JP7145628B2 - 排水の処理装置および排水の処理方法 - Google Patents
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Description
前記排水中には気体が分散されており、
以下の(1)~(3):
(1)前記気体-液体拡散部1~3における前記排水の滞留時間がいずれも0.5秒以上である;
(2)前記気体-液体拡散部3と前記気体-液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計が5秒以上である;および
(3)前記(2)の排水の滞留時間の合計が前記気体-液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1~100倍である、
を満たす、処理方法に関する。
本発明の一形態によれば、排水の供給側から、分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する排水の処理装置であって、前記分散板2と前記分散板1との距離をH1、前記分散板1と前記充填物層の排水の供給側の境界面との距離をH2、前記充填物層の層長をH3、および前記H2と前記H3との合計をH6としたとき、前記H6が100mm超であり、かつ前記H1に対する前記H6の比(H6/H1)が0.1以上100以下である、処理装置が提供される。
本発明の排水の処理装置によって処理される排水の種類については特に制限されない。本発明の排水の処理装置であれば、有機化合物、窒素化合物、および硫黄化合物のいずれか1種以上を含有する排水を効果的に処理できる。
さらに本発明の排水の処理装置は、スケール成分を含有する排水の処理に好適である。上述のとおり、特許文献1に開示される排水の処理装置では、排水にスケール成分(Cu、Feなどの重金属類およびCa、Alなど)が含まれている場合、スケール成分がイオンの状態で触媒層に到達してしまい、触媒表面に析出して、触媒の活性を阻害することがある。一方、本発明の排水処理装置では、スケール成分が触媒表面に析出することを抑制できるため、触媒の処理効率を高く維持することができる。
本発明の排水の処理装置は、排水の供給側から分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する。つまり、本発明の排水の処理装置は、少なくとも2枚の分散板を有する。分散板としては、図5に例示されるような単孔板、衝突板付単孔板、多孔板または衝突板付多孔板を用いることができる。分散板としては、同じ種類の分散板を配置してもよいし、異なる分散板を配置してもよい。本発明の排水の処理装置では、分散板2および分散板1が所定の距離(H1)で配置されていることで、本発明の効果を発現できる。また、必要に応じて、追加の分散板を分散板2よりも排水の供給側(上流側)に配置してもよい。なお、分散板は、1枚の板で構成されていてもよいが、設置や取り外しの作業性の観点から、2枚以上に分割可能な形状で構成されていることが好ましい。
本発明の排水の処理装置は、分散板1の排水の排出側に充填物層を有する。このような構成により、触媒の摩耗を防止でき、また排水が偏流することなく、できるだけ均一に触媒層に流れるようにすることができる。さらに、スケール成分が触媒表面に析出することを防止できる。
充填物の形状は、反応塔への充填が容易にできるとの観点から、好ましくは粒状であり、より好ましくはペレット状、球状またはリング状である。
本発明の排水の処理装置は、排水の排出側から分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する。触媒層に含まれる触媒は、通常固体触媒である。固体触媒は、一般的に排水処理に用いられるものであれば、特に制限されずに用いることができる。固体触媒としては、チタン、鉄、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、およびセリウムより選択される少なくとも1種の金属、酸化物、またはこれらの複合酸化物、あるいは活性炭などを含有する触媒が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、チタン-ジルコニウム複合酸化物、チタン-鉄複合酸化物などの酸化物が好適に用いられる。
本発明の別の形態によれば、排水の供給側から、少なくとも気体-液体拡散部1、気体-液体拡散部2、気体-液体拡散部3および触媒層をこの順に有する装置を用いる排水の処理方法であって、
前記排水中には気体が分散されており、
以下の(1)~(3):
(1)前記気体-液体拡散部1~3における前記排水の滞留時間がいずれも0.5秒以上である;
(2)前記気体-液体拡散部3と前記気体-液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計が5秒以上である;および
(3)前記(2)の排水の滞留時間の合計が前記気体-液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1~100倍である、
を満たす、処理方法が提供される。
(i)前記触媒層におけるLHSVが0.1hr-1~10hr-1である;
(ii)前記触媒層における排水の温度が80℃~370℃である;
(iii)前記触媒層における圧力は排水の少なくとも一部が液相を保持する圧力である;および
(iv)前記気体に含まれる酸素量が排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍~5.0倍である。
LHSVは、0.1hr-1~10hr-1であり、好ましくは0.2hr-1~5hr-1であり、さらに好ましくは0.3hr-1~3hr-1である。LHSVが0.1hr-1以上であれば、経済的に効率的な大きさの設備で実施することができる。また、LHSVが10hr-1以下であれば、反応塔内での排水の酸化・分解処理を十分に行うことができる。
触媒層における排水の温度は、80℃~370℃であり、好ましくは100℃~270℃であり、より好ましくは110℃~270℃であり、特に好ましくは200℃~270℃である。排水の温度が370℃を超えた場合、排水の液相状態を保持するために高い圧力を加えなければならず、このような場合、設備が大型化することがあり、またランニングコストが上昇することがある。排水の温度が80℃未満では排水中の被酸化物の酸化・分解処理を効率的に行うことが困難になることがある。
本形態に係る装置において、触媒層における圧力は、排水の少なくとも一部が液相を保持する圧力である。排水の少なくとも一部が液相を保持するため、排水の処理温度に応じて圧力を適宜調整することが好ましい。
・処理温度が80℃以上、95℃未満の場合
大気圧以上であればよく、経済性の観点から大気圧下でもよいが、処理効率を向上させるためには加圧することが好ましい
・処理温度が95℃以上、170℃未満の場合
0.2~1MPa(Gauge)程度の圧力
・処理温度が170℃以上、230℃未満の場合
1~5MPa(Gauge)程度の圧力
・処理温度が230℃以上の場合
5MPa(Gauge)超の圧力。
気体に含まれる酸素量は、後述の「理論酸素要求量」の定義に基づき、排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍~5.0倍である。当該酸素量は、好ましくは排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.7倍以上であり、また、好ましくは5.0倍以下、より好ましくは3.0倍以下である。
以下、本発明の第1の形態である排水の処理装置(本明細書中、「本発明の排水の処理装置」とも称する)を用いて排水を処理する方法について具体的に説明する。図1は、酸化処理工程の一つとして湿式酸化処理を採用した場合の排水の処理方法の一実施態様を示す概略図であるが、本発明の一形態である排水の処理装置で用いられる処理方法をこれに限定する趣旨ではない。
実施例1の反応塔の詳細を図2に示す。直径600mm、長さ9000mmの円筒状である反応塔1に設置された、グリッドおよび金網からなる支持座の上に、直径6mm、長さ5~8mm(平均長さ6.5mm)の円柱状のSUS製ペレット(平均粒径8.5mm)を高さ方向で100mm(H3)充填した(下部充填物層16;拡散部3)。このペレットの比重は、約7.9であり、空隙率は43%であった。
図1に示す排水の処理方法において、反応塔1として実施例1の反応塔を使用し、下記の条件下にて合計1000時間排水処理を実施した。排水供給ライン10より送られてくる排水を、排水供給ポンプ3で4m3/hrの流量で昇圧し、フィードした後、熱交換器2および電気ヒーター(加熱手段8)で反応塔の最高温度が250℃となるように調節して、反応塔1の底より供給した。また、酸素含有ガス供給ライン11より空気を供給し、コンプレッサー4で昇圧した後、O2/COD(Cr)(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5の割合となるように熱交換器2の手前から供給し、該排水に混入した。触媒層におけるLHSVは、2.0hr-1であった。湿式酸化処理後の処理液を、処理液ライン12を経て冷却器9で冷却した後、気液分離器5により気液分離処理を行った。気液分離器5においては、液面コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁6を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出して圧力制御弁7を作動させて7MPaGの圧力を保持するように操作した。そして、この様にして処理した処理液を、処理液排出ライン14から排出した。処理開始時の反応塔入口圧力(PI)は、7.2MPaGであった。
1000時間反応後のCOD(Cr)処理率は、85%であった。COD(Cr)処理率は、下記の式を用いて算出した。
触媒を抜き出してスケール成分付着状況について目視で確認し、以下の基準に従って評価したところ、Bであった。
B:わずかに付着が見られた
C:明らかに付着(褐色)が見られた。
拡散部1~3における排水の滞留時間は、以下の式を用いて算出した。拡散部1~3における排水の滞留時間を表1-2に示す。
実施例2~7では、実施例1の反応塔において、多孔板15-1と衝突板付単孔板15-2との間の距離H1および多孔板15-1から下部充填物層16入口までの距離H2の値を表1-1に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表1-1、ならびに排水の滞留時間を表1-2に示す。
実施例8~9では、実施例4の反応塔において、H1の値を表2-1に示すように変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表2-1、ならびに排水の滞留時間を表2-2に示す。
比較例1では、実施例1の反応塔において、H1の値を1200mmに変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表3-1、ならびに排水の滞留時間を表3-2に示す。
比較例2では、実施例1の反応塔において、H1およびH2の値を表3-1に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表3-1、ならびに排水の滞留時間を表3-2に示す。
比較例3では、実施例1の反応塔において、H1およびH2の値を表3-1に示す値に変更し、また下部充填物層16を充填しなかった反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。1000時間後の処理率および触媒へのスケール成分付着状況を表3-1、ならびに排水の滞留時間を表3-2に示す。
実施例10~14では、実施例4の反応塔において、分散板15-1として設置した多孔板の開孔率および1m2あたりの多孔板の孔数を表4に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。
実施例15-1~15-4の反応塔の詳細を図3-1~3-4に示す。H1~H6の値は、表5-1に示すように、実施例4の反応塔と同じ値である。分散板15-1および15-2について、以下のように変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表5-1および5-2に示す。
図3-2(実施例15-2):分散板15-1および15-2を多孔板とした装置
図3-3(実施例15-3):分散板15-1および15-2を衝突板付単孔板とした装置
図3-4(実施例15-4):衝突板付単孔板(15-4)と多孔板(15-3)とを、さらにもう1枚ずつ配置した装置。分散板15-3と分散板15-4との間隔を150mm、分散板15-2と分散板15-3との間隔を300mmとした。
比較例4の反応塔は、図3-5に示すとおり、分散板として多孔板を1枚のみ配置した装置である。H2~H6の値は、表5-1に示すように、実施例4の反応塔と同じ値である。この反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表5-1および5-2に示す。
実施例16では、実施例4の反応塔において、H3の値を200mmに変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表6-1および6-2に示す。
実施例17の反応塔の詳細を図4に示す。下部充填物層16(H3:170mm;充填物層1)の上に、第2充填物層19(充填物層2)として直径8.0mmの球状のSUSボールを高さ方向で30mm(H7)充填した。このSUSボールの比重は、約8.2であり、第2充填物層19の空隙率は、41%であった。この反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表6-1および6-2に示す。
実施例18~20では、実施例17の反応塔において、H7の値を表6-1に示す値に変更した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。結果を表6-1および6-2に示す。
実施例21では、実施例18の反応塔の第2充填物層19(充填物層2)において、SUSボールの代わりに、直径7.5mmの球状のジルコニアボールを高さ方向で100mm(H7)充填した反応塔を用いて、上記排水処理試験を行った。ジルコニアボールの比重は、約5.3であり、第2充填物層19(充填物層2)の空隙率は41%であった。結果を表6-1および6-2に示す。
2 熱交換器
3 排水供給ポンプ
4 コンプレッサー
5 気液分離器
6 液面制御弁
7 圧力制御弁
8 加熱手段(ヒーターまたは熱媒体)
9 冷却器
10 排水供給ライン
11 酸素含有ガス供給ライン
12 処理液ライン
13 ガス排出ライン
14 処理液排出ライン
15 分散板
16 下部充填物層
17 触媒層
18 上部充填物層
19 第2充填物層
Claims (10)
- 排水の供給側から、分散板2、分散板1、充填物層および触媒層をこの順に有する排水の処理装置であって、
前記分散板2と前記分散板1との距離をH1、前記分散板1と前記充填物層の排水の供給側の境界面との距離をH2、前記充填物層の層長をH3、および前記H2と前記H3との合計をH6としたとき、
前記H6が100mm超であり、かつ前記H1に対する前記H6の比(H6/H1)が0.1以上100以下である、処理装置。 - 前記H1が、10mm以上1000mm以下である、請求項1に記載の処理装置。
- 前記分散板1および前記分散板2の少なくとも一方が多孔板であり、前記多孔板の孔数が1m2あたり5個以上200個以下である、請求項1または2に記載の処理装置。
- 前記充填物層が2層構造である、請求項1~3のいずれか1項に記載の処理装置。
- 前記2層構造の充填物層において、排水の供給側の充填物層を充填物層1、および触媒層側の充填物層を充填物層2としたとき、前記充填物層2の層長が30mm以上500mm以下である、請求項4に記載の処理装置。
- 前記2層構造の充填物層において、排水の供給側の充填物層を充填物層1、および触媒層側の充填物層を充填物層2としたとき、前記充填物層1に含まれる充填物1の平均粒径d1、前記充填物層2に含まれる充填物2の平均粒径d2および前記触媒層に含まれる触媒の平均粒径d0がd1>d2>d0の関係を満たす、請求項4または5に記載の処理装置。
- 前記触媒層に含まれる触媒が湿式酸化触媒である、請求項1~6のいずれか1項に記載の処理装置。
- 排水の供給側から、少なくとも気体-液体拡散部1、気体-液体拡散部2、気体-液体拡散部3および触媒層をこの順に有する装置を用いる排水の処理方法であって、
前記排水中には気体が分散されており、
以下の(1)~(3):
(1)前記気体-液体拡散部1~3における前記排水の滞留時間がいずれも0.5秒以上である;
(2)前記気体-液体拡散部3と前記気体-液体拡散部2とにおける排水の滞留時間の合計が5秒以上である;および
(3)前記(2)の排水の滞留時間の合計が前記気体-液体拡散部1における排水の滞留時間に対して、0.1~100倍である、
を満たし、
前記気体-液体拡散部3は、空隙率20~90容量%の充填物層である、処理方法。 - 前記気体-液体拡散部1は、排水の供給側の境界面に分散板1を有し、前記気体-液体拡散部2は、前記気体-液体拡散部1との境界面に分散板2を有し、
この際、前記分散板1および前記分散板2は、それぞれ1以上の孔を有し、前記分散板1および前記分散板2の少なくとも一方は、開孔率0.005%~30%の多孔板構造を有する、請求項8に記載の処理方法。 - 以下の(i)~(iv):
(i)前記触媒層におけるLHSVが0.1hr-1~10hr-1である;
(ii)前記触媒層における排水の温度が80℃~370℃である;
(iii)前記触媒層における圧力は排水の少なくとも一部が液相を保持する圧力である;および
(iv)前記気体に含まれる酸素量が排水中の被酸化物の理論酸素要求量の0.5倍~5.0倍である、
をさらに満たす、請求項8または9に記載の処理方法。
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