JP4223706B2 - 排水の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は排水を浄化処理する方法に関し、より詳細には、湿式酸化処理による排水処理効率を向上し得る方法に関するものである。特に本発明の方法は排水を370°以下の温度、且つ該排水が液相を保持する圧力下、固体触媒を用いて排水の処理を行なう湿式酸化処理に有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来から各種工業排水を処理する方法としては、生物処理法、燃焼処理法、湿式酸化処理法などが知られている。生物処理法では、余剰汚泥などの副生物が発生するため、その処理が問題であったり、処理困難な排水が多く存在するなどの問題が生じていた。また燃焼法では、燃料として化石燃料を燃焼させるため資源の浪費であるばかりか、近年地球温暖化の問題でクローズアップされている二酸化炭素の排出量が増加するなどの問題を有していた。湿式酸化処理法は、基本的に高温、高圧化、酸素存在下で排水を処理する技術であるが、処理効率が十分でない。この湿式酸化処理方法による排水の処理効率を高めるために、種々の触媒が提案されている。触媒として特に固体触媒は、均一系触媒や微粉末触媒の様に処理液から触媒回収工程が不要であることから固体触媒が汎用されている。特に近年、固体触媒の組成,形状などの改良が行なわれ、固体触媒の耐久性,処理能力の向上が図られている。固体触媒自体の研究は進んでいるものの、固体触媒の能力を最大限発揮させるという観点からの湿式酸化処理条件はなされておらず、触媒の活性を高めて排水処理能力を向上し得る処理条件が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は排水を湿式酸化処理した際に、触媒の活性を高め、排水処理能力を向上し得る湿式酸化処理方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成し得た本発明の方法とは、固体触媒を用いた湿式酸化処理にて排水を酸化および/または分解する排水の処理方法において、下記式から求められるガス空間速度SV(h-1)が1〜1000となる様に湿式酸化処理条件を制御することに要旨を有する排水の処理方法である。
【0005】
ガス空間速度SV(h-1)=Vg/(Vc×E)ここでVgは触媒湿式酸化処理反応塔におけるガス流量(L/h):Vcは反応塔に充填した固体触媒量(L):Eは固体触媒を反応塔に充填した際の空隙率である。
【0006】
また本発明を実施するにおいては触媒層の長さをL(m)としたとき、L×SVの値であるガスの空間線速度のU値が、0.1〜8000(m/h)であることが望ましく、触媒を反応塔に充填した際の空隙率(E)を0.20〜0.40の範囲内とすることも推奨される。
【0007】
本発明を実施するにおいて固体触媒にチタン、ジルコニウム、鉄、マンガン、希土類(ランタン、セリウム、プラセオジム)より選ばれる元素の少なくとも1種の金属および/またはその金属の化合物を含有する固体触媒を用い、該固体触媒の見掛け充填嵩比重が0.7〜1.3kg/リットルの範囲内であることが望ましい。また固体触媒に活性炭を含有する固体触媒を用いた場合、該固体触媒の見掛け充填嵩比重が0.3〜0.7kg/リットルの範囲内であることが推奨される。また固体触媒が白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウムより選ばれる元素の少なくとも1種の金属および/またはその金属の化合物を、0.05〜2質量%の範囲内で含有することも本発明の好ましい実施態様である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、固体触媒を用いた湿式酸化処理にて排水を酸化および/または分解する排水の処理方法において、[ガス空間速度SV(h-1)=触媒湿式酸化処理反応塔におけるガス流量(L/h)/(反応塔に充填した固体触媒量(L)×固体触媒を反応塔に充填した際の空隙率)]から求められるガス空間速度SV(h-1)が1〜1000の範囲内となる様に湿式酸化処理条件を制御することによって上記課題が達成できることを見出した。以下本発明について詳述する。
【0009】
本発明の湿式酸化処理で処理される排水の種類は特に限定されず、化学プラント,電子部品製造設備,食品加工設備,金属加工設備,金属メッキ設備,印刷製版設備,写真設備等の各種産業プラントから排出される排水や、火力発電や原子力発電などの発電設備などから排出される排水、具体的にはEOG製造設備,メタノール,エタノール,高級アルコールなどのアルコール製造設備から排出される排水、特にアクリル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステルなどの脂肪族カルボン酸やそのエステル,或いはテレフタル酸,テレフタル酸エステルなどの芳香族カルボン酸もしくは芳香族カルボン酸エステルの製造プロセスから排出される有機物含有排水などが例示される。また例えば下水やし尿などの生活排水であってもよく、或いは環境ホルモン化合物等の有害物質を含有している排水でも良い。
【0010】
勿論、処理の対象となる排水は上記した様な産業プラントから排出される所謂工業排水に限定されるものではなく、湿式酸化処理によって酸化・分解されて低分子化(無害化)され得る物質を含むものであればよく、また該物質が排水中に溶解、或いは懸濁物質として存在する等、存在状態についても限定されない。この様な排水に含まれる物質としては有機化合物(例えばメタノール,エタノール,アセトアルデヒド,蟻酸,アセトン,酢酸,プロピオン酸,THF,フェノールなど);無機化合物(例えばアミン,イミン,アンモニア,ヒドラジン,亜硝酸イオン,DMF,ピリジンなど);硫黄化合物(例えばチオ硫酸イオン,硫化ナトリウム,ジメチルスルホキシド,アルキルベンゼンスルホン酸塩など);有機ハロゲン化合物(ダイオキシン類,フロン類,フタル酸ジエチルヘキシル,ノニルフェノールなど);有機燐化合物(例えばホスフィン,ホスフィンスルフィド,ホスホン酸など)などが例示され、この様な排水であれば何れも本発明の湿式酸化処理方法を適用できる。
【0011】
またナトリウム,カリウム,カルシウム,鉄,アルミニウム,マグネシウム等の金属イオンやフッ素,塩素,臭素等のハロゲンイオン,炭素イオン,燐,珪素等を含有する無機塩類が排水中に存在していてもよい。尚、排水中の該塩類濃度が高くなると、後記する様に排水に供給した酸素の溶解度が低下するため、処理時に塩として析出しない含有量であることが望ましい。
【0012】
尚、本発明の湿式酸化処理に供給する排水に予め任意の処理を施してもよい。特に前処理によって、排水中の難分解性化合物をある程度低分子化することが望ましい。例えば排水を触媒を使用しない湿式酸化処理で前処理し、次いで本発明の湿式酸化処理で処理してもよい。この様に予め排水に前処理を施しておくことによって本発明の排水処理効果を更に向上させることが可能である。勿論、前処理工程は複数の工程を組み合わせてもく、特に限定されない。例えば複数の反応塔を使用して数回前処理を行なったり、或いは同一の反応塔内前半部で湿式酸化処理を実施し、塔内後半部で触媒湿式酸化処理を実施することも可能である。
【0013】
本発明では上記の様な排水を触媒を用いた湿式酸化処理することによって、排液中の上記被処理物質を浄化(酸化・分解によって環境に対する無害化)処理するが、この際使用できる触媒としては下記の触媒が例示されるが、これに限定されない。
【0014】
触媒としては、アルミナ,チタン,ジルコニウム,鉄,マンガン,ランタン,セリウム,プラセオジウム,ネオジウム,コバルト,ニッケル,タングステン,バナジウム,モリブデン,マグネシウム,アンチモン,テルル,活性炭を含有する触媒が好ましく、更に好ましくは、チタン,ジルコニウム,鉄,マンガン,ランタン,セリウム,プラセオジウム,ネオジウム,コバルト,活性炭から選ばれる少なくとも1種を含有する触媒が好ましい。
【0015】
これらの中でもチタン,ジルコニウム,鉄,マンガン,ランタン,セリウム,プラセオジウム,コバルトより選ばれる元素の少なくとも1種の金属および/またはその金属の化合物を含有する固体触媒が望ましい。該固体触媒の見掛けの充填嵩比重は好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.80以上であり、好ましくは1.3kg/リットル以下、より好ましくは1.25以下である。この様な範囲内の見掛け充填嵩比重であれば、触媒の活性が高められ、優れた排水処理効率が得られる。尚、見掛けの充填嵩比重とは、[充填した触媒の重さ(kg)/触媒充填層体積(リットル)]から算出される値である。
【0016】
活性炭を含有する固体触媒を用いる場合、優れた排水処理効率を得る観点から、見掛け充填嵩比重は0.3kg/リットル以上が好ましく、より好ましくは0.35以上である。また見掛け充填嵩比重は好ましくは0.7kg/リットル以下とすることが望ましい。
【0017】
尚、上記固体触媒に触媒活性として、チタン,ジルコニウム,鉄,マンガン,ランタン,セリウム,プラセオジウム,コバルト成分の他に、白金,パラジウム,ルテニウム,ロジウム,イリジウム,金より選ばれる少なくとも1種の金属および/またはその金属化合物を含有させると、更に触媒活性が向上し、排水処理性能が向上するので望ましい。特に白金,パラジウム,ルテニウム,ロジウム,イリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属および/またはその金属化合物の含有量が、0.05〜2質量%の範囲内であることが本発明の湿式酸化処理条件で排水処理した際の触媒活性向上の観点から好ましい。0.05%質量未満では触媒の活性が十分向上されないことがある。また一方、2質量%を超えると触媒のコストが高くなり、それに相応した触媒活性が期待できないことがある。
【0018】
また排水の種類によっては、一つの反応塔に2種以上の触媒(成分の異なる触媒)を組合せて用いると、排水処理能力が向上するので望ましい。このとき触媒の充填の仕方としては、左右で隣接する触媒が夫々異なる触媒であってもよいが、単位時間あたりの排水処理能力及び触媒質量当りの排水処理能力を高める観点からは、左右で隣接する触媒は同一成分からなる触媒で構成し、上下で隣接する触媒が夫々異なる(或いは同一)触媒で構成することが推奨される。また触媒を充填した反応塔を複数用いて排水を処理する場合、反応塔間で異なる触媒を充填してもよいし、同一の成分の触媒を複数の反応塔に充填してもよい。
【0019】
また上記触媒に触媒活性成分を担持させてもよい。触媒活性成分として例えばマンガン,鉄,コバルト,ニッケル,セリウム,クロム,プラセオジム,銅,銀,金,白金,パラジウム,ロジウム,およびイリジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素,又は1種以上の元素を含む化合物が示される。これら触媒活性成分を担持させることによって、触媒の活性が向上し、排水処理能力が向上するので望ましい。上記触媒活性成分の出発原料としては特に限定されず、酸化物,水酸化物,無機酸塩,有機酸塩等のいずれも用いることができ、アンモニウム塩,硝酸塩,ハロゲン化合物等が例示される。
【0020】
また触媒の形状としては特に限定されず、ハニカム状,球状,ペレット状など各種形状に成形した触媒を用途に応じて用いることができるが、長期間に渡って優れた触媒活性を安定して発揮させるためには球状あるいはペレット状触媒が推奨される。
【0021】
以下、図1に示す概略説明図を用いて本発明の排水の処理方法について詳述する。図1は湿式酸化処理を採用した場合の処理装置の一実施態様を示す概略図であるが、本発明で用いられる装置は図示例に限定する趣旨では決してない。
【0022】
図示しない排水供給源から供給される排水は、排水供給ライン6を通して排水供給ポンプ5に供給され、更に加熱器3に送られる。この際の空間速度は特に限定されず、触媒の処理能力によって適宜決定すればよい。
【0023】
本発明の触媒湿式酸化処理は酸素含有ガスの存在下、もしくは不存在下のいずれの条件でも行うことができるが、排水中の酸素濃度を高めると排水中に含まれる被酸化物の酸化・分解効率を向上できるので、排水に酸素含有ガスを混入させることが望ましい。
【0024】
酸素含有ガスの存在下に湿式酸化処理を行う場合には、例えば酸素含有ガスを酸素含有ガス供給ライン8から導入し、コンプレッサー7で昇圧した後、任意の位置から排水に供給すればよく、好ましくは図示する如く加熱器3の手前から排水に供給することが望ましい。
【0025】
酸素含有ガスとは、酸素分子を含有ガスであり、その様なガスであれば純酸素,酸素富化ガス,空気,過酸化水素水,他のプラントで生じた酸素含有ガス等でもよく、酸素含有ガスの種類は特に限定されないが、経済的観点からこれらの中でも空気を用いることが推奨される。勿論、必要に応じて酸素含有ガスを不活性ガスで希釈したものでもよい。
【0026】
酸素含有ガスを排水へ供給する場合の供給量は特に限定されず、排水中の被酸化物を酸化・分解処理する能力を高めるのに有効な量を供給すればよい。酸素含有ガスの供給量は、例えば酸素含有ガス流量調節弁9を酸素含有ガス供給ライン8上任意の位置に設けることによって排水への供給量を調節することができる。好ましい酸素含有ガスの供給量は、排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍以上、より好ましくは0.7倍以上であり、好ましくは5.0倍以下、より好ましくは3.0倍以下とすることが推奨される。酸素含有ガスの供給量が0.5倍未満の場合、被酸化物が十分に酸化・分解処理されずに湿式酸化処理を経て得られた処理液中に比較的多く残留ことがある。また5.0倍を超えて酸素を供給しても酸化・分解処理能力が飽和することがある。
【0027】
尚、触媒が活性炭を含有する場合、活性炭の燃焼を抑制するために酸素含有ガスの供給量は該理論酸素要求量の0.5倍〜1.3とすることが望ましく、更に排水処理後に反応塔の系外に排出される排ガス中の酸素濃度が5%以下となる様に酸素含有量を調節することが好ましい。
【0028】
本発明において「理論酸素要求量」とは、排水中の被酸化物を窒素,二酸化炭素,水,灰分にまで酸化および/または分解するのに必要な酸素量のことであり、本発明では化学的酸素要求量(COD(Cr))によって理論酸素要求量を示す。
【0029】
加熱器3に送られた排水は予備加熱された後、反応塔1に供給される。この際の排水(酸素含有ガスが排水に供給されている場合)の反応塔1への供給方法としては限定されず、気液上向並流,気液下向並流いずれであってもよく、また塔内で気液向流となる様に供給してもよい。勿論、複数の反応塔を設置する場合はこれらの供給方法を適宜組合せてもよい。これらのうち、排水処理時の触媒の揺れや触媒浮きあがりが少なく、また触媒の耐久性の観点からも気液下向並流が望ましく、特に触媒として活性炭を含有する場合には、活性炭は強度が低下し易いので気液上向並流よりも気液下向並流が望ましい。
【0030】
塔内の反応温度にいては特に限定されないが、排水を高温にすると、排水が酸化および/または分解され易くなるので、加温することが望ましい。反応塔内での排水の温度は好ましくは370℃以下,より好ましくは260℃未満とすることが望ましい。また170℃以上の場合は、液相を保持するために1MPa以上必要となり、耐圧性向上のための設備コストが高くなる。したがって170℃未満とすることが最も好ましい。尚、触媒が活性炭を含有する場合、活性炭の熱安定性の観点から170℃未満とすることが推奨される。一方、排水の温度が80℃未満では排水中の被処理物の酸化・分解処理を効率的に行うことが困難になることがあるので、反応塔内での排水の温度は好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であることが望ましい。
【0031】
尚、排水を加熱する時期は特に限定されず、上述した通り予め加熱器で加熱した排水を反応塔内に供給してもよいし、或いは、排水を反応塔内に供給した後に加熱してもよい。また反応塔に供給する前に予備加熱したものを塔内にて更に加熱してもよい。排水の加熱方法についても特に限定されず、加熱器,熱交換器を用いてもよく、また反応塔内にヒーター2を設置して排水を加熱してもよい。更に蒸気などの熱源を排水に供給してもよい。
【0032】
本発明の方法を実施するにあたっては、湿式酸化処理装置の排ガス排出口に圧力調整弁を設け、反応塔内で排水が液相を保持できるように処理温度に応じて圧力を適宜調節することが望ましい。例えば処理温度が80℃〜95℃の場合には、大気圧下においても排水は液相状態であり、経済性の観点から大気圧下でもよいが、処理効率を向上させるためには加圧することが好ましい。また処理温度が95℃以上の場合、大気圧下では排水が気化することが多いため、処理温度が95℃以上,170℃未満の場合、0.2〜1MPa(Gauge)程度の圧力、処理温度が170℃以上,230℃未満の場合、1〜5MPa(Gauge)程度の圧力、また処理温度が230℃以上の場合、5MPa(Gauge)超の圧力を加え、排水が液相を保持できる様に圧力を制御することが望ましい。
【0033】
尚、本発明を実施するにあたっては、反応塔の数,種類,形状等は特に限定されず、通常の湿式酸化処理に用いられる反応塔を単数又は複数組合せて用いることができ、例えば単管式の反応塔や多管式の反応塔などを用いることが出来る。また複数の反応塔を設置する場合、目的に応じて反応塔を直列または並列にするなど任意の配置とすることができるが、多量の排水を処理する場合には、大型の反応塔を単独で用いる(触媒充填層を高くする)よりも、反応塔を並列的に設置し、夫々に触媒を充填して排水を処理した場合の方が、同じ触媒使用量でも処理効率が高いので望ましい。
【0034】
反応塔に充填する触媒としては排水の種類に応じて上記触媒から選択することが推奨される。ガス空間速度SV(h-1)は、反応塔内に充填する触媒の充填量Vc(m3),触媒を充填した際の空隙率E,ガス流量Vg(m3/h)との関係[Vg(m3/h)/(Vc(m3)×E)]において、1〜1000の範囲内となる様に触媒の充填量Vc,空隙率E,ガス流量Vgなどを適宜調整することがより優れた排水処理能力を得るうえで望ましい。ガス空間速度が1hr-1未満の場合、ガス量が不十分で処理効率が低下することがあり、逆に1000hr-1を超える場合には、ガス量が多くなり気泡の分散が十分進行せず、処理効率が低下することがある。
【0035】
特に排水処理温度が170℃以上の場合、上記の如く排水が液相を保持できる様に加圧されているので、ガス空間速度SV(h-1)が好ましくは50以上であって、好ましくは300以下、より好ましくは200以下であると優れた排水処理性能を発揮する。また排水処理温度が170℃未満の場合、通常1MPa以下の圧力で操業するため、排水が蒸発し易いのでガス空間速度SV(h-1)を好ましくは300超、より好ましくは400以上であって、好ましくは1000以下、より好ましくは900以下とすると優れた排水処理性能を発揮するので推奨される。
【0036】
空隙率Eは好ましくは0.20以上、より好ましくは0.22以上、更に好ましくは0.25以上であって、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.38以下、更に好ましくは0.35以下とすることが長期間優れた排水処理能力を維持するために望ましい。特に本発明では、空隙率が0.20〜0.40の範囲内でガス空間速度SV(h-1)が上記範囲内となる様に湿式酸化処理条件を制御すると、排水の処理効率が著しく向上するので推奨される。空隙率Eとは、見掛け上の触媒層体積(m3)から実際に充填した触媒体積(m3)を除して得られた空隙値(m3)を、触媒層体積(m3)で割った値である。具体的な空隙率の算出方法は、触媒層に充填した触媒量をa(kg)、触媒層の体積をb(L)、充填層上部まで水を入れた際の水供給量をc(kg)、水を含んだ触媒を取り出して測定した触媒質量をd(kg)とし、まず触媒層の隙間に存在した水の質量fをf=c−(d−a)(kg)によって求め、得られたf値を用いて空隙率E(E=[f/b×100])を求めることができる。
【0037】
ガス流量Vgとは実際にガスを触媒層に導入し、ガスが該触媒層長手方向から抜け出るまでの単位時間(1時間)あたりの流量(L)である。
ガス空間速度SVとは0℃,1atmにおける気体容積速度の触媒層容積に対する値(気体容積速度/触媒層容積)であって、上記Vg/(Vc×E)によってガス空間速度(h-1)を求めることができる。
【0038】
またガスの空間線速度U(m/h)は、触媒層の長さをL(m)としたときにL(m)×ガス空間速度SV(h-1)で求めることができる。ガス空間線速度U(m/h)が0.1〜8000となる様に触媒層の長さを適宜調節することが効率的な排水処理を行なううえで望ましい。ガス空間線速度が0.1m/h以上であれば気泡の分散効果がより一層向上するので望ましい。また8000以下であることが優れた排水処理性能を発揮するので望ましい。
【0039】
特に排水処理温度が170℃以上の場合、上記の如く排水が液相を保持できる様に加圧されているので、ガスの空間線速度U(m/h)は好ましくは0.1以上、より好ましくは100以上であって、好ましくは2500以下、より好ましくは2000以下であると優れた排水処理性能を発揮する。また排水処理温度が170℃未満の場合、通常1MPa以下の圧力で操業するため、排水が蒸発し易いのでガスの空間線速度U(m/h)を好ましくは400以上、より好ましくは800以上、更に好ましくは1000以上であって、好ましくは8000以下、より好ましく5000以下とすると、優れた排水処理性能を発揮するので推奨される。
【0040】
尚、触媒を充填した反応塔を複数用いる場合、夫々の反応塔におけるガス空間速度が上記範囲内となる様に空隙率E,Vガス流量Vg,触媒充填量などを夫々調整することが望ましい。
【0041】
反応塔内のガス流量は[フィードガス量(NL/hr)−反応器中の蒸気流量(L/hr)]によって得られる値である。またガス流量は[反応器中のAir流量(L/hr)+反応器中の蒸気流量(L/hr)]によって得られる値である。
【0042】
排水中の被酸化物は反応塔内で酸化・分解処理されるが、本発明において「酸化・分解処理」とは、酢酸を二酸化炭素と水にする酸化分解処理、酢酸を二酸化炭素とメタンにする脱炭酸分解処理、ジメチルスルホキシドを二酸化炭素,水,硫酸イオンなどの灰分にする酸化及び酸化分解処理、尿素をアンモニアと二酸化炭素にする加水分解処理、アンモニアやヒドラジンを窒素ガスと水にする酸化分解処理、ジメチルスルホキシドをジメチルスルホンやメタンスルホン酸にする酸化処理などが例示され、即ち易分解性の被酸化物を窒素ガス,二酸化炭素,水,灰分などにまで分解する処理や、難分解性の有機化合物や窒素化合物を低分子量化する分解処理,若しくは酸化する酸化処理など種々の酸化および/または分解を含む意味である。
【0043】
尚、反応塔内には気液の攪拌,接触効率の向上,気液の偏流低減等を目的として、種々の充填物、内作物などを組み込んでもよい。また反応塔の数,種類,形状などについても限定されない。したがって通常の触媒湿式酸化処理に用いられる単管式の反応塔や多管式の反応塔などを用いることができる。また複数の反応塔を設置する場合、目的に応じて種々の形式の反応塔を直列または並列に設置してもよい。勿論、各装置は被処理排水に対して耐久性を有する材質で構成されていることが望ましい。
【0044】
反応塔で酸化および/または分解処理されて得られた処理排水(以下、処理液という)は、処理液ライン10を介して排出される。処理液は既に酸化・分解処理されて環境に対して十分に無害化されているので、この処理液の処理方法としては下記の方法に限定されず、任意の処理工程を施すことができる。
【0045】
処理液は処理液ライン10を介して気液分離器11に導入される。このとき、冷却器4、或いは熱交換器など任意の冷却手段を介在させて、処理液の温度を低下させてから気液分離器に導入してもよい。気液分離器では処理液を気体と液体に分離するが、液面制御弁などの制御手段を設けて気液分離器内の液面が予め設定したレベルで一定となる様に制御することが望ましい。また圧力コントローラPCなど圧力検出手段を設置し、気液分離器内の圧力が予め設定した値を保つ様に圧力制御弁12などの制御手段を設けて適宜調節することが望ましい。
【0046】
気液分離器11で分離して得られた分離液は、処理液排出ライン15から排出される。ここで排出された分離液は、生物処理,膜処理など任意の工程に付しても、或いは付さなくてもよい。本発明の触媒湿式酸化処理条件を変更することによって生物処理困難な有機成分を低分子化した状態で残存させることも可能であり、例えば難分解性有機物が酸化/分解処理されて処理液中に酢酸として残存する場合、該酢酸含有処理液を生物処理に施すことによって容易に酢酸を分解できる。また本発明の処理後の処理液に有機酸(酢酸などの低分子有機物)やアンモニア等の被酸化性物質が残存している場合、ポリアミド系複合膜などの高脱塩率を有する逆浸透膜を用いて処理してもよい。逆浸透膜処理することによって、逆浸透膜非透過液中に被酸化性物質を濃縮させることができ、該非透過液を再度湿式酸化処理する等任意の処理を実施することで排水の高度処理が可能となる。
【0047】
また触媒湿式酸化処理後の処理液、または触媒湿式酸化処理後の処理液に各種処理を施した後に得られる処理液(或いは分離液)を、希釈水として排水に利用してもよい。例えば処理液を排水の希釈水として用いると希釈水の効率的な利用が図れるため、従来の様に排水の希釈に別途水を用意する必要がないため、排水処理コストをより低コストとすることができる。
【0048】
【実施例】
参考例1〜5
参考例1
図1に示す工程を使用し、下記の条件で処理を行なった。反応塔1(直径45mm,長さ4000mmの円筒状)の内部にペレット状触媒(直径4mm,平均長さ5.5mm)を2.53kg,触媒層長1500mm,空隙率E0.322,見かけ充填嵩比重1.06kg/リットルとなる様に充填した。また該触媒は白金とチタニアを主成分とし、該触媒の組成はTiO2:Pt=99.7:0.3であった。処理に供した排水は化学プラントから排出された排水で、酢酸やプロピオン酸などの有機化合物を多く含有していた。また排水のCOD(Cr)は39g/リットルであった。この様な排水を排水供給ライン6を通して排水供給ポンプ5に導入し、LHSV=2h-1となる流量で昇圧フィードした後、加熱器3で165℃に加熱して反応塔の底から供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン8から供給し、コンプレッサー7で昇圧した後、O2/COD(Cr)(供給ガス中の酸素量/排水の化学的酸素要求量)が表1となる様に、酸素含有ガス流量調節弁9で流量を制御して加熱器3の手前で該排水供給入した。尚、反応塔1では、気液上向並流で処理を行なった。反応塔1では、電気ヒーター2を用いて165℃に保温し、酸素・分解処理を実施した。得られた処理液は、処理液ライン10を経て気液分離器11に送り気液分離した。気液分離器11では液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁13から処理液を排出した。また圧力制御弁12は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、塔内を0.9MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。1000時間経過後、排水処理を終了したが排水のCOD(Cr)処理効率も実験期間を通じて優れた効率を示した。排水の処理効率(1000時間経過後におけるCOD(Cr)処理効率)は69%であった。尚、反応塔より触媒を抜き出して形状変化等を観察したが、処理開始前の触媒と同じ形状(サイズ)を維持しており、触媒の摩耗等はほとんど見当たらなかった。
【0049】
参考例2〜5はO2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表1に示す値となる様に空気供給量を制御した以外は上記参考例1と同様にして排水処理を実施した。COD(Cr)処理効率を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
参考例6〜10
反応塔(直径45mm,長さ10000mmの円筒状)に参考例1で用いたペレット状触媒を15.56kg,触媒層長9000mm,空隙率E0.328,見掛け充填嵩比重が1.04kg/リットルとなるように充填し、処理条件はLHSV=2h-1,処理温度165℃,処理圧力0.9MPa(Gauge)とし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表2に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
参考例11〜14
反応塔(直径26mm,長さ150mmの円筒状)にペレット状触媒(直径3mm,平均長さ4.8mm)を0.0595kg,触媒層長100mm,空隙率E0.339%,見掛け充填嵩比重が1.12kg/リットルとなるように充填した。尚、参考例11〜14では、パラジウムならびにチタンと鉄の酸化物および複合酸化物を主成分とし、該触媒の組成はTiO2:Fe2O3:Pd=19.9:79.6:0.5である触媒を使用した。また被処理排水は、化学プラントから排出された染料系の排水で、酢酸や芳香族系の化合物および有機窒素化合物などを含有し、排水のCOD(Cr)は4g/リットルであった。処理条件はLHSV=0.5h-1,処理温度250℃,処理圧力6.0MPa(Gauge)とし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表3に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、排水の処理を実施した。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
参考例15〜18
反応塔(直径26mm,長さ3000mmの円筒状)に参考例11で用いたペレット状触媒を0.91kg,触媒層長1500mm,空隙率E0.334,見掛け充填嵩比重が1.14kg/リットルとなるように充填した。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を参考例11と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表4に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例11で用いた排水の処理を実施した。結果を表4に示す。尚、排水処理終了後、触媒を調べたが、いずれの参考例の触媒も処理使用前の触媒と大きな差は観察されなかった。
【0056】
【表4】
【0057】
参考例19
反応塔(直径26mm,長さ3000mmの円筒状)にリング状触媒(外径8mm,内径3.6mm,平均長さ6mm)を0.95kg,触媒層長2000mm,空隙率E0.423,見掛け充填嵩比重が0.89kg/リットルとなるように充填した。尚、白金とチタニアを主成分とし、該触媒の組成はTiO2:Pt=99.5:0.5である触媒を用いた。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を参考例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表5に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表5に示す。尚、処理中に触媒が粉化し、処理液に触媒粉が混入していた。
【0058】
参考例20
反応塔(直径26mm,長さ3000mmの円筒状)に球状触媒(直径5mm)を2.50kg,及び該球状触媒を破砕した触媒を0.42kg混合し、触媒層長2000mm,空隙率E0.172,見掛け充填嵩比重が2.75kg/リットルとなる様に充填した。尚、白金とチタニアを主成分とし、該触媒の組成はTiO2:Pt=99.7:0.3である触媒を用いた。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を参考例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表5に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表5に示す。尚、処理中、処理液に触媒の粉が混入していた。また処理開始から4500時間経過後、排水及びガスが反応器を通過しにくくなった。さらに処理終了後、触媒を抜き出してその形状などについて観察したが、球状ペレット間にペレット粉が残存していた。
【0059】
参考例21,22
反応塔(直径26mm,長さ3000mmの円筒状)にペレット状触媒(直径4mm,平均長さ5.5mm)を1.17kg,触媒層長2000mm,空隙率(参考例21:0.334,参考例22:0.335),見掛け充填嵩比重が1.1kg/リットルとなる様に充填した。尚、参考例21では白金,ランタン及びチタニアを主成分とし、該触媒組成がTiO2:La2O3:Pt=69.8:29.9:0.3である触媒を用いた。また参考例22では白金,鉄及びチタニアを主成分とし、該触媒組成がTiO2:Fe2O3:Pt=29.9:69.8:0.3である触媒を用いた(表7参照)。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を参考例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表5に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表5に示す。
【0060】
参考例23
反応塔(直径26mm,長さ3000mmの円筒状)にペレット状触媒(直径5mm,平均長さ6mm)を1.58kg,触媒層長2000mm,空隙率E0.323,見掛け比重嵩比重1.49kg/リットルとなる様に充填した。また白金とチタニアを主成分とし、該触媒組成がTiO2:Pt=99.7:0.3である触媒を用いた。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を参考例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表5に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表5に示す。
【0061】
参考例24
反応塔(直径26mm,長さ3000mmの円筒状)にペレット状触媒(直径6mm,平均長さ7mm)を0.65kg,触媒層長2000mm,空隙率E0.318,見掛け比重嵩比重0.61kg/リットルとなる様に充填した。また白金とチタニアを主成分とし、該触媒組成がTiO2:Pt=99.5:0.5である触媒を用いた。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を参考例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表5に示す値となる様に制御した以外は上記参考例1と同様にして、参考例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
実施例1
反応塔1(直径40cm,長さ5mの円筒状)の内部にペレット状触媒(直径5mm,平均長さ5mm)を226kg,触媒層長4000m,空隙率E0.332,見掛け充填嵩比重0.45kg/リットルとなるように充填した。また触媒には活性炭に白金を0.3質量%担持した触媒を用いた。処理に供した排水は、化学プラントから排出された排水で、エタノール,酢酸,フェノールなどの有機物を多く含有していた。また排水のCOD(Cr)は、25g/リットルであった。この様な排水を排水供給ラインを介して排水供給ポンプに導入し、LHSV=2h-1となる流量で昇圧フィードした後、加熱器3で145℃に加熱して反応塔1の上部より供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン8より導入し、コンプレッサー7で昇圧したの地、O2/COD(Cr)が1.0となる様に加熱器3の手前で排水に供給した。反応塔1では気液下向並流で処理を行なった。反応塔1では、電気ヒータ2を用いて145℃に保温し、酸化・分解処理を実施した。得られた処理液は冷却器4で30℃まで冷却した後、圧力制御弁12から解圧排出し、気液分離器11で気液分離した。このとき圧力制御弁12は、圧力コントローラで圧力を検出し、反応塔1内が0.5MPa(Gauge)の圧力を保持するように制御した。上記条件下での反応塔内部のガス流量,ガスのSV,ガスの空間速度の値及び得られた排水の処理結果を表6に示す。尚、1000時間経過後、排水処理を終了し、反応塔内から触媒を抜き出して形状変化等を観察したが、処理開始前の触媒と同じ形状(サイズ)を維持しており、触媒の摩耗等はほとんど見当たらなかった。また排水のCOD(Cr)処理効率も排水処理期間を通じて優れた効率を示し、排水の処理効率は69%であった。
【0064】
比較例1
実施例1で用いた反応塔にペレット状触媒(直径4mm,平均長さ4mm)を411kg,触媒層長4000mm,空隙率E0.328,見掛け比重嵩比重0.82kg/リットルとなる様に充填した。尚、触媒には活性炭に白金を0.3質量%担持した触媒を用いた。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を実施例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表6に示す値となる様に制御した以外は上記実施例1と同様にして、実施例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表6に示す。尚、処理開始から300時間までは実施例1と同等の処理効率を有していたが、その後、処理効率が低下した。
【0065】
比較例2
実施例1で用いた反応塔にペレット状触媒(直径5mm,平均長さ6mm)を126kg,触媒層長4000mm,空隙率E0.345,見掛け比重嵩比重0.25kg/リットルとなる様に充填した。尚、該触媒には活性炭に白金(3.0質量%)を担持した触媒を用いた。処理条件(LHSV,処理温度,処理圧力)を実施例1と同じにし、O2/COD(Cr),反応塔内のガス流量(リットル/h),ガスのSV(h-1),ガスの空間線速度(m/h)が表6に示す値となる様に制御した以外は上記実施例1と同様にして、実施例1で用いた排水の処理を実施した。結果を表6に示す。尚、処理開始から3000時間までは実施例1と同等の処理効率を示していたが、その後処理効率が低下した。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば排水を湿式酸化処理した際に、長期間に渡って優れた触媒活性を安定して発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排水処理方法の概略の一つである。
【符号の説明】
1 反応塔
2 電気ヒーター
3 加熱器
4 冷却器
5 排水供給ポンプ
6 排水供給ライン
7 コンプレッサー
8 酸素含有ガス供給ライン
9 酸素含有ガス流量調節弁
10 処理液ライン
11 気液分離器
12 圧力制御弁
13 ガス排出ライン
14 ポンプ
15 処理液排出ライン
16 圧力コントローラ
LC 液面コントローラ
PC 圧力コントローラ
Claims (6)
- 固体触媒を用いた湿式酸化処理にて排水を酸化および/または分解する排水の処理方法において、排水処理温度を170℃未満とし、下記式から求められる反応塔に充填した触媒層におけるガス空間速度SV(h-1)が300超で且つ1000以下となる様に湿式酸化処理条件を制御するものであり、当該固体触媒として、活性炭を含有する固体触媒であって、見掛け充填嵩比重が0.3〜0.7kg/リットルの範囲内のものを用いることを特徴とする排水の処理方法。
ガス空間速度SV(h-1)=Vg/(Vc×E)
ここで
Vgは触媒湿式酸化処理反応塔におけるガス流量(L/h)
Vcは反応塔に充填した固体触媒量(L)
Eは固体触媒を反応塔に充填した際の空隙率 - 前記ガス空間速度SV(h-1)が400以上となる様に湿式酸化処理条件を制御する請求項1に記載の排水の処理方法。
- 更に前記触媒層におけるガス空間線速度U[触媒層の長さL(m)×ガス空間速度SV(h-1)]が、0.1〜8000(m/h)である請求項1または2に記載の処理方法。
- 前記ガス空間線速度Uが400(m/h)以上となる様に湿式酸化処理条件を制御する請求項3に記載の排水の処理方法。
- 前記ガス空間線速度Uが1000(m/h)以上となる様に湿式酸化処理条件を制御する請求項3に記載の排水の処理方法。
- 前記固体触媒として、活性炭に、マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,セリウム,クロム,プラセオジム,銅,銀,金,白金,パラジウム,ロジウム,およびイリジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素,又は1種以上の元素を含む化合物を担持させたものを用いる請求項1〜5のいずれかに記載の排水の処理方法。
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