JP3321142B2 - 排水の処理方法 - Google Patents

排水の処理方法

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JP3321142B2 JP2000102629A JP2000102629A JP3321142B2 JP 3321142 B2 JP3321142 B2 JP 3321142B2 JP 2000102629 A JP2000102629 A JP 2000102629A JP 2000102629 A JP2000102629 A JP 2000102629A JP 3321142 B2 JP3321142 B2 JP 3321142B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水を浄化処理す
る方法に関するものである。詳細には、有機および/ま
たは無機の被酸化物質を含有する排水を、触媒を用いて
酸素含有ガスの供給下で湿式酸化処理する方法に関し、
活性炭を含有する固体触媒を用い、さらに排気ガス中の
酸素濃度を調節することで、効率良く、長期間安定的に
排水を処理することのできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機や無機の被酸化性物質を含有する排
水を処理する方法としては、例えば生物学的処理法や湿
式酸化法などが知られている。このうち生物学的処理法
では、排水中の被酸化性物質を分解するのに長時間を要
し、しかも低濃度のものしか処理できないので、排水が
高濃度の場合、適切な濃度に希釈する必要などがあり、
これらの為に処理施設の設備面積が広大になるという欠
点がある。また、使用する微生物は気温等の影響を大き
く受けるため、安定した運転を続けることは困難であっ
た。
【0003】一方、湿式酸化法は、高温、高圧下で、し
かも酸素の存在下で排水を処理し、排水中の被酸化性物
質を酸化および/または分解処理する方法である。この
方法において、反応速度を速め且つ反応条件を緩和する
手段として、例えば酸化物を用いた触媒やこれら酸化物
と貴金属元素等を組み合わせた触媒を使用する触媒湿式
酸化法等が提案されている。
【0004】しかしながら、この方法で排水中に含有す
る種々の被酸化性物質を酸化および/または分解処理し
て排水を浄化するには、170℃以上の処理温度で処理
する必要があり、このため処理圧力も1MPa(Gau
ge)を越える圧力が必要であることが多かった。例え
ば、特開平11−347574号には、チタニアに白金
を担持した触媒を用い、170℃の処理温度下で酢酸を
湿式酸化処理する方法が提案されているが、この技術で
は依然として比較的高温の処理条件が必要であり、さら
に排水の高度処理が可能で、且つ低温・低圧の処理条件
である排水の処理方法が望まれていた。
【0005】こうしたことから本発明者らは、新規触媒
の開発および新規処理方法について従来から検討してき
た。その結果、より反応条件を緩和できる手段の1つと
して、活性炭を含有した固体触媒を用いた場合には、1
70℃未満の低温で且低圧の処理条件下で、有機や無機
の被酸化性物質に対して特異的に高活性であることが確
認できた。
【0006】ところで、活性炭を含有した固体触媒を用
いた場合には、従来の湿式酸化条件下では活性炭自身が
燃焼する問題が存在し、このため活性炭を湿式酸化用触
媒として実用化することは不可能であった。即ち、活性
炭を含有した触媒を用いた場合は、170℃以上の処理
温度のもとで使用したときに、触媒の耐熱性に問題が多
く、初期には高活性の触媒性能を示しても、わずか10
0時間にも満たない程度の使用で劣化していたのであ
る。このため、このような触媒の実用化は不可能であっ
た。一方、170℃未満の処理温度においても、その使
用方法を十分考慮しなかった場合には、供給した酸素含
有ガスによって活性炭自身が燃焼し、わずか100〜数
百時間程度の使用でも触媒が劣化した。このため、実際
に排水を処理する湿式酸化処理装置において、この活性
炭を含有した触媒の使用は不可能であった。
【0007】また特開平11−179378号には、貴
金属を担持した活性炭触媒を用いて炭素数が1つに限定
された含酸素有機化合物を100℃以下の温度で酸化分
解させる方法が記載されているが、炭素数が2つ以上の
有機化合物や無機化合物の処理に対しては適用すること
ができない。また貴金属担持活性炭触媒の耐久性(耐熱
性)に対しても十分検討されているものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであって、その目的は、活性炭
を含有する固体触媒を用いて、比較的低温・低圧で効率
良く、長期間安定的に排水を処理することのできる触媒
湿式酸化法による排水の処理方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の排水の処理方法とは、排水中に含まれる有機およ
び/または無機の被酸化性物質を、触媒を用いて酸化お
よび/または分解処理(以下、「酸化・分解処理」と略
記することがある)に付す排水の処理方法において、5
0℃以上170℃未満の処理温度、該排水が液相を保持
する圧力下で、酸素含有ガスを供給すると共に、活性炭
を含有する固体触媒を用いて排水を処理し、後の排気ガ
ス中の酸素濃度を0〜5vol%の範囲に維持して操業
する点に要旨を有するものである。本発明方法で用いる
該固体触媒は、基本的に活性炭を含有するものである
が、更にPt,Pd,Rh,Ru,Ir,Ag,Auよ
りなる群から選択される1種以上の元素を含有するもの
であることが望ましい。
【0010】本発明方法においては、上記の様に、活性
炭を含有する固体触媒を用いて排水を処理した後の排気
ガス中の酸素濃度が0〜5vol%の範囲に維持して操
業するものであるが、この酸素濃度を上記の様な範囲に
維持するためには、上記排気ガス中の酸素濃度を酸素濃
度計によって監視し、その変動に応じて酸素含有ガスの
供給量を調節もしくは制御することが望ましい。またそ
の為の好ましい具体的制御条件としては、[供給酸素含
有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大になると
きの排水の酸素消費量]=0.8〜1.3倍の範囲とな
るように設定することが挙げられる。
【0011】また本発明方法を実施するに当たっては、
前記触媒を充填した触媒層における気液の流通方法が、
気液下向並流とすることが望ましく、また酸素含有ガス
の供給も、触媒層の前や触媒層の途中の1カ所以上に分
割して供給することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記目的を達成す
るために様々な角度から検討した。その結果、50℃以
上170℃未満の処理温度、該排水が液相を保持する圧
力下で、酸素含有ガスを供給すると共に、活性炭を含有
する固体触媒を用いて排水を処理すれば、排水中の被酸
化性物質を高効率で酸化・分解処理できること、および
排水を処理した後の排気ガス中の酸素濃度を特定の範囲
となるようにすれば、触媒の劣化を抑制し、排水中の被
酸化性物質を長期間、安定的に処理できることを見出
し、本発明を完成した。
【0013】本発明で対象とする「被酸化性物質」と
は、酸化・分解処理によって浄化処理できる有機および
/または無機の化合物を意味し、また有機化合物、硫黄
化合物、窒素化合物などとも表現することができ、更に
は特に限定されるものではないが有機ハロゲン化合物や
有機燐化合物などであっても良い。具体的には、例えば
メタノール、エタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、ア
セトン、酢酸、プロピオン酸、テトラヒドロフラン(T
HF)、フェノールなどの有機化合物;アンモニア、ヒ
ドラジン、亜硝酸イオン、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ピリジンなどの窒素化合物;チオ硫酸イオン、硫
化ナトリウム、ジメチルスルホキシド、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩などの硫黄化合物、等を挙げることがで
きる。これらは、水中に溶解していても、また懸濁物質
として存在していてもよい。
【0014】本発明で用いる固体触媒は、少なくとも活
性炭を触媒成分として含有するものであれば良い。ま
た、この活性炭の種類については、特に限定されるもの
ではなく、例えば、木炭、ヤシガラ炭、石炭、コーク
ス、ピート、リグナイト、ピッチなどを原料とするもの
が挙げられ、またアクリロニトリル系活性炭素繊維やフ
ェノール系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維、
ピッチ系活性炭素繊維などの炭素繊維系の活性炭であっ
ても良い。また、固体触媒の形状についても、球状、粒
状、ペレット状、リング状、破砕状、ハニカム状等、様
々な形状のものが使用可能である。
【0015】本発明における活性炭を含有する触媒の物
性値は、特に限定されるものではないが、好ましくは
0.1〜10μmの細孔径を有する該細孔の容積の総和
が0.1〜0.8ml/gで、且つ比表面積が100〜
2,500m2/gのものが良い。また、0.1〜10
μmの細孔径を有する該細孔の容積の総和が0.15〜
0.7ml/gのものがより望ましく、更に望ましくは
0.2〜0.6ml/gのものである。また比表面積
が、500〜2,000m2/gのものがより望まし
く、更に望ましくは800〜1,700m2/gのもの
であり、最も望ましくは900〜1,500m2/gの
ものである。これらの規定理由は、下記の通りである。
【0016】本発明の排水の湿式酸化処理では、マクロ
孔である0.1〜10μmの触媒細孔径が、排水中に含
有される被酸化性物質や酸素の拡散に大きく影響する。
このため、0.1〜10μmの細孔径が多い触媒では、
被酸化性物質や酸素の拡散が容易になるので、反応が進
行し易くなる。即ち、低温・低圧での処理効率が向上す
る。これに対して、0.1〜10μmの細孔径が少ない
触媒では、被酸化性物質や酸素の拡散が悪い。このた
め、被酸化性物質の触媒活性点への吸着が生し難くな
り、効率良く反応が進まなくなるばかりか、酸素が被酸
化性物質の分解に効率良く使用されず、余剰酸素で活性
炭自身が燃焼し易くなる。一方、0.1〜10μmの細
孔径が非常に多い触媒では、触媒の機械的強度が低下す
る問題が生じる。このため、0.1〜10μmの細孔径
を有する該細孔径容積の総和が、上記範囲の細孔容積を
有する触媒が望ましいものである。
【0017】また触媒の比表面積は、大きいものほど排
水中に含有される被化性物質の吸着が増加し、これに伴
って排水の処理効率が向上する傾向がある。このため、
比表面積が小さい触媒は望ましくないものである。但
し、触媒の比表面積が非常に大きい触媒では、触媒の機
械的強度が低下する問題を生じる。こうしたことから、
触媒の比表面積が、上記の範囲の値を有する触媒が望ま
しいものである。
【0018】一般に活性炭は、酸化処理もしくは還元処
理などの処理を実施すると、表面に極性基が導入された
り、逆に除去され、その物性値が著しく変化することが
知られている。同様に、本発明に係る触媒においても、
触媒中の極性基量に応じて、その触媒性能が著しく変化
するものである。特にこの極性基量と触媒活性の関係
は、排水中の処理対象成分(被酸化性物質)によって大
きく変化する。例えば、処理対象成分(被酸化性物質)
が有機物やアニオン性の無機物の場合では、活性炭を含
有する触媒中の極性基量が少なく、疎水性の高い触媒
(活性炭)である必要がある。このため、触媒は還元処
理されたものほど高活性を示す傾向がある。逆にアンモ
ニアやヒドラジンのようなカチオン性の無機物の場合で
は、活性炭を含有する触媒中の極性基量が多いものであ
る必要がある。このため、触媒は酸化処理されたものほ
ど高活性を示す傾向がある。
【0019】これらの理由としては、処理対象成分の触
媒への吸着され易さが大きく影響しているものと考えら
れる。活性炭を含有する触媒中の極性基の多くは、水酸
基やカルボキシル基などの含酸素官能基である。従っ
て、本発明における活性炭を含有する触媒では、特に限
定されるものではないが、触媒中の酸素量/炭素量(以
下、O/C比とも記載する)が、触媒中の極性基量と相
関関係にある。このため、極性基量の少ない触媒はO/
C比が小さく、逆に極性基量の多い触媒はO/C比が大
きいものである。また本発明に係る触媒は、処理対象成
分に対する好ましい触媒と好ましくない触媒をO/C比
で分類することができる。具体的に例示するならば、処
理対象成分(被酸化性物質)が有機物やアニオン性の無
機物の場合に望ましい触媒は、O/C比が0〜0.12
であり、より望ましくは0〜0.10であり、更に望ま
しくは0〜0.08である。逆に処理対象成分(被酸化
製物質)がアンモニアやヒドラジンのようなカチオン性
の無機物の場合に望ましい触媒は、O/C比が0.08
〜0.30であり、より望ましくは0.10〜0.25
であり、更に望ましくは0.12〜0.20である。但
し、あまりO/C比の大きい触媒は、触媒の機械的強度
が低下する問題を生じるものである。
【0020】上記のように、本発明における活性炭を含
有する触媒は、特に限定するものではないが、触媒を製
造するにあたり触媒に各種処理を実施し、各種処理目的
に合わせたO/C比にすることが望ましい。具体的に
は、触媒中のO/C比を小さくし、極性基量の少ない触
媒とするには、各種の還元処理を触媒に実施することが
望ましい。例えば、水素を用いた気相還元や亜硫酸ナト
リウムやヒドラジンなどの還元物質を用いた液相還元に
よる方法が挙げられる。この処理によって、触媒の活性
成分が還元および/または活性炭(活性炭表面)が水素
化され、有機物やアニオン性の無機物に対して高活性な
触媒を製造できると考えられる。また活性炭を製造する
工程で通常行われる各種賦活処理で実施することもでき
る。例えば、高温で水蒸気、炭酸ガス、窒素ガスと接触
させることによって実施することもできる。逆に、触媒
中のO/C比を大きくし、極性基量の多い触媒とするに
は、各種の酸化処理を触媒に実施することが望ましい。
例えば、酸素含有ガスやオゾン、NOxなどの各種ガス
を用いて酸化処理する気相酸化や過酸化水素、オゾン水
溶液、臭素水、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、次亜塩
素酸塩、硝酸、リン酸などの薬品を用いた液相酸化によ
る方法が挙げられる。この処理によって、触媒の活性成
分が酸化および/または活性炭(活性炭表面)に含酸素
官能基のような極性基が導入され、アンモニアやヒドラ
ジンのようなカチオン性の無機物に対して高活性な触媒
を製造できると考えられる。また、本発明における活性
炭を含有する触媒には、ニトロ化やスルホン化、アミノ
化などの処理やアルカリ金属化合物による処理なども実
施することができる。
【0021】上記のように、本発明における活性炭を含
有する触媒では、処理対象成分(被酸化性物質)に対す
る吸着性能に優れた触媒が、触媒活性の高い触媒となる
傾向がある。このため、本発明における活性炭を含有す
る触媒の物性値として、処理対象成分(被酸化性物質)
に対する吸着性能を挙げることもできる。例えば、排水
中の処理対象成分(被酸化性物質)が有機物の場合に
は、その有機物自身の吸着性能は勿論、その有機物が酸
化・分解処理されて生成する被酸化性物質の吸着性能を
挙げることもできる。更に、炭素数2以上の有機物が処
理対象成分である場合、特に限定されるものではない
が、一般に酢酸が湿式酸化処理後に処理液中に残留し易
い。このため、酢酸の吸着性能に優れた活性炭を用いて
作成した触媒が、有機物に対する触媒活性の高い触媒と
なる傾向がある。逆に処理対象成分(被酸化性物質)が
アンモニアやヒドラジンのようなカチオン性の無機物の
場合には、アンモニアの吸着性能に優れた活性炭を用い
て作成した触媒が、これらに対して触媒活性の高い触媒
となる傾向がある。また、特に限定されるものではない
が、処理対象成分に対する吸着性能の優れた触媒に使用
した活性炭は、処理対象成分に対する吸着性能の優れた
活性炭である傾向がある。このため、本発明に係る触媒
を製造するにあたり、使用する活性炭には、処理対象成
分に対する吸着性能の優れた活性炭を使用することが望
ましい。
【0022】本発明において、「吸着性能に優れる」と
は、例えば、ある特定の条件下、活性炭の単位量当たり
の対象成分の飽和吸着量で表し、この量が多いものほど
吸着性能に優れるものである。また、ある特定の条件
下、活性炭の単位量当たりの対象成分の吸着速度で表
し、この速度が早いものほど吸着性能に優れるものであ
る。この吸着速度には初期の吸着速度で表すこともでき
れば、任意後の吸着速度で表すこともでき、特に限定さ
れるものではない。しかしながら好ましくは、初期の吸
着速度で表すことであり、特にこの初期の吸着速度が速
い活性炭を使用した場合、触媒の活性が高く、また触媒
化した際に吸着性能に優れる触媒となる傾向がある。
【0023】本発明における活性炭を含有する触媒は、
上記のような種々の物性値によって規定することができ
る。しかし、上記に記載しなかったこの他の各種物性値
で、本発明に係る活性炭を含有する触媒の範囲が限定さ
れるものではない。この他の各種物性値としては、例え
ば、各種官能基量、灰分や不純物の量、炭素の構造形
態、酸性度、マクロ孔以外(メソ孔、ミクロ孔、サブミ
クロ孔)の細孔容積量やその比率、また外部比表面積や
内部比表面積の値やその比率に関するものなどがある。
【0024】本発明では、活性炭のみからなる固体触媒
を用いても、被酸化性物質の種類や濃度によっては、そ
れを酸化・分解処理するのに必要な触媒活性を示すもの
となるが、本発明で用いる固体触媒としては、Pt、P
d、Rh、Ru、Ir、AgおよびAuよりなる群から
選択される1種以上の元素を更に含有することも有効で
あり、これによって触媒活性をより高めた触媒とするこ
とができる。これにより、排水中に含まれる被酸化性物
質の酸化・分解処理効率を向上することができると共
に、処理温度をさらに下げることができるので望まし
い。これらの元素の含有量は特に限定されないが、固体
触媒中に好ましくは0.01〜5質量%、より好ましく
は0.05〜2質量%の割合で含有されていることが望
ましい。また上記固体触媒には、チタン、ジルコニウ
ム、アルミニウム、ケイ素、鉄、マンガン、クロム、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛、セリウム、プラセオジウ
ム、テルル、ビスマスの群から選ばれる少なくとも1種
以上を含有させることもできる。尚、上記触媒を数種類
用いても良く、また上記以外の湿式酸化処理に用いる触
媒と組み合わせて用いても良い。また固体触媒を用いな
い湿式酸化処理と組み合わせることもできる。
【0025】以下、図面によって本発明方法について説
明する。図1は本発明方法を実施する為の処理装置の一
構成例を示す概略説明図であるが、本発明方法を実施す
る為の装置はこうした構成に限定する趣旨ではない。
【0026】図1において、排水供給源(図示せず)か
ら送られてきた排水は、排水ライン6を通じて排水供給
ポンプ5により加熱器3に送られる。また、酸素含有ガ
ス(例えば空気)を酸素含有ガス供給ライン8から導入
し、コンプレッサー7で昇圧した後、この酸素含有ガス
が酸素含有ガス流量調節弁9によって供給量が調整され
つつ、前記加熱器3の手前で排水に供給される様に構成
されている。加熱器3によって加熱された排水は、反応
塔1への気液入口側の圧力計PIで圧力が測定されつつ
酸素含有ガスと共に反応塔1の上部に供給される。
【0027】反応塔1には、電気ヒーター2が備えられ
ており、この電気ヒーター2によって反応塔1内が所定
の温度に保温される様に構成されている。また、反応塔
1内には、上記の様な固体触媒層(図示せず)が充填さ
れており、反応塔1内に供給された排水中に含まれる被
酸化性物質が、この固体触媒層を通過する際に酸化およ
び/または分解処理されることになる。この固体触媒層
での空間速度は、特に限定されるものではないが、通
常、触媒層あたりの空間速度を0.1hr-1〜10hr
-1、より好ましくは0.2hr-1〜5hr-1より更に好
ましくは0.3hr-1〜3hr-1となるようにすれば良
い。空間速度が0.1hr-1未満の場合、排水の処理量
が低下し、過大な設備が必要となり、逆に10hr-1
超える場合には、排水の酸化・分解処理を十分に発揮す
ることができない。尚、この反応塔1は、反応塔1の上
部から酸素含有ガスと共に排水を供給して処理した後、
反応塔1の底部から排出するものであり、触媒層におけ
る気液の流通方式が気液下向並流のものである。
【0028】排水が酸化・分解処理された後の処理液
は、反応塔1の底部から排出された後処理ライン10を
経て冷却器で冷却され、圧力制御弁12から解圧されて
排出される。尚、圧力制御弁12は、圧力コントローラ
ーPCで検出された圧力に基づき、反応塔1内が所定の
圧力となる様に制御するものである。その後、処理液は
気液分離器11に送られて気液分離される。
【0029】気液分離器11内では、送られてきた処理
液を気体(排気ガス)と液体(処理液)に分離され、該
排気ガスはガス排出ライン13から排出されると共に、
処理液は処理液排出ポンプ14によって処理液排出ライ
ン15を介して排出される。尚、気液分離器11では、
排気ガス中の酸素濃度が酸素濃度計16によって測定さ
れる。また、気液分離器11内の処理液は、液面コント
ローラーLCによって液面が検出され、一定の液面高さ
となる様に前記処理液排出ポンプ14が制御される。
【0030】図2は、本発明方法を実施する為の処理装
置の他の構成例を示す概略説明図である。図2に示した
装置における基本構成は、前記図1に示した装置と類似
し、対応する部分には同一の参照符号を付すことによっ
て重複説明を避ける。そして、図2に示した装置では、
加熱器3によって加熱された排水が、反応塔21(22
は電気ヒーター)の底部から供給されると共に、酸化・
分解処理された後の排水は、反応塔21の上部から排出
される様に構成されている。即ち、図2に示した反応塔
21は、触媒層における気液の流通方式が気液上向並流
のものである。
【0031】図3は、本発明方法を実施する為の処理装
置の更に他の構成例を示す概略説明図である。この図2
に示した装置においては、前記図1に示した反応塔1と
同じ方式(触媒層における気液の流通方式が気液上向並
流)の反応塔31、32が直列に連結して構成されるも
のである(図3中、33,34は、夫々反応塔31,3
2に備えられた電気ヒーターである)。また、この装置
構成においては、酸素含有ガス供給ライン8からの酸素
含有ガスを、前段の反応塔31と後段の反応塔32の間
からも供給できる様に、酸素含有ガス流量調節弁35が
設けられている。この様な図3に示した装置構成におい
ても、本発明方法を有効に実施することができる。
【0032】本発明を実施する為の装置において、その
反応塔の数、種類、形状等は特に限定されるものではな
く、通常の湿式酸化処理に用いられる単管式の反応塔や
多管式の反応塔などを用いることができる。しかしなが
ら、排水濃度が高い場合、反応による発熱量が多くなる
ため、好ましくは多管式で除熱型の反応器とし、発生す
る熱を除去しながら処理することが望ましい。また逆に
排水濃度が薄い場合にも、好ましくは多管式で除熱型の
反応器とし、熱を供給しながら処理することが望まし
い。更に、複数の反応塔を設置する場合、目的に応じて
種々の形状の反応塔を直列または並列にするなど任意の
反応塔を任意に配置することができる。
【0033】本発明の方法は、50℃以上170℃未満
の温度範囲で処理を行なうものである。この処理温度が
50℃未満であると、有機および/または無機の被酸化
性物質の酸化・分解処理を効率的に行うことが困難にな
る。この処理温度は、好ましくは80℃を超える温度と
するのが良く、より好ましくは100℃を超える温度で
あり、更に好ましくは110℃を超える温度とするのが
良い。尚、処理温度が100℃以下であっても、メタノ
ール、ギ酸、ホルムアルデヒド等の炭素数1の有機化合
物の高度処理は可能であるが、炭素数2以上の有機化合
物の高度処理の為には、100℃を超える反応温度が必
要であることが多い。この処理温度が170℃以上であ
ると、活性炭自身の燃焼が生じやすくなるため実用的で
なくなる。こうしたことから、処理温度は好ましくは1
60℃以下とするのが良く、より好ましくは150℃以
下、更に好ましくは140℃以下である。
【0034】一方、処理圧力は、上記処理温度において
排水が液相を保持する圧力であれば良いが、通常は大気
圧から1MPa(Gauge)程度である。例えば処理
温度が30〜95℃以下の場合、排水は大気圧下におい
ても液相状態であることが多いため、経済性の観点から
大気圧下でも良いが、処理効率を向上させるためには加
圧することが好ましい。また処理温度が95℃を越える
場合、大気圧下では排水が気化することが多いため、
0.2〜1MPa(Gauge)程度に加圧することが
好ましい。但し、1MPa(Gauge)を越える圧力
は、経済性の観点から好ましくない。また処理圧力を過
大に上げた場合、処理温度を上げた場合と同じく、活性
炭自身の燃焼の問題も生じやすくなる。また触媒の活性
低下を生じることもある。このため、加圧する際には前
記図1に示した様に湿式酸化処理装置(反応塔1)の出
口側に圧力制御弁12を設け、反応塔1内で排水が液相
を保持できるように、処理条件に応じて所定の圧力とな
る様に適宜調節することが望ましい。また、処理性能お
よび触媒の耐久性を向上するためには、この処理圧力の
変動を、±20%以内、より好ましくは±10%以内、
更に好ましくは±5%以内に制御するのが良い。
【0035】本発明方法においては、排水を処理した後
の排気ガス中の酸素濃度を、0〜5vol%の範囲に維
持する必要がある。即ち、湿式酸化処理後の排気ガス中
の酸素濃度が、0〜5vol%の範囲に維持することで
排水を高効率で処理することができ、且つ長期間効率よ
く排水中の被酸化性物質が分解できることを見出したの
である。排ガス中の酸素濃度が5vol%を超えると、
過剰酸素による活性炭の燃焼を生じ、安定的な処理が困
難となる。従って、好ましくは排水中の被酸化性物質を
酸化・分解処理できる酸素が不足しない状態で処理する
ことが効果的である。このためには、排気ガス中の酸素
濃度が0vol%に近く、且つ酸素の不足しない条件が
望ましい。供給する酸素量が不足した場合、その不足量
に比例して排水の処理効率が低下することになる。しか
しながら、供給される酸素量が若干不足した場合には、
活性炭を含有する触媒の活性が却って上昇し、排水の処
理効率が更に向上することもある。この場合、触媒の耐
久性も最も向上し、長期間の安定した処理が可能とな
る。このため、湿式酸化処理後の排気ガス中の酸素濃度
は、好ましくは0〜4vol%、より好ましくは0〜2
vol%、更に好ましくは0〜1vol%であることが
望ましい。
【0036】本発明においては、供給する酸素量が若干
不足した場合、活性炭を含有する固体触媒の活性が却っ
て上昇し、排水の処理効率の向上することが多い。この
要因としては、触媒表面の活性点、例えば活性炭自身の
活性点や該活性炭に含有されるPt、Pd、Rh、R
u、Ir、AgおよびAuなどの元素が還元状態になる
ために活性の向上することが考えられる。また、酸素の
少ない状態では、活性炭が還元されて表面の疎水性が高
まり、特に被酸化性物質が有機物の場合、被酸化性物質
の活性炭への吸着性能が向上することで排水の処理活性
が高くなることなどが考えられる。
【0037】本発明において、排気ガス中の酸素濃度を
0〜5vol%の範囲に維持するには、前記図1、2に
示した様に排気ガス中の酸素濃度を酸素濃度計16を用
いて測定し、この測定値に基づき酸素含有ガスの供給量
を酸素含有ガス流量調節弁9によって調節もしくは制御
する様にすれば良い。排気ガス中の酸素濃度を測定する
酸素濃度計は、通常酸素の測定に使用できるものであれ
ばいずれでも良く、市販の酸素濃度計を用いることがで
きる。この様な酸素濃度計としては、例えばジルコニア
の酸素センサーを用いた酸素濃度計、酸素ダンベル式酸
素濃度計、ガスクロマトグラフ等が挙げられ、これらは
その使用方法により特に限定されるものではない。また
酸素含有ガスの供給量を調節もしくは制御する方法も特
に限定されるものではなく、例えば前記した酸素含有ガ
ス流量調節弁9によって調節もしくは制御することがで
きるが、他の手段であっても良いことは勿論である。
【0038】また、排水の処理を開始するに際して、初
期の酸素含有ガスの供給量は最も適切な供給量よりも少
なく供給し、酸素量の若干不足した状態で処理すること
が望ましい。この場合の排気ガス中の酸素濃度は、0v
ol%になることが予想される。その後、徐々に酸素含
有ガスの供給量を最も適切な量に設定することが望まし
い。この際、排気ガス中の酸素濃度を測定し、その結果
に基づいて酸素含有ガスの供給量を調節もしくは制御す
ることが望ましい。また、排水を処理した後の処理液も
分析し、その結果を参考にすることも望ましい。これに
より、排水の処理を開始する際に、酸素の供給過剰で触
媒が劣化することを防止できる。更に、排水の処理を行
なうにして、触媒の還元処理を少し実施することで、触
媒の活性が向上することもある。また実際に排水を処理
するに際して、排水の濃度や成分は変化することが多い
が、この変化にも容易に対応できるものである。尚、酸
素含有ガスの供給量が少ないことが原因で、排水の処理
効率が低い場合などには、排水を処理した後の処理液に
対して再度本発明の処理を実施するようにリサイクルす
ることもでき、その処理液の処理方法が特に限定される
ものではない。
【0039】尚、本発明において「湿式酸化処理後の排
気ガス中の酸素濃度」とは、活性炭を含有する固体触媒
で排水を処理した直後における気相中の酸素濃度のこと
を意味し、通常は前記図1、2に示した様に排水を処理
した後の処理液を気液分離処理した際に発生する排気ガ
ス中の酸素濃度のことである。
【0040】本発明においては、排水中に含まれる有機
および/または無機の被酸化性物質を効果的に酸化・分
解処理する為には、実際の処理効率に合わせて所定量の
酸素含有ガスを供給する必要がある。
【0041】本発明方法においては、排気ガス中の酸素
濃度が0〜5vol%の範囲に維持して操業するもので
あるが、その為の好ましい具体的制御条件としては、
[供給酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が
最大になるときの排水の酸素消費量](以下、この比の
値を「D値」と呼ぶことがある)=0.8〜1.3倍の
範囲となるように設定することが挙げられる。即ち、上
記の比で示されるD値が0.8〜1.3の範囲となる様
に、酸素含有ガスの供給量(以下、「酸素供給量」と呼
ぶことがある)を調節もしくは制御することにより、処
理性能および触媒の耐久性を飛躍的に向上させることが
できるものである。
【0042】本発明における、この[排水の処理効率が
最大になるときの排水の酸素消費量]とは、処理温度、
処理圧力、LHSV、気流の流通方式、使用する触媒な
どの湿式酸化処理条件を一定にした状態で、酸素供給量
のみを変化させた場合、排水の処理効率が最大となると
きの排水の酸素消費量のことである。従って、このD値
は、排水の処理を行なうにあたり、酸素供給量の過不足
を示す指標となる。具体的に例示するならば、ある任意
の湿式酸化処理条件下、酸素供給量を変化させて排水を
処理したときの化学的酸素要求量(COD(Cr))処
理効率が最大で90%であった場合、酸素含有ガスがO
2/COD=0.9の割合で供給されたならば、[供給
酸素含有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大と
なるときの排水の酸素消費量]の値(D値)は、1.0
である。また、酸素含有ガスがO2/COD=1.0の
割合で供給されたならば、D値は1.11である。但
し、このD値の分母である「排水の処理効率が最大とな
るときの排水の酸素消費量」は、「排水の処理効率が最
大となるときの酸素供給量」と、同量とは限らない。即
ち、「D値の分母」と「排水の処理効率が最大となると
きの酸素供給量」が、同量とは限らない。先に例示した
酸素供給量がO2/COD(Cr)=0.9のときに、
COD(Cr)の処理効率が90%で最大であったなら
ば、酸素供給量と「D値の分母」は同量である。しか
し、酸素供給量がO2/COD(Cr)=2.0のとき
に、COD(Cr)処理効率が90%で最大の場合もあ
る。このときのD値は、2.22である。
【0043】尚、上記D値が1.3を超えると、酸素供
給量が、実際の酸素・分解処理に要する酸素量よりも多
くなるため、過剰酸素による活性炭自身の燃焼が生じ易
くなる。また、このD値が0.8よりも小さくなると、
被酸化性物質の酸化・分解処理に要する酸素量よりも酸
素供給量が少なくなり、処理性能が低下するため実用的
でない。このD値の好ましい範囲は、0.9〜1.2程
度であり、より好ましくは0.95〜1.1程度であ
る。
【0044】本発明に係る[排水の処理効率が最大とな
るときの排水の酸素消費量]で記載される「排水の処理
効率」とは、例えば排水のCOD処理効率、TOC処理
効率、窒素処理効率、BOD処理効率、TOD処理効率
もしくは特定物質の処理効率など、排水の浄化目標に応
じて種々の処理効率を採用することができ、特に限定さ
れるものではない。
【0045】本発明で用いることのできる酸素含有ガス
としては、酸素分子を含有するガスであるならば特に限
定されるものではなく、純酸素ガス、酸素富化ガス、空
気等でよいが、価格の安価な空気を使用することが好ま
しい。また、場合によってはこれらを不活性ガスで希釈
して用いることもできる。また、これらのガス以外にも
他のプラント等から生じる酸素含有の排ガスも適宜用い
ることができる。尚、純酸素ガスや酸素濃度50vol
%以上の酸素富化ガスは、本発明において活性炭の燃焼
を生じ易くなり、また触媒の活性も低下することが多
い。しかし、酸素濃度40vol%未満の酸素富化ガ
ス、より好ましくは35vol%未満の酸素富化ガス
は、本発明において活性炭の燃焼を生じ難く、なおかつ
酸素の排水への溶解性が向上することから、より排水の
処理性能が向上することの多いものである。この様な酸
素富化ガスの製造方法は特に限定されるものではなく、
深冷法やPSAによる酸素富化ガスの製造などが挙げら
れる。また、好ましくは酸素富化膜を用いた製造方法
が、コスト的に安価で、操作上も簡便で、なおかつ必要
以上に酸素濃度が高濃度にならないことから、安全上か
らも望ましい。また酸素含有ガスに変えて、過酸化水素
水なども使用することができるものである。
【0046】本発明において、触媒を充填した触媒層に
おける気液の流通方法は、特に限定されるものではな
く、処理後の排気ガス中の酸素濃度が0〜5vol%の
範囲となるようにすれば、安定的に効率よく処理するこ
とができるが、より好ましい方法としては、前記図1、
3に示した様な気液下向並流で流す方法が挙げられる。
気液を下向きに下向並流で流すことで、気液の接触効率
が向上して酸素の溶解量が増加すること、および液と触
媒の接触効率が向上するため、処理効率が向上するもの
と考えられる。また、気液を並流に流すと、触媒層入口
部分で被酸化性物質を多量に含有する液と酸素濃度の高
いガスが接触するため、活性炭自身の燃焼を抑制するも
のと考えられる。これに対し、気液を向流で流す方法で
は、逆に被酸化性物質の量が減少した液の触媒層出口付
近で酸素濃度の高いガスが触媒と接触するため、活性炭
の燃焼を生じ易くなり、また触媒の活性も低下すること
が多い。
【0047】また気液を上向きに上向並流で流す方法
(前記図2)では、湿式酸化処理を大気圧から1MPa
(Gauge)の処理圧力範囲で処理する多くの場合、
供給酸素量が理論酸素要求量の1.5倍以上、より好ま
しくは2.0倍以上であると処理性能が向上して望まし
い。このため、本発明にかかる活性炭を含有する触媒を
用いて排水の処理を行った場合、排気ガス中の酸素濃度
が0〜5vol%の範囲となるように酸素供給量を抑え
たのでは、処理性能のあまり向上しないことがある。
尚、上記「理論酸素要求量」とは、排水中の被酸化性物
質を酸化・分解処理によって水、炭酸ガス、窒素ガスや
その他無機塩のような灰分などまで酸化・分解するのに
必要な酸素量のことである。
【0048】本発明において、酸素含有ガスの供給方法
は、特に限定されるものではなく、例えば触媒層の手前
から全ての酸素含有ガスを供給してもよいが、好ましく
は酸素含有ガスを分割して供給する方法が挙げられる。
酸素含有ガスを分割して供給した場合、触媒層入口部で
の酸素量が触媒層の前から酸素含有ガスを全量供給した
場合と比較して少なくすることができる。このため、活
性炭自身の燃焼をより抑制することができ、なおかつ触
媒の活性もより向上することがある。これにより、触媒
をより長期間にわたって安定して使用することができ、
排水の処理効率が高く維持することができる。また、分
割して酸素含有ガスを供給する場合の供給位置は、触媒
層の前および触媒層の途中の1ヵ所以上であればよい。
この場合、触媒層途中の酸素含有ガス供給口手前での酸
素濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは
0〜5vol%、より好ましくは0〜3vol%である
ことが望ましい。このように酸素濃度を抑えることで、
より触媒を安定して使用することができる。
【0049】尚、酸素含有ガスを分割供給する場合に
は、触媒層の途中で酸素含有ガスを供給するのに予め酸
素濃度を測定しておき、この結果に基づいて供給酸素含
有ガス量を決定してもよい。また分割供給する酸素含有
ガスの酸素濃度が異なってもよく、特に限定されるもの
ではない。
【0050】本発明において「酸化・分解処理」とは、
酢酸を二酸化炭素と水にする酸化分解処理、酢酸を二酸
化炭素とメタンにする脱炭酸分解処理、尿素をアンモニ
アと二酸化炭素にする加水分解処理、アンモニアやヒド
ラジンを窒素ガスと水にする酸化分解処理、ジメチルス
ルホキシドを二酸化炭素、水、硫酸イオンなどの灰分に
する酸化および酸化分解処理、ジメチルスルホキシドを
ジメチルスルホンやメタンスルホン酸にする酸化処理な
どが例示され、要するに易分解性の被酸化性物質を窒素
ガス、二酸化炭素、水、灰分などにまで分解する処理
や、難分解性の有機物や窒素化合物を低分子量化する分
解処理、もしくは酸化する酸化処理など種々の酸化およ
び/または分解を含む意味である。
【0051】本発明では、酸素含有ガス供給下で50℃
以上の水を触媒層に通過させることは、活性炭自身の燃
焼を生じるため、触媒の耐久面から好ましくない。ま
た、触媒の活性面からも、酸素含有ガス供給下、50℃
以上で水運転を実施すると、排水に切り替えたときの処
理活性が大きく低下する。このため、装置のスタートア
ップ時、及び停止時において、装置内温度が50℃以上
では、触媒の耐久性および活性を向上させるために、被
酸化性物質を含有した液を供給もしくは循環させる必要
がある。従って、50℃以下で、被酸化性物質を含有し
た液と水を置換することが望ましい。
【0052】本発明ではスタートアップ時に、まず易分
解性の被酸化性物質を含有する液、例えばメタノール含
有液を触媒層に導入し、その後、50℃以上、好ましく
は80℃以上に加熱した後、処理対象排水に切り替えて
排水の処理を行うことで触媒活性を高く維持することが
できる。尚、処理対象排水が易分解性の被酸化性物質を
含有する場合には、始めから排水を触媒に導入すること
ができる。
【0053】また、酸化・分解処理性能の低下した触媒
を賦活する方法として、短時間熱処理を実施することで
触媒に吸着した物質が脱着したり、また酸化・分解処理
されるため、触媒の活性を再活性化することが可能であ
る。このときの熱処理温度としては、通常の排水処理条
件よりも5〜100℃ほど高い温度が適宜選択され、好
ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜40℃ほ
ど昇温することが望ましい。但し、170℃未満で実施
する必要があり、170℃以上の場合には、逆に活性炭
自身の燃焼により、触媒活性の低下することが多い。ま
た熱処理の時間も特に限定されるものではないが、1〜
100時間程度で適宜選択され、好ましくは3〜50時
間、より好ましくは5〜24時間程度である。
【0054】また、酸化・分解処理性能の低下した触媒
を賦活する方法として、触媒の還元処理を実施する方法
もある。具体的には、酸素含有ガスの不供給下もしくは
酸素含有ガスの供給不足条件下で、排水もしくは易分解
性の被酸化性物質含有液を、活性炭を含有する触媒に供
給し、熱処理することで、触媒の活性を再活性化するこ
とが可能である。このときの処理温度としては、通常の
排水処理温度と同じ、もしくは適度に高くても良く、特
に限定されるものではないが、液中の被酸化性物質が酸
素存在下であれば酸化・分解処理される温度であること
が必要であり、好ましくは上記の熱処理温度と同じ温度
である。但し、170℃未満で実施することが望まし
い。また処理時間も特に限定されるものではないが、1
〜100時間程度で適宜選択され、好ましくは3〜50
時間、より好ましくは5〜24時間程度である。
【0055】更に、本発明では、湿式酸化処理後の処理
水に含まれる有機酸(酢酸等)やアンモニア等の被酸化
性物質を、ポリアミド系複合膜などの高脱塩率を有する
逆浸透膜を用いて処理することができる。このとき、逆
浸透膜を透過した液は、被酸化性物質をほとんど含まな
い排水であり、高度処理が可能となる。一方、逆浸透膜
の非透過液は、有機酸やアンモニア等の被酸化性物質を
濃縮して含有するため、再度湿式酸化処理等の排水を実
施することで排水の高度処理が可能となるものである。
【0056】本発明において、触媒の耐久性を更に高め
る方法として、活性炭を含有する触媒を複数の容器に分
割して、反応塔に充填し、なおかつこれらを抜き出す場
合にも、該容器にこれらを充填した状態で反応塔から抜
き出す方法が挙げられる。固体触媒を使用した排水の処
理方法において、触媒層の出口部に比べ入口部では、触
媒反応が過剰に生じ易くなる。このため、特に入口部付
近において局所的に過剰加熱(ホットスポット)などが
生じて、触媒の機械的強度や活性の低下が多くなる。従
って、触媒を容器に充填した状態で反応塔に設置する方
法を採用することで、触媒を交換する際に反応塔内の触
媒を全量交換する必要はなくなり、触媒交換や触媒充填
の作業性を上げることができ、またより長期間触媒を使
用することも可能となる。
【0057】本発明に係る排水の処理方法では、排水処
理装置の固体触媒層の形式を流動層式(流動床式)とす
ることもできる。固体触媒を用いた湿式酸化処理におい
て、本発明に係る活性炭を含有する触媒を用いた場合、
従来の固体触媒を使用した場合と比較して、より容易に
流動層式の排水処理装置を採用することができる。流動
層式の排水処理装置では、反応によるホットスポットを
生じ難いことから、固定層式(固定床式)の装置と比較
してより高濃度の排水処理が可能である。また活性炭を
含有する触媒の劣化を生じ易い排水においても、その装
置の特性から処理が容易となる。これは、流動層式の排
水処理装置では、劣化した廃触媒を抜き出しつつ、新触
媒もしくはリサイクルした触媒を追加することが可能と
なるためである。従来、固体触媒を用いた湿式酸化処理
では、触媒劣化の原因として、固体触媒中の活性成分が
固定床の後方に移動する問題があった。この問題に関し
ても流動層式の装置では、固体触媒自身が移動すること
から解決できるものである。また流動層式とした場合、
固定層式で通常採用する固体触媒よりも粒径の小さなも
のを採用することができ、より気液との接触効率も向上
できることから、処理性能も向上できる。また流動層式
とした場合、固定層式では処理困難であった若干の固形
物を含有する排水においても、反応塔が閉塞する問題を
生じ難いことから処理可能になり、処理可能な対象排水
の範囲をより広げることができるものである。
【0058】この流動層式の装置とした場合、特に限定
されるものではないが、反応塔は1塔であっても良い
し、複数塔であっても良く、操作性および設備費の面か
らは1塔の方が望ましい。また、特に限定されるもので
はないが、反応塔内部は1室であっても良いが、複数室
(多段)に分割されている方がより処理性能が向上し、
また運転の制御面からも望ましい。
【0059】本発明で処理される排水の種類は特に限定
されず、例えば化学プラント、電子部品製造設備、食品
加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、印刷製版設
備、写真設備などの各種産業プラントからの排水や、更
に火力発電や原子力発電などの発電設備などからの排水
でもよい。具体的にはEOG製造設備、メタノール、エ
タノール、高級アルコールなどのアルコール製造設備か
らの排水、特にアクリル酸、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸、メタクリル酸エステルなどの脂肪族カルボン
酸やそのエステル、あるいはテレフタル酸、テレフタル
酸エステルなどの芳香族カルボン酸もしくは芳香族カル
ボン酸エステルの製造プロセスから排出される有機物含
有排水が例示される。また、アミン、イミン、アンモニ
ア、ヒドラジン等の窒素化合物を含有している排水でも
良い。またチオ硫酸イオンや硫化物イオン、ジメチルス
ルホキシド等のイオウ化合物を含有している排水でもよ
い。また下水やし尿などの生活排水であっても良い。或
は、ダイオキシン類やフロン類、フタル酸ジエチルヘキ
シル、ノニルフェノールなどの有機ハロゲン化合物や環
境ホルモン化合物などの有害物質を含有している排水で
も良い。
【0060】本発明で処理される排水のpHは、特に限
定されるものでなく、pHが1〜14であればよく、適
宜pHを調節して処理することもできる。
【0061】以下、実施例によって本発明の作用効果を
より具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定する性
質のものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で
変更することはいずれも本発明の技術範囲に含まれるも
のである。
【0062】
【実施例】実施例1〜5 前記図1に示した装置を使用し、下記条件で500時間
処理を行った。このとき反応塔1は直径26mmφ、長
さ3,000mmの円筒状であり、その内部に活性炭と
白金を主成分とし、白金を0.3質量%含有する直径4
mmφのペレット状の固体触媒を1リットル(380
g)、触媒層長1880mmH充填した。また、処理に
供した排水は、脂肪族カルボン酸および脂肪族カルボン
酸エステル製造設備から排出された排水で、アルコー
ル、アルデヒド、カルボン酸など炭素数2以上の有機化
合物を含有し、COD(Cr)濃度が、20,000m
g/リットル、pHは2.8であった。また全TOC成
分中の55%が酢酸であった。尚、この排水はアルカリ
金属イオン、アンモニウムイオン、無機塩を含有してい
なかった。
【0063】該排水は排水供給ポンプ5によって1リッ
トル/hの流量で昇圧フィードしたあと、加熱器3で1
20℃に加熱し、反応塔1の上部より供給し、気液下向
並流で処理した。また、空気を酸素含有ガス供給ライン
8より導入し、コンプレッサー7で昇圧した後、酸素含
有ガス(空気)を下記表1に示す割合で、加熱器3の手
前で排水に供給した。
【0064】反応塔1では、電気ヒーター2を用いて1
20℃に保温し、酸化・分解処理を実施した。処理液
は、冷却器4で30℃まで冷却した後、圧力制御弁12
から解圧排出し、気液分離器11で気液分離した。この
とき圧力制御弁12は、圧力コントローラーPCで圧力
を検出し、反応塔1内が0.5MPa(Gauge)の
圧力を保持するように制御した。また、気液分離器11
中の排気ガスの酸素濃度は、酸素濃度計16を用いて測
定し、気液分離器11中の処理液のCOD(Cr)濃度
も測定した。尚、反応塔1の昇温時には、酸素不足条件
下で該排水を反応塔1に供給し、触媒の劣化を抑制し
た。
【0065】その結果は、下記表1に示す通りである。
また触媒の耐久性を評価するため、実施例2〜5につい
ては500時間以降も排水処理を継続し、約5,000
時間の耐久テストを実施した。そして5000時間の処
理終了後、触媒を抜き出し、触媒の状態を観察したが、
いずれの触媒も特に変化は観察されなかった。
【0066】実施例6 処理温度を140℃にした以外は、実施例4と同じ触
媒、同じ処理方法、同じ処理条件、同じ装置で実施例4
に準じて処理を行った。この結果も、下記表1に併記す
る。また5000時間の処理終了後、触媒を抜き出し、
触媒の状態を観察したが、特に大きな変化は観察されな
かった。
【0067】実施例7 処理温度を95℃、処理圧力を大気圧下とし、酸素含有
ガスの供給量をO2/COD=0.40とした以外は、
実施例1と同じ触媒、同じ処理方法、同じ処理条件、同
じ装置で実施例1に準じて処理を行なった。その結果
も、下記表1に併記する。また5,000時間の処理終
了後、触媒を抜き出し、触媒の状態を観察したが、特に
大きな変化は観察されなかった。
【0068】
【表1】
【0069】比較例1 処理温度を200℃、処理圧力を3MPa(Gaug
e)にした以外は、実施例3と同じ触媒、同じ処理方
法、同じ処理条件、同じ装置で実施例3に準じて処理を
行なった。このときの酸素含有ガスの供給量は、O2
COD=0.95、D値=0.95であった(即ち、O
2/COD=1.0とした場合、この処理条件での初期
のCOD(Cr)処理効率は100%であった)。
【0070】その結果、100時間後のCOD(Cr)
処理効率は95%、排気ガス中の酸素濃度は0vol%
であった。しかしながら、触媒の耐久性を評価するため
にこの排水処理を継続した結果、約450時間後、湿式
酸化処理装置の液排出口から処理液と共に触媒の粉末の
流出が観察され、また反応塔1への気液入口側の圧力計
PIでの圧力上昇も観察された。このため処理を停止
し、触媒を抜き出したところ、触媒層全層において、触
媒形状の崩壊および触媒量の減少が観察された。
【0071】比較例2 酸素含有ガスの供給量をO2/COD=1.5、D値=
1.6にした以外は、実施例1と同じ触媒、同じ処理方
法、同じ条件、同じ装置で処理を行った。その結果、1
00時間後のCOD(Cr)処理効率は86%、排気ガ
ス中の酸素濃度は9.5vol%であった。また、触媒
の耐久性を評価するために処理を継続した結果、約50
0時間後のCOD(Cr)処理効率は30%となった。
このため処理を停止し、触媒を抜き出したところ、触媒
層全層において、触媒形状の崩壊および触媒量の減少が
観察された。
【0072】実施例8 酸素含有ガスの供給量を、O2/COD=0.2、D値
=0.21にした以外は、実施例1と同じ触媒、同じ処
理方法、同じ条件、同じ装置で処理を行なった。その結
果、100時間後のCOD(Cr)処理効率は20%、
排気ガス中の酸素濃度は0vol%であった。また、触
媒の耐久性を評価するために処理を継続した結果、約5
00時間後のCOD(Cr)処理効率は、20%であっ
た。
【0073】この実施例においては、酸素含有ガスの供
給量が少ないため、酸素不足で処理効率は低かったが、
触媒の劣化は観察されなかった。また、この処理の実施
後、実施例3と同じ酸素含有ガスの供給量に増加した結
果、排水のCOD(Cr)の処理効率は95%となっ
た。
【0074】比較例3 酸素含有ガスの供給量を、O2/COD=2.0、D値
=5.1にした以外は、実施例7と同じ触媒、同じ処理
方法、同じ条件、同じ装置で処理を行なった。その結
果、100時間後のCOD(Cr)処理効率は39%で
あったが、触媒の耐久性を評価するために処理を継続し
た結果、約1500時間後のCOD(Cr)処理効率
は、27%となった。このため処理を停止し、触媒を抜
き出したところ、触媒層全層において、触媒形状の崩壊
および触媒量の減少が観察された。
【0075】実施例9 図2に示した装置を使用し、下記の条件下で500時間
処理を行なった。このとき反応塔21は直径26mm
φ、長さ3,000mmの円筒状であり、その内部に実
施例1と同じ触媒を1リットル(380g)、触媒層長
1880mmH充填した。また、処理に供した排水は、
実施例1と同じ排水を使用した。また、このときの処理
方法は、前記図2に示した様に加熱器3で加熱後の排水
の反応塔21への供給口が反応塔21の底部であり、排
水の処理状態が気液上向並流である以外は、実施例3と
同様の処理方法で処理を行なった。尚、酸素含有ガスの
供給量は、O2/COD=0.95であり、D値=1.
12であった。また、排水の処理効率が最大となったの
は、後記比較例4に示したO2/COD=2.0で酸素
含有ガスを供給したときであり、このときのCOD(C
r)処理効率は85%であった。
【0076】その結果、100時間後および500時間
後のCOD(Cr)処理効率は75%、排気ガス中の酸
素濃度は4.5vol%であった。また、触媒の耐久性
を評価するため、500時間以降も排水処理を継続し、
約2,500時間の耐久テストを実施した。その結果、
COD(Cr)処理効率は69%であった。尚、この
間、排気ガス中の酸素濃度が徐々に上昇したため、排気
ガス中の酸素濃度が4.5vol%となる様に少しずつ
供給空気量を減らした。
【0077】比較例4 酸素含有ガスの供給量を、O2/COD=2.0、D値
=2.35にした以外は、実施例9と同じ触媒、同じ処
理方法、同じ処理条件、同じ装置で実施例9に準じて処
理を行なった。この結果、100時間後のCOD(C
r)処理効率は85%、排気ガス中の酸素濃度は12v
ol%であった。また、触媒の耐久性を評価するために
この排水処理を継続した結果、約500時間後のCOD
(Cr)処理効率は、30%となった。このため処理を
停止し、触媒を抜き出したところ、触媒層全層におい
て、触媒形状の崩壊および触媒量の減少が観察された。
【0078】比較例5および6 反応塔1の内部にチタニアと白金を主成分とし、白金を
0.3質量%含有する直径4mmφのペレット状触媒を
1リットル(1050g)、触媒層長1880mmH充
填し、下記表2に示す酸素含有ガス(空気)供給量の割
合で処理を行なった以外は、実施例1と同じ処理方法、
同じ条件、同じ装置で100時間処理を行なった。その
結果、排水のCOD処理効率はたいへん低く、あまり排
水を浄化できないものであった。
【0079】
【表2】
【0080】実施例10 図3に示した装置を使用し、下記条件下で500時間処
理を行なった。この装置は、前述した様に前段の反応塔
と後段の反応塔を連結した処理装置であり、前段の反応
塔と後段の反応塔の間からも酸素含有ガスが供給できる
ようになっている。前段の反応塔は直径26mmφ、長
さ3,000mmの円筒状であり、また後段の反応塔も
直径26mmφ、長さ3,000mmの円筒状であっ
た。そして、その内部に実施例1と同じ触媒を各1リッ
トル、合計2リットル充填した。そして、排水の供給量
を2リットル/hとし、酸素含有ガスを下記に記載する
ように分割して供給した以外は、実施例1と同じ触媒、
同じ処理方法で実施例3に準じて処理を行った。
【0081】酸素含有ガスの供給方法は、空気を酸素含
有ガス供給ライン8より導入し、コンプレッサーで昇圧
した後、まず加熱器の手前で排水にO2/COD=0.
7の割合となるように供給し、さらに前段の反応塔と後
段の反応塔の間からもO2/COD=0.27の割合と
なるように供給した。
【0082】この結果、500時間後のCOD(Cr)
処理効率は97%、排気ガス中の酸素濃度は0.1vo
l%であった。また、触媒の耐久性を評価するため、5
00時間以降も排水処理を継続し、約5000時間の耐
久テストを実施した。その結果のCOD(Cr)処理効
率も97%であった。また5000時間の処理終了後、
触媒を抜き出し、触媒の状態を観察したが、特に大きな
変化は観察されなかった。尚、このときのD値は、1.
00であった。
【0083】実施例11および12 実施例1と同じ装置を使用し、下記条件で500時間処
理を行なった。反応塔1の内部には、その内部に活性炭
と白金を主成分とし、白金を0.6質量%含有する3m
mφのペレット状の固体触媒を1リットル(450
g)、触媒層長1880mmH充填した。また、処理に
供した排水は、発電設備から排出された排水で、硫安と
ナトリウムイオンと炭酸イオンを含有する排水であっ
た。排水中のアンモニア濃度は、4,200mg/リッ
トル、pH7.8であった。そして、処理温度を130
℃、処理圧力を0.9MPa(Gauge)とし、酸素
含有ガス(空気)を下記表3に示す割合で供給した以外
は、実施例1と同じ処理方法、同じ装置で実施例1に準
じて処理を行なった。
【0084】その結果を、下記表3に併記する。また触
媒の耐久性を評価するため、500時間以降も排水処理
を継続し、約2500時間の耐久テストを実施した。そ
して2,500時間の処理終了後、触媒を抜き出し、触
媒の状態を観察したが、いずれの触媒も特に変化は観察
されなかった。
【0085】実施例13 活性炭とパラジウムを主成分とし、パラジウムを1.0
質量%含有する3mmφのペレット状の固体触媒を1リ
ットル(430g)、触媒層長1880mmH充填した
以外は、実施例11に準じた方法で、処理を行なった。
その結果を、下記表3に併記する。
【0086】
【表3】
【0087】比較例7 酸素含有ガスの供給量をO2/COD=1.5、D値=
1.55にした以外は、実施例11と同じ触媒、同じ処
理方法、同じ条件、同じ装置で処理を行なった。その結
果、100時間後のCOD(Cr)処理効率は97%、
排気ガス中の酸素濃度は8vol%であった。また、触
媒の耐久性を評価するために処理を継続した結果、約5
00時間後のCOD(Cr)処理効率は、73%に低下
した。このため処理を停止し、触媒を抜き出したとこ
ろ、触媒層全層において、触媒形状の崩壊および触媒量
の減少が観察された。
【0088】実施例14 実施例1と同じ形式の湿式酸化処理装置で、直径200
mmφ、長さ3,000mmの円筒状の反応塔1を有す
る装置を使用し、下記条件で500時間処理を行なっ
た。反応塔1の内部には、その内部に活性炭と白金を主
成分とし、白金を0.5質量%含有する5mmφのペレ
ット状の固体触媒をカセット式の容器3ケースに分割し
て、各ケース20リットル(8.2kg)で合計60リ
ットル(24.6kg)の触媒を充填した。各ケースは
内径180mmφ、長さ900mmの円筒状で、反応塔
1内に3段設置した。処理に供した排水は、エチルアル
コールやプロピルアルコールなどのアルコール類を多く
含有する溶剤系排水を用い、該排水のCOD(Cr)は
30g/リットル、pHは7.1であった。
【0089】尚、排水はアルカリ金属イオン、アンモニ
ウムイオン、無機塩を含有していなかった。そして、加
熱器での加熱温度を100℃、反応塔での保温温度を1
30℃とし、処理圧力を0.6MPa(Gauge)と
し、酸素含有ガス(酸素富化ガス)を下記に示す割合で
供給した。また排水の供給量は、30リットル/hとし
た。そして装置の操作方法は、実施例1に準じて処理を
行った。酸素富化ガスは酸素富化膜装置によって空気よ
り製造した酸素濃度30vol%含有するガスであっ
た。その結果、酸素含有ガスの供給量をO2/COD=
0.94、D値=1.01で供給した場合、100時間
後のCOD(Cr)処理効率は93%、排気ガス中の酸
素濃度は0.25vol%であった。
【0090】その後、酸素含有ガスの供給量をO2/C
OD=0.92、D値=0.99となる様に供給し、排
気ガス中の酸素濃度が0.1vol%未満となるように
処理を継続した。そして、約5,000時間後のCOD
(Cr)処理効率は92%であり、約5,000時間の
処理終了後、触媒を抜き出し、触媒の状態を観察した。
その結果、2段目のケースの触媒および反応塔で最下部
に位置したケースの触媒には、特に変化は観察されなか
った。しかし、反応塔で最上部に位置したケースの触媒
は、若干触媒の強度が低下している傾向が観察された。
【0091】このため、引き続き排水の処理を継続する
にあたり、反応塔1内に設置されていた触媒の充填され
たケースを、反応塔1内に先に設置した最下部のケース
と最上部のケースとを入れ替えて処理を行なった。この
結果、入れ替え直後のCOD(Cr)処理効率は92%
であった。また、約5,000時間処理後(合計約1
0,000時間の処理終了後)のCOD(Cr)処理効
率も92%であった。この処理の終了後、触媒を抜き出
し、触媒の状態を観察したところ、5,000〜10,
000時間の処理において、反応塔で最上部に位置した
ケースの触媒および反応塔で最下部に位置したケースの
触媒には、若干触媒の強度が低下している傾向が観察さ
れたが、特に問題となる変化は観察されなかった。
【0092】実施例15 実施例1と同じ装置を使用し、下記条件で500時間処
理を行った。反応塔1の内部には、その内部に活性炭を
主成分とする3mmφのペレット状の固体触媒を1リッ
トル(440g)、触媒層長1880mmH充填した。
処理に供した排水は、半導体製造プラントから排出され
たヒドラジンを1,000mg/リットル含有し、pH
8.6の排水であった。そして、処理温度を90℃、処
理圧力を大気圧下とし、排水の供給量を3リットル/h
として、酸素含有ガス(空気)をヒドラジンを分解処理
するのに必要な酸素量の1.0倍、D値=1.0となる
ように供給した。そして装置の操作方法は、実施例1に
準じて処理を行った。
【0093】その結果、500時間後のヒドラジン処理
効率は100%、排気ガス中の酸素濃度は0.1vol
%未満であった。また、触媒の耐久性を評価するため、
500時間以降も排水処理を継続し、約5,000時間
の耐久テストを実施した。その結果、ヒドラジン処理効
率は100%であった。また5,000時間の処理終了
後、触媒を抜き出し、触媒の状態を観察したが、特に大
きな変化は観察されなかった。
【0094】比較例8 酸素含有ガスの供給量を、ヒドラジンを分解処理するの
に必要な酸素量の2.0倍となるように供給した以外
は、実施例15と同じ触媒、同じ処理方法、同じ条件、
同じ装置で実施例14に準じて処理を行った。
【0095】その結果、100時間後のヒドラジン処理
効率は100%、排気ガス中の酸素濃度は11vol%
であった。また、触媒の耐久性を評価するために処理を
継続した結果、約2,000時間後のヒドラジン処理効
率は、88%に低下した。このため処理を停止し、触媒
を抜き出したところ、触媒層全層において、触媒形状の
崩壊および触媒量の減少が観察された。
【0096】実施例16および17 図1に示した装置を使用し、下記条件で500時間処理
を行った。反応塔1の内部に活性炭と白金を主成分と
し、白金を0.15質量%含有する4mmφのペレット
状の固体触媒を1リットル(350g)、触媒層長18
80mmH充填した。また、処理に供した排水は、メタ
ノールを含有し、COD(Cr)濃度が、10,000
mg/リットルであった。そして、処理温度を80℃、
処理圧力を大気圧下とし、酸素含有ガス(空気)を下記
表4に示す割合で供給した。また排水の供給量は、0.
5リットル/hとした。そして装置の操作方法は、実施
例1に準じて処理を行った。
【0097】その結果を、下記表4に示す。また触媒の
耐久性を評価するため、500時間以降も排水処理を継
続し、約5,000時間の耐久テストを実施した。そし
て5000時間の処理終了後、触媒を抜き出し、触媒の
状態を観察したが、いずれの触媒も特に変化は観察され
なかった。
【0098】
【表4】
【0099】比較例9 酸素含有ガスの供給量をO2/COD=2.0、D値=
2.11にした以外は、実施例15と同じ触媒、同じ処
理方法、同じ処理条件、同じ装置で実施例15に準じて
処理を行った。その結果、100時間後のCOD(C
r)処理効率は85%、排気ガス中の酸素濃度は12v
ol%であった。また、触媒の耐久性を評価するために
この排水処理を継続した結果、約1,000時間後のC
OD(Cr)処理効率は、68%に低下した。このため
処理を停止し、触媒を抜き出したところ、触媒層全層に
おいて、触媒形状の崩壊および触媒量の減少が観察され
た。
【0100】
【発明の効果】本発明は、以上の様に構成されており、
有機および/または無機の被酸化性物質を、触媒を用い
て酸化および/または分解処理する排水の処理方法にお
いて、活性炭を含有する固体触媒を用いて、比較的低温
・低圧で効率良く、長期間安定的に排水を処理すること
のできる触媒湿式酸化法による排水の処理方法が実現で
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する為の処理装置の一構成例
を示す概略説明図である。
【図2】本発明方法を実施する為の処理装置の他の構成
例を示す概略説明図である。
【図3】本発明方法を実施する為の処理装置の更に他の
構成例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1,21,31,32 反応塔 2,22,33,34 電気ヒーター 3 加熱器 4 冷却器 5 排水供給ポンプ 6 排水供給ライン 7 コンプレッサー 8 酸素含有ガス供給ライン 9,35 酸素含有ガス流量調節弁 10 処理液ライン 11 気液分離器 12 圧力制御弁 13 ガス排出ライン 14 処理液排出ポンプ 15 処理液排出ライン 16 酸素濃度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 徹 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平9−155364(JP,A) 特開 平9−253696(JP,A) 特公 平6−47101(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/74 B01J 23/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水中に含まれる有機および/または無
    機の被酸化性物質を、触媒を用いて酸化および/または
    分解処理する排水の処理方法において、50℃以上17
    0℃未満の処理温度、該排水が液相を保持する圧力下
    で、酸素含有ガスを供給すると共に、活性炭を含有する
    固体触媒を用いて排水を処理し、後の排気ガス中の酸素
    濃度を0〜5vol%の範囲に維持して操業することを
    特徴とする排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記固体触媒が、更にPt,Pd,R
    h,Ru,Ir,Ag,Auよりなる群から選択される
    1種以上の元素を含有するものである請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 酸素含有ガスの供給量が、[供給酸素含
    有ガス中の酸素量]/[排水の処理効率が最大になると
    きの排水の酸素消費量]=0.8〜1.3倍の範囲とな
    るように設定する請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記固体触媒を充填した触媒層における
    気液の流通方法が、気液下向並流である請求項1〜3の
    いずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 酸素含有ガスを供給するに際し、酸素含
    有ガスを分割して供給する請求項1〜4のいずれかに記
    載の方法。
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