JP3825144B2 - 排水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、化学プラント、食品加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、印刷製版設備、発電設備、写真処理設備等の各種産業プラントから排出される排水を浄化処理する方法に関する。さらに詳しくは、各種産業プラントから排出される高い化学的酸素要求量(以下、「COD」とも記載する)を有する排水を浄化処理する方法に関する。特に該排水が、窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物を含有する場合に、優れている排水の浄化処理方法に関するものである。また該排水が、固形物および/またはスケール生成物質を含有する場合にも、特に優れた排水の浄化処理方法に関するものである。該排水の処理方法は、固体触媒および/または吸着材の存在下に排水を浄化する処理方法である。例えば、湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸化法、過酸化水素酸化法などの処理方法に適用でき、特に効果的なのは、固体触媒の存在下、酸素含有ガスの供給下に排水を処理する湿式酸化法である。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係る排水の処理方法のような、固体触媒の存在下に排水を処理する方法においては、特に排水の流れ方向に対して上流側の触媒(入口部の触媒)が、下流側の触媒(出口部の触媒)よりも、触媒の活性劣化および圧力損失の上昇などの問題が一般的に生じ易いものである。これは、排水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物などの触媒の活性低下をもたらす物質を含有している場合、排水の流れ方向に対して上流側の触媒の方が、これらの濃度の濃いことが多いためである。下流側の触媒では、これらの物質が上流側の触媒で処理され、原排水よりも減少していることが多い。また、該排水が固形物やスケール生成物質などの触媒の活性低下および圧力損失の上昇などをもたらす物質を含有している場合、排水の流れ方向に対して上流側の触媒の方が、これらの付着量が多いためである。さらに固体触媒を用いた排水の処理においては、触媒層の出口部に比べ入口部では、触媒反応が過剰に進み易くなる。このため、特に入口部付近において局所的に過剰加熱(ホットスポット)などが生じて、触媒の機械的強度および触媒活性の低下することが多いものである。また触媒層の入口部付近では、排水中のCOD成分等の分解が急速に進むため、酸素含有物質などの酸化剤や還元剤の触媒への供給が追いつかず、触媒の機械的強度および触媒活性の低下することが多いものである。
【0003】
特に湿式酸化処理もしくは湿式分解処理を行う際、その処理条件が高温高圧と過酷であるために、触媒の活性劣化および強度の低下が著しいものとなることが多い。
【0004】
このため触媒の交換に際しては、排水の流れ方向に対して上流側の触媒(入口部の触媒)を、重点的に交換する必要が多くあった。このため種々の方法が検討され、例えば複数の充填塔を排水の流れ方向に対して直列の関係になるように設置し、上流側の充填塔の触媒を優先的に交換することを実施した。しかしながらこのような操作を行った場合、触媒の交換頻度が多くなりやすいため触媒費が多くかかる問題があった。
【0005】
このため以前本発明者らは、充填塔内に複数の容器に入れた固体触媒および/または吸着材を、その充填位置を入れ替える操作で固体触媒および/または吸着材の耐久性が向上できることを見いだした。しかしながら該排水の処理方法は、その入れ替え作業を実施するためには、排水の処理操作を一時停止する必要があった。このため排水の処理操作を停止することなく、また短時間のスパンで固体触媒および/または吸着材の活性等を再生でき、これらの耐久性を向上できる方法も求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決することができる排水の処理方法を提供することにある。すなわち、固体触媒および/または吸着材の耐久性を高め、排水の浄化性能を高く維持し、なおかつ該固体触媒および/または吸着材のコストを低減することができる新規な排水の処理方法を提供することにある。言い換えればこの方法は、排水の処理を停止することなく実施することができ、また短時間のスパンで固体触媒および/または吸着材の活性を再生でき、これらの耐久性を向上できる排水の処理方法である。
【0007】
具体的には、排水の処理を行うことで、触媒活性の低下した固体触媒もしくは吸着能力の低下した吸着材、ならびに処理に際して圧力損失の上昇した固体触媒および/または吸着材を、容易に再生できる新規な排水の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究の結果、固体触媒および/または吸着材を充填した複数の充填塔を用いて排水を処理する新規な排水の処理方法を見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は、排水の流れに対して複数の充填塔を設置し、特定の処理方法を実施するものである。具体的には、該複数の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を、排水の処理の実施に応じて経時的に交換するものである。すなわち排水を処理する充填塔の順番を変更することで、固体触媒および/または吸着材の耐久性を向上できるものである。またこの充填塔の位置の順番は、本発明に係るところの特定の順番で実施するものである。さらに本発明に係る排水の処理方法によれば、固体触媒および/または吸着材の一部分を容易に交換することもできるものである。かくして本発明は、以下のごとくの排水の処理方法を提供する。
【0009】
本発明は、湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒を充填した充填塔による排水の処理方法において、該固体触媒を充填した充填塔を複数個、排水が、下向流または上向流として、複数個の充填塔内を所望の順序で流通できるように連結して配置し、そして、排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)を経時的に順次変更することを特徴とする排水の処理方法である。
【0010】
また、本発明は、排水の入口側に排水処理用吸着材を充填し、出口側に湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒を充填した充填塔を複数個、排水が、下向流または上向流として、複数個の充填塔内を所望の順序で流通できるように連結して配置し、そして、排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)を経時的に順次変更することを特徴とする排水の処理方法である。
【0011】
さらに、本発明は、排水処理用吸着材を充填した少なくとも一つの充填塔と湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒を充填した少なくとも一つの充填塔とを用いる排水の処理方法であって、排水が、下向流または上向流として、これら充填塔内を所望の順序で流通できるように連結して配置し、そして、排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)を経時的に順次変更することを特徴とする排水の処理方法である。
なお、以下の説明において、湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒および排水処理用吸着材を、それぞれ、単に固体触媒および吸着材という。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、排水の流れに対して固体触媒を充填した複数の充填塔を設置し、該複数の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を経時的に交換しながら、排水の処理を実施するものである。すなわち、該複数の充填塔を用いて排水を処理するに際し、排水の流れ方向に対する複数の充填塔の順序を種々入れ替えながら行うものである。これにより、該固体触媒の耐久性が向上できる。
【0016】
さらに本発明は、吸着材を充填した充填塔と固体触媒を充填した充填塔とを併用し、かつ吸着材を充填した充填塔および固体触媒を充填した充填塔の少なくとも一方の充填塔を複数設置する場合にも、同様の方法を用いることができる。排水の流れに対して固体触媒を充填した反応塔よりも上流側に吸着材を充填した充填塔を少なくとも1塔設置し、吸着材を充填した複数の充填塔間および/または固体触媒を充填した複数の充填塔間の排水の流れに対する順序を種々入れ替えながら行うものである。これにより、該吸着材および該固体触媒の耐久性が向上できる。
【0017】
また本発明は、排水の処理方法において、一つの充填塔の排水の入口側に吸着材、出口側に固体触媒を充填した充填塔を複数設置し、該複数の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を交換しながら、排水の処理を実施するものである。すなわち、該複数の充填塔を用いて排水を処理するに際し、排水の流れ方向に対する複数の充填塔の順序を種々入れ替えながら行うものである。これにより、該吸着材および該固体触媒の耐久性が向上できる。
【0018】
また本発明は、上記の本発明の方法を種々組み合わせて使用することもでき、また吸着材および/または固体触媒を充填した位置関係を交換しない充填塔を適宜追加することもできる。また特に吸着材および固体触媒を充填してない塔を適宜追加することもでき、この塔を本発明に係る排水の処理方法と同様に、その順序を種々入れ替えながら処理を行うこともできる。
【0019】
本発明に係る排水の処理方法で、排水の流れ方向に対して上流側の充填塔の固体触媒および/または吸着材は、下流側の充填塔のものと比較して、触媒活性の低下もしくは吸着能力の低下することが多く、また処理に際して圧力損失の上昇することも多い。
【0020】
また排水の流れ方向に対して下流側に設置した固体触媒および/または吸着材は、その固体触媒の触媒活性、もしくは吸着材の吸着性能が低下することが少なく、また処理に際して圧力損失の上昇することも少ない。しかも下流側に設置した固体触媒および/または吸着材は、逆に触媒活性の向上する場合もしくは吸着能力の向上する場合が多い。すなわち、下流側に設置した固体触媒および/または吸着材は、未使用の時と比較して触媒活性および/または吸着性能が向上する場合、もしくは排水の処理で劣化した触媒活性および/または吸着性能が回復する場合が多い。従って、耐久性の低下した排水の流れ方向に対して上流側に設置していた固体触媒および/または吸着材を、排水の流れ方向に対して下流側に再設置することで再活性化できる。これにより、該固体触媒および/または吸着材の耐久性がさらに向上できる。すなわち、特別な再活性化処理を実施することなく、排水の処理を実施するだけで、該固体触媒および/または吸着材の耐久性が向上でき、排水処理に係るランニングコストが大幅に低減できる。
【0021】
この固体触媒および/または吸着材の耐久性が上昇する原因としては、例えば酸素含有ガスもしくは過酸化水素などを用いた湿式酸化により排水を処理した場合、または湿式分解などにより排水を処理した場合には、上流側で使用して還元もしくは酸化された固体触媒および/または吸着材が、下流側で使用することで再酸化もしくは再還元されるために、上昇すると考えられる。
【0022】
また排水を処理した場合には、上流側に比較して下流側での液pHが大幅に変化することが多く、これにより固体触媒および/または吸着材の耐久性が上昇したとも考えられる。特にこの液pHの変化は、上流側に比較して下流側での液pHが低下する時の方が、より効果があると考えられる。具体的には、本発明に係る排水の処理方法において、排水の流れ方向に対して上流側の充填塔入口の原排水pHと、下流側充填塔出口の処理水pHの差が1.5以上とすることが好ましいと考えられる。また、より好ましくは該pHの差が2以上であり、さらに好ましくは該pHの差が3以上とすることである。上記の効果は、上流側で固形物もしくはスケール成分のようなものが付着した固体触媒および/または吸着材が、液pHの変化した下流側で使用することで洗浄されることによるものと考えられる。また液pHの変化した下流側で使用することにより、固体触媒および/または吸着材の物性が変化することによる効果とも考えられる。
【0023】
本発明に係る排水の処理方法において、原排水pHとは、排水の流れ方向に対して最上流側にあたる充填塔の固体触媒もしくは吸着材に入る原排水の液pHのことである。従って原排水に、pH調節のためや排水処理のための酸、アルカリ、その他の薬剤を添加した場合は、その添加後の液pHのことである。また本発明に係る排水の処理方法において、処理水pHとは、排水の流れ方向に対して最下流側にあたる充填塔の固体触媒もしくは吸着材から出た処理水の液pHのことである。従って処理水にpH調節や後処理のための酸、アルカリ、その他の薬剤を添加した場合は、その添加前の液pHのことである。
【0024】
本発明にかかる排水の処理方法において、充填塔を交換する位置は、充填塔が2本である場合には、上流側と下流側の充填塔を交換するものである。
【0025】
また充填塔が3本である場合には、最上流側の充填塔と最下流側の充填塔を交換するだけでもよいし、最上流側と真中の充填塔をそれぞれ真中と最下流側に移動し、最下流側の充填塔を最上流側に移動してもよい。また最上流側の充填塔を最下流側に移動し、真中の充填塔と最下流側の充填塔をそれぞれ最上流側と真ん中に移動してもよく、特に限定されるものではない。
【0026】
本願発明において、複数の充填塔の位置関係を経時的に交換する時期は、特には限定されず、任意に決められる。しかしながら効果的な時期は、該固体触媒の活性の低下が観察もしくは予想されたとき、該吸着材の吸着能力の低下が観察もしくは予想されたとき、あるいは装置の圧力損失が上昇したときもしくは上昇が予想されたときである。この時期に本発明に係る排水の処理方法を実施すれば、より有効である。この時期の状況を示す具体的数値は、通常処理している排水の処理効率や排水の処理効率を測定している方法、排水の処理方法、排水の種類などによって変化する。しかしながら、多くは排水の処理効率が1〜10%程度低下したときが効果的であり、10〜30%程度低下したときであってもよいことが多い。また、まだ処理効率の低下が1%以下であっても、いずれさらに低下すると予想される場合には実施してもよい。なお処理効率が低下してないときに実施しても問題はない。一般に排水の処理効率があまり大きく低下した後では、本発明に係る排水の処理方法の効果は小さくなる。例えば、排水の処理効率が30%を越えて低下した後では、本発明に係る効果が困難なものとなることが多い。これは、固体触媒および/または吸着材が、本発明に係る排水の処理方法で再生できないほど劣化していることが多いためである。また排水の処理効率が1%未満しか低下してないときは、本発明に係る排水の処理方法を採用することで、1〜10%低下した時よりも、むしろその効果が非常に大きい。しかしながら、実際の排水処理プラントでは、下記に記載する定期整備もしくは点検時は別として手数がかかるためこの時期には必ずしも実施しない。
【0027】
また特に簡易に、これらの固体触媒および/または吸着材を充填した充填塔の位置の入れ替えを実施するには、装置の定期整備もしくは点検時に実施することである。この理由は、装置の定期整備もしくは点検時に実施する場合は、処理の停止していることが多く、容易に実施することができるからである。
【0028】
当該充填塔に排水を導入する方法は、充填塔の下方より排水を導入して上方より処理後の処理水を排出する方法、または充填塔の上方より排水を導入して下方より処理後の処理水を排出する方法など種々の方法を採ることができ、特に限定されるものではない。また、この排水の流れ方向を変更することで、上流側と下流側の充填塔の関係を変更することもでき、特に限定されるものではない。
【0029】
本発明に係る排水の処理方法において、吸着材を充填した充填塔と固体触媒を充填した充填塔がある場合、下流側に固体触媒を充填した充填塔を設置することが効果的である。また同様に、吸着材を充填した充填塔と固体触媒を充填した充填塔がある場合、排水の流れ方向に対して上流側に吸着材を充填した充填塔を設置することが効果的である。この理由は、吸着材と固体触媒を併用した場合は、吸着材を固体触媒の上流側に設置し、吸着材を固体触媒の劣化防止に用いることが多いためである。但し、吸着材を充填した複数の反応塔がある場合はこの限りでなく、固体触媒を充填した反応塔の前後に吸着材を充填した反応塔を設置することが効果的である。固体触媒を充填した充填塔の排水の流れに対して下流側に、吸着材を充填した充填塔を設置する理由は、吸着材の再活性化が効果的に実施できるためである。
【0030】
本発明に係る排水の処理方法は、固体触媒および/または吸着材の存在下、充填塔を用いて排水を処理する種々の方法に適用することができる。例えば、湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸化法、もしくは過酸化水素分解法などの処理方法に適用できる。特に湿式酸化法、湿式分解法およびオゾン酸化法は、本発明に係る排水の処理方法が効果的であり、この中でも特に湿式酸化法および湿式分解法による排水の処理方法は効果的である。
【0031】
湿式酸化法および湿式分解法では排水を高温に加熱し、なおかつ高圧下で処理を実施するため、該固体触媒の劣化、スケールの付着ならびに固体触媒および/または吸着材を充填および抜き出すときの作業性が悪い。このためこれら上記の問題点が顕著になることが多く、本発明に係る排水の処理方法が特に効果的である。
【0032】
本発明に係る排水の処理方法において、処理対象の排水の種類は、特に限定されない。しかしながら、該排水が、窒素含有化合物および硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含むもの、あるいは固形物および/またはスケール生成物質を含有するものである場合に、特に本発明に係る排水の処理方法での効果が顕著である。これは、該排水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物およびハロゲン含有化合物の少なくとも1種を含む場合、特に排水の流れ方向で上流側の固体触媒の劣化が顕著となることが多いためである。また、該排水が固形物および/またはスケール生成物質の少なくとも1種を含む場合、特に排水の流れ方向で上流側の固体触媒および/または吸着材の圧力損失の上昇および劣化が顕著となることが多いためである。
【0033】
本発明に係る窒素含有化合物とは、特には限定されるものではないが、例えば、硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニア等の各種無機化合物、およびピリジン、ジメチルホルムアミド、アニリン、エタノールアミン等の窒素を含有する有機物等が挙げられる。
【0034】
本発明に係る硫黄含有化合物とは、硫酸イオン以外の硫黄化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、硫黄自体のほか、低級酸化数の硫黄化合物としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等の各種チオ硫酸塩、または硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化水素ナトリウム等の各種硫化物無機塩、硫化水素、または各種硫化アルキル、メルカプタン類等のイオウを含有する有機物等が挙げられる。
【0035】
本発明に係る有機ハロゲン化合物とは、特に限定されるものではないが、例えば、塩化メチル、テトラクロロエチレン、p−クロロフェノール、ダイオキシン等のハロゲンを含有する有機物等が挙げられる。
【0036】
本発明に係るスケール生成物質とは、排水の処理により固形物を生成しやすい成分のことであり、具体的には、重金属類、アルミニウム、リン、ケイ素、カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。またこの重金属類とは特に限定されるものではなく、例えば、カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、ビスマス(Bi)などの金属である。
【0037】
また本発明に係るスケール生成物質の状態としても、該排水の処理により固形物を生成するものであるならば特に限定されるのではなく、例えば、各種のイオンまたは有機金属化合物等の形態がある。
【0038】
また本発明に係る固形物の状態としても特に限定されるものではない。例えば、不溶性もしくは難溶性の酸化物や塩など、各種化合物のいずれの状態であってもよい。
【0039】
本発明は、単に湿式酸化法だけに限定して使用できるものではなく、上記の問題を有する種々の処理方法に使用することができるが、説明を容易に行うため、上記処理方法のうち、特に好ましい処理方法である湿式酸化法を例として、以下に具体的に説明する。
【0040】
湿式酸化法とは、排水を100℃〜370℃に加熱し、該排水が液相を保持する圧力下で、酸素含有ガスを導入し、排水を浄化処理する方法である。該排水の処理方法における充填塔での最高温度は、100℃以上370℃以下であり、好ましくは、150℃以上300℃以下である。370℃を越える場合は、液が液相を保持できないものである。一方、100℃未満である場合は、処理効率が著しく低下し、排水を浄化できないことが多い。また300℃を越える場合は、液相を保持するための圧力がたいへん高く、このための設備費およびランニングコストが高いものとなる。また150℃未満である場合も、処理効率が一般に低く排水の浄化性の劣ることが多いものである。
【0041】
本発明に係る排水の処理方法において湿式酸化の処理圧力は、処理温度との相関性により適宜選択され、液が液相を保持する圧力で行う。
【0042】
本発明に係る排水の処理方法において排水の空間速度としては、0.1hr-1〜10hr-1が効果的である。空間速度0.1hr-1未満である場合は排水の処理水量が低下し設備が過大なものとなり、逆に10hr-1を超える場合には処理効率が低下し好ましくない。また好ましくは、0.3hr-1〜5hr-1である。
【0043】
本発明に係る酸素含有ガスとは、酸素分子およびオゾンを含有するガスであり、オゾンおよび酸素等のガスを用いる場合には、適宜不活性ガス等により希釈して用いることができる。また酸素富化ガスを使用することもでき、これらのガス以外にも他のプラントより生じる酸素含有の排ガスも、適宜使用することもできる。しかしながら最も好ましいものは、価格の安価な空気である。
【0044】
本発明において使用する湿式酸化処理装置は、通常使用されるものが用いられ、湿式酸化充填塔は、単管式、多管式のいずれの形式であってもよいが、好ましくは単管式のものである。
【0045】
本発明に係る排水の処理方法において「充填塔」と記載した箇所は、「充填管」、「充填器」、「反応塔」、「反応管」、「反応器」、「吸着塔」、「吸着管」、「吸着器」と置き換えることもできるものである。
【0046】
本発明に係る排水の処理方法において、固体触媒の種類は特に限定されるものではなく、種々の排水処理に用いる固体触媒を使用することができる。例えば、チタン、鉄、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウムまたは活性炭等を含有する触媒が挙げられ、好ましくは、チタン、チタン−ジルコニウム、チタン−鉄等の酸化物を用いる。これらの触媒は、上記成分(以下、第1成分とも記載する)の他、第2成分を含有してもよい。
【0047】
この第2成分としては、マンガン、コバルト、ニッケル、タングステン、銅、スズ、クロム、セリウム、銀、白金、パラジウム、ロジウム、金、イリジウム、ルテニウム等の少なくとも1種の金属、またはこれらの金属化合物よりなる成分を用いることができる。この触媒は、第1成分75〜99.95重量%に対して、第2成分25〜0.05重量%の割合であることが好ましい。
【0048】
また該固体触媒の形状は、ぺレット状、球状、粒状、リング状およびハニカム状から選ばれる少なくとも1種であることが効果的であるが、特に限定されるものではない。
【0049】
また特に限定されるものではないが、本発明に係る排水の処理方法においてその効果は、固体触媒の種類が、第2成分を含有している固体触媒であることが効果的であり、さらに効果的には、白金、パラジウム、ロジウム、金、イリジウム、ルテニウム等の貴金属類を含有している固体触媒である。第2成分さらには貴金属類を含有する固体触媒は、特に本発明に係る排水の処理方法で、その活性などが再生されることが多い。この原因は、これらの成分を含有する触媒では、特に排水を処理する条件が異なると、触媒の状態が変化し易いためと考えられる。すなわち本発明の場合、排水の上流側と下流側の処理条件が変化するだけで、触媒の状態が変化するためと考えられる。またこれらの成分を含有する触媒では、触媒中の含有量が少なくても、その活性が大きく変化することが多い。このため、固形物やスケール成分の影響を特に大きく受けるためとも考えられる。
【0050】
本発明に係る排水の処理方法において、吸着材の種類は特に限定されるものではなく、種々の排水処理に用いる吸着材を使用することができる。例えば、チタン、鉄、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウムまたは活性炭等を含有する吸着材が挙げられ、好ましくは、チタン、ジルコニウム、チタン−ジルコニウム、チタン−鉄、ジルコニウム−鉄、チタン−ジルコニウム−鉄等の酸化物を用いる。この吸着材は、固体触媒を組み合わせて使用することが効果的であるが、特に限定されるものではない。また該吸着材の形状も、ペレット状、球状、粒状、リング状およびハニカム状から選ばれる少なくとも1種であることが効果的であるが、特に限定されるものではない。
【0051】
特に限定されるものではないが、本発明に係る排水の処理方法において、本発明を実施する互いの複数の充填塔は、それぞれに同じ固体触媒および/または吸着材をほぼ同量充填することが効果的である。また複数の充填塔の形状およびサイズもほぼ同形状およびサイズであることが効果的である。本発明に係る排水の処理方法は、複数の充填塔の排水の流れ方向に対する位置関係を交換して処理を実施するものであるため、上記のことが異なる場合には、本発明を実施した際に排水の処理性状(処理効率、処理液のpH、処理液中の特定成分の濃度等)が急激に変化する可能性が高くなるためである。ただし、排水の流れ方向に対する位置関係を交換しない充填塔に関しては、他の充填塔と異なる固体触媒および/または吸着材であってもよく、またその充填量が異なってもよく、さらに異なる充填塔形状およびサイズであってもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明に係る排水の処理方法は、排水の処理により劣化した固体触媒および/または吸着材を、充填塔の排水の流れ方向に対する位置関係を交換するだけで、再活性化処理を実施することができる。すなわち特別な再活性化処理を実施することなく、排水の処理を実施するだけで、該固体触媒および/または吸着材の耐久性が向上でき、排水処理に係るランニングコストが大幅に低減できるものである。
【0053】
また本発明に係る排水の処理方法は、排水の処理を継続した状態で固体触媒および/または吸着材の耐久性を向上することができる。このため、単位時間当たりの排水処理量を維持することができ、従って頻繁に充填塔の切り替え操作を実施し、固体触媒および/または吸着材の耐久性を極力低下させないようにできるものである。
【0054】
また本発明に係る排水の処理方法では、複数の充填塔に固体触媒および/または吸着材を充填する。このため、固体触媒および/または吸着材を交換するにあたって、交換の必要な部分だけの固体触媒および/または吸着材を交換することが可能となる。このため固体触媒および/または吸着材の使用可能時間を長くすることになり、経済的に排水を処理することができるものである。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例をあげて詳細に説明するが、本発明は、これだけに限定されるものではない。
【0056】
(実施例1)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、下記の条件下で処理を合計で500時間行った。この処理は100時間ごとに前後の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を交換し、処理を継続した。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0057】
処理に使用した固体触媒は、主成分としてチタニアと白金からなる触媒で、それぞれの重量比がTiO2:Pt換算で99:1であった。また形状は、直径4mmφ×長さ7mmのペレット状であった。そしてこの触媒を2本の充填塔にそれぞれ30リットルずつ充填した。処理に使用した充填塔の形状は、高さ6.0mの円筒形の充填塔であり、内径9.2cmであった。
【0058】
処理の方法は、排水供給ライン6より送られてくる排水を、排水供給ポンプ5で30リットル/hrの流量で昇圧フィードした後、熱交換器3で250℃に加熱し、充填塔1の底より供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン10より供給し、コンプレッサー9で昇圧した後、O2/ThOD(空気中の酸素量/理論的酸素要求量)=1.2の割合となるように、酸素含有ガス流量調節弁11で流量を調節して熱交換器3の手前から供給し、該排水に混入した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アルカリ供給ライン8より供給して、アルカリ供給ポンプ7を用いて、熱交換器3の手前から0.18リットル/hrの流量で供給した。充填塔1および2では電気ヒーター18を用いて250℃に保温し、処理を実施した。湿式酸化処理した処理水は、処理水ライン12を経て冷却器4で冷却した後、気液分離器13で気液分離処理した。気液分離器13においては、液面コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁15を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出して圧力制御弁14を作動させ、70kg/cm2Gの圧力を保持するように操作した。そして処理水は、処理水排出ライン17から排出した。この時の充填塔切り替え弁19,22,23は開とし、20,21,24は閉とした。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0059】
処理に供した排水は、以下のような性状であった。ThODが23g/リットル、COD(Cr)が19g/リットル、有機窒素化合物を0.7g/リットル(窒素元素換算)、ケイ素を25mg/リットル含有していた。またアルカリ添加後の排水のpHは7.3であった。
【0060】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力は、71kg/cm2Gであった。
【0061】
その後、充填塔1と充填塔2の位置関係を交換した。すなわち、充填塔切り替え弁19,22,23は閉とし、20,21,24は開とした。そして100時間処理した後、すなわち合計で200時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力は、71kg/cm2Gであった。
【0062】
また同様にその後、充填塔の位置関係を交換し、100時間処理した。すなわち、充填塔切り替え弁19,22,23は開とし、20,21,24は閉とした。合計で300時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力は、71kg/cm2Gであった。
【0063】
また同様にその後、充填塔の位置関係を交換し、100時間処理した。すなわち、充填塔切り替え弁19,22,23は閉とし、20,21,24は開とした。合計で400時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力は、71kg/cm2Gであった。
【0064】
また同様にその後、充填塔の位置関係を交換し、100時間処理した。すなわち、充填塔切り替え弁19,22,23は開とし、20,21,24は閉とした。合計で500時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力は、71kg/cm2Gであった。
【0065】
(比較例1)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、100時間ごとに充填塔の位置関係を交換することなく、連続して充填塔1で処理した液を充填塔2で処理する経路で実施した以外は、実施例1と同じ処理条件で処理を行った。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0066】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0067】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)0.6g/リットル、pH4.2であった。また充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0068】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)0.8g/リットル、pH4.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0069】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.2g/リットル、pH4.4であった。また充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0070】
500時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.7g/リットル、pH4.5 あった。また充填塔入口圧力(PI)は、72kg/cm2Gであった。
【0071】
(実施例2)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、下記に示すこと以外は実施例1と同様に、100時間ごとに前後の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を交換し、処理を合計で500時間行った。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0072】
処理に使用した固体触媒は、主成分としてチタン−鉄の酸化物とパラジウムからなる触媒で、それぞれの重量比がTiO2:Fe23:Pd換算で49.5:49.5:1.0であった。また形状は、直径5mmφ×長さ6mmのペレット状であった。そしてこの触媒を2本の充填塔にそれぞれ25リットルずつ充填した。またそれぞれの2本の充填塔には、触媒の下部にチタニアを主成分とする吸着材をそれぞれ5リットル充填した。
【0073】
処理の方法は、排水を25リットル/hrの流量で供給し、空気をO2/ThOD(空気中の酸素量/理論的酸素要求量)=1.2の割合で混入後、処理圧力80kg/cm2G、処理温度260℃で処理した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、0.25リットル/hrの流量で供給した。
【0074】
処理に供した排水は、以下のような性状であった。ThODが36g/リットル、COD(Cr)が28g/リットル、鉄を11mg/リットル、アルミニウムを6mg/リットル、カルシウムを17mg/リットル含有していた。また窒素含有化合物をアンモニアの形態で0.7g/リットル(窒素元素換算)、有機窒素化合物の形態で0.3g/リットル(窒素元素換算)含有していた。また硫黄含有化合物をチオ硫酸塩の形態および硫化物の形態で、合計1.8g/リットル(硫黄元素換算)含有していた。またアルカリ添加後の排水のpHは11.2であった。
【0075】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0076】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0077】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0078】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0079】
500時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.2g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0080】
(比較例2)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、100時間ごとに充填塔の位置関係を交換することなく、連続して充填塔1で処理した液を充填塔2で処理する経路で実施した以外は、実施例2と同じ処理条件で処理を行った。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、71kg/cm2Gであった。
【0081】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0082】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.1g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0083】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.2g/リットル、pH7.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、81kg/cm2Gであった。
【0084】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.3g/リットル、pH7.4であった。また充填塔入口圧力(PI)は、82kg/cm2Gであった。
【0085】
500時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)1.6g/リットル、pH7.5であった。また充填塔入口圧力(PI)は、83kg/cm2Gであった。
【0086】
(実施例3)
図2に示すオゾン酸化処理装置を使用し、下記の条件下で処理を合計で500時間行った。この処理は100時間ごとに前後の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を交換し、処理を継続した。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0087】
処理に使用した固体触媒は、主成分としてチタニアとマンガンからなる触媒で、それぞれの重量比がTiO2:MnO2換算で95:5であった。また形状は、直径5mmφ×長さ7mmのペレット状であった。そしてこの触媒を2本の充填塔にそれぞれ1リットルずつ充填した。処理に使用した充填塔の形状は、高さ3.0mの円筒形の充填塔であり、内径26mmであった。
【0088】
処理の方法は、排水供給ライン6より送られてくる排水を、排水供給ポンプ5を用いて1リットル/hrの流量で供給した後、熱交換器3で25℃となるように設定し、充填塔1の底より供給した。またオゾン発生器25によって生成したオゾン含有ガス(オゾン濃度21.4g/m3)を流量弁26により、100リットル/hの流量に調節し、充填塔1の底より供給した。また予め触媒を充填塔1および2の内部に各1リットル充填した。この時の充填塔切り替え弁19,23,27は開とし、20,24,28は閉とした。オゾン酸化処理した処理水は、処理水排出弁32を経て排出し、排ガスは、排ガス排出弁30を経て排出した。この時、充填塔1の処理水排出弁31と排ガス排出弁29は閉とした。
【0089】
処理に供した排水は、COD(Cr)が650mg/リットル、pH7.7であった。
【0090】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットルで、pH4.4であった。その後、充填塔1と充填塔2の位置関係を交換した。すなわち、充填塔切り替え弁19,23,27は閉とし、20,24,28は開とした。また処理水排出弁32と排ガス排出弁30は閉とし、処理水排出弁31と排ガス排出弁29を開とした。
【0091】
さらに100時間処理した後、すなわち排水の流れ方向に対して充填塔の位置関係を交換し、100時間処理を行った。合計で200時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットル,pH4.4であった。
【0092】
同様にその後、充填塔の位置関係を交換し、100時間処理した。すなわち、充填塔切り替え弁19,23,27は開とし、20,24,28は閉とした。また処理水排出弁32と排ガス排出弁30は開とし、処理水排出弁31と排ガス排出弁29を閉とした。合計で300時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットル,pH4.4であった。
【0093】
同様にその後、充填塔の位置関係を交換し、100時間処理した。合計で400時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットル,pH4.4であった。
【0094】
同様にその後、充填塔の位置関係を交換し、100時間処理した。合計で500時間処理した後の処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットル,pH4.4であった。
【0095】
(比較例3)
図2に示すオゾン酸化処理装置を使用し、100時間ごとに充填塔の位置関係を交換することなく、連続して充填塔1で処理した液を充填塔2で処理する経路で実施した以外は、実施例3と同じ処理条件で処理を行った。
【0096】
100時間ごとに得られた処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットル,180mg/リットル,190mg/リットル,210mg/リットル,240mg/リットルであった。またこの時のpHは、それぞれpH4.4,pH4.4,pH4.4,pH4.5,pH4.6であった。
【0097】
(実施例4)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、下記に示すこと以外は実施例1と同様に、100時間ごとに前後の充填塔における排水の流れ方向に対する位置関係を交換し、処理を合計で500時間行った。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0098】
処理に使用した固体触媒は、主成分としてチタン−ジルコニウムの複合酸化物とルテニウムからなる触媒で、それぞれの重量比がTiO2:ZrO2:Ru換算で19.5:79.5:1.0であった。また形状は、直径5mmφ×長さ5mmのペレット状であった。そしてこの触媒を2本の充填塔にそれぞれ30リットルずつ充填した。
【0099】
処理の方法は、廃水を120リットル/hrの流量で供給し、空気をO2/ThOD(空気中の酸素量/理論的酸素要求量)=1.1の割合で混入後、処理圧力75kg/cm2G、処理温度260℃で処理した。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。なお本処理においては、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリは、供給しなかった。
【0100】
処理に供した廃水は、以下のような性状であった。ThODが27g/リットル、COD(Cr)が26g/リットル、pHは4.5で、ケイ素を24mg/リットル、リンを37mg/リットル含有していた。
【0101】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)80mg/リットル、pH8.1であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0102】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)90mg/リットル、pH8.2であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0103】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)80mg/リットル、pH8.1であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0104】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)70mg/リットル、pH8.1であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0105】
500時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)90mg/リットル、pH8.1 あった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0106】
(比較例4)
図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、100時間ごとに充填塔の位置関係を交換することなく、連続して充填塔1で処理した液を充填塔2で処理する経路で実施した以外は、実施例4と同じ処理条件で処理を行った。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0107】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)80mg/リットル、pH8.1であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0108】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)90mg/リットル、pH8.1であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0109】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)110mg/リットル、pH8.0であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0110】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)180mg/リットル、pH7.8であった。また充填塔入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであった。
【0111】
500時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)560mg/リットル、pH7.6であった。また充填塔入口圧力(PI)は、77kg/cm2Gであった。
【0112】
(実施例5)
図3に示す湿式酸化処理装置を使用し、下記に示すこと以外は実施例1と同様の操作方法で、処理を合計で500時間行った。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。
【0113】
本実施例では、実施例1の処理方法と同様に100時間ごとに充填塔1と2の排水の流れ方向に対する位置関係を交換した。そして充填塔の1と2には吸着材を充填し、また充填塔の33には固体触媒を充填した。処理に使用した吸着材はジルコニウムの酸化物を主成分とし、その形状は直径5mmφ×長さ8mmのペレット状であった。そしてこの吸着材を2本の充填塔にそれぞれ30リットルずつ充填した。また処理に使用した固体触媒は、主成分としてチタン−ジルコニウム−鉄の酸化物とルテニウムからなる触媒で、それぞれの重量比がTiO2:ZrO2:Fe23:Ru換算で40:40:19:1であった。また形状は、直径5mmφ×長さ6mmのペレット状であった。そしてこの触媒を充填塔33に30リットル充填した。
【0114】
処理の方法は、廃水を60リットル/hrの流量で供給し、空気をO2/ThOD(空気中の酸素量/理論的酸素要求量)=1.2の割合で混入後、処理圧力90kg/cm2G、処理温度270℃で処理した。充填塔切り替え弁は、処理開始時19,22,23,27を開とし、20,21,24,28を閉とした。そして100時間ごとに、これらの開閉を変更した。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。なお本処理においては、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリは、供給しなかった。
【0115】
処理に供した廃水は、以下のような性状であった。ThODが21g/リットル、COD(Cr)が16g/リットル、pHは12.8で、有機塩素化合物を0.04g/リットル(塩素元素換算)、マンガンを57mg/リットル、カルシウムを11mg/リットル、マグネシウムを18mg/リットル含有していた。
【0116】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0117】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0118】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0119】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.4であった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0120】
500時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.4 あった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0121】
(比較例5)
図3に示す湿式酸化処理装置を使用し、100時間ごとに充填塔の位置関係を交換することなく、連続して充填塔1、33、2で処理する経路で実施した以外は、実施例5と同じ処理条件で処理を行った。処理開始時の充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0122】
100時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.3であった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0123】
200時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.5g/リットル、pH5.4であった。また充填塔入口圧力(PI)は、91kg/cm2Gであった。
【0124】
300時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)2.8g/リットル、pH5.7であった。また充填塔入口圧力(PI)は、92kg/cm2Gであった。
【0125】
400時間後に得られた処理水の結果は、COD(Cr)3.8g/リットル、pH6.0であった。また充填塔入口圧力(PI)は、94kg/cm2Gであった。そして460時間後に充填塔1において閉塞し、処理不可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【図3】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【符号の説明】
1.充填塔
2.充填塔
3.熱交換器
4.冷却器
5.排水供給ポンプ
6.排水供給ライン
7.NaOH水溶液供給ポンプ
8.NaOH水溶液供給ライン
9.コンプレッサー
10.酸素含有ガス供給ライン
11.酸素含有ガス流量調節弁
12.処理水ライン
13.気液分離器
14.圧力制御弁
15.液面制御弁
16.ガス排出ライン
17.処理水排出ライン
18.電気ヒーター
19.充填塔切り替え弁
20.充填塔切り替え弁
21.充填塔切り替え弁
22.充填塔切り替え弁
23.充填塔切り替え弁
24.充填塔切り替え弁
25.オゾン発生器
26.流量弁
27.充填塔切り替え弁
28.充填塔切り替え弁
29.排ガス排出弁
30.排ガス排出弁
31.処理水排出弁
32.処理水排出弁
33.充填塔

Claims (5)

  1. 湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒を充填した充填塔による排水の処理方法において、該固体触媒を充填した充填塔を複数個、排水が、下向流または上向流として、複数個の充填塔内を所望の順序で流通できるように連結して配置し、そして、排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)を経時的に順次変更することを特徴とする排水の処理方法。
  2. 排水の入口側に排水処理用吸着材を充填し、出口側に湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒を充填した充填塔を複数個、排水が、下向流または上向流として、複数個の充填塔内を所望の順序で流通できるように連結して配置し、そして、排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)を経時的に順次変更することを特徴とする排水の処理方法。
  3. 排水処理用吸着材を充填した少なくとも一つの充填塔と湿式酸化法またはオゾン酸化法による排水処理用固体触媒を充填した少なくとも一つの充填塔とを用いる排水の処理方法であって、排水が、下向流または上向流として、これら充填塔内を所望の順序で流通できるように連結して配置し、そして、排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)を経時的に順次変更することを特徴とする排水の処理方法。
  4. 排水が最初に流通する充填塔(排水の流れ方向に関して最上流側の充填塔)が吸着材を充填した充填塔である請求項記載の排水の処理方法。
  5. 吸着材を充填した充填塔を2つ以上配置する請求項4または5記載の排水の処理方法。
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