JP2008093538A - 排水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、排水の処理に用いることができる。特に排水中の被酸化性物質が多い排水の湿式酸化処理に有効である。
【解決手段】本発明は、酸素含有ガスを供給し、固体触媒を用いて被酸化性物質を処理する排水の処理方法において、排水の処理を開始する際に、(1)加熱工程、(2)低酸素運転工程、(3)定常運転工程の手順に従うことを特徴とする排水の処理方法である。当該低酸素運転工程は、酸素含有ガスの供給量を[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの酸素消費量]の比が定常運転工程(3)における値より低くなるように設定して湿式酸化処理を行う工程である。
【選択図】図1

Description

本発明は排水を湿式酸化する処理方法に関する技術である。
有機や無機の被酸化性物質を含有する排水を処理する方法としては、例えば生物学的処理法や湿式酸化法などが知られている。このうち生物学的処理法では、排水中の被酸化性物質を分解するのに長時間を要し、しかも低濃度のものしか処理できないので、排水が高濃度の場合、適切な濃度に希釈する必要などがあり、これらの為に処理施設の設備面積が広大になるという欠点がある。また、使用する微生物は気温等の影響を大きく受けるため、安定した運転を続けることは困難であった。
一方、湿式酸化法は、高温、高圧下で、しかも酸素の存在下で排水を処理し、排水中の被酸化性物質を酸化および/または分解処理する方法である。この方法において、反応速度を速め且つ反応条件を緩和する手段として、例えば酸化物を用いた触媒やこれら酸化物
と貴金属元素等を組み合わせた触媒を使用する触媒湿式酸化法等が提案されている。
しかしながら、この方法で排水中に含有する種々の被酸化性物質を酸化および/または分解処理して排水を浄化するには、170℃以上の処理温度で処理する必要があり、このため処理圧力も1MPa(Gauge)を越える圧力が必要であることが多かった。例え
ば、特開平11−347574号には、チタニアに白金を担持した触媒を用い、170℃の処理温度下で酢酸を湿式酸化処理する方法が提案されているが、この技術では依然として比較的高温の処理条件が必要であり、さらに排水の高度処理が可能で、且つ低温・低圧の処理条件である排水の処理方法が望まれていた。
こうしたことから本発明者らは、新規触媒の開発および新規処理方法について従来から検討してきた。その結果、より反応条件を緩和できる手段の1つとして、活性炭を含有した固体触媒を用いた場合には、170℃未満の低温で且つ低圧の処理条件下で、有機や無機の被酸化性物質に対して特異的に高活性であることが確認できた。
特開平11−179378号には、貴金属を担持した活性炭触媒を用いて炭素数が1つに限定された含酸素有機化合物を100℃以下の温度で酸化分解させる方法が記載されているが、炭素数が2つ以上の有機化合物や無機化合物の処理に対しては適用すること
ができない。また貴金属担持活性炭触媒の耐久性(耐熱性)に対しても十分検討されているものではなかった。
また、活性炭を含有した固体触媒を用いた場合には、従来の湿式酸化処理設備の立ち上げ方法では、触媒が過剰な酸素含有ガスに触れることなどによって劣化する問題が存在し、触媒にダメージを与えることなく安定に立ち上げる方法が望まれていた。
特に、排水に含まれる被酸化性物質が多量である場合には触媒に部分的に多量の析出物が発生したり、触媒層の一部に異常発熱が生じ当該部分において触媒の劣化が生じやすいことが見られたりすることで、触媒全体として排水の処理能力を低下させることがあった。
特開平11−347574号公報 特開平11−179378号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、活性炭を含有する固体触媒を用いて湿式酸化処理するに際して、排水中の被酸化性物質が多量であるとき、または排水が排水処理中に析出する成分を多く含んでいるときに、比較的低温・低圧で効率良く、長期間安定的に排水を処理することのできる方法を提供することにある。
本発明は、排水を処理するに際して、処理の当初は、触媒の理論処理能力より被酸化性物質の濃度を下げた排水で湿式酸化処理を行い、徐々に排水中の被酸化性物質の濃度を上げ湿式酸化処理し、最終的には触媒の理論処理能力で湿式酸化処理を行うことを特徴とする排水の湿式酸化処理方法である。
本発明は、排水を湿式酸化処理するに際して、排水中の被酸化性物質が多量であるとき、または排水が排水処理中に析出する成分を多く含んでいるときに、長時間にわたって触媒の処理能力を維持することができるものである。
本発明の処理対象となる排水としては、例えば、化学プラント、電子部品製造設備、食品加工設備、印刷製版設備、発電設備、写真処理設備、金属加工設備、金属メッキ設備、金属精錬設備、紙パルプ製造設備などの各種産業プラントから排出される排水や、屎尿、下水などの生活排水、湿式洗煙排水などの廃棄物焼却炉排水、埋立地浸出水などの種々の排水が挙げられる。また、有害物質を含有する土壌を処理するために該土壌中の有害物質を液中に抽出した抽出液も本発明の処理対象排水として扱うことができる。これらの中でも特に、排水がアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどの脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル製造設備、もしくはテレフタル酸、テレフタル酸エステルなどの芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸エステル製造設備、もしくはEOG製造設備、もしくはメタノール、エタノール、高級アルコールなどのアルコール製造設備、もしくは食品添加物や医薬品、工業薬品製造設備などから排出される有機物含有排水である場合に特に効果的である。また、排水が発電設備、電子部品製造設備などから排出されるアンモニア含有排水である場合にも効果的である。
本発明における「被酸化性物質」とは、酸化・分解処理によって浄化処理できる化合物であり、好ましくは有機および/または無機の化合物であり、種々の有機化合物、硫黄化合物、窒素化合物、更には有機ハロゲン化合物、有機燐化合物などを指す。具体的には、例えばメタノール、エタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、アセトン、酢酸、プロピオン酸、THF、フェノールなどの有機化合物;アンモニア、ヒドラジン、亜硝酸塩、DMF、モノエタノールアミン、ピリジン、尿素などの窒素化合物;チオ硫酸塩、硫化ナトリウム、ジメチルスルホキシド、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの硫黄化合物;過酸化水素などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの物質は、水中に溶解していても、懸濁物質として存在していてもよい。また、ここでいう酸化・分解処理とは、例えばエタノールを酢酸にする酸化処理、酢酸を二酸化炭素と水にする酸化分解処理、酢酸を二酸化炭素とメタンにする脱炭酸分解処理、各種有機物を低分子量化する分解処理、尿素をアンモニアと二酸化炭素にする加水分解処理、アンモニアやヒドラジンを窒素ガスと水にする酸化分解処理、硝酸イオンもしくは亜硝酸イオンを窒素ガスにする分解処理、有機ハロゲン化合物の脱塩素処理などを包含し、排水中の有害物質を実質的に無害なものに変換することを意味する。
被酸化性物質の濃度は排水に対して5000〜50000mg/リットルであることが好ましく、更に好ましくは10000〜40000mg/リットルである。5000mg/リットル未満であれば、触媒湿式酸化反応で得られる反応熱が少ないため、熱交換装置を用いて熱回収しても、この熱による装置の自立運転が困難となり、別途熱供給装置が必要になる等、エネルギー的に不利となる。また、50000mg/リットルを超える場合には、触媒湿式酸化反応で得られる反応熱が非常に多くなるため、装置の制御が困難になる。
本発明に係る酸素含有ガスは排水中の被酸化性物質を酸化しうるものであれば何れのものであってもよく、好ましくは純酸素ガス,酸素富化ガス,空気であり、更に好ましくは空気である。
本発明において、酸素含有ガスの供給方法は、特に限定されるものではなく、例えば触媒層の手前から全ての酸素含有ガスを供給してもよく、また、酸素含有ガスを分割して供給してもよい。
本発明における固体触媒は、触媒湿式酸化処理に一般に用いられている固体触媒を用いることができる。具体的には、液相酸化の条件下で活性と耐久性を兼ね備えた触媒であればいずれも使用することができる。これらの中でも特に、本発明における固体触媒としては、活性炭を含有するものであることが好ましい。この活性炭の種類については、特に限定されるものではなく、例えば、木炭、ヤシガラ炭、石炭、コークス、ピート、リグナイト、ピッチなどを原料とするものが挙げられ、また、アクリロニトリル系活性炭素繊維やフェノール系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維、ピッチ系活性炭素繊維などの炭素繊維系の活性炭であってもよい。
本発明で用いる固体触媒としては、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、AgおよびAuよりなる群から選択される1種以上の元素を更に含有することも有効であり、これによって触媒活性をより高めた触媒とすることができる。これにより、排水中に含まれる被酸化性物質の酸化・分解処理効率を向上することができると共に、処理温度をさらに下げることができるので望ましい。これらの元素の含有量は特に限定されないが、固体触媒中に好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜2質量%の割合で含有されていることが望ましい。また上記固体触媒には、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、鉄、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、セリウム、プラセオジウム、テルル、ビスマスの群から選ばれる少なくとも1種以上を含有させることもできる。尚、上記触媒を数種類用いても良く、また上記以外の湿式酸化処理に用いる触媒と組み合わせて用いても良い。また固体触媒を用いない湿式酸化処理と組み合わせることもできる。
触媒の形状については特に制限はなく、例えば粒状、球状、ペレット状、破砕状、サドル状、ハニカム状およびリング状のいずれでもよい。ペレット状の場合、断面が円形であるものの他、楕円形、多角形、三葉形、四葉形等任意の形のものを用いることができる。当該形長は相当直径で0.5〜15mm、好ましくは1.0〜10mmである。
また、当該排水の流れに対して当該触媒の前方に分散層および希釈層を設けることもできる。本発明に係る分散層は以下に示すものであることが好ましい。当該分散層の成分は当該排水に含まれる被酸化性物質に対して不活性であるもの(以下、「不活性物」という)である。不活性とは、被酸化性物質を酸化しないか、酸化しても分解層全体で排水中の被酸化性物質を5%以下、好ましくは2%以下酸化するものをいう。不活性物は、気液の撹拌および接触効率を向上させ、また気液の偏流を低減することができるものであれば、材質、種類、大きさなどについて特に限定されるものではなく種々の不活性物を用いることができる。不活性物の材質の例としては、例えばステンレスやハステロイ,インコネル,チタンなどの金属;鉄,チタン,ケイ素,アルミニウムおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む酸化物,又は1種以上を含む多元系酸化物(複合酸化物も含む)などの金属酸化物;あるいはセラミック;ガラス;樹脂などが挙げられる。また、充填材の種類の例としては、例えばペレット状、球状、粒状、リング状(ラシヒリング、レッシングリング、ボールリングなど)、ハニカム状、網状、網や板を織物構造に成形したものなどが挙げられる。充填物の大きさについても特に限定されるものではないが、ペレット状、球状、粒状、リング状の充填材の場合、3mm〜50mmのものが好ましい。
本発明の方法は、50℃以上170℃未満の温度範囲で処理を行うものである。この処理温度が50℃未満であると、有機および/または無機の被酸化性物質の酸化・分解処理を効率的に行うことが困難になる。この処理温度は、好ましくは80℃を超える温度と
するのが良く、より好ましくは100℃を超える温度であり、更に好ましくは110℃を超える温度とするのが良い。尚、処理温度が100℃以下であっても、メタノール、ギ酸、ホルムアルデヒド等の炭素数1の有機化合物を高度処理することは可能であるが、炭素数2以上の有機化合物を高度処理する為には、100℃を超える反応温度が必要であることが多い。この処理温度が170℃以上であると、触媒の耐久性が低下して実用的でなくなる場合が多い。こうしたことから、処理温度は好ましくは160℃以下とするのが良く、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
一方、処理圧力は、上記処理温度において排水が液相を保持する圧力であれば良いが、通常は大気圧から1MPa(Gauge)程度である。例えば処理温度が30〜95℃以下の場合、排水は大気圧下においても液相状態であることが多いため、経済性の観点から
大気圧下でも良いが、処理効率を向上させるためには加圧することが好ましい。また処理温度が95℃を越える場合、大気圧下では排水が気化することが多いため、0.2〜1MPa(Gauge)程度に加圧することが好ましい。但し、1MPa(Gauge)を越える圧力は、経済性の観点から好ましくない。また処理圧力を過大に上げた場合、処理温度を上げた場合と同じく、触媒の耐久性が低下して実用的でなくなる場合が多い。このため、加圧する際には反応塔の出口側に圧力制御弁を設け、反応塔内で排水が液相を保持できるように、処理条件に応じて所定の圧力となる様に適宜調節することが望ましい。また、処理性能および触媒の耐久性を向上するためには、この処理圧力の変動を、±20%以内、より好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内に制御するのが良い。
固体触媒層での排水の空間速度は、特に限定されるものではないが、通常、触媒層あたりの空間速度を0.1hr-1〜10hr-1、より好ましくは0.2hr-1〜5hr-1より更に好ましくは0.3hr-1〜3hr-1となるようにすれば良い。空間速度が0.1hr-1未満の場合、排水の処理量が低下し、過大な設備が必要となり、逆に10hr-1を超える場合には、排水の酸化・分解処理を十分に発揮することができない。
また、本発明では、下記式で示される触媒濡れ液量(K)が0.5〜5の範囲になるよう反応塔のサイズを設計することが好ましい。
触媒濡れ液量(K) = Qin / Sr
Qin:反応塔に導入する排水流量(m/hr)
Sr :反応塔の内の断面積(m
前記触媒濡れ液量が0.5未満であるときは、反応塔断面方向の偏流が生じやすくなり、乾燥した部分の触媒が過剰な酸素に曝され、活性や耐久性が低下することがある。また、5を超える場合には、触媒表面上における液膜が多くなるため、酸素が排水および触媒と接触しにくくなり、処理性能が低下することがある。
定常運転工程における酸素含有ガスの導入量は、[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの排水の酸素消費量](以下、この比の値を「D値」と呼ぶことがある)=0.8〜1.3倍の範囲内であり、好ましくは0.9〜1.1倍の範囲内である。D値が0.8未満であるときは、被酸化性物質の酸化・分解処理に要する酸素量よりも酸素供給量が少なくなり、処理性能が低下するため実用的でない。また、1.3を超えるときは、過剰な酸素に曝されて触媒の活性や耐久性が低下することがある。
本発明における[排水の処理効率が最大になるときの排水の酸素消費量]とは、処理温度、処理圧力、LHSV、気流の流通方式、使用する触媒などの湿式酸化処理条件を一定にした状態で、酸素供給量のみを変化させた場合、排水の排水の処理効率が最大となるときの排水の酸素消費量を指す。従って、このD値は、排水の処理を行うにあたり、酸素供給量の過不足を示す指標となる。具体的に例示するならば、ある任意の湿式酸化処理条件下、酸素供給量を変化させて排水を処理したときの化学的酸素要求量(COD(Cr))処理効率が最大で90%であった場合、酸素含有ガスがO2/COD=0.9の割合で供給されたならば、[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの排水の酸素消費量]の値(D値)は、1.0である。また、酸素含有ガスがO2/COD=1.0の割合で供給されたならば、D値は1.11である。但し、このD値の分母である「排水の処理効率が最大となるときの排水の酸素消費量」は、「排水の処理効率が最大となるときの酸素供給量」と、同量とは限らない。即ち、「D値の分母」と「排水の処理効率が最大となるときの酸素供給量」が、同量とは限らない。先に例示した酸素供給量がO2/COD(Cr)=0.9のときに、COD(Cr)の処理効率が90%で最大であったならば、酸素供給量と「D値の分母」は同量である。しかし、酸素供給量がO2/COD(Cr)=2.0のときに、COD(Cr)処理効率が90%で最大の場合もある。このときのD値は、2.22である。
尚、上記D値が1.3を超えると、酸素供給量が、実際の酸素・分解処理に要する酸素量よりも多くなるため、過剰酸素によって触媒の活性や耐久性が低下し易くなる。また、このD値が0.8よりも小さくなると、被酸化性物質の酸化・分解処理に要する酸素量よりも酸素供給量が少なくなり、処理性能が低下するため実用的でない。このD値の好ましい範囲は、0.9〜1.2程度であり、より好ましくは0.95〜1.1程度である。
本発明に係る[排水の処理効率が最大となるときの排水の酸素消費量]で記載される「排水の処理効率」とは、例えば排水のCOD処理効率、TOC処理効率、窒素処理効率、BOD処理効率、TOD処理効率もしくは特定物質の処理効率など、排水の浄化目標に応じて種々の処理効率を採用することができ、特に限定されるものではない。
本発明では、排水の処理を開始する際に、下記の手順に従う。
(1)加熱工程:水と酸素含有ガスを反応塔に供給して加熱する工程
(2)低酸素運転工程:水を排水に切り替えると共に、酸素含有ガスの供給量を[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの酸素消費量]の比が定常運転工程(3)における値より低くなるように設定して湿式酸化処理を行う工程
(3)定常運転工程:酸素含有ガスの供給量を、[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの酸素消費量]=0.8〜1.3倍の範囲内に設定して湿式酸化処理を行う工程
まず、加熱工程(1)においては、水と酸素含有ガスを供給しながら加熱を行う。水の供給量については、特に限定されるものではないが、上述した触媒濡れ液量(K)が0.5〜5の範囲になる量を供給することが好ましい。また、酸素含有ガスの供給量については、反応塔内の圧力を維持するのに必要な量が確保されていれば特に限定されるものではないが、定常運転時の供給量以下の範囲であることが好ましい。また、加熱する温度についても、定常運転時の温度以下であれば特に限定されるものではないが、100℃以上に加熱する場合には、水が液相を保持するために必要な圧力にする必要がある。温度が90℃を超えると触媒反応が生じやすくなり、被酸化性物質が存在しない状態では触媒が劣化しやすくなるため、加熱工程(1)における加熱温度は90〜100℃とすることが好ましい。100℃より高い温度で定常運転を行う場合には、低酸素運転工程(2)において適宜所望の温度まで昇温すればよい。
低酸素運転工程(2)においては、立ち上げ操作の途中で過剰な酸素に曝されることによって触媒の活性や耐久性が低下することを防ぐために、酸素含有ガスの供給量を低減した状態に設定して湿式酸化反応を行う。また、この操作によって、触媒層で反応が急激に生じて、温度制御が困難になったり触媒性能が低下したりすることを抑制することもできる。
低酸素運転工程(2)では、酸素含有ガスの供給量を[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの酸素消費量]の値(D値)が定常運転工程(3)における値より低くなるように設定する。定常運転工程(3)におけるD値を1とした場合、低酸素運転工程(2)におけるD値は、0.1〜0.9であることが好ましく、0.3〜0.6であることが更に好ましい。D値が0.1より小さければ、酸素含有ガスの供給量が少なすぎて、流量の制御が困難になったり、反応塔内の圧力を維持できなかったりする場合がある。また、D値が0.9より大きければ、酸素含有ガスの供給量が多すぎて、過剰な酸素に曝されることによって触媒の活性や耐久性が低下する場合がある。
低酸素運転工程(2)では、酸素含有ガス供給量の設定を2回以上に分け、段階的に酸素含有ガス供給量を増加することが好ましい。特に限定されるものではないが、例えばD値を0.25→0.5→0.75と3段階に分けて増加し、定常運転工程(3)でD値を1にする方法や、低酸素運転工程におけるD値を0.5→0.6→0.7→0.8→0.9とする方法、0.3→0.5→0.8とする方法などが挙げられる。
低酸素運転工程(2)を継続する時間については、酸素含有ガス供給ラインから供給された酸素含有ガスが反応塔内の触媒層出口に到達するのに要する時間より長く、またその10倍以内であることが好ましい。更に好ましくはその5倍以内である。1倍未満である場合には、反応塔内の酸素含有ガスの置換が不十分なまま、次工程で酸素含有ガスの供給量を増加することになるため、過剰な酸素に曝されたりすることによって触媒の活性や耐久性が低下する場合がある。また、10倍より長くなれば、定常運転工程に至るまでの時間がかかりすぎるため好ましくない。
また、低酸素運転工程(2)では、酸素含有ガスの供給量が、排水中の被酸化性物質を処理するために必要な量より少ないため、被酸化性物質の一部が未処理のまま処理水中に残存することになる。この量を低減するために、低酸素運転工程(2)では、定常運転工程(3)より排水濃度が低くなるように希釈した排水を供給することが好ましい。この操作によって、触媒層で反応が急激に生じて、温度制御が困難になったり触媒性能が低下したりすることを抑制することもできる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の効果を奏するものであれば本実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した装置を使用して、下記条件で処理を行った。反応塔1は直径600mmφ、長さ5000mmの円筒状であり、その内部に、活性炭と白金、パラジウムおよびルテニウムを主成分とし、白金0.12質量%,パラジウム0.5質量%,ルテニウム0.1質量%を含有する平均直径4mm,平均長さ6mmのペレット状触媒を2450mm充填した。処理に供した排水は、化学プラントから排出された排水であり、アルコール、アルデヒド、カルボン酸等の化合物を含有し、COD(Cr)濃度は20000mg/リットルであった。
[加熱工程]
排水供給ライン6から純水を排水供給ポンプ5によって700リットル/hrの流量で供給した。反応塔1の触媒層より上流側には気液分散器を設置し、反応塔の断面方向にほぼ均一に液を分散できるようにした。このときの触媒濡れ液量は、K=2.5であった。また、空気を酸素含有ガス供給ライン8より導入し、コンプレッサー7で昇圧した後、20mN/hrの流量で加熱器3の上流側で排水に混合させ、気液下向並流で反応塔1に供給した。このとき圧力制御弁12は、圧力コントローラーPCで圧力を検出し、反応塔1内が0.8MPa(Gauge)の圧力を保持するように制御した。電気ヒーター2を用いて反応塔1を95℃まで昇温した。
[低酸素運転工程]
排水供給ライン6からの供給液を純水から排水に切り替えた後、電気ヒーター2を用いて反応塔1の温度を徐々に上げ、150℃まで昇温した。酸素濃度計16の指示値が0.1vol%以下になったことを確認した後、空気流量を28mN/hrに増加した。このときのD値は0.6に相当するものであった。2時間経過後、空気流量を37mN/hrに増加し、更に2時間経過するのを待った。このときのD値は0.8に相当するものであった。
[定常運転工程]
低酸素運転工程に引き続き、空気供給量を47mN/hrに増加して定常運転に入った。このときのD値は1.0に相当するものであった。100時間経過後に処理水のCOD(Cr)濃度を測定し、COD(Cr)処理効率を算出した結果、96%であった。以後、開始から3000時間経過するまで処理を継続したが、3000時間経過後、処理性能の低下はほとんど見られず、COD(Cr)処理効率は95%であった。
(実施例2)
低酸素運転工程を以下の手順で実施した。それ以外は実施例1と同様の処理を行った。
[低酸素運転工程]
排水を1.3倍希釈してCOD(Cr)濃度15000mg/リットルとした希釈排水を用意し、排水供給ライン6からの供給液を純水から当該希釈排水に切り替え、電気ヒーター2を用いて反応塔1の温度を徐々に上げ、150℃まで昇温した。酸素濃度計16の指示値が0.1vol%以下になったことを確認した後、空気流量を24mN/hrに増加した。このときのD値は0.7に相当するものであった。1時間経過後、空気流量を28mN/hr(D値:0.8)に増加し、更に1時間経過するのを待った。引き続き排水供給ライン6からの供給液を希釈排水から無希釈の排水に切り替え、これと同時に空気流量を32mN/hrに増加した。このときのD値は0.7に相当するものであった。1時間経過後、空気流量を37mN/hr(D値:0.8)に増加し、更に1時間経過するのを待ち、空気流量を42mN/hr(D値:0.9)に増加して1時間維持した。
空気流量を47mN/hr(D値:1.0)に増加して定常運転に入った後100時間経過した時点で処理水のCOD(Cr)濃度を測定し、COD(Cr)処理効率を算出した結果、96%であった。以後、開始から3000時間経過するまで処理を継続したが、3000時間経過後、処理性能の低下は特に見られず、COD(Cr)処理効率は96%であった。
(比較例1)
低酸素運転工程を実施せず、加熱工程において150℃まで昇温した後、排水供給ライン6からの供給液を純水から排水に切り替え、空気供給量を47mN/hr(D値:1.0)に増加して定常運転に入った。これ以外は実施例1と同様の処理を行った。
定常運転に入った直後から処理水中に触媒の粉末の流出が確認され、20時間経過後に処理水のCOD(Cr)濃度を測定し、COD(Cr)処理効率を算出した結果、79%であった。以後、処理水中に流出する触媒粉末の量が増加してきたため、開始から100時間後に処理を中断し、反応塔1を開放して確認したところ、触媒が崩壊して、触媒量が減少していた。
本発明は排水の処理に用いることができる。特に排水中の被酸化性物質が多い排水の湿式酸化処理に有効である。
実施例に用いる装置図である。
符号の説明
1.反応塔
2.電気ヒーター
3.加熱器
4.冷却器
5.排水供給ポンプ
6.排水供給ライン
7.コンプレッサー
8.酸素含有ガス供給ライン
9.酸素含有ガス流量調節弁
10.処理液ライン
11.気液分離器
12.圧力調節弁
13.ガス排出ライン
14.処理液排出ポンプ
15.処理液排出ライン
16.酸素濃度計

Claims (5)

  1. 酸素含有ガスを供給し、固体触媒を用いて被酸化性物質を処理する排水の処理方法において、排水の処理を開始する際に、下記の手順に従うことを特徴とする排水の処理方法。
    (1)加熱工程:水と酸素含有ガスを反応塔に供給して加熱する工程
    (2)低酸素運転工程:水を排水に切り替えると共に、酸素含有ガスの供給量を[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの酸素消費量]の比が定常運転工程(3)における値より低くなるように設定して湿式酸化処理を行う工程
    (3)定常運転工程:酸素含有ガスの供給量を、[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大となるときの酸素消費量]=0.8〜1.3倍の範囲内に設定して湿式酸化処理を行う工程
  2. 当該(2)の工程における酸素含有ガス供給量の設定を2回以上に分け、段階的に酸素含有ガスの供給量を増加する請求項1記載の処理方法。
  3. 当該(2)の工程において、水を排水に切り替える際に、定常運転工程(3)より排水濃度が低くなるように希釈した排水を供給する請求項1または2記載の処理方法。
  4. 前記固体触媒が、更にPt,Pd,Rh,Ru,Ir,Ag,Auよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法。
  5. 前記固体触媒を充填した触媒層における気液の流通方法が、気液下向並流である請求項1〜4のいずれかに記載の処理方法。
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