JP3318131B2 - 廃水処理用触媒およびその触媒を用いた廃水の処理方法 - Google Patents

廃水処理用触媒およびその触媒を用いた廃水の処理方法

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JP3318131B2 JP24359394A JP24359394A JP3318131B2 JP 3318131 B2 JP3318131 B2 JP 3318131B2 JP 24359394 A JP24359394 A JP 24359394A JP 24359394 A JP24359394 A JP 24359394A JP 3318131 B2 JP3318131 B2 JP 3318131B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃水処理用触媒、その
製造方法、およびその触媒を用いた廃水の処理方法に関
する。さらに詳しくは、本発明は、化学プラント設備、
メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱
業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設
備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設
備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、写
真処理設備等から排出される廃水を浄化処理する場合に
用いられる。特に廃水の浄化方法の中でも固体触媒を用
いた湿式酸化処理の方法で該廃水を浄化する場合に用い
られ、この場合の廃水中の有機物および/または無機C
OD成分を分解するための触媒、および該廃水を該触媒
の存在下に湿式酸化処理する該廃水の浄化方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、廃水の処理方法として、活性汚泥
法と広く一般的に呼ばれる生物的処理法、および焼却に
よる燃焼処理法、チンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式
酸化処理法などが知られている。
【0003】生物的処理法は、有機物等の分解に長時間
を要し、またアンモニアなどの難分解性窒素化合物の処
理のためには複雑な工程を要し、しかも藻類、バクテリ
ヤ等の微生物の生育に適した濃度に廃水を希釈したり、
微生物の生育に適したpHに廃水を調節するなどの必要
があるため処理施設の設置面積が広大になるなどの欠点
がある。
【0004】燃焼処理法は、燃焼のための燃料費等のコ
ストがかかるうえ、排ガス等の二次公害の問題などの欠
点がある。
【0005】チンマーマン法と呼ばれる無触媒湿式酸化
処理法は、高温高圧下で廃水を酸素含有ガスの存在下に
処理し、有機物および/または無機COD成分等を酸化
もしくは酸化分解させる方法であって、優れた処理方法
ではある。しかし、一般的に処理効率が低いため、さら
に二次処理設備を必要とする場合が多く、高処理効率を
目的とする場合には設備上の問題も少なくない。
【0006】このため、この湿式酸化処理法において処
理効率を向上させることを主たる目的として各種の触媒
を使用する方法が提案されている。特に固体触媒を用い
た湿式酸化法(以下、触媒湿式酸化処理とも記載する)
はその高い廃水の浄化性ならびに優れた経済性等の面か
ら近年特に注目されている。これらの触媒の例として
は、パラジウム、白金等の貴金属類をアルミナ、シリ
カ、シリカゲル、活性炭等の担体に担持した触媒がある
(特開昭49−44556号、特開昭49−94157
号)。
【0007】しかしながら、廃水は、一般に、含有され
る成分の種類が同じであることは希であり、例えば、窒
素原子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない有機物以
外に有機窒素化合物、硫黄化合物、有機ハロゲン化合物
等が廃水に含まれている場合も多く生じる。
【0008】しかし、上記の触媒のみを使用するだけで
は、これらの成分を充分に処理することができないこと
が多いものであった。
【0009】上に挙げた従来の方法では、各種化学プラ
ント廃水等に多く含まれるアミン化合物、アミド化合
物、アミノ酸化合物等の有機窒素化合物を含む廃水;石
油化学系および写真廃水系等の廃水に多く含まれるチオ
硫酸および亜硫酸、硫化物などの無機硫黄化合物、界面
活性剤および溶剤などに多く使用される有機硫黄化合物
等の硫黄化合物を含む廃水;洗浄剤およびファインケミ
カル系等の廃水に多く含まれる有機ハロゲン化合物を含
む廃水等の種々の廃水の処理に関しては、特に処理効率
が充分ではなかった。また、上記の従来の触媒湿式酸化
処理では、本発明者らの検討によれば長期使用により、
触媒の強度の低下および破砕粉化を生じ、さらに触媒の
溶解を生ずる場合もあり、耐久性に劣り、実用的ではな
かった。
【0010】また、その他に問題を解決する技術とし
て、チタニアまたはジルコニアを担体として用いる方法
が提案されている(特開昭58−64188号)。これ
によると、球状または円筒状のチタニアまたはジルコニ
アの担体にパラジウム、白金等の貴金属、鉄、コバルト
等の重金属を担持した触媒が開示され、従来の担体と比
べて優れた強度を有することが記載されている。しかし
ながら、これらの触媒はいずれも触媒活性および耐久性
において未だ充分満足できるものではなかった。
【0011】これらの問題を解決しようとして、本発明
者らは既に、チタンとジルコニウムの複合酸化物と、パ
ラジウムおよび白金等の貴金属類および/またはコバル
ト、ニッケル等の重金属類からなる触媒を用いた廃水の
処理方法(特公平3−34997号);鉄とチタン、ケ
イ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる少なく
とも一種の元素を含む酸化物と、パラジウムおよび白金
等の貴金属類および/またはコバルト、ニッケル等の重
金属類からなる触媒およびその触媒を用いた廃水の処理
方法(特開平5−138027号)を提案した。これら
の触媒はいずれも触媒活性が高く、耐久性においても高
いものであるが、廃水の処理における経済性および浄化
効率の向上がなされれば、さらに好ましい結果を得るこ
とができる。
【0012】また、一般に廃水の触媒湿式酸化処理にお
いてはコストの面からステンレス鋼などの鉄系材質の反
応管等が使用されるが、このものは酸性域では腐食に弱
いために廃水のpHはアルカリ域に調整されて反応に供
されている場合が多い。しかし、この場合、上記のよう
な従来の触媒はアルカリ域の使用において充分な耐久性
および処理活性を有しているものとはいえず、廃水がア
ルカリ域にあっても充分に耐久性等を有する触媒が望ま
れている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、窒素原子や、硫黄原子、ハロゲン原子を含まない炭
化水素系有機物以外にも、有機窒素化合物、硫黄化合
物、有機ハロゲン化合物等の処理の困難な物質が含まれ
ている廃水においても、浄化性高く廃水を処理し、なお
かつ経済性にも優れた触媒湿式酸化による廃水の処理方
法を提供することにある。すなわち有機物および/また
は無機COD成分等の河川等を汚染する有害物質を含有
する如何なる種類の廃水に対しても浄化性高く廃水を処
理し、なおかつ経済性にも優れた触媒湿式酸化による廃
水の処理方法を提供することにある。このためにより触
媒活性が高く、耐久性および耐アルカリ性に優れた廃水
処理用触媒、およびその触媒を用いた廃水の処理方法を
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】廃水処理用触媒の触媒活
性成分として、従来、種々の重金属類、貴金属類元素が
有効であることが知られているが、本発明者等は上記の
課題を解決するため鋭意研究の結果、(1)廃水処理用触
媒の元素として(以下本発明を説明する便宜上、「触媒
成分」ということもある)マンガンとチタンまたはマン
ガンとジルコニウムとをそれぞれの酸化物および/また
は複合酸化物として組み合わせて併用すれば、種々の廃
水に対して特異的に触媒活性が向上し、かつ耐久性およ
び耐アルカリ性に優れること、(2)ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、イリジウム、白金よりなる群から選ば
れる元素の少なくとも一種の金属および/またはその金
属の化合物をも触媒成分として併用すれば上記効果が一
層助長されること、(3)チタンまたはジルコニウムがマ
ンガンと例えば複合酸化物を形成するなどの緊密に混合
されてなる形態であればより効果を高め得ること、(4)
触媒成分であるマンガンの酸化物および/または複合酸
化物は、マンガンの酸化数がMnOxの形態においてx
=1.5〜2.0である場合に特に特異的に触媒の耐久
性ならびに処理活性が高まることを見いだし、本発明を
完成するに至ったのである。かくして、本発明は、以下
のごとくの廃水処理用触媒およびその触媒を使用した廃
水の処理方法を提供する。本発明は、具体的には以下の
通りに特定される。
【0015】(1)マンガンとチタンの複合酸化物を含
有することを特徴とする、140℃以上370℃未満で
湿式酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0016】(2)マンガンとジルコニウムの複合酸化
物を含有することを特徴とする、140℃以上370℃
未満で湿式酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0017】(3)マンガンとチタンの複合酸化物
ンガンとジルコニウムのそれぞれの酸化物および/また
は複合酸化物、あるいはマンガンとジルコニウムの複合
酸化物とマンガンとチタンのそれぞれの酸化物を含有す
ることを特徴とする、140℃以上370℃未満で湿式
酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0018】(4)上記(1)〜(3)記載の触媒にチ
タンおよび/またはジルコニウムの酸化物および/また
は複合酸化物をさらに添加されてなることを特徴とす上
記(1)〜(3)記載の、140℃以上370℃未満で
湿式酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0019】(5)上記(1)〜(4)記載の触媒に、
さらにルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウ
ム、および白金よりなる群から選ばれる元素の少なくと
も一種の金属および/またはその金属の化合物を含む上
記(1)〜(4)記載の、140℃以上370℃未満で
湿式酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0020】(6)上記(1)〜(5)記載のマンガン
とチタン、またはマンガンとジルコニウムとの複合酸化
物に含まれるマンガンの酸化物におけるマンガンの酸化
数が、MnOxの形態でx=1.5〜2.0である上記
(1)〜(5)記載の、140℃以上370℃未満で湿
式酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0021】(7)上記(1)〜(6)記載のマンガン
とチタン、またはマンガンとジルコニウムとの複合酸化
物に含まれるマンガンの酸化物が、マンガンの酸化物の
原料を、酸化性雰囲気中にて300℃以上550℃以下
で熱処理して得られるものである上記(1)〜(6)記
載の、140℃以上370℃未満で湿式酸化処理するに
用いる廃水処理用触媒。
【0022】(8)上記(1)〜(7)記載の触媒のB
ET法比表面積が5〜200m/gである上記(1)
〜(7)記載の、140℃以上370℃未満で湿式酸化
処理するに用いる廃水処理用触媒。
【0023】(9)140℃以上370℃未満かつ廃水
が液相を保持する圧力下で、酸素含有ガスの供給下に触
媒を用いて廃水を湿式酸化処理する廃水の処理方法にお
いて、上記(1)〜(8)記載の触媒を用い、pH7.
5以上の廃水を湿式酸化処理に供することを特徴とする
廃水の処理方法。
【0024】(10)廃水が液相を保持する圧力下で、
酸素含有ガスの供給下に触媒を用いて廃水を湿式酸化処
理する廃水の処理方法において、該廃水の流れ方向に対
して上流側に上記(1)〜(8)記載の触媒を設置し、
該廃水の流れ方向に対して下流側にルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、イリジウム、および白金よりなる群か
ら選ばれる元素の少なくとも一種の金属および/または
その金属の化合物を含有してなる触媒を設置して廃水を
湿式酸化処理することを特徴とする廃水の処理方法。
【0025】(11)廃水が有機窒素化合物、硫黄化合
物および有機ハロゲン化合物からなる群から選ばれる少
なくとも1種を含有するものであることを特徴とする上
記(9)または(10)記載の廃水の処理方法。
【0026】以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
【作用】 本発明の第1の廃水処理用触媒は、マンガン
とチタンの複合酸化物を含有するものである。マンガン
とチタンの複合酸化物を用いることによって触媒活性お
よび耐久性に優れた触媒となる。
【0028】各成分の比率は特に制限されないが、マン
ガンはMnOとして0.05〜50重量%、チタンは
TiOとして99.95〜50重量%である場合が効
果的であり、好ましくはマンガンはMnOとして0.
5〜30重量%、チタンはTiOとして99.5〜7
0重量%であり、より好ましくはマンガンはMnO
して1〜20重量%、チタンはTiOとして99〜8
0重量%の組成を有するものである。マンガンの割合が
MnOとして0.05重量%未満である場合は、本発
明によるところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒
を使用したときに、触媒の活性が充分でなく、50重量
%よりも多い場合は、本発明によるところの触媒湿式酸
化処理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒活性
は充分であるが該触媒の形状維持のための機械的強度が
低下するという欠点を有する。従って、触媒が具備すべ
き種々の条件を考慮して上記好ましい範囲からマンガン
およびチタンのそれぞれの使用割合が決定される。
【0029】本発明の第2の廃水処理用触媒は、マンガ
ンとジルコニウムの複合酸化物を含有するものである。
マンガンとジルコニウムの複合酸化物を用いることによ
って触媒活性および耐久性に優れた触媒となる。
【0030】各成分の比率は特に制限されないが、マン
ガンはMnOとして0.05〜50重量%、ジルコニ
ウムはZrOとして99.95〜50重量%である場
合が効果的であり、好ましくはマンガンはMnOとし
て0.5〜30重量%、ジルコニウムはZrOとして
99.5〜70重量%であり、より好ましくはマンガン
はMnOとして1〜20重量%、ジルコニウムはZr
として99〜80重量%の組成を有するものであ
る。マンガンの割合がMnOとして0.05重量%未
満である場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処
理する条件下で該触媒を使用したときに、触媒の活性が
充分でなく、50重量%よりも多い場合は、本発明によ
るところの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用
したときに、触媒活性は充分であるが該触媒の形状維持
のための機械的強度が低下するという欠点を有する。従
って、触媒が具備すべき種々の条件を考慮して上記好ま
しい範囲からマンガンおよびジルコニウムのそれぞれの
使用割合が決定される。
【0031】本発明の第3の廃水処理用触媒は、マンガ
ンとチタンの複合酸化物マンガンとジルコニウムのそ
れぞれの酸化物および/または複合酸化物、あるいはマ
ンガンとジルコニウムの複合酸化物とマンガンとチタン
のそれぞれの酸化物を含有するものである。
【0032】各成分の比率は特に制限されないが、マン
ガンはMnOとして0.05〜50重量%、チタンは
TiOとしてとジルコニウムはZrOとしての合計
が99.95〜50重量%である場合が効果的であり、
好ましくはマンガンはMnOとして0.5〜30重量
%、チタンはTiOとしてとジルコニウムはZrO
としての合計が99.5〜70重量%であり、より好ま
しくはマンガンはMnOとして1〜20重量%、チタ
ンはTiOとしてとジルコニウムはZrOとしての
合計が99〜80重量%の組成を有するものである。マ
ンガンの割合がMnOとして0.05重量%未満であ
る場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する
条件下で該触媒を使用したときに、触媒の活性が充分で
なく、50重量%よりも多い場合は、本発明によるとこ
ろの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したと
きに、触媒活性は充分であるが該触媒の形状維持のため
の機械的強度が低下するという欠点を有する。従って、
触媒が具備すべき種々の条件を考慮して上記好ましい範
囲での使用割合が決定される。
【0033】本発明の第4の廃水処理用触媒は、上記第
1〜3の触媒にチタンおよび/またはジルコニウムのそ
れぞれの酸化物および/または複合酸化物をさらに添加
されてなるものである。
【0034】各成分の比率は特に制限されないが、マン
ガンはMnOとして0.05〜50重量%、チタンは
TiOとしてとジルコニウムはZrOとしての合計
が99.95〜50重量%である場合が効果的であり、
好ましくはマンガンはMnOとして0.5〜30重量
%、チタンはTiOとしてとジルコニウムはZrO
としての合計が99.5〜70重量%であり、より好ま
しくはマンガンはMnOとして1〜20重量%、チタ
ンはTiOとしてとジルコニウムはZrOとしての
合計が99〜80重量%の組成を有するものである。マ
ンガンの割合がMnOとして0.05重量%未満であ
る場合は、本発明によるところの触媒湿式酸化処理する
条件下で該触媒を使用したときに、触媒の活性が充分で
なく、50重量%よりも多い場合は、本発明によるとこ
ろの触媒湿式酸化処理する条件下で該触媒を使用したと
きに、触媒活性は充分であるが該触媒の形状維持のため
の機械的強度が低下するという欠点を有する。従って、
触媒が具備すべき種々の条件を考慮して上記好ましい範
囲での使用割合が決定される。
【0035】本発明の第5の廃水処理用触媒は、上記第
1〜4の触媒にルテニウム、ロジウム、パラジウム、イ
リジウム、および白金よりなる群から選ばれる元素の少
なくとも一種の金属および/またはその金属の化合物
(以下これらを総称して貴金属元素類ということもあ
る)を含むものである。
【0036】この貴金属元素類は第1〜4の触媒100
重量部に対して、それぞれ0.05〜10重量部、好ま
しくは0.1〜2.5重量部の範囲で含有せしめること
が効果的である。0.05重量部未満である場合には、
貴金属元素類の効果が少なく、触媒の活性が向上しない
ものであり、10重量部を越える場合には、触媒費の上
昇に見合った触媒の性能向上が得られないため経済的に
好ましくない。また、触媒の耐久性ならびに触媒の機械
的強度も低下するものである。
【0037】本発明に係る触媒は、上記触媒の触媒成分
の化合物等で触媒とすることもできるが、場合によって
は、本発明に係る触媒成分の化合物そのものを例えばペ
レット状、粒状、球状もしくはリング状のもの、または
ハニカムなどの一体構造体等、種々の形状の物に成形し
て使用することができる。また、上記形状を有する無機
酸化物担体、金属担体等に担持して使用することもでき
る。また無機酸化物は、ガラス繊維等の成形助材と同じ
ように本発明に係る触媒成分と混合し、成形して使用す
ることも可能であり、この場合、触媒の成形性および機
械的強度等を向上させるのに有効である。
【0038】これらの無機酸化物は、触媒成分と混合
し、成形して使用する場合には、触媒全量に対して、好
ましくは70〜0.01重量%、より好ましくは10〜
0.1重量%である。70重量%を越える場合は、触媒
としての効果が減少するものであり、0.01重量%未
満である場合は、不純物とみなすことができるものであ
る。
【0039】これらの無機酸化物担体もしくは金属担体
は、これらに本発明に係る触媒成分を担持して使用する
場合には、触媒全量に対して、好ましくは99.5〜2
0重量%、より好ましくは95〜50重量%であるとき
に効果的である。99.5重量%を越える場合は、触媒
としての効果が減少するものであり、20重量%未満で
ある場合は、担体としての効果が少なく、触媒としての
形状を維持するための機械的強度が減少するものであ
る。
【0040】本発明に係る粒状および球状の触媒として
は、好ましくは平均粒径1〜10mm、より好ましくは
2〜7mmである。平均粒径が1mm未満であると触媒
を充填したときの反応塔の圧力損失が増加し、また10
mmよりも大きい場合には充分な幾何学的表面積をとれ
ず、接触効率が低下し、充分な処理能力が得られなくな
る。
【0041】本発明に係るペレット状の触媒としては、
好ましくは平均径1〜10mm、より好ましくは3〜8
mmで、好ましくは平均長さ2〜15mm、より好まし
くは3〜10mmである。平均径が1mm未満または平均
長さが2mm未満であると圧力損失が増加し、また平均
径が10mmよりも大きいもしくは平均長さが15mm
よりも大きい場合には充分な幾何学的表面積をとれず、
接触効率が低下し、充分な処理能力が得られなくなる。
【0042】本発明に係るリング状の触媒としては、好
ましくは平均外径4〜15mm、より好ましくは6〜1
2mmで、好ましくは平均長さ2〜15mm、より好ま
しくは3〜10mmで、好ましくは平均肉厚0.5〜5
mm、より好ましくは1〜4mmである。平均外径が4
mm未満または平均長さが2mm未満であると圧力損失
の増加ならびに成形性が困難であり、また平均外径が1
5mmよりも大きいもしくは平均長さが15mmよりも
大きい場合には充分な幾何学的表面積をとれず、接触効
率が低下し、充分な処理能力が得られなくなる。また平
均肉厚が0.5mm未満の場合には圧力損失が小さくな
り、触媒を軽量化できるという利点があるが、触媒の機
械的強度が低下することがあり、平均肉厚が5mmを越
える場合には機械的強度は充分であるが、充分な幾何学
的表面積をとれず、接触効率が低下し、充分な処理能力
が得られなくなる。
【0043】本発明に係るハニカム状触媒の形状として
は、貫通孔の相当直径が2〜20mm、セル肉厚が0.
1〜3mmおよび開孔率が50〜90%の範囲が好まし
い。さらに貫通孔の相当直径が2.5〜15mm、セル
肉厚が0.5〜3mmおよび開孔率が50〜90%の範
囲であることがより好ましい。貫通孔の相当直径が2m
m未満である場合には圧力損失が大きく、また相当直径
が20mmを越える場合には圧力損失は小さくなるが、
接触効率が低下して吸着効率が低くなる。またセル肉厚
が0.1mm未満の場合には圧力損失が小さくなり、触
媒を軽量化できるという利点があるが、触媒の機械的強
度が低下する欠点もある。セル肉厚が3mmを越える場
合には機械的強度は充分であるが、圧力損失が大きくな
ることがある。開孔率についても上記と同様の理由から
50〜90%の範囲が好ましい。
【0044】本発明に係る触媒のBET法比表面積は、
好ましくは5〜200m2/gであり、より好ましくは
10〜80m2/gであり、さらに好ましくは30〜5
0m2/gである。5m2/g未満の場合には被処理物質
と触媒との接触効率が低下し、触媒の活性が低下するも
のであり、また200m2/gよりも大きい場合には触
媒の機械的強度が弱くなる。
【0045】次に、本発明の廃水処理用触媒の製造方法
について説明する。
【0046】本発明に係る触媒の製造方法は特に限定さ
れるものではなく、種々の製造方法で作成することがで
きる。基本的にはマンガン元素を含有する化合物とチタ
ンおよび/またはジルコニウムの元素を含有する化合物
とを混合したのち、場合により乾燥した後、さらに酸化
性雰囲気中で焼成して調製される。
【0047】なお、上記の混合ののち、乾燥、焼成の行
程は全ての同様の手順で行うので以下においては省略
し、マンガン元素を含有する化合物とチタンおよび/ま
たはジルコニウム元素を含有する化合物の混合方法を例
にとり具体的に説明する。
【0048】(A)マンガン元素を含有する化合物の水
溶液とチタンまたはジルコニウム元素を含有する化合物
の水溶液とを混合し、アンモニアまたは水酸化ナトリウ
ム水溶液等のアルカリでpH調整し、上記化合物を水酸
化物として共沈する。すなわち共沈法で調製する。
【0049】(B)マンガン元素を含有するゲル状もし
くは固体の水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩、塩化
物、酸化物などの化合物と、チタンまたはジルコニウム
元素を含有するゲル状または固体の水酸化物、硝酸塩、
有機酸塩、塩化物、酸化物などの化合物を緊密に混合
し、練り合わせる混練り法で調製する。
【0050】(C)チタンまたはジルコニウム元素を含
有するゲル状または固体の水酸化物、硝酸塩、有機酸
塩、塩化物、酸化物などの化合物にマンガン元素を含有
する化合物の水溶液を添加する添加法で調製してもよ
く、または逆にマンガン元素を含有するゲル状または固
体の水酸化物、硝酸塩、有機酸塩、塩化物、酸化物など
の化合物に、チタンまたはジルコニウム元素を含有する
化合物の水溶液で添加する添加法で調製する。
【0051】(D)チタンまたはジルコニウム元素を含
有する酸化物などの化合物の成形体に、マンガン元素を
含有する化合物の水溶液を含浸する含浸法で調製する。
【0052】(E)上記方法を組み合わせて調製する等
の方法を挙げることができる。
【0053】なお特に限定されるものではないが、さら
に触媒系にチタンもしくはジルコニウム元素を導入する
際、または貴金属元素類を導入する際には、当該元素を
含有する化合物を上記(A)〜(E)記載の方法におい
て任意の時機に添加すればよい。すなわち、マンガン元
素を含有する化合物またはチタンまたはジルコニウム元
素を含有する化合物の一部を当該元素を含有する化合物
で置き換えて使用してもよいし、複数回操作を行っても
よい。また各種化合物の添加順序についても適宜選択す
ればよい。
【0054】本発明に係わる触媒は、マンガンとチタン
の複合酸化物、マンガンとジルコニウムの複合酸化物、
もしくはマンガンとチタンの複合酸化物とマンガンとジ
ルコニウムのそれぞれの酸化物および/または複合酸化
物またはマンガンとジルコニウムの複合酸化物とマンガ
ンとチタンのそれぞれの酸化物が緊密に混合された形で
形成されたものであり、これにより構成する各成文単独
の酸化物では見られない特異な物性が特に発現する。こ
のことにより該触媒を廃水処理用触媒として使用した場
合、触媒活性の向上ならびに耐久性、耐アルカリ性の向
上および該触媒の機械的強度の向上が顕著になるという
効果を奏したものと推定される。特に本発明による触媒
では作成した触媒のX線回折を測定するとマンガンと思
われる酸化物のピークが現れないか、あるいは現れたに
しても単にマンガンの酸化物と他の酸化物を混合しただ
けのもののX線回折のピークと比較して非常に弱いピー
ク強度しか示さないものであった。このことから推察し
て本発明のマンガンの酸化物はただ単にマンガンの酸化
物として存在しているのではなく、チタンまたはジルコ
ニウムと複合酸化物を形成しているものと考えられる。
【0055】本発明に係る触媒におけるマンガンの酸化
物の原料としては、各種マンガンを含有する化合物を用
いることができ、マンガンの水酸化物、硝酸塩、炭酸
塩、有機酸塩、塩化物、硫酸塩などの化合物もしくは活
性二酸化マンガン、電解二酸化マンガンなどの酸化物、
もしくは過マンガン酸カリウムなどの複合酸化物等があ
る。チタンまたはジルコニウム酸化物の原料としては、
水酸化物、硫酸塩もしくは塩化物などの化合物、チタニ
アもしくはジルコニアなどの酸化物、またはチタン酸バ
リウムなどの複合酸化物等がある。貴金属元素類の原料
としては水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩、塩化
物、硫酸塩などの化合物および酸化物、金属などがあ
り、これらはそのまま触媒成分としても使用できる。
【0056】また本発明に係る触媒の成形方法は特に限
定されるものではなく、種々の成形方法によって触媒を
作成することができ、目的とする触媒の形状によって適
した成形機を使用する。
【0057】さらに本発明に係る触媒は製造するにあた
り、例えばマンガンの酸化物の原料を、または上記
(A)〜(E)の調製方法で得られたマンガンの酸化物
および/またはマンガンの酸化物の原料と、チタンもし
くはジルコニウムの酸化物および/またはチタンもしく
はジルコニウムの酸化物の原料とを、酸化性雰囲気中に
て300℃以上550℃以下で熱処理することが好まし
い。すなわち触媒を調製もしくは成形する場合に、特に
マンガンの酸化物および/またはマンガンの酸化物の原
料を含有した触媒の前駆体を、酸化性雰囲気中にて30
0℃以上550℃以下で焼成することが効果的である。
酸化性雰囲気中で焼成するには、好ましくは酸素含有ガ
スの供給下で焼成するのが効果的であり、さらには酸素
含有ガスは空気であることが好ましい。またこの場合の
焼成時間は、触媒をむらなく均一に焼成する必要性から
1時間以上であることが好ましい。さらに好ましくは焼
成温度は350〜500℃、焼成時間は1〜5時間であ
る。焼成温度が300℃未満もしくは焼成時間が1時間
未満である場合は、触媒の機械的強度が低下し、なおか
つ触媒の活性が低下するために好ましくなく、さらに該
処理の触媒を湿式酸化処理に使用した場合、初期に触媒
成分が水に溶解することがあるため好ましくない。また
550℃よりも高い場合には触媒の活性が著しく低下
し、なおかつ触媒の耐久性も低下する場合がある。本発
明に係る触媒の製造方法における酸化性雰囲気中での触
媒の熱処理は、前もって焼成炉等を用いて行ってもよ
く、また湿式酸化反応塔内に充填した後に反応塔内で行
ってもよく、特に限定されるものではない。
【0058】本発明に係る触媒成分であるマンガンの酸
化物は、チタンおよび/またはジルコニウムのそれぞれ
の酸化物と緊密に混合された形で酸化物を形成している
ため酸化数を正確に求めることは困難であるが、一般的
にマンガンの酸化物は焼成温度の違いによって酸化数が
変化することが知られており、またその酸化数が求めら
れている。これに基づき本発明に係るマンガンの酸化数
を推定することができる。以下に、具体的に述べると、
550℃よりも高温で焼成したマンガンの酸化物は55
0℃よりも低温で焼成した酸化物よりも、より低位の酸
化物であると考えられる。また300℃よりも低温で焼
成した物は、300℃以上の高温で焼成した酸化物より
も、より高位の酸化物であるか、もしくはマンガンの酸
化物および/または複合酸化物に変化してないものと考
えられる。このことから本発明に係る触媒におけるマン
ガンの酸化物および/または複合酸化物におけるマンガ
ンの酸化数は、MnOxの形態でx=1.5〜2.0で
あることが効果的であると考えられ、すなわちマンガン
の酸化数が3価もしくは4価であることが効果的な形態
であると考えられる。またさらには、MnOxの形態で
x=1.7〜2.0であることが効果的であると考えら
れ、特にマンガンの酸化数が4価であることが効果的で
あると考えられる。
【0059】またマンガンの酸化物は種々の変態を形成
するが、それにより本発明に係る触媒が限定されるもの
ではない。
【0060】本発明において、マンガンを含有していな
い本発明における触媒の製造過程でのチタンおよび/ま
たはジルコニウムの化合物もしくは酸化物に対しては、
より高温の500℃よりも高い焼成温度で焼成でき、さ
らには550℃よりも高い焼成温度で焼成することがで
きる。この場合本発明に係る触媒の活性は若干低下する
が、触媒の機械的強度が増加する。ただしこの場合にお
いても焼成温度は800℃以下であることが効果的であ
る。800℃を越える場合には、生成する酸化物の比表
面積が低下するため、被処理物質と触媒との接触効率が
低下し、触媒の活性が低下するものである。
【0061】次に、本発明に係る廃水処理用触媒を用い
た廃水の処理方法について説明する。
【0062】本発明における触媒湿式酸化処理の処理温
度は、140℃以上370℃未満であり、好ましくは1
50℃以上300℃未満であり、さらに好ましくは16
0℃以上280℃未満である。処理温度が370℃以上
である場合は廃水の液相を維持することができないもの
であり、300℃以上である場合は液相を維持するため
にかなりの加圧条件を必要とするため、設備費ならびに
運転費的にコストが高くなるものである。また、処理温
度が140℃未満である場合は有機物および無機COD
成分等の処理効率が低下し、廃水の浄化が不完全なもの
となり、150℃未満の場合でもまだ充分にCOD成分
等を分解することができないことが多いため廃水が充分
浄化できない場合が多い。
【0063】また本発明における酸素含有ガスの種類は
特に限定されるものではなく、酸素、オゾン等のガスを
用いることもできるが、好ましくは価格の安価な空気で
あり、場合によってはこれらを適宜不活性ガス等により
希釈して用いることもできる。またこれらのガス以外に
も他のプラント等より生じる酸素含有の排ガスも適宜使
用することができる。
【0064】この酸素含有ガスの使用量は処理廃水の濃
度により適宜選択されるが、廃水中のCOD成分等を完
全に水、炭酸ガス、無機塩、その他灰分等にするに必要
な酸素量の0.3〜5倍、より好ましくは1.0〜3倍
である。5倍を越えるときは無用の酸素の供給となり、
0.3倍未満である場合は必要な酸素量に足らず廃水の
浄化が不完全なものとなる。また0.3〜1.0倍の範
囲は、廃水中のCOD成分等を完全に水、炭酸ガス、無
機塩、その他灰分等にするに必要な酸素量として足らな
いが、通常の湿式酸化処理ではCODの処理効率は10
0%未満となることから、例えば1.0倍で供給した酸
素は最終的に100%使用されることはなく、処理後の
排ガス中に残ることが多い。このため、このような場合
には供給する酸素量を実際の処理効率にあわせて1.0
倍未満に減少させても、処理後に酸素が残存する酸素過
剰の状態が保たれるのであれば処理に支障をきたさない
場合もあるからである。
【0065】本発明に係る触媒を使用した廃水の処理に
おける液の処理量は、一般的に空間速度としては、0.
1hr-1〜10hr-1であり、より好ましくは、0.5
hr-1〜5hr-1である。空間速度10hr-1を越える
場合には、廃水の処理効率が低下し、空間速度0.1h
r-1未満である場合は、廃水の処理量が低下し、設備が
過大なものとなる。
【0066】本発明に係る触媒で廃水を湿式酸化処理す
る時のpHは、特に限定されるものではなく、適宜設定
することが可能である。特に、該触媒は従来触媒に比較
して耐アルカリ性に優れるという特質があるので、廃水
のpHがアルカリ性であるものを処理するのに好都合で
ある。例えばpH6以上で使用することが好ましく、さ
らに好ましくはpH7.5以上で使用することが好まし
い。またこれは湿式酸化処理後の処理液pHならびに湿
式酸化処理中の液pHについても同様であり、pH6以
上で使用することが好ましく、さらに好ましくはpH
7.5以上で使用することが好ましい。
【0067】一般に触媒湿式酸化処理に使用する配管お
よび反応器等の材質はステンレス鋼等が使用されてお
り、酸性域では配管等の腐食の問題がある。そこで廃水
はアルカリ域のpHに調整されて反応に供されるのが好
ましいが、従来の触媒は液のpHがアルカリ域である場
合、酸性の場合よりも活性が低下する問題があった。し
かし本発明に係る触媒は耐アルカリ性に優れるという特
質があるため、アルカリ域でも使用できるという利点が
ある。従って廃水のpHを高アルカリ域に調整すること
が可能となり、装置の材質面において耐食性を向上させ
ることができる。特にこの装置材質の耐食性の問題は、
従来廃水中に塩素イオン、臭素イオン、有機ハロゲン化
合物などのハロゲン化合物;チオ硫酸イオン、亜硫酸イ
オン、硫化物、有機硫黄化合物などの硫黄化合物を含有
した場合に特に問題であったが、本発明に係る触媒は、
これらを含む廃水に対しても有効である。
【0068】また本発明に係る触媒で廃水を湿式酸化処
理する時のpHの上限は、特に限定されるものではない
が、好ましくは湿式酸化処理後の処理液のpHが12以
下であることが効果的であり、更に効果的にはpHが1
0以下である。pHが12よりも高い場合、処理液のp
Hが10以下の場合と比較して処理効率が低下すること
がある。また処理液を河川等に放流する場合、アルカリ
性が高いときにはpHを調製し、アルカリを中和する必
要があるが、処理液のpHが高いと、この時に使用する
酸の量が増加する問題も生じる。また更にステンレス鋼
などの材質を反応塔などに使用した場合、pHが12よ
りも高いときには材質のアルカリ腐食などの問題などが
ある。
【0069】また、従来の触媒はアミン化合物、アミド
化合物、アミノ酸化合物などの有機窒素化合物、有機硫
黄化合物などの硫黄化合物を含む廃水の処理に対して特
に耐久性に問題があったが、本発明に係る触媒を用いれ
ば耐久性よく、しかも処理効率も高く廃水を処理でき
る。
【0070】廃水のpHを調整する際には、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等もしくはこ
れらの水溶液等を適宜添加して調整すればよく、特に限
定されるものではない。また必要に応じて、硫酸等の酸
性のpH調節用の薬剤を添加することもでき、特に限定
されるものではない。またこの場合の添加方法も特に限
定されるものではなく、廃水のストックタンク等に前も
って添加しておくこともあれば、フィ−ドポンプ等を用
いて連続的に添加し、pHを調整することもできる。
【0071】同様に本発明に係る触媒で廃水を処理した
後の処理液を、放流するに適した、あるいは後処理を実
施するのに適したpHとなるように適宜上記と同じよう
にpH調整を行うことができ、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸等もしくはこれらの
水溶液等を添加することができ、特に限定されるもので
はなく、この添加方法に関しても特に限定されるもので
はない。
【0072】本発明においては、本発明の実施前に、予
め従来からある廃水の浄化方法を用いて廃水を処理する
こともでき、特に限定されるものではない。例えば、触
媒湿式酸化処理においてスケール等を生成するために問
題となる重金属類やカルシウム、マグネシウム、ケイ
素、アルミニウム、リンなどの除去に関する浄化処理を
行うことができ、具体的には活性炭、無機吸着材もしく
は有機高分子材料などを用いた吸着分離除去法および電
気透析法などを用いて除去することもできる。また廃水
中の固形物などを分離除去する浄化処理を行うこともで
き、さらには有機物ならびに無機COD成分等を分解す
る無触媒での湿式酸化処理法等の浄化処理を採用するこ
ともできる。
【0073】また同様に本発明の実施後にも従来からあ
る廃水の浄化方法を用いて本発明による処理液を処理す
ることもできる。本発明の実施後に、例えば、生物処理
または化学的処理する場合にあっても、予め有害物質等
の多くは廃水中から除かれ、かつCOD成分等もかなり
低減されている。しかも本発明で処理した後の処理液中
のCOD成分および窒素化合物等は生物処理または化学
的処理において非常に分解処理され易い物質であり、生
物処理設備または化学的処理設備への負担が非常に小さ
くなり、COD成分および硝酸、亜硝酸などの窒素化合
物等は容易に処理できる。また処理液中からリンなどの
物質をカルシウム化合物等を添加してリンを不溶化させ
て除去する場合にあっても、予めリン化合物をリン酸に
まで分解しているために容易に除去することが可能とな
る。
【0074】また、本発明に係る方法を用いると、用地
が狭くてすみ、装置もコンパクトであるため、従来から
あるような廃水処理設備、例えば生物処理設備、燃焼処
理設備などを採用した場合と比較して処理設備は小さ
く、処理プロセスも簡素化され、設備投資や、ランニン
グコストの面においても有利となる。
【0075】本発明にに係る触媒は適宜洗浄することが
でき、その洗浄方法等は特に限定されるものではなく、
例えば水ならびにアルカリ性の水溶液を用いて実施で
き、好ましくはアルカリ性の水溶液を用いて実施するの
が効果的である。なお水のみでは触媒に物理的に弱く付
着したようなスケール分を取り除くことはできるが、物
理的に強く吸着したスケール分および化学的に吸着した
スケール分等を取り除くことは困難である。そこでアル
カリ性の水溶液を使用することがあるが、このような場
合でも本発明に係る触媒は、この洗浄においても劣化し
ないものである。
【0076】この洗浄剤として使用するアルカリ性の水
溶液は特に限定されるものではなく、例えば水酸化ナト
リウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム
水溶液等の種々のアルカリ水溶液を用いることができ
る。これらの洗浄剤は洗浄する触媒上に付着した物質の
種類によって使い分けるものであるが、一般的には水酸
化ナトリウム水溶液が好ましいものである。
【0077】このアルカリ水溶液の濃度は、例えば水酸
化ナトリウム水溶液を用いる場合には水酸化ナトリウム
の濃度で、洗浄液中に1g/リットル以上含まれている
場合が効果的であり、さらに効果的であるのは10g/
リットル以上である。水酸化ナトリウムの濃度が1g/
リットル未満の場合は、洗浄の効果が著しく減少する。
また10g/リットル未満の場合は洗浄液の量が多いも
のとなり、洗浄後の処理が煩雑なものとなるうえ短時間
で洗浄処理を完結するためには処理温度を比較的高温に
する必要がある。また水酸化ナトリウムの濃度が400
g/リットル未満の場合が好ましく、さらに好ましいの
は300g/リットル未満の場合である。400g/リ
ットル以上の場合は該洗浄液の粘性が増加し、洗浄液を
フィ−ドするのが困難になるうえ、高温での使用には装
置材質の耐食性が低下する場合もある。
【0078】またアルカリ性の洗浄液を用いて洗浄を実
施する温度は、50℃〜300℃の温度であれば特に限
定されるものではないが、好ましくは130℃〜270
℃である。処理温度が低い場合は洗浄効果が少なく、洗
浄時間も多くかかる。このため高温の方が洗浄時間が短
縮されかつ洗浄力も向上するが、洗浄液が液相を保持す
る圧力下の温度で洗浄する必要がある。また過剰な高温
度の条件は運転コストの増大を生じるのみならず、装置
材質の耐食性が低下する場合もある。
【0079】触媒洗浄の時の処理圧力は、洗浄温度との
相関性により適宜選択され、洗浄液が液相を保持する圧
力下によりなされ、特に限定されるものではない。
【0080】本発明においての洗浄方法は、該洗浄液を
常に流した状態で洗浄する連続式の洗浄方法でも良い
し、触媒の充填された容器内に溜めて一定時間放置して
洗浄し、随時抜き出すバッチ式の洗浄方法であっても良
く、特に限定されるものではない。
【0081】本発明に係る廃水は、一般的に化学プラン
ト設備、メッキ工業設備、皮革製造設備、金属工業設
備、金属鉱業設備、食品製造設備、医薬品製造設備、繊
維工業設備、紙パルプ工業設備、染色染料工業設備、電
子工業設備、機械工業設備、印刷製版設備、ガラス製造
設備、写真処理設備等からの廃水を対象とするものであ
るが、特に好ましくは廃水中に有機窒素化合物、硫黄化
合物および有機ハロゲン化合物よりなる群から選ばれる
少なくと1種の化合物を含むものである。
【0082】本発明に係る有機窒素化合物とは、窒素原
子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであり、例
えば、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ピコリン、ア
セトアミド、アニリン、グリシン、アラニン、フェニル
アラニン、グルタミン酸、リジン、アスパラギン酸、セ
リン、メチオニン、ヒスチジン、エチレンジアミン、エ
タノールアミン、トリエタノールアミンなどの窒素原子
含有の低分子な有機物、またはドデシルアミンなどのカ
チオン系または両性系の界面活性剤、またはポリアクリ
ル酸アミドなどの窒素原子含有のポリマーなどである。
また本発明に係る硫黄化合物とは、硫酸根以外の硫黄原
子を少なくとも1つ含む無機あるいは有機の化合物であ
り、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホ
ン、メタンスルホン酸、チオフェン、チオフテン、p−
トルエンスルホン酸、スルホ安息香酸、チオ酢酸、ナフ
タリンスルホン酸などの硫黄原子含有の低分子な有機
物、またはドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン
系あるいは両性系の界面活性剤、またはポリスルホン酸
系などの硫黄原子含有のポリマー、またはチオ硫酸、亜
硫酸、硫化ソーダなどの硫黄原子含有の無機物などであ
る。また本発明に係る有機ハロゲン化合物とは、ハロゲ
ン原子を少なくとも1つ含む有機の化合物のことであ
り、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭
化エチル、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、
1,1,1−トリクロロエタン、塩化ビニル、臭化ベン
ジル、p−クロルフェノール、トリクロロフルオロメタ
ン、ジクロロフルオロメタンなどのハロゲン原子含有の
有機物などである。
【0083】これらの化合物濃度は特に限定されるもの
ではないが、廃水中に10mg/リットル〜100g/
リットル、好ましくは100mg/リットル〜50g/
リットルである。10mg/リットル未満である場合
は、特に本発明に係る触媒を用いて処理を実施しなくと
も充分処理できるものであり、100g/リットルを超
える場合は、濃度が濃すぎるために、湿式酸化処理のた
めの処理温度、供給酸素含有ガス量などの各種の制御が
困難になるものである。
【0084】本発明において処理される廃水のCODの
濃度は、特に限定されるものではないが、1g/リット
ル〜200g/リットル含まれている場合が効果的であ
り、より効果的であるのは10g/リットル〜100g
/リットルである。CODの濃度が200g/リットル
を越える場合は、CODの酸化熱が非常に大きくなるた
め処理装置の制御が困難であり、100g/リットルを
越える場合においてもCODの酸化熱が大きいため冷却
のための設備等を有することが多くコストが高くなる。
また1g/リットル未満である場合は、昇温に必要な熱
量をほぼすべて熱供給装置により供給しなければならな
い。また10g/リットル未満である場合においてはC
ODの酸化熱が小さく、付属設備として熱交換装置を用
いて熱回収しても、この熱だけによる湿式酸化処理装置
の自立運転は困難なことが多い。
【0085】このためこのような場合にも別途熱供給装
置を必要とすることが多く、使用エネルギー面からも相
対的に不利となる。
【0086】本発明において使用する触媒を充填した湿
式酸化処理装置、すなわち触媒湿式酸化処理装置は、通
常使用されるものが用いられ、処理塔あるいは反応塔
は、単管式、多管式のいずれの形式であってもよいし、
廃水に含まれる成分、その量等によっては単管式と多管
式とを、単独または組み合わせて処理に適した条件で処
理することもできる。
【0087】さらに本発明は、廃水が液相を保持する圧
力下で、酸素含有ガスの供給下に触媒を用いて廃水を湿
式酸化処理する廃水の処理方法を採用する。この場合、
該廃水の流れ方向に対して上流側に本発明に係る触媒を
設置し、該廃水の流れ方向に対して下流側にルテニウ
ム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、および白金よ
りなる群から選ばれる元素の少なくとも一種の金属およ
び/またはその金属の化合物を含有してなる触媒を設置
して廃水を湿式酸化処理する廃水の処理方法をも提供す
る。
【0088】さらに詳しくは、廃水が液相を保持する圧
力下で、酸素含有ガスの供給下に触媒を用いて廃水を湿
式酸化処理する廃水の処理方法において、該廃水の流れ
方向に対して上流側に、(1)マンガンの酸化物および/
または複合酸化物と、チタンの酸化物、ジルコニウムの
酸化物、チタンの複合酸化物もしくはジルコニウムの複
合酸化物の少なくとも一種とを含有する触媒、(2)前記
(1)の触媒にさらにルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、イリジウム、および白金よりなる群から選ばれる元
素の少なくとも一種の金属および/またはその金属の化
合物を含有する触媒等、即ち本発明に係る触媒を設置
し、該廃水の流れ方向に対して下流側に、通常、従来廃
水の湿式酸化処理に使用される触媒を設置して廃水を湿
式酸化処理するものである。
【0089】また、上記の異なる複数の触媒を使用する
場合、一つの反応塔にそれぞれ充填して使用することも
できるし、あるいは複数の反応塔に充填して使用するこ
ともでき、さらには複数の湿式酸化処理装置を用いてそ
れぞれ処理することもできる。
【0090】従来公知の触媒としては、例えば本願明細
書の従来技術の欄で記載した触媒系などが挙げられるが
これらに限定されるものではない。また特に限定される
ものではないが、該廃水の流れ方向に対して下流側に充
填する触媒はルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリ
ジウム、および白金よりなる群から選ばれる元素の少な
くとも一種の金属および/またはその金属の化合物を含
有してなる触媒であることが効果的である。
【0091】上記のように複数の触媒を使用する理由と
しては、これにより前記のとおり従来の触媒の有してい
た有機窒素化合物、硫黄化合物および有機ハロゲン化合
物等を含有した廃水の処理における耐久性および処理効
率の問題点が解消されることにある。つまり、難分解性
の有機窒素化合物、硫黄化合物、有機ハロゲン化合物等
は本発明に係る触媒で前もって処理される。このため、
処理液中には残部の易分解性のCOD成分等が残り、従
来公知の触媒で充分処理できるものである。このことに
より従来公知の触媒の耐久性はあがり、コストの低減を
はかることもできる。そして該廃水中のCOD成分等の
汚染物質は、高処理効率で酸化ならびに酸化分解処理さ
れ、廃水は高レベルで浄化されるものである。
【0092】また、この場合廃水の上流側に設置する触
媒の体積と、廃水の下流側に設置する触媒の体積比は、
1/10〜10/1であることが好ましく、より効果的
には1/5〜5/1である。上流側の触媒が下流側の触
媒に比べ1/10未満である場合、および上流側の触媒
が下流側の触媒に比べ10/1を超える場合には触媒組
成もしくは触媒組成比が異なる2種類以上の触媒を用い
た効果が少なく、1種類の触媒を用いた結果とあまり差
がないものである。すなわち触媒の効果が異なる複数の
触媒を用いる意味があまりない。この場合には複数の触
媒を製造するよりも、単一の触媒を製造した方が触媒の
製造単価が下がり、好ましいものである
【0093】。
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例にかかる触
媒調製例、触媒成形例および廃水処理例と、比較例にか
かる調製例および廃水処理例をあげて詳細に説明する
が、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0094】(調製例1)水50リットルにオキシ硝酸
ジルコニウム[ZrO(NO3)2・2H2O]1.63
kgを溶解させ、硝酸マンガン水溶液[Mn(NO3)
2](MnO2換算250g/リットル)1.00リット
ル添加した。これを30℃の温度に維持しつつ攪拌しな
がらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8になるまで
加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させ
た。このゲルを濾別し、水洗後、120℃で10時間乾
燥した。次に空気雰囲気下で450℃で3時間焼成し
た。得られた粉体の触媒の各成分の重量比は蛍光X線法
によりMnO2:ZrO2換算で25:75であった。ま
た比表面積をBET法で測定したところ37m2/gで
あった。またX線回折法によりマンガンの酸化物の結晶
構造を測定したが、マンガンの酸化物の回折線は得られ
なかった。
【0095】(調製例2)マンガンおよびチタンからな
る化合物を以下に記載する方法で調製した。チタン源と
しては下記に組成を有する硫酸水溶液を用いた。
【0096】 TiOSO4(TiO2換算) 250g/リットル 全H2SO4 1,100g/リットル 水50リットルに塩化マンガン水溶液[MnCl2]
(MnO2換算 250g/リットル)0.80リット
ルを添加した。これを30℃の温度に維持しつつ攪拌し
ながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8になるま
で加え、さらにそのまま放置して15時間静置して沈殿
(ゲル)を生成させた。このゲルの水溶液を再度30℃
の温度に維持しつつ攪拌しながら上記組成の硫酸チタニ
ル硫酸水溶液3.20リットルを添加し、さらにアンモ
ニア水を徐々に滴下し、pHが8になるまで加え、さら
に15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させた。このゲ
ルを濾別し、水洗後、120℃で10時間乾燥し、さら
に空気雰囲気下、430℃で4時間焼成した。得られた
粉体の各成分の重量比は蛍光X線法によりMnO2:T
iO2換算で20:80であった。また比表面積をBE
T法で測定したところ39m2/gであった。またX線
回折法によりマンガンの酸化物の結晶構造を測定した
が、マンガンの酸化物の回折線は得られなかった。引き
続きここで得られた粉体を用いて以下に述べる方法で成
形した。
【0097】(成形例1)水、調製例2で得られた粉体
および澱粉を混合し、ニーダーでよく練り合わせた。こ
れを成形機で平均粒径5mm、平均長さ6mmのペレッ
ト状に成形し、空気雰囲気下350℃で3時間焼成し
た。得られた触媒の比表面積はBET法で測定したとこ
ろ39m2/gであった。
【0098】(調製例3)水50リットルに硫酸チタニ
ル硫酸水溶液3.88リットルを添加し、よく混合し
た。これを30℃の温度に維持しつつ攪拌しながらアン
モニア水を徐々に滴下し、pHが8になるまで加え、さ
らに15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させた。この
ゲルを濾別し、水洗後、電解二酸化マンガンの粉末を
0.030kg添加し、ニーダーでよく練り合わせ、1
20℃で10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で420
℃で5時間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は
蛍光X線法によりMnO2:TiO2換算で3:97であ
った。引き続きここで得られた粉体を用いて焼成温度を
400℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様の
方法で触媒を成形した。得られた触媒の比表面積はBE
T法で測定したところ40m2/gであった。またX線
回折法によりマンガンの酸化物の結晶構造を測定したと
ころ、β−MnO2と一致する回折線のピークを得た。
しかしこの回折線のピーク強度は、上記電解二酸化マン
ガンの粉末の0.030kgを420℃で5時間焼成し
たものと、後で記載する調製例5と同様の方法で作成し
たチタニアの粉体0.970kgとを単によく混合し、
同様にX線回折法により測定したβ−MnO2の回折線
のピークと比較して非常に小さく、約1/4の強度であ
った。
【0099】(調製例4)水50リットルに、オキシ硝
酸ジルコニウム[ZrO(NO3)2・2H2O]1.9
5kgを添加し、溶解した。これを30℃の温度に維持
しつつ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pH
が8になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲ
ル)を生成させた。そして得られたゲルは濾別し、水洗
後、さらに該ゲルに硝酸マンガン水溶液[Mn(NO
3)2](MnO2換算 250g/リットル)0.40
リットルを加えよく練り合わせた。得られたものは12
0℃で10時間乾燥し、空気雰囲気下、450℃で3時
間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光X線
法によりMnO2:ZrO2換算で10:90であった。
またX線回折法によりマンガンの酸化物の結晶構造を測
定したが、マンガンの酸化物の回折線は得られなかっ
た。引き続きここで得られた粉体を用いて焼成温度を4
30℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様の方
法で触媒を成形した。
【0100】(調製例5)水100リットルに先に記載
した硫酸チタニル硫酸水溶液8.00リットルを添加
し、30℃の温度に維持しつつ攪拌しながらアンモニア
水を徐々に滴下し、pHが8になるまで加え、さらに1
5時間静置して沈殿(ゲル)を生成させた。このゲルを
濾別し、水洗後、120℃で10時間乾燥した。次に空
気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、チタニアの粉体
を得た。
【0101】次にこの得られたチタニアの粉体950g
をニーダーに加え、さらに炭酸マンガン[MnCO3]
66gおよび水を加えてよく練り合わせた。得られたも
のは120℃で10時間乾燥し、空気雰囲気下、350
℃で4時間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は
蛍光X線法によりMnO2:TiO2換算で5:95であ
った。またX線回折法によりマンガンの酸化物の結晶構
造を測定したが、マンガンの酸化物の回折線は得られな
かった。引き続きここで得られた粉体を用いて焼成温度
を330℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様
の方法で触媒を成形した。
【0102】(調製例6)調整例5と同様の方法で作成
したチタニア粉体970gに硝酸マンガン水溶液[Mn
(NO3)2](MnO2換算 100g/リットル)
0.30リットルを加え、よく練り合わせた。得られた
ものは120℃で10時間乾燥し、さらに空気雰囲気下
430℃で4時間焼成した。得られた粉体の各成分の重
量比は蛍光X線法によりMnO2:TiO2換算で3:9
7であった。またX線回折法によりマンガンの酸化物の
結晶構造を測定したが、マンガンの酸化物の回折線は得
られなかった。引き続きここで得られた粉体を用いて焼
成温度を400℃とした以外は成形例1で記載した方法
と同様の方法で触媒を成形した。
【0103】(調製例7)調整例5と同様の方法で作成
したチタニア粉体を、焼成温度を600℃とした以外は
成形例1で記載した方法と同様の方法で成形した。
【0104】得られたペレット状チタニア成形体990
gには、硝酸マンガン水溶液[Mn(NO3)2](Mn
O2換算 50g/リットル)0.20リットルを含浸
した。そして120℃で10時間乾燥し、引き続き空気
雰囲気下で300℃で5時間焼成した。得られた触媒の
各成分の重量比は蛍光X線法によりMnO2:TiO2換
算で1:99であった。また比表面積をBET法で測定
したところ30m2/gであった。またX線回折法によ
りマンガンの酸化物の結晶構造を測定したが、マンガン
の酸化物の回折線は得られなかった。
【0105】(調製例8)水100リットルにオキシ硝
酸ジルコニウム[ZrO(NO3)2・2H2O]3.2
6kgを溶解させ、30℃の温度に維持しつつ攪拌しな
がらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8になるまで
加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させ
た。このゲルを濾別し、水洗後、120℃で10時間乾
燥した。次に空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、
ジルコニアの粉体を得た。
【0106】このジルコニアの粉体0.5kgに調整例
2で得たMnO2:TiO2換算で20:80の粉体0.
50kgを添加し、ニーダーでよく練り合わせ、成形例
1で記載した方法と同様の方法で成形した。得られた触
媒の各成分の重量比は蛍光X線法によりMnO2:Ti
O2:ZrO2換算で10:40:50であった。
【0107】(調製例9)水50リットルに硝酸マンガ
ン水溶液[Mn(NO3)2](MnO2換算 250g
/リットル)0.40リットル、硝酸パラジウム水溶液
(Pd換算 5g/リットル)0.60リットルおよび
先に記載した硫酸チタニル硫酸水溶液3.60リットル
を添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持し
つつ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが
8になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲ
ル)を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120
℃で10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で400℃で
5時間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光
X線法によりMnO2:TiO2:Pd換算で10:9
0:0.3であった。またX線回折法によりマンガンの
酸化物の結晶構造を測定したが、マンガンの酸化物の回
折線は得られなかった。引き続きここで得られた粉体を
用いて焼成温度を380℃とした以外は成形例1で記載
した方法と同様の方法で触媒を成形した。
【0108】(調製例10)水50リットルに硝酸マン
ガン水溶液[Mn(NO3)2](MnO2換算 250
g/リットル)0.40リットル、硝酸ルテニウム水溶
液(Ru換算 5g/リットル)1.20リットルおよ
び先に記載した硫酸チタニル硫酸水溶液3.60リット
ルを添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持
しつつ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pH
が8になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲ
ル)を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120
℃で10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で450℃で
3時間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光
X線法によりMnO2:TiO2:Ru換算で10:9
0:0.6であった。またX線回折法によりマンガンの
酸化物の結晶構造を測定したが、マンガンの酸化物の回
折線は得られなかった。引き続きここで得られた粉体を
用いて焼成温度を400℃とした以外は成形例1で記載
した方法と同様の方法で触媒を成形した。
【0109】(調製例11)水50リットルにオキシ硝
酸ジルコニウム[ZrO(NO3)2・2H2O]1.5
5kgを溶解させ、硝酸マンガン水溶液[Mn(NO
3)2](MnO2換算250g/リットル)0.15リ
ットル、硝酸白金水溶液(Pt換算 3g/リットル)
0.50リットルを添加し、よく混合した。これを30
℃の温度に維持しつつ攪拌しながらアンモニア水を徐々
に滴下し、pHが8になるまで加え、さらに15時間静
置して沈殿(ゲル)を生成させた。このゲルを濾別し、
水洗後、120℃で10時間乾燥した。次に空気雰囲気
下で350℃で4時間焼成した。得られた粉体の各成分
の重量比は蛍光X線法によりMnO2:ZrO2:Pt換
算で5:95:0.2であった。またX線回折法により
マンガンの酸化物の結晶構造を測定したが、マンガンの
酸化物の回折線は得られなかった。引き続きここで得ら
れた粉体を用いて焼成温度を330℃とした以外は成形
例1で記載した方法と同様の方法で触媒を成形した。
【0110】(調製例12)水50リットルに硝酸マン
ガン水溶液[Mn(NO3)2](MnO2換算 250
g/リットル)0.40リットル、硝酸ロジウム水溶液
(Rh換算 2g/リットル)2.50リットルおよび
先に記載した硫酸チタニル硫酸水溶液3.60リットル
を添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持し
つつ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが
8になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲ
ル)を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120
℃で10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で450℃で
3時間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光
X線法によりMnO2:TiO2:Rh換算で10:9
0:0.5であった。またX線回折法によりマンガンの
酸化物の結晶構造を測定したが、マンガンの酸化物の回
折線は得られなかった。引き続きここで得られた粉体を
用いて焼成温度を400℃とした以外は成形例1で記載
した方法と同様の方法で触媒を成形した。
【0111】(調製例13)水50リットルに硝酸マン
ガン水溶液[Mn(NO3)2](MnO2換算 250
g/リットル)0.40リットル、塩化イリジウム水溶
液(Ir換算 2g/リットル)2.50リットルおよ
び先に記載した硫酸チタニル硫酸水溶液3.60リット
ルを添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持
しつつ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pH
が8になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲ
ル)を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120
℃で10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で450℃で
3時間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光
X線法によりMnO2:TiO2:Ir換算で10:9
0:0.5であった。またX線回折法によりマンガンの
酸化物の結晶構造を測定したが、マンガンの酸化物の回
折線は得られなかった。引き続きここで得られた粉体を
用いて焼成温度を400℃とした以外は成形例1で記載
した方法と同様の方法で触媒を成形した。
【0112】(調製例14)調整例2と同様の方法で得
たゲルを濾別し、水洗後、120℃で10時間乾燥し、
さらに空気雰囲気下、600℃で3時間焼成した。得ら
れた粉体の各成分の重量比は蛍光X線法によりMn2O
3:TiO2換算で18.5:81.5であった。また比
表面積をBET法で測定したところ29m2/gであっ
た。またX線回折法によりマンガンの酸化物の結晶構造
を測定したが、マンガンの酸化物の回折線は得られなか
った。引き続きここで得られた粉体を用いて成形例1で
記載した方法と同様の方法で触媒を成形した。
【0113】(調製例15)粉体の焼成温度を600℃
とした以外は調整例3と同様の方法で得た粉体を、調製
例3と同じ成形時の焼成温度を400℃とした同様の方
法で成形した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光X
線法によりMn2O3:TiO2換算で2.7:97.3
であった。また得られた触媒の比表面積はBET法で測
定したところ28m2/gであった。またX線回折法に
よりマンガンの酸化物の結晶構造を測定したところ、α
−Mn2O3と一致する回折線のピークを得た。しかしこ
の回折線のピーク強度は、試薬のα−Mn2O3の粉末
0.027kgと調製例5と同様の方法で作成したチタ
ニアの粉体0.970kgとを単によく混合し、同様に
X線回折法により測定したα−Mn2O3の回折線のピー
クと比較して非常に小さく、約1/5の強度であった。
【0114】(比較調製例1)調製例1において硝酸マ
ンガンの水溶液を用いなかったこと以外は、調製例1と
同様にしてジルコニアの粉体を得た。
【0115】(比較調製例2)調製例7において硝酸マ
ンガン水溶液を含浸しなかったこと以外は、調製例7と
同様にしてチタニアの成形体を得た。
【0116】(比較調製例3)水50リットルに硝酸パ
ラジウム水溶液(Pd換算 5g/リットル)0.60
リットルと硫酸チタニル硫酸水溶液4.00リットルを
添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持しつ
つ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8
になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲル)
を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120℃で
10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で480℃で3時
間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光X線
法によりTiO2:Pd換算で100:0.30であっ
た。引き続きここで得られた粉体を用いて、焼成温度を
400℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様の
方法で成形体を得た。
【0117】(比較調製例4)水50リットルに硝酸ル
テニウム水溶液(Ru換算 5g/リットル)1.20
リットルと硫酸チタニル硫酸水溶液4.00リットルを
添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持しつ
つ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8
になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲル)
を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120℃で
10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で400℃で5時
間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光X線
法によりTiO2:Ru換算で100:0.60であっ
た。引き続きここで得られた粉体を用いて、焼成温度を
380℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様の
方法で成形体を得た。
【0118】(比較調製例5)水50リットルにオキシ
硝酸ジルコニウム[ZrO(NO3)2・2H2O]1.
63kgを溶解させ、硝酸白金水溶液(Pt換算 3g
/リットル)0.50リットルを添加し、よく混合し
た。これを30℃の温度に維持しつつ攪拌しながらアン
モニア水を徐々に滴下し、pHが8になるまで加え、さ
らに15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させた。この
ゲルを濾別し、水洗後、120℃で10時間乾燥した。
次に空気雰囲気下で450℃で3時間焼成した。得られ
た粉体の各成分の重量比は蛍光X線法によりZrO2:
Pt換算で100:0.20であった。引き続きここで
得られた粉体を用いて、焼成温度を400℃とした以外
は成形例1で記載した方法と同様の方法で成形体を得
た。
【0119】(比較調製例6)水50リットルに硝酸ロ
ジウム水溶液(Rh換算 2g/リットル)2.50リ
ットルと硫酸チタニル硫酸水溶液4.00リットルを添
加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持しつつ
攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8に
なるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲル)を
生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120℃で1
0時間乾燥した。次に空気雰囲気下で450℃で3時間
焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光X線法
によりTiO2:Rh換算で100:0.50であっ
た。引き続きここで得られた粉体を用いて、焼成温度を
400℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様の
方法で成形体を得た。
【0120】(比較調製例7)水50リットルに塩化イ
リジウム水溶液(Ir換算 2g/リットル)2.50
リットルと硫酸チタニル硫酸水溶液4.00リットルを
添加し、よく混合した。これを30℃の温度に維持しつ
つ攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8
になるまで加え、さらに15時間静置して沈殿(ゲル)
を生成させた。このゲルを濾別し、水洗後、120℃で
10時間乾燥した。次に空気雰囲気下で450℃で3時
間焼成した。得られた粉体の各成分の重量比は蛍光X線
法によりTiO2:Ir換算で100:0.50であっ
た。引き続きここで得られた粉体を用いて、焼成温度を
400℃とした以外は成形例1で記載した方法と同様の
方法で成形体を得た。
【0121】(処理例1)内容積1リットルのチタン製
オートクレーブを使用し、このオートクレーブに調製例
1で作成した触媒30gおよび廃水250gを充填し、
さらに空気を25kg/cm2G張り込んだ。そして2
50℃に昇温し、82kg/cm2Gで3時間処理を行
った。そして冷却後に液を抜き出し、処理前の廃水原液
と処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、ならびに液
体クロマト分析法によりエチレンジアミンを分析した。
【0122】この処理に使用した廃水の性状は、COD
(Cr)濃度25g/リットル、pH9.3で、エチレンジ
アミンを0.5g/リットル含有していた。
【0123】得られた結果は、COD(Cr)濃度0.9g
/リットル、COD(Cr)処理効率96%で、pHは8.
3であった。またエチレンジアミンは検出されなかっ
た。
【0124】(比較処理例1)処理例1と同様の方法な
らびに同じ廃水を使用し、比較調製例1で作成したジル
コニアの粉体を30gを用いて処理を行った。
【0125】得られた結果は、COD(Cr)濃度14g/
リットル、COD(Cr)処理効率44%で、pH8.8で
あった。またエチレンジアミンが0.12g/リットル
検出された。
【0126】(処理例2)図1に示す湿式酸化処理装置
を使用し、この湿式酸化反応塔1に調製例2で作成した
触媒を1リットル充填して湿式酸化処理条件下で処理を
500時間連続して行った。そして500時間後に得ら
れた処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、ならびに
ガスクロマト分析法によりアニリンを分析した。以下に
詳細な実験方法および結果について記述する。
【0127】触媒を使用した湿式酸化条件下での処理の
詳しい方法は、廃水供給ライン7より送られてくる廃水
を廃水供給ポンプ2で2リットル/hrの流量で80k
g/cm2Gまで昇圧フィードした。一方、酸素含有ガ
ス供給ライン8より供給される空気をコンプレッサー3
で昇圧した後、O2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化
学的酸素要求量)=2.0の割合で前記該廃水に混入し
た。この気液混合物を気液混合物供給ライン9を経て、
触媒を充填した湿式酸化反応塔1に下部より導入し、電
気ヒーター4で加熱して処理温度260℃で触媒湿式酸
化処理し、被処理液を処理液ライン10を経て、冷却器
5において冷却し、気液分離器6へ流した。この触媒層
における廃水の空間速度は2hr-1であった。気液分離
器6においては、液面コントローラ(LC)により液面
を検出して液面制御弁12を作動させて一定の液面を保
持するとともに、圧力コントローラ(PC)により、圧
力を検出して圧力制御弁14を作動させて一定の圧力を
保持するように操作され、処理液排出ライン13から該
処理液は排出される。
【0128】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
濃度42g/リットル、pHは10.2で、アニリンを
3.0g/リットル含有していた。
【0129】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は1.4g/リットル、COD(Cr)処理
効率97%で、pHは8.5であった。またアニリンは
検出されなかった。
【0130】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0131】(処理例3)処理例2において使用した触
媒の代わりに調製例4で得られた触媒を用いた以外は、
処理例2で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0132】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度2.4g/リットル、COD(Cr)処理効
率94%で、pHは8.6であった。またアニリンは検
出されなかった。
【0133】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0134】(処理例4)処理例2において使用した触
媒の代わりに調製例9で得られた触媒を用い、水酸化ナ
トリウムを廃水1リットルあたり1.6g添加して処理
した以外は、処理例2で記述した条件と同条件で処理を
行った。
【0135】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は1.7g/リットル、COD(Cr)処理
効率96%で、pHは8.8であった。またアニリンは
検出されなかった。
【0136】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0137】(処理例5)処理例2において使用した触
媒の代わりに調製例10で得られた触媒を用い、水酸化
ナトリウムを廃水1リットルあたり1.6g添加して処
理した以外は、処理例2で記述した条件と同条件で処理
を行った。
【0138】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は1.8g/リットル、COD(Cr)処理
効率96%で、pHは8.8であった。またアニリンは
検出されなかった。
【0139】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0140】(処理例6)処理例2において使用した触
媒の代わりに調製例14で得られた触媒を用いた以外
は、処理例2で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0141】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は3.9g/リットル、COD(Cr)処理効率
91%で、pHは8.7であった。またアニリンは検出
されなかった。
【0142】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は8.5g/リットル、COD
(Cr)処理効率80%で、pHは8.9であった。またア
ニリンが0.2g/リットル検出され、処理効率93%
であった。
【0143】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。蛍光X線法
で抜き出した触媒の組成の変化を解析した結果、廃水処
理前のものよりも触媒中のマンガンの含有量が、特に反
応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒
の各成分の重量比はMn2O3:TiO2換算で7:93
であった。
【0144】(比較処理例2)処理例2において使用し
た触媒の代わりに比較調製例2で得られた成形体を用い
た以外は、処理例2で記述した条件と同条件で処理を行
った。
【0145】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度26g/リットル、COD(Cr)処理効率38
%で、pHは9.2であった。またアニリンが1.1g
/リットル検出され、処理効率63%であった。
【0146】(比較処理例3)処理例4において使用し
た触媒の代わりに比較調製例3で得られた成形体を用い
た以外は、処理例4で記述した条件と同条件で処理を行
った。
【0147】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は4.5g/リットル、COD(Cr)処理効率
89%で、pHは8.8であった。またアニリンは検出
されなかった。
【0148】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は17.6g/リットル、CO
D(Cr)処理効率58%で、pHは9.1であった。また
アニリンが0.9g/リットル検出された。
【0149】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた成形体を抜き出した。蛍光X線
法で抜き出した成形体の組成の変化を解析した結果、廃
水処理前のものよりも成形体中のパラジウムの含有量
が、特に反応塔の入口部の成形体において減少してい
た。入口部成形体の各成分の重量比は、TiO2:Pd
換算で100:0.11であった。
【0150】(比較処理例4)処理例4において使用し
た触媒の代わりに比較調製例4で得られた成形体を用い
た以外は、処理例4で記述した条件と同条件で処理を行
った。
【0151】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は5.0g/リットル、COD(Cr)処理効率
88%で、pHは8.8であった。またアニリンは検出
されなかった。
【0152】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は9.8g/リットル、COD
(Cr)処理効率77%で、pHは9.0であった。またア
ニリンが0.2g/リットル検出された。
【0153】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた成形体を抜き出した。蛍光X線
法で抜き出した成形体の組成の変化を解析した結果、廃
水処理前のものよりも成形体中のルテニウムの含有量
が、特に反応塔の入口部の成形体において減少してい
た。入口部成形体の各成分の重量比は、TiO2:Ru
換算で100:0.35であった。
【0154】(処理例7)図1に示す湿式酸化処理装置
を使用し、この湿式酸化反応塔1に調製例3で作成した
触媒を1リットル充填して湿式酸化処理条件下で処理を
500時間連続して行った。そして500時間後に得ら
れた処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、ならびに
液体クロマト分析法によりグルタミン酸を分析した。
【0155】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
濃度31g/リットル、pHは13.1で、グルタミン
酸は3.6g/リットルであった。
【0156】また廃水の処理条件は、処理温度265
℃、処理圧力90kg/cm2G、O2/COD(Cr)(空
気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.1、廃水の空
間速度は1hr-1であり、処理例2と同様の方法により
処理を行った。
【0157】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は0.35g/リットル、COD(Cr)処
理効率99%で、pHは8.7であった。またグルタミ
ン酸は検出されなかった。
【0158】またその後、廃水の処理を停止し、湿式酸
化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処
理前と特に変化は認められなかった。
【0159】(処理例8)処理例7において使用した触
媒の代わりに調製例5で得られた触媒を用いた以外は、
処理例7で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0160】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は0.31g/リットル、COD(Cr)処
理効率99%で、pHは8.6であった。またグルタミ
ン酸は検出されなかった。
【0161】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0162】(処理例9)処理例7において使用した触
媒の代わりに調製例15で得られた触媒を用いた以外
は、処理例7で記述した条件と同条件で処理を行った。
【0163】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は1.2g/リットル、COD(Cr)処理効率
96%で、pHは8.9であった。またグルタミン酸は
検出されなかった。
【0164】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は4.2g/リットル、COD
(Cr)処理効率86%で、pHは9.1であった。またグ
ルタミン酸が0.1g/リットル検出され、処理効率9
7%であった。
【0165】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出した。蛍光X線法
で抜き出した触媒の組成の変化を解析した結果、廃水処
理前のものよりも触媒中のマンガンの含有量が、特に反
応塔の入口部の触媒において減少していた。入口部触媒
の各成分の重量比はMn2O3:TiO2換算で1:99
であった。
【0166】(比較処理例5)処理例7において使用し
た触媒の代わりに比較調製例2で得られた成形体を用い
た以外は、処理例7で記述した条件と同条件で処理を行
った。
【0167】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は18g/リットル、COD(Cr)処理効率4
2%で、pHは9.7であった。またグルタミン酸が
0.47g/リットル検出された。
【0168】(処理例10)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1に調製例8で作成し
た触媒を1リットル充填して湿式酸化処理条件下で処理
を500時間連続して行った。そして500時間後に得
られた処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、ならび
にガスクロマト分析法によりp−クロルフェノールを分
析した。
【0169】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
濃度16g/リットル、pHは8.3で、p−クロルフ
ェノールは1.4g/リットルであった。
【0170】また廃水の処理条件は、処理温度240
℃、処理圧力65kg/cm2G、O2/COD(Cr)(空
気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.0、廃水の空
間速度は1hr-1であり、処理例2と同様の方法により
処理を行った。
【0171】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は0.49g/リットル、COD(Cr)処
理効率97%で、pHは7.3であった。またp−クロ
ルフェノールは検出されなかった。
【0172】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0173】(比較処理例6)処理例10において使用
した触媒の代わりに比較調製例2で得られた成形体を用
いた以外は、処理例10で記述した条件と同条件で処理
を行った。
【0174】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は5.3g/リットル、COD(Cr)処理効率
67%で、pHは7.5であった。またp−クロルフェ
ノールが0.6g/リットル検出された。
【0175】(処理例11)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1に調製例6で作成し
た触媒を1リットル充填して湿式酸化処理条件下で処理
を500時間連続して行った。そして500時間後に得
られた処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、ならび
にガスクロマト分析法によりジメチルスルホキシド(以
下DMSOとも記載する)を分析した。
【0176】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
濃度54g/リットル、pHは13.5で、DMSOは
6.9g/リットルであった。
【0177】また廃水の処理条件は、処理温度200
℃、処理圧力40kg/cm2G、O2/COD(Cr)(空
気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5、廃水の空
間速度は1hr-1であり、処理例2と同様の方法により
処理を行った。
【0178】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は3.3g/リットル、COD(Cr)処理
効率94%で、pHは8.6であった。またDMSOは
検出されなかった。
【0179】またその後、廃水の処理を停止し、湿式酸
化反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処
理前と特に変化は認められなかった。
【0180】(比較処理例7)処理例11において使用
した触媒の代わりに比較調製例2で得られた成形体を用
いた以外は、処理例11で記述した条件と同条件で処理
を行った。
【0181】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は28g/リットル、COD(Cr)処理効率4
8%で、pHは9.3であった。またDMSOが2.1
g/リットル検出された。
【0182】(比較処理例8)処理例11において使用
した触媒の代わりに比較調製例3で得られた成形体を用
いた以外は、処理例11で記述した条件と同条件で処理
を行った。
【0183】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は4.2g/リットル、COD(Cr)処理効率
92%で、pHは8.6であった。またDMSOは検出
されなかった。
【0184】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は16g/リットル、COD(C
r)処理効率70%で、pHは9.0であった。またDM
SOが0.3g/リットル検出された。
【0185】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた成形体を抜き出した。蛍光X線
法で抜き出した成形体の組成の変化を解析した結果、廃
水処理前のものよりも成形体中のパラジウムの含有量
が、特に反応塔の入口部の成形体において若干減少して
いた。入口部成形体の各成分の重量比は、TiO2:P
d換算で100:0.14であった。
【0186】(処理例12)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1に調製例7で作成し
た触媒を1リットル充填して湿式酸化処理条件下で処理
を500時間連続して行った。そして500時間後に得
られた処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、ならび
に陰イオンクロマト分析法によりチオ硫酸イオンを分析
した。
【0187】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
濃度11g/リットル、pHは13.4で、チオ硫酸イ
オンは7.3g/リットルであった。
【0188】また廃水の処理条件は、処理温度160
℃、処理圧力9kg/cm2G、O2/COD(Cr)(空気
中の酸素量/化学的酸素要求量)=3.0、廃水の空間
速度は1hr-1であり、処理例2と同様の方法により処
理を行った。
【0189】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は3.4g/リットル、COD(Cr)処理
効率69%で、pHは8.5であった。またチオ硫酸イ
オンは検出されなかった。
【0190】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0191】(比較処理例9)処理例12において使用
した触媒の代わりに比較調製例2で得られた成形体を用
いた以外は、処理例12で記述した条件と同条件で処理
を行った。
【0192】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は4.2g/リットル、COD(Cr)処理効率
62%で、pHは8.7であった。またチオ硫酸イオン
が0.6g/リットル検出された。
【0193】(処理例13)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1に調製例11で作成
した触媒を1リットル充填して湿式酸化処理条件下で処
理を500時間連続して行った。そして500時間後に
得られた処理液のCOD(Cr)濃度、pHを測定し、なら
びにガスクロマト分析法によりジメチルホルムアミドを
分析した。
【0194】処理に供した該廃水の性状は、COD(Cr)
濃度39g/リットル、pHは13.3で、ジメチルホ
ルムアミドは8.5g/リットルであった。
【0195】また廃水の処理条件は、処理温度235
℃、処理圧力60kg/cm2G、O2/COD(Cr)(空
気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.2、廃水の空
間速度は1hr-1であり、処理例2と同様の方法により
処理を行った。
【0196】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は1.7g/リットル、COD(Cr)処理
効率96%で、pHは8.8であった。またジメチルホ
ルムアミドは検出されなかった。
【0197】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0198】(比較処理例10)処理例13において使
用した触媒の代わりに比較調製例5で得られた成形体を
用いた以外は、処理例13で記述した条件と同条件で処
理を行った。
【0199】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は2.4g/リットル、COD(Cr)処理効率
94%で、pHは9.0であった。またジメチルホルム
アミドは検出されなかった。
【0200】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は15.7g/リットル、CO
D(Cr)処理効率60%で、pHは10.3であった。ま
たジメチルホルムアミドが2.1g/リットル検出され
た。
【0201】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた成形体を抜き出した。蛍光X線
法で抜き出した成形体の組成の変化を解析した結果、廃
水処理前のものよりも成形体中の白金の含有量が、特に
反応塔の入口部の成形体において減少していた。入口部
成形体の各成分の重量比は、ZrO2:Pt換算で10
0:0.03であった。
【0202】(処理例14)処理例13において使用し
た触媒の代わりに調製例12で得られた触媒を用いた以
外は、処理例13で記述した条件と同条件で処理を行っ
た。
【0203】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は1.9g/リットル、COD(Cr)処理
効率95%で、pHは8.8であった。またジメチルホ
ルムアミドは検出されなかった。
【0204】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0205】(比較処理例11)処理例13において使
用した触媒の代わりに比較調製例6で得られた成形体を
用いた以外は、処理例13で記述した条件と同条件で処
理を行った。
【0206】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は3.3g/リットル、COD(Cr)処理効率
92%で、pHは9.0であった。またジメチルホルム
アミドは検出されなかった。
【0207】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は15.9g/リットル、CO
D(Cr)処理効率59%で、pHは10.6であった。ま
たジメチルホルムアミドが2.7g/リットル検出され
た。
【0208】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた成形体を抜き出した。蛍光X線
法で抜き出した成形体の組成の変化を解析した結果、廃
水処理前のものよりも成形体中のロジウムの含有量が、
特に反応塔の入口部の成形体において減少していた。入
口部成形体の各成分の重量比は、TiO2:Rh換算で
100:0.08であった。
【0209】(処理例15)処理例13において使用し
た触媒の代わりに調製例13で得られた触媒を用いた以
外は、処理例13で記述した条件と同条件で処理を行っ
た。
【0210】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)濃度は2.4g/リットル、COD(Cr)処理
効率94%で、pHは8.8であった。またジメチルホ
ルムアミドは検出されなかった。
【0211】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒を抜き出したが、廃水処理
前と特に変化は認められなかった。
【0212】(比較処理例12)処理例13において使
用した触媒の代わりに比較調製例7で得られた成形体を
用いた以外は、処理例13で記述した条件と同条件で処
理を行った。
【0213】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は3.5g/リットル、COD(Cr)処理効率
91%で、pHは9.0であった。またジメチルホルム
アミドは検出されなかった。
【0214】しかし、500時間後に得られた処理液の
結果は、COD(Cr)濃度は16.2g/リットル、CO
D(Cr)処理効率58%で、pHは11.0であった。ま
たジメチルホルムアミドが3.6g/リットル検出され
た。
【0215】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた成形体を抜き出した。蛍光X線
法で抜き出した成形体の組成の変化を解析した結果、廃
水処理前のものよりも成形体中のロジウムの含有量が、
特に反応塔の入口部の成形体において減少していた。入
口部成形体の各成分の重量比は、TiO2:Ir換算で
100:0.04であった。
【0216】(処理例16)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1の下部(廃水の流れ
に対して上流側)に調製例2で作成した触媒を0.5リ
ットル充填し、また湿式酸化反応塔1の上部(廃水の流
れに対して下流側)に比較調製例3で作成した成形体を
0.5リットル充填した以外は、処理例4で記述した条
件と同条件で処理を行なった。
【0217】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は2.3g/リットル、COD(Cr)処理効率
95%で、pHは8.8であった。またアニリンは検出
されなかった。
【0218】また500時間後に得られた処理液の結果
も、COD(Cr)濃度は2.3g/リットル、COD(Cr)
処理効率95%で、pHは8.8であり、アニリンも検
出されなかった。
【0219】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒および成形体を抜き出し
た。そして蛍光X線法で抜き出した触媒および成形体の
組成の変化を解析した。その結果、該触媒は廃水処理前
のものと比較してマンガンの含有量に変化はなく、また
成形体も廃水処理前のものと比較してパラジウムの含有
量に変化はなかった。また触媒および成形体はそれ以外
にも特に変化は観察されなかった。
【0220】(処理例17)図2に示す反応塔を2本連
結した湿式酸化処理装置を使用し、処理例4で記述した
湿式酸化処理時間よりも2倍の処理時間となるようにし
て処理した以外は、処理例4で記述した条件と同条件で
処理を行った。
【0221】この処理の詳しい方法は、廃水供給ライン
7より送られてくる廃水を廃水供給ポンプ2で2リット
ル/hrの流量で80kg/cm2Gまで昇圧フィード
した。一方、酸素含有ガス供給ライン8より供給される
空気をコンプレッサー3で昇圧した後、O2/COD(C
r)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=2.0の割
合で前記該廃水に混入した。この気液混合物を気液混合
物供給ライン9を経て、触媒を充填した第一湿式酸化反
応塔1に下部より導入し、電気ヒーター4で加熱して処
理温度260℃で触媒湿式酸化処理し、さらに再度反応
塔(第二湿式酸化反応塔)の下部より導入し、電気ヒー
ター4で加熱して処理温度260℃で触媒湿式酸化処理
し、被処理液を処理液ライン10を経て、冷却器5にお
いて冷却し、気液分離器6へ流した。従って第一湿式酸
化反応塔および第二湿式酸化反応塔の合計の廃水の空間
速度は1hr-1である。気液分離器6においては、液面
コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁
12を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力
コントローラ(PC)により、圧力を検出して圧力制御
弁14を作動させて一定の圧力を保持するように操作さ
れ、処理液排出ライン13から該処理液は排出される。
【0222】この湿式酸化処理装置の液の流れ方向に対
して上流側の反応塔(第一湿式酸化反応塔)1には調製
例4で作成した触媒を1.0リットル充填し、また液の
流れ方向に対して下流側の反応塔(第二湿式酸化反応
塔)16には比較調製例4で作成した成形体を1.0リ
ットル充填した。
【0223】また処理に供した該廃水の性状は、COD
(Cr)濃度42g/リットル、pHは10.2で、アニリ
ンを3.0g/リットル含有し、さらに水酸化ナトリウ
ムを廃水1リットルあたり1.6g添加した。
【0224】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は0.8g/リットル、COD(Cr)処理効率
98%で、pHは8.8であった。またアニリンは検出
されなかった。
【0225】また500時間後に得られた処理液の結果
も、COD(Cr)濃度は0.8g/リットル、COD(Cr)
処理効率98%で、pHは8.4であり、アニリンも検
出されなかった。
【0226】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒および成形体を抜き出し
た。そして蛍光X線法で抜き出した触媒および成形体の
組成の変化を解析した。その結果、該触媒は廃水処理前
のものと比較してマンガンの含有量に変化はなく、また
成形体も廃水処理前のものと比較してルテニウムの含有
量に変化はなかった。また触媒および成形体はそれ以外
にも特に変化は観察されなかった。
【0227】(処理例18)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1の下部(廃水の流れ
に対して上流側)に調製例2で作成した触媒を0.7リ
ットル充填し、また湿式酸化反応塔1の上部(廃水の流
れに対して下流側)に比較調製例5で作成した成形体を
0.3リットル充填した以外は、処理例13で記述した
条件と同条件で処理を行なった。
【0228】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は1.1g/リットル、COD(Cr)処理効率
97%で、pHは8.7であった。またジメチルホルム
アミドは検出されなかった。
【0229】また500時間後に得られた処理液の結果
も、COD(Cr)濃度は1.1g/リットル、COD(Cr)
処理効率97%で、pHは8.7であり、ジメチルホル
ムアミドも検出されなかった。
【0230】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒および成形体を抜き出し
た。そして蛍光X線法で抜き出した触媒および成形体の
組成の変化を解析した。その結果、該触媒は廃水処理前
のものと比較してマンガンの含有量に変化はなく、また
成形体も廃水処理前のものと比較して白金の含有量に変
化はなかった。また触媒および成形体は、それ以外にも
特に変化は観察されなかった。
【0231】(処理例19)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1の下部(廃水の流れ
に対して上流側)に調製例2で作成した触媒を0.7リ
ットル充填し、また湿式酸化反応塔1の上部(廃水の流
れに対して下流側)に比較調製例6で作成した成形体を
0.3リットル充填した以外は、処理例13で記述した
条件と同条件で処理を行なった。
【0232】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は1.5g/リットル、COD(Cr)処理効率
96%で、pHは8.7であった。またジメチルホルム
アミドは検出されなかった。
【0233】また500時間後に得られた処理液の結果
も、COD(Cr)濃度は1.5g/リットル、COD(Cr)
処理効率96%で、pHは8.7であり、ジメチルホル
ムアミドも検出されなかった。
【0234】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒および成形体を抜き出し
た。そして蛍光X線法で抜き出した触媒および成形体の
組成の変化を解析した。その結果、該触媒は廃水処理前
のものと比較してマンガンの含有量に変化はなく、また
成形体も廃水処理前のものと比較してロジウムの含有量
に変化はなかった。また触媒および成形体は、それ以外
にも特に変化は観察されなかった。
【0235】(処理例20)図1に示す湿式酸化処理装
置を使用し、この湿式酸化反応塔1の下部(廃水の流れ
に対して上流側)に調製例2で作成した触媒を0.7リ
ットル充填し、また湿式酸化反応塔1の上部(廃水の流
れに対して下流側)に比較調製例7で作成した成形体を
0.3リットル充填した以外は、処理例13で記述した
条件と同条件で処理を行なった。
【0236】開始直後に得られた処理液の結果は、CO
D(Cr)濃度は1.8g/リットル、COD(Cr)処理効率
95%で、pHは8.8であった。またジメチルホルム
アミドは検出されなかった。
【0237】また500時間後に得られた処理液の結果
も、COD(Cr)濃度は1.8g/リットル、COD(Cr)
処理効率95%で、pHは8.8であり、ジメチルホル
ムアミドも検出されなかった。
【0238】またその後廃水の処理を停止し、湿式酸化
反応塔内に充填していた触媒および成形体を抜き出し
た。そして蛍光X線法で抜き出した触媒および成形体の
組成の変化を解析した。その結果、該触媒は廃水処理前
のものと比較してマンガンの含有量に変化はなく、また
成形体も廃水処理前のものと比較してイリジウムの含有
量に変化はなかった。また触媒および成形体は、それ以
外にも特に変化は観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【符号の説明】
1.湿式酸化反応塔(第一湿式酸化反応塔) 2.廃水供給ポンプ 3.コンプレッサー 4.電気ヒーター 5.冷却器 6.気液分離器 7.廃水供給ライン 8.酸素含有ガス供給ライン 9.気液混合物供給ライン 10.処理液ライン 11.冷却水ライン 12.液面制御弁 13.処理液排出ライン 14.圧力制御弁 15.ガス排出ライン 16.第二湿式酸化反応塔
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−115888(JP,A) 特開 平3−77691(JP,A) 特開 平5−212389(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 37/36 C02F 1/74

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガンとチタンの複合酸化物を含有す
    ることを特徴とする、140℃以上370℃未満で湿式
    酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
  2. 【請求項2】 マンガンとジルコニウムの複合酸化物を
    含有することを特徴とする、140℃以上370℃未満
    で湿式酸化処理するに用いる廃水処理用触媒。
  3. 【請求項3】 マンガンとチタンの複合酸化物マンガ
    ンとジルコニウムのそれぞれの酸化物および/または複
    合酸化物、あるいはマンガンとジルコニウムの複合酸化
    物とマンガンとチタンのそれぞれの酸化物を含有するこ
    とを特徴とする、140℃以上370℃未満で湿式酸化
    処理するに用いる廃水処理用触媒。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の触媒にチタンおよび
    /またはジルコニウムの酸化物および/または複合酸化
    物をさらに添加されてなることを特徴とする請求項1〜
    3記載の、140℃以上370℃未満で湿式酸化処理す
    るに用いる廃水処理用触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の触媒に、さらにルテニウ
    ム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、および白金よ
    りなる群から選ばれる元素の少なくとも一種の金属およ
    び/またはその金属の化合物を含む請求項1〜4記載
    の、140℃以上370℃未満で湿式酸化処理するに用
    いる廃水処理用触媒。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の触媒のBET法比表
    面積が5〜200m/gである請求項1〜5記載の、
    140℃以上370℃未満で湿式酸化処理するに用いる
    廃水処理用触媒。
  7. 【請求項7】 140℃以上370℃未満かつ廃水が液
    相を保持する圧力下で、酸素含有ガスの供給下に触媒を
    用いて廃水を湿式酸化処理する廃水の処理方法におい
    て、請求項1〜6記載の触媒を用い、pH7.5以上の
    廃水を湿式酸化処理に供することを特徴とする廃水の処
    理方法。
  8. 【請求項8】 廃水が液相を保持する圧力下で、酸素含
    有ガスの供給下に触媒を用いて廃水を湿式酸化処理する
    廃水の処理方法において、該廃水の流れ方向に対して上
    流側に請求項1〜6記載の触媒を配置し、該廃水の流れ
    方向に対して下流側にルテニウム、ロジウム、パラジウ
    ム、イリジウム、および白金よりなる群から選ばれる元
    素の少なくとも一種の金属および/またはその金属の化
    合物を含有してなる触媒を配置して廃水を湿式酸化処理
    することを特徴とする廃水の処理方法。
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