機窒素化合物、もしく
はアンモニア、ヒドラジン等の無機窒素化合物などの窒
素含有化合物を含む廃水;石油化学系および写真廃水系
等の廃水に多く含まれるチオ硫酸および亜硫酸、硫化物
などの無機硫黄化合物、もしくは界面活性剤および溶剤
などに多く使用される有機硫黄化合物などの硫黄含有化
合物を含む廃水;洗浄剤およびファインケミカル系等の
廃水に多く含まれる有機ハロゲン化合物などのハロゲン
含有化合物を含む廃水等の種々の廃水の処理に関して
は、特に処理効率が充分ではなかった。また、上記の従
来の触媒湿式酸化処理では、本発明者らの検討によれば
長期使用により、触媒の強度の低下および破砕粉化を生
じ、さらに触媒の溶解を生ずる場合もあり、耐久性に劣
り、実用的ではなかった。
【0009】また、その他に問題を解決する技術とし
て、チタニアまたはジルコニアを担体として用いる方法
が提案されている(特開昭58−64188号)。これ
によると、球状または円筒状のチタニアまたはジルコニ
アの担体にパラジウム、白金等の貴金属化合物、および
鉄、コバルト等の重金属化合物を担持した触媒が開示さ
れ、従来の担体と比べて優れた強度を有することが記載
されている。しかしながら、これらの触媒はいずれも触
媒活性および耐久性において未だ充分満足できるもので
はなかった。
【0010】これらの問題を解決しようとして、本発明
者らは既に、チタンとジルコニウムの複合酸化物と、パ
ラジウムおよび白金等の貴金属類および/またはコバル
ト、ニッケル等の重金属類を含有する触媒を用いた廃水
の処理方法(特公平3−34997号);鉄とチタン、
ケイ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる少な
くとも1種の元素を含む酸化物と、パラジウムおよび白
金等の貴金属類、および/またはコバルト、ニッケル等
の重金属類を含有する触媒およびその触媒を用いた廃水
の処理方法(特開平5−138027号)を提案した。
これらの触媒はいずれも触媒活性が高く、耐久性におい
ても高いものであるが、廃水の処理における経済性およ
び浄化効率の向上がなされれば、さらに好ましい結果を
得ることができる。
【0011】また、一般に廃水の触媒湿式酸化処理にお
いてはコストの面からステンレス鋼などの材質の反応塔
等が使用されるが、このものは酸性域では腐食に弱いた
めに廃水のpHはアルカリ域に調整されて反応に供され
ている場合が多い。特に窒素含有化合物、硫黄含有化合
物、ハロゲン含有化合物を含む廃水は、該処理により、
硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン化物イオン等を生成
するため、酸性領域での処理が、困難な場合が多い。こ
のため、これらのものを含む廃水の場合には、アルカリ
域での処理をすることが多いが、従来の触媒の中にはア
ルカリ域の使用において充分な耐久性および触媒活性で
ないものが多かった。従って、廃水がアルカリ域にあっ
ても充分な耐久性および処理活性を有する触媒、ならび
に廃水の処理方法が望まれている。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目
的は、触媒湿式酸化処理における新規な廃水の処理方法
を提案することにある。
【0013】さらに詳しくは、本発明の目的は特に触媒
湿式酸化処理において、窒素原子や、硫黄原子、ハロゲ
ン原子を含まない炭化水素系有機物以外にも、窒素含有
化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等が含ま
れている処理の困難な廃水においても、言い換えれば如
何なる種類の有機物および/または無機COD成分等の
河川等を汚染する有害物質を含有する廃水においても浄
化性高く廃水を処理し、なおかつ経済的にも優れた触媒
湿式酸化処理による廃水の処理方法を提供することにあ
る。
【0014】このために具体的には、アンモニア、硝酸
イオン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物および酢酸
などの低級有機酸に対して特に触媒活性が高く、耐久性
に優れた廃水処理用触媒の使用方法に関して、すなわち
この触媒を用いた廃水の処理方法を提供することにあ
る。
【0015】またさらに、窒素含有化合物、硫黄含有化
合物およびハロゲン含有化合物に対して触媒活性が高
く、耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水処理用触媒
と、上記のアンモニア、硝酸イオン、亜硝酸イオンなど
の無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して
特に触媒活性が高く、耐久性に優れた廃水処理用触媒と
を組み合わせた触媒湿式酸化処理による経済的にも優
れ、高い廃水の浄化性能を有する廃水の処理方法を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決するため鋭意研究の結果、2種類以上の触媒組成
または触媒組成比の異なる触媒を用いて、廃水を触媒湿
式酸化処理することにより、該廃水を浄化性高く処理で
き、なおかつ触媒の耐久性にも優れることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
【0017】具体的には本発明に係る廃水の処理方法
は、次に記載する特徴を有するものである。本発明に係
る廃水の処理方法では、少なくとも2種類以上の触媒組
成または触媒組成比の異なる触媒を用いる。そしてこの
うち少なくとも1種は、ルテニウム、ロジウム、パラジ
ウム、イリジウムおよび白金よりなる群から選ばれる金
属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少
なくとも1種を含有する触媒を用いる。そしてさらに、
廃水の流れ方向に対して上流側の触媒では、この触媒成
分Aの含有量を少なくし、もしくは触媒成分Aをなしと
し、廃水がある程度処理された後の廃水の流れ方向に対
して下流側の触媒では、触媒成分Aの含有量を上流側の
ものよりも多くする。これにより該廃水を浄化性高く処
理でき、なおかつ触媒の耐久性、すなわち経済的にも優
れることを見い出し、本発明を完成するに至ったのであ
る。
【0018】またさらに本発明者等は、上記の課題を解
決するため鋭意研究の結果、(1)有機窒素化合物、硫黄
含有化合物および有機ハロゲン化合物に対して触媒活性
が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水
処理用触媒を始めに用いて該廃水を処理し、(2)その
後、アンモニア、硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの無機
窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して特に触
媒活性が高く、耐久性に優れた廃水処理用触媒を用いて
該廃水を浄化することにより、さらに該廃水を浄化性高
く処理でき、なおかつ経済性にも優れることも見い出し
た。
【0019】詳しくは、本発明者等は触媒成分として、
マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムより
なる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属
の化合物(触媒成分B)の少なくとも1種を含有する触
媒が、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロ
ゲン化合物等に対して触媒活性が高く、極めて耐久性お
よび耐アルカリ性にも優れることを見い出した。このた
め有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合
物等の物質が含まれている処理の困難な廃水の触媒湿式
酸化処理においても該触媒は、特に触媒の劣化等の問題
もなく、耐久性よく処理することができるものであっ
た。
【0020】しかし該触媒は、アンモニア、硝酸イオ
ン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物および酢酸など
の低級有機酸に対しては、ルテニウム、ロジウム、パラ
ジウム、イリジウムおよび白金等の貴金属類を含有する
触媒に比べ処理活性の低い傾向があった。このアンモニ
ア、硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物お
よび酢酸などの低級有機酸は、窒素含有化合物、有機硫
黄化合物、有機ハロゲン化合物等を触媒湿式酸化処理す
る過程で生成することが多い。
【0021】このため本発明者等は鋭意研究の結果、
(1)有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲ
ン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および
耐アルカリ性に優れた触媒成分として、マンガン、コバ
ルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ば
れる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒
成分B)の少なくとも1種を含有する触媒を始めに用い
て該廃水を処理し、(2)その後、アンモニア、硝酸イオ
ン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物および酢酸など
の低級有機酸に対して触媒活性の高いルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、イリジウムおよび白金よりなる群か
ら選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物
(触媒成分A)を含有してなる触媒を用いて廃水を浄化
することにより、極めて廃水の浄化性をあげることがで
きることを見い出し、本発明をさらに完成するに至った
のである。
【0022】かくして、本発明は、以下のごとくの廃水
処理用触媒を用いた廃水の処理方法を提供する。
【0023】(1)酸素含有ガスおよび廃水を供給し
て、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃
の温度で、少なくとも2種類以上の触媒組成または触媒
組成比の異なる触媒を用い、なおかつこのうち少なくと
も1種は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジ
ウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素の金属およ
び/またはその金属の化合物(以下、「触媒成分A」と
も記載する)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて
廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成
または組成比のうち、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、イリジウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素
の金属および/またはその金属の化合物の少なくとも1
種の触媒中の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流
側から下流側に対して多くなる方向であることを特徴と
する廃水の処理方法。
【0024】(2)ひとつの反応塔に少なくとも2種以
上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填
して用いることを特徴とする上記(1)記載の廃水の処
理方法。
【0025】(3)複数の反応塔に少なくとも2種以上
の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用
いることを特徴とする上記(1)記載の廃水の処理方
法。
【0026】(4)触媒成分Aの合計の含有量が、該廃
水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して多くな
る方向であることを特徴とする上記(1)〜(3)記載
の廃水の処理方法。
【0027】(5)該廃水の流れ方向に対して上流側の
触媒に、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリ
ウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/または
その金属の化合物(以下、「触媒成分B」とも記載す
る)の少なくとも1種を含有する触媒を設置して湿式酸
化処理をすることを特徴とする上記(1)〜(4)記載
の廃水の処理方法。
【0028】(6)該廃水の流れ方向に対して下流側の
触媒に、触媒成分Bを含有しない触媒を設置して湿式酸
化処理することを特徴とする上記(1)〜(5)記載の
廃水の処理方法。
【0029】(7)該廃水の流れ方向に対して上流側の
触媒に、触媒成分Aを含有しない触媒を設置して湿式酸
化処理することを特徴とする上記(1)〜(6)記載の
廃水の処理方法。
【0030】(8)触媒成分Bが、その元素の酸化物お
よび/または複合酸化物であることを特徴とする上記
(5)記載の廃水の処理方法。
【0031】(9)廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化
合物およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる
少なくとも1種を含むものであることを特徴とする上記
(1)〜(8)記載の廃水の処理方法。
【0032】以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
【具体的説明】本発明は、酸素含有ガスおよび廃水を供
給して、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜37
0℃の温度で、少なくとも2種類以上の触媒組成または
触媒組成比の異なる触媒を用いて湿式酸化処理する方法
を採用する。さらにこの触媒のうち少なくとも1種は、
ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび
白金よりなる群から選ばれる元素の金属および/または
その金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含
有する触媒を用いる。そして廃水を湿式酸化処理するに
際して、これらの触媒の組成または組成比のうち、触媒
成分Aの含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側か
ら下流側に対して多くなる方向となるように設置して湿
式酸化処理する方法を採用し、廃水を処理する。
【0034】すなわち本発明の触媒湿式酸化処理方法で
は、少なくとも1種は、触媒成分Aの少なくとも1種を
含有する触媒を用いる。
【0035】これらの触媒成分A等の貴金属類を含有す
る従来の触媒の多くは、アルカリ域の使用において充分
な耐久性および処理活性でないものが多く、廃水の処理
pHがアルカリ域であっても充分な耐久性および処理活
性を有する廃水処理用の触媒ならびに廃水の処理方法が
望まれていた。
【0036】一般に廃水の触媒湿式酸化処理においては
ステンレス鋼などの材質の反応塔等が使用される。しか
しながら、これらのものは酸性域での使用では耐食性に
劣ることが多い。このため、廃水のpHはアルカリ域に
調整されて反応に供されることが多い。特に窒素含有化
合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物を含む廃水
は、該処理により、硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン
化物イオン等を生成するため、酸性領域での処理が、困
難な場合が多いものである。
【0037】さらに、これらの触媒成分A等の貴金属類
を含有する従来の触媒の多くは、特に有機窒素化合物、
硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を含有した
廃水の処理において耐久性に問題があり、触媒の劣化が
多くの触媒で見られた。また一部の耐久性に優れた従来
の触媒においても、廃水の処理における経済性および浄
化効率の向上の観点からすれば、より耐久性が高く、触
媒活性も高い廃水処理用の触媒ならびに廃水の処理方法
が開発されればより好ましいものであった。
【0038】このため、本発明者らは鋭意検討の結果、
該廃水の流れ方向に対して上流側では、その触媒中の触
媒成分であるルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリ
ジウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素の金属お
よび/またはその金属の化合物(触媒成分A)の含有量
を少なくし、または触媒成分Aをなしとし、廃水がある
程度処理された後での処理、すなわち該廃水の流れ方向
に対して下流側では、触媒成分Aの含有量を上流側のも
のよりも多くする方法を採用することにより、触媒の耐
久性が向上し、経済的にも優れた処理ができることを見
い出した。
【0039】さらに本発明者らは、マンガン、コバル
ト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれ
る元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成
分B)の少なくとも1種を含有する触媒が、特に有機窒
素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等が含
まれている処理の困難な廃水においても触媒活性が高
く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れることを見
いだした。
【0040】このため本発明では、特に有機窒素化合
物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物に対し
て触媒活性が高く、極めて耐久性に優れた触媒成分Bの
少なくとも1種を含有する触媒を始めに用いる方法も採
用する。すなわち、特に廃水中の有機窒素化合物、硫黄
含有化合物、または有機ハロゲン化合物を触媒成分Bの
少なくとも1種を含有する触媒を用いて酸化および/ま
たは酸化分解処理し、廃水を貴金属系の触媒でも処理し
やすい廃水に処理した後、引き続き貴金属系の触媒で湿
式酸化処理する方法を採用する。この場合、特に貴金属
系の触媒は、触媒成分Aを含有する触媒であることが効
果的である。これにより廃水処理の耐久性は飛躍的に向
上し、なおかつ触媒活性も高いものであるため、さらに
廃水の浄化性も高く処理できるものである。
【0041】本発明に係る触媒は、主に以下に記載する
4種類のタイプの触媒に分類され、これらのタイプの触
媒を単独または併用することにより、本発明に係る廃水
の処理方法を達成することができる。
【0042】本発明に係る第1のタイプの触媒は、触媒
成分Aの少なくとも1種を含有する(触媒成分Bを含有
しない)触媒である。
【0043】該触媒は、酢酸などの低級有機酸およびア
ンモニア、硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化
合物に対して触媒活性が高い。しかしながら、有機窒素
化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等に対し
ては、初期活性は高いが、耐久性に問題のある場合が多
い。特に湿式酸化処理における反応塔の入口部、すなわ
ち該廃水の流れ方向に対して上流側で、触媒成分Aの含
有量が多い場合には触媒の劣化が顕著となる傾向があっ
た。
【0044】また該触媒は、原廃水の液pHがアルカリ
性である廃水を処理した場合、もしくは水酸化ナトリウ
ム等のアルカリ性水溶液を添加しながら処理を行った場
合などでは、特に廃水の流れ方向に対して上流側におい
て触媒が劣化することが多かった。
【0045】このため該廃水の流れ方向に対して上流側
では、触媒成分Aの含有量を少なくする必要がある。そ
して廃水が徐々に処理された後の反応塔の出口部、すな
わち該廃水の流れ方向に対して下流側では、触媒成分A
の含有量を、上流側のものよりも順次多くする。下流側
の含有量が上流側のものと比較して少ないか、または同
じ場合には、本発明に係る処理方法のように下流側の含
有量を上流側のものよりも多くしたときと比較して、高
い処理液の浄化性を得ることができないことが多く、触
媒の耐久性も低下することが多い。
【0046】また処理活性の向上ならびに耐久性の向上
のための別の方法として、下流側の触媒成分Aを含有す
る触媒の充填量を多くする方法もある。しかし触媒充填
量を多くした場合には、触媒量の増加ならびに反応塔の
大型化のため、触媒費および装置費がアップし、好まし
くないものである。
【0047】本発明に係る第2のタイプの触媒は、触媒
成分Bの少なくとも1種を含有し、なおかつ触媒成分A
の少なくとも1種も含有する触媒である。
【0048】該触媒は、耐アルカリ性に優れ、なおかつ
有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物
に対しても触媒活性および耐久性に優れ、さらに酢酸な
どの低級有機酸およびアンモニア、硝酸イオン、亜硝酸
イオンなどの無機窒素化合物などに対しても触媒活性が
高い。しかしながら、湿式酸化処理における反応塔の入
口部、すなわち該廃水の流れ方向に対して上流側で、特
に触媒成分Aの含有量が多い場合には、第1のタイプの
触媒ほどではないが、触媒の耐久性に問題の生じること
がある。
【0049】このため第1のタイプの触媒と同様、該廃
水の流れ方向に対して上流側では、触媒成分Aの含有量
を少なくする必要がある。そして廃水が徐々に処理され
た後の反応塔の出口部、すなわち該廃水の流れ方向に対
して下流側では、触媒成分Aの含有量を、上流側のもの
よりも順次多くする。下流側の含有量が上流側のものと
比較して少ないか、または同じ場合には、本発明に係る
処理方法のように下流側の含有量を上流側のものよりも
多くしたときと比較して、高い処理液の浄化性を得るこ
とができないことが多く、触媒の耐久性も低下すること
がある。
【0050】本発明に係る第3のタイプの触媒は、触媒
成分Bの少なくとも1種を含有し、触媒成分Aを含有し
ない触媒である。
【0051】該触媒は、特に有機窒素化合物、硫黄含有
化合物、有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、
極めてこれらを含有する廃水の処理に対する耐久性に優
れている。また耐アルカリ性にも非常に優れ、原廃水の
液pHがアルカリ性である廃水を処理した場合、もしく
は水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液を添加しなが
ら処理を行った場合などに、浄化性高く廃水を処理し、
液のpHを効果的に下げることができる。しかしなが
ら、酢酸などの低級有機酸およびアンモニア、硝酸イオ
ン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物に対しては、触
媒成分Aを含有する触媒の方が、触媒活性の高い場合が
多い。このため該第3のタイプの触媒で廃水を処理した
後に、第1または第2のタイプの触媒を用いることによ
り、すなわち本発明に係る廃水の処理方法を採用するこ
とにより、廃水をさらに浄化性高く処理でき、なおかつ
これらの触媒の耐久性も高く廃水を処理することができ
るものである。第3のタイプの触媒で廃水を処理した後
の処理液は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有
機ハロゲン化合物等が酸化および/または酸化分解処理
され、低級有機酸および/または無機窒素化合物が主成
分となり、なおかつ液のpHも低下している。このため
触媒成分Aを含有する触媒、すなわち上記記載の第1ま
たは第2のタイプの触媒の特に耐久性を向上する効果を
もたらすものである。
【0052】本発明に係る第4のタイプの触媒は、触媒
成分Bおよび触媒成分Aを共に含有してなく、チタン、
ジルコニウム、鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の酸化物および/または複合酸化物を含有する触媒で
ある。該触媒は、触媒活性は低いが、非常に耐久性に優
れる。このため、本発明に係る上記第1〜3のタイプの
触媒の前に、特に第1または第2のタイプの触媒の前に
使用することにより、これらの触媒の耐久性を向上する
ことができる。このため該第4のタイプの触媒を使用す
る場合は、廃水に含まれる第1または第2の触媒に悪影
響を与える物質が比較的容易に処理できるようなもので
あるときに効果的である。また該触媒は、第1〜3のタ
イプと比較して比較的安価に製造することができる。こ
のため、触媒費ならびに処理費を低く抑えたいときに効
果的である。
【0053】本発明において使用する触媒を充填した湿
式酸化処理装置、すなわち触媒湿式酸化処理装置は、通
常使用されるものが用いられ、反応塔あるいは処理塔
は、単管式、多管式のいずれの形式であってもよいし、
廃水に含まれる成分、その量等によっては単管式と多管
式とを、単独または組み合わせて処理に適した条件で処
理することもでき、また複数の反応塔を用いてもよく、
さらには複数の湿式酸化処理装置を用いてもよい。
【0054】すなわち、ひとつの反応塔に少なくとも2
種以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層
充填して用いてもよいし、複数の反応塔に少なくとも2
種以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填
して用いてもよく、さらには複数の湿式酸化処理装置で
複数回処理を行ってもよく、特に限定されるものではな
い。
【0055】さらにこれらの方法を組み合わせて廃水を
処理することもできる。
【0056】また各々の触媒組成または触媒組成比の異
なる触媒は、各々の触媒ごとに反応塔触媒層の上流側か
ら下流側に向かって複数の触媒帯を設け、さらに触媒層
別に仕切ってもよい。また触媒の充填は、ハニカム状の
触媒以外ではそれぞれの触媒を混合し、徐々に触媒の比
率が変化するように充填してもよく、特に限定されるも
のではない。
【0057】各々の触媒の量の比率は特に限定されるも
のではなく、任意に廃水の種類、処理条件等により処理
に適したように選択できるものである。しかしながら、
好ましくは、触媒反応塔の上流側から下流側に向かって
複数の触媒帯を設け、かつ触媒層別に仕切る方法であ
り、この方法にあっては、2つの隣接する触媒帯のうち
上流側により近い触媒帯の占有容積をV1とし、下流側
により近い触媒帯の占有容積をV2とすると、この隣接
する2つの触媒帯の占有容積比V1/V2が10/1〜
1/10であるように充填することが効果的である。ま
たより効果的には、この隣接する2つの触媒帯の占有容
積比V1/V2が5/1〜1/5であり、さらに効果的
には3/1〜1/3である。またそれぞれ複数の触媒を
混合し、徐々に触媒の比率が変化するように充填した場
合には、各々の混合した2つの隣接する触媒のうち上流
側により多い触媒の全量の占有容積をV1とし、下流側
により多い触媒の全量の占有容積をV2とすると、この
隣接する2つの触媒の占有容積比V1/V2が10/1
〜1/10であるように充填することが効果的であり、
より効果的には5/1〜1/5であり、さらに効果的に
は3/1〜1/3である。占有容積比V1/V2が10
/1よりも大きい場合、または1/10よりも小さい場
合には、触媒組成または触媒組成比が異なる2種類以上
の触媒を用いた効果が少なく、1種類の触媒を用いた結
果とあまり差がないものである。すなわち触媒の効果が
異なる複数の触媒を用いる意味があまりない。この場合
には複数の触媒を用いるよりも、単一の触媒を用いた方
が触媒の製造単価が下がり、処理コストも低下するため
好ましいものである。
【0058】また、本発明において特に限定されるもの
ではないが、本発明において使用する触媒の種類は2種
類もしくはそれ以上の種類の触媒であり、好ましくは2
種類もしくは3種類の触媒を用いることであり、さらに
好ましくは2種類の触媒を用いることである。触媒の種
類を多くした場合には、処理目的別に最適な触媒を使用
することができ、最良な廃水の処理浄化性を得ることが
できるが、複数の触媒を製造することから触媒のコスト
が高くなり、また設備のコストが高くなり好ましくな
い。
【0059】3種類の触媒を用いる場合、最上流側の触
媒は、触媒成分Bの少なくとも1種を特に好ましくは含
有し、触媒成分Aを含有しない触媒であることが効果的
である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含
有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/ま
たは酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機物、無
機窒素化合物、または硫酸イオンなどに転換すること、
および/または高アルカリ性の廃水のpHを廃水処理す
ることで下げることにある。すなわち従来の触媒の触媒
では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃
水に転換することにある。
【0060】またこの場合、中流側の触媒は、触媒成分
Bの少なくとも1種を特に好ましくは含有し、なおかつ
触媒成分Aも少なくとも1種を含有する触媒であること
が効果的である。該触媒の目的は、まだ若干残留してい
る有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲ
ン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水中
の難分解性物質をより高効率で処理すると同時に、上流
側から中流側で酸化および/または酸化分解処理されて
生成した主に低級有機酸または無機窒素化合物等と、元
々廃水中に含有されていたこれらの物質をも酸化および
/または酸化分解処理し、廃水を浄化することにある。
すなわち、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有
機ハロゲン化合物を高効率で酸化および/または酸化分
解処理する性能と、低級有機酸または無機窒素化合物を
高効率で酸化および/または酸化分解処理する性能を合
わせ持つ触媒を使用することにより、廃水の浄化性を高
めることにある。および/または該触媒の目的は、触媒
の耐久性および耐アルカリ性を高く保った状態で、まだ
比較的高いアルカリ性である廃水のpHを下げながら、
なおかつ上記と同様に廃水の浄化性を高めることにあ
る。
【0061】さらにこの場合、下流側の触媒は、触媒成
分Aの少なくとも1種を含有する触媒であることが効果
的である。該触媒の目的は、上記の上流側および中流側
の触媒で処理され、主に低級有機酸および/または無機
窒素化合物等が主成分となり、なおかつ液のpHが低下
した廃水を処理し、廃水の浄化性をさらに高めることに
ある。このため該廃水の多くは、触媒成分Bを含有する
必要がなく、むしろ触媒成分Bを含有しない方が、触媒
コストを低減することができるためより好ましいことが
多い。
【0062】このため3種類の触媒を充填するのに適す
る処理条件は、以下に記載するようなときに、触媒成分
Bおよび触媒成分Aそれぞれの処理効果を、中流側の触
媒を採用することで高められるために特に効果的であ
る。第1の適する処理条件は、有機窒素化合物、硫黄含
有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれる従来の
触媒において耐久性に支障を来すような物質の濃度が廃
水中に濃い場合に、第2の適する処理条件は、窒素含有
化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物などから
選ばれるような湿式酸化処理によって液のpHが低下し
たときに、装置材質の耐食性に問題を来すような物質の
濃度が廃水中に濃いために、原廃水のpHが高アルカリ
性であるもしくはアルカリ性の水溶液を比較的多く添加
しながら処理を行う場合に、そして第3の適する処理条
件は、廃水のより高い浄化性が求められる場合に、特に
有効なものである。
【0063】次に、2種類の触媒を用いる場合について
詳しく記載する。2種類の触媒を用いる場合には、触媒
のコスト等をなるべく下げ、触媒系を単純化した方がよ
り好ましいことから、主に以下の3タイプに分類され
る。
【0064】第1のタイプは、上流側の触媒は、特に好
ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有し、触媒成
分Aを含有しない触媒である。該触媒の目的は、特に有
機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化
合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状
を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸イオン
などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃
水のpHを下げることにある。すなわち、従来の触媒で
は処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水
に転換することにある。
【0065】ただし、この上流側の触媒に本発明に係る
第4のタイプの触媒、すなわち触媒成分Bおよび触媒成
分Aを共に含有しない(チタン、ジルコニウム、鉄より
なる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物および/ま
たは複合酸化物を含有する)触媒を用いることもでき
る。
【0066】この場合下流側の触媒は、触媒成分Aの少
なくとも1種を含有する(触媒成分Bを含有しない)触
媒である。該触媒の目的は、上記上流側の触媒で処理さ
れ、主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等が
主成分となり、比較的pHの低下した廃水を処理し、廃
水の浄化性を高めることにある。
【0067】この第1のタイプは、廃水中の有機窒素化
合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物の濃
度がそれほど濃くないとき、比較的容易に上流側の触媒
によりpHが低下するとき、または廃水のより高い浄化
性が求められてなく、触媒系を単純化することで触媒価
格を下げる必要があるときに特に効果的である。
【0068】また2種類の触媒を用いる場合の第2のタ
イプは、特に好ましくは上流側の触媒は、触媒成分Bの
少なくとも1種を含有し、なおかつ触媒成分Aも少なく
とも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、有機
窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合
物を酸化および/または酸化分解処理しながら、もしく
は廃水のpHを下げながら、低級有機酸および/または
無機窒素化合物をさらに酸化および/または酸化分解処
理することにある。すなわち処理の困難な廃水を比較的
処理の容易な廃水に転換しながら、低級有機酸および/
または無機窒素化合物等を処理し、廃水の浄化性を高め
ることにある。
【0069】この場合下流側の触媒は、触媒成分Aの少
なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、
低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分と
なり、比較的pHの低下した廃水を処理し、さらに廃水
の浄化性を高めることにある。
【0070】しかしこの場合、反応塔の入口部、すなわ
ち該廃水の流れ方向に対して上流側では、触媒成分Aの
含有量を少なくする必要がある。そして廃水が徐々に処
理された後の反応塔の出口部、すなわち該廃水の流れ方
向に対して下流側では、触媒成分Aの含有量を、上流側
のものよりも多くする必要がある。下流側の含有量が上
流側のものと比較して少ないか、または同じ場合には、
本発明のように下流側の含有量を上流側のものよりも多
くしたときと比較して、高い処理液の浄化性を得ること
ができないものである。
【0071】またこれを防止するための別の方法として
は、下流側の触媒成分Aを含有する触媒の量を多くする
方法もある。しかしこのように触媒の充填量を多くした
場合には、触媒量の増加ならびに反応塔の大型化のた
め、触媒費および装置費がアップし、好ましくないもの
である。
【0072】この第2のタイプは、有機窒素化合物、硫
黄含有化合物、有機ハロゲン化合物から選ばれる物質の
廃水中の濃度がそれほど濃くなく、なおかつ上流側の触
媒層で廃水のpHがあまり高くないか、比較的容易にp
Hが低下する廃水の処理の場合に、すなわち従来の触媒
の処理においても耐久性の低下が比較的顕著でない廃水
の処理の場合において、廃水のより高い浄化性が求めら
れているときに、廃水の浄化性を高くでき効果的であ
り、しかも触媒系を単純化することができることから触
媒のコスト面でも効果的である。
【0073】また2種類の触媒を用いる場合の第3のタ
イプは、特に好ましくは上流側の触媒は、触媒成分Bの
少なくとも1種を含有し、触媒成分Aを含有しない触媒
である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含
有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/ま
たは酸化分解し、廃水の性状を特に低級有機酸、無機窒
素化合物、または硫酸イオンなどに転換することにあ
る。すなわち難処理性の廃水を易処理性の廃水に転換す
ることにある。
【0074】ただし、この上流側の触媒に本発明に係る
第4のタイプの触媒、すなわち触媒成分Bおよび触媒成
分Aを共に含有しない(チタン、ジルコニウム、鉄より
なる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物および/ま
たは複合酸化物を含有する)触媒を用いることもでき
る。
【0075】この場合下流側の触媒は、触媒成分Bの少
なくとも1種を特に好ましくは含有し、なおかつ触媒成
分Aの少なくとも1種も含有する触媒である。該触媒の
目的は、上流側で酸化および/または酸化分解処理され
て生成した主に低級有機酸または無機窒素化合物等と、
元々廃水中に含有されていたこれらの物質をも酸化およ
び/または酸化分解処理し、廃水を浄化する。また同時
に、まだ若干残留している有機窒素化合物、硫黄含有化
合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれる従来の触媒
の多くでは処理困難な物質を酸化および/または酸化分
解処理し、廃水中の難分解性物質をより高効率で処理
し、なおかつ耐久性および耐アルカリ性も高く保って処
理することにある。
【0076】この第3のタイプは、有機窒素化合物、硫
黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれるよ
うな物質の濃度が非常に濃いときに、または本発明に係
る触媒成分Bを含有する触媒を用いて触媒湿式酸化処理
を実施しても液のpHが高アルカリ域であるときなど
の、従来の触媒の多くでは処理が非常に困難な廃水のと
きに触媒の耐久性が高く、なおかつ処理活性も高く効果
的である。
【0077】本発明に係る触媒において、触媒成分Bの
少なくとも1種を含有する触媒の組成は、触媒成分B
と、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ば
れる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合
酸化物を含有する場合が効果的である。すなわち、これ
らのものを併用することによって触媒活性および耐久
性、耐アルカリ性に優れた触媒となる。
【0078】また本発明に係る上記3種類の触媒を用い
た場合ならびに上記2種類の触媒を用いた場合ともに、
さらに上流側に本発明に係る第4のタイプの触媒を使用
することもできる。本発明に係る第4のタイプの触媒は
比較的安く製造できる。このため、これらの処理の前に
使用することにより触媒費ならびに処理費をあまり上げ
ることなく、該触媒で処理した以降に用いる触媒の耐久
性をさらに向上することができるものである。
【0079】本発明に係る触媒において触媒成分Bは、
酸化物および/または複合酸化物の形態である化合物で
あることが効果的である。
【0080】さらに本発明に係る触媒において触媒成分
Bは、マンガンであることが効果的である。マンガン、
コバルト、ニッケル、銅およびセリウムの中でマンガン
が最も耐久性および耐アルカリ性が高く、適用可能な廃
水の種類および廃水の処理条件の範囲が広いものであ
る。
【0081】また本発明に係る触媒において触媒成分B
は、該触媒中に1種類であることの方が触媒の組成を単
純化することができ、触媒の価格面においても優位であ
る。
【0082】このため、本発明に係る触媒において触媒
成分Bは、マンガンの酸化物および/または複合酸化物
であることが最も効果的である。
【0083】また同様に、本発明に係る触媒において触
媒成分Aは、該触媒中に1種類であることの方が触媒の
組成を単純化することができ、触媒の価格面においても
優位である。
【0084】さらに本発明に係わる触媒において、触媒
成分Bの酸化物および/または複合酸化物は、チタン、
ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少
なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物と緊密
に混合されてなるものが効果的であり、さらに効果的に
は、触媒成分Bの酸化物および/または複合酸化物が、
チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素の酸化物および/または複合酸化
物と、複合酸化物を形成しているものである。
【0085】これらの本発明に係る触媒の各々の成分の
比率は特に限定されるものではない。しかしながら、本
発明に係る触媒において、触媒成分Bの少なくとも1種
を含有する(触媒成分Aを含有しない)触媒の組成は、
触媒成分Bの合計が、マンガンの場合MnO2換算とし
て、コバルトの場合Co2O3換算として、ニッケルの場
合NiO換算として、銅の場合CuO換算として、また
はセリウムの場合CeO2換算として、触媒成分Bを含
有する触媒に対して0.05〜50重量%であるときが
効果的である。またチタン、ジルコニウムおよび鉄より
なる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸
化物の合計が、チタンの場合TiO2換算として、ジル
コニウムの場合ZrO2換算として、または鉄の場合F
e2O3換算として、触媒成分Bを含有する触媒に対して
99.95〜50重量%であるときが効果的である。ま
た好ましくは触媒成分Bの合計が0.5〜30重量%、
チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる
元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が99.
5〜70重量%である。またさらに好ましくは、触媒成
分Bの合計が1〜20重量%、チタン、ジルコニウムお
よび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/ま
たは複合酸化物の合計が99〜80重量%である。触媒
成分Bの合計の割合が0.05重量%未満である場合
は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下
で該触媒を使用したときに、触媒活性が充分でなく、5
0重量%よりも多い場合は、本発明によるところの触媒
湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触
媒活性は充分であるが該触媒の形状維持のための機械的
強度が低下するという欠点を有する。従って、触媒が具
備すべき種々の条件を考慮して、上記好ましい範囲から
触媒成分Bの合計の割合、ならびにチタン、ジルコニウ
ムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および
/または複合酸化物の合計の使用割合が決定される。
【0086】また本発明に係る触媒において、触媒成分
Bの少なくとも1種を含有し、なおかつ触媒成分Aの少
なくとも1種をも含有する触媒の組成は、先に記載した
組成の(触媒成分Bと、チタン、ジルコニウムおよび鉄
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物
および/または複合酸化物を含有する触媒)触媒100
重量部に対して、触媒成分Aが合計で0.05〜10重
量部、好ましくは0.1〜2.5重量部の範囲で含有せし
めることが効果的である。0.05重量部未満である場
合は、触媒成分Aによる効果が少なく、触媒成分Aによ
る触媒活性が向上しないものであり、また10重量部を
越える場合は、触媒費の上昇に見合った触媒活性の向上
が得られないため、経済的に好ましくないうえ、該触媒
の形状維持のための触媒の機械的強度も低下することが
ある。
【0087】また本発明に係る触媒において、触媒成分
Bを含有してなく、触媒成分Aの少なくとも1種を含有
する触媒は、触媒成分Aと、チタン、ジルコニウムおよ
び鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸
化物および/または複合酸化物からなる場合が効果的で
ある。すなわち、これらのものを併用することによって
触媒活性および耐久性に優れた触媒となる。
【0088】該触媒の組成は特に限定されるものではな
いが、触媒成分Aの量が、チタン、ジルコニウムおよび
鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または
複合酸化物ならびにその他の触媒成分の合計の100重
量部に対して、合計で0.05〜10重量部、好ましく
は0.1〜2.5重量部の範囲で含有せしめることが効果
的である。0.05重量部未満である場合には、触媒成
分Aの効果が少なく、触媒成分Aによる触媒活性が向上
しないものである。また10重量部を越える場合には、
触媒費の上昇に見合った触媒の性能向上が得られないた
め、経済的に好ましくうえ、該触媒の形状維持のための
触媒の機械的強度も低下することがある。
【0089】本発明に係る触媒は、先に記載した触媒成
分の化合物等を特に成型等を行わず、粉末状の状態など
で触媒として使用することもできるが、好ましくは次に
記載する形状等に成型して用いることが好ましい。例え
ば、ペレット状、粒状、球状もしくはリング状のもの、
またはハニカムなどの一体構造体等、種々の形状があ
る。また、上記形状を有する無機酸化物担体、金属担体
等に本発明に係る触媒成分を担持して使用することもで
きる。また無機酸化物は、ガラス繊維等の成型助材と同
じように本発明に係る触媒成分と混合し、成形して使用
することも可能であり、この場合、触媒の成形性および
機械的強度等を向上させるのに有効である。
【0090】これらの無機酸化物は、触媒成分と混合
し、成形して使用する場合には、触媒全量に対して、好
ましくは70〜0.01重量%、より好ましくは10〜
0.1重量%である。70重量%を超える場合は、触媒
としての効果が減少するものであり、0.01重量%未
満である場合は、不純物とみなすことができるものであ
る。
【0091】これらの無機酸化物担体もしくは金属担体
は、これらに本発明に係る触媒成分を担持して使用する
場合には、触媒全量に対して、好ましくは99.5〜2
0重量%、より好ましくは95〜50重量%であるとき
に効果的である。99.5重量%を超える場合は、触媒
としての効果が減少するものであり、20重量%未満で
ある場合は、担体としての効果が少なく、触媒としての
形状を維持するための機械的強度が減少するものであ
る。
【0092】本発明に係る触媒湿式酸化処理の処理温度
は、140℃以上370℃未満であり、好ましくは15
0℃以上300℃未満であり、さらに好ましくは160
℃以上280℃未満である。処理温度が370℃以上で
ある場合は廃水の液相を維持することができないもので
あり、300℃以上である場合は液相を維持するために
かなりの加圧条件を必要とするため、設備費ならびに運
転費的にコストが高くなるものである。また、処理温度
が140℃未満である場合は有機物および無機COD成
分等の処理効率が低下し、廃水の浄化が不完全なものと
なり、150℃未満の場合でもまだ充分にCOD成分等
を分解することができないことが多いため廃水が充分浄
化できない場合が多い。
【0093】また、この処理温度は各々の触媒層、反応
塔および湿式酸化処理装置ごとに異なってもよく、特に
限定されるものではない。
【0094】本発明における処理圧力は特に限定される
のではなく、液相を保持する圧力においてなされ、また
この処理圧力は各々の触媒層、反応塔および湿式酸化処
理装置ごとに異なってもよく、特に限定されるものでは
ない。
【0095】また、本発明における酸素含有ガスの種類
は特に限定されるものではなく、酸素、オゾン等のガス
を用いることもできるが、好ましくは価格の安価な空気
であり、場合によってはこれらを適宜不活性ガス等によ
り希釈して用いることもできる。また、これらのガス以
外にも、他のプラント等より生じる酸素含有の排ガスも
適宜使用することができる。
【0096】この酸素含有ガスの使用量は処理対象廃水
の濃度により適宜選択されるが、廃水中のCOD成分等
を完全に水、炭酸ガス、無機塩、その他灰分等にするに
必要な酸素量の0.3〜5倍、より好ましくは1.0〜3
倍である。5倍を越えるときは無用の酸素の供給とな
り、0.3倍未満である場合は必要な酸素量に足らず廃
水の浄化が不完全なものとなる。また、0.3〜1.0倍
の範囲は、廃水中のCOD成分等を完全に水、炭酸ガ
ス、無機塩、その他灰分等にするに必要な酸素量として
足らないが、通常の湿式酸化処理ではCODの処理効率
は100%未満となることから、例えば1.0倍で供給
した酸素は最終的に100%使用されることはなく、処
理後の排ガス中に残ることが多い。このため、このよう
な場合には供給する酸素量を実際の処理効率にあわせて
1.0倍未満に減少させても、処理後に酸素が残存する
酸素過剰の状態が保たれるのであれば処理に支障をきた
さない場合もあるからである。
【0097】また、この酸素含有ガスの供給位置は、廃
水の流れ方向に対して上流側の触媒層の入口、もしくは
反応塔の入口、あるいはその前の熱交換器の手前等から
全量を供給してもよいし、各々の触媒層ごとに最適な空
気量となるように分割して供給してもよく、また複数の
反応塔を持つ場合には、上流側の反応塔で一度処理に使
用した後の排ガスの一部もしくは全量を、下流側の他の
反応塔での処理にそのまま使用してもよいし、最適な酸
素濃度となるように酸素含有ガスを追加供給して処理に
使用してもよく、特に限定されるものではない。また逆
に、下流側の反応塔での処理に使用した排ガスを、上流
側の反応塔での処理に使用してもよい。
【0098】本発明に係る廃水の処理における液の処理
量は、一般的に触媒の全量に対しての空間速度として
は、0.1hr-1〜10hr-1であり、より好ましく
は、0.5hr-1〜5hr-1である。空間速度10hr-
1を越える場合には、廃水の処理効率が低下し、廃水の
浄化が達成されないことが多い。また空間速度0.1h
r-1未満である場合は、廃水の処理量が低下し、設備が
過大なものとなる。
【0099】本発明に係る廃水を湿式酸化処理する時の
pHは、特に限定されるものではなく、適宜設定するこ
とが可能である。しかしながら、特に本発明に係る触媒
成分Bの少なくとも1種を含有する触媒では、従来の触
媒に比較して耐アルカリ性に優れるという特質がある。
このため、廃水のpHがアルカリ性であるものを処理す
るのに、もしくはアルカリ性の水溶液を廃水に添加しな
がら処理するものに効果的である。すなわち、廃水の流
れ方向に対して上流側での触媒層における廃水のpH
が、アルカリ性であるものの方が効果的である。従って
pH6以上で使用することが好ましく、さらに好ましく
はpH7.5以上で使用することが好ましい。またこれ
は湿式酸化処理後の液pHならびに湿式酸化処理中の液
pHについても同様であり、pH6以上で使用すること
が好ましく、さらに好ましくはpH7.5以上で使用す
ることが好ましい。
【0100】一般に、触媒湿式酸化処理に使用する配管
および反応塔等の材質はステンレス鋼等が多く使用され
ており、酸性域では配管等の腐食の問題がある。そこで
廃水は、アルカリ域のpHに調整されて反応に供される
のが好ましい。従来の触媒の多くは、液のpHがアルカ
リ域である場合、酸性の場合よりも活性が低下すること
が多くあった。
【0101】しかしながら、本発明に係る廃水の処理方
法では、触媒成分Aが廃水の流れ方向に対して上流側か
ら下流側に対して多くなるように設置して処理を実施す
る。すなわち触媒成分Aの含有量の多い触媒で処理する
前に廃水を処理し、液のpHを下げることができる。こ
のため原廃水のpHをアルカリ域に調整することが可能
となり、装置の材質面において耐食性を向上させること
ができる。
【0102】また、本発明に係る触媒成分Bの少なくと
も1種を含有する触媒は、前記のとおり耐アルカリ性に
優れ、触媒の耐久性および活性が高いので、該触媒を使
用した場合、原廃水のpHをアルカリ域に調整すること
が可能となり、装置の材質面において耐食性を向上させ
ることができる。
【0103】この装置材質の耐食性の問題は、従来廃水
中に塩素イオン、臭素イオン、有機ハロゲン化合物など
のハロゲン含有化合物;チオ硫酸イオン、亜硫酸イオ
ン、硫化物、有機硫黄化合物などの硫黄含有化合物;硝
酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオン、有機窒
素化合物などの窒素含有化合物を含有した場合に特に問
題であった。しかしながら、本発明に係る廃水の処理方
法は、これらを含む廃水に対しても有効である。
【0104】また本発明に係る触媒成分Bの少なくとも
1種を含有する触媒で廃水を湿式酸化処理する時のpH
の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは
湿式酸化処理後の処理液のpHが12以下であることが
効果的であり、さらに効果的にはpHが10以下であ
る。pHが12よりも高い場合、処理後の液のpHが1
2以下、特に10以下の場合と比較して処理効率が低下
することがある。また処理後の液を河川等に放流する場
合、pHが高いときにはpHを調整し、中和する必要が
ある。処理後の液のpHが高いと、この時に使用する酸
の量が増加する問題も生じる。また、さらにステンレス
鋼などの材質を反応塔などに使用した場合、pHが12
よりも高いときには材質のアルカリ腐食などの問題が生
じることもある。
【0105】また本発明に係る触媒成分Bならびに触媒
成分Aの両方を含有する触媒は、比較的耐アルカリ性が
高いが、非常に高いアルカリ性の液を処理するには問題
が生じる場合もある。従って、特に本発明に係わる触媒
に、該触媒を用いた場合には、該触媒層の入口部での液
のpHが6〜13であることが好ましく、より好ましく
は7.5〜12である。
【0106】また触媒成分Bを含有せず、触媒成分Aを
含有する触媒の多くは、耐アルカリ性に問題があるた
め、高pHの液を処理することは触媒の耐久性等に問題
を生じることが多い。従って、特に下流側の触媒に、本
発明に係る触媒成分Bを含有してない触媒を用いた場合
には、該触媒層の入口部での液のpHが2〜10である
ことが好ましく、より好ましくは4〜8であり、さらに
好ましくは5〜7である。また該触媒で湿式酸化処理し
た後の処理液pHも2〜10であることが好ましく、よ
り好ましくは4〜8であり、さらに好ましくは5〜7で
ある。pHが2未満である場合には装置材質の腐食の問
題があり好ましくなく、pHが10よりも高い場合には
廃水の浄化性が低下するのみならず、触媒の耐久性にも
問題を生じることが多い。
【0107】廃水のpHを調整する際には、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等もしくはこ
れらの水溶液等を適宜添加して調整すればよく、特に限
定されるものではない。また必要に応じて、硫酸等の酸
性のpH調整用の薬剤を添加することもでき、特に限定
されるものではない。またこの場合の添加方法も特に限
定されるものではなく、廃水のストックタンク等に前も
って添加しておくこともあれば、フィ−ドポンプ等を用
いて連続的に添加し、pHを調整することもできる。
【0108】またフィードポンプ等を用いて連続的に供
給する場合、このpH調整用の薬剤の供給位置は上流側
の触媒層入口、もしくはその前の熱交換器の手前から全
量を供給してもよいし、各々の触媒層ごとに最適なpH
となるように分割して供給してもよく、また触媒層の途
中から供給してもよく、特に限定されるものではない。
また複数の反応塔を持つ場合には、各々の反応塔ごとに
最適なpHとなるように供給してもよく、複数の触媒湿
式酸化処理装置を用いて廃水を処理する場合には各々の
触媒湿式酸化処理において適切な量のpH調整用の剤を
供給してもよく、特に限定されるものではない。
【0109】同様に本発明に係る触媒で廃水を処理した
後の処理液を、放流するに適した、あるいは後処理を実
施するのに適したpHとなるように適宜上記と同じよう
にpH調整を行うことができ、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸等もしくはこれらの
水溶液等を添加することができ、特に限定されるもので
はなく、この添加方法に関しても特に限定されるもので
はない。
【0110】本発明においては、本発明の実施前に、予
め従来からある廃水の浄化方法を用いて廃水を処理する
こともでき、特に限定されるものではない。例えば、重
金属類やカルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニ
ウム、リンなどの除去に関する浄化処理を行うことがで
き、具体的には活性炭、無機吸着材もしくは有機高分子
材料などを用いた吸着分離除去法および電気透析法など
を用いて除去することもできる。また廃水中の固形物な
どを分離除去する浄化処理を行うこともでき、さらには
有機物ならびに無機COD成分等を分解する無触媒湿式
酸化処理法等の浄化処理を採用することもできる。
【0111】また同様に、本発明の実施後にも従来から
ある廃水の浄化方法を用いて本発明による処理液を処理
することもでき、この処理方法については特に限定され
るものではない。しかしながら、例えば本発明の実施後
に、生物処理または化学的処理する場合にあっても、予
め有害物質等の多くは廃水中から除かれ、かつCOD成
分等もかなり低減されている。しかも本発明に係る処理
後の処理液中のCOD成分および窒素化合物等は、生物
処理または化学的処理において非常に分解処理され易い
物質である。このため生物処理設備または化学的処理設
備への負担が非常に小さくなり、COD成分および硝酸
イオン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物等は容易に
処理できる。また、処理液中にカルシウム化合物等を添
加し、リンなどの物質を不溶化させて除去する場合にあ
っても、予めリン化合物をリン酸にまで分解しているた
めに容易に除去することが可能となる。
【0112】また、本発明に係る方法を用いると、用地
が狭くてすみ、装置もコンパクトであるため、従来から
あるような廃水処理設備、例えば生物処理設備、燃焼処
理設備などを採用した場合と比較して処理設備は小さ
く、処理プロセスも簡素化され、設備投資や、ランニン
グコストの面においても有利となる。
【0113】また、本発明に係る触媒ならびに湿式酸化
処理装置は適宜洗浄することができ、その洗浄方法等は
特に限定されるものではなく、従来からあるような、例
えば水およびアルカリ性の水溶液などを用いた洗浄方法
で適宜実施することができる。
【0114】本発明に係る廃水は、一般的に化学プラン
ト設備、メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設
備、金属鉱業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊
維工業設備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電
子工業設備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造
設備、写真処理設備等からの廃水を対象とするものであ
る。さらに詳しくは、各種の工業廃水等の廃水を対象と
するものであり、特に好ましくは、廃水中に窒素含有化
合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物よりな
る群から選ばれる少なくと1種の化合物を含む廃水であ
り、さらに好ましくは、有機窒素化合物、硫黄含有化合
物および有機ハロゲン化合物よりなる群から選ばれる少
なくと1種の化合物を含む廃水である。
【0115】本発明に係る窒素含有化合物とは、アンモ
ニア、ヒドラジン等の無機窒素化合物および有機窒素化
合物のことである。さらに有機窒素化合物とは、窒素原
子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであり、例
えば、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ピコリン、ア
セトアミド、アニリン、グリシン、アラニン、フェニル
アラニン、グルタミン酸、リジン、アスパラギン酸、セ
リン、メチオニン、ヒスチジン、エチレンジアミン、エ
タノールアミン、トリエタノールアミンなどの窒素原子
含有の低分子な有機物、またはドデシルアミンなどのカ
チオン系または両性系の界面活性剤、またはポリアクリ
ル酸アミドなどの窒素原子含有のポリマーなどである。
【0116】また、本発明に係る硫黄含有化合物とは、
硫酸根以外の硫黄原子を少なくとも1つ含む無機あるい
は有機の化合物であり、例えば、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルスルホン、メタンスルホン酸、チオフェ
ン、チオフテン、p−トルエンスルホン酸、スルホ安息
香酸、チオ酢酸、ナフタリンスルホン酸などの硫黄原子
含有の低分子な有機物、またはドデシルベンゼンスルホ
ン酸などのアニオン系あるいは両性系の界面活性剤、ま
たはポリスルホン酸系などの硫黄原子含有のポリマー、
またはチオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫化ソーダなど
の硫黄原子含有の無機物などである。
【0117】また本発明に係るハロゲン含有化合物と
は、塩化ナトリウム、臭素酸ナトリウムなどの無機のハ
ロゲン化合物および有機ハロゲン化合物のことである。
さらに有機ハロゲン化合物とは、ハロゲン原子を少なく
とも1つ含む有機の化合物のことであり、例えば、塩化
メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ジクロ
ロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリ
クロロエタン、塩化ビニル、臭化ベンジル、p−クロル
フェノール、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフル
オロメタンなどのハロゲン原子含有の有機物などであ
る。
【0118】これらの化合物の濃度は特に限定されるも
のではないが、例えば、チオ硫酸イオン、硫化物イオ
ン、アンモニアおよびヒドラジンなどの無機COD成
分、ならびに、例えば、酢酸、メタノール、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびp−クロルフ
ェノールなどの有機物の場合には、これらの合計で廃水
中に10mg/リットル〜100g/リットル、好まし
くは100mg/リットル〜50g/リットルである。
10mg/リットル未満である場合は、特に本発明に係
る触媒を用いて処理を実施しなくとも充分処理できるも
のであり、100g/リットルを超える場合は、濃度が
濃すぎるために、湿式酸化処理のための処理温度、供給
酸素含有ガス量などの各種の制御が困難になるものであ
る。
【0119】また、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリ
ウムおよび炭酸ナトリウムなどの無機の塩類の場合、濃
度が濃いときにはこれらの液中からの析出によるライン
の閉塞などを生じる。このため無機の塩類は、これらの
合計で200g/リットル未満が好ましく、より好まし
くは150g/リットル未満であり、さらに好ましくは
100g/リットル未満である。
【0120】本発明において処理される廃水のCOD(C
r)の濃度は、特に限定されるものではないが、1g/リ
ットル〜200g/リットル含まれている場合が効果的
であり、より効果的であるのは10g/リットル〜10
0g/リットルである。COD(Cr)の濃度が200g/
リットルを越える場合は、酸化熱が非常に大きくなるた
め処理装置の制御が困難であり、100g/リットルを
越える場合においても酸化熱が大きいため冷却のための
設備等を有することが多くコスト的に高くなる。また、
1g/リットル未満である場合は、昇温に必要な熱量を
ほぼすべて熱供給装置により供給しなければならない。
また、10g/リットル未満である場合においても酸化
熱が小さく、付属設備として熱交換装置を用いて熱回収
しても、この熱だけによる湿式酸化処理装置の自立運転
は困難なことが多い。このためこのような場合にも別途
熱供給装置を必要とすることが多く、使用エネルギー面
からも相対的に不利となる。
【0121】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例にかかる廃
水処理例と、比較例にかかる廃水処理例をあげて詳細に
説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではな
い。
【0122】(処理例1)図1に示す湿式酸化処理装置
を使用し、この湿式酸化反応塔に3種類の触媒を各0.
33リットル層別に充填して、湿式酸化処理条件下で処
理を500時間連続して行った。そして500時間後に
得られた処理液のCOD(Cr)、pHを測定し、ならびに
液体クロマト分析法によりエチレンジアミンを分析し
た。以下に詳細な実験方法および結果について記述す
る。
【0123】触媒を使用した湿式酸化処理の詳しい方法
は、廃水供給ライン8より送られてくる廃水を廃水供給
ポンプ3で1リットル/hrの流量で90kg/cm2
Gまで昇圧フィードした。一方、酸素含有ガス供給ライ
ン9より供給される空気をコンプレッサー5で昇圧した
後、O2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要
求量)=1.2の割合で前記該廃水に混入した。この気
液混合物を気液混合物供給ライン10を経て、熱交換器
2で加熱した。そして触媒を充填した湿式酸化反応塔1
に下部より導入し、電気ヒーター17で加熱して処理温
度260℃で触媒湿式酸化処理し、被処理液を処理液ラ
イン11を経て、熱交換器2および冷却器18において
冷却し、気液分離器4へ流した。この触媒層全量におけ
る廃水の空間速度は1hr-1であった。気液分離器4に
おいては、液面コントローラ(LC)により液面を検出
して液面制御弁6を作動させて一定の液面を保持すると
ともに、圧力コントローラ(PC)により、圧力を検出
して圧力制御弁7を作動させて一定の圧力を保持するよ
うに操作される。そして処理液排出ライン13から該処
理液は排出され、処理液タンク14にストックされる。
また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アルカリ
供給ライン16より供給して、アルカリ供給ポンプ15
を用いて、湿式酸化反応塔1の手前から5ml/hrの
流量で供給した。
【0124】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
を46g/リットル、pHは9.5で、エチレンジアミ
ンを1.0g/リットル含有していた。
【0125】また充填した触媒は、以下のような組成の
ものであった。反応塔入口部(下部)に充填した触媒
は、マンガンとチタンの酸化物および/または複合酸化
物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法によ
り、MnO2:TiO2換算で20:80で、比表面積は
39m2/gであった。反応塔中部に充填した触媒は、
マンガン、チタンの酸化物および/または複合酸化物と
ルテニウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線
法により、MnO2:TiO2:Ru換算で7:93:
1.0で、比表面積は41m2/gであった。さらに反応
塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタンの酸化物と
ルテニウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線
法により、TiO2:Ru換算で100:1.5で、比表
面積は38m2/gであった。
【0126】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率9
8%で、pHは8.3であった。またエチレンジアミン
は検出されなかった。さらにアンモニウムイオンについ
てもイオンクロマト分析法により測定したが、検出され
なかった。
【0127】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、いずれの触媒も廃水処理前と特に変化は認められな
かった。
【0128】(比較処理例1)処理例1において反応塔
入口部(下部)および反応塔中部に使用した触媒の代わ
りに反応塔出口部(上部)と同じ触媒を充填し、すなわ
ち反応塔出口部(上部)の触媒を1.0リットル充填し
た以外は、処理例1で記述した条件と同条件で処理を行
った。
【0129】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)9.2g/リットル、COD(Cr)処理効率8
0%で、pHは8.8であった。またエチレンジアミン
を測定したところ0.08g/リットル検出され、アン
モニウムイオンも0.04g/リットル検出された。
【0130】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光
X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した結果、
廃水処理前のものと比べ触媒中のルテニウムの含有量
が、特に反応塔の入口部の触媒において大幅に減少して
いた。入口部での触媒の各成分の重量比は、TiO2:
Ru換算で100:0.09であった。
【0131】(処理例2)処理例1において使用した触
媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を各0.5リ
ットル充填した以外は、処理例1で記述した条件と同条
件で処理を100時間行った。
【0132】反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、
ニッケル、チタン、ジルコニウムの酸化物および/また
は複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X
線法により、NiO:TiO2:ZrO2換算で5:6
7:28で、比表面積は34m2/gであった。さらに
反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、ジル
コニウムの酸化物および/または複合酸化物とパラジウ
ムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法によ
り、TiO2:ZrO2:Pd換算で70:30:0.3
で、比表面積は36m2/gであった。
【0133】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)2.6g/リットル、COD(Cr)処理効率9
4%で、pHは8.5であった。またエチレンジアミン
は検出されなかった。またアンモニウムイオンについて
も測定したが、検出されなかった。
【0134】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、
両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0135】(比較処理例2)処理例2において反応塔
出口部(上部)に使用した触媒の代わりに反応塔入口部
(下部)と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔入口部
(下部)の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理
例2で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0136】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)6.1g/リットル、COD(Cr)処理効率8
7%で、pHは8.6であった。またエチレンジアミン
は検出されなかったが、アンモニウムイオンが0.55
g/リットル検出された。
【0137】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0138】(処理例3)処理例1において使用した触
媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を充填し、廃
水の供給量を0.5リットル/hr、25重量%の水酸
化ナトリウム水溶液の供給量を2.5ml/hrとした
以外は、処理例1で記述した条件と同条件で処理を10
0時間行った。
【0139】反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、
チタンと鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる
触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO
2:Fe2O3換算で10:90で、比表面積は45m2/
gであり、0.8リットル充填した。さらに反応塔出口
部(上部)に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物およ
び/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒で、各
成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O
3:Ru換算で10:90:1.5で、比表面積は45m
2/gであり、0.2リットル充填した。
【0140】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)4.2g/リットル、COD(Cr)処理効率9
1%で、pHは8.7であった。またエチレンジアミン
およびアンモニウムイオンは検出されなかった。
【0141】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、
両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0142】(処理例4)図2に示す反応塔を2本連結
した湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔の
液の流れ方向に対して上流側の反応塔(第一湿式酸化反
応塔)1に下記に記載する触媒を1.0リットル充填
し、また液の流れ方向に対して下流側の反応塔(第二湿
式酸化反応塔)19にも下記に記載する触媒を1.0リ
ットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例
1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0143】第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、
コバルトとジルコニウムの酸化物および/または複合酸
化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法によ
り、Co2O3:ZrO2換算で10:90であった。さ
らに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、ジルコ
ニウムの酸化物と白金よりなる触媒で、各成分の重量比
は蛍光X線法により、ZrO2:Pt換算で100:0.
3であった。
【0144】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
を21g/リットル、pHは7.9で、ガスクロマト分
析法により測定したところp−クロルフェノールを0.
7g/リットル含有していた。
【0145】廃水の処理条件は、処理温度240℃、処
理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/
hr、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量
/化学的酸素要求量)=1.1となるように第一湿式酸
化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水
酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の前か
らアルカリ供給ポンプ15を用いて、10ml/hrの
流量で供給した。
【0146】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)1.3g/リットル、COD(Cr)処理効率9
4%で、pHは8.9であった。またp−クロルフェノ
ールを測定したところ検出されなかった。
【0147】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかっ
た。
【0148】(比較処理例3)処理例4において第一湿
式酸化反応塔1と第二湿式酸化反応塔19に充填した触
媒とを逆に充填した以外は、処理例4で記述した条件と
同条件で処理を行った。
【0149】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)4.3g/リットル、COD(Cr)処理効率8
0%で、pHは9.4であった。p−クロルフェノール
は検出されなかった。
【0150】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光
X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その
結果第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒において、廃
水処理前のものと比べ触媒中の白金の含有量が、特に反
応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒
の各成分の重量比は、ZrO2:Pt換算で100:0.
22であった。ただし、第二湿式酸化反応塔19に充填
した触媒は、特に変化は認められなかった。
【0151】(処理例5)図2に示す反応塔を2本連結
した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以
下に記載する3種類の触媒を充填し、下記の条件下で処
理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方
法で処理を行なった。
【0152】第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、
セリウム、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化
物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X
線法により、CeO2:TiO2:Fe2O3換算で5:1
5:80であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充
填した触媒は入口部(下部)には、セリウム、チタン、
鉄の酸化物および/または複合酸化物とイリジウムより
なる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線
法により、CeO2:TiO2:Fe2O3:Ir換算で
5:15:80:0.5であった。また第二湿式酸化反
応塔19の出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、
鉄の酸化物および/または複合酸化物とイリジウムより
なる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線
法により、TiO2:Fe2O3:Ir換算で20:8
0:1.0であった。
【0153】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
を39g/リットル、pHは12.8で、液体クロマト
分析法により測定したところグルタミン酸を5.2g/
リットル含有していた。
【0154】廃水の処理条件は、処理温度230℃、処
理圧力60kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/
hr、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量
/化学的酸素要求量)=1.5となるように第一湿式酸
化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水
酸化ナトリウム水溶液を第一湿式酸化反応塔1と第二湿
式酸化反応塔19の間からアルカリ供給ポンプ20を用
いて25ml/hrの流量で供給した。
【0155】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)1.9g/リットル、COD(Cr)処理効率9
5%で、pHは8.8であった。またグルタミン酸は検
出されなかった。
【0156】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかっ
た。
【0157】(比較処理例4)処理例5において触媒の
充填順序を逆にして用いた以外は、処理例5で記述した
条件と同条件で処理を行った。すなわち第一湿式酸化反
応塔1に充填した触媒は、入口部(下部)には、チタ
ン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とイリジウム
よりなる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光
X線法により、TiO2:Fe2O3:Ir換算で80:
20:1.0であった。また第一湿式酸化反応塔1の出
口部(上部)に充填した触媒は、セリウム、チタン、鉄
の酸化物および/または複合酸化物とイリジウムよりな
る触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法
により、CeO2:TiO2:Fe2O3:Ir換算で5:
15:80:0.5であった。さらに第二湿式酸化反応
塔19に充填した触媒は、セリウム、チタン、鉄の酸化
物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットル
で、各成分の重量比は蛍光X線法により、CeO2:T
iO2:Fe2O3換算で5:15:80であった。
【0158】また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液
は、第一湿式酸化反応塔1の手前からアルカリ供給ポン
プ15を用いて25ml/hrの流量で供給した。
【0159】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)10.1g/リットル、COD(Cr)処理効率
74%で、pHは10.3であった。またグルタミン酸
が0.05g/リットル検出され、アンモニウムイオン
も0.11g/リットル検出された。
【0160】(処理例6)図2に示す反応塔を2本連結
した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以
下に記載する2種類の触媒を充填して処理した以外は、
処理例5で記述した方法と同条件で処理を行なった。
【0161】第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、
マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化
物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X
線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で15:
17:68であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に
充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および
/または複合酸化物とパラジウムよりなる触媒1リット
ルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:
TiO2:Fe2O3:Pd換算で15:17:68:0.
6であった。
【0162】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)1.3g/リットル、COD(Cr)処理効率9
7%で、pHは8.6であった。またグルタミン酸は検
出されなかった。
【0163】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかっ
た。
【0164】(処理例7)処理例1において使用した触
媒の代わりに下記に記載する触媒を1.0リットル充填
し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述し
た方法と同様の操作方法で110時間処理を行なった。
得られた処理液は処理液タンク14にストックし、さら
に下記に記載する触媒1.0リットルを充填した同様の
別の湿式酸化処理装置で再度100時間湿式酸化処理を
行った。
【0165】始めの湿式酸化処理装置に充填した触媒
は、銅、コバルト、チタン、鉄の酸化物および/または
複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線
法により、CuO:Co2O3:TiO2:Fe203換算
で5:10:35:50であった。また後の触媒湿式酸
化処理装置に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物およ
び/または複合酸化物とルテニウムおよびロジウムより
なる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、Ti
O2:Fe2O3:Ru:Rh換算で85:15:0.5:
0.1であった。
【0166】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
を35g/リットル、pHは4.7で、ガスクロマト分
析法により測定したところジメチルスルホキシドを4.
5g/リットル含有していた。
【0167】始めの湿式酸化処理装置での廃水処理条件
は、処理温度210℃、処理圧力75kg/cm2G、
廃水の供給量1リットル/hr、供給空気量はO2/C
OD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.
0となるように供給した。また25重量%の水酸化ナト
リウム水溶液を反応塔の前から20ml/hrの流量で
供給した。
【0168】また後の湿式酸化処理装置での廃水処理条
件は、処理温度250℃、処理圧力75kg/cm2
G、廃水の供給量1リットル/hr、供給空気量はO2
/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=
2.0となるように供給した。25重量%の水酸化ナト
リウム水溶液は供給しなかった。
【0169】始めの湿式酸化処理装置での110時間後
に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)10.6g
/リットル、COD(Cr)処理効率70%で、pHは8.
2であった。またジメチルスルホキシドは検出されなか
った。また処理液タンク14にストックされた一次処理
液の結果も、COD(Cr)10.6g/リットル、COD
(Cr)処理効率70%、pH8.2で、ジメチルスルホキ
シドは検出されなかった。
【0170】引き続き行った後の湿式酸化処理装置での
100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(C
r)2.8g/リットル、COD(Cr)処理効率74%で、
始めからのCOD(Cr)処理効率は92%であった。また
この処理液のpHは7.1であった。
【0171】またその後廃水の処理を停止し、始めの湿
式酸化反応処理装置および後の湿式酸化処理装置の反応
塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、共に
廃水処理前と比較して特に変化は認められなかった。
【0172】(比較処理例5)処理例7において触媒の
使用順序を逆にして用いた以外は、処理例7で記述した
条件と同条件で処理を行った。すなわち始めの湿式酸化
処理装置に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および
/または複合酸化物とルテニウムおよびロジウムよりな
る触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO
2:Fe2O3:Ru:Rh換算で85:15:0.5:
0.1であった。また後の触媒湿式酸化処理装置に充填
した触媒は、銅、コバルト、チタン、鉄の酸化物および
/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は
蛍光X線法により、CuO:Co2O3:TiO2:Fe2
03換算で5:10:35:50であった。
【0173】その結果、始めの湿式酸化処理装置での1
10時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)
12.4g/リットル、COD(Cr)処理効率65%、p
H8.3で、ジメチルスルホキシドは検出されなかっ
た。また処理液タンク14にストックされた一次処理液
の結果は、COD(Cr)10.9g/リットル、COD(C
r)処理効率69%で、pHは8.1であった。
【0174】引き続き行った後の湿式酸化処理装置での
100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(C
r)7.2g/リットル、COD(Cr)処理効率34%で、
始めからのCOD(Cr)処理効率は77%であった。また
この処理液のpHは7.7であった。
【0175】(処理例8)図2に示す反応塔を2本連結
した湿式酸化処理装置を使用し、第一湿式酸化反応塔お
よび第二湿式酸化反応塔には以下に記載する2種類の触
媒をそれぞれ1リットル充填し、下記の条件下で処理し
た以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で
処理を行なった。
【0176】第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、
チタンと鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる
触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO
2:Fe2O3換算で10:90であった。また第二湿式
酸化反応塔19に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物
および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒
で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:F
e2O3:Ru換算で10:90:1.0であった。
【0177】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
を21.1g/リットル、pHは13.3で、検知管によ
り測定したところ硫化物イオンを6.5g/リットル、
イオンクロマト分析法により測定したところチオ硫酸イ
オンを1.2g/リットル含有していた。
【0178】廃水の処理条件は、処理温度160℃、処
理圧力9kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h
r、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/
化学的酸素要求量)=2.5となるように第一湿式酸化
反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸
化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の手前か
らアルカリ供給ポンプ15を用いて、30ml/hrの
流量で供給した。
【0179】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)7.2g/リットル、COD(Cr)処理効率6
6%で、pHは8.9であった。また、硫化物イオンお
よびチオ硫酸イオンは検出されなかった。
【0180】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかっ
た。
【0181】(比較処理例6)処理例8において第一湿
式酸化反応塔1と第二湿式酸化反応塔19に充填した触
媒とを逆に充填した以外は、処理例8で記述した条件と
同条件で処理を行った。
【0182】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)11.2g/リットル、COD(Cr)処理効率
47%で、pHは9.2であった。また、硫化物イオン
は検出されなかったが、チオ硫酸イオンは0.2g/リ
ットル検出された。
【0183】(処理例9)図1に示す湿式酸化処理装置
を使用し、この反応塔に以下に記載する2種類の触媒を
充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記
述した方法と同様の操作方法により処理を行なった。
【0184】反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、
チタンと鉄の酸化物および/または複合酸化物と、パラ
ジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法に
より、TiO2:Fe2O3:Pd換算で10:90:0.
2であり、0.75リットル充填した。さらに反応塔出
口部(上部)に充填した触媒も、チタンと鉄の酸化物お
よび/または複合酸化物と、パラジウムよりなる触媒
で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:F
e2O3:Pd換算で10:90:0.8であり、0.25
リットル充填した。
【0185】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
を41g/リットル、pHは11.2で、有機物を主成
分とする廃水であり、窒素含有化合物、硫黄含有化合
物、ハロゲン含有化合物からなる化合物を含んでいなか
った。
【0186】廃水の処理条件は、処理温度250℃、処
理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/
hr、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量
/化学的酸素要求量)=1.2となるように供給した。
また、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカ
リ水溶液は、供給しなかった。
【0187】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)2.9g/リットル、COD(Cr)処理効率9
3%で、pHは6.8であった。
【0188】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかっ
た。
【0189】(比較処理例7)処理例9において反応塔
入口部(下部)と反応塔出口部(上部)に充填した触媒
とを逆に充填した以外は、処理例9で記述した条件と同
条件で処理を行った。
【0190】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)4.0g/リットル、COD(Cr)処理効率9
0%で、pHは7.0であった。
【0191】(比較処理例8)処理例9において下記に
記載した触媒だけを1.0リットル充填した以外は、処
理例9で記述した条件と同条件で処理を行った。充填し
た触媒は、充填した触媒換算で、処理例9で充填した2
種類の触媒の合計のパラジウム量と同じパラジウム量の
触媒である。すなわち充填した触媒は、チタンと鉄の酸
化物および/または複合酸化物と、パラジウムよりなる
触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO
2:Fe2O3:Pd換算で10:90:0.35であっ
た。
【0192】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)3.7g/リットル、COD(Cr)処理効率91%
で、pHは6.9であった。
【0193】(処理例10)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この反応塔に以下に記載する2種類の触媒
を各0.5リットル充填し、下記の条件下で処理した以
外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法により
処理を行なった。
【0194】反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、
マンガンとチタンの酸化物および/または複合酸化物よ
りなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、M
nO2:TiO2換算で5:95であった。さらに反応塔
出口部(上部)に充填した触媒は、チタンの酸化物と白
金よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法によ
り、TiO2:Pt換算で10O:0.3であった。
【0195】処理に供した該廃水の性状は、有機物、硫
酸アンモニウムおよび硫酸ナトリウムを主成分とする廃
水であり、COD(Cr)は17g/リットル、pHは2.
3であった。またイオンクロマト分析により測定した結
果、塩化物イオンを0.47g/リットル、硫酸イオン
を34.0g/リットルおよびアンモニウムイオンを2.
5g/リットル含有していた。
【0196】廃水の処理条件は、処理温度240℃、処
理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/
hr、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量
/化学的酸素要求量)=1.2となるように供給した。
また、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アルカ
リ供給ポンプ15を用いて35ml/hの流量で供給し
た。 100時間後に得られた処理液の結果は、COD
(Cr)2.2g/リットル、COD(Cr)処理効率87%
で、pHは8.5であった。またアンモニウムイオンは
検出されなかった。
【0197】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出した
が、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかっ
た。
【0198】(比較処理例9)処理例10において反応
塔出口部(上部)に充填した触媒だけを1.0リットル
充填した以外は、処理例10で記述した条件と同条件で
処理を行った。
【0199】100時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)4.1g/リットル、COD(Cr)処理効率7
6%、pH9.1で、アンモニウムイオンが0.03g/
リットル検出された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【符号の説明】
1.湿式酸化反応塔(第一湿式酸化反応塔) 2.熱交換器 3.廃水供給ポンプ 4.気液分離器 5.コンプレッサー 6.液面制御弁 7.圧力制御弁 8.廃水供給ライン 9.酸素含有ガス供給ライン 10.気液混合物供給ライン 11.処理液ライン 12.ガス排出ライン 13.処理液排出ライン 14.処理液タンク 15.アルカリ供給ポンプ 16.アルカリ供給ライン 17.電気ヒーター 18.冷却器 19.第二湿式酸化反応塔 20.アルカリ供給ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/10 B01J 23/10 M 23/34 23/34 M 23/40 23/40 M 23/42 23/42 M 23/44 23/44 M 23/46 301 23/46 301M 23/63 23/70 M 23/70 23/72 M 23/72 23/76 M 23/745 23/89 M 23/75 C02F 1/58 L 23/755 P 23/76 Q 23/889 Z 23/89 B01J 23/56 M C02F 1/58 23/74 301M 311M 321M 23/84 311M

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃
    水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度
    で、少なくとも2種類以上の触媒組成または触媒組成比
    の異なる触媒を用い、なおかつこのうち少なくとも1種
    は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムお
    よび白金よりなる群から選ばれる元素の金属および/ま
    たはその金属の化合物(以下、「触媒成分A」とも記載
    する)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて廃水を
    湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成または
    組成比のうち、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イ
    リジウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素の金属
    および/またはその金属の化合物の少なくとも1種の触
    媒中の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から
    下流側に対して多くなる方向であることを特徴とする廃
    水の処理方法。
  2. 【請求項2】 ひとつの反応塔に少なくとも2種以上の
    触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填して
    用いることを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 複数の反応塔に少なくとも2種以上の触
    媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方法。
  4. 【請求項4】 触媒成分Aの合計の含有量が、該廃水の
    流れ方向に対して上流側から下流側に対して多くなる方
    向であることを特徴とする請求項1〜3記載の廃水の処
    理方法。
  5. 【請求項5】 該廃水の流れ方向に対して上流側の触媒
    に、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウム
    よりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその
    金属の化合物(以下、「触媒成分B」とも記載する)の
    少なくとも1種を含有する触媒を設置して湿式酸化処理
    をすることを特徴とする請求項1〜4記載の廃水の処理
    方法。
  6. 【請求項6】 該廃水の流れ方向に対して下流側の触媒
    に、触媒成分Bを含有しない触媒を設置して湿式酸化処
    理することを特徴とする請求項1〜5記載の廃水の処理
    方法。
  7. 【請求項7】 該廃水の流れ方向に対して上流側の触媒
    に、触媒成分Aを含有しない触媒を設置して湿式酸化処
    理することを特徴とする請求項1〜6記載の廃水の処理
    方法。
  8. 【請求項8】 触媒成分Bが、その元素の酸化物および
    /または複合酸化物であることを特徴とする請求項5記
    載の廃水の処理方法。
  9. 【請求項9】 廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物
    およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる少な
    くとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1
    〜8記載の廃水の処理方法。
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