JP2018153805A - 排水の処理装置および排水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒表面にスケール成分が析出することを防ぐことができ、よって触媒の処理性能を高く維持できる排水の処理装置を提供する。【解決手段】排水の供給側から、分散板15−2、分散板15−1、下部充填物層16、触媒層17および上部充填物層18をこの順に有する排水の処理装置であって、前記分散板15−2と前記分散板15−1との距離をH1、前記分散板15−1と前記下部充填物層16の排水の供給側の境界面との距離をH2、前記充填物層の層長をH3、および前記H2と前記H3との合計をH6としたとき、前記H6が100mm超であり、かつ前記H1に対する前記H6の比(H6/H1)が0.1以上100以下である、処理装置。【選択図】図2

Description

本発明は、排水の処理装置および排水の処理方法に関する。
化学プラント、食品加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、印刷製版設備、写真処理設備などの各種産業プラントから排出される排水は、湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸化法、過酸化水素酸化法などの各種方法によって浄化処理されている。
例えば、固体触媒を反応塔に充填した湿式酸化法の場合、主として、固体触媒充填層(触媒層)の下部から排水および酸素含有ガスを導入して排水を浄化処理するのが一般的である。そのため、導入された排水および酸素含有ガスの作用によって、触媒層内での固体触媒の移動、振動などの運動が起こり易くなり、固体触媒が摩耗したり、排水に含まれるスケール成分(Cu、Feなどの重金属類およびCa、Alなど)が触媒表面に析出したりすることにより、触媒の処理性能の低下などの問題が起こるのを避けることができなかった。
特許文献1では、反応塔の下部から導入される排水などによる固体触媒の摩耗に関して、触媒層の下に金属などの充填物の層(下部充填物層)を設けることで、固体触媒の摩耗を防止するとともに、排水などを均一に触媒層に供給することができるため、触媒の処理効率の低下を抑制できる排水の処理装置が示されている。
特許文献2では、無触媒湿式酸化反応層を固体触媒層の前に設置することで固体触媒層での処理効率が向上することが開示されている。また、特許文献3では、固体触媒層の上部に気液分散部材を設置することで処理効率が改善されることが開示されている。
特許第5330751号公報 特開2001−276855号公報 特開2004−098023号公報
確かに、特許文献1では、下部充填物層を設けることで、触媒の摩耗を防止でき、触媒の処理効率の低下を抑制できることが示されている。
しかし、特許文献1に開示される排水の処理装置では、排水にスケール成分(Cu、Feなどの重金属類およびCa、Alなど)が含まれている場合、スケール成分がイオンの状態で触媒層に到達してしまい、触媒表面に析出して、触媒の活性を阻害することがあるという問題があった。
一方、特許文献2では、無触媒湿式酸化反応層を設けることで固体触媒層の耐久性は向上したものの、排水の処理能力としては不十分であったし、第1処理工程および第2処理工程の反応塔が必要になり、さらにそれぞれを制御する必要があり、コスト的にも不利であった。
また、特許文献3では、気液分散部材の設置により固体触媒層の処理効率は改善されるものの、特許文献1に記載された発明と同様に、スケール成分による耐久性には不十分であった。
そこで、本発明は、スケール成分がイオンの状態で触媒層に到達することを防止でき、つまり触媒表面にスケール成分が析出することを防ぐことができ、よって触媒の処理性能を高く維持できる、そして簡便な構造でコストの低い排水の処理装置および排水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。まず、特許文献1に開示された技術と特許文献2に開示された技術とを合わせた形態−具体的には特許文献1の反応塔の下部に特許文献2の無触媒湿式酸化反応層を結合した形態−について検討を行ったものの十分な効果を得ることが出来なかった。そこで、気液の分散性が悪いのではないかと考え、特許文献3を参照して無触媒湿式酸化反応層に分散板を設置したものの、やはり十分な効果を得ることが出来なかった。更に、分散板の配置について種々検討を重ねた結果、少なくとも2枚の分散板を有し、その配置を特定の範囲にすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至ることが出来た。
すなわち、本発明の第1の形態は、排水の供給側から、分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する排水の処理装置であって、前記分散板2と前記分散板1との距離をH1、前記分散板1と前記充填物層の排水の供給側の境界面との距離をH2、前記充填物層の層長をH3、および前記H2と前記H3との合計をH6としたとき、前記H6が100mm超であり、かつ前記H1に対する前記H6の比(H6/H1)が0.1以上100以下である、処理装置に関する。
本発明の第2の形態は、排水の供給側から、少なくとも気体−液体拡散部1、気体−液体拡散部2、気体−液体拡散部3および触媒層をこの順に有する装置を用いる排水の処理方法であって、
前記排水中には気体が分散されており、
以下の(1)〜(3):
(1)前記気体−液体拡散部1〜3における前記排水の滞留時間がいずれも0.5秒以上である;
(2)前記気体−液体拡散部3と前記気体−液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計が5秒以上である;および
(3)前記(2)の排水の滞留時間の合計が前記気体−液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1〜100倍である、
を満たす、処理方法に関する。
本発明によれば、スケール成分が触媒表面に析出することを防ぐことができ、よって触媒の処理性能を高く維持でき、そして簡便な構造でコストの低い排水の処理装置および排水の処理方法を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態における排水の処理方法を示す概略図である。 図2は、実施例および比較例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図3−1は、実施例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図3−2は、実施例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図3−3は、実施例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図3−4は、実施例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図3−5は、比較例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図4は、実施例で用いた排水の処理装置を示す概略図である。 図5は、本発明に係る分散板の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための具体的な形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには限定されない。
<第1の形態:排水の処理装置>
本発明の一形態によれば、排水の供給側から、分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する排水の処理装置であって、前記分散板2と前記分散板1との距離をH1、前記分散板1と前記充填物層の排水の供給側の境界面との距離をH2、前記充填物層の層長をH3、および前記H2と前記H3との合計をH6としたとき、前記H6が100mm超であり、かつ前記H1に対する前記H6の比(H6/H1)が0.1以上100以下である、処理装置が提供される。
本発明の排水の処理装置において、分散板2と分散板1との距離をH1、分散板1と充填物層の排水の供給側の境界面との距離をH2、充填物層の層長をH3および触媒層の層長をH4とする(単位:mm)。触媒層の排水の排出側にも充填物層を配置した場合、当該充填物層の層長をH5とする。また、H2とH3との和をH6とする。
分散板2と分散板1との距離(H1)とは、分散板2の排水の排出側の面から分散板1の排水の供給側の面までの距離である。
分散板において、排水の供給側および排出側の面とは、以下のように定義される。排水の処理装置が地面と垂直に設置され、排水の処理装置の下部から排水が供給され、排水の処理装置の上部から排水が排出される場合、分散板の排水の排出側の面(上面)および排水の供給側の面(下面)とは、各面において最も高い部位と最も低い部位との中間の位置を基準とした面である。これは、分散板の表面が平坦でない場合や傾斜している場合であっても同様である。ただし、図2における分散板15−2のように衝突板を有する場合、衝突板を除いて最も高い部位と最も低い部位との中間の位置を基準とする。また一般的に、排水の排出側の面および排水の供給側の面は、排水の供給方向に対して垂直な面(地面)と平行である。このとき、排水の供給側および排出側の面は、平行である。
分散板1と充填物層の排水の供給側の境界面との距離(H2)とは、分散板1の排水の排出側の面から充填物層の供給側の境界面までの距離である。
充填物層の排水の供給側および排出側の境界面とは、以下のように定義される。充填物層には、充填物が充填されているため、排水の供給側および排出側に露出している面は、完全な平面にはならない場合がある。排水の処理装置が地面と垂直に設置され、排水の処理装置の下部から排水が供給され、排水の処理装置の上部から排水が排出される場合、排水の供給側の境界面(上面)および排出側の境界面(下面)とは、充填物層の上面または下面において露出している充填物のうち最も低い部位と最も高い部位との中間の位置を基準とした面である。これは、充填物層の露出している面が傾斜している場合であっても同様である。また一般的に、排水の排出側の境界面および排水の供給側の境界面は、排水の供給方向に対して垂直な面(地面)と平行である。このとき、排水の排出側の境界面および排水の供給側の境界面は、平行である。
充填物層の層長(H3)とは、充填物層の排水の供給側の境界面から排水の排出側の境界面までの距離である。触媒層の排水の排出側に充填物層を配置した場合、当該充填物層の層長(H5)についても、H3と同様である。
触媒層の層長(H4)とは、触媒層の排水の供給側の境界面から排水の排出側の境界面までの距離である。
触媒層には、触媒(例えば、固体触媒)が充填物として充填されており、触媒層の排水の供給側の境界面および排水の排出側の境界面に関する定義は、充填物層と同様である。
本発明の排水の処理装置は、上記のような構成を有することにより、スケール成分が触媒表面に析出することを防ぐことができ、よって触媒の処理性能を高く維持できる。
従来、複数の分散板を配置することが気液の混合効率向上に有効であることは、知られている。しかし、スケール成分(Cu、Feなどの重金属類およびCa、Alなど)を含有する排水の場合は、さらに高度な分散技術が求められている。スケール成分の特徴として、湿式酸化処理により排水を処理する場合、加熱前にはイオンとして溶存していたスケール成分が、酸素存在下における加温加圧により、酸化物や水酸化物などの固体として一部析出する点が挙げられる。そのため、条件によって、排水中に溶存しているスケール成分がイオンの状態で触媒層に到達してしまい、触媒表面に析出して触媒の活性を阻害するおそれがある。そこで、本発明では、H1に対するH6の比(H6/H1)を適正な範囲とし、かつH6を100mm以上とすることで、触媒層に到達する前にスケール成分を固体として析出させることが可能となり、スケール成分が触媒表面に析出することを未然に防ぐことが可能となる。
また、充填物層も、スケール成分が触媒層に直接蓄積することを防ぐための分散緩和層として必要である。下側充填物層が存在することにより、充填物層内でスケール成分の析出が促進され、触媒表面に析出することを未然に防ぐことが可能となる。同時に、従来よりも分散効果が高められ、スケール成分が局所的に析出・堆積することを防ぐことができ、長期にわたって触媒が高い処理性能を発揮できる。
本発明の排水の処理装置において、H6は、100mm超である。H6が100mm以下であると、スケール成分が均一に分散されず、かつスケール成分がイオンの状態のまま触媒層に到達するため触媒表面がスケール成分で被毒されるおそれがある。H6は、触媒へのスケール成分析出をより抑制できるとの観点から、好ましくは150mm超であり、より好ましくは250mm超である。H6の上限は、特に制限されないが、例えば2000mm未満である。H6が2000mm未満であれば、分散板によって混合され微細化した気泡が再び凝集して、気液の接触効率が低下することを抑制できる。
本発明の排水の処理装置において、H1に対するH6の比(H6/H1)は、0.1以上100以下である。H6/H1が0.1未満であるまたは100超であると、分散板2および分散板1との間で、気液の混合効果が不十分となり、スケール成分の偏流が生じるため、局所的にスケール成分が堆積して処理効率が低下する。H6/H1は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上である。H6/H1は、好ましくは80以下であり、より好ましくは50以下である。このような範囲であれば、上記効果をより発揮できる。
H1は、上記比(H6/H1)を満たす限り特に制限されないが、例えば10mm以上であり、好ましくは20mm以上であり、より好ましくは30mm以上である。また、H1は、1000mm以下であり、好ましくは900mm以下であり、より好ましくは750mm以下である。H1が10mm以上1000mm以下であることにより、気液の分散混合が充分に行われるため、触媒の処理効率の低下を抑制でき、かつスケール成分がイオンの状態のまま触媒層に到達することを抑制できる。
本発明の排水の処理装置の大きさは、上記H6およびH6/H1を満たすものであれば特に制限されず、排水処理に通常用いられる反応塔または反応容器の大きさでよい。本発明の排水の処理装置の形状もまた、特に制限されず、排水処理に通常用いられる反応塔または反応容器の形状でよい。反応塔または反応容器としては、直径200〜3000mmおよび長さ1000〜20000mmの円筒状のものを使用できる。
本発明の排水の処理装置は、排水を処理する種々の方法に適用することができる。排水の処理方法としては、湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸化法、過酸化水素酸化法などが挙げられる。排水の処理方法としては、高レベルな処理水質を得ることができ、優れた経済性を有するという観点から、湿式酸化法であることが好ましい。よって、本発明の一実施形態では、湿式酸化法による排水の処理に用いられる排水の処理装置が提供される。
[排水]
本発明の排水の処理装置によって処理される排水の種類については特に制限されない。本発明の排水の処理装置であれば、有機化合物、窒素化合物、および硫黄化合物のいずれか1種以上を含有する排水を効果的に処理できる。
前記有機化合物としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのエポキシ化合物、メタノールやエタノール、エチレングリコールなどのアルコール化合物、アクリル酸やメタクリル酸、テレフタル酸等、およびこれらのエステル等のカルボン酸および/またはその誘導体などが例示される。前記窒素化合物としては、アミンやイミンなどの有機窒素化合物、アンモニアやヒドラジンなどの窒素−水素結合を有する無機窒素化合物などが例示される。前記硫黄化合物としては、硫化水素、硫化ソーダ、硫化カリ、水硫化ソーダ、チオ硫酸塩、亜硫酸塩等の無機硫黄化合物やメルカプタン類、スルホン酸類等の有機硫黄化合物が例示される。また、上記化合物のみを含有する排水に限らず、ジオキサン、ダイオキシン類やフロン類、フタル酸ジエチルヘキシル、ノニルフェノールなどの有機ハロゲン化合物や環境ホルモン化合物等の有害物質を含有していてもよい。
このような化合物を含有する排水としては、化学プラント、電子部品製造設備、食品加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、印刷製版設備、写真設備等の各種産業プラントから排出される排水や、火力発電や原子力発電などの発電設備などから排出される排水等が例示される。
工業用排水の具体例としては、EOG製造設備、アルコール製造設備、脂肪族カルボン酸やそのエステル製造設備、芳香族カルボン酸もしくは芳香族カルボン酸エステル製造設備のほか、紙・パルプ、繊維、鉄鋼、エチレン・BTX、石炭ガス化、食肉処理、薬品処理等の多岐にわたる産業分野の工場より排出される排水が例示される。
また、工業用排水のみに限定されず、下水やし尿などの生活排水も例示される。
つまり、本発明における「排水」は、上記したような産業プラントから排出される、いわゆる工業排水に限定されるものではなく、要するに有機化合物、窒素化合物、および硫黄化合物のいずれか1種以上が含まれている液体であれば全て包含され、そのような液体の供給源(発生源)は特に限定されない。
[スケール成分]
さらに本発明の排水の処理装置は、スケール成分を含有する排水の処理に好適である。上述のとおり、特許文献1に開示される排水の処理装置では、排水にスケール成分(Cu、Feなどの重金属類およびCa、Alなど)が含まれている場合、スケール成分がイオンの状態で触媒層に到達してしまい、触媒表面に析出して、触媒の活性を阻害することがある。一方、本発明の排水処理装置では、スケール成分が触媒表面に析出することを抑制できるため、触媒の処理効率を高く維持することができる。
スケール成分とは、重金属類、アルミニウム、リン、ケイ素、カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。重金属類とは、特に限定されないが、例えば、カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、ビスマス(Bi)などが挙げられる。
排水に含まれるスケール成分の濃度については、特に限定されない。本発明の排水の処理装置は、従来とは異なり、0.1mg/L以上のスケール成分を含む排水の処理において、効果を発揮できる。スケール成分の濃度は、0.5mg/L以上であってもよい。また、スケール成分の濃度が1g/L以下であれば、本発明の効果を十分に発揮することができる。
[分散板]
本発明の排水の処理装置は、排水の供給側から分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する。つまり、本発明の排水の処理装置は、少なくとも2枚の分散板を有する。分散板としては、図5に例示されるような単孔板、衝突板付単孔板、多孔板または衝突板付多孔板を用いることができる。分散板としては、同じ種類の分散板を配置してもよいし、異なる分散板を配置してもよい。本発明の排水の処理装置では、分散板2および分散板1が所定の距離(H1)で配置されていることで、本発明の効果を発現できる。また、必要に応じて、追加の分散板を分散板2よりも排水の供給側(上流側)に配置してもよい。なお、分散板は、1枚の板で構成されていてもよいが、設置や取り外しの作業性の観点から、2枚以上に分割可能な形状で構成されていることが好ましい。
単孔板および多孔板の開孔率(衝突板付のものを含む)は、通常0.005%以上30%以下である。前記開孔率は、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上であり、特に好ましくは1%以上である。また、前記開孔率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような範囲であることにより、撹拌効果により偏流を防止し、排水に含まれる気体の分布を均一にできる。よって、気液接触が向上して触媒の処理性能を高めることができる。
分散板の開孔率は、以下の式で算出される。
多孔板(衝突板付のものを含む)の孔数については、通常1mあたり5個以上200個以下である。孔数は、充分な分散効果を得られるとの観点から、好ましくは1mあたり10個以上であり、より好ましくは1mあたり25個以上である。また、孔数は、多孔板の強度を維持できるとの観点から、好ましくは1mあたり150個以下であり、より好ましくは1mあたり120個以下である。
孔の形状については、特に限定されるものではないが、円柱状もしくは円錐台状であることが、制作上容易であることから好ましい。また、孔の配置については、特に限定されるものではないが、単孔板の場合は、中心に配置することが好ましく、多孔板の場合は、全体にできる限り均等に配置することが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、分散板1および分散板2の少なくとも一方が多孔板であり、前記多孔板の孔数が1mあたり5個以上200個以下である。このような構成であることにより、触媒へのスケール成分の析出をより抑制でき、よって触媒の処理性能をより高く維持できる。
分散板1と充填物層の排水の供給側の境界面との距離H2は、H2と下記充填物層の層長H3との和(H6)が100mm超になれば、特に制限されないが、排水の分散効果の観点から、好ましくは10mm以上である。
衝突板付単孔板および衝突板付多孔板に設置される衝突板の直径は、孔径に対して好ましくは0.5〜10.0倍、より好ましくは1.0〜5.0倍、さらに好ましくは1.5〜3.0倍である。また、衝突板と単孔板または多孔板との間隔は、孔径に対して好ましくは0.05〜5.0倍、より好ましくは0.1〜3.0倍、さらに好ましくは0.2〜1.0倍である。このような範囲とすることによって、排水および気体が衝突板に効率良く衝突でき、衝突板の周方向に均等に分散されうる。
[充填物層]
本発明の排水の処理装置は、分散板1の排水の排出側に充填物層を有する。このような構成により、触媒の摩耗を防止でき、また排水が偏流することなく、できるだけ均一に触媒層に流れるようにすることができる。さらに、スケール成分が触媒表面に析出することを防止できる。
充填物層には、金属製またはセラミック製の充填物が充填されている。充填物は、鉄、銅、ステンレス(SUS)、ハステロイ、インコネル、チタン、ジルコニウム、チタニア、ジルコニア、窒化ケイ素、または窒化炭素からなる群から選択される少なくとも1種からなる。充填物は、1種単独でもよく、2種以上または合金であってもよい。湿式酸化法により排水を処理する場合、充填物としては、耐摩耗性、耐腐食性および強度の観点から、好ましくはステンレス(SUS)、ジルコニウム、ハステロイ、インコネルまたはチタンであり、より好ましくはステンレス(SUS)またはジルコニアである。
充填物の形状としては、特に制限されず、ペレット状、球状、塊状、リング状、サドル状、多面体状などの粒状;繊維状、鎖状、数珠状などの連続体の形状などが挙げられる。
充填物の形状は、反応塔への充填が容易にできるとの観点から、好ましくは粒状であり、より好ましくはペレット状、球状またはリング状である。
充填物の大きさは、上述の効果が得られるのであれば、特に制限されない。例えば、粒状の充填物の場合、平均粒径は、3mm以上であり、好ましくは4mm以上であり、より好ましくは5mm以上である。また、平均粒径は、30mm以下であり、好ましくは20mm以下であり、より好ましくは15mm以下である。
なお、本明細書において、粒状の充填物、および後述の固体触媒の平均粒径とは、粒径の算術平均値のことである。また、粒径とは、充填物または固体触媒の最大径を意味する。例えば、球状の充填物または固体触媒の粒径は、直径であり、ペレット状の充填物または固体触媒の粒径は、その対角線の長さを意味する。
充填物の平均粒径d1と、下記触媒層に含まれる触媒の平均粒径d0とは、排水の分散効果の観点から、d1>d0であることが好ましい。
充填物の比重(真比重を意味し、一般的に用いられる嵩比重、充填比重、見掛け比重とは異なる)は、特に制限されず、適宜選択することができる。比重としては、通常2.5以上であり、好ましくは4〜12である。
充填物層の空隙率は、特に制限されず、通常20〜90容量%(充填物層の全体積基準)であり、好ましくは30〜70容量%であり、より好ましくは35〜60容量%であり、特に好ましくは35〜55容量%である。
充填物層に充填される充填物は、材質、形状、大きさ、比重などが同一である必要はなく、本発明の効果が発現するのであれば、2種以上の充填物を用いることができる。また、使用形態や使用状況に応じて、適切な充填物を適宜選択できる。
充填物は通常、反応塔に金網、グリッドなどを単独または併用してなる支持座を設置し、その上に充填する方法が採用される。
充填物層の層長(H3)は、上記H2との和(H6)が100mm超であれば、特に制限されないが、通常10mm以上であり、スケール成分が触媒層に直接蓄積することを防止するとの観点から、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは80mm以上であり、さらに好ましくは100mm以上である。H3の上限は、特に制限されないが、300mm以下であり、コストの観点から、好ましくは250mm以下である。
本発明の好ましい実施形態では、充填物層は、排水の分散効果をより高めるとの観点から、2層構造である。すなわち、本発明の排水の処理装置は、充填物層と触媒層との間に、さらに充填物層を有することが好ましい。充填物層が2層構造であることにより、触媒の処理性能をより高く維持することができる。
排水の供給側の充填物層を充填物層1、触媒層側の充填物層を充填物層2とした場合、充填物層1に含まれる充填物の平均粒径d1と充填物層2に含まれる充填物の平均粒径d2との関係は、d1>d2でもよく、d1<d2でもよい。d1およびd2は、排水の分散効果の観点から、d1>d2であることが好ましい。d1>d2である場合、d1に対するd2の比(d2/d1)は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また、d2/d1は、好ましくは1.00未満であり、より好ましくは0.95未満である。
本発明の好ましい実施形態では、充填物層1に含まれる充填物1の平均粒径d1、充填物層2に含まれる充填物2の平均粒径d2および下記触媒層に含まれる触媒の平均粒径d0がd1>d2>d0の関係を満たす。排水の供給側から、充填物層1、充填物層2および触媒層と、徐々に充填物または触媒の平均粒径を小さくすることによって、排水の分散効果をより高めることができる。d1に対するd2の比(d2/d1)は、上述のとおりである。また、d2に対するd0の比(d0/d2)は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また、d0/d2は、好ましくは1.00未満であり、より好ましくは0.95未満である。
充填物層1および充填物層2に含まれる充填物の材質、形状および比重は、同一でも異なっていてもよい。
充填物層の層長は、充填物層1の層長をH3、充填物層2の層長をH7とする。層長の定義は、上述のとおりである。また、H6は、H2、H3およびH7の和とする。充填物層が2層構造であっても、上記H6の好ましい範囲は同じである。
充填物層2の層長(H7)は、排水の分散効果の観点から、好ましくは30mm以上であり、より好ましくは50mm以上であり、さらに好ましくは100mm以上である。またH7は、好ましくは500mm以下、好ましくは400mm以下、より好ましくは300mm以下である。ただし、H7は、H6およびH6/H1が上記の範囲から逸脱しないように設定される。
よって、本発明の好ましい実施形態において、前記充填物層2の層長は、30mm以上500mm以下である。
本発明の排水の処理装置は、触媒層の排水の排出側にさらに充填物層を有することができる。
例えば、図2に示すように、排水の処理装置が上向流の円筒形装置である場合、上から荷重をかけて触媒を押さえるために、触媒層の排水の排出側に充填物層(上部充填物層)をさらに設置する。上部充填物層を設定することで、触媒の摩耗を抑制することができる。上部充填物層の層長(H5)は、特に制限されず、30〜1000mmの範囲から適宜選択できる。また、上部充填物層に含まれる充填物としては、上述の充填物を用いることができる。ただし、上部充填物層に含まれる充填物の大きさは、触媒層に充填物が入り込むことを防止するため、触媒の大きさよりも大きいものを使用することが好ましい。
[触媒層]
本発明の排水の処理装置は、排水の排出側から分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する。触媒層に含まれる触媒は、通常固体触媒である。固体触媒は、一般的に排水処理に用いられるものであれば、特に制限されずに用いることができる。固体触媒としては、チタン、鉄、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、およびセリウムより選択される少なくとも1種の金属、酸化物、またはこれらの複合酸化物、あるいは活性炭などを含有する触媒が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、チタン−ジルコニウム複合酸化物、チタン−鉄複合酸化物などの酸化物が好適に用いられる。
固体触媒は、上記成分(第1成分)に加え、他の成分(第2成分)を含有してもよい。2つの成分を含有する固体触媒としては、鉄、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびセリウムより選択される少なくとも1種の金属、酸化物、またはこれらの複合酸化物、あるいは活性炭(第1成分)と、マンガン、コバルト、ニッケル、タングステン、銅、銀、白金、パラジウム、ロジウム、金、インジウム、ルテニウムより選択される少なくとも1種の金属、またはこれらの金属化合物(第2成分)とを含有する触媒が挙げられる。固体触媒は、好ましくは第1成分が酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、チタン−ジルコニウム複合酸化物、またはチタン−鉄複合酸化物であり、第2成分が白金である。2つの成分を含有する固体触媒において、75〜99.95重量%の第1成分と0.05〜25重量%の第2成分とを含むことが好ましい。なお、第1成分および第2成分の合計は、100重量%が好ましい。但し、触媒活性を有さない、担体や無機繊維、バインダー成分などの第3成分を適宜含んでいてもよく、この場合の第1成分および第2成分の重量比は、第3成分を考慮せずに第1成分の重量と第2成分の重量とから求める。
上述の固体触媒は、湿式酸化法を用いた酸化処理において、好適に用いられる。本発明の排水の処理装置は、高レベルの処理水質および経済性の観点から、湿式酸化法を用いた排水の処理において、好適である。よって、本発明の好ましい実施形態では、触媒層に含まれる触媒は、湿式酸化触媒である。
固体触媒の形状は、排水処理に通常用いられる形状であれば、特に制限されない。固体触媒の形状としては、ペレット状、球状、リング状などの粒状;ハニカム状などが挙げられる。
固体触媒の大きさは、上述の効果が得られるのであれば、特に制限されない。例えば、粒状の固体触媒の場合、平均粒径は、例えば1〜30mmであり、好ましくは1.5〜20mmであり、より好ましくは2〜15mmである。また、固体触媒の平均粒径は、排水の分散効果の観点から、触媒層よりも排水の供給側の充填物層に含まれる充填物の平均粒径よりも小さいことが好ましい。
固体触媒は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒層の層長H4は、触媒の充填量によって決定される。触媒の充填量は、特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができる。通常は、触媒層あたりの空間速度で0.1hr−1〜10hr−1、より好ましくは0.2hr−1〜5hr−1、さらに好ましくは0.3hr−1〜3hr−1となるように触媒の充填量を調整することが推奨される。空間速度が0.1hr−1以上であれば、触媒の処理量を確保することができ、設備の大型化を回避することができる。また、空間速度が10hr−1以下であれば、反応塔内での排水の酸化・分解処理を十分に行うことができる。
<第2の形態:排水の処理方法>
本発明の別の形態によれば、排水の供給側から、少なくとも気体−液体拡散部1、気体−液体拡散部2、気体−液体拡散部3および触媒層をこの順に有する装置を用いる排水の処理方法であって、
前記排水中には気体が分散されており、
以下の(1)〜(3):
(1)前記気体−液体拡散部1〜3における前記排水の滞留時間がいずれも0.5秒以上である;
(2)前記気体−液体拡散部3と前記気体−液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計が5秒以上である;および
(3)前記(2)の排水の滞留時間の合計が前記気体−液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1〜100倍である、
を満たす、処理方法が提供される。
本形態に係る装置において、触媒層は、上述の排水の処理装置(第1の形態)に係る触媒層と同一であるため、説明を省略する。
本形態に係る装置は、スケール成分と気体(特に酸素)とを均一に分散する手段としての気体−液体拡散部1〜3を有する。
気体−液体拡散部1(本明細書中、「拡散部1」とも称する)は、排水の供給側から、気体−液体分散部と気体−液体分散部との間の空間もしくは分散板と充填物層の排水の供給側の面との間の空間;または充填物層である。拡散部1は、例えば図2におけるH1に示される範囲に相当する。
気体−液体拡散部2(本明細書中、「拡散部2」とも称する)は、排水の供給側から、気体−液体分散部と気体−液体分散部との間の空間、分散板と充填物層の排水の供給側の面との間の空間もしくは充填物層の排水の排出側の面と充填物層の排水の供給側の面との間の空間;または充填物層である。拡散部2は、例えば図2におけるH2に示される範囲に相当する。
気体−液体拡散部3(本明細書中、「拡散部3」とも称する)は、排水の供給側から、気体−液体分散部と触媒層の排水の供給側の面との間の空間もしくは充填物層の排水の排出側の面と触媒層の排水の供給側の面との間の空間;または充填物層である。拡散部3は、例えば図2におけるH3に示される範囲に相当する。充填物層が2層構造である場合は2層の合計が拡散部3に該当し、例えば図4におけるH3+H7に示される範囲に相当する。
本形態の処理方法において、気体−液体分散部1〜3の少なくとも一つは、充填物層である。充填物層は、1層でも2層以上であってもよい。なお、本形態に係る装置の充填物層は、上述の排水の処理装置(第1の形態)が有する充填物層と同一であるため、説明を省略する。
気体−液体分散部とは、撹拌効果により偏流を防止し、排水に含まれる気体の分布を均一にできる部材であり、例としては、分散板が挙げられる。本形態に係る装置の分散板は、上述の排水の処理装置(第1の形態)に係る分散板と同一であるため、説明を省略する。
本形態の処理方法において、排水中には気体が分散されている。本形態に係る装置は、少なくとも3つの気体−液体拡散部を有することにより、気液接触が向上して触媒の処理性能を高めることができる。
本形態の処理方法では、気体−液体拡散部における排水の滞留時間が上記(1)〜(3)の条件を満たす。
以下、(1)〜(3)について説明する。
(1)気体−液体拡散部1〜3における排水の滞留時間は、いずれも0.5秒以上である。当該排水の滞留時間が0.5秒未満であると、気液の混合効果が不十分となり、本発明の効果を発現することができない。排水の滞留時間は、好ましくは2〜300秒である。
(2)気体−液体拡散部3と気体−液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計は、5秒以上である。当該排水の滞留時間の合計が5秒未満であると、スケール成分が均一に分散されず、かつスケール成分がイオンの状態のまま触媒層に到達するため触媒表面がスケール成分で被毒されるおそれがある。前記排水の滞留時間の合計の下限は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは35秒以上であり、さらに好ましくは60秒以上である。前記排水の滞留時間の合計の上限は、特に制限されないが、また、拡散部2と拡散部3とにおける排水の滞留時間の合計は、好ましくは2500秒以下であり、より好ましくは1500秒以下であり、さらに好ましくは750秒以下であり、特に好ましくは300秒以下である。
(3)上記(2)の排水の滞留時間の合計は、前記気体−液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1〜100倍である。上記(2)の排水の滞留時間の合計は、前記気体−液体拡散部1における排水の滞留時間に対して0.1倍未満または100倍超であると、気液の混合効果が不十分となり、スケール成分の偏流が生じるため、局所的にスケール成分が堆積して処理効率が低下する。上記(2)の排水の滞留時間の合計は、前記気体−液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、好ましくは0.2倍以上であり、より好ましくは0.3倍以上であり、また好ましくは80倍以下であり、より好ましくは50倍以下である。
気体−液体拡散部が充填物層である場合、排水の滞留時間が0.5秒以上であれば、充填物層の空隙率を考慮する必要はない。充填物層の空隙率は、通常20〜90容量%(充填物層の全体積基準)であり、好ましくは30〜70容量%であり、より好ましくは35〜60容量%である。空隙率が低くなると、充填物層における乱流度合いが高まるため、排水の滞留時間を長くしたことと同様の効果が得られる。なお、気体−液体拡散部が2層以上の充填物層で構成されていても、気体−液体拡散部における排水の滞留時間は、上記(1)〜(3)の条件を満たす。
気体−液体拡散部における排水の滞留時間は、供給される排水の流速および装置のサイズにより、適宜制御することができる。また、排水の滞留時間は、実施例に記載の方法により算出することができる。
好ましい実施形態では、前記拡散部3は、空隙率20〜90容量%(充填物層の全体積基準)の充填物層である。前記空隙率は、好ましくは30〜70容量%であり、より好ましくは35〜60容量%、特に好ましくは35〜55容量%である。また、前記拡散部3が充填物層である場合、前記拡散部2および前記拡散部1は、より好ましくは充填物層ではない形態である。
好ましい実施形態では、前記拡散部3は、2層構造の充填物層である。充填物層が2層構造であることにより、触媒の処理性能をより高く維持することができる。
前記拡散部3における排水の滞留時間は、0.5秒以上であり、好ましくは5秒以上であり、より好ましくは8秒以上であり、特に好ましくは10秒以上である。0.5秒未満では本発明の効果が十分には得られない。排水の滞留時間の上限は、特に制限されないが、滞留時間が長すぎると、触媒層へ到達した排水の気体と液体との分散性が低下するため、また、拡散部3が充填物層の場合には圧力損失が高くなりエネルギーロスが発生するのに対して効果が高くならない。したがって、拡散部3における排水の滞留時間は、好ましく1800秒以下であり、より好ましくは500秒以下であり、さらに好ましくは100秒以下であり、特に好ましくは50秒以下である。
前記拡散部2における排水の滞留時間は0.5秒以上であり、拡散部2と拡散部3とにおける排水の滞留時間の合計は、5秒以上である。拡散部2における排水の滞留時間の上限は、特に制限されないが、排水の滞留時間が長すぎると、拡散部3に供給される排水中の気体と液体の分散性が低下する場合があり、また、処理する排水量に対して装置が大型になりすぎて経済的にも不利である。したがって、拡散部2における排水の滞留時間は、好ましくは700秒以下である。
前記拡散部1における排水の滞留時間は、0.5秒以上であり、好ましくは1秒以上であり、より好ましくは2秒以上である。排水の滞留時間の上限は、特に制限されないが、滞留時間が長すぎると、前記拡散部2に供給される排水中の気体と液体の分散性が低下する場合があり、また、処理する排水量に対して装置が大型になりすぎて経済的にも不利である。したがって、拡散部1における排水の滞留時間の上限は、好ましくは2500秒以下であり、より好ましくは1000秒以下であり、さらに好ましくは600秒以下であり、特に好ましくは300秒以下である。
一実施形態において、本形態の処理方法は、前記気体−液体拡散部1が排水の供給側の境界面に分散板1を有し、前記気体−液体拡散部2が前記気体−液体拡散部1との境界面に分散板2を有し、この際、前記分散板1および前記分散板2がそれぞれ1以上の孔を有し、前記分散板1および前記分散板2の少なくとも一方が開孔率0.005%〜30%の多孔板構造を有する。
前記多孔板構造の開孔率は、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上であり、特に好ましくは1%以上である。また、前記開孔率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような範囲であることにより、撹拌効果により偏流を防止し、排水に含まれる気体の分布を均一にできる。よって、気液接触が向上して触媒の処理性能を高めることができる。
分散板の開孔率の算出方法、多孔板の孔数および孔の形状は、上述の排水の処理装置(第1の形態)に係る分散板と同一であるため、説明を省略する。
本発明におけるその他の反応条件として、以下の(i)〜(iv)が挙げられる。
本形態の処理方法は、好ましくは以下の(i)〜(iv)をさらに満たす:
(i)前記触媒層におけるLHSVが0.1hr−1〜10hr−1である;
(ii)前記触媒層における排水の温度が80℃〜370℃である;
(iii)前記触媒層における圧力は排水の少なくとも一部が液相を保持する圧力である;および
(iv)前記気体に含まれる酸素量が排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍〜5.0倍である。
以下、(i)〜(iv)について説明する。
(i)触媒層におけるLHSV(液空間速度:Liquid Hourly Space Velocity)
LHSVは、0.1hr−1〜10hr−1であり、好ましくは0.2hr−1〜5hr−1であり、さらに好ましくは0.3hr−1〜3hr−1である。LHSVが0.1hr−1以上であれば、経済的に効率的な大きさの設備で実施することができる。また、LHSVが10hr−1以下であれば、反応塔内での排水の酸化・分解処理を十分に行うことができる。
(ii)触媒層における排水の温度
触媒層における排水の温度は、80℃〜370℃であり、好ましくは100℃〜270℃であり、より好ましくは110℃〜270℃であり、特に好ましくは200℃〜270℃である。排水の温度が370℃を超えた場合、排水の液相状態を保持するために高い圧力を加えなければならず、このような場合、設備が大型化することがあり、またランニングコストが上昇することがある。排水の温度が80℃未満では排水中の被酸化物の酸化・分解処理を効率的に行うことが困難になることがある。
(iii)触媒層における圧力
本形態に係る装置において、触媒層における圧力は、排水の少なくとも一部が液相を保持する圧力である。排水の少なくとも一部が液相を保持するため、排水の処理温度に応じて圧力を適宜調整することが好ましい。
具体的には、以下のように例示される。
・処理温度が80℃以上、95℃未満の場合
大気圧以上であればよく、経済性の観点から大気圧下でもよいが、処理効率を向上させるためには加圧することが好ましい
・処理温度が95℃以上、170℃未満の場合
0.2〜1MPa(Gauge)程度の圧力
・処理温度が170℃以上、230℃未満の場合
1〜5MPa(Gauge)程度の圧力
・処理温度が230℃以上の場合
5MPa(Gauge)超の圧力。
尚、前記処理温度の範囲における圧力の上限は目安であり、処理効率と装置の耐圧性とのバランスで決めればよい。具体的な上限値としては、21Mpa以下であり、好ましくは10MPa以下であり、特に好ましくは8MPa以下である。または、圧力の上限は、触媒層における排水の温度での飽和蒸気圧の2倍以下であり、好ましくは1.5倍以下である。
(iv)気体に含まれる酸素量
気体に含まれる酸素量は、後述の「理論酸素要求量」の定義に基づき、排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍〜5.0倍である。当該酸素量は、好ましくは排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.7倍以上であり、また、好ましくは5.0倍以下、より好ましくは3.0倍以下である。
本形態の処理方法では、排水の処理装置として、上記第1の形態の処理装置を用いることが好ましい。
<本発明の具体的な態様の説明>
以下、本発明の第1の形態である排水の処理装置(本明細書中、「本発明の排水の処理装置」とも称する)を用いて排水を処理する方法について具体的に説明する。図1は、酸化処理工程の一つとして湿式酸化処理を採用した場合の排水の処理方法の一実施態様を示す概略図であるが、本発明の一形態である排水の処理装置で用いられる処理方法をこれに限定する趣旨ではない。
排水供給源から供給される排水は、排水供給ライン10を通して排水供給ポンプ3に供給され、さらに熱交換器2に送られる。この際の空間速度は特に限定されず、触媒の処理能力によって適宜決定すればよい。
本発明の排水の処理装置において、湿式酸化処理は酸素含有ガスの存在下または不存在下のいずれの条件でも行うことができるが、排水中の酸素濃度を高めると排水中に含まれる被酸化物の酸化・分解効率を向上させることができるので、排水に酸素含有ガスを混入させることが好ましい。
酸素含有ガスの存在下に湿式酸化処理を行う場合には、例えば酸素含有ガスを酸素含有ガス供給ライン11から導入し、コンプレッサー4で昇圧した後、排水が熱交換器2に供給される前に排水に混入することが好ましい。本発明において「酸素含有ガス」とは、分子状酸素および/またはオゾンを含有するガスであり、そのようなガスであれば純酸素、酸素富化ガス、空気、過酸化水素水、他のプラントで生じた酸素含有ガス等でもよく、酸素含有ガスの種類は特に限定されないが、経済的観点からこれらの中でも空気を用いることが推奨される。
酸素含有ガスを排水へ供給する場合の供給量は特に限定されず、排水中の被酸化物を酸化・分解処理する能力を高めるのに有効な量を供給すればよい。酸素含有ガスの供給量は、例えば酸素含有ガス流量調節弁(図示せず)を酸素含有ガス供給ライン11上に設けることによって排水への供給量を適宜調節することができる。好ましい酸素含有ガスの供給量は、排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍以上、より好ましくは0.7倍以上であり、好ましくは5.0倍以下、より好ましくは3.0倍以下とすることが推奨される。
なお、本発明において「理論酸素要求量」とは、排水中の有機化合物や窒素化合物などの被酸化物を窒素、二酸化炭素、水、灰分にまで酸化および/または分解するのに必要な酸素量のことであり、本発明では化学的酸素要求量(COD(Cr))によって理論酸素要求量を示す。
熱交換器2に送られた排水は予備加熱される。但し、熱交換器2の内部で排水の1/2以上が気化するような条件では、排水中の有機物やスケール成分が熱交換器2内に堆積して、熱交換効率の低下や配管の閉塞、急速な体積膨張による出口側配管部への負荷、反応塔での液化によって引き起こされるスチームハンマー現象等による不具合が発生する場合がある。そのため、加熱温度に応じた圧力に耐えられる構造であることが好ましい。
前記熱交換器2で予備加熱された排水は、加熱手段8(ヒーターまたは熱媒体)を備えた反応塔1(本発明の排水の処理装置)に供給される。加熱手段8は、反応塔内の排水温度を、前記「(ii)触媒層における排水の温度」に記載された範囲に加熱できる能力を有していることが好ましい。
また、熱交換器2および反応塔1は、前記「(iii)触媒層における圧力」に記載の圧力に耐えられる構造であることが好ましい。
なお、排水を加熱する手順は特に限定されず、上述した通り反応塔の外部で予備加熱してから反応塔内で更に加熱してもよいし、あるいは、反応塔内のみで加熱してもよい。また排水の加熱方法についても特に限定されず、加熱器、熱交換器を用いてもよく、また反応塔内にヒーターを設置して排水を加熱してもよい。さらに蒸気などの熱源を排水に供給してもよい。
加圧下で処理を行う場合には、反応塔の下流に圧力調整機構を設ければよい。例えば、図1のように気液分離器の排ガス出口側に圧力制御弁7を設けるなど、公知の手段によって制御すればよい。圧力の制御範囲は反応塔内において、前記「(iii)触媒層における圧力」に記載の条件を維持できるよう制御すればよい。
なお、本発明で用いられる湿式酸化処理において、反応塔の数、種類、形状等は特に限定されず、反応塔を単数で、または複数組合せて用いることができる。反応塔は、単管式でも多管式であってもよい。複数の反応塔を設置する場合、目的に応じて反応塔を直列または並列にするなど任意の配置とすることができる。
排水の反応塔への供給方法としては、気液上向並流、気液下向並流、気液向流など種々の形態を用いることができ、また複数の反応塔を設置する場合はこれらの供給方法を2以上組合せてもよい。
反応塔において、上述した湿式酸化触媒を用いると、排水中に含まれる有機化合物、窒素化合物、および硫黄化合物のいずれか1種以上等の被酸化物の酸化・分解処理効率が向上するとともに、長期間優れた触媒活性、触媒耐久性を維持し、しかも排水は高レベルに浄化された処理水として得ることができる。
複数の反応塔を用いる場合、それぞれ別の触媒を用いてもよい。また、触媒を充填した反応塔(本発明の排水の処理装置)と、触媒を用いない反応塔とを組合せることもできる。
排水中の被酸化物は反応塔内で酸化・分解処理されるが、本発明において「酸化・分解処理」とは、酢酸を二酸化炭素と水にする酸化分解処理、酢酸を二酸化炭素とメタンにする脱炭酸分解処理、硫化物や水硫化物、亜硫酸塩、チオ硫酸塩を硫酸塩にする酸化処理、ジメチルスルホキシドを二酸化炭素、水、硫酸イオンなどの灰分にする酸化および酸化分解処理、尿素をアンモニアと二酸化炭素にする加水分解処理、アンモニアやヒドラジンを窒素ガスと水にする酸化分解処理、ジメチルスルホキシドをジメチルスルホンやメタンスルホン酸にする酸化処理などが例示され、即ち易分解性の被酸化物を窒素ガス、二酸化炭素、水、灰分などにまで分解する処理や、難分解性の有機化合物や窒素化合物を低分子量化する分解処理、もしくは酸化する酸化処理など種々の酸化および/または分解を含む意味である。
なお、触媒を用いない湿式酸化処理を経て得られた処理液中には、被酸化物のうち難分解性の有機化合物が低分子化されて残存していることが多く、低分子化された有機化合物としては低分子量の有機酸、特に酢酸が残留していることが多い。しかし、本発明のような触媒を用いる方法では、反応温度を高める、触媒量を増やすなどによりこれらの残留量を低減することが出来る。
図1に具体的にその処理例を示すが、排水は反応塔1で酸化・分解処理された後、処理液ライン12から処理液として取り出され、必要に応じて冷却器9で適度に冷却された後、気液分離器5によって気体と液体に分離される。その際、液面コントローラーLCを用いて液面状態を検出し、液面制御弁6によって気液分離器内の液面が一定となるように制御することが好ましい。また、圧力コントローラーPCを用いて圧力状態を検出し、圧力制御弁7によって気液分離器内の圧力が一定となるように制御することが好ましい。
圧力制御弁の位置は、気液分離器の前に設置するなど、反応塔内の処理条件を維持・制御できる範囲において適宜変更することが出来る。
ここで、気液分離器内の温度は、特に限定されないが、反応塔で排水を酸化・分解処理して得られた処理液中には二酸化炭素が含有されているため、例えば気液分離器内の温度を高くして排水中の二酸化炭素を放出させたり、あるいは気液分離器で分離した後の液体を空気等のガスでバブリング処理したりすることにより液体中の二酸化炭素を放出することが好ましい。
処理液の温度制御には、処理液を気液分離器5に供給する前に熱交換器2、冷却器9などの冷却手段によって冷却してもよく、あるいは気液分離後に熱交換器(図示せず)や冷却器(図示せず)などの冷却手段を設けて処理液を冷却してもよい。
気液分離器5で分離して得られた液体(処理液)は、処理液排出ライン14から排出される。排出された液体はさらに生物処理や膜分離処理など種々の公知の工程に付してさらに浄化処理を施してもよい。さらに湿式酸化処理を経て得られた処理液の一部を、湿式酸化処理に付す前の排水に直接戻したり、あるいは排水供給ラインの任意の位置から排水に供給したりして湿式酸化処理に付してもよい。例えば湿式酸化処理を経て得られた処理液を排水の希釈水として用いて、排水のTOD濃度やCOD濃度を低下させてもよい。また、気液分離器5で分離して得られた気体は、ガス排出ライン13から外界に排出される。なお、排出された排ガスをさらに別の工程に付すこともできる。また、本発明で用いられる湿式酸化処理を行うに当たり、加熱器および冷却器には熱交換器を用いることもでき、これらを適宜組合せて使用することができる。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1の反応塔の詳細を図2に示す。直径600mm、長さ9000mmの円筒状である反応塔1に設置された、グリッドおよび金網からなる支持座の上に、直径6mm、長さ5〜8mm(平均長さ6.5mm)の円柱状のSUS製ペレット(平均粒径8.5mm)を高さ方向で100mm(H3)充填した(下部充填物層16;拡散部3)。このペレットの比重は、約7.9であり、空隙率は43%であった。
次に、下部充填物層16の上に固体触媒を2000リットル、高さ方向で7074mm(H4)充填した(触媒層17)。使用した固体触媒は、主成分としてチタニアと白金とからなる触媒で、それぞれの重量比がTiO:Pt換算で99.0:1.0であった。また、該固体触媒の形状は、直径4mmφ×長さ6mmのペレット状であった(平均粒径7.2mm)。そして、この触媒層17の上に、上記と同じSUS製ペレットを高さ方向で300mm(H5)充填した(上部充填物層18)。
下部充填物層16の下側(上流側)には多孔板15−1(気体−液体分散部)および衝突板付単孔板15−2(気体−液体分散部)が配置されており、これら分散板の間の空間(拡散部1)の距離は、950mm(H1)であり、衝突板付単孔板15−2と下部充填物層16の排水の供給側の面との間の空間(拡散部2)の距離は、10mm(H2)であり、多孔板15−1から触媒層17入口(境界面)までの距離は、110mm(H6)であった。多孔板の開孔率は、2.2%であり、多孔板には、1mあたり53個の孔を均等に配置した。
(排水処理試験)
図1に示す排水の処理方法において、反応塔1として実施例1の反応塔を使用し、下記の条件下にて合計1000時間排水処理を実施した。排水供給ライン10より送られてくる排水を、排水供給ポンプ3で4m/hrの流量で昇圧し、フィードした後、熱交換器2および電気ヒーター(加熱手段8)で反応塔の最高温度が250℃となるように調節して、反応塔1の底より供給した。また、酸素含有ガス供給ライン11より空気を供給し、コンプレッサー4で昇圧した後、O/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5の割合となるように熱交換器2の手前から供給し、該排水に混入した。触媒層におけるLHSVは、2.0hr−1であった。湿式酸化処理後の処理液を、処理液ライン12を経て冷却器9で冷却した後、気液分離器5により気液分離処理を行った。気液分離器5においては、液面コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁6を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出して圧力制御弁7を作動させて7MPaGの圧力を保持するように操作した。そして、この様にして処理した処理液を、処理液排出ライン14から排出した。処理開始時の反応塔入口圧力(PI)は、7.2MPaGであった。
処理に供した排水は、COD(Cr)=43g/L、pH11であり、スケール成分としてCaを25mg/L、Feを1mg/L含有していた。
(COD(Cr)処理率)
1000時間反応後のCOD(Cr)処理率は、85%であった。COD(Cr)処理率は、下記の式を用いて算出した。
(スケール成分の付着)
触媒を抜き出してスケール成分付着状況について目視で確認し、以下の基準に従って評価したところ、Bであった。
A:ほとんど付着が見られなかった
B:わずかに付着が見られた
C:明らかに付着(褐色)が見られた。
(排水の滞留時間)
拡散部1〜3における排水の滞留時間は、以下の式を用いて算出した。拡散部1〜3における排水の滞留時間を表1−2に示す。
[実施例2〜7]
実施例2〜7では、実施例1の反応塔において、多孔板15−1と衝突板付単孔板15−2との間の距離H1および多孔板15−1から下部充填物層16入口までの距離H2の値を表1−1に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表1−1、ならびに排水の滞留時間を表1−2に示す。
[実施例8〜9]
実施例8〜9では、実施例4の反応塔において、H1の値を表2−1に示すように変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表2−1、ならびに排水の滞留時間を表2−2に示す。
[比較例1]
比較例1では、実施例1の反応塔において、H1の値を1200mmに変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表3−1、ならびに排水の滞留時間を表3−2に示す。
[比較例2]
比較例2では、実施例1の反応塔において、H1およびH2の値を表3−1に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表3−1、ならびに排水の滞留時間を表3−2に示す。
[比較例3]
比較例3では、実施例1の反応塔において、H1およびH2の値を表3−1に示す値に変更し、また下部充填物層16を充填しなかった反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表3−1、ならびに排水の滞留時間を表3−2に示す。
表1−1および2−1に示すように、実施例1〜9では、H6およびH6/H1を所定の範囲とすることにより、触媒へのスケール成分析出を抑制でき、よって触媒の処理性能を高く維持できることが分かる。一方、表3−1に示すように、比較例1〜3では、H6/H1またはH6の値のいずれかが本発明の範囲に含まれないため、触媒にスケール成分が明らかに付着し、また触媒性能が低下したことが分かる。
また、表1−2および2−2に示すように、実施例1〜9では、(1)拡散部1〜3における排水の滞留時間、(2)拡散部3と拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計、および(3)拡散部1における排水の滞留時間に対する前記(2)の排水の滞留時間の合計を所定の範囲とすることにより、触媒へのスケール成分析出を抑制でき、よって触媒の処理性能を高く維持できることが分かる。一方、表3−2に示すように、比較例1〜3では、上記(1)〜(3)のいずれか1つを満たさないため、触媒にスケール成分が明らかに付着し、また触媒性能が低下したことが分かる。
[実施例10〜14]
実施例10〜14では、実施例4の反応塔において、分散板15−1として設置した多孔板の開孔率および1mあたりの多孔板の孔数を表4に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。
多孔板の開孔率は、以下の式により算出された値である。
結果を表4に示す。
表4に示すように、触媒の処理性能および触媒へのスケール成分析出は、多孔板の開孔率および1mあたりの孔数により制御できることが分かる。
[実施例15−1〜15−4]
実施例15−1〜15−4の反応塔の詳細を図3−1〜3−4に示す。H1〜H6の値は、表5−1に示すように、実施例4の反応塔と同じ値である。分散板15−1および15−2について、以下のように変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表5−1および5−2に示す。
図3−1(実施例15−1):分散板15−1を衝突板付単孔板、分散板15−2を多孔板となるように配置した装置
図3−2(実施例15−2):分散板15−1および15−2を多孔板とした装置
図3−3(実施例15−3):分散板15−1および15−2を衝突板付単孔板とした装置
図3−4(実施例15−4):衝突板付単孔板(15−4)と多孔板(15−3)とを、さらにもう1枚ずつ配置した装置。分散板15−3と分散板15−4との間隔を150mm、分散板15−2と分散板15−3との間隔を300mmとした。
[比較例4]
比較例4の反応塔は、図3−5に示すとおり、分散板として多孔板を1枚のみ配置した装置である。H2〜H6の値は、表5−1に示すように、実施例4の反応塔と同じ値である。この反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表5−1および5−2に示す。
表5−1および5−2に示すように、下部充填物層の排水の流れに対して上流側(排水の供給側)に2枚の分散板を設置することにより、触媒へのスケール成分析出を抑制でき、よって触媒の処理性能を高く維持できることが分かる。また、実施例4では、分散板2として多孔板(分散板15−2)、分散板1として衝突板付単孔板(分散板15−1)を設置することにより、実施例15−1〜15−3と比べて、触媒へのスケール成分析出をより抑制でき、よって触媒の処理性能をより高く維持できることが分かる。さらに、実施例4と実施例15−4とを対比すると、分散板を増設すれば、本発明の効果が高められることが分かる。
[実施例16]
実施例16では、実施例4の反応塔において、H3の値を200mmに変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表6−1および6−2に示す。
[実施例17]
実施例17の反応塔の詳細を図4に示す。下部充填物層16(H3:170mm;充填物層1)の上に、第2充填物層19(充填物層2)として直径8.0mmの球状のSUSボールを高さ方向で30mm(H7)充填した。このSUSボールの比重は、約8.2であり、第2充填物層19の空隙率は、41%であった。この反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表6−1および6−2に示す。
[実施例18〜20]
実施例18〜20では、実施例17の反応塔において、H7の値を表6−1に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表6−1および6−2に示す。
[実施例21]
実施例21では、実施例18の反応塔の第2充填物層19(充填物層2)において、SUSボールの代わりに、直径7.5mmの球状のジルコニアボールを高さ方向で100mm(H7)充填した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。ジルコニアボールの比重は、約5.3であり、第2充填物層19(充填物層2)の空隙率は41%であった。結果を表6−1および6−2に示す。
表6−1および6−2に示すように、下部充填物層(拡散部3)を2層構造とすることにより、触媒の処理性能をより高く維持できることが分かる。また、実施例21では、実施例18と比較して、第2充填物層19にセラミック製の充填物を使用することにより、触媒の処理性能がより高く維持できることから、触媒へのスケール成分の析出をさらに抑制できると考えられる。
1 反応塔
2 熱交換器
3 排水供給ポンプ
4 コンプレッサー
5 気液分離器
6 液面制御弁
7 圧力制御弁
8 加熱手段(ヒーターまたは熱媒体)
9 冷却器
10 排水供給ライン
11 酸素含有ガス供給ライン
12 処理液ライン
13 ガス排出ライン
14 処理液排出ライン
15 分散板
16 下部充填物層
17 触媒層
18 上部充填物層
19 第2充填物層

Claims (11)

  1. 排水の供給側から、分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する排水の処理装置であって、
    前記分散板2と前記分散板1との距離をH1、前記分散板1と前記充填物層の排水の供給側の境界面との距離をH2、前記充填物層の層長をH3、および前記H2と前記H3との合計をH6としたとき、
    前記H6が100mm超であり、かつ前記H1に対する前記H6の比(H6/H1)が0.1以上100以下である、処理装置。
  2. 前記H1が、10mm以上1000mm以下である、請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記分散板1および前記分散板2の少なくとも一方が多孔板であり、前記多孔板の孔数が1mあたり5個以上200個以下である、請求項1または2に記載の処理装置。
  4. 前記充填物層が2層構造である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理装置。
  5. 前記2層構造の充填物層において、排水の供給側の充填物層を充填物層1、および触媒層側の充填物層を充填物層2としたとき、前記充填物層2の層長が30mm以上500mm以下である、請求項4に記載の処理装置。
  6. 前記2層構造の充填物層において、排水の供給側の充填物層を充填物層1、および触媒層側の充填物層を充填物層2としたとき、前記充填物層1に含まれる充填物1の平均粒径d1、前記充填物層2に含まれる充填物2の平均粒径d2および前記触媒層に含まれる触媒の平均粒径d0がd1>d2>d0の関係を満たす、請求項4または5に記載の処理装置。
  7. 前記触媒層に含まれる触媒が湿式酸化触媒である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理装置。
  8. 排水の供給側から、少なくとも気体−液体拡散部1、気体−液体拡散部2、気体−液体拡散部3および触媒層をこの順に有する装置を用いる排水の処理方法であって、
    前記排水中には気体が分散されており、
    以下の(1)〜(3):
    (1)前記気体−液体拡散部1〜3における前記排水の滞留時間がいずれも0.5秒以上である;
    (2)前記気体−液体拡散部3と前記気体−液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計が5秒以上である;および
    (3)前記(2)の排水の滞留時間の合計が前記気体−液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1〜100倍である、
    を満たす、処理方法。
  9. 前記気体−液体拡散部3は、空隙率20〜90容量%の充填物層である、請求項8に記載の処理方法。
  10. 前記気体−液体拡散部1は、排水の供給側の境界面に分散板1を有し、前記気体−液体拡散部2は、前記気体−液体拡散部1との境界面に分散板2を有し、
    この際、前記分散板1および前記分散板2は、それぞれ1以上の孔を有し、前記分散板1および前記分散板2の少なくとも一方は、開孔率0.005%〜30%の多孔板構造を有する、請求項8または9に記載の処理方法。
  11. 以下の(i)〜(iv):
    (i)前記触媒層におけるLHSVが0.1hr−1〜10hr−1である;
    (ii)前記触媒層における排水の温度が80℃〜370℃である;
    (iii)前記触媒層における圧力は排水の少なくとも一部が液相を保持する圧力である;および
    (iv)前記気体に含まれる酸素量が排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍〜5.0倍である、
    をさらに満たす、請求項8〜10のいずれか1項に記載の処理方法。
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