JPH09239378A - 廃水の処理方法 - Google Patents

廃水の処理方法

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JPH09239378A
JPH09239378A JP5200096A JP5200096A JPH09239378A JP H09239378 A JPH09239378 A JP H09239378A JP 5200096 A JP5200096 A JP 5200096A JP 5200096 A JP5200096 A JP 5200096A JP H09239378 A JPH09239378 A JP H09239378A
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JP
Japan
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reaction tower
wastewater
treatment
liquid
waste water
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Application number
JP5200096A
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English (en)
Inventor
Yusuke Shioda
祐介 塩田
Kiichiro Mitsui
紀一郎 三井
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、写真処理設備等の各種産業プラ
ントから排出される固形物および/またはスケール生成
物質含有する廃水を、安定して高度に浄化処理する方法
に関するものである。 【解決手段】 この発明は、固形物および/またはスケ
ール生成物質を含有する廃水を酸素含有ガスの供給下に
処理するに際して、該廃水を反応塔の中段より供給し、
処理した液を反応塔の上部および下部より排出すること
を特徴とする廃水の処理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は、化学プラント、食
品加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、印刷製版
設備、写真処理設備等の各種産業プラントから排出され
る廃水を浄化処理する方法に関する。さらに詳しくは、
各種産業プラントから排出される高い化学的酸素要求量
(以下、「COD」とも記載する)を有する廃水を浄化
処理する方法に関する。特に該廃水が、固形物やスケー
ル生成物質となる重金属類、アルミニウム、リン、ケイ
素、カルシウムまたはマグネシウム等を含有する場合に
優れている廃水の浄化処理方法に関するものであり、さ
らには硫黄や低級酸化数の硫黄化合物(以下、「硫黄化
合物等」ともいう)も含有する上記廃水を浄化処理する
方法に関するものである。また該処理方法は、酸素含有
ガスの供給下に廃水を浄化する処理方法であり、例えば
オゾン酸化処理法などの処理方法などに適用できる。し
かしながら特に効果的なのは、湿式酸化処理法による廃
水の処理方法によるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素含有ガスを供給しながら廃水
を処理する各種廃水の処理方法では、向流法、並流法が
あり、これらの方法には、下向流、上向流がある。さら
に詳しく説明する。廃水と酸素含有ガスとを逆向きに流
す方法を向流法、廃水と酸素含有ガスとを同じ方向に流
す方法を並流法という。また廃水を反応塔下部から供給
し、反応塔上部より排出する方法は一般に上向流とい
い、廃水を反応塔上部から供給し、反応塔下部より排出
する方法は一般に下向流という。
【0003】上向流で処理した場合、酸素含有ガスは液
と同じ反応塔の下部から供給し、反応塔の上部から排ガ
スを排出するのが一般的である(並流法)。この上向流
の処理では、液中を酸素含有ガスが気泡状となるように
供給することが多い。
【0004】また下向流で処理した場合、酸素含有ガス
を反応塔の下部から供給し、反応塔の上部から排ガスを
排出する場合(向流法)と、酸素含有ガスを反応塔上部
から供給し、反応塔の下部から排ガスを排出する場合
(並流法)の両方がある。この下向流の処理では、酸素
含有ガスの中を液が降るように供給することが多く、さ
らに前者の向流法の場合では、液中を酸素含有ガスが気
泡状となるように供給することもある。
【0005】これら上記の酸素含有ガスを供給しながら
廃水を処理する各種廃水の処理方法では、廃水が固形物
を含有した場合や廃水の処理により固形物を生成するよ
うなスケール生成物質を含有した場合、下記のような問
題点があった。例えば、下向流で処理した場合、反応
塔内に固−液−気の3相の界面(反応塔の壁や反応塔内
の充填物、廃水およびガスの三相界面)が存在し、この
界面で固形物の付着またはスケールが生成し、反応塔を
閉塞または液等の流れを妨害し、反応塔の圧損を上昇さ
せることが多かった。
【0006】特に酸素含有ガスの中を液が降るように流
す時(向流法および並流法の両方)には、気液の接触面
積を増やすために反応塔内に充填物を充填することが多
く、この充填物に固形物が付着またはスケールが生成
し、これが大きな問題であった。また液の中を酸素含有
ガスが泡として上昇するように流すときにも、反応塔の
上部の常時同じ場所に固−液−気の3相の界面が存在
し、同上の問題を有するものであった。
【0007】さらに、廃水が下向流で、かつ排ガスを
廃水供給部の反応塔上部より排出する場合(向流法)、
未処理の廃水中には排ガス中に気化しやすい成分が多く
含有されるために、未処理の廃水と排ガスが接触するこ
とで、廃水中の気化しやすい成分が排ガス中に含まれる
ことになり、排ガスの後処理が必要なことが多くあっ
た。従ってこのような廃水を処理する場合には、廃水を
下向流で処理することは少なく、廃水を上向流で処理す
ることが多い。
【0008】しかしながら廃水を上向流で処理した場
合、反応塔内に固形物が徐々に堆積し、反応塔が閉塞
もしくは圧損が上昇する問題があった。このため上向流
の場合には、反応塔内に固形物が堆積しないように間欠
的に反応塔下部から堆積した固形物を排出したり、固形
物が反応塔内に滞留しないように反応塔内に内作物を設
け、固形物を反応塔上部から排出したり、できるような
方策を採ることが多かった(特開平1−262991,
特開平6−285481)。
【0009】しかし反応塔内に内作物を設けた場合で
は、処理条件や廃水組成等が変化したときに反応塔内に
固形物が堆積したり、むしろ内作物に固形物が付着した
りすることがあり、完全に解決できるものではなかっ
た。また反応塔下部から間欠的に固形物を排出する方法
を行った場合には、一般に廃水の処理を中断する必要が
あった。さらに中断したときに抜き出された液は、未処
理の液であるため、再度抜き出した液を処理する必要が
あり、廃水処理のコストおよび操作の煩雑性から問題が
あった。
【0010】また反応塔の手前に固形物を取り除く装置
を設ける方策などもあったが、廃水処理に係る反応によ
り、反応塔内で固形物が生成する場合などに対しては効
果が期待できないものであった(特開昭51−6255
2)。
【0011】このような酸素含有ガスを供給しながら廃
水を処理する各種廃水の処理方法のなかでも上記問題点
が多くあったものは、例えば、湿式酸化処理法による廃
水の処理とオゾン酸化処理法による廃水の処理であり、
特に湿式酸化処理法による廃水の処理では廃水を加熱す
るため、これらの問題点がより顕著になることが多かっ
た。
【0012】また他の酸素含有ガスを供給し廃水を処理
する各種廃水の処理方法でも、上記と同様な問題点が多
くあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このため本発明の目的
は、上記問題点を解決することのできる廃水の処理方法
を提供することにある。すなわち固形物やスケール生成
物質を含有する廃水を酸素含有ガスを供給しながら処理
する各種廃水の処理方法において、反応塔内の固形物を
連続的に排出し、固形物の堆積およびスケールの生成な
くする方法であり、つまり反応塔の圧損の上昇および閉
塞の問題もなく、廃水の処理を連続して行うことのでき
る新規な廃水の処理方法を提供することにある。また排
出する排ガスも有害な成分等を含有することが少なく、
排ガスの後処理の必要ない新規な廃水の処理方法を提供
する。これにより、安定して廃水を浄化性高く処理し、
経済的にも優れる新規な廃水の処理方法を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために鋭意研究の結果、廃水を酸素含有ガス
の供給下に処理するに際して、該廃水を反応塔の中段よ
り供給し、処理した液を反応塔の上部および下部の両方
より排出することで操作が容易で、実用性および経済性
においても優れた廃水の浄化方法を見いだし本発明を完
成に至った。すなわち、固形物やスケール生成物質を含
有する廃水を酸素含有ガスの供給下に処理するに際し
て、該廃水を反応塔の中段より供給し、上向流および下
向流の両方を組み合わせた新規な廃水の処理方法で廃水
を処理する。これにより、従来の上向流または下向流の
処理方法で該廃水を処理した場合に生じた種々の問題が
解決でき、安定して廃水を連続処理でき、特に湿式酸化
処理法による廃水の処理において有効であることを見い
だした。
【0015】かくして本発明は、以下のごとくの廃水の
処理方法を提供する。
【0016】(1) 廃水を反応塔を用いて酸素含有ガ
スの供給下に処理するに際して、該廃水を該反応塔の中
段より供給し、処理後の液を反応塔の上部および下部よ
り排出することを特徴とする廃水の処理方法。
【0017】(2) 上記(1)において、該廃水が、
固形物および/またはスケール生成物質を50mg/リ
ットル以上含むことを特徴とする上記(1)記載の廃水
の処理方法。
【0018】(3) 上記(2)において、該スケール
生成物質が、重金属類、アルミニウム、リン、ケイ素、
カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる
少なくとも1種であることを特徴とする上記(2)記載
の廃水の処理方法。
【0019】(4) 上記(1)において、該廃水の処
理が、廃水を140℃〜370℃に加熱し、該廃水が液
相を保持する圧力下で、酸素含有ガスの供給下に湿式酸
化処理することを特徴とする上記(1)記載の廃水の処
理方法。
【0020】(5) 上記(1)において、該素含有ガ
スを反応塔の下部より供給し、反応塔の上部より排ガス
を排出することを特徴とする上記(1)または(4)記
載の廃水の処理方法。
【0021】(6) 該廃水が、硫黄および/または低
級酸化数の硫黄化合物を含有することを特徴とする上記
(1)〜(5)記載の廃水の処理方法。
【0022】(7) 上記(1)において、該廃水を反
応塔の中段に供給する位置が、(廃水の供給位置より下
部の反応塔容積)/(反応塔の全容積)の値で、20〜
80%になる位置であることを特徴とする上記(1)記
載の廃水の処理方法。
【0023】(8) 上記(1)において、処理後の液
のうち、20〜80%を反応塔の下部より排出し、残り
の液を反応塔の上部より排出することを特徴とする上記
(1)記載の廃水の処理方法。
【0024】(9) 該反応塔の上部に固体触媒を充填
することを特徴とする上記(1)記載の廃水の処理方
法。
【0025】(10) 上記(9)記載の廃水の処理方
法において、整流板および/または仕切板を、該廃水の
供給位置よりも上方向で、かつ固体触媒よりも下方向に
設けることを特徴とする上記(9)記載の廃水の処理方
法。
【0026】(11) 該反応塔の下部より排出した処
理液を固液分離処理し、得られた濾液を再度反応塔の中
段より供給することを特徴とする上記(9)記載の廃水
の処理方法。
【0027】(12) 上記(10)記載の廃水の処理
方法において、濾液は廃水と混合することなく反応塔に
供給し、かつ該濾液の供給位置が該廃水の供給位置より
も上方向であることを特徴とする上記(10)記載の廃
水の処理方法。
【0028】(13) 上記(12)記載の廃水の処理
方法において、該濾液の供給位置が上記(10)記載の
整流板および/または仕切板よりも上方向で、かつ固体
触媒よりも下方向であることを特徴とする上記(12)
記載の廃水の処理方法。
【0029】(14) 該廃水が、写真処理設備から排
出される廃水を含むものであること特徴とする上記
(1)〜(13)記載の廃水の処理方法。
【0030】以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
【発明の実施形態】本発明は、廃水を酸素含有ガスの供
給下に処理するに際して、該廃水を反応塔の中段より供
給し、処理した液を反応塔の上部(以下、反応塔上部、
ともいう)および下部(以下、反応塔下部、ともいう)
の両方より排出する方法を採用する。すなわち、廃水を
反応塔の上部もしくは下部から供給するのではなく、反
応塔の中程から供給し、反応塔内で液を上下両方向に流
す方法を採用するものである。すなわち、廃水の供給部
よりも反応塔の上には上向流で廃水を処理し、逆に廃水
の供給部よりも反応塔の下には下向流で廃水を処理する
ものである。これにより従来の上向流もしくは下向流で
生じた種々の廃水の処理での問題を解決できるものであ
る。
【0032】本発明に係る廃水の処理方法では、下向流
で処理した場合に生じた固−液−気の3相の界面が常時
同じ場所で生じることがなく、固形物の付着およびスケ
ールの生成が少なくなる。またこの場合の排ガスも処理
された後に排出されるため、比較的浄化されたものにで
きる。また本発明に係る廃水の処理方法では、上向流で
処理した場合に生じた反応塔内に固形物が堆積すること
がなく、固形物は反応塔下部、もしくは反応塔下部およ
び反応塔上部から排出できる。
【0033】本発明に係るスケール生成物質とは、廃水
の処理により固形物を生成しやすい成分のことであり、
具体的には、重金属類、アルミニウム、リン、ケイ素、
カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素である。またこの重金属類とは特
に限定されるものではなく、重金属全般にわたるが、例
えば、カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)、コバル
ト(Co)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Z
n)、銀(Ag)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、アンチ
モン(Sb)、鉛(Pb)、タリウム(Tl)、水銀
(Hg)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、ビスマス
(Bi)である。
【0034】また本発明に係るスケール生成物質の状態
としても、該廃水の処理により固形物を生成するもので
あるならば特に限定されるのではなく、例えば、各種の
イオンまたは有機金属化合物等の形態がある。
【0035】また本発明に係る固形物の状態としても、
特に限定されるものではなく、例えば、不溶性もしくは
難溶性の酸化物および塩などの各種化合物のいずれの状
態のものであってもよい。
【0036】また本発明において該廃水は、固形物およ
び/またはスケール生成物質を50mg/リットル以上
含む場合に特に効果的があり、50mg/リットル未満
である場合には、従来からの方法でも廃水を処理できる
ことが多いものである。またより好ましくは固形物およ
び/またはスケール生成物質を100mg/リットル以
上含む廃水であり、さらに好ましくは固形物および/ま
たはスケール生成物質を300mg/リットル以上含む
廃水である。100mg/リットル未満である場合に
は、従来からの技術でもある程度の処理が可能なことも
あり、300mg/リットル未満である場合には、本発
明の効果が300mg/リットル以上のときよりも効果
が少ないものである。また固形物および/またはスケー
ル生成物質が200g/リットルを超える場合には、反
応塔内で生成する固形物および/またはスケール生成物
質の量が多すぎるために、他の廃水の処理方法で処理し
た方が効果的であり、もしくは予めこれらを除去し含有
量を減らした方がよいものである。これらの量があまり
にも多い場合には反応塔内で閉塞もしくは圧損上昇の問
題が生じ易くなる。また好ましくは100g/リットル
未満の場合であり、より好ましくは10g/リットル未
満である。
【0037】なお、固形物やスケール生成物質の上記以
上の量が廃水中に含まれる場合には、本発明に係る方法
だけではなく、予め別の除去手段で固形物および/また
はスケール生成物質を取り除く方が、ランニングコスト
的に安くなることもある。この予め固形物および/また
はスケール生成物質を取り除く方法としては、例えば種
々の固液分離方法による固形物の除去方法、沈澱剤もし
くは凝集剤などを添加する沈澱処理などによる固形物お
よび/またはスケール生成物質の除去方法、イオン交換
樹脂などを用いたスケール生成物質の除去方法などの種
々の方法があり、特に限定されるものではない。
【0038】また本発明に係る廃水は、固形物および/
またはスケール生成物質を含有する廃水であるが、さら
に該廃水中に、硫黄および/または低級酸化数の硫黄化
合物を含有する廃水であることが効果的である。従来、
特にスケール生成物質を含有する廃水が、さらに硫黄お
よび/または低級酸化数の硫黄化合物を含有した場合に
は、たいへんスケールの付着が多くなる傾向があった。
本発明に係る廃水の処理方法は、このような廃水におい
てもたいへん効果があるものである。
【0039】本発明に係る廃水中の硫黄化合物の量は、
特に限定されるものではないが、廃水中に硫黄化合物の
合計で、100mg/リットル(硫黄元素換算)以上含
有される場合に効果的であり、より効果的となるのは1
g/リットル(硫黄元素換算)以上含まれる場合であ
る。100mg/リットル未満では、特に硫黄化合物が
問題となることが少ない。逆に量が多いほどスケール生
成の原因となり易く、本発明に係る廃水の処理方法の効
果が顕著となる。但し、70g/リットル(硫黄元素換
算)を超える場合には、湿式酸化反応が酸素の溶解律速
となり処理効率が低下することが多く、好ましくは35
g/リットル(硫黄元素換算)以下である。
【0040】また本発明に係る硫黄および/または低級
酸化数の硫黄化合物とは、硫酸イオン以外の硫黄化合物
であれば特に限定されるものではなく、例えば、硫黄自
体のほか、低級酸化数の硫黄化合物としては、チオ硫酸
ナトリウム、チオ硫酸カリウム等の各種チオ硫酸塩、ま
たは硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化水素ナトリウ
ム等の各種硫化物無機塩、硫化水素、または各種硫化ア
ルキル、メルカプタン類等のイオウを含有する有機物等
である。
【0041】本発明に係る廃水の処理方法で処理する最
も効果的な廃水は、スケール生成物質および硫黄化合物
等の両方を含有する廃水である。具体的には種々の廃水
があり、特に限定されるものではないが、好ましくは写
真処理設備から排出される液を含む廃水である。写真処
理設備から排出される廃水は、スケール生成物質および
硫黄化合物等の量が両方とも多く、従来からの廃水の処
理方法ではたいへん処理困難であった。しかしながら、
本発明を用いることで長期間に渡って特に効率よく処理
することが可能となる。
【0042】本発明に係る廃水の処理方法は、廃水を処
理する種々の方法に適用することができるが、酸素含有
ガスを供給しながら廃水を処理する各種廃水の処理方法
に適用されるものである。このなかでも特に効果的であ
る廃水の処理方法は、湿式酸化処理法による廃水の処理
方法とオゾン酸化処理法による廃水の処理方法であり、
さらに効果的であるのは湿式酸化処理法による廃水の処
理である。
【0043】湿式酸化処理法では廃水を高温に加熱し、
なおかつ高圧下で処理を実施するため、より上記固形物
の発生等の問題点が顕著になることが多く、本発明に係
る廃水の処理方法が特に効果的になるものである。
【0044】本発明は、単に湿式酸化処理法のみに限定
し使用できるものではなく、上記の問題を有する処理方
法に使用することができるが、説明を容易に行うため、
上記処理方法のうち、好ましい処理方法である湿式酸化
処理法を例として具体的に説明する。湿式酸化処理法と
は、廃水を140℃〜370℃に加熱し、該廃水が液相
を保持する圧力下で、酸素含有ガスを導入し、廃水を浄
化処理する方法である。該廃水の処理方法における反応
塔での最高温度は、140℃以上370℃未満であり、
好ましくは、160℃以上300℃未満である。370
℃以上である場合は、液が液相を保持できないものであ
る。一方、140℃未満である場合は、処理効率が著し
く低下し、廃水を浄化できないことが多い。また300
℃以上である場合は、液相を保持するための圧力がたい
へん高く、このための設備費およびランニングコストが
高いものとなる。また160℃未満である場合も、処理
効率が一般に低く、廃水の浄化性の低いことが多いもの
である。
【0045】本発明に係る廃水の処理方法における湿式
酸化処理の処理圧力は、処理温度との相関性により適宜
選択され、液が液相を保持する圧力で行う。
【0046】本発明に係る廃水の処理方法における廃水
の空間速度としては、0.1hr-1〜10hr-1が効果
的である。空間速度0.1hr-1未満である場合は廃水
の処理液量が低下し、設備が過大なものとなり、逆に1
0hr-1を超える場合には処理効率が低下し好ましくな
い。また好ましくは、0.3hr-1〜5hr-1である。
また本発明に係る廃水の処理方法におけるこの廃水の空
間速度は、廃水の供給位置から上部での処理(以下、反
応塔上部での処理とも記載する)と下部での処理(以
下、反応塔下部での処理とも記載する)でそれぞれ個別
に設定することができるものである。
【0047】本発明に係る酸素含有ガスとは、酸素分子
およびオゾンを含有するガスであり、オゾンおよび酸素
等のガスを用いる場合には、適宜不活性ガス等により希
釈して用いることができる。また酸素富化ガスを使用す
ることもでき、これらのガス以外にも他のプラントより
生じる酸素含有の排ガスも適宜使用することもできる。
しかしながら最も好ましいものは、価格の安価な空気で
ある。
【0048】本発明に係る廃水の処理方法において、酸
素含有ガスの反応塔への供給位置は、反応塔下部である
ことが効果的である。これは本発明に係る廃水の処理方
法では、液で満たされた反応塔内に酸素含有ガスを供給
する形を取るためである。すなわち反応塔下部より供給
した酸素含有ガスは、液の中を上昇するため、この場合
には、反応塔全体に自然にガスを供給できる。従って酸
素含有ガスの反応塔への供給位置は、反応塔の底である
ことが効果的であり、反応塔の底から抜き出す処理液の
排出口とは別であることがよい。
【0049】またこのため本発明に係る廃水の処理方法
において排ガスの反応塔からの排出位置は、反応塔上部
であることが効果的であり、より効果的には反応塔の最
上部である。さらに処理液の反応塔上部からの排出位置
も反応塔の最上部であることが効果的であり、排ガスお
よび反応塔上部の処理液の両方を共に排出することが最
も効果的である。
【0050】本発明に係る酸素含有ガスの供給量は、特
に限定されるものではなく、廃水の種類および処理の目
的、その他の処理条件などにより適宜適切な量とするこ
とができる。しかしながら一般的には、該廃水の理論酸
素要求量(以下、ThODとも記載する)の0.5倍以
上10倍以下が効果的であり、より効果的には等量以上
2倍以下である。0.5倍未満の場合には一般的に酸素
の供給不足となることが多く、廃水の処理効率が低下す
ることが多い。また10倍を越える場合には無用の供給
量であることが多く、すなわち10倍の量の時と比較し
て廃水の処理効率が向上することも少なく、なおかつラ
ンニングコストが増すものである。また0.5倍以上か
ら等量未満の範囲は完全に廃水を処理する量には足らな
いが、本発明に係る廃水の処理の多くは100%処理さ
れることは少なく、通常100%未満である。このため
処理効率以上の比率で供給している場合、酸素不足にな
らないことが多いものである。また2倍を越えて10倍
以下の範囲は多くの場合2倍の供給量の時と比較して廃
水の処理効率が余り向上することがなく、むしろランニ
ングコストが上がるものである。このため一般的には等
量以上2倍以下の範囲がコストパフォーマンスに優れ
る。すなわちランニングコストが比較的安く、なおかつ
処理効率も高く効果的であることが多い。
【0051】なお本発明に係る理論酸素要求量とは、廃
水中の有機物および無機物を、炭酸ガス、窒素ガス、無
機物、水に完全に変換するのに必要な酸素量をいう。さ
らに具体的に述べると、例えば、有機物や無機物の炭素
元素は炭酸ガスに、窒素元素は窒素ガスに、硫黄元素は
硫酸に、水素元素は水に、それぞれ酸化するのに必要な
酸素量をいう。ただし、廃水中に酸化剤が存在する場合
には、その酸化剤から与えられる酸素量を減ずるもので
ある。
【0052】本発明に係る酸素含有ガスの反応塔への供
給は、廃水を反応塔に導入する前側の熱交換器や加熱器
の前側でも導入することができる他、反応塔中段からさ
らに供給することもできる。
【0053】酸素含有ガスを反応塔に導入する前側の熱
交換器や加熱器の前側でも導入するのは、廃水の種類に
よっては熱交換器や加熱器において酸素を供給しない状
態で加熱した時、これらの部分が還元雰囲気となり、材
質の耐食性が低下することがあるためである。この酸素
含有ガスの供給量としては、装置材質が酸化皮膜を作る
以上の量であれば特に限定されるものではない。しかし
ながら、あまり量が多い場合には相対的に反応塔下部よ
り供給する酸素含有ガスの量が減少し、廃水の処理効率
が低下する場合があり、またランニングコスト的にも好
ましくない。具体的には、該廃水のThODの0.05
倍以上等量以下が効果的であり、より効果的には0.1
倍以上0.5倍以下である。
【0054】また反応塔の中段に供給する場合は、反応
塔上部での酸素含有ガス量を増して処理したいときに有
効であり、具体的には処理対象廃水のCOD濃度などが
濃いとき、および処理対象廃水の塩濃度が濃いときなど
に有効である。
【0055】本発明に係る廃水の処理方法における、廃
水の反応塔への供給位置は、反応塔の中段であるならば
特に限定されるものではない。具体的には、(廃水の供
給位置より下部の反応塔容積)/(反応塔の全容積)の
値が、20〜80%になる位置であることが効果的であ
る。この場合の供給位置とは、熱交換器もしくは加熱器
により昇温された廃水が、配管から反応塔内に供給され
た位置のことである。すなわち一般的に、熱交換器もし
くは加熱器で昇温された廃水が反応塔内の液と混合され
る位置である。また上記値は、好ましくは25〜75%
になる位置であり、さらに効果的には30〜70%にな
る位置である。廃水の供給位置が反応塔の真中であるほ
ど、より良好に処理された処理液が得られることが多い
ものである。逆に反応塔上部もしくは下部に偏っている
ほど、良好に処理された処理液を得るには、運転の制御
が煩雑である。
【0056】この供給位置の装置構造としては、反応塔
の中段に側面より配管を入れ、熱交換器もしくは加熱器
で昇温した廃水を、反応塔側面から直接供給することが
一般的である。この時、反応塔の側面にフランジおよび
マンホール等を適宜設けることができる。また反応塔内
に、液およびガス供給用のノズルや、整流板もしくは仕
切板のような内作物などを、適宜、単数もしくは複数設
けることもできる。またさらに反応塔の上部もしくは下
部から、熱交換器もしくは加熱器で昇温した廃水の配管
を入れ、反応塔内で配管を伸ばして該廃水を反応塔中段
に供給することもできる。この場合、熱交換器もしくは
加熱器で昇温した廃水が、さらに反応塔内でも昇温でき
る利点があり、熱交換器もしくは加熱器を小型化でき
る。
【0057】また廃水を反応塔へ供給する位置の表記
は、反応塔の長さで置き換えることができる。通常、反
応塔は上部から下部まで、ほぼ同じ断面積であることが
多い。このため、この場合の反応塔の高さ方向の比率
と、反応塔の容積の比率は、ほぼ等しいものである。
【0058】また本発明に係る廃水の処理方法おいて、
反応塔の下部より排出する処理液の量は、処理後の全液
量のうちの20〜80%であることが効果的である。ま
た残りの処理液は、反応塔上部より排出するものであ
る。すなわち供給した廃水量の20〜80%を反応塔下
部から排出し、80〜20%を反応塔上部から排出する
ものである。そしてこの場合の供給した廃水量とは、p
H調節および廃水の希釈などのために、処理に応じて廃
水に添加したアルカリなどの水溶液や水などを、廃水と
合計した量である(以下、全廃水供給量とも記載す
る)。また全廃水供給量の25〜75%であることがよ
り効果的であり、さらに効果的には30〜70%であ
る。そして反応塔下部から排出する処理液の量は、全廃
水供給量に対して(廃水の供給位置より下部の反応塔容
積)/(反応塔の全容積)の比率をかけた量であること
が最も効果的である。なお通常、反応塔は上部から下部
まで、ほぼ同じ断面積であることが多いので、上記容積
の値は、反応塔の長さで置き換えることができる。
【0059】この理由は、本発明に係る廃水の処理方法
では、反応塔の廃水の供給位置より上方向と下方向で別
々の処理を実施するが、上部から排出した処理液と下部
から排出した処理液の両方ともが、同じ程度に良好に処
理されていることが必要な場合が多いためである。上部
から排出した処理液と下部から排出した処理液の処理の
程度が異なる場合、一方の処理の程度が良好な方の浄化
が、あまり向上しないのに対して、もう一方の処理の程
度が劣る方の浄化が、大幅に劣ることが多いものであ
る。このためこれらの液を混合した場合、両方の処理液
の処理の程度を同等にした時と比較して、処理液全体の
浄化性が低下することが多いためである。
【0060】従って廃水を反応塔の廃水の供給位置より
も上方向(反応塔上部)にて処理する処理時間と、下方
向(反応塔下部)にて処理する処理時間は、ほぼ一定に
する必要がある。これにより反応塔上部から排出した処
理液と、反応塔下部から排出した処理液の処理の程度
を、ほぼ同じ程度にすることができるからである。
【0061】但し、反応塔下部から排出した処理液と反
応塔上部から排出した処理液に、その後、別々の処理を
施す場合には、特にこれに限定されるものではない。例
えば、後で記載する反応塔上部に固体触媒を用いた処理
を実施する場合、および反応塔下部から排出した処理液
を、再度反応塔の中段より供給して処理する場合などが
あり、これらの場合には、上記の効果的な液量の比率と
は異なるものであってもよい。
【0062】また本発明に係る廃水の処理方法におい
て、反応塔下部から抜き出す処理液の反応塔からの抜き
出し位置は、反応塔下部であれば特に限定されるもので
はないが、反応塔の底であることが効果的であり、また
反応塔下部から挿入する酸素含有ガスの供給位置と異な
ることが効果的である。
【0063】本発明に係る廃水の処理方法では、反応塔
の下部より排出した処理液を、固液分離処理し、得られ
た処理液を再度廃水とともに反応塔の中段より供給する
こともできる。
【0064】この場合には、上記で記載したような廃水
を反応塔の廃水の供給位置よりも上方向にて処理する処
理時間と下方向にて処理する処理時間を、ほぼ一定にす
る必要はない。むしろ下方向にて処理する時間は、上方
向で処理する時間よりも短くすることができる場合が多
い。また下方向にて処理する液量は、上方向にて処理す
る液量よりも多くすることができる場合が多いからであ
る。
【0065】この場合の下方向で廃水を処理する目的
は、主として廃水中のスケール生成物質を不溶化もしく
は難溶化させ、反応塔下部より排出した後、液中から固
形物および/またはスケール生成物質を除去することに
ある。また上方向で廃水を処理する目的は、固形物およ
び/またはスケール生成物質の少ない液を高処理効率で
処理し、廃水を浄化することにある。このため上方向に
て廃水を処理する時間は、下方向で処理する時間よりも
長くした方が効果的な場合が多い。また大部分の固形物
は反応塔の下部から排出し、反応塔の上部からは排出し
ないようにするため、固形物が沈降しやすいように、上
方向には液の線速度がなるべく遅い方がよいものであ
る。
【0066】本発明に係る廃水の処理方法では、反応塔
の上部に固体触媒を充填し、廃水を処理することができ
る。固体触媒を用いて廃水を処理した場合、該触媒を使
用しない場合と比較して、廃水をより浄化性高く処理す
ることができる。このため本発明に係る廃水の処理方法
を、さらに効果的に実施することができる。
【0067】本発明に係る廃水の処理方法において、固
体触媒の種類は特に限定されるものではなく、種々の廃
水処理に用いる固体触媒を使用することができる。例え
ば、チタン、鉄、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム
または活性炭等を含有する触媒が挙げられ、好ましく
は、チタン、チタン−ジルコニウム、チタン−鉄等の酸
化物を用いる。これらの触媒は、上記成分(以下、第1
成分とも記載する)の他、第2成分を含有してもよい。
【0068】この第2成分としては、マンガン、コバル
ト、ニッケル、タングステン、銅、セリウム、銀、白
金、パラジウム、ロジウム、金、イリジウム、ルテニウ
ム等の少なくとも1種の金属またはこれらの金属化合物
よりなる成分を用いることができる。この触媒は、第1
成分75〜99.95重量%に対して、第2成分25〜
0.05重量%の割合であることが好ましい。
【0069】また該触媒の形状も、ペレット状、球状、
粒状、リング状、ハニカム状など種々の形状のものを使
用することができる。
【0070】本発明に係る廃水の処理方法において固体
触媒を使用した場合には、固体触媒への固形物やスケー
ル生成物質の付着および吸着をなるべく低減する。この
ため、本発明に係る固体触媒を用いた廃水の処理方法で
は、反応塔下部で処理する液量に比較して、反応塔上部
で処理する液量を少なくした方が効果的である。これに
より、固形物および/またはスケール生成物質を反応塔
内でなるべく沈降させ、反応塔下部より排出することが
でき、固体触媒に固形物および/またはスケール生成物
質が付着および吸着することをなるべく防止することが
できるものである。
【0071】固体触媒を使用した時の、廃水の供給位置
より反応塔上部での処理の液量(以下、反応塔上部での
処理液量とも記載する)と、反応塔下部での処理の液量
(以下、反応塔下部での処理液量とも記載する)は、反
応塔上部での処理液量と反応塔下部での処理液量の比率
が、1:1〜1:20の範囲である場合が効果的であ
り、より効果的には1:2〜1:5の範囲である。1:
1の比率よりも反応塔上部での処理の液量が多い場合に
は、固体触媒層において固形物および/またはスケール
生成物質の付着および吸着が多くなり、触媒の活性低下
および反応塔の閉塞などを生じ易くなる。また1:20
よりも反応塔下部での処理液量が多い場合には、反応塔
の上部と下部で処理液量に大きく差があるため、装置の
運転面および処理液の性状などで種々の問題が生じ易く
なる。
【0072】この固体触媒の充填量は、廃水の供給位置
より上部の反応塔の内容積以下であるならば特に限定さ
れるものではないが、好ましくは廃水の供給位置より上
部の反応塔の内容積の4/5〜1/5の量であり、より
効果的には2/3〜1/3の量である。固体触媒の充填
量が多い場合には、固体触媒への固形物および/または
スケール生成物質の付着および吸着が増すものであり、
充填量が少ない場合には、固体触媒を充填して廃水をよ
り浄化性高く処理する効果が低減するものである。
【0073】本発明に係る廃水の処理方法において固体
触媒を使用する場合には、廃水の供給位置よりも上方向
で、かつ固体触媒よりも下方向に整流板および/または
仕切板などの内作物を設けた方が効果的である。整流板
および仕切板などの内作物は、固形物が沈降しやすいよ
うに補助し、本発明に係る固体触媒の耐久性向上に効果
がある。
【0074】本発明に係る廃水の処理方法において固体
触媒を使用する場合には、反応塔下部より排出した処理
液を固液分離処理し、得られた濾液を再度反応塔の中段
より供給する方法が有効である。これにより反応塔下部
での処理液量を増加することができ、固体触媒への固形
物やスケール生成物質の影響を低減できる。またこれに
より処理液の全部もしくは多くを、固体触媒で処理して
高度に処理できるようにもなるからである。
【0075】さらに上記濾液の反応塔中段への供給位置
は、反応塔中段から供給する廃水に反応塔手前で予め供
給してもよいし、直接反応塔中段に供給してもよいもの
である。しかしながら効果的には直接反応塔中段に供給
する方法であり、しかも廃水の供給位置よりも上部とす
る方法である。これにより反応塔に供給された廃水は反
応塔下部で処理され、反応塔上部では一度処理した後の
濾液だけを処理することができる。従って、固体触媒へ
の固形物および/またはスケール生成物質の付着および
吸着による活性の低下などの問題が解決できる。この時
の濾液の反応塔中段への供給位置は、廃水の供給位置か
ら固体触媒の間であるならば特に限定されるものではな
いが、効果的には廃水の供給位置と固体触媒層下部の間
における上方向で20〜100%の高さであり、より効
果的には30〜80%の位置である。なお、本発明に係
る濾液の反応塔中段への供給位置に関しては、廃水の供
給位置と固体触媒層下部の間の距離を100%に換算し
て記載している。具体的には、固体触媒層の下部を10
0%の位置、廃水の供給位置を0%の位置とするもので
ある。
【0076】廃水の供給位置と濾液の供給位置が近い場
合には、固形物および/またはスケール生成物質を含有
する廃水が、触媒層に供給され易くなるものである。ま
た濾液の供給位置が、固体触媒層と近い場合にも同様で
ある。また別に、この濾液の供給位置は、反応塔の直径
と同じ距離以上となるように、廃水の供給位置と濾液の
供給位置を離した方が効果的である。廃水の供給位置と
濾液の供給位置が、反応塔の直径未満と接近している場
合には、固形物および/またはスケール生成物質を含有
する廃水が、触媒層に供給され易くなるものである。
【0077】また、本発明に係る反応塔内の廃水供給ノ
ズルの形状は、特に限定されるものではないが、下方向
に向いている方が効果的であり、逆に濾液供給ノズルの
形状は、上方向に向いている方が効果的である。このよ
うな形状である方が、より上記の種々の効果が高くなる
ものである。
【0078】また上記の反応塔下部より排出した処理液
を固液分離処理し、得られた濾液を再度直接反応塔の中
段に供給した場合、廃水の供給位置よりも上方向で、か
つ濾液の供給位置よりも下方向に、整流板および仕切板
などの内作物を設けた方がより効果的である。すなわち
該濾液の供給位置は、整流板および/または仕切板より
も上方向で、かつ固体触媒よりも下方向である。これに
より、それぞれの液がより混合しないようになり、さら
に固体触媒への固形物および/またはスケール生成物質
の影響を低減でき、触媒の耐久性が向上できる。また、
この時の内作物の位置は、廃水の供給位置から濾液の供
給位置の間であるならば特に限定されるものではない
が、効果的には廃水の供給位置と濾液の供給位置の間に
おける上方向で10〜90%の高さであり、より効果的
には20〜80%の位置である。なお、本発明に係るこ
の時の内作物の位置に関しては、廃水の供給位置と濾液
の供給位置の間の距離を100%に換算して記載してい
る。具体的には、濾液の供給位置を100%の位置、廃
水の供給位置を0%の位置とするものである。
【0079】本発明に係る廃水の処理方法では、廃水
や、一度本発明に係る処理を行い反応塔下部から排出し
た処理液の固液分離後の濾液を、適宜、加熱器および/
または熱交換器を用いて昇温し、反応塔に供給すること
ができる。また本発明に係る処理を行った後の処理液
も、適宜、冷却器および/または熱交換器を用いて冷却
し、排出することができる。
【0080】また本発明に係る濾液の反応塔の供給に際
しても、廃水の反応塔への供給と同じく、適宜、酸素含
有ガスをその加熱器および/または熱交換器の前から導
入することもできる。
【0081】本発明に係る廃水の処理方法において加熱
器とは、電気ヒーターおよび熱媒ヒーター、蒸気ヒータ
ー等の外部熱源を用いて廃水を加熱する加熱器のことで
あり、特に限定されるものではない。
【0082】本発明に係る廃水の処理方法において熱交
換器とは、本発明に係る廃水を加熱し、および処理液を
冷却するのに熱交換を用いて行うものであり、特に限定
されるものではない。またその形状も二重管式、多管式
等の種々のタイプのものを使用することができる。
【0083】本発明に係る廃水の処理方法では、一般的
に反応塔では断熱状態で処理することが多いが、反応塔
で蒸気および電気ヒーター等を用いて再加熱してもよ
く、特に限定されるものではない。
【0084】また本発明に係る加熱器および/または熱
交換器は、複数の加熱器および/または熱交換器を使用
することができ、特に限定されるものではない。
【0085】本発明に係る廃水の処理方法において、廃
水のCODの濃度は、1g/リットル〜200g/リッ
トル含まれている場合が効果的であり、さらに効果的で
あるのは、5g/リットル〜150g/リットルであ
る。CODの濃度が200g/リットルを越える場合
は、CODの酸化熱が非常に大きくなるため、処理装置
の制御が困難であり、1g/リットル未満である場合に
は、本発明の処理方法を用いて該廃水を処理する効果が
少なく、他の従来からの技術を用いて処理可能である。
また5g/リットル未満である場合は、CODの酸化熱
が小さく、このような場合、付属設備として熱交換装置
を用いて熱回収しても、この熱による湿式酸化処理装置
の自立運転が困難となる。さらに、このような場合に
は、湿式酸化自体には支障はないが、処理を行う際、別
途熱供給装置を必要とし、使用エネルギー面からも相対
的に不利となる。
【0086】本発明において使用する湿式酸化処理装置
は、通常使用されるものが用いられ、湿式酸化反応塔
は、単管式、多管式のいずれの形式であってもよいが、
好ましくは単管式のものである。
【0087】本発明に係る廃水の処理方法では、該廃水
を湿式酸化処理した後、種々の固液分離処理装置を用
い、不溶解物等を固液分離除去することが適宜でき、特
に限定されるものではない。
【0088】本発明に係る廃水の処理方法では、廃水の
反応塔への供給および/または本発明に係る濾液の反応
塔への供給に際して、適宜、pH調整用のアルカリ性お
よび酸性の薬剤を添加することができ、特に限定される
ものではない。またこれらは、廃水と濾液や、加熱器
(熱交換器)の前後や、液の昇圧前と昇圧後や、液の供
給ラインと反応塔など種々に分割して供給することもで
き、特に限定されるものではない。ここで記載したアル
カリ性の薬剤とは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム
などの薬剤およびその水溶液などのことで、酸性の薬剤
とは、硫酸、硝酸、酢酸などの薬剤およびその水溶液な
どのことである。
【0089】以下、本発明を実施例および比較例をあげ
て詳細に説明するが、本発明は、これだけに限定される
ものではない。
【0090】
【実施例】
(実施例1)図1に示す湿式酸化処理装置を使用し、下
記の条件下で処理を500時間連続して行った。そして
500時間後に反応塔を開放し、反応塔の内部を観察し
た。以下に詳細な実験方法および結果について記述す
る。
【0091】廃水供給ライン7より送られてくる廃水
は、廃水供給ポンプ6で40リットル/hrの流量で昇
圧フィードした後、加熱器3で130℃に加熱し、反応
塔1の中段より供給した。この反応塔の容積は40リッ
トルで、廃水の供給位置は反応塔の下部から高さ方向に
50%の位置であった。このため廃水の供給位置から上
部の反応塔容積は20リットルであり、下部の反応塔容
積も20リットルであった。また空気を酸素含有ガス供
給ライン11より供給し、コンプレッサー10で昇圧し
た後、O2/ThOD(空気中の酸素量/理路論的酸素
要求量)=1.0の割合となるように酸素含有ガス流量
調節弁12で流量を調節して反応塔1の底より供給し
た。なおこの酸素含有ガスの供給口は、反応塔下部の処
理液の排出口とは異なるノズルを設け、反応塔1の底の
ほぼ中央部から10cmのノズルを垂直に出した。また
別途、加熱器3の手前にもO2/ThOD=0.5の割合
となるように補助酸素含有ガス流量調節弁13で空気を
供給し、該廃水に混入した。また25重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液を、アルカリ供給ライン9より供給し
て、アルカリ供給ポンプ8を用いて、加熱器3の手前か
ら4.0リットル/hrの流量で該廃水に混入した。反
応塔1では、電気ヒーター2を用いて加熱し、反応塔の
上部および下部ともに処理最高温度235℃で湿式酸化
処理をした。反応塔下部で湿式酸化処理した処理液は、
反応塔1の底のほぼ中央部から抜き出し、下部処理液ラ
イン15を経て、下部冷却器4で冷却した後、下部排出
弁17から解圧して下部気液分離器16で気液分離し
た。下部気液分離器16においては、下部処理液排出ポ
ンプ18を用いて22リットル/hrで処理液を処理液
排出ライン19を経て排出した。また下部気液分離器1
6においては、液面コントローラ(LC)により液面を
検出し、下部排出弁17を作動させて一定の液面を保持
するように操作した。また反応塔上部で湿式酸化処理し
た処理液と排ガスは、反応塔1の最上部のほぼ中央部か
ら抜き出し、上部処理液ライン14を経て、上部冷却器
5で冷却した後、上部気液分離器20で気液分離処理し
た。上部気液分離器20においては、液面コントローラ
(LC)により液面を検出して液面制御弁22を作動さ
せて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ
(PC)により圧力を検出して圧力制御弁21を作動さ
せて80kg/cm2Gの圧力を保持するように操作し
た。そして上部処理液は、上部処理液排出ライン24か
ら排出した。この上部処理液の量は、22リットル/h
rであった。また処理開始時の反応塔入口圧力(PI)
は、81kg/cm2Gであった。
【0092】処理に供した廃水は、以下のような性状で
あった。ThODが64g/リットル、COD(Cr)が5
5g/リットル、pHは7.8で、鉄を520mg/リ
ットル、アルミニウムを240mg/リットル、リンを
110mg/リットル含有していた。また硫黄化合物
を、硫化物およびチオ硫酸イオン、亜硫酸イオンの形態
で合計21g/リットル(硫黄元素換算)含有してい
た。
【0093】500時間後に得られた結果は、下部処理
液ではCOD(Cr)20g/リットル、pH7.1で、上
部処理液ではCOD(Cr)21g/リットル、pH7.1
であった。また500時間後の反応塔入口圧力(PI)
は、81kg/cm2Gであった。その後処理を停止
し、反応塔の内部を点検したが、反応塔内で特に多くの
固形物の堆積は観察されなかった。
【0094】(比較例1)図4に示す湿式酸化処理装置
を使用し、下記の条件下で処理を500時間連続して行
った。そして500時間後に反応塔を開放し、反応塔の
内部を観察した。以下に詳細な実験方法および結果につ
いて記述する。
【0095】廃水供給ライン7より送られてくる廃水
は、廃水供給ポンプ6で40リットル/hrの流量で昇
圧フィードした。また空気を酸素含有ガス供給ライン1
1より供給し、コンプレッサー10で昇圧した後、O2
/ThOD(空気中の酸素量/理路論的酸素要求量)=
1.5の割合となるように酸素含有ガス流量調節弁12
で流量を調節して加熱器3の手前から該廃水に混入し
た。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アル
カリ供給ライン9より供給して、アルカリ供給ポンプ8
を用いて、加熱器3の手前から4.0リットル/hrの
流量で該廃水に混入した。これら廃水、水酸化ナトリウ
ム水溶液および酸素含有ガスの混合物は、加熱器3で1
30℃に加熱し、反応塔1の底のほぼ中央部から供給し
た。反応塔1の容積は40リットルで、反応塔1では電
気ヒーター2を用いて加熱し、反応塔の処理最高温度2
35℃で湿式酸化処理をした。湿式酸化処理した処理液
は、処理液ライン14を経て、冷却器5で冷却した後、
気液分離器20で気液分離処理した。気液分離器20に
おいては、液面コントローラ(LC)により液面を検出
して液面制御弁22を作動させて一定の液面を保持する
とともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出
して圧力制御弁21を作動させて80kg/cm2Gの
圧力を保持するように操作した。そして処理液は、処理
液排出ライン24から排出した。処理開始時の反応塔入
口圧力(PI)は、82kg/cm2Gであった。
【0096】処理に供した廃水は、実施例1と同じ廃水
を用いた。
【0097】500時間後に得られた処理液の結果は、
COD(Cr)21g/リットル、pH7.1であった。し
かし、500時間後の反応塔入口圧力(PI)が87k
g/cm2Gにまで上昇した。またその後処理を停止
し、反応塔の内部を点検した結果、反応塔の底に多量の
固形物が堆積していた。
【0098】(実施例2)図2に示す湿式酸化処理装置
を使用し、反応塔1の最上部に固体触媒を10リットル
充填した。そして、下記の湿式酸化処理条件下で処理を
500時間連続して行った。そして500時間後に反応
塔を開放し、反応塔の内部を観察した。以下に詳細な実
験方法および結果について記述する。
【0099】廃水供給ライン7より送られてくる廃水
は、廃水供給ポンプ6で10リットル/hrの流量で昇
圧フィードした後、加熱器3で130℃に加熱し、反応
塔1の中段より供給した。この反応塔の容積は40リッ
トルで、廃水の供給位置は反応塔の下部から高さ方向に
50%の位置(反応塔の底から3.0mの位置)であっ
た。このため廃水の供給位置から上部の反応塔容積は2
0リットルであり、下部の反応塔容積も20リットルで
あった。また空気を酸素含有ガス供給ライン11より供
給し、コンプレッサー10で昇圧した後、O2/ThO
D(空気中の酸素量/理路論的酸素要求量)=1.1の
割合となるように酸素含有ガス流量調節弁12で流量を
調節して反応塔1の底より供給した。なおこの酸素含有
ガスの供給口は、反応塔下部の処理液の排出口とは異な
るノズルを設け、反応塔1の底のほぼ中央部から10c
mのノズルを垂直に出した。また別途、加熱器3の手前
にもO2/ThOD=0.2の割合となるように補助酸素
含有ガス流量調節弁13で空気を供給し、該廃水に混入
した。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、ア
ルカリ供給ライン9より供給して、アルカリ供給ポンプ
8を用いて、加熱器3の手前から1.0リットル/hr
の流量で該廃水に混入した。反応塔1では、電気ヒータ
ー2を用いて加熱し、反応塔の上部は処理最高温度26
0℃で、また下部は処理最高温度245℃で湿式酸化処
理をした。反応塔下部で湿式酸化処理した処理液は、反
応塔1の底のほぼ中央部から抜き出し、下部処理液ライ
ン15を経て、下部冷却器4で冷却した後、下部排出弁
17から解圧して下部気液分離器16で気液分離した。
下部気液分離器16においては、下部処理液排出ポンプ
18を用いて30リットル/hrで処理液を処理液排出
ライン19を経て排出した。また下部気液分離器16に
おいては、液面コントローラ(LC)により液面を検出
し、下部排出弁17を作動させて一定の液面を保持する
ように操作した。処理液排出ライン19を経て排出した
一次処理液は、フィルタープレスを用いた固液分離器2
6で固液分離処理し、一次処理液タンク27に入れた。
一次処理液タンク27の一次処理液は、一次処理液供給
ポンプ28を用いて30リットル/hrで昇圧フィード
した後、一次処理液供給ライン29を経て、加熱器30
で240℃に加熱し、再度、反応塔1に供給した。この
濾液の供給位置は、反応塔の底から67%の位置(反応
塔の底から4.0mの位置)であり、廃水の供給位置と
1.0m離れていた。反応塔上部で触媒湿式酸化処理し
た処理液と排ガスは、反応塔1の最上部のほぼ中央部か
ら抜き出し、上部処理液ライン14を経て、上部冷却器
5で冷却した後、上部気液分離器20で気液分離処理し
た。上部気液分離器20においては、液面コントローラ
(LC)により液面を検出して液面制御弁22を作動さ
せて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ
(PC)により圧力を検出して圧力制御弁21を作動さ
せて80kg/cm2Gの圧力を保持するように操作し
た。そして上部処理液は、上部処理液排出ライン24か
ら排出した。この上部処理液の量は、11リットル/h
rであった。また処理開始時の反応塔入口圧力(PI)
は、82kg/cm2Gであった。なお運転開始時の一
次処理液タンク27に、一次処理液が500リットル程
度溜まるまでは、一次処理液供給ポンプ28で純水を3
0リットル/hrで供給した。
【0100】この反応塔の形状は、高さ6.0mの円筒
形の反応塔であり、内径9.2cmであった。そして固
体触媒の充填位置は、反応塔の底から上方向に75〜1
00%の4.5〜6.0mの位置であった。すなわち、濾
液の反応塔中段への供給位置は、廃水の供給位置より
1.0m上で、固体触媒層の下部より0.5m下であり、
廃水の供給位置と固体触媒層下部の間の上方向に67%
の位置であった。また反応塔の底から上方向に58%の
位置(反応塔の底から3.5mの位置)に、外径9.1c
m、厚み0.2cmの円盤状の板に、中心に内径1.5c
mの穴を開けた仕切板31を1枚充填した。すなわち、
この仕切板の位置は、廃水の供給位置より0.5m上
で、濾液の供給位置よりも0.5m下であり、廃水の供
給位置と濾液の供給位置の間の上方向に50%の位置で
あった。
【0101】処理に供した廃水は、以下のような性状で
あった。ThODが34g/リットル、COD(Cr)が3
0g/リットル、pHは7.3で、鉄を340mg/リ
ットル、アルミニウムを85mg/リットル、リンを6
5mg/リットル含有していた。また硫黄化合物を、硫
化物およびチオ硫酸イオン、亜硫酸イオンの形態で合計
11g/リットル(硫黄元素換算)含有していた。なお
処理に供した廃水は、写真処理設備から排出される廃水
を用いた。
【0102】処理に用いた触媒は、主成分としてチタ
ン、ジルコニウム、パラジウムからなる触媒を用い、そ
れぞれの重量比がTiO2:ZrO2:Pd換算で50:
50:1.0であった。また形状は、直径7mm×長さ
8mmのペレット状であった。
【0103】500時間後に得られた結果は、下部処理
液ではCOD(Cr)10g/リットル、pH8.4で、上
部処理液ではCOD(Cr)1.7g/リットル、pH6.1
であった。また500時間後の反応塔入口圧力(PI)
は、82kg/cm2Gであった。その後処理を停止
し、反応塔の内部を点検したが、反応塔内で特に多くの
固形物の堆積は観察されなかった。
【0104】(実施例3)濾液の供給位置を変更し、廃
水供給ポンプ6の流量を40リットル/hrとした以外
は、実施例2と同じ条件で処理を100時間連続して行
った。従って図3に示す湿式酸化処理装置を使用した。
そして100時間後に反応塔を開放し、反応塔の内部を
観察した。
【0105】濾液の供給位置は、廃水供給ポンプ6の上
流側で、廃水供給ライン7より送られてくる廃水と混合
後、廃水供給ポンプ6で40リットル/hrで昇圧フィ
ードした。すなわち一次処理液タンク27の一次処理液
は、一次処理液供給ポンプ28を用いて30リットル/
hrで一次処理液供給ライン29を経て、再度廃水供給
ライン7より送られてくる廃水と混合した。また廃水供
給ライン7より送られた廃水の供給量は、10リットル
/hrであった。混合後の液は、加熱器3で130℃に
加熱し、反応塔1の中段より供給した。
【0106】100時間後に得られた結果は、下部処理
液ではCOD(Cr)9.2g/リットル、pH8.3で、上
部処理液ではCOD(Cr)2.5g/リットル、pH6.4
であった。また100時間後の反応塔入口圧力(PI)
は、82kg/cm2Gであった。その後処理を停止
し、反応塔の内部を点検したが、反応塔内で特に多くの
固形物の堆積は観察されなかった。
【0107】(比較例2)図5に示す湿式酸化処理装置
を使用し、反応塔1に実施例2で使用した固体触媒を湿
式酸化反応塔の最上部に10リットル充填した。そし
て、下記の湿式酸化処理条件下で処理を行った。以下に
詳細な実験方法および結果について記述する。
【0108】廃水供給ライン7より送られてくる廃水
は、廃水供給ポンプ6で10リットル/hrの流量で昇
圧フィードした。また空気を酸素含有ガス供給ライン1
1より供給し、コンプレッサー10で昇圧した後、O2
/ThOD(空気中の酸素量/理路論的酸素要求量)=
1.3の割合となるように酸素含有ガス流量調節弁12
で流量を調節し、加熱器3の手前から該廃水に混入し
た。また25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アル
カリ供給ライン9より供給して、アルカリ供給ポンプ8
を用いて、加熱器3の手前から1.0リットル/hrの
流量で該廃水に混入した。これら廃水、水酸化ナトリウ
ム水溶液および酸素含有ガスの混合物は、加熱器3で1
30℃に加熱し、反応塔1の底のほぼ中央部から供給し
た。反応塔1の容積は40リットルで、反応塔1では電
気ヒーター2を用いて加熱し、反応塔の処理最高温度2
60℃で湿式酸化処理をした。湿式酸化処理した処理液
は、処理液ライン14を経て、冷却器5で冷却した後、
気液分離器20で気液分離処理した。気液分離器20に
おいては、液面コントローラ(LC)により液面を検出
して液面制御弁22を作動させて一定の液面を保持する
とともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出
して圧力制御弁21を作動させて80kg/cm2Gの
圧力を保持するように操作した。そして処理液は、処理
液排出ライン24から排出した。この処理液の量は、1
1リットル/hrであった。また処理開始時の反応塔入
口圧力(PI)は、82kg/cm2Gであった。
【0109】処理に供した廃水は、実施例2と同じ廃水
を用いた。
【0110】その結果、80時間後に反応塔入口圧力
(PI)が90kg/cm2Gにまで上昇したため、処
理を停止した。その後、反応塔の内部を点検した結果、
固体触媒層において多量の固形物が付着して反応塔が閉
塞していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【図3】本発明に係る処理装置の実施態様の一つであ
る。
【図4】本発明の比較例に係る処理装置の実施態様の一
つである。
【図5】本発明の比較例に係る処理装置の実施態様の一
つである。
【符号の説明】
1.反応塔 2.電気ヒーター 3.加熱器 4.下部冷却器 5.上部冷却器 6.廃水供給ポンプ 7.廃水供給ライン 8.NaOH水溶液供給ポンプ 9.NaOH水溶液供給ライン 10.コンプレッサー 11.酸素含有ガス供給ライン 12.酸素含有ガス流量調節弁 13.補助酸素含有ガス流量調節弁 14.上部処理液ライン 15.下部処理液ライン 16.下部気液分離器 17.下部排出弁 18.下部処理液排出ポンプ 19.下部処理液排出ライン 20.上部気液分離器 21.圧力制御弁 22.液面制御弁 23.ガス排出ライン 24.上部処理液排出ライン 25.固体触媒 26.固液分離機 27.一次処理液タンク 28.一次処理液供給ポンプ 29.一次処理液供給ライン 30.加熱器 31.仕切板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/58 CDP C02F 1/58 CDPR 1/60 ZAB 1/60 ZAB 1/62 CCU 1/62 CCUZ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃水を反応塔を用いて酸素含有ガスの供
    給下に処理するに際して、該廃水を該反応塔の中段より
    供給し、処理後の液を反応塔の上部および下部より排出
    することを特徴とする廃水の処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該廃水が、固形物お
    よび/またはスケール生成物質を50mg/リットル以
    上含むことを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、該スケール生成物質
    が、重金属類、アルミニウム、リン、ケイ素、カルシウ
    ムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項2記載の廃水の処
    理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、該廃水の処理が、廃
    水を140℃〜370℃に加熱し、該廃水が液相を保持
    する圧力下で、酸素含有ガスの供給下に湿式酸化処理す
    ることを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、該素含有ガスを反応
    塔の下部より供給し、反応塔の上部より排ガスを排出す
    ることを特徴とする請求項1または4記載の廃水の処理
    方法。
  6. 【請求項6】 該廃水が、硫黄および/または低級酸化
    数の硫黄化合物を含有することを特徴とする請求項1〜
    5記載の廃水の処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、該廃水を反応塔の中
    段に供給する位置が、(廃水の供給位置より下部の反応
    塔容積)/(反応塔の全容積)の値で、20〜80%に
    なる位置であることを特徴とする請求項1記載の廃水の
    処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、処理後の液のうち、
    20〜80%を反応塔の下部より排出し、残りの液を反
    応塔の上部より排出することを特徴とする請求項1記載
    の廃水の処理方法。
  9. 【請求項9】 該反応塔の上部に固体触媒を充填するこ
    とを特徴とする請求項1記載の廃水の処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の廃水の処理方法におい
    て、整流板および/または仕切板を、該廃水の供給位置
    よりも上方向で、かつ固体触媒よりも下方向に設けるこ
    とを特徴とする請求項9記載の廃水の処理方法。
  11. 【請求項11】 該反応塔の下部より排出した処理液を
    固液分離処理し、得られた濾液を再度反応塔の中段より
    供給することを特徴とする請求項9記載の廃水の処理方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の廃水の処理方法にお
    いて、濾液は廃水と混合することなく反応塔に供給し、
    かつ該濾液の供給位置が該廃水の供給位置よりも上方向
    であることを特徴とする請求項10記載の廃水の処理方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の廃水の処理方法にお
    いて、該濾液の供給位置が請求項10記載の整流板およ
    び/または仕切板よりも上方向で、かつ固体触媒よりも
    下方向であることを特徴とする請求項12記載の廃水の
    処理方法。
  14. 【請求項14】 該廃水が、写真処理設備から排出され
    る廃水を含むものであること特徴とする請求項1〜13
    記載の廃水の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011031228A (ja) * 2009-08-06 2011-02-17 Shimizu Corp 溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置

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