JP3543025B2 - 廃水の処理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、廃水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、化学プラント設備、メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、写真処理設備等から排出される廃水を浄化処理する場合に用いられる廃水の処理方法に関する。特に廃水の浄化方法の中でも、廃水中の有機物および/または無機COD成分を分解するため、該廃水を固体触媒の存在下に湿式酸化処理する該廃水の浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃水の処理方法として、活性汚泥法と広く一般的に呼ばれる生物的処理法、焼却による燃焼処理法およびチンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化処理法などが知られている。
【0003】
生物的処理法は、有機物等の分解に長時間を要し、またアンモニアなどの難分解性窒素化合物の処理のためには複雑な工程を要し、しかも藻類、バクテリヤ等の微生物の生育に適した濃度に廃水を希釈したり、微生物の生育に適したpHに廃水を調節するなどの必要があるため処理施設の設置面積が広大になるなどの欠点がある。
【0004】
燃焼処理法は、燃焼のための燃料費等のコストがかかるうえ、排ガス等の二次公害の問題などの欠点がある。
【0005】
チンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化処理法は、高温高圧下で廃水を酸素含有ガスの存在下に処理し、有機物および/または無機COD成分等を酸化もしくは酸化分解させる方法であって、優れた処理方法ではある。しかし、一般的に処理効率が低いため、さらに二次処理設備を必要とすることが多く、高処理効率を目的とする場合には設備上の問題も少なくない。
【0006】
このため、この湿式酸化処理法において処理効率を向上させることを主たる目的として各種の触媒を使用する方法が提案されている。特に固体触媒を用いた湿式酸化法(以下、触媒湿式酸化処理とも記載する)は、その高い廃水の浄化性ならびに優れた経済性等の面から近年特に注目されている。これらの触媒の例としては、パラジウム、白金等の貴金属類をアルミナ、シリカ、シリカゲル、活性炭等の担体に担持した触媒がある(特開昭49−44556号、特開昭49−94157号)。
【0007】
しかしながら廃水は、一般に含有される成分の種類が同じであることは希であり、例えば、窒素原子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない有機物以外に窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等が廃水に含まれている場合も多くある。従って、上記の触媒を使用するだけでは、これらの成分を充分に処理することができないことが多いものである。
【0008】
例えば、上に挙げた従来の方法では、各種化学プラント廃水等に多く含まれるアミン化合物、アミド化合物、アミノ酸化合物等の有機窒素化合物、もしくはアンモニア、ヒドラジン等の無機窒素化合物などの窒素含有化合物を含む廃水;石油化学系および写真廃水系等の廃水に多く含まれるチオ硫酸および亜硫酸、硫化物などの無機硫黄化合物、もしくは界面活性剤および溶剤などに多く使用される有機硫黄化合物などの硫黄含有化合物を含む廃水;洗浄剤およびファインケミカル系等の廃水に多く含まれる有機ハロゲン化合物などのハロゲン含有化合物を含む廃水等の種々の廃水の処理に関しては、特に処理効率が充分ではなかった。また、上記の従来の触媒湿式酸化処理では、本発明者らの検討によれば長期使用により、触媒の強度の低下および破砕粉化を生じ、さらに触媒の溶解を生ずる場合もあり、耐久性に劣り、実用的ではなかった。
【0009】
また、その他に問題を解決する技術として、チタニアまたはジルコニアを担体として用いる方法が提案されている(特開昭58−64188号)。これによると、球状または円筒状のチタニアまたはジルコニアの担体にパラジウム、白金等の貴金属化合物、および鉄、コバルト等の重金属化合物を担持した触媒が開示され、従来の担体と比べて優れた強度を有することが記載されている。しかしながら、これらの触媒はいずれも触媒活性および耐久性において未だ充分満足できるものではなかった。
【0010】
これらの問題を解決しようとして、本発明者らは既に、チタンとジルコニウムの複合酸化物と、パラジウムおよび白金等の貴金属類および/またはコバルト、ニッケル等の重金属類を含有する触媒を用いた廃水の処理方法(特公平3−34997号)、鉄とチタン、ケイ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物と、パラジウムおよび白金等の貴金属類、および/またはコバルト、ニッケル等の重金属類を含有する触媒およびその触媒を用いた廃水の処理方法(特開平5−138027号)を提案した。これらの触媒はいずれも触媒活性が高く、耐久性においても高いものであるが、廃水の処理における経済性および浄化効率の向上がなされれば、さらに好ましい結果を得ることができる。
【0011】
また、一般に廃水の触媒湿式酸化処理においてはコストの面からステンレス鋼などの材質の反応塔等が使用されるが、このものは酸性域では腐食に弱いために廃水のpHはアルカリ域に調整されて反応に供されている場合が多い。特に窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物を含む廃水は、該処理により、硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン化物イオン等を生成するため、酸性領域での処理が、困難な場合が多い。このため、これらのものを含む廃水の場合には、アルカリ域での処理をすることが多いが、従来の触媒の中にはアルカリ域の使用において充分な耐久性および処理活性でないものが多かった。従って、廃水がアルカリ域にあっても充分な耐久性および処理活性を有する触媒、ならびに廃水の処理方法が望まれている。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、触媒湿式酸化処理における新規な廃水の処理方法を提案することにある。
【0013】
さらに詳しくは、本発明の目的は特に触媒湿式酸化処理において、窒素原子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない炭化水素系有機物以外にも、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等が含まれている処理の困難な廃水においても、言い換えれば如何なる種類の有機物および/または無機COD成分等の河川等を汚染する有害物質を含有する廃水においても浄化性高く廃水を処理し、なおかつ経済的にも優れた触媒湿式酸化処理による廃水の処理方法を提供することにある。
【0014】
さらに具体的には、触媒湿式酸化処理で廃水の浄化を行うにあたり、触媒活性が高く、耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水処理用触媒、特に窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物に対して触媒活性が高く、耐久性および耐アルカリ性に優れた触媒湿式酸化処理用触媒を用いた経済的にも優れ、高い廃水の浄化性能を有する廃水の処理方法に関して提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
廃水処理用触媒の触媒活性成分として、従来、種々の重金属類、貴金属類元素有効であることが知られているが、本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意研究の結果、窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水処理用触媒を見い出した。そして、該触媒を用いて湿式酸化条件下に廃水を処理し、さらにその後、他の触媒を用いて廃水を処理することにより、廃水が非常に浄化性高く処理でき、なおかつ経済性にも優れることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0016】
さらに詳しくは、本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意研究の結果、廃水処理用触媒の触媒成分としてマンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒が、触媒活性が高く、特に耐久性および耐アルカリ性にも優れることを見いだした。この触媒成分Aを含有する触媒は、従来の触媒の多くにおいて処理困難で、処理活性が低く、なおかつ触媒の劣化の原因ともなった窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等の処理の困難な物質に対しても触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性にも優れている。このため、処理困難な物質等を含有した処理の困難な廃水においても、該触媒を用いた湿式酸化処理では、触媒の劣化等の問題もなく、耐久性よく処理でき、なおかつ、特に、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の物質の多くを高効率で分解処理できることを見いだした。
【0017】
さらに上記の理由から、本発明においては、この処理の後、従来からの他の触媒を用いて処理を行っても、従来からの触媒の耐久性を損なうことなく処理することができることも見い出したものである。この理由は、触媒成分Aを含有する触媒が、特に従来からの触媒の多くにおいて触媒の耐久性を損なう原因となった有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の物質の多くを、分解処理しているためである。これにより、従来からの他の触媒も使用することが可能となったものである。
【0018】
これにより本発明において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒で廃水を処理した後に用いる触媒、すなわち後から用いる触媒に、触媒コストの安い従来からの他の触媒を用いた時には、触媒コストの低減を図ることができ、これにより処理コストの低減をも図ることができることも見い出した。
【0019】
また同様に、後から用いる触媒に、前の処理に用いた触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒に比べ、触媒成分Aの含有量が少ない等の触媒コストの安い触媒を用いた時にも、触媒コストの低減を図ることができ、これにより処理コストの低減をも図ることができるも見い出した。
【0020】
さらに本発明において、後から用いる触媒に、前の処理で用いた触媒の性能以上に優れた触媒性能を持つ触媒を用いて処理を行った時には、後から用いた触媒の性能を充分に引き出すこともできることを見い出した。特に、この優れた触媒性能を持つ触媒が、耐久性に劣る問題があった場合には、本発明による方法を採用することによって、この耐久性の問題を改善することが可能となったものである。これにより、廃水の浄化性を極めて高いものとすることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
この触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒(触媒成分Bを含有しない触媒)は、アンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して、従来の触媒成分Bを含有する触媒に比べ活性の低い傾向があった。このアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物は、窒素含有化合物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。また酢酸などの低級有機酸は、種々の有機物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。
【0022】
このため特に本発明者等は鋭意研究の結果、まず始めに、有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた触媒、すなわち触媒成分としてマンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて該廃水を処理する。そして、その後、他の従来からあるアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して触媒活性の高い触媒成分Bを含有する触媒を用いて廃水を浄化することにより、極めて廃水の浄化性をあげることができ、なおかつ経済的にも優れることを見い出し、さらに本発明をより優れたものにするに至ったのである。
【0023】
かくして、本発明は、以下のごとくの廃水処理用触媒を用いた廃水の処理方法を提供する。
【0024】
(1) 酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度で、少なくとも2種類の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を用い、なおかつこのうち少なくとも1種は、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成または組成比のうち、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物の少なくとも1種の触媒中の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向であること(ただし、コバルトおよび銅をそれぞれ単独で含有する触媒を廃水の最上流側に配置する場合を除く。以下、同じ。)を特徴とする廃水の処理方法。
【0025】
(2) ひとつの反応塔に少なくとも2種の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填して用いることを特徴とする上記(1)記載の廃水の処理方法。
【0026】
(3) 複数の反応塔に少なくとも2種の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用いることを特徴とする上記(1)記載の廃水の処理方法。
【0027】
(4) 触媒成分Aの合計の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0028】
(5) 触媒成分Aが、その元素の酸化物および/または複合酸化物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0029】
(6) 該廃水の流れ方向に対して下流側に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分B)の少なくとも1種を含有する触媒を設置して湿式酸化処理することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0030】
(7) 該廃水の流れ方向に対して上流側の触媒に、触媒成分Bを含有しない触媒を設置して湿式酸化処理することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0031】
(8) 廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
(9) 触媒成分Aがマンガンを含有するものである上記(1)〜(8)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
【具体的説明】
本発明は、酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度で、少なくとも2種類以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を用いて湿式酸化処理する方法を採用する。さらにこの触媒のうち少なくとも1種は、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いる。そして廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成または組成比のうち、触媒成分Aの含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向となるように設置して湿式酸化処理する方法を採用し、廃水を処理する。
【0034】
すなわち本発明の触媒湿式酸化処理方法では少なくとも1種は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒を用いる。
【0035】
従来の触媒、特に貴金属類のみを主たる触媒活性成分として含有した触媒の多くは、アルカリ域の使用において充分な耐久性および処理活性でないものが多く、廃水の処理pHがアルカリ域であっても充分な耐久性および処理活性を有する触媒が望まれていた。
【0036】
一般に廃水の触媒湿式酸化処理においてはステンレス鋼などの材質の反応塔等が使用される。しかしながら、これらのものは酸性域での使用では耐食性に劣ることが多い。このため、廃水のpHはアルカリ域に調整されて反応に供されることが多い。特に窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物を含む廃水は、該処理により、硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン化物イオン等を生成するため、酸性領域での処理が、困難な場合が多いものである。
【0037】
さらに従来の触媒の多くは、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を含有した廃水の処理において耐久性に問題があり、触媒の劣化が多くの触媒で見られ、さらにこれらの触媒では触媒活性も充分なものではなかった。また一部の耐久性に優れた従来の触媒においても、廃水の処理における経済性および浄化効率の向上の観点からすれば、より耐久性が高く、触媒活性も高い触媒ならびに処理方法が開発されればより好ましいものであった。
【0038】
本発明者らは、鋭意検討の結果、アルカリ域での処理においても触媒活性が高く、耐久性にも優れ、さらに特に、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性に優れた触媒として、特に触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒が優れていることを見い出した。そして多くの廃水の場合には、この本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を用いるだけで浄化性の高い処理液を得ることができるものであった。また特に、これにより従来の触媒では比較的処理困難であった廃水の処理pHがアルカリ域での処理、ならびに有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を含有した廃水の処理においても浄化性高く、しかも耐久性よく処理できるようになった。
【0039】
さらに本発明者らは鋭意検討の結果、この触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒を用いた廃水の処理方法において、廃水の流れ方向に対して上流側に用いる触媒成分Aを含有する触媒に比べ、触媒成分Aの含有量の少ない触媒を、この処理における廃水の流れ方向に対して下流側の触媒に用いた場合、上流側で用いた触媒を下流側にも用い、単一な触媒で処理をした場合と比較して、処理活性がさほど変わらないことが多いことを見い出した。そして、この複数の触媒を用いる方法を採用することで、触媒成分Aの量が少なくてもよくなるため、触媒コストの低減を図ることができることを見い出した。
【0040】
さらに、触媒層全体で用いる触媒成分Aの量が同じ場合には、上流側の触媒成分Aの含有量を多くし、下流側の触媒成分Aの含有量を少なくした方がより処理活性が高くなることが多いことも見い出した。従って、この方法を採用することにより、より処理活性を上げることもでき、このため触媒量を減らすこともできることを見い出した。
【0041】
また、本発明に係る触媒は、触媒成分Aの含有量の少ない方が触媒の形状維持のための機械的強度が強く、触媒の耐久性がより高い。このため、処理活性が維持できるものであれば必要に応じて、触媒成分Aの含有量が少ない方が好ましいものである。
【0042】
また後から用いる触媒に、触媒コストの安い従来からの他の触媒を用いた場合には触媒コストの低減を図ることができ、すなわち処理コストの低減を図ることができることも見い出した。従来からの他の触媒としては、廃水処理用触媒の触媒成分として、種々の重金属類、貴金属類の元素が有効であることが知られており、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、鉄、亜鉛、錫、ニオブ、モリブテン、タングステン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金および金よりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物を含有する触媒がある。そして、触媒コストの低減を図る目的には、特に限定されるものではないが、この内の触媒コストの安い触媒などが用いられる。この場合、従来からの触媒は、本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒で処理した後の処理液を処理するために、触媒の耐久性を損なうことなく、充分触媒の性能を引き出すことができるものである。
【0043】
またさらに本発明者らは鋭意検討の結果、廃水の流れ方向に対して上流側に用いた触媒成分Aを含有する触媒の性能以上に優れた触媒活性を有する触媒を、下流側に用いて処理を行った時には、その下流側で用いた触媒の性能を充分に引き出すことができることも見い出した。すなわち、触媒成分Aを含有する触媒を用いただけの処理に比べ、より優れた廃水の処理活性を得ることができることを見い出した。
【0044】
触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒(触媒成分Bを含有しない)は、アンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して、従来の貴金属類を含有してなる優れた触媒に比べ、処理活性が低い傾向があった。このアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物は、窒素含有化合物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。また酢酸などの低級有機酸は、有機窒素化合物、有機硫黄化合物、有機ハロゲン化合物等も含む種々の有機物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。このため本発明者等は鋭意研究の結果、有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた触媒、すなわち触媒成分Aを含有する触媒を始めに用いて該廃水を処理し、その後、他の従来からあるアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して触媒活性の高い触媒成分Bを含有する触媒を用いて廃水を処理することにより、極めて高い廃水の浄化性を得ることができることを見い出した。
【0045】
これにより廃水の浄化性は非常に向上し、処理の耐久性も飛躍的に向上することができるものであり、経済的にも好ましいものである。
【0046】
さらに詳しくは、本発明に係る触媒成分Aを含有し、触媒成分Bを共に含有しない触媒は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めてこれらを含有する廃水の処理に対する耐久性に優れている。
【0047】
しかし、酢酸などの低級有機酸およびアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物に対しては、触媒成分Bを含有する貴金属系の触媒の方が触媒活性の高い場合が多い。またこのような低級有機酸および/または無機窒素化合物の組成だけにまで分解された廃水は、従来の触媒でも特に耐久性に問題はなかった。このため貴金属系の触媒、特に触媒成分Bを含有する触媒を、触媒成分Aを含有する触媒で廃水を処理した後に用いて湿式酸化処理することにより、廃水を極めて効率よく浄化できるものである。
【0048】
また、従来のアルカリ域での使用にあまり適さない触媒を用い、原廃水の液pHがアルカリ性である廃水を処理した場合、もしくは水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液を添加しながら処理を行った場合などでは、特に廃水の流れ方向に対して上流側において触媒が劣化することが多かった。これは上流側の触媒がアルカリ性の液にさらされるためと考えられる。しかしながら、本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を廃水の流れ方向に対して上流側に用いて処理を行った場合には、この問題点が解決できるか、あるいは中流側もしくは下流側に用いた従来のアルカリ域での使用にあまり適さない触媒の劣化を極めて低減することができ、触媒の耐久性ならびに処理活性の大幅な向上が得られるものである。
【0049】
すなわち廃水のpHがアルカリ域である触媒層の上流側では、耐アルカリ性に優れた本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を用いて処理を行う。そして、液pHが比較的低下した廃水の流れ方向に対して中流側から下流側にかけては、従来のアルカリ性での使用にあまり適さない触媒を用いて処理を行っても問題がないか、あるいは極めて劣化が少なく処理できることが多いものである。これは、触媒成分Aを含有する本発明に係る触媒を用いて湿式酸化処理をした場合、一般的に廃水の湿式酸化処理前の液のpHに比べ、液のpHが低下し、従来のアルカリ域での使用にあまり適さない触媒の使用においてもあまり悪影響を与えないpHにまで低下するためである。これにより廃水のpHがアルカリ性である廃水においても、従来の触媒のみを用いる場合と比較して処理の耐久性は飛躍的に向上し、なおかつ廃水の浄化性も向上することができるものである。このため、本発明に係る廃水の処理方法は、廃水のpHをアルカリ性として供給するか、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリ性の水溶液も供給しながら処理することが特に多い窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する廃水の処理において、特に効果的である。
【0050】
また同様に、本発明に係る触媒成分Aを含有し、触媒成分Bも共に含有している触媒は、耐アルカリ性に優れ、なおかつ有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の物質に対しても触媒活性および耐久性に優れ、さらに酢酸などの低級有機酸およびアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物などに対しても、触媒活性が高い。しかしながら、触媒成分Aの含有量が少ないときには、触媒成分Bの耐久性に問題を生じることもある。このため、特に該廃水の流れ方向に対して上流側では、触媒中の触媒成分Aの含有量を最も多くする必要がある。そして廃水が徐々に処理された後の廃水の流れ方向に対して中流側から下流側においては、触媒中の触媒成分Aの含有量が上流側の触媒に比べ少なくなる方がよいものである。逆に、該廃水の流れ方向に対して中流側から下流側において、触媒中の触媒成分Aの含有量が上流側と同量、またはより多い場合には、経済的に触媒のコストを上げるために好ましくないものである。また、触媒成分Aは含有量の少ない方が触媒の形状維持のための機械的強度が強く、触媒の耐久性がより高いものである。
【0051】
従って本発明においては、触媒中の触媒成分Aの含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向となるように設置して湿式酸化処理する方法を採用する。また、触媒成分Aを含有する本発明に係る触媒は、そのマンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムの元素の種類による活性差はそれほど大きくなく、ほぼそれらの合計の含有量により有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物等の物質ならびにその他の有機物および無機COD成分等に対しての処理活性が決定される。このため本発明においてより好ましくは、触媒中の触媒成分Aの合計の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向となるように触媒を設置して湿式酸化処理する方法を採用する。
【0052】
すなわち本発明は、アルカリ域での処理においても触媒活性が高く、耐久性にも優れ、さらに特に、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物に対しても触媒活性が高く、極めて耐久性に優れた触媒として、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒を廃水の流れ方向に対して上流側に用い、さらにこの触媒成分Aの含有量は触媒層全体において上流側で最も多くなるようにして用いる方法を採用することで完成した。
【0053】
本発明において使用する触媒を充填した湿式酸化処理装置、すなわち触媒湿式酸化処理装置は、通常使用されるものが用いられ、反応塔あるいは処理塔は、単管式、多管式のいずれの形式であってもよいし、廃水に含まれる成分、その量等によっては単管式と多管式とを、単独または組み合わせて処理に適した条件で処理することもでき、また複数の反応塔を用いてもよく、さらには複数の湿式酸化処理装置を用いてもよい。
【0054】
すなわち、ひとつの反応塔に少なくとも2種以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填して用いてもよいし、複数の反応塔に少なくとも2種以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用いてもよく、さらには複数の湿式酸化処理装置で複数回処理を行ってもよく、特に限定されるものではない。
【0055】
さらにこれらの方法を組み合わせて廃水を処理することもできる。
【0056】
また各々の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒は、各々の触媒ごとに反応塔触媒層の上流側から下流側に向かって複数の触媒帯を設け、さらに触媒層別に仕切ってもよい。また触媒の充填は、ハニカム状の触媒以外ではそれぞれの触媒を混合し、徐々に触媒の比率が変化するように充填してもよく、特に限定されるものではない。
【0057】
各々の触媒の量の比率は特に限定されるものではなく、任意に廃水の種類、処理条件等により処理に適したように選択できるものである。しかしながら、好ましくは、触媒反応塔の上流側から下流側に向かって複数の触媒帯を設け、かつ触媒層別に仕切る方法であり、この方法にあっては、2つの隣接する触媒帯のうち上流側により近い触媒帯の占有容積をV1とし、下流側により近い触媒帯の占有容積をV2とすると、この隣接する2つの触媒帯の占有容積比V1/V2が10/1〜1/10であるように充填することが効果的である。またより効果的には、この隣接する2つの触媒帯の占有容積比V1/V2が5/1〜1/5であり、さらに効果的には3/1〜1/3である。またそれぞれ複数の触媒を混合し、徐々に触媒の比率が変化するように充填した場合には、各々の混合した2つの隣接する触媒のうち上流側により多い触媒の全量の占有容積をV1とし、下流側により多い触媒の全量の占有容積をV2とすると、この隣接する2つの触媒の占有容積比V1/V2が10/1〜1/10であるように充填することが効果的であり、より効果的には5/1〜1/5であり、さらに効果的には3/1〜1/3である。占有容積比V1/V2が10/1よりも大きい場合、または1/10よりも小さい場合には、触媒組成または触媒組成比が異なる2種類以上の触媒を用いた効果が少なく、1種類の触媒を用いた結果とあまり差がないものである。すなわち触媒の効果が異なる複数の触媒を用いる意味があまりない。この場合には複数の触媒を用いるよりも、単一の触媒を用いた方が触媒の製造単価が下がり、処理コストも低下するため好ましいものである。
【0058】
また、本発明において特に限定されるものではないが、本発明において使用する触媒の種類は2種類もしくはそれ以上の種類の触媒であり、好ましくは2種類もしくは3種類の触媒を用いることであり、さらに好ましくは2種類の触媒を用いることである。触媒の種類を多くした場合には、処理目的別に最適な触媒を使用することができ、最良な廃水の処理浄化性を得ることができるが、複数の触媒を製造することから触媒のコストが高くなり、また設備のコストが高くなり好ましくない。
【0059】
3種類の触媒を用いる場合、最上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、触媒成分Bを含有しない触媒であることが効果的である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸根などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃水のpHを廃水処理することで下げることにある。すなわち従来の触媒では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水に転換することにある。
【0060】
またこの場合、中流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ特に好ましくは触媒成分Bも少なくとも1種を含有する触媒であることが効果的である。該触媒の目的は、まだ若干残留している有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水中の難分解性物質をより高効率で処理すると同時に、上流側から中流側で酸化および/または酸化分解処理されて生成した主に低級有機酸または無機窒素化合物等と、元々廃水中に含有されていたこれらの物質をも酸化および/または酸化分解処理し、廃水を浄化することにある。すなわち、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を高効率で酸化および/または酸化分解処理する性能と、低級有機酸または無機窒素化合物を高効率で酸化および/または酸化分解処理する性能を合わせ持つ触媒を使用することにより、廃水の浄化性を高めることにある。また他方、該触媒の目的は、触媒の耐久性および耐アルカリ性を高く保った状態で、まだ比較的高いアルカリ性である廃水のpHを下げながら、なおかつ上記と同様に廃水の浄化性を高めることにある。
【0061】
さらにこの場合、下流側の触媒は、特に好ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒であることが効果的である。該触媒の目的は、上記の上流側および中流側の触媒で処理され、主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分となり、なおかつ液のpHが低下した廃水を処理し、廃水の浄化性をさらに高めることにある。このため該触媒の多くは、触媒成分Aを含有する必要がなく、むしろ触媒成分Aを含有しない方が、触媒コストを低減することができるためより好ましいことが多い。
【0062】
このため3種類の触媒を充填するのに適する処理条件は、以下に記載するようなときに、触媒成分Aおよび触媒成分Bそれぞれの処理効果を、中流側の触媒を採用することで高められるために特に効果的である。第1の適する処理条件は、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれる従来の触媒において耐久性に支障を来すような物質の濃度が廃水中に濃い場合に、第2の適する処理条件は、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物などから選ばれるような湿式酸化処理によって液のpHが低下したときに、装置材質の耐食性に問題を来すような物質の濃度が廃水中に濃いために、原廃水のpHが高アルカリ性であるもしくはアルカリ性の水溶液を比較的多く添加しながら処理を行う場合に、そして第3の適する処理条件は、廃水のより高い浄化性が求められる場合に、特に有効なものである。
【0063】
次に、2種類の触媒を用いる場合について詳しく記載する。2種類の触媒を用いる場合には、触媒のコスト等をなるべく下げ、触媒系を単純化した方がより好ましいことから、主に以下の3タイプに分類される。
【0064】
第1のタイプは、上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、触媒成分Bを含有しない触媒である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸根などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃水のpHを下げることにある。すなわち、従来の触媒では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水に転換することにある。
【0065】
この場合下流側の触媒は、特に好ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒(触媒成分Aを含有しない)である。該触媒の目的は、上記上流側の触媒で処理され、主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分となり、比較的pHの低下した廃水を処理し、廃水の浄化性を高めることにある。
【0066】
この第1のタイプは、廃水中の有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物の濃度がそれほど濃くないとき、比較的容易に上流側の触媒によりpHが低下するとき、または廃水のより高い浄化性が求められてなく、触媒系を単純化することで触媒価格を下げる必要があるときに特に効果的である。
【0067】
また2種類の触媒を用いる場合の第2のタイプは、上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ特に好ましくは触媒成分Bも少なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理しながら、もしくは廃水のpHを下げながら、低級有機酸および/または無機窒素化合物をさらに酸化および/または酸化分解処理することにある。すなわち処理の困難な廃水を比較的処理の容易な廃水に転換しながら、低級有機酸および/または無機窒素化合物等を処理し、廃水の浄化性を高めることにある。
【0068】
この場合下流側の触媒は、特に好ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分となり、比較的pHの低下した廃水を処理し、さらに廃水の浄化性を高めることにある。
【0069】
また、この場合下流側の触媒は、触媒成分Bと、上流側の触媒に比べ少ない量の触媒成分Aを共に含有する触媒とすることもできる。しかし、このようにするよりは上流側の触媒の触媒成分Aの含有量を増やすか、もしくは上流側の触媒の充填量を増加させた方がより効果的である。
【0070】
この第2のタイプは、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物から選ばれる物質の廃水中の濃度がそれほど濃くなく、なおかつ上流側の触媒層で廃水のpHがあまり高くないか、比較的容易にpHが低下する廃水の処理の場合に、すなわち従来の触媒の処理においても耐久性の低下が比較的顕著でない廃水の処理の場合において、廃水のより高い浄化性が求められているときに、廃水の浄化性を高くでき効果的であり、しかも触媒系を単純化することができることから触媒のコスト面でも効果的である。
【0071】
また2種類の触媒を用いる場合の第3のタイプは、上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、触媒成分Bを含有しない触媒である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸根などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃水のpHを下げることにある。すなわち従来の触媒では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水に転換することにある。
【0072】
この場合下流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ特に好ましくは触媒成分Bも少なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、上流側で酸化および/または酸化分解処理されて生成した主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等と、元々廃水中に含有されていたこれらの物質をも酸化および/または酸化分解処理し、廃水を浄化する。また同時に、まだ若干残留している有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれる従来の触媒の多くでは処理困難な物質を酸化および/または酸化分解処理し、廃水中の難分解性物質をより高効率で処理し、なおかつ耐久性および耐アルカリ性も高く保って処理することにある。
【0073】
この第3のタイプは、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれるような物質の廃水中の濃度が非常に濃いとき、または本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を用いて触媒湿式酸化処理を実施しても液のpHが高アルカリ域であるときなどの、従来の触媒の多くでは処理が非常に困難な廃水の場合に触媒の耐久性が高く、なおかつ処理活性も高く効果的である。しかしこの場合、下流側の触媒成分B含有の触媒の劣化を防止するために、触媒成分Aの含有量を、下流側に比べ上流側の触媒の方に多くする必要がある。上流側の触媒成分Aの含有量が少ない場合には、下流側の触媒成分B含有の触媒が劣化する問題が生じる。このため上流側の触媒の触媒成分Aの含有量は、下流側の触媒に比べ多くする方法を採用する。また、触媒劣化を防止する別の方法として、上流側触媒の充填量を多く取る方法もあげられる。しかし充填量を多くした場合、触媒量の増加ならびに反応塔の大型化のため触媒費および装置費がアップし、好ましくないことが多いものである。
【0074】
本発明に係る触媒において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒の組成は、触媒成分Aと、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物を含有する場合が効果的である。すなわち、これらのものを併用することによって触媒活性および耐久性、耐アルカリ性に優れた触媒となる。
【0075】
また本発明に係る触媒において触媒成分Aは、酸化物および/または複合酸化物の形態である化合物であることが効果的である。
【0076】
さらに本発明に係る触媒において触媒成分Aは、マンガンであるあることが効果的である。マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムの中でマンガンが最も耐久性および耐アルカリ性が高く、適用可能な廃水の種類および廃水の処理条件の範囲が広いものである。
【0077】
また本発明に係る触媒において触媒成分Aは、該触媒中に1種類であることの方が触媒の組成を単純化することができ、触媒の価格面においても優位である。
【0078】
このため、本発明に係る触媒において触媒成分Aは、マンガンの酸化物および/または複合酸化物であることが最も効果的である。
【0079】
さらに本発明に係わる触媒において、触媒成分Aの酸化物および/または複合酸化物は、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物と緊密に混合されてなるものが効果的であり、さらに効果的には、触媒成分Aの酸化物および/または複合酸化物が、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物および/または複合酸化物と、複合酸化物を形成しているものである。
【0080】
これらの本発明に係る触媒の各々の成分の比率は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明に係る触媒において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する(触媒成分Bを含有しない)触媒の組成は、触媒成分Aの合計が、マンガンの場合MnO2換算として、コバルトの場合Co2O3換算として、ニッケルの場合NiO換算として、銅の場合CuO換算として、またはセリウムの場合CeO2換算として、触媒成分Aを含有する触媒に対して0.05〜50重量%であるときが効果的である。またチタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が、チタンの場合TiO2換算として、ジルコニウムの場合ZrO2換算として、または鉄の場合Fe2O3換算として、触媒成分Aを含有する触媒に対して99.95〜50重量%であるときが効果的である。また好ましくは触媒成分Aの合計が0.5〜30重量%、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が99.5〜70重量%である。またさらに好ましくは、触媒成分Aの合計が1〜20重量%、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が99〜80重量%である。触媒成分Aの合計の割合が0.05重量%未満である場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒活性が充分でなく、50重量%よりも多い場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒活性は充分であるが該触媒の形状維持のための機械的強度が低下するという欠点を有する。従って、触媒が具備すべき種々の条件を考慮して、上記好ましい範囲から触媒成分Aの合計の割合、およびチタン、ジルコニウム、鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計の割合が選択される。
【0081】
また本発明に係る触媒において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ触媒成分Bも少なくとも1種をも含有する触媒の組成は、先に記載した組成の触媒(触媒成分Aと、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物および/または複合酸化物を含有する触媒)100重量部に対して、触媒成分Bが合計で0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜2.5重量部の範囲で含有せしめることが効果的である。0.05重量部未満である場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒成分Bによる効果が少なく、触媒成分Bによる触媒活性が向上しないものである。また10重量部を越える場合は、触媒費の上昇に見合った触媒活性の向上が得られないため、経済的に好ましくないうえ、該触媒の形状維持のための触媒の機械的強度も低下することがある。
【0082】
また本発明に係る触媒において、触媒成分Aを含有してなく、触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒は、特に限定されるものではなく、従来からの触媒を使用することができるものである。しかしながら好ましくは、触媒成分Bと、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物を含有する触媒である。該触媒の組成は特に限定されるものではないが、触媒成分Bの量が、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物ならびにその他の触媒成分の合計の100重量部に対して、合計で0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜2.5重量部の範囲で含有せしめることが効果的である。0.05重量部未満である場合は、触媒成分Bの効果が少なく、触媒成分Bによる触媒活性が向上しないものである。また10重量部を越える場合には、触媒費の上昇に見合った触媒活性の向上が得られないため、経済的に好ましくないうえ、該触媒の形状維持のための触媒の機械的強度も低下することがある。
【0083】
本発明に係る触媒は、先に記載した触媒成分の化合物等を特に成型等を行わず、粉末状の状態などで触媒として使用することもできるが、好ましくは次に記載する形状等に成型して用いることが好ましい。例えば、ペレット状、粒状、球状もしくはリング状のもの、またはハニカムなどの一体構造体等、種々の形状がある。また、上記形状を有する無機酸化物担体、金属担体等に本発明に係る触媒成分を担持して使用することもできる。また無機酸化物は、ガラス繊維等の成型助材と同じように本発明に係る触媒成分と混合し、成型して使用することも可能であり、この場合、触媒の成型性および機械的強度等を向上させるのに有効である。
【0084】
これらの無機酸化物は、触媒成分と混合し、成型して使用する場合には、触媒全量に対して、好ましくは70〜0.01重量%、より好ましくは10〜0.1重量%である。70重量%を超える場合は、触媒としての効果が減少するものであり、0.01重量%未満である場合は、不純物とみなすことができるものである。
【0085】
これらの無機酸化物担体もしくは金属担体は、これらに本発明に係る触媒成分を担持して使用する場合には、触媒全量に対して、好ましくは99.5〜20重量%、より好ましくは95〜50重量%であるときに効果的である。99.5重量%を超える場合は、触媒としての効果が減少するものであり、20重量%未満である場合は、担体としての効果が少なく、触媒としての形状を維持するための機械的強度が減少するものである。
【0086】
本発明に係る触媒湿式酸化処理の処理温度は、140℃以上370℃未満であり、好ましくは150℃以上300℃未満であり、さらに好ましくは160℃以上280℃未満である。処理温度が370℃以上である場合は廃水の液相を維持することができないものであり、300℃以上である場合は液相を維持するためにかなりの加圧条件を必要とするため、設備費ならびに運転費的にコストが高くなるものである。また、処理温度が140℃未満である場合は有機物および無機COD成分等の処理効率が低下し、廃水の浄化が不完全なものとなり、150℃未満の場合でもまだ充分にCOD成分等を分解することができないことが多いため廃水が充分浄化できない場合が多い。
【0087】
また、この処理温度は各々の触媒層、反応塔および湿式酸化処理装置ごとに異なってもよく、特に限定されるものではない。
【0088】
本発明における処理圧力は特に限定されるのではなく、液相を保持する圧力においてなされ、またこの処理圧力は各々の触媒層、反応塔および湿式酸化処理装置ごとに異なってもよく、特に限定されるものではない。
【0089】
また、本発明における酸素含有ガスの種類は特に限定されるものではなく、酸素、オゾン等のガスを用いることもできるが、好ましくは価格の安価な空気であり、場合によってはこれらを適宜不活性ガス等により希釈して用いることもできる。また、これらのガス以外にも、他のプラント等より生じる酸素含有の排ガスも適宜使用することができる。
【0090】
この酸素含有ガスの使用量は処理対象廃水の濃度により適宜選択されるが、廃水中のCOD成分等を完全に水、炭酸ガス、無機塩、その他灰分等にするに必要な酸素量の0.3〜5倍、より好ましくは1.0〜3倍である。5倍を越えるときは無用の酸素の供給となり、0.3倍未満である場合は必要な酸素量に足らず廃水の浄化が不完全なものとなる。また、0.3〜1.0倍の範囲は、廃水中のCOD成分等を完全に水、炭酸ガス、無機塩、その他灰分等にするに必要な酸素量として足らないが、通常の湿式酸化処理ではCODの処理効率は100%未満となることから、例えば1.0倍で供給した酸素は最終的に100%使用されることはなく、処理後の排ガス中に残ることが多い。このため、このような場合には供給する酸素量を実際の処理効率にあわせて1.0倍未満に減少させても、処理後に酸素が残存する酸素過剰の状態が保たれるのであれば処理に支障をきたさない場合もあるからである。
【0091】
また、この酸素含有ガスの供給位置は、廃水の流れ方向に対して上流側の触媒層の入口、もしくは反応塔の入口、あるいはその前の熱交換器の手前等から全量を供給してもよいし、各々の触媒層ごとに最適な空気量となるように分割して供給してもよい。また複数の反応塔を持つ場合には、上流側の反応塔で一度処理に使用した後の排ガスの一部もしくは全量を、下流側の他の反応塔での処理にそのまま使用してもよいし、最適な酸素濃度となるように酸素含有ガスを追加供給して処理に使用してもよく、特に限定されるものではない。また逆に、下流側の反応塔での処理に使用した排ガスを、上流側の反応塔での処理に使用してもよい。
【0092】
本発明に係る廃水の処理における液の処理量は、一般的に触媒の全量に対しての空間速度としては、0.1hr-1〜10hr-1であり、より好ましくは、0.5hr-1〜5hr-1である。空間速度10hr-1を越える場合には、廃水の処理効率が低下し、廃水の浄化が達成されないことが多い。また空間速度0.1hr-1未満である場合は、廃水の処理量が低下し、設備が過大なものとなる。
【0093】
本発明に係る廃水を湿式酸化処理する時のpHは、特に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。しかしながら、特に本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒では、従来の触媒に比較して耐アルカリ性に優れるという特質がある。このため、廃水のpHがアルカリ性であるものを処理するのに、もしくはアルカリ性の水溶液を廃水に添加しながら処理するものに効果的である。すなわち、廃水の流れ方向に対して上流側での触媒層における廃水のpHが、アルカリ性であるものの方が効果的である。従ってpH6以上で使用することが好ましく、さらに好ましくはpH7.5以上で使用することが好ましい。またこれは湿式酸化処理後の液pHならびに湿式酸化処理中の液pHについても同様であり、pH6以上で使用することが好ましく、さらに好ましくはpH7.5以上で使用することが好ましい。
【0094】
一般に、触媒湿式酸化処理に使用する配管および反応塔等の材質はステンレス鋼等が多く使用されており、酸性域では配管等の腐食の問題がある。そこで廃水は、アルカリ域のpHに調整されて反応に供されるのが好ましい。従来の触媒の多くは、液のpHがアルカリ域である場合、酸性の場合に比べ活性が低下することが多くあった。しかしながら、本発明に係る触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒は、耐アルカリ性に優れ、活性も高いという特質があるため、これらの要求からも好ましいものである。
【0095】
本発明に係る触媒は、前記のとおりアルカリ性において触媒の耐久性および活性が高いので、廃水のpHをアルカリ域に調整することが可能となり、装置の材質面において耐食性を向上させることができる。この装置材質の耐食性の問題は、従来廃水中に塩素イオン、臭素イオン、有機ハロゲン化合物などのハロゲン含有化合物;チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫化物、有機硫黄化合物などの硫黄含有化合物;硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオン、有機窒素化合物などの窒素含有化合物を含有した場合に特に問題であったが、本発明に係る廃水の処理方法は、これらを含む廃水の処理に対しても有効である。
【0096】
また、本発明に係る触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒で廃水を湿式酸化処理する時のpHの上限、すなわち該触媒層の入口部での液のpHの上限は、特に限定されるものではない。しかしながら、湿式酸化処理後の処理液のpHは、好ましくは12以下であることが効果的であり、さらに効果的にはpHが10以下である。pHが12よりも高い場合、処理後の液のpHが12以下、特に10以下の場合と比較して処理活性が低下することがある。また処理後の液を河川等に放流する場合、pHが高いときにはpHを調整し、中和する必要がある。処理後の液のpHが高いと、この時に使用する酸の量が増加する問題も生じる。さらにステンレス鋼などの材質を反応塔などに使用した場合、pHが12よりも高いときには材質のアルカリ腐食などの問題が生じることもある。
【0097】
また、本発明に係る触媒成分Aならびに触媒成分Bの両方を含有する触媒は、比較的耐アルカリ性が高いが、非常に高いアルカリ性の液を処理するには触媒の耐久性に問題を生じる場合もある。従って、該触媒を用いた場合には、該触媒層の入口部での液のpHが6〜13であることが好ましく、より好ましくは7.5〜12である。また該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHも6〜12であることが好ましく、より好ましくは7.5〜10である。該触媒層の入口部での液のpHが13よりも高い場合ならびに該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHが12よりも高い場合には、それ以下のpHのときと比較して、廃水の浄化性が低下するのみならず、触媒の耐久性にも問題が生じることがある。
【0098】
また、触媒成分Aを含有せず、触媒成分Bを含有する触媒の多くは、耐アルカリ性に問題があるため、高pHの液を処理することは触媒の耐久性等に問題を生じることが多い。従って、特に下流側の触媒に、本発明に係る触媒成分Aを含有してない触媒を用いた場合には、該触媒層の入口部での液のpHが2〜12であることが好ましく、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは5〜8である。また該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHも2〜10であることが好ましく、より好ましくは4〜8であり、さらに好ましくは5〜7である。pHが2未満である場合には装置材質の腐食の問題があり好ましくない。また、該触媒層の入口部での液のpHが12よりも高い場合ならびに該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHが10よりも高い場合には、それ以下のpHのときと比較して、廃水の浄化性が低下するのみならず、触媒の耐久性にも問題が生じることが多い。このため該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHが高い場合には、湿式酸化処理前の廃水のpHを調整することが望ましい。また、該触媒層の入口部での液のpHが高い場合には、湿式酸化処理前の廃水のpHを調整するか、または本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒等で、さらに予め廃水を湿式酸化処理し、廃水のpHを下げることが望ましい。
【0099】
廃水のpHを調整する際には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等もしくはこれらの水溶液等を適宜添加して調整すればよく、特に限定されるものではない。また必要に応じて、硫酸等の酸性のpH調整用の薬剤を添加することもでき、特に限定されるものではない。またこの場合の添加方法も特に限定されるものではなく、廃水のストックタンク等に前もって添加しておくこともあれば、フィ−ドポンプ等を用いて連続的に添加し、pHを調整することもできる。
【0100】
また、フィードポンプ等を用いて連続的に供給する場合、このpH調整用の薬剤の供給位置は上流側の触媒層入口、もしくはその前の熱交換器の手前から全量を供給してもよいし、各々の触媒層ごとに最適なpHとなるように分割して供給してもよく、また触媒層の途中から供給してもよく、特に限定されるものではない。また複数の反応塔を持つ場合には、各々の反応塔ごとに最適なpHとなるように供給してもよく、複数の触媒湿式酸化処理装置を用いて廃水を処理する場合には各々の触媒湿式酸化処理において適切な量のpH調整用の剤を供給してもよく、特に限定されるものではない。
【0101】
同様に、本発明に係る触媒で廃水を処理した後の処理液を、放流するに適した、あるいは後処理を実施するのに適したpHとなるように適宜上記と同じようにpH調整を行うことができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸等もしくはこれらの水溶液等を添加することができ、特に限定されるものではなく、この添加方法に関しても特に限定されるものではない。
【0102】
本発明においては、本発明の実施前に、予め従来からある廃水の浄化方法を用いて廃水を処理することもでき、特に限定されるものではない。例えば、重金属類やカルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、リンなどの除去に関する浄化処理を行うことができ、具体的には活性炭、無機吸着材もしくは有機高分子材料などを用いた吸着分離除去法および電気透析法などを用いて除去することができる。また廃水中の固形物などを分離除去する浄化処理を行うこともでき、さらには有機物ならびに無機COD成分等を分解する無触媒湿式酸化処理法等の浄化処理を採用することもできる。
【0103】
また同様に、本発明の実施後にも従来からある廃水の浄化方法を用いて本発明による処理液を処理することもでき、この処理方法については特に限定されるものではない。しかしながら、例えば本発明の実施後に、生物処理または化学的処理する場合にあっても、予め有害物質等の多くは廃水中から除かれ、かつCOD成分等もかなり低減されている。しかも本発明で処理した後の処理液中のCOD成分および窒素化合物等は、生物処理または化学的処理において非常に分解処理され易い物質である。このため生物処理設備または化学的処理設備への負担が非常に小さくなり、COD成分および硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物等は容易に処理できる。また、処理液中にカルシウム化合物等を添加し、リンなどの物質を不溶化させて除去する場合にあっても、予めリン化合物をリン酸にまで分解しているために容易に除去することが可能となる。
【0104】
また、本発明に係る方法を用いると、用地が狭くてすみ、装置もコンパクトであるため、従来からあるような廃水処理設備、例えば生物処理設備、燃焼処理設備などを採用した場合と比較して処理設備は小さく、処理プロセスも簡素化され、設備投資や、ランニングコストの面においても有利となる。
【0105】
また、本発明に係る触媒ならびに湿式酸化処理装置は適宜洗浄することができ、その洗浄方法等は特に限定されるものではなく、従来からあるような、例えば水およびアルカリ性の水溶液などを用いた洗浄方法で適宜実施することができる。
【0106】
本発明に係る廃水は、一般的に化学プラント設備、メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、写真処理設備等からの廃水を対象とするものである。さらに詳しくは、各種の工業廃水等の廃水を対象とするものであり、特に好ましくは、廃水中に窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる少なくと1種の化合物を含む廃水であり、さらに好ましくは、有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物よりなる群から選ばれる少なくと1種の化合物を含む廃水である。
【0107】
本発明に係る窒素含有化合物とは、アンモニア、ヒドラジン等の無機窒素化合物および有機窒素化合物のことである。さらに有機窒素化合物とは、窒素原子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであり、例えば、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ピコリン、アセトアミド、アニリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン酸、リジン、アスパラギン酸、セリン、メチオニン、ヒスチジン、エチレンジアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどの窒素原子含有の低分子な有機物、またはドデシルアミンなどのカチオン系または両性系の界面活性剤、またはポリアクリル酸アミドなどの窒素原子含有のポリマーなどである。
【0108】
また、本発明に係る硫黄含有化合物とは、硫酸根以外の硫黄原子を少なくとも1つ含む無機あるいは有機の化合物であり、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、メタンスルホン酸、チオフェン、チオフテン、p−トルエンスルホン酸、スルホ安息香酸、チオ酢酸、ナフタリンスルホン酸などの硫黄原子含有の低分子な有機物、またはドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン系あるいは両性系の界面活性剤、またはポリスルホン酸系などの硫黄原子含有のポリマー、またはチオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫化ソーダなどの硫黄原子含有の無機物などである。
【0109】
また、本発明に係るハロゲン含有化合物とは、塩化ナトリウム、臭素酸ナトリウムなどの無機のハロゲン化合物および有機ハロゲン化合物のことである。さらに有機ハロゲン化合物とは、ハロゲン原子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであり、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、塩化ビニル、臭化ベンジル、p−クロルフェノール、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタンなどのハロゲン原子含有の有機物などである。
【0110】
これらの化合物の濃度は特に限定されるものではないが、例えば、チオ硫酸イオン、硫化物イオン、アンモニアおよびヒドラジンなどの無機COD成分、ならびに、例えば、酢酸、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびp−クロルフェノールなどの有機物の場合には、これらの合計で廃水中に10mg/リットル〜100g/リットル、好ましくは100mg/リットル〜50g/リットルである。10mg/リットル未満である場合は、特に本発明に係る触媒を用いて処理を実施しなくとも充分処理できるものであり、100g/リットルを超える場合は、濃度が濃すぎるために、湿式酸化処理のための処理温度、供給酸素含有ガス量などの各種の制御が困難になるものである。
【0111】
また、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどの無機の塩類の場合、濃度が濃いときにはこれらの液中からの析出によるラインの閉塞などを生じる。このため無機の塩類は、これらの合計で200g/リットル未満が好ましく、より好ましくは150g/リットル未満であり、さらに好ましくは100g/リットル未満である。
【0112】
本発明において処理される廃水のCOD(Cr)の濃度は、特に限定されるものではないが、1g/リットル〜200g/リットル含まれている場合が効果的であり、より効果的であるのは10g/リットル〜100g/リットルである。COD(Cr)の濃度が200g/リットルを越える場合は、酸化熱が非常に大きくなるため処理装置の制御が困難であり、100g/リットルを越える場合においても酸化熱が大きいため冷却のための設備等を有することが多くコスト的に高くなる。また、1g/リットル未満である場合は、昇温に必要な熱量をほぼすべて熱供給装置により供給しなければならない。また、10g/リットル未満である場合においても酸化熱が小さく、付属設備として熱交換装置を用いて熱回収しても、この熱だけによる湿式酸化処理装置の自立運転は困難なことが多い。このためこのような場合にも別途熱供給装置を必要とすることが多く、使用エネルギー面からも相対的に不利となる。
【0113】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例にかかる廃水処理例と、比較例にかかる廃水処理例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0114】
(処理例1)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔に3種類の触媒を各0.33リットル層別に充填して、湿式酸化処理条件下で処理を500時間連続して行った。そして500時間後に得られた処理液のCOD(Cr)、pHを測定し、ならびに液体クロマト分析法によりメチオニンを分析した。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0115】
触媒を使用した湿式酸化条件下での処理の詳しい方法は、廃水供給ライン8より送られてくる廃水を廃水供給ポンプ3で1リットル/hrの流量で80kg/cm2Gまで昇圧フィードした。一方、酸素含有ガス供給ライン9より供給される空気をコンプレッサー5で昇圧した後、O2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.2の割合で前記該廃水に混入した。この気液混合物を気液混合物供給ライン10を経て、熱交換器2で加熱した。そして触媒を充填した湿式酸化反応塔1に下部より導入し、電気ヒーター17で加熱して処理温度250℃で触媒湿式酸化処理し、被処理液を処理液ライン11を経て、熱交換器2および冷却器18において冷却し、気液分離器4へ流した。この触媒層全量における廃水の空間速度は1hr-1であった。気液分離器4においては、液面コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁6を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(PC)により、圧力を検出して圧力制御弁7を作動させて一定の圧力を保持するように操作される。そして処理液排出ライン13から該処理液は排出され、処理液タンク14にストックされる。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アルカリ供給ライン16より供給して、アルカリ供給ポンプ15を用いて、湿式酸化反応塔1のから5ml/hの流量で供給した。
【0116】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を42g/リットル、pHは12.3であり、液体クロマト分析法により測定したところメチオニンを2.2g/リットル含有していた。
【0117】
また充填した触媒は、以下のような組成の触媒であった。反応塔入口部(下部,廃水の流れ方向に対して上流側)に充填した触媒は、マンガンとチタンの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2換算で20:80であった。反応塔中部(廃水の流れ方向に対して中流側)に充填した触媒は、マンガン、チタンの酸化物および/または複合酸化物と白金よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Pt換算で5:95:0.3であった。さらに反応塔出口部(上部,廃水の流れ方向に対して下流側)に充填した触媒は、チタンの酸化物と白金よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Pt換算で100:0.3であった。
【0118】
500時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は0.9g/リットル、COD(Cr)処理効率98%でpHは8.1であった。またメチオニンは検出されなかった。またアンモニウムイオンについてもイオンクロマト分析法により測定したが、検出されなかった。
【0119】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれの触媒も廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0120】
(比較処理例1)
処理例1において反応塔入口部および反応塔中部に使用した触媒の代わりに反応塔出口部と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔出口部の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理例1で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0121】
500時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は14g/リットル、COD(Cr)処理効率67%でpHは9.2であった。またメチオニンを測定したところ0.1g/リットル検出され、アンモニウムイオンも0.05g/リットル検出された。
【0122】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した結果、廃水処理前の触媒に比べ触媒中の白金の含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において大幅に減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、TiO2:Pt換算で100:0.04であった。
【0123】
(処理例2)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を各0.5リットル充填した以外は、処理例1で記述した条件と同条件で処理を100時間行った。
【0124】
反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、コバルト、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、Co2O3:TiO2:ZrO2換算で10:63:27であった。さらに反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物とパラジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:ZrO2:Pd換算で70:30:0.6であった。
【0125】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)2.1g/リットル、COD(Cr)処理効率95%でpHは8.2であった。またメチオニンは検出されなかった。またアンモニウムイオンについても測定したが、検出されなかった。
【0126】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0127】
(比較処理例2)
処理例2において反応塔出口部(上部)に使用した触媒の代わりに反応塔入口部(下部)と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔入口部(下部)の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理例2で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0128】
開始直後に得られた処理液の結果および100時間後に得られた処理液の結果は、共にCOD(Cr)は8.3g/リットル、COD(Cr)処理効率80%でpHは8.4であった。しかしメチオニンは検出されなかったが、アンモニウムイオンが0.25g/リットル検出された。
【0129】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0130】
(処理例3)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔の液の流れ方向に対して上流側の反応塔(第一湿式酸化反応塔)1に下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、また液の流れ方向に対して下流側の反応塔(第二湿式酸化反応塔)19にも下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0131】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、ニッケルとジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、NiO:ZrO2換算で5:95であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、ジルコニウムの酸化物とルテニウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、ZrO2:Ru換算で100:1.5であった。
【0132】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を57g/リットル、pHは7.6で、ガスクロマト分析法により測定したところp−クロルフェノールを0.5g/リットル含有していた。
【0133】
廃水の処理条件は、処理温度260℃、処理圧力90kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、10ml/hの流量で供給した。
【0134】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.3g/リットル、COD(Cr)処理効率96%でpHは8.8であった。またp−クロルフェノールを測定したところ検出されなかった。
【0135】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0136】
(比較処理例3)
処理例3において第一湿式酸化反応塔1と第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒とを逆に充填した以外は、処理例3で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0137】
開始直後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は4.6g/リットル、COD(Cr)処理効率92%で、pHは9.0であった。またp−クロルフェノールは検出されなかった。
【0138】
また100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は6.8g/リットル、COD(Cr)処理効率88%で、pHは9.2であった。p−クロルフェノールは検出されなかった。
【0139】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その結果第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒において、廃水処理前の触媒に比べ触媒中のルテニウムの含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、ZrO2:Ru換算で100:0.9であった。ただし、第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、特に変化は認められなかった。
【0140】
(処理例4)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以下に記載する2種類の触媒を充填して処理した以外は、処理例3で記述した方法と同条件で処理を行なった。
【0141】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、マンガン、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:ZrO2:Ru換算で8:60:32:0.3であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:ZrO2:Ru換算で65:35:1.0であった。
【0142】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は1.2g/リットル、COD(Cr)処理効率98%でpHは8.5であった。またp−クロルフェノールを測定したところ検出されなかった。
【0143】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0144】
(処理例5)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以下に記載する3種類の触媒を充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で処理を行なった。
【0145】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3換算で5:19:76であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は入口部(下部)には、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.25リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3:Rh換算で3:19:78:0.5であった。また第二湿式酸化反応塔19の出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.75リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3:Rh換算で20:80:0.5であった。
【0146】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を37.5g/リットル、pHは11.1で、ガスクロマト分析法により測定したところジメチルホルムアミドを12g/リットル含有していた。
【0147】
廃水の処理条件は、処理温度235℃、処理圧力60kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1と第二湿式酸化反応塔19の間からアルカリ供給ポンプ20を用いて、30ml/hの流量で供給した。
【0148】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は0.7g/リットル、COD(Cr)処理効率98%でpHは8.7であった。またジメチルホルムアミドおよびアンモニウムイオンを測定したが、ともに検出されなかった。
【0149】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0150】
(比較処理例4)
処理例5において始めの湿式酸化処理に用いた触媒と、後の湿式酸化処理に用いた触媒とを逆にして用いた以外は、処理例5で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、入口部(下部)には、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.75リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3:Rh換算で20:80:0.5であった。また第一湿式酸化反応塔1の出口部(上部)に充填した触媒は、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.25リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3:Rh換算で3:19:78:0.5であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3換算で5:19:76であった。
【0151】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は8.4g/リットル、COD(Cr)処理効率78%で、pHは9.3であった。またジメチルホルムアミドが1.2g/リットル検出され、アンモニウムイオンも0.3g/リットル検出された。
【0152】
(処理例6)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以下に記載する2種類の触媒を充填して処理し、処理温度を200℃とした以外は、処理例5で記述した方法と同条件で処理を行なった。
【0153】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で15:17:68であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とパラジウムよりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3:Pd換算で5:19:76:0.2であった。
【0154】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率97%でpHは8.7であった。またジメチルホルムアミドおよびアンモニウムイオンを測定したが、ともに検出されなかった。
【0155】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0156】
(処理例7)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で110時間処理を行なった。得られた処理液は処理液タンク14にストックし、さらに下記に記載する触媒1.0リットルを充填した同様の別の湿式酸化処理装置で再度100時間湿式酸化処理を行った。
【0157】
始めの湿式酸化処理装置に充填した触媒は、セリウム、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、CeO2:TiO2:Fe203換算で5:76:19であった。また後の触媒湿式酸化処理装置に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とルテニウムおよびイリジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3:Ru:Ir換算で20:80:0.5:0.2であった。
【0158】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を43g/リットル、pHは5.4で、ガスクロマト分析法により測定したところジメチルスルホキシドを7.3g/リットル含有していた。
【0159】
始めの湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度245℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を反応塔の前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、30ml/hの流量で供給した。
【0160】
また後の湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度255℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.0となるように供給し、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0161】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)9.9g/リットル、COD(Cr)処理効率77%でpHは8.0であった。またジメチルスルホキシドは検出されなかった。また処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果も、COD(Cr)9.9g/リットル、COD(Cr)処理効率77%、pH8.0で、ジメチルスルホキシドは検出されなかった。
【0162】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)1.7g/リットル、COD(Cr)処理効率83%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は96%であった。またこの処理液のpHは6.8であった。
【0163】
またその後廃水の処理を停止し、始めの湿式酸化反応処理装置および後の湿式酸化処理装置の反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、共に廃水処理前と比較して特に変化は認められなかった。
【0164】
(比較処理例5)
処理例7において始めの湿式酸化処理に用いた触媒と、後の湿式酸化処理に用いた触媒とを逆にして用いた以外は、処理例7で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0165】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)10.5g/リットル、COD(Cr)処理効率76%、pH8.1で、ジメチルスルホキシドは検出されなかった。また、処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果は、COD(Cr)9.1g/リットル、COD(Cr)処理効率79%で、pHは8.0であった。
【0166】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)5.6g/リットル、COD(Cr)処理効率47%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は87%であった。またこの処理液のpHは7.5であった。
【0167】
(処理例8)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、第一湿式酸化反応塔1は空塔で、第二湿式酸化反応塔19には以下に記載する2種類の触媒を充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で処理を行なった。
【0168】
第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は入口部(下部)には、マンガン、コバルト、チタンの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:Co2O3:TiO2換算で10:5:85であった。また第二湿式酸化反応塔19の出口部(上部)に充填した触媒は、マンガン、チタンの酸化物および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Ru換算で5:95:1.0であった。
【0169】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を13.5g/リットル、pHは13.0であった。また、検知管により硫化物イオン、陰イオンクロマト分析法によりチオ硫酸イオンを分析したところ硫化物イオンを4.6g/リットル、チオ硫酸イオンを8.5g/リットル含有していた。
【0170】
廃水の処理条件は、処理温度165℃、処理圧力9kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.5となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の手前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、20ml/hの流量で供給した。
【0171】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は3.7g/リットル、COD(Cr)処理効率73%でpHは8.3であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析したが、検出されなかった。
【0172】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0173】
(比較処理例6)
処理例8において第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒の代わりにチタンの酸化物およびルテニウムよりなる触媒とした以外は、処理例8で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、各成分の重量比が蛍光X線法により、TiO2:Ru換算で100:1.0の触媒を1.0リットル用いた。
【0174】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は6.1g/リットル、COD(Cr)処理効率55%で、pHは10.1であった。 また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析した結果、硫化物イオンが0.08g/リットル、チオ硫酸イオンが0.4g/リットル検出された。
【0175】
またその後廃水の処理を停止し、第二湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その結果廃水処理前の触媒に比べ触媒中のルテニウムの含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、TiO2:Ru換算で100:0.6であった。
【0176】
(処理例9)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔の液の流れ方向に対して上流側の反応塔(第一湿式酸化反応塔)1に下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、また液の流れ方向に対して下流側の反応塔(第二湿式酸化反応塔)19にも下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0177】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、マンガン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:ZrO2:Fe2O3換算で20:16:64であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、マンガン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:ZrO2:Fe2O3換算で5:19:76であった。
【0178】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を26.3g/リットル、pHは9.6で、ガスクロマト分析法により測定したところエチレンジアミンを5.0g/リットル含有していた。
【0179】
廃水の処理条件は、処理温度240℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.2となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。なお25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0180】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は1.6g/リットル、COD(Cr)処理効率94%でpHは7.5であった。またエチレンジアミンを測定したところ検出されなかった。
【0181】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0182】
(比較処理例7)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔1に比較処理例7と同じ触媒を1.0リットル充填し、廃水の供給量1リットル/hで処理を行った以外は、比較処理例7および処理例9と同様の操作方法で処理を行なった。
【0183】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.9g/リットル、COD(Cr)処理効率89%で、pHは7.9であった。 またエチレンジアミンは検出されなかった。
【0184】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0185】
(比較処理例8)
処理例9において第一湿式酸化反応塔1および第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒を両方とも下記に記載した触媒とした以外は、処理例9で記述した条件と同条件で処理を行った。充填した触媒は、マンガン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比が蛍光X線法により、MnO2:ZrO2:Fe2O3換算で12.5:17.5:70の触媒で、それぞれの反応塔に各1リットル用いた。
【0186】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.1g/リットル、COD(Cr)処理効率92%で、pHは7.7であった。 またエチレンジアミンは検出されなかった。
【0187】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの反応塔の触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0188】
(比較処理例9)
処理例9において第一湿式酸化反応塔1および第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒をチタンの酸化物およびイリジウムよりなる触媒とした以外は、処理例9で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、各成分の重量比が蛍光X線法により、TiO2:Ir換算で100:1.0の触媒を2.0リットル用いた。
【0189】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は7.4g/リットル、COD(Cr)処理効率72%で、pHは8.5であった。 またエチレンジアミンが0.8g/リットル検出された。
【0190】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その結果第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒において、廃水処理前の触媒に比べ触媒中のイリジウムの含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、TiO2:Ir換算で100:0.2であった。
【0191】
(処理例10)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を充填し、下記条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0192】
反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒0.7リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で10:81:9であった。さらに反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒0.3リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3換算で90:10であった。
【0193】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を25.1g/リットル、pHは13.4で、検知管により硫化物イオンを、陰イオンクロマト分析によりチオ硫酸イオンを分析したところ、硫化物イオンとして8.5g/リットル、チオ硫酸イオンとして0.2g/リットル含有していた。
【0194】
廃水の処理条件は、処理温度160℃、処理圧力9kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.0となるように供給した。なお25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0195】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は4.1g/リットル、COD(Cr)処理効率84%でpHは10.5であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析したが、検出されなかった。
【0196】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0197】
(比較処理例10)
処理例10において反応塔入口部(下部)に使用した触媒の代わりに反応塔出口部(上部)と同じ触媒を充填した以外は、処理例10で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、各成分の重量比が蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3換算で90:10の触媒を1.0リットル用いた。
【0198】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は9.5g/リットル、COD(Cr)処理効率62%でpHは12.1であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析した結果、硫化物イオンが0.41g/リットル、チオ硫酸イオンが0.6g/リットル検出された。
【0199】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0200】
(比較処理例11)
処理例10において反応塔出口部(上部)に触媒を充填せずに空塔とした以外は、処理例10で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、反応塔下部に、各成分の重量比が蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で10:81:9の触媒を0.7リットルのみ用いた。
【0201】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は4.5g/リットル、COD(Cr)処理効率82%でpHは10.6であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析したが、検出されなかった。
【0202】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0203】
(処理例11)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で110時間処理を行なった。得られた処理液は処理液タンク14にストックし、さらに下記に記載する触媒1.0リットルを充填した同様の別の湿式酸化処理装置で再度100時間湿式酸化処理を行った。
【0204】
始めの湿式酸化処理装置に充填した触媒は、マンガン、チタン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:ZrO2:Fe203換算で3:33:14:50であった。また後の触媒湿式酸化処理装置に充填した触媒は、チタンの酸化物とパラジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Pd換算で100:0.6であった。
【0205】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を36g/リットル、pHは13.6で、有機物を主成分とする廃水であり、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物からなる化合物を含んでいなかった。
【0206】
始めの湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度250℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように供給した。なお25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0207】
また後の湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度250℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように供給し、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0208】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率97%でpHは7.8であった。 また処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果も、COD(Cr)1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率97%、pH7.8であった。
【0209】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)0.2g/リットル、COD(Cr)処理効率82%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は99%であった。またこの処理液のpHは7.5であった。
【0210】
またその後廃水の処理を停止し、始めの湿式酸化反応処理装置および後の湿式酸化処理装置の反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、共に廃水処理前と比較して特に変化は認められなかった。
【0211】
(比較処理例12)
処理例11において始めの湿式酸化処理に用いた触媒と後の湿式酸化処理に用いた触媒を逆にして処理を行った以外は、処理例11で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0212】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)3.4g/リットル、COD(Cr)処理効率91%、pH8.4であった。また、処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果は、COD(Cr)2.6g/リットル、COD(Cr)処理効率93%で、pHは8.2であった。
【0213】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)0.8g/リットル、COD(Cr)処理効率69%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は98%であった。またこの処理液のpHは7.7であった。
【0214】
(処理例12)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を各0.5リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で処理を100時間行った。
【0215】
反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、マンガン、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:ZrO2換算で1:39:60であった。さらに反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタンの酸化物とルテニウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Ru換算で100:0.8であった。
【0216】
処理に供した該廃水の性状は、有機物、硫酸アンモニウムおよび硫酸ナトリウムを主成分とする廃水であり、COD(Cr)は21g/リットル、pHは2.1であった。またイオンクロマト分析により測定した結果、塩化物イオンを0.65g/リットル、硫酸イオンを41.0g/リットルおよびアンモニウムイオンを3.10g/リットル含有していた。
【0217】
廃水の処理条件は、処理温度230℃、処理圧力60kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5となるように供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、40ml/hの流量で供給した。
【0218】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)1.5g/リットル、COD(Cr)処理効率93%で、pHは8.4であった。またアンモニウムイオンは検出されなかった。
【0219】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0220】
(比較処理例13)
処理例12において反応塔入口部(下部)に使用した触媒の代わりに反応塔出口部(上部)と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔出口部(上部)の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理例12で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0221】
開始直後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.8g/リットル、COD(Cr)処理効率87%で、pHは8.7であった。またアンモニウムイオンは検出されなかった。
【0222】
しかし100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)4.0g/リットル、COD(Cr)処理効率81%、pH8.9で、アンモニウムイオンが0.08g/リットル検出された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【符号の説明】
1.湿式酸化反応塔(第一湿式酸化反応塔)
2.熱交換器
3.廃水供給ポンプ
4.気液分離器
5.コンプレッサー
6.液面制御弁
7.圧力制御弁
8.廃水供給ライン
9.酸素含有ガス供給ライン
10.気液混合物供給ライン
11.処理液ライン
12.ガス排出ライン
13.処理液排出ライン
14.処理液タンク
15.アルカリ供給ポンプ
16.アルカリ供給ライン
17.電気ヒーター
18.冷却器
19.第二湿式酸化反応塔
20.アルカリ供給ポンプ
【産業上の利用分野】
本発明は、廃水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、化学プラント設備、メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、写真処理設備等から排出される廃水を浄化処理する場合に用いられる廃水の処理方法に関する。特に廃水の浄化方法の中でも、廃水中の有機物および/または無機COD成分を分解するため、該廃水を固体触媒の存在下に湿式酸化処理する該廃水の浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃水の処理方法として、活性汚泥法と広く一般的に呼ばれる生物的処理法、焼却による燃焼処理法およびチンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化処理法などが知られている。
【0003】
生物的処理法は、有機物等の分解に長時間を要し、またアンモニアなどの難分解性窒素化合物の処理のためには複雑な工程を要し、しかも藻類、バクテリヤ等の微生物の生育に適した濃度に廃水を希釈したり、微生物の生育に適したpHに廃水を調節するなどの必要があるため処理施設の設置面積が広大になるなどの欠点がある。
【0004】
燃焼処理法は、燃焼のための燃料費等のコストがかかるうえ、排ガス等の二次公害の問題などの欠点がある。
【0005】
チンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化処理法は、高温高圧下で廃水を酸素含有ガスの存在下に処理し、有機物および/または無機COD成分等を酸化もしくは酸化分解させる方法であって、優れた処理方法ではある。しかし、一般的に処理効率が低いため、さらに二次処理設備を必要とすることが多く、高処理効率を目的とする場合には設備上の問題も少なくない。
【0006】
このため、この湿式酸化処理法において処理効率を向上させることを主たる目的として各種の触媒を使用する方法が提案されている。特に固体触媒を用いた湿式酸化法(以下、触媒湿式酸化処理とも記載する)は、その高い廃水の浄化性ならびに優れた経済性等の面から近年特に注目されている。これらの触媒の例としては、パラジウム、白金等の貴金属類をアルミナ、シリカ、シリカゲル、活性炭等の担体に担持した触媒がある(特開昭49−44556号、特開昭49−94157号)。
【0007】
しかしながら廃水は、一般に含有される成分の種類が同じであることは希であり、例えば、窒素原子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない有機物以外に窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等が廃水に含まれている場合も多くある。従って、上記の触媒を使用するだけでは、これらの成分を充分に処理することができないことが多いものである。
【0008】
例えば、上に挙げた従来の方法では、各種化学プラント廃水等に多く含まれるアミン化合物、アミド化合物、アミノ酸化合物等の有機窒素化合物、もしくはアンモニア、ヒドラジン等の無機窒素化合物などの窒素含有化合物を含む廃水;石油化学系および写真廃水系等の廃水に多く含まれるチオ硫酸および亜硫酸、硫化物などの無機硫黄化合物、もしくは界面活性剤および溶剤などに多く使用される有機硫黄化合物などの硫黄含有化合物を含む廃水;洗浄剤およびファインケミカル系等の廃水に多く含まれる有機ハロゲン化合物などのハロゲン含有化合物を含む廃水等の種々の廃水の処理に関しては、特に処理効率が充分ではなかった。また、上記の従来の触媒湿式酸化処理では、本発明者らの検討によれば長期使用により、触媒の強度の低下および破砕粉化を生じ、さらに触媒の溶解を生ずる場合もあり、耐久性に劣り、実用的ではなかった。
【0009】
また、その他に問題を解決する技術として、チタニアまたはジルコニアを担体として用いる方法が提案されている(特開昭58−64188号)。これによると、球状または円筒状のチタニアまたはジルコニアの担体にパラジウム、白金等の貴金属化合物、および鉄、コバルト等の重金属化合物を担持した触媒が開示され、従来の担体と比べて優れた強度を有することが記載されている。しかしながら、これらの触媒はいずれも触媒活性および耐久性において未だ充分満足できるものではなかった。
【0010】
これらの問題を解決しようとして、本発明者らは既に、チタンとジルコニウムの複合酸化物と、パラジウムおよび白金等の貴金属類および/またはコバルト、ニッケル等の重金属類を含有する触媒を用いた廃水の処理方法(特公平3−34997号)、鉄とチタン、ケイ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物と、パラジウムおよび白金等の貴金属類、および/またはコバルト、ニッケル等の重金属類を含有する触媒およびその触媒を用いた廃水の処理方法(特開平5−138027号)を提案した。これらの触媒はいずれも触媒活性が高く、耐久性においても高いものであるが、廃水の処理における経済性および浄化効率の向上がなされれば、さらに好ましい結果を得ることができる。
【0011】
また、一般に廃水の触媒湿式酸化処理においてはコストの面からステンレス鋼などの材質の反応塔等が使用されるが、このものは酸性域では腐食に弱いために廃水のpHはアルカリ域に調整されて反応に供されている場合が多い。特に窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物を含む廃水は、該処理により、硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン化物イオン等を生成するため、酸性領域での処理が、困難な場合が多い。このため、これらのものを含む廃水の場合には、アルカリ域での処理をすることが多いが、従来の触媒の中にはアルカリ域の使用において充分な耐久性および処理活性でないものが多かった。従って、廃水がアルカリ域にあっても充分な耐久性および処理活性を有する触媒、ならびに廃水の処理方法が望まれている。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、触媒湿式酸化処理における新規な廃水の処理方法を提案することにある。
【0013】
さらに詳しくは、本発明の目的は特に触媒湿式酸化処理において、窒素原子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない炭化水素系有機物以外にも、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等が含まれている処理の困難な廃水においても、言い換えれば如何なる種類の有機物および/または無機COD成分等の河川等を汚染する有害物質を含有する廃水においても浄化性高く廃水を処理し、なおかつ経済的にも優れた触媒湿式酸化処理による廃水の処理方法を提供することにある。
【0014】
さらに具体的には、触媒湿式酸化処理で廃水の浄化を行うにあたり、触媒活性が高く、耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水処理用触媒、特に窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物に対して触媒活性が高く、耐久性および耐アルカリ性に優れた触媒湿式酸化処理用触媒を用いた経済的にも優れ、高い廃水の浄化性能を有する廃水の処理方法に関して提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
廃水処理用触媒の触媒活性成分として、従来、種々の重金属類、貴金属類元素有効であることが知られているが、本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意研究の結果、窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水処理用触媒を見い出した。そして、該触媒を用いて湿式酸化条件下に廃水を処理し、さらにその後、他の触媒を用いて廃水を処理することにより、廃水が非常に浄化性高く処理でき、なおかつ経済性にも優れることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0016】
さらに詳しくは、本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意研究の結果、廃水処理用触媒の触媒成分としてマンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒が、触媒活性が高く、特に耐久性および耐アルカリ性にも優れることを見いだした。この触媒成分Aを含有する触媒は、従来の触媒の多くにおいて処理困難で、処理活性が低く、なおかつ触媒の劣化の原因ともなった窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物等の処理の困難な物質に対しても触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性にも優れている。このため、処理困難な物質等を含有した処理の困難な廃水においても、該触媒を用いた湿式酸化処理では、触媒の劣化等の問題もなく、耐久性よく処理でき、なおかつ、特に、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の物質の多くを高効率で分解処理できることを見いだした。
【0017】
さらに上記の理由から、本発明においては、この処理の後、従来からの他の触媒を用いて処理を行っても、従来からの触媒の耐久性を損なうことなく処理することができることも見い出したものである。この理由は、触媒成分Aを含有する触媒が、特に従来からの触媒の多くにおいて触媒の耐久性を損なう原因となった有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の物質の多くを、分解処理しているためである。これにより、従来からの他の触媒も使用することが可能となったものである。
【0018】
これにより本発明において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒で廃水を処理した後に用いる触媒、すなわち後から用いる触媒に、触媒コストの安い従来からの他の触媒を用いた時には、触媒コストの低減を図ることができ、これにより処理コストの低減をも図ることができることも見い出した。
【0019】
また同様に、後から用いる触媒に、前の処理に用いた触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒に比べ、触媒成分Aの含有量が少ない等の触媒コストの安い触媒を用いた時にも、触媒コストの低減を図ることができ、これにより処理コストの低減をも図ることができるも見い出した。
【0020】
さらに本発明において、後から用いる触媒に、前の処理で用いた触媒の性能以上に優れた触媒性能を持つ触媒を用いて処理を行った時には、後から用いた触媒の性能を充分に引き出すこともできることを見い出した。特に、この優れた触媒性能を持つ触媒が、耐久性に劣る問題があった場合には、本発明による方法を採用することによって、この耐久性の問題を改善することが可能となったものである。これにより、廃水の浄化性を極めて高いものとすることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
この触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒(触媒成分Bを含有しない触媒)は、アンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して、従来の触媒成分Bを含有する触媒に比べ活性の低い傾向があった。このアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物は、窒素含有化合物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。また酢酸などの低級有機酸は、種々の有機物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。
【0022】
このため特に本発明者等は鋭意研究の結果、まず始めに、有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた触媒、すなわち触媒成分としてマンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて該廃水を処理する。そして、その後、他の従来からあるアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して触媒活性の高い触媒成分Bを含有する触媒を用いて廃水を浄化することにより、極めて廃水の浄化性をあげることができ、なおかつ経済的にも優れることを見い出し、さらに本発明をより優れたものにするに至ったのである。
【0023】
かくして、本発明は、以下のごとくの廃水処理用触媒を用いた廃水の処理方法を提供する。
【0024】
(1) 酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度で、少なくとも2種類の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を用い、なおかつこのうち少なくとも1種は、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成または組成比のうち、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物の少なくとも1種の触媒中の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向であること(ただし、コバルトおよび銅をそれぞれ単独で含有する触媒を廃水の最上流側に配置する場合を除く。以下、同じ。)を特徴とする廃水の処理方法。
【0025】
(2) ひとつの反応塔に少なくとも2種の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填して用いることを特徴とする上記(1)記載の廃水の処理方法。
【0026】
(3) 複数の反応塔に少なくとも2種の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用いることを特徴とする上記(1)記載の廃水の処理方法。
【0027】
(4) 触媒成分Aの合計の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0028】
(5) 触媒成分Aが、その元素の酸化物および/または複合酸化物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0029】
(6) 該廃水の流れ方向に対して下流側に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分B)の少なくとも1種を含有する触媒を設置して湿式酸化処理することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0030】
(7) 該廃水の流れ方向に対して上流側の触媒に、触媒成分Bを含有しない触媒を設置して湿式酸化処理することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0031】
(8) 廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
(9) 触媒成分Aがマンガンを含有するものである上記(1)〜(8)のいずれかに記載の廃水の処理方法。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
【具体的説明】
本発明は、酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度で、少なくとも2種類以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を用いて湿式酸化処理する方法を採用する。さらにこの触媒のうち少なくとも1種は、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いる。そして廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成または組成比のうち、触媒成分Aの含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向となるように設置して湿式酸化処理する方法を採用し、廃水を処理する。
【0034】
すなわち本発明の触媒湿式酸化処理方法では少なくとも1種は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒を用いる。
【0035】
従来の触媒、特に貴金属類のみを主たる触媒活性成分として含有した触媒の多くは、アルカリ域の使用において充分な耐久性および処理活性でないものが多く、廃水の処理pHがアルカリ域であっても充分な耐久性および処理活性を有する触媒が望まれていた。
【0036】
一般に廃水の触媒湿式酸化処理においてはステンレス鋼などの材質の反応塔等が使用される。しかしながら、これらのものは酸性域での使用では耐食性に劣ることが多い。このため、廃水のpHはアルカリ域に調整されて反応に供されることが多い。特に窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物を含む廃水は、該処理により、硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン化物イオン等を生成するため、酸性領域での処理が、困難な場合が多いものである。
【0037】
さらに従来の触媒の多くは、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を含有した廃水の処理において耐久性に問題があり、触媒の劣化が多くの触媒で見られ、さらにこれらの触媒では触媒活性も充分なものではなかった。また一部の耐久性に優れた従来の触媒においても、廃水の処理における経済性および浄化効率の向上の観点からすれば、より耐久性が高く、触媒活性も高い触媒ならびに処理方法が開発されればより好ましいものであった。
【0038】
本発明者らは、鋭意検討の結果、アルカリ域での処理においても触媒活性が高く、耐久性にも優れ、さらに特に、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性に優れた触媒として、特に触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒が優れていることを見い出した。そして多くの廃水の場合には、この本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を用いるだけで浄化性の高い処理液を得ることができるものであった。また特に、これにより従来の触媒では比較的処理困難であった廃水の処理pHがアルカリ域での処理、ならびに有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を含有した廃水の処理においても浄化性高く、しかも耐久性よく処理できるようになった。
【0039】
さらに本発明者らは鋭意検討の結果、この触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒を用いた廃水の処理方法において、廃水の流れ方向に対して上流側に用いる触媒成分Aを含有する触媒に比べ、触媒成分Aの含有量の少ない触媒を、この処理における廃水の流れ方向に対して下流側の触媒に用いた場合、上流側で用いた触媒を下流側にも用い、単一な触媒で処理をした場合と比較して、処理活性がさほど変わらないことが多いことを見い出した。そして、この複数の触媒を用いる方法を採用することで、触媒成分Aの量が少なくてもよくなるため、触媒コストの低減を図ることができることを見い出した。
【0040】
さらに、触媒層全体で用いる触媒成分Aの量が同じ場合には、上流側の触媒成分Aの含有量を多くし、下流側の触媒成分Aの含有量を少なくした方がより処理活性が高くなることが多いことも見い出した。従って、この方法を採用することにより、より処理活性を上げることもでき、このため触媒量を減らすこともできることを見い出した。
【0041】
また、本発明に係る触媒は、触媒成分Aの含有量の少ない方が触媒の形状維持のための機械的強度が強く、触媒の耐久性がより高い。このため、処理活性が維持できるものであれば必要に応じて、触媒成分Aの含有量が少ない方が好ましいものである。
【0042】
また後から用いる触媒に、触媒コストの安い従来からの他の触媒を用いた場合には触媒コストの低減を図ることができ、すなわち処理コストの低減を図ることができることも見い出した。従来からの他の触媒としては、廃水処理用触媒の触媒成分として、種々の重金属類、貴金属類の元素が有効であることが知られており、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、鉄、亜鉛、錫、ニオブ、モリブテン、タングステン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金および金よりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物を含有する触媒がある。そして、触媒コストの低減を図る目的には、特に限定されるものではないが、この内の触媒コストの安い触媒などが用いられる。この場合、従来からの触媒は、本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒で処理した後の処理液を処理するために、触媒の耐久性を損なうことなく、充分触媒の性能を引き出すことができるものである。
【0043】
またさらに本発明者らは鋭意検討の結果、廃水の流れ方向に対して上流側に用いた触媒成分Aを含有する触媒の性能以上に優れた触媒活性を有する触媒を、下流側に用いて処理を行った時には、その下流側で用いた触媒の性能を充分に引き出すことができることも見い出した。すなわち、触媒成分Aを含有する触媒を用いただけの処理に比べ、より優れた廃水の処理活性を得ることができることを見い出した。
【0044】
触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒(触媒成分Bを含有しない)は、アンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して、従来の貴金属類を含有してなる優れた触媒に比べ、処理活性が低い傾向があった。このアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物は、窒素含有化合物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。また酢酸などの低級有機酸は、有機窒素化合物、有機硫黄化合物、有機ハロゲン化合物等も含む種々の有機物を触媒湿式酸化処理した過程で生成する。このため本発明者等は鋭意研究の結果、有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めて耐久性および耐アルカリ性に優れた触媒、すなわち触媒成分Aを含有する触媒を始めに用いて該廃水を処理し、その後、他の従来からあるアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物および酢酸などの低級有機酸に対して触媒活性の高い触媒成分Bを含有する触媒を用いて廃水を処理することにより、極めて高い廃水の浄化性を得ることができることを見い出した。
【0045】
これにより廃水の浄化性は非常に向上し、処理の耐久性も飛躍的に向上することができるものであり、経済的にも好ましいものである。
【0046】
さらに詳しくは、本発明に係る触媒成分Aを含有し、触媒成分Bを共に含有しない触媒は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物に対して触媒活性が高く、極めてこれらを含有する廃水の処理に対する耐久性に優れている。
【0047】
しかし、酢酸などの低級有機酸およびアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物に対しては、触媒成分Bを含有する貴金属系の触媒の方が触媒活性の高い場合が多い。またこのような低級有機酸および/または無機窒素化合物の組成だけにまで分解された廃水は、従来の触媒でも特に耐久性に問題はなかった。このため貴金属系の触媒、特に触媒成分Bを含有する触媒を、触媒成分Aを含有する触媒で廃水を処理した後に用いて湿式酸化処理することにより、廃水を極めて効率よく浄化できるものである。
【0048】
また、従来のアルカリ域での使用にあまり適さない触媒を用い、原廃水の液pHがアルカリ性である廃水を処理した場合、もしくは水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液を添加しながら処理を行った場合などでは、特に廃水の流れ方向に対して上流側において触媒が劣化することが多かった。これは上流側の触媒がアルカリ性の液にさらされるためと考えられる。しかしながら、本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を廃水の流れ方向に対して上流側に用いて処理を行った場合には、この問題点が解決できるか、あるいは中流側もしくは下流側に用いた従来のアルカリ域での使用にあまり適さない触媒の劣化を極めて低減することができ、触媒の耐久性ならびに処理活性の大幅な向上が得られるものである。
【0049】
すなわち廃水のpHがアルカリ域である触媒層の上流側では、耐アルカリ性に優れた本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を用いて処理を行う。そして、液pHが比較的低下した廃水の流れ方向に対して中流側から下流側にかけては、従来のアルカリ性での使用にあまり適さない触媒を用いて処理を行っても問題がないか、あるいは極めて劣化が少なく処理できることが多いものである。これは、触媒成分Aを含有する本発明に係る触媒を用いて湿式酸化処理をした場合、一般的に廃水の湿式酸化処理前の液のpHに比べ、液のpHが低下し、従来のアルカリ域での使用にあまり適さない触媒の使用においてもあまり悪影響を与えないpHにまで低下するためである。これにより廃水のpHがアルカリ性である廃水においても、従来の触媒のみを用いる場合と比較して処理の耐久性は飛躍的に向上し、なおかつ廃水の浄化性も向上することができるものである。このため、本発明に係る廃水の処理方法は、廃水のpHをアルカリ性として供給するか、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリ性の水溶液も供給しながら処理することが特に多い窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する廃水の処理において、特に効果的である。
【0050】
また同様に、本発明に係る触媒成分Aを含有し、触媒成分Bも共に含有している触媒は、耐アルカリ性に優れ、なおかつ有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の物質に対しても触媒活性および耐久性に優れ、さらに酢酸などの低級有機酸およびアンモニア、硝酸根、亜硝酸根などの無機窒素化合物などに対しても、触媒活性が高い。しかしながら、触媒成分Aの含有量が少ないときには、触媒成分Bの耐久性に問題を生じることもある。このため、特に該廃水の流れ方向に対して上流側では、触媒中の触媒成分Aの含有量を最も多くする必要がある。そして廃水が徐々に処理された後の廃水の流れ方向に対して中流側から下流側においては、触媒中の触媒成分Aの含有量が上流側の触媒に比べ少なくなる方がよいものである。逆に、該廃水の流れ方向に対して中流側から下流側において、触媒中の触媒成分Aの含有量が上流側と同量、またはより多い場合には、経済的に触媒のコストを上げるために好ましくないものである。また、触媒成分Aは含有量の少ない方が触媒の形状維持のための機械的強度が強く、触媒の耐久性がより高いものである。
【0051】
従って本発明においては、触媒中の触媒成分Aの含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向となるように設置して湿式酸化処理する方法を採用する。また、触媒成分Aを含有する本発明に係る触媒は、そのマンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムの元素の種類による活性差はそれほど大きくなく、ほぼそれらの合計の含有量により有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物等の物質ならびにその他の有機物および無機COD成分等に対しての処理活性が決定される。このため本発明においてより好ましくは、触媒中の触媒成分Aの合計の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向となるように触媒を設置して湿式酸化処理する方法を採用する。
【0052】
すなわち本発明は、アルカリ域での処理においても触媒活性が高く、耐久性にも優れ、さらに特に、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物に対しても触媒活性が高く、極めて耐久性に優れた触媒として、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒を廃水の流れ方向に対して上流側に用い、さらにこの触媒成分Aの含有量は触媒層全体において上流側で最も多くなるようにして用いる方法を採用することで完成した。
【0053】
本発明において使用する触媒を充填した湿式酸化処理装置、すなわち触媒湿式酸化処理装置は、通常使用されるものが用いられ、反応塔あるいは処理塔は、単管式、多管式のいずれの形式であってもよいし、廃水に含まれる成分、その量等によっては単管式と多管式とを、単独または組み合わせて処理に適した条件で処理することもでき、また複数の反応塔を用いてもよく、さらには複数の湿式酸化処理装置を用いてもよい。
【0054】
すなわち、ひとつの反応塔に少なくとも2種以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填して用いてもよいし、複数の反応塔に少なくとも2種以上の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用いてもよく、さらには複数の湿式酸化処理装置で複数回処理を行ってもよく、特に限定されるものではない。
【0055】
さらにこれらの方法を組み合わせて廃水を処理することもできる。
【0056】
また各々の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒は、各々の触媒ごとに反応塔触媒層の上流側から下流側に向かって複数の触媒帯を設け、さらに触媒層別に仕切ってもよい。また触媒の充填は、ハニカム状の触媒以外ではそれぞれの触媒を混合し、徐々に触媒の比率が変化するように充填してもよく、特に限定されるものではない。
【0057】
各々の触媒の量の比率は特に限定されるものではなく、任意に廃水の種類、処理条件等により処理に適したように選択できるものである。しかしながら、好ましくは、触媒反応塔の上流側から下流側に向かって複数の触媒帯を設け、かつ触媒層別に仕切る方法であり、この方法にあっては、2つの隣接する触媒帯のうち上流側により近い触媒帯の占有容積をV1とし、下流側により近い触媒帯の占有容積をV2とすると、この隣接する2つの触媒帯の占有容積比V1/V2が10/1〜1/10であるように充填することが効果的である。またより効果的には、この隣接する2つの触媒帯の占有容積比V1/V2が5/1〜1/5であり、さらに効果的には3/1〜1/3である。またそれぞれ複数の触媒を混合し、徐々に触媒の比率が変化するように充填した場合には、各々の混合した2つの隣接する触媒のうち上流側により多い触媒の全量の占有容積をV1とし、下流側により多い触媒の全量の占有容積をV2とすると、この隣接する2つの触媒の占有容積比V1/V2が10/1〜1/10であるように充填することが効果的であり、より効果的には5/1〜1/5であり、さらに効果的には3/1〜1/3である。占有容積比V1/V2が10/1よりも大きい場合、または1/10よりも小さい場合には、触媒組成または触媒組成比が異なる2種類以上の触媒を用いた効果が少なく、1種類の触媒を用いた結果とあまり差がないものである。すなわち触媒の効果が異なる複数の触媒を用いる意味があまりない。この場合には複数の触媒を用いるよりも、単一の触媒を用いた方が触媒の製造単価が下がり、処理コストも低下するため好ましいものである。
【0058】
また、本発明において特に限定されるものではないが、本発明において使用する触媒の種類は2種類もしくはそれ以上の種類の触媒であり、好ましくは2種類もしくは3種類の触媒を用いることであり、さらに好ましくは2種類の触媒を用いることである。触媒の種類を多くした場合には、処理目的別に最適な触媒を使用することができ、最良な廃水の処理浄化性を得ることができるが、複数の触媒を製造することから触媒のコストが高くなり、また設備のコストが高くなり好ましくない。
【0059】
3種類の触媒を用いる場合、最上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、触媒成分Bを含有しない触媒であることが効果的である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸根などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃水のpHを廃水処理することで下げることにある。すなわち従来の触媒では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水に転換することにある。
【0060】
またこの場合、中流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ特に好ましくは触媒成分Bも少なくとも1種を含有する触媒であることが効果的である。該触媒の目的は、まだ若干残留している有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水中の難分解性物質をより高効率で処理すると同時に、上流側から中流側で酸化および/または酸化分解処理されて生成した主に低級有機酸または無機窒素化合物等と、元々廃水中に含有されていたこれらの物質をも酸化および/または酸化分解処理し、廃水を浄化することにある。すなわち、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を高効率で酸化および/または酸化分解処理する性能と、低級有機酸または無機窒素化合物を高効率で酸化および/または酸化分解処理する性能を合わせ持つ触媒を使用することにより、廃水の浄化性を高めることにある。また他方、該触媒の目的は、触媒の耐久性および耐アルカリ性を高く保った状態で、まだ比較的高いアルカリ性である廃水のpHを下げながら、なおかつ上記と同様に廃水の浄化性を高めることにある。
【0061】
さらにこの場合、下流側の触媒は、特に好ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒であることが効果的である。該触媒の目的は、上記の上流側および中流側の触媒で処理され、主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分となり、なおかつ液のpHが低下した廃水を処理し、廃水の浄化性をさらに高めることにある。このため該触媒の多くは、触媒成分Aを含有する必要がなく、むしろ触媒成分Aを含有しない方が、触媒コストを低減することができるためより好ましいことが多い。
【0062】
このため3種類の触媒を充填するのに適する処理条件は、以下に記載するようなときに、触媒成分Aおよび触媒成分Bそれぞれの処理効果を、中流側の触媒を採用することで高められるために特に効果的である。第1の適する処理条件は、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれる従来の触媒において耐久性に支障を来すような物質の濃度が廃水中に濃い場合に、第2の適する処理条件は、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物などから選ばれるような湿式酸化処理によって液のpHが低下したときに、装置材質の耐食性に問題を来すような物質の濃度が廃水中に濃いために、原廃水のpHが高アルカリ性であるもしくはアルカリ性の水溶液を比較的多く添加しながら処理を行う場合に、そして第3の適する処理条件は、廃水のより高い浄化性が求められる場合に、特に有効なものである。
【0063】
次に、2種類の触媒を用いる場合について詳しく記載する。2種類の触媒を用いる場合には、触媒のコスト等をなるべく下げ、触媒系を単純化した方がより好ましいことから、主に以下の3タイプに分類される。
【0064】
第1のタイプは、上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、触媒成分Bを含有しない触媒である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸根などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃水のpHを下げることにある。すなわち、従来の触媒では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水に転換することにある。
【0065】
この場合下流側の触媒は、特に好ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒(触媒成分Aを含有しない)である。該触媒の目的は、上記上流側の触媒で処理され、主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分となり、比較的pHの低下した廃水を処理し、廃水の浄化性を高めることにある。
【0066】
この第1のタイプは、廃水中の有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物の濃度がそれほど濃くないとき、比較的容易に上流側の触媒によりpHが低下するとき、または廃水のより高い浄化性が求められてなく、触媒系を単純化することで触媒価格を下げる必要があるときに特に効果的である。
【0067】
また2種類の触媒を用いる場合の第2のタイプは、上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ特に好ましくは触媒成分Bも少なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理しながら、もしくは廃水のpHを下げながら、低級有機酸および/または無機窒素化合物をさらに酸化および/または酸化分解処理することにある。すなわち処理の困難な廃水を比較的処理の容易な廃水に転換しながら、低級有機酸および/または無機窒素化合物等を処理し、廃水の浄化性を高めることにある。
【0068】
この場合下流側の触媒は、特に好ましくは触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、低級有機酸および/または無機窒素化合物等が主成分となり、比較的pHの低下した廃水を処理し、さらに廃水の浄化性を高めることにある。
【0069】
また、この場合下流側の触媒は、触媒成分Bと、上流側の触媒に比べ少ない量の触媒成分Aを共に含有する触媒とすることもできる。しかし、このようにするよりは上流側の触媒の触媒成分Aの含有量を増やすか、もしくは上流側の触媒の充填量を増加させた方がより効果的である。
【0070】
この第2のタイプは、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物から選ばれる物質の廃水中の濃度がそれほど濃くなく、なおかつ上流側の触媒層で廃水のpHがあまり高くないか、比較的容易にpHが低下する廃水の処理の場合に、すなわち従来の触媒の処理においても耐久性の低下が比較的顕著でない廃水の処理の場合において、廃水のより高い浄化性が求められているときに、廃水の浄化性を高くでき効果的であり、しかも触媒系を単純化することができることから触媒のコスト面でも効果的である。
【0071】
また2種類の触媒を用いる場合の第3のタイプは、上流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、触媒成分Bを含有しない触媒である。該触媒の目的は、特に有機窒素化合物、硫黄含有化合物、または有機ハロゲン化合物を酸化および/または酸化分解処理し、廃水の性状を主に低級有機酸、無機窒素化合物、または硫酸根などに転換すること、および/または高アルカリ性の廃水のpHを下げることにある。すなわち従来の触媒では処理の困難であった廃水を、比較的処理の容易な廃水に転換することにある。
【0072】
この場合下流側の触媒は、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ特に好ましくは触媒成分Bも少なくとも1種を含有する触媒である。該触媒の目的は、上流側で酸化および/または酸化分解処理されて生成した主に低級有機酸および/または無機窒素化合物等と、元々廃水中に含有されていたこれらの物質をも酸化および/または酸化分解処理し、廃水を浄化する。また同時に、まだ若干残留している有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれる従来の触媒の多くでは処理困難な物質を酸化および/または酸化分解処理し、廃水中の難分解性物質をより高効率で処理し、なおかつ耐久性および耐アルカリ性も高く保って処理することにある。
【0073】
この第3のタイプは、有機窒素化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などから選ばれるような物質の廃水中の濃度が非常に濃いとき、または本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒を用いて触媒湿式酸化処理を実施しても液のpHが高アルカリ域であるときなどの、従来の触媒の多くでは処理が非常に困難な廃水の場合に触媒の耐久性が高く、なおかつ処理活性も高く効果的である。しかしこの場合、下流側の触媒成分B含有の触媒の劣化を防止するために、触媒成分Aの含有量を、下流側に比べ上流側の触媒の方に多くする必要がある。上流側の触媒成分Aの含有量が少ない場合には、下流側の触媒成分B含有の触媒が劣化する問題が生じる。このため上流側の触媒の触媒成分Aの含有量は、下流側の触媒に比べ多くする方法を採用する。また、触媒劣化を防止する別の方法として、上流側触媒の充填量を多く取る方法もあげられる。しかし充填量を多くした場合、触媒量の増加ならびに反応塔の大型化のため触媒費および装置費がアップし、好ましくないことが多いものである。
【0074】
本発明に係る触媒において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒の組成は、触媒成分Aと、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物を含有する場合が効果的である。すなわち、これらのものを併用することによって触媒活性および耐久性、耐アルカリ性に優れた触媒となる。
【0075】
また本発明に係る触媒において触媒成分Aは、酸化物および/または複合酸化物の形態である化合物であることが効果的である。
【0076】
さらに本発明に係る触媒において触媒成分Aは、マンガンであるあることが効果的である。マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムの中でマンガンが最も耐久性および耐アルカリ性が高く、適用可能な廃水の種類および廃水の処理条件の範囲が広いものである。
【0077】
また本発明に係る触媒において触媒成分Aは、該触媒中に1種類であることの方が触媒の組成を単純化することができ、触媒の価格面においても優位である。
【0078】
このため、本発明に係る触媒において触媒成分Aは、マンガンの酸化物および/または複合酸化物であることが最も効果的である。
【0079】
さらに本発明に係わる触媒において、触媒成分Aの酸化物および/または複合酸化物は、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物と緊密に混合されてなるものが効果的であり、さらに効果的には、触媒成分Aの酸化物および/または複合酸化物が、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物および/または複合酸化物と、複合酸化物を形成しているものである。
【0080】
これらの本発明に係る触媒の各々の成分の比率は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明に係る触媒において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有する(触媒成分Bを含有しない)触媒の組成は、触媒成分Aの合計が、マンガンの場合MnO2換算として、コバルトの場合Co2O3換算として、ニッケルの場合NiO換算として、銅の場合CuO換算として、またはセリウムの場合CeO2換算として、触媒成分Aを含有する触媒に対して0.05〜50重量%であるときが効果的である。またチタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が、チタンの場合TiO2換算として、ジルコニウムの場合ZrO2換算として、または鉄の場合Fe2O3換算として、触媒成分Aを含有する触媒に対して99.95〜50重量%であるときが効果的である。また好ましくは触媒成分Aの合計が0.5〜30重量%、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が99.5〜70重量%である。またさらに好ましくは、触媒成分Aの合計が1〜20重量%、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計が99〜80重量%である。触媒成分Aの合計の割合が0.05重量%未満である場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒活性が充分でなく、50重量%よりも多い場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒活性は充分であるが該触媒の形状維持のための機械的強度が低下するという欠点を有する。従って、触媒が具備すべき種々の条件を考慮して、上記好ましい範囲から触媒成分Aの合計の割合、およびチタン、ジルコニウム、鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物の合計の割合が選択される。
【0081】
また本発明に係る触媒において、触媒成分Aの少なくとも1種を含有し、なおかつ触媒成分Bも少なくとも1種をも含有する触媒の組成は、先に記載した組成の触媒(触媒成分Aと、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物および/または複合酸化物を含有する触媒)100重量部に対して、触媒成分Bが合計で0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜2.5重量部の範囲で含有せしめることが効果的である。0.05重量部未満である場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒成分Bによる効果が少なく、触媒成分Bによる触媒活性が向上しないものである。また10重量部を越える場合は、触媒費の上昇に見合った触媒活性の向上が得られないため、経済的に好ましくないうえ、該触媒の形状維持のための触媒の機械的強度も低下することがある。
【0082】
また本発明に係る触媒において、触媒成分Aを含有してなく、触媒成分Bの少なくとも1種を含有する触媒は、特に限定されるものではなく、従来からの触媒を使用することができるものである。しかしながら好ましくは、触媒成分Bと、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の酸化物および/または複合酸化物を含有する触媒である。該触媒の組成は特に限定されるものではないが、触媒成分Bの量が、チタン、ジルコニウムおよび鉄よりなる群から選ばれる元素の酸化物および/または複合酸化物ならびにその他の触媒成分の合計の100重量部に対して、合計で0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜2.5重量部の範囲で含有せしめることが効果的である。0.05重量部未満である場合は、触媒成分Bの効果が少なく、触媒成分Bによる触媒活性が向上しないものである。また10重量部を越える場合には、触媒費の上昇に見合った触媒活性の向上が得られないため、経済的に好ましくないうえ、該触媒の形状維持のための触媒の機械的強度も低下することがある。
【0083】
本発明に係る触媒は、先に記載した触媒成分の化合物等を特に成型等を行わず、粉末状の状態などで触媒として使用することもできるが、好ましくは次に記載する形状等に成型して用いることが好ましい。例えば、ペレット状、粒状、球状もしくはリング状のもの、またはハニカムなどの一体構造体等、種々の形状がある。また、上記形状を有する無機酸化物担体、金属担体等に本発明に係る触媒成分を担持して使用することもできる。また無機酸化物は、ガラス繊維等の成型助材と同じように本発明に係る触媒成分と混合し、成型して使用することも可能であり、この場合、触媒の成型性および機械的強度等を向上させるのに有効である。
【0084】
これらの無機酸化物は、触媒成分と混合し、成型して使用する場合には、触媒全量に対して、好ましくは70〜0.01重量%、より好ましくは10〜0.1重量%である。70重量%を超える場合は、触媒としての効果が減少するものであり、0.01重量%未満である場合は、不純物とみなすことができるものである。
【0085】
これらの無機酸化物担体もしくは金属担体は、これらに本発明に係る触媒成分を担持して使用する場合には、触媒全量に対して、好ましくは99.5〜20重量%、より好ましくは95〜50重量%であるときに効果的である。99.5重量%を超える場合は、触媒としての効果が減少するものであり、20重量%未満である場合は、担体としての効果が少なく、触媒としての形状を維持するための機械的強度が減少するものである。
【0086】
本発明に係る触媒湿式酸化処理の処理温度は、140℃以上370℃未満であり、好ましくは150℃以上300℃未満であり、さらに好ましくは160℃以上280℃未満である。処理温度が370℃以上である場合は廃水の液相を維持することができないものであり、300℃以上である場合は液相を維持するためにかなりの加圧条件を必要とするため、設備費ならびに運転費的にコストが高くなるものである。また、処理温度が140℃未満である場合は有機物および無機COD成分等の処理効率が低下し、廃水の浄化が不完全なものとなり、150℃未満の場合でもまだ充分にCOD成分等を分解することができないことが多いため廃水が充分浄化できない場合が多い。
【0087】
また、この処理温度は各々の触媒層、反応塔および湿式酸化処理装置ごとに異なってもよく、特に限定されるものではない。
【0088】
本発明における処理圧力は特に限定されるのではなく、液相を保持する圧力においてなされ、またこの処理圧力は各々の触媒層、反応塔および湿式酸化処理装置ごとに異なってもよく、特に限定されるものではない。
【0089】
また、本発明における酸素含有ガスの種類は特に限定されるものではなく、酸素、オゾン等のガスを用いることもできるが、好ましくは価格の安価な空気であり、場合によってはこれらを適宜不活性ガス等により希釈して用いることもできる。また、これらのガス以外にも、他のプラント等より生じる酸素含有の排ガスも適宜使用することができる。
【0090】
この酸素含有ガスの使用量は処理対象廃水の濃度により適宜選択されるが、廃水中のCOD成分等を完全に水、炭酸ガス、無機塩、その他灰分等にするに必要な酸素量の0.3〜5倍、より好ましくは1.0〜3倍である。5倍を越えるときは無用の酸素の供給となり、0.3倍未満である場合は必要な酸素量に足らず廃水の浄化が不完全なものとなる。また、0.3〜1.0倍の範囲は、廃水中のCOD成分等を完全に水、炭酸ガス、無機塩、その他灰分等にするに必要な酸素量として足らないが、通常の湿式酸化処理ではCODの処理効率は100%未満となることから、例えば1.0倍で供給した酸素は最終的に100%使用されることはなく、処理後の排ガス中に残ることが多い。このため、このような場合には供給する酸素量を実際の処理効率にあわせて1.0倍未満に減少させても、処理後に酸素が残存する酸素過剰の状態が保たれるのであれば処理に支障をきたさない場合もあるからである。
【0091】
また、この酸素含有ガスの供給位置は、廃水の流れ方向に対して上流側の触媒層の入口、もしくは反応塔の入口、あるいはその前の熱交換器の手前等から全量を供給してもよいし、各々の触媒層ごとに最適な空気量となるように分割して供給してもよい。また複数の反応塔を持つ場合には、上流側の反応塔で一度処理に使用した後の排ガスの一部もしくは全量を、下流側の他の反応塔での処理にそのまま使用してもよいし、最適な酸素濃度となるように酸素含有ガスを追加供給して処理に使用してもよく、特に限定されるものではない。また逆に、下流側の反応塔での処理に使用した排ガスを、上流側の反応塔での処理に使用してもよい。
【0092】
本発明に係る廃水の処理における液の処理量は、一般的に触媒の全量に対しての空間速度としては、0.1hr-1〜10hr-1であり、より好ましくは、0.5hr-1〜5hr-1である。空間速度10hr-1を越える場合には、廃水の処理効率が低下し、廃水の浄化が達成されないことが多い。また空間速度0.1hr-1未満である場合は、廃水の処理量が低下し、設備が過大なものとなる。
【0093】
本発明に係る廃水を湿式酸化処理する時のpHは、特に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。しかしながら、特に本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒では、従来の触媒に比較して耐アルカリ性に優れるという特質がある。このため、廃水のpHがアルカリ性であるものを処理するのに、もしくはアルカリ性の水溶液を廃水に添加しながら処理するものに効果的である。すなわち、廃水の流れ方向に対して上流側での触媒層における廃水のpHが、アルカリ性であるものの方が効果的である。従ってpH6以上で使用することが好ましく、さらに好ましくはpH7.5以上で使用することが好ましい。またこれは湿式酸化処理後の液pHならびに湿式酸化処理中の液pHについても同様であり、pH6以上で使用することが好ましく、さらに好ましくはpH7.5以上で使用することが好ましい。
【0094】
一般に、触媒湿式酸化処理に使用する配管および反応塔等の材質はステンレス鋼等が多く使用されており、酸性域では配管等の腐食の問題がある。そこで廃水は、アルカリ域のpHに調整されて反応に供されるのが好ましい。従来の触媒の多くは、液のpHがアルカリ域である場合、酸性の場合に比べ活性が低下することが多くあった。しかしながら、本発明に係る触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒は、耐アルカリ性に優れ、活性も高いという特質があるため、これらの要求からも好ましいものである。
【0095】
本発明に係る触媒は、前記のとおりアルカリ性において触媒の耐久性および活性が高いので、廃水のpHをアルカリ域に調整することが可能となり、装置の材質面において耐食性を向上させることができる。この装置材質の耐食性の問題は、従来廃水中に塩素イオン、臭素イオン、有機ハロゲン化合物などのハロゲン含有化合物;チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫化物、有機硫黄化合物などの硫黄含有化合物;硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオン、有機窒素化合物などの窒素含有化合物を含有した場合に特に問題であったが、本発明に係る廃水の処理方法は、これらを含む廃水の処理に対しても有効である。
【0096】
また、本発明に係る触媒成分Aの少なくとも1種を含有する触媒で廃水を湿式酸化処理する時のpHの上限、すなわち該触媒層の入口部での液のpHの上限は、特に限定されるものではない。しかしながら、湿式酸化処理後の処理液のpHは、好ましくは12以下であることが効果的であり、さらに効果的にはpHが10以下である。pHが12よりも高い場合、処理後の液のpHが12以下、特に10以下の場合と比較して処理活性が低下することがある。また処理後の液を河川等に放流する場合、pHが高いときにはpHを調整し、中和する必要がある。処理後の液のpHが高いと、この時に使用する酸の量が増加する問題も生じる。さらにステンレス鋼などの材質を反応塔などに使用した場合、pHが12よりも高いときには材質のアルカリ腐食などの問題が生じることもある。
【0097】
また、本発明に係る触媒成分Aならびに触媒成分Bの両方を含有する触媒は、比較的耐アルカリ性が高いが、非常に高いアルカリ性の液を処理するには触媒の耐久性に問題を生じる場合もある。従って、該触媒を用いた場合には、該触媒層の入口部での液のpHが6〜13であることが好ましく、より好ましくは7.5〜12である。また該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHも6〜12であることが好ましく、より好ましくは7.5〜10である。該触媒層の入口部での液のpHが13よりも高い場合ならびに該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHが12よりも高い場合には、それ以下のpHのときと比較して、廃水の浄化性が低下するのみならず、触媒の耐久性にも問題が生じることがある。
【0098】
また、触媒成分Aを含有せず、触媒成分Bを含有する触媒の多くは、耐アルカリ性に問題があるため、高pHの液を処理することは触媒の耐久性等に問題を生じることが多い。従って、特に下流側の触媒に、本発明に係る触媒成分Aを含有してない触媒を用いた場合には、該触媒層の入口部での液のpHが2〜12であることが好ましく、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは5〜8である。また該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHも2〜10であることが好ましく、より好ましくは4〜8であり、さらに好ましくは5〜7である。pHが2未満である場合には装置材質の腐食の問題があり好ましくない。また、該触媒層の入口部での液のpHが12よりも高い場合ならびに該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHが10よりも高い場合には、それ以下のpHのときと比較して、廃水の浄化性が低下するのみならず、触媒の耐久性にも問題が生じることが多い。このため該触媒で湿式酸化処理した後の処理液pHが高い場合には、湿式酸化処理前の廃水のpHを調整することが望ましい。また、該触媒層の入口部での液のpHが高い場合には、湿式酸化処理前の廃水のpHを調整するか、または本発明に係る触媒成分Aを含有する触媒等で、さらに予め廃水を湿式酸化処理し、廃水のpHを下げることが望ましい。
【0099】
廃水のpHを調整する際には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等もしくはこれらの水溶液等を適宜添加して調整すればよく、特に限定されるものではない。また必要に応じて、硫酸等の酸性のpH調整用の薬剤を添加することもでき、特に限定されるものではない。またこの場合の添加方法も特に限定されるものではなく、廃水のストックタンク等に前もって添加しておくこともあれば、フィ−ドポンプ等を用いて連続的に添加し、pHを調整することもできる。
【0100】
また、フィードポンプ等を用いて連続的に供給する場合、このpH調整用の薬剤の供給位置は上流側の触媒層入口、もしくはその前の熱交換器の手前から全量を供給してもよいし、各々の触媒層ごとに最適なpHとなるように分割して供給してもよく、また触媒層の途中から供給してもよく、特に限定されるものではない。また複数の反応塔を持つ場合には、各々の反応塔ごとに最適なpHとなるように供給してもよく、複数の触媒湿式酸化処理装置を用いて廃水を処理する場合には各々の触媒湿式酸化処理において適切な量のpH調整用の剤を供給してもよく、特に限定されるものではない。
【0101】
同様に、本発明に係る触媒で廃水を処理した後の処理液を、放流するに適した、あるいは後処理を実施するのに適したpHとなるように適宜上記と同じようにpH調整を行うことができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸等もしくはこれらの水溶液等を添加することができ、特に限定されるものではなく、この添加方法に関しても特に限定されるものではない。
【0102】
本発明においては、本発明の実施前に、予め従来からある廃水の浄化方法を用いて廃水を処理することもでき、特に限定されるものではない。例えば、重金属類やカルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、リンなどの除去に関する浄化処理を行うことができ、具体的には活性炭、無機吸着材もしくは有機高分子材料などを用いた吸着分離除去法および電気透析法などを用いて除去することができる。また廃水中の固形物などを分離除去する浄化処理を行うこともでき、さらには有機物ならびに無機COD成分等を分解する無触媒湿式酸化処理法等の浄化処理を採用することもできる。
【0103】
また同様に、本発明の実施後にも従来からある廃水の浄化方法を用いて本発明による処理液を処理することもでき、この処理方法については特に限定されるものではない。しかしながら、例えば本発明の実施後に、生物処理または化学的処理する場合にあっても、予め有害物質等の多くは廃水中から除かれ、かつCOD成分等もかなり低減されている。しかも本発明で処理した後の処理液中のCOD成分および窒素化合物等は、生物処理または化学的処理において非常に分解処理され易い物質である。このため生物処理設備または化学的処理設備への負担が非常に小さくなり、COD成分および硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの無機窒素化合物等は容易に処理できる。また、処理液中にカルシウム化合物等を添加し、リンなどの物質を不溶化させて除去する場合にあっても、予めリン化合物をリン酸にまで分解しているために容易に除去することが可能となる。
【0104】
また、本発明に係る方法を用いると、用地が狭くてすみ、装置もコンパクトであるため、従来からあるような廃水処理設備、例えば生物処理設備、燃焼処理設備などを採用した場合と比較して処理設備は小さく、処理プロセスも簡素化され、設備投資や、ランニングコストの面においても有利となる。
【0105】
また、本発明に係る触媒ならびに湿式酸化処理装置は適宜洗浄することができ、その洗浄方法等は特に限定されるものではなく、従来からあるような、例えば水およびアルカリ性の水溶液などを用いた洗浄方法で適宜実施することができる。
【0106】
本発明に係る廃水は、一般的に化学プラント設備、メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、写真処理設備等からの廃水を対象とするものである。さらに詳しくは、各種の工業廃水等の廃水を対象とするものであり、特に好ましくは、廃水中に窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる少なくと1種の化合物を含む廃水であり、さらに好ましくは、有機窒素化合物、硫黄含有化合物および有機ハロゲン化合物よりなる群から選ばれる少なくと1種の化合物を含む廃水である。
【0107】
本発明に係る窒素含有化合物とは、アンモニア、ヒドラジン等の無機窒素化合物および有機窒素化合物のことである。さらに有機窒素化合物とは、窒素原子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであり、例えば、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ピコリン、アセトアミド、アニリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン酸、リジン、アスパラギン酸、セリン、メチオニン、ヒスチジン、エチレンジアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどの窒素原子含有の低分子な有機物、またはドデシルアミンなどのカチオン系または両性系の界面活性剤、またはポリアクリル酸アミドなどの窒素原子含有のポリマーなどである。
【0108】
また、本発明に係る硫黄含有化合物とは、硫酸根以外の硫黄原子を少なくとも1つ含む無機あるいは有機の化合物であり、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、メタンスルホン酸、チオフェン、チオフテン、p−トルエンスルホン酸、スルホ安息香酸、チオ酢酸、ナフタリンスルホン酸などの硫黄原子含有の低分子な有機物、またはドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン系あるいは両性系の界面活性剤、またはポリスルホン酸系などの硫黄原子含有のポリマー、またはチオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫化ソーダなどの硫黄原子含有の無機物などである。
【0109】
また、本発明に係るハロゲン含有化合物とは、塩化ナトリウム、臭素酸ナトリウムなどの無機のハロゲン化合物および有機ハロゲン化合物のことである。さらに有機ハロゲン化合物とは、ハロゲン原子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであり、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、塩化ビニル、臭化ベンジル、p−クロルフェノール、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタンなどのハロゲン原子含有の有機物などである。
【0110】
これらの化合物の濃度は特に限定されるものではないが、例えば、チオ硫酸イオン、硫化物イオン、アンモニアおよびヒドラジンなどの無機COD成分、ならびに、例えば、酢酸、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびp−クロルフェノールなどの有機物の場合には、これらの合計で廃水中に10mg/リットル〜100g/リットル、好ましくは100mg/リットル〜50g/リットルである。10mg/リットル未満である場合は、特に本発明に係る触媒を用いて処理を実施しなくとも充分処理できるものであり、100g/リットルを超える場合は、濃度が濃すぎるために、湿式酸化処理のための処理温度、供給酸素含有ガス量などの各種の制御が困難になるものである。
【0111】
また、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどの無機の塩類の場合、濃度が濃いときにはこれらの液中からの析出によるラインの閉塞などを生じる。このため無機の塩類は、これらの合計で200g/リットル未満が好ましく、より好ましくは150g/リットル未満であり、さらに好ましくは100g/リットル未満である。
【0112】
本発明において処理される廃水のCOD(Cr)の濃度は、特に限定されるものではないが、1g/リットル〜200g/リットル含まれている場合が効果的であり、より効果的であるのは10g/リットル〜100g/リットルである。COD(Cr)の濃度が200g/リットルを越える場合は、酸化熱が非常に大きくなるため処理装置の制御が困難であり、100g/リットルを越える場合においても酸化熱が大きいため冷却のための設備等を有することが多くコスト的に高くなる。また、1g/リットル未満である場合は、昇温に必要な熱量をほぼすべて熱供給装置により供給しなければならない。また、10g/リットル未満である場合においても酸化熱が小さく、付属設備として熱交換装置を用いて熱回収しても、この熱だけによる湿式酸化処理装置の自立運転は困難なことが多い。このためこのような場合にも別途熱供給装置を必要とすることが多く、使用エネルギー面からも相対的に不利となる。
【0113】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例にかかる廃水処理例と、比較例にかかる廃水処理例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0114】
(処理例1)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔に3種類の触媒を各0.33リットル層別に充填して、湿式酸化処理条件下で処理を500時間連続して行った。そして500時間後に得られた処理液のCOD(Cr)、pHを測定し、ならびに液体クロマト分析法によりメチオニンを分析した。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0115】
触媒を使用した湿式酸化条件下での処理の詳しい方法は、廃水供給ライン8より送られてくる廃水を廃水供給ポンプ3で1リットル/hrの流量で80kg/cm2Gまで昇圧フィードした。一方、酸素含有ガス供給ライン9より供給される空気をコンプレッサー5で昇圧した後、O2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.2の割合で前記該廃水に混入した。この気液混合物を気液混合物供給ライン10を経て、熱交換器2で加熱した。そして触媒を充填した湿式酸化反応塔1に下部より導入し、電気ヒーター17で加熱して処理温度250℃で触媒湿式酸化処理し、被処理液を処理液ライン11を経て、熱交換器2および冷却器18において冷却し、気液分離器4へ流した。この触媒層全量における廃水の空間速度は1hr-1であった。気液分離器4においては、液面コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁6を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(PC)により、圧力を検出して圧力制御弁7を作動させて一定の圧力を保持するように操作される。そして処理液排出ライン13から該処理液は排出され、処理液タンク14にストックされる。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アルカリ供給ライン16より供給して、アルカリ供給ポンプ15を用いて、湿式酸化反応塔1のから5ml/hの流量で供給した。
【0116】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を42g/リットル、pHは12.3であり、液体クロマト分析法により測定したところメチオニンを2.2g/リットル含有していた。
【0117】
また充填した触媒は、以下のような組成の触媒であった。反応塔入口部(下部,廃水の流れ方向に対して上流側)に充填した触媒は、マンガンとチタンの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2換算で20:80であった。反応塔中部(廃水の流れ方向に対して中流側)に充填した触媒は、マンガン、チタンの酸化物および/または複合酸化物と白金よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Pt換算で5:95:0.3であった。さらに反応塔出口部(上部,廃水の流れ方向に対して下流側)に充填した触媒は、チタンの酸化物と白金よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Pt換算で100:0.3であった。
【0118】
500時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は0.9g/リットル、COD(Cr)処理効率98%でpHは8.1であった。またメチオニンは検出されなかった。またアンモニウムイオンについてもイオンクロマト分析法により測定したが、検出されなかった。
【0119】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれの触媒も廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0120】
(比較処理例1)
処理例1において反応塔入口部および反応塔中部に使用した触媒の代わりに反応塔出口部と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔出口部の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理例1で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0121】
500時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は14g/リットル、COD(Cr)処理効率67%でpHは9.2であった。またメチオニンを測定したところ0.1g/リットル検出され、アンモニウムイオンも0.05g/リットル検出された。
【0122】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した結果、廃水処理前の触媒に比べ触媒中の白金の含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において大幅に減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、TiO2:Pt換算で100:0.04であった。
【0123】
(処理例2)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を各0.5リットル充填した以外は、処理例1で記述した条件と同条件で処理を100時間行った。
【0124】
反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、コバルト、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、Co2O3:TiO2:ZrO2換算で10:63:27であった。さらに反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物とパラジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:ZrO2:Pd換算で70:30:0.6であった。
【0125】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)2.1g/リットル、COD(Cr)処理効率95%でpHは8.2であった。またメチオニンは検出されなかった。またアンモニウムイオンについても測定したが、検出されなかった。
【0126】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0127】
(比較処理例2)
処理例2において反応塔出口部(上部)に使用した触媒の代わりに反応塔入口部(下部)と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔入口部(下部)の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理例2で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0128】
開始直後に得られた処理液の結果および100時間後に得られた処理液の結果は、共にCOD(Cr)は8.3g/リットル、COD(Cr)処理効率80%でpHは8.4であった。しかしメチオニンは検出されなかったが、アンモニウムイオンが0.25g/リットル検出された。
【0129】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0130】
(処理例3)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔の液の流れ方向に対して上流側の反応塔(第一湿式酸化反応塔)1に下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、また液の流れ方向に対して下流側の反応塔(第二湿式酸化反応塔)19にも下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0131】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、ニッケルとジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、NiO:ZrO2換算で5:95であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、ジルコニウムの酸化物とルテニウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、ZrO2:Ru換算で100:1.5であった。
【0132】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を57g/リットル、pHは7.6で、ガスクロマト分析法により測定したところp−クロルフェノールを0.5g/リットル含有していた。
【0133】
廃水の処理条件は、処理温度260℃、処理圧力90kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、10ml/hの流量で供給した。
【0134】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.3g/リットル、COD(Cr)処理効率96%でpHは8.8であった。またp−クロルフェノールを測定したところ検出されなかった。
【0135】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0136】
(比較処理例3)
処理例3において第一湿式酸化反応塔1と第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒とを逆に充填した以外は、処理例3で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0137】
開始直後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は4.6g/リットル、COD(Cr)処理効率92%で、pHは9.0であった。またp−クロルフェノールは検出されなかった。
【0138】
また100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は6.8g/リットル、COD(Cr)処理効率88%で、pHは9.2であった。p−クロルフェノールは検出されなかった。
【0139】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その結果第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒において、廃水処理前の触媒に比べ触媒中のルテニウムの含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、ZrO2:Ru換算で100:0.9であった。ただし、第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、特に変化は認められなかった。
【0140】
(処理例4)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以下に記載する2種類の触媒を充填して処理した以外は、処理例3で記述した方法と同条件で処理を行なった。
【0141】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、マンガン、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:ZrO2:Ru換算で8:60:32:0.3であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:ZrO2:Ru換算で65:35:1.0であった。
【0142】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は1.2g/リットル、COD(Cr)処理効率98%でpHは8.5であった。またp−クロルフェノールを測定したところ検出されなかった。
【0143】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0144】
(処理例5)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以下に記載する3種類の触媒を充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で処理を行なった。
【0145】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3換算で5:19:76であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は入口部(下部)には、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.25リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3:Rh換算で3:19:78:0.5であった。また第二湿式酸化反応塔19の出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.75リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3:Rh換算で20:80:0.5であった。
【0146】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を37.5g/リットル、pHは11.1で、ガスクロマト分析法により測定したところジメチルホルムアミドを12g/リットル含有していた。
【0147】
廃水の処理条件は、処理温度235℃、処理圧力60kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1と第二湿式酸化反応塔19の間からアルカリ供給ポンプ20を用いて、30ml/hの流量で供給した。
【0148】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は0.7g/リットル、COD(Cr)処理効率98%でpHは8.7であった。またジメチルホルムアミドおよびアンモニウムイオンを測定したが、ともに検出されなかった。
【0149】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0150】
(比較処理例4)
処理例5において始めの湿式酸化処理に用いた触媒と、後の湿式酸化処理に用いた触媒とを逆にして用いた以外は、処理例5で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、入口部(下部)には、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.75リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3:Rh換算で20:80:0.5であった。また第一湿式酸化反応塔1の出口部(上部)に充填した触媒は、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とロジウムよりなる触媒0.25リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3:Rh換算で3:19:78:0.5であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、銅、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、CuO:TiO2:Fe2O3換算で5:19:76であった。
【0151】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は8.4g/リットル、COD(Cr)処理効率78%で、pHは9.3であった。またジメチルホルムアミドが1.2g/リットル検出され、アンモニウムイオンも0.3g/リットル検出された。
【0152】
(処理例6)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この2本の反応塔に以下に記載する2種類の触媒を充填して処理し、処理温度を200℃とした以外は、処理例5で記述した方法と同条件で処理を行なった。
【0153】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で15:17:68であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とパラジウムよりなる触媒1リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3:Pd換算で5:19:76:0.2であった。
【0154】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率97%でpHは8.7であった。またジメチルホルムアミドおよびアンモニウムイオンを測定したが、ともに検出されなかった。
【0155】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0156】
(処理例7)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で110時間処理を行なった。得られた処理液は処理液タンク14にストックし、さらに下記に記載する触媒1.0リットルを充填した同様の別の湿式酸化処理装置で再度100時間湿式酸化処理を行った。
【0157】
始めの湿式酸化処理装置に充填した触媒は、セリウム、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、CeO2:TiO2:Fe203換算で5:76:19であった。また後の触媒湿式酸化処理装置に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物とルテニウムおよびイリジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3:Ru:Ir換算で20:80:0.5:0.2であった。
【0158】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を43g/リットル、pHは5.4で、ガスクロマト分析法により測定したところジメチルスルホキシドを7.3g/リットル含有していた。
【0159】
始めの湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度245℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を反応塔の前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、30ml/hの流量で供給した。
【0160】
また後の湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度255℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.0となるように供給し、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0161】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)9.9g/リットル、COD(Cr)処理効率77%でpHは8.0であった。またジメチルスルホキシドは検出されなかった。また処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果も、COD(Cr)9.9g/リットル、COD(Cr)処理効率77%、pH8.0で、ジメチルスルホキシドは検出されなかった。
【0162】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)1.7g/リットル、COD(Cr)処理効率83%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は96%であった。またこの処理液のpHは6.8であった。
【0163】
またその後廃水の処理を停止し、始めの湿式酸化反応処理装置および後の湿式酸化処理装置の反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、共に廃水処理前と比較して特に変化は認められなかった。
【0164】
(比較処理例5)
処理例7において始めの湿式酸化処理に用いた触媒と、後の湿式酸化処理に用いた触媒とを逆にして用いた以外は、処理例7で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0165】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)10.5g/リットル、COD(Cr)処理効率76%、pH8.1で、ジメチルスルホキシドは検出されなかった。また、処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果は、COD(Cr)9.1g/リットル、COD(Cr)処理効率79%で、pHは8.0であった。
【0166】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)5.6g/リットル、COD(Cr)処理効率47%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は87%であった。またこの処理液のpHは7.5であった。
【0167】
(処理例8)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、第一湿式酸化反応塔1は空塔で、第二湿式酸化反応塔19には以下に記載する2種類の触媒を充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で処理を行なった。
【0168】
第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は入口部(下部)には、マンガン、コバルト、チタンの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:Co2O3:TiO2換算で10:5:85であった。また第二湿式酸化反応塔19の出口部(上部)に充填した触媒は、マンガン、チタンの酸化物および/または複合酸化物とルテニウムよりなる触媒0.5リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Ru換算で5:95:1.0であった。
【0169】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を13.5g/リットル、pHは13.0であった。また、検知管により硫化物イオン、陰イオンクロマト分析法によりチオ硫酸イオンを分析したところ硫化物イオンを4.6g/リットル、チオ硫酸イオンを8.5g/リットル含有していた。
【0170】
廃水の処理条件は、処理温度165℃、処理圧力9kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.5となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の手前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、20ml/hの流量で供給した。
【0171】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は3.7g/リットル、COD(Cr)処理効率73%でpHは8.3であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析したが、検出されなかった。
【0172】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、いずれも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0173】
(比較処理例6)
処理例8において第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒の代わりにチタンの酸化物およびルテニウムよりなる触媒とした以外は、処理例8で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、各成分の重量比が蛍光X線法により、TiO2:Ru換算で100:1.0の触媒を1.0リットル用いた。
【0174】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は6.1g/リットル、COD(Cr)処理効率55%で、pHは10.1であった。 また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析した結果、硫化物イオンが0.08g/リットル、チオ硫酸イオンが0.4g/リットル検出された。
【0175】
またその後廃水の処理を停止し、第二湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その結果廃水処理前の触媒に比べ触媒中のルテニウムの含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、TiO2:Ru換算で100:0.6であった。
【0176】
(処理例9)
図2に示す反応塔を2本連結した湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔の液の流れ方向に対して上流側の反応塔(第一湿式酸化反応塔)1に下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、また液の流れ方向に対して下流側の反応塔(第二湿式酸化反応塔)19にも下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0177】
第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒は、マンガン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:ZrO2:Fe2O3換算で20:16:64であった。さらに第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒は、マンガン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:ZrO2:Fe2O3換算で5:19:76であった。
【0178】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を26.3g/リットル、pHは9.6で、ガスクロマト分析法により測定したところエチレンジアミンを5.0g/リットル含有していた。
【0179】
廃水の処理条件は、処理温度240℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.2となるように第一湿式酸化反応塔1の前から全量供給した。なお25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0180】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は1.6g/リットル、COD(Cr)処理効率94%でpHは7.5であった。またエチレンジアミンを測定したところ検出されなかった。
【0181】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0182】
(比較処理例7)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、この湿式酸化反応塔1に比較処理例7と同じ触媒を1.0リットル充填し、廃水の供給量1リットル/hで処理を行った以外は、比較処理例7および処理例9と同様の操作方法で処理を行なった。
【0183】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.9g/リットル、COD(Cr)処理効率89%で、pHは7.9であった。 またエチレンジアミンは検出されなかった。
【0184】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0185】
(比較処理例8)
処理例9において第一湿式酸化反応塔1および第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒を両方とも下記に記載した触媒とした以外は、処理例9で記述した条件と同条件で処理を行った。充填した触媒は、マンガン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比が蛍光X線法により、MnO2:ZrO2:Fe2O3換算で12.5:17.5:70の触媒で、それぞれの反応塔に各1リットル用いた。
【0186】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.1g/リットル、COD(Cr)処理効率92%で、pHは7.7であった。 またエチレンジアミンは検出されなかった。
【0187】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの反応塔の触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0188】
(比較処理例9)
処理例9において第一湿式酸化反応塔1および第二湿式酸化反応塔19に充填した触媒をチタンの酸化物およびイリジウムよりなる触媒とした以外は、処理例9で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、各成分の重量比が蛍光X線法により、TiO2:Ir換算で100:1.0の触媒を2.0リットル用いた。
【0189】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は7.4g/リットル、COD(Cr)処理効率72%で、pHは8.5であった。 またエチレンジアミンが0.8g/リットル検出された。
【0190】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。そして蛍光X線法で抜き出した触媒の組成の変化を解析した。その結果第一湿式酸化反応塔1に充填した触媒において、廃水処理前の触媒に比べ触媒中のイリジウムの含有量が、特に反応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒の各成分の重量比は、TiO2:Ir換算で100:0.2であった。
【0191】
(処理例10)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を充填し、下記条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同様の操作方法で処理を行なった。
【0192】
反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、マンガン、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒0.7リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で10:81:9であった。さらに反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタン、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒0.3リットルで、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3換算で90:10であった。
【0193】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を25.1g/リットル、pHは13.4で、検知管により硫化物イオンを、陰イオンクロマト分析によりチオ硫酸イオンを分析したところ、硫化物イオンとして8.5g/リットル、チオ硫酸イオンとして0.2g/リットル含有していた。
【0194】
廃水の処理条件は、処理温度160℃、処理圧力9kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.0となるように供給した。なお25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0195】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は4.1g/リットル、COD(Cr)処理効率84%でpHは10.5であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析したが、検出されなかった。
【0196】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していたそれぞれの触媒を抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0197】
(比較処理例10)
処理例10において反応塔入口部(下部)に使用した触媒の代わりに反応塔出口部(上部)と同じ触媒を充填した以外は、処理例10で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、各成分の重量比が蛍光X線法により、TiO2:Fe2O3換算で90:10の触媒を1.0リットル用いた。
【0198】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は9.5g/リットル、COD(Cr)処理効率62%でpHは12.1であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析した結果、硫化物イオンが0.41g/リットル、チオ硫酸イオンが0.6g/リットル検出された。
【0199】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0200】
(比較処理例11)
処理例10において反応塔出口部(上部)に触媒を充填せずに空塔とした以外は、処理例10で記述した条件と同条件で処理を行った。すなわち触媒は、反応塔下部に、各成分の重量比が蛍光X線法により、MnO2:TiO2:Fe2O3換算で10:81:9の触媒を0.7リットルのみ用いた。
【0201】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は4.5g/リットル、COD(Cr)処理効率82%でpHは10.6であった。また、硫化物イオンならびにチオ硫酸イオンを分析したが、検出されなかった。
【0202】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0203】
(処理例11)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する触媒を1.0リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で110時間処理を行なった。得られた処理液は処理液タンク14にストックし、さらに下記に記載する触媒1.0リットルを充填した同様の別の湿式酸化処理装置で再度100時間湿式酸化処理を行った。
【0204】
始めの湿式酸化処理装置に充填した触媒は、マンガン、チタン、ジルコニウム、鉄の酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:ZrO2:Fe203換算で3:33:14:50であった。また後の触媒湿式酸化処理装置に充填した触媒は、チタンの酸化物とパラジウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Pd換算で100:0.6であった。
【0205】
処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)を36g/リットル、pHは13.6で、有機物を主成分とする廃水であり、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ハロゲン含有化合物からなる化合物を含んでいなかった。
【0206】
始めの湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度250℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように供給した。なお25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0207】
また後の湿式酸化処理装置での廃水処理条件は、処理温度250℃、処理圧力75kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1となるように供給し、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液は、供給しなかった。
【0208】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率97%でpHは7.8であった。 また処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果も、COD(Cr)1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率97%、pH7.8であった。
【0209】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)0.2g/リットル、COD(Cr)処理効率82%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は99%であった。またこの処理液のpHは7.5であった。
【0210】
またその後廃水の処理を停止し、始めの湿式酸化反応処理装置および後の湿式酸化処理装置の反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、共に廃水処理前と比較して特に変化は認められなかった。
【0211】
(比較処理例12)
処理例11において始めの湿式酸化処理に用いた触媒と後の湿式酸化処理に用いた触媒を逆にして処理を行った以外は、処理例11で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0212】
始めの湿式酸化処理装置での110時間後に得られた一次処理液の結果は、COD(Cr)3.4g/リットル、COD(Cr)処理効率91%、pH8.4であった。また、処理液タンク14にストックされた一次処理液の結果は、COD(Cr)2.6g/リットル、COD(Cr)処理効率93%で、pHは8.2であった。
【0213】
引き続き行った後の湿式酸化処理装置での100時間後に得られた二次処理液の結果は、COD(Cr)0.8g/リットル、COD(Cr)処理効率69%で、始めからのCOD(Cr)処理効率は98%であった。またこの処理液のpHは7.7であった。
【0214】
(処理例12)
処理例1において使用した触媒の代わりに下記に記載する2種類の触媒を各0.5リットル充填し、下記の条件下で処理した以外は、処理例1で記述した方法と同じ操作方法で処理を100時間行った。
【0215】
反応塔入口部(下部)に充填した触媒は、マンガン、チタン、ジルコニウムの酸化物および/または複合酸化物よりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、MnO2:TiO2:ZrO2換算で1:39:60であった。さらに反応塔出口部(上部)に充填した触媒は、チタンの酸化物とルテニウムよりなる触媒で、各成分の重量比は蛍光X線法により、TiO2:Ru換算で100:0.8であった。
【0216】
処理に供した該廃水の性状は、有機物、硫酸アンモニウムおよび硫酸ナトリウムを主成分とする廃水であり、COD(Cr)は21g/リットル、pHは2.1であった。またイオンクロマト分析により測定した結果、塩化物イオンを0.65g/リットル、硫酸イオンを41.0g/リットルおよびアンモニウムイオンを3.10g/リットル含有していた。
【0217】
廃水の処理条件は、処理温度230℃、処理圧力60kg/cm2G、廃水の供給量1リットル/h、供給空気量はO2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5となるように供給した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、第一湿式酸化反応塔1の前からアルカリ供給ポンプ15を用いて、40ml/hの流量で供給した。
【0218】
100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)1.5g/リットル、COD(Cr)処理効率93%で、pHは8.4であった。またアンモニウムイオンは検出されなかった。
【0219】
またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化反応塔内に充填していた触媒をそれぞれ抜き出したが、両方とも廃水処理前と特に変化は認められなかった。
【0220】
(比較処理例13)
処理例12において反応塔入口部(下部)に使用した触媒の代わりに反応塔出口部(上部)と同じ触媒を充填し、すなわち反応塔出口部(上部)の触媒を1.0リットル充填した以外は、処理例12で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0221】
開始直後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)は2.8g/リットル、COD(Cr)処理効率87%で、pHは8.7であった。またアンモニウムイオンは検出されなかった。
【0222】
しかし100時間後に得られた処理液の結果は、COD(Cr)4.0g/リットル、COD(Cr)処理効率81%、pH8.9で、アンモニウムイオンが0.08g/リットル検出された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【符号の説明】
1.湿式酸化反応塔(第一湿式酸化反応塔)
2.熱交換器
3.廃水供給ポンプ
4.気液分離器
5.コンプレッサー
6.液面制御弁
7.圧力制御弁
8.廃水供給ライン
9.酸素含有ガス供給ライン
10.気液混合物供給ライン
11.処理液ライン
12.ガス排出ライン
13.処理液排出ライン
14.処理液タンク
15.アルカリ供給ポンプ
16.アルカリ供給ライン
17.電気ヒーター
18.冷却器
19.第二湿式酸化反応塔
20.アルカリ供給ポンプ
Claims (9)
- 酸素含有ガスおよび廃水を供給して、廃水が液相を保持する圧力下、140℃〜370℃の温度で、少なくとも2種類の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を用い、なおかつこのうち少なくとも1種は、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分A)の少なくとも1種を含有する触媒を用いて廃水を湿式酸化処理するに際して、これらの触媒の組成または組成比のうち、マンガン、コバルト、ニッケル、銅およびセリウムよりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物の少なくとも1種の触媒中の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向であること(ただし、コバルトおよび銅をそれぞれ単独で含有する触媒を廃水の最上流側に配置する場合を除く。)を特徴とする廃水の処理方法。
- ひとつの反応塔に少なくとも2種の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を積層充填して用いることを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方法。
- 複数の反応塔に少なくとも2種の触媒組成または触媒組成比の異なる触媒を充填して用いることを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方法。
- 触媒成分Aの合計の含有量が、該廃水の流れ方向に対して上流側から下流側に対して少なくなる方向であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃水の処理方法。
- 触媒成分Aが、その元素の酸化物および/または複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃水の処理方法。
- 該廃水の流れ方向に対して下流側に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金よりなる群から選ばれる元素の金属および/またはその金属の化合物(触媒成分B)の少なくとも1種を含有する触媒を設置して湿式酸化処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の廃水の処理方法。
- 該廃水の流れ方向に対して上流側の触媒に、触媒成分Bを含有しない触媒を設置して湿式酸化処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の廃水の処理方法。
- 廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の廃水の処理方法。
- 触媒成分Aがマンガンを含有するものである請求項1〜8のいずれかに記載の廃水の処理方法。
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