JPH08231316A - 防菌防カビ用組成物 - Google Patents

防菌防カビ用組成物

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JPH08231316A
JPH08231316A JP3558295A JP3558295A JPH08231316A JP H08231316 A JPH08231316 A JP H08231316A JP 3558295 A JP3558295 A JP 3558295A JP 3558295 A JP3558295 A JP 3558295A JP H08231316 A JPH08231316 A JP H08231316A
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methyl
chloro
antibacterial
tetrakisphenol
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JP3558295A
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English (en)
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Hisao Nagai
久雄 永井
Hiroyuki Suzuki
啓之 鈴木
Hiroshi Saimoto
浩 道祖本
Koji Kawai
浩二 川合
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Somar Corp
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Somar Corp
Nippon Soda Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式 【化1】 (Rは臭素原子又はヒドロキシアルキル基である)で表
わされる化合物や2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロ
ピオンアミドと、テトラキスフェノール化合物をホスト
成分とし、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリ
ン‐3‐オンをゲスト成分とした包接化合物とから成る
防菌防カビ用組成物である。 【効果】 皮膚や目に対する刺激性が少なく、化学的に
安定で、かつ抗菌スペクトルが広い上、効果の持続性に
優れ、各分野における微生物による障害を効果的に防止
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な防菌防カビ用組成
物、さらに詳しくいえば、皮膚や目などに対する刺激性
が少なく、化学的に安定で、かつ抗菌スペクトルが広い
上、効果の持続性がよく、特に白水などの水性媒体に対
して好適な防菌防カビ用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、紙パルプ工業分野における抄紙工
程の用水系、各種産業分野における循環冷却水などの用
水系、あるいは工業用水を使用して調製される水性塗
料、紙用塗工液、ラテックスエマルション、デンプンス
ラリー、捺染糊、皮革などにあっては、それらに有害な
微生物が繁殖しやすく、これが生産性の低下や品質の低
下の原因となっている。
【0003】特に、紙パルプ工業の抄紙工程において
は、パルプスラリーの流れる場所の壁面、チェスト、フ
ローボックス、輸送パイプなどにスライムが付着し、こ
れが脱離して紙パルプ製品の中に混入して種々の着色斑
点や汚点を生じ、紙パルプ製品の汚染、紙切れ、作業能
率の低下など、好ましくない事態を招来し、紙パルプの
生産に大きな障害となっている。
【0004】このような微生物による障害を防止するた
めに、これまで抗菌作用を有する化合物を用いて処理す
ることが行われており、これまでこのような抗菌剤とし
て、イソチアゾロン系化合物を単独で、あるいは他の抗
菌剤と組み合わせて用いていたものが知られている(特
開昭62−70301号公報、特開平3−184904
号公報、特公平6−21043号公報)。
【0005】しかしながらこのイソチアゾロン系化合物
として、最も普通に用いられている、5‐クロロ‐2‐
メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンは皮膚や目に対
する刺激性が極めて強く、取扱いを慎重にしなければな
らない上、化学的に不安定であることから安定化剤を必
要とするが、この安定化剤として添加される無機塩によ
りエマルションが破壊されるという欠点がある。
【0006】このような欠点を改良するために、該5‐
クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン
を、ビスフェノール系化合物などにより包接することが
試みられている(特開平1―190602号公報、特開
平5―4978号公報)。しかしながら、これらの技術
においては、前記欠点が十分に改良されているとはいえ
ない。
【0007】ところで、最近、工業用水のクローズド
化、抄紙の中性化、あるいは製紙原料における故紙の配
合率の上昇などにより、細菌以外に糸状菌などに起因す
る障害が増加してきており、多くの微生物に対する強力
な抗菌効果を有する薬剤が必要となってきた。そのた
め、2種以上の薬剤を組み合わせ、その相乗効果により
抗菌スペクトルの拡大及び抗菌力の増強が試みられてい
る。例えば、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾ
リン‐3‐オンやその金属塩と他の抗菌剤との組合せ
(特公昭58―4682号公報、特公昭60―5428
1号公報、特開昭60―84203号公報、特開昭60
―139601号公報、特開昭62―10003号公
報、特開平2―53703号公報)が開示されている。
しかしながら、これらの混合剤においては、5‐クロロ
‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンがもつ前
記欠点は改良されていない。
【0008】また、1,1,6,6‐テトラキス(2,
4‐ジメチルフェニル)‐2,4‐ヘキサジイン‐1,
6‐ジオールなどをホスト成分とし、5‐クロロ‐2‐
メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンをゲスト成分と
した包接化合物とハロゲン化ニトロアルコールとの組合
せが提案されているが(特開平3−271204号公
報)、その製剤化に関しては知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オ
ンにおける種々の問題を解決し、皮膚や目などに対する
刺激性が少なく、化学的に安定で、かつエマルションの
破壊をもたらすことがない上、抗菌スペクトルが広く、
しかも高い抗菌力を有するとともに、その効果の持続性
のよい、特に水性媒体用として適した防菌防カビ用組成
物を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する防菌防カビ用組成物を開発すべく鋭
意研究を重ねた結果、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イ
ソチアゾリン‐3‐オンを、テトラキスフェノール化合
物で包接化したものと、他の抗菌活性をもつ特定の化合
物とを含む組成物がその目的に適合しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、一般式
【化4】 (式中のRは臭素原子又はヒドロキシアルキル基であ
る)で表わされる化合物及び2,2‐ジブロモ‐3‐ニ
トリロプロピオンアミドの中から選ばれた少なくとも1
種と、テトラキスフェノール化合物をホスト成分とし、
5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オ
ンをゲスト成分とした包接化合物とから成る防菌防カビ
用組成物、及び前記の一般式(I)の化合物及び2,2
‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロピオンアミドの中から選
ばれた少なくとも1種を含む水性溶液中に、テトラキス
フェノール化合物をホスト成分とし、5‐クロロ‐2‐
メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンをゲスト成分と
した包接化合物及び分散剤を含有させ安定化させた水性
懸濁液から成る防菌防カビ用組成物を提供するものであ
る。
【0012】本発明組成物においては、抗菌活性をもつ
化合物として、複数のものを組み合わせて用いるが、そ
の1つの成分である5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソ
チアゾリン‐3‐オンは、それをゲスト成分とする包接
化合物として用いることが必要である。
【0013】本発明においては、該包接化合物を形成さ
せるためのホスト成分として、テトラキスフェノール化
合物が用いられる。このテトラキスフェノール化合物と
しては、例えば、一般式
【化5】 で表わされる化合物を用いることができる。
【0014】前記一般式(II)において、R1ないし
8は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキ
ル基、低級アルコキシ基又は置換基を有する若しくは有
しないフェニル基である。ここで、ハロゲン原子として
は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが、低
級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n
‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、イソブ
チル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基など
が、低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エ
トキシ基、n‐プロポキシ基、イソプロポキシ基、n‐
ブトキシ基、イソブトキシ基、sec‐ブトキシ基、t
ert‐ブトキシ基などが挙げられる。一方、置換基を
有する若しくは有しないフェニル基としては、例えばフ
ェニル基、トリル基、キシリル基、ハロゲノフェニル基
などが挙げられる。また、このR1ないしR8は、たがい
に同一であってもよいし、異なっていてもよい。さら
に、nは0又は1〜3の整数である。
【0015】前記一般式(II)で表わされるテトラキ
スフェノール化合物の具体例としては、1,1,2,2
‐テトラキス(4‐ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1,2,2‐テトラキス(3‐メチル‐4‐ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1,2,2‐テトラキス(3‐
ブロモ‐4‐ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,
2,2‐テトラキス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1,2,2‐テトラキス(3
‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1,2,2‐テトラキス(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1,2,2‐テトラキス(3,
5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1,2,2‐テトラキス(3‐フルオロ‐4‐ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1,2,2‐テトラキス
(3,5‐ジフルオロ‐4‐ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,2,2‐テトラキス(3‐メトキシ‐4‐
ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2‐テトラ
キス(3,5‐ジメトキシ‐4‐ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1,2,2‐テトラキス(3‐クロロ‐5
‐メチル‐4‐ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,
2,2‐テトラキス(3‐クロロ‐5‐フェニル‐4‐
ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2‐テトラ
キス(3‐フェニル‐4‐ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐2,2
‐ビス(3‐メチル‐4‐ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,3,3‐テトラキス(4‐ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1,3,3‐テトラキス(3‐メ
チル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,
3,3‐テトラキス(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1,4,4‐テトラキス(4‐ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4‐テトラキ
ス(3‐メチル‐ヒドロキシフェニル)ブタン、1,
1,4,4‐テトラキス(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ
フェニル)ブタン、1,1,5,5‐テトラキス(4‐
ヒドロキシフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
【0016】前記テトラキスフェノール化合物をホスト
成分として、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾ
リン‐3‐オン(以下、CMIと略記する)をゲスト成
分とした包接化合物の製造方法について特に制限はな
く、従来公知の方法を用いることができる。例えば水
や、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、ア
セトン、あるいはこれらの化合物から成る水性媒体中
に、前記ホスト成分であるテトラキスフェノール化合物
の少なくとも1種を溶解又は懸濁させたのち、これに前
記CMIを添加し、通常0〜100℃、好ましくは10
〜50℃の範囲の温度において、10分ないし24時間
程度、好ましくは30分ないし10時間程度かきまぜ反
応させることにより、CMIがホスト成分のテトラキス
フェノール化合物に包接される。
【0017】なお、該CMIは、通常β‐チオケトアミ
ドを酢酸エステルなどの不活性有機エステル溶媒中で塩
素化する方法や、β‐置換チオシアノアクリルアミドを
酸で処理してイソチアゾロンを得たのち、塩素化する方
法などにより製造されるが、この際、抗菌活性がCMI
の約1/10である2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐
3‐オン(以下、MIと略記する)が副生するため、こ
のMIが混入したCMIが得られる。本発明において
は、ゲスト成分として、MIが混入したCMIを用いて
も差し支えない。この場合、CMIが選択的に包接さ
れ、MIの包接量は極めて小さく、例えばホスト成分の
種類によっては、MIの包接量はCMIの包接量の1モ
ル%程度である。また、該CMIとして、前記副生成物
のMI及び安定化剤としての塩化マグネシウム、硝酸マ
グネシウムなどを含有する市販品の水溶性殺菌剤(例え
ば、商品名:ケーソンWT、ローム&ハース社製)をそ
のまま用いてもよい。
【0018】このようにして、形成されたテトラキスフ
ェノール化合物をホスト成分とし、CMIをゲスト成分
とした包接化合物は、通常固体状であるので、ろ過など
の公知の手段により反応終了液から取り出し、真空乾燥
などにより乾燥することにより、粉末状の包接化合物が
得られる。この包接化合物中のCMIの含有量は、ホス
ト成分のテトラキスフェノール化合物の種類、反応温
度、反応時間などにより異なるが、通常テトラキスフェ
ノール化合物1モル当り、1〜2モル程度である。
【0019】本発明の防菌防カビ用組成物は、前記のよ
うにして得られたテトラキスフェノール化合物をホスト
成分とし、CMIをゲスト成分した包接化合物を、他の
抗菌活性をもつ薬剤、すなわち、一般式
【化6】 (式中のRは臭素原子又はヒドロキシアルキル基であ
る)で表わされる化合物及び2,2‐ジブロモ‐3‐ニ
トリロプロピオンアミドの中から選ばれた少なくとも1
種を含む水性溶液中に、均質に懸濁、分散させたもので
ある。
【0020】前記一般式(I)で表わされる化合物の代
表例としては、2‐ブロモ‐2‐ニトロプロパン‐1,
3‐ジオール及び2,2‐ジブロモ‐2‐ニトロエタノ
ールを挙げることができる。これらの化合物は水溶性で
あるため、前記の包接化合物と組み合わせて、水性媒体
用の防菌、防カビ剤を調製するのに最適である。
【0021】本発明においては、他の抗菌活性をもつ薬
剤として、前記一般式(I)で表わされる化合物を1種
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
く、また2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロピオンア
ミドを単独で用いてもよいし、この2,2‐ジブロモ‐
3‐ニトリロプロピオンアミドと前記一般式(I)で表
わされる化合物1種以上とを組み合わせて用いてもよ
い。
【0022】本発明の防菌防カビ用組成物は、水などの
水性媒体中に、前記粉末状包接化合物、前記他の抗菌活
性をもつ薬剤及び分散剤、さらに所望により用いられる
各種添加成分を加え、通常用いられている粉砕兼用混合
機により、充分に粉砕し、混合することにより、該包接
化合物が懸濁した安定性の良い水性懸濁液として調製す
ることができる。このようにして得られる水性懸濁液中
の包接化合物の粒径としては100μm以下、好ましく
は5μm以下にするのがよい。しかしながら、所望なら
ば水和剤、固形剤、固体と液体が同時に分散して存在す
るサスポエマルションの形に製剤することもできる。
【0023】この際の製剤成分としては、目的に応じ希
釈剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、増粘剤、
比重調節剤、消泡剤、pH調節剤、金属腐食防止剤、凝
固点降下剤などが用いられる。水性懸濁液や水和剤の形
に製剤する場合に使用する分散剤としては、例えば、ア
ルキル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ナフタレ
ンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニンスルホン
酸塩、ポリカルボン酸塩などのアニオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン
性界面活性剤などが挙げられる。この中で、ナフタレン
スルホン酸塩のホルマリン縮合物とリグニンスルホン酸
塩が特に好ましい。この分散剤は、包接化合物と分散剤
との重量比が1:10ないし200:1、好ましくは
1:5ないし50:1の範囲になるような割合で用いら
れる。
【0024】前記増粘剤としては、例えばカルボキシメ
チルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、キサン
タンガム、ラムザンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、
ポリアクリルアミド、アルキルメタクリレート/ジエチ
ルアミノエチルメタクリレート共重合体、アルキルメタ
クリレート/N‐ビニル‐2‐ピロリドンアクリレート
共重合体、アルキルメタクリレート/ポリエチレングリ
コールメタクリレート共重合体、ドデシルフマレート/
ジエチルアミノエチルメタクリレート共重合体、スチレ
ン/マレイン酸共重合体、ナトリウム系モンモリロナイ
ト、シリカなどが挙げられる。
【0025】また、比重調節剤としては、分散媒体が水
の場合には、例えば尿素などの可溶性化合物が挙げられ
る。消泡剤は主に湿式粉砕時の起泡を防止するために添
加するもので、シリコーン系のものが有用である。pH
調節剤としては、例えば硫酸、リン酸、クエン酸、マレ
イン酸、コハク酸などの酸やその塩などが挙げられる。
分散媒として水を用いた場合の凝固点降下剤としては、
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グ
リセリンなどの親水性溶剤が挙げられる。
【0026】水和剤は有効成分のほかクレー、ベントナ
イト、けいそう土等の鉱物質微粉、デンプン、尿素のよ
うな有機物、また、硫酸ナトリウム等の無機塩をキャリ
ヤーとして使用し、界面活性剤等を混合、乾式粉砕し調
製する。
【0027】水性懸濁液やサスポエマルションは有効成
分の他、界面活性剤、消泡剤を分散媒体と混合し、微粉
砕及び乳化し、増粘剤や安定化剤、凝固点降下剤、比重
調節剤等を添加、混合して調製する。分散媒体として
は、水が好ましいが、オイル等非水系媒体も包接体を溶
解しなければ使用でき、特に非水溶性有効成分の場合
は、エマルション化せずに済むこともあり好ましい。
【0028】固形剤は有効成分と賦形剤、結合剤、滑沢
剤等を添加、混合、打錠したり、押し出し造粒や、包接
体を含む懸濁液を調製し、これを噴霧乾燥することによ
り調製できる。
【0029】本発明の防菌防カビ用組成物の使用に際し
ての添加量については、紙パルプ工業等の分野における
用水の場合は、有効成分量が0.1〜100ppmにな
るように、また、塗工液、デンプンスラリー、ラテック
スエマルション等の場合は、有効成分量が1〜500p
pmになるように添加するのが有効である。
【0030】この際、包接化合物と他の抗菌活性をもつ
薬剤との使用割合については特に制限はないが、通常包
接化合物中のCMIと他の抗菌活性をもつ薬剤との重量
比が1:100ないし100:1、好ましくは1:10
ないし10:1の範囲になるように選ばれる。また、水
性懸濁液中の包接化合物の濃度は、1〜50重量%程度
が実用的であるが、1〜15重量%が特に好適である。
【0031】
【発明の効果】本発明の防菌防カビ用組成物は、CMI
をゲスト成分として包接化し、この包接化合物を他の抗
菌活性をもつ薬剤が含まれている水性溶液中に懸濁させ
たものであって白水のような水性媒体を含む対象に使用
した場合、混合しやすく、安定であり、しかも該包接化
合物からCMIが徐々に放出され、このCMIと他の抗
菌活性をもつ薬剤との相乗効果により、広い抗菌スペク
トルと優れた抗菌力を発揮する。また、これらの効果の
持続性にも優れている。さらに、本発明組成物はCMI
が包接化されているので、皮膚や目に対する刺激性が少
なく、かつ化学的にも安定である。
【0032】本発明の防菌防カビ用組成物は、前記のよ
うな特徴を有し、例えば紙パルプ工業分野におけるスラ
イムコントロール剤として、あるいは、水性塗料、紙用
塗工液、ラテックスエマルション、デンプンスラリー、
捺染糊、皮革などにおける微生物による障害防止剤とし
て好適に用いられる。
【0033】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0034】参考例 包接化合物の製造 水10ml中に、1,1,2,2‐テトラキス(4‐ヒ
ドロキシフェニル)エタン 1.1355g(2.85
ミリモル)を加え、25℃で30分間かきまぜて分散さ
せたのち、これにケーソンWT(商品名、ローム&ハー
ス社製)20g(CMIとして11.4ミリモル)を徐
々に添加し、25℃で24時間かきまぜて反応させた。
次いで沈殿物を吸引ろ過し、室温にて真空乾燥すること
により、淡黄色粉末の包接化合物を得た。この包接化合
物におけるゲストとホストとのモル比は、2:1であっ
た。
【0035】実施例1 参考例で得られた包接化合物粉末を5.0重量部(CM
Iの含有量としては2.0重量部)、2‐ブロモ‐2‐
ニトロプロパン‐1,3‐ジオールを10.0重量部、
分散剤(ナフタレンスルホン酸ナトリウム‐ホルマリン
縮合物)と消泡剤(シリコーン系消泡剤)と増粘剤(キ
サンタンガム)との合計量 3.3重量部及び水 81.
7重量部の割合で混合し、湿式モーターミルで処理して
水性懸濁液から成る防菌防カビ用組成物を調製した。こ
のようにして得た水性懸濁液における包接化合物の平均
粒径は約1μmであった。このものについて、以下に示
す方法により、菌の生育抑制試験及び殺菌試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0036】(1)菌の生育抑制試験 シュードモナス・アエルギノーサ(Pa)、クレブシエ
ラ・ニューモニエ(Kp)、バチルス・サブチリス(B
s)、アスペルギルス・ニガー(An)、ゲオトリカム
属のカビ(G)、及び未同定のピンクスライムバクテリ
ア(P)を生理食塩水に懸濁し、これを等量ずつ試験管
に分け、ワックスマン培地を加え、この中に上記薬剤を
既定量添加し、32℃で振とう培養した。24時間後に
微生物の繁殖程度から生育抑制濃度を次に示す基準によ
り判定した。微生物が旺盛に繁殖している場合、明らか
に繁殖がみられる場合、繁殖の兆候がみられる場合、繁
殖の兆候がみられない場合、の4段階に分け、繁殖の兆
候がみられる場合の薬剤濃度を抑制濃度とした。
【0037】(2)殺菌試験 シュードモナス・アエルギノーサ(Pa)、クレブシエ
ラ・ニューモニエ(Kp)、バチルス・サブチリス(B
s)、アスペルギルス・ニガー(An)、ゲオトリカム
属のカビ(G)、及び未同定のピンクスライムバクテリ
ア(P)を生理食塩水に懸濁し、これを等量ずつ試験管
に分け、この中に上記薬剤の既定量を添加し、振とう接
触した。規定時間接触後、減菌水で希釈し、ワックスマ
ン培地を加え、48時間後に微生物コロニーの数が1m
l当り10個以下を殺菌濃度とした。
【0038】実施例2〜6、比較例1 参考例で得られた包接化合物粉末を用い、実施例1と同
様の操作により、表1に示す水性懸濁液から成る防菌防
カビ用組成物を調製した。このものについて、実施例1
と同様にして菌の生育抑制試験及び殺菌試験を行った。
その結果を表2に示す。
【0039】比較例2〜4 表1に示す組成の防菌防カビ用組成物を調製し、実施例
1と同様にして菌の生育抑制試験及び殺菌試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0040】比較例5 2,2′‐メチレンビス(4‐クロロフェノール)及び
CMIとMIとの混合液であるイソチアゾロン系殺菌剤
(ケーソン886水溶液、ローム&ハース社製)を反応
させて得られた包接化合物の粉末15重量部(CMIの
含有量としては3.0重量部)、分散剤(ナフタレンス
ルホン酸ナトリウム‐ホルマリン縮合物)と消泡剤(シ
リコーン系消泡剤)と増粘剤(キサンタンガム)との合
計量3.3重量部及び水81.7重量部を混合し、湿式
モーターミルで処理して水性懸濁液から成る防菌防カビ
用組成物を調製した。このものについて、実施例1と同
様にして菌の生育抑制試験及び殺菌試験を行った。その
結果を表1及び2に示す。
【0041】
【表1】 (注) CMI:5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン
‐3‐オン A :2‐ブロモ‐2‐ニトロプロパン‐1,3‐ジオ
ール B :2,2‐ジブロモ‐2‐ニトロエタノール C :2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロピオンアミ
ド Q :ジエチレングリコールモノメチルエーテル
【0042】
【表2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 37:34 31:08) (A01N 43/80 33:20 31:08) (72)発明者 道祖本 浩 東京都中央区銀座四丁目11番2号 ソマー ル株式会社内 (72)発明者 川合 浩二 東京都中央区銀座四丁目11番2号 ソマー ル株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中のRは臭素原子又はヒドロキシアルキル基であ
    る)で表わされる化合物及び2,2‐ジブロモ‐3‐ニ
    トリロプロピオンアミドの中から選ばれた少なくとも1
    種と、テトラキスフェノール化合物をホスト成分とし、
    5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オ
    ンをゲスト成分とした包接化合物とから成る防菌防カビ
    用組成物。
  2. 【請求項2】 一般式 【化2】 (式中のRは臭素原子又はヒドロキシアルキル基であ
    る)で表わされる化合物及び2,2‐ジブロモ‐3‐ニ
    トリロプロピオンアミドの中から選ばれた少なくとも1
    種を含む水性溶液中に、テトラキスフェノール化合物を
    ホスト成分とし、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチ
    アゾリン‐3‐オンをゲスト成分とした包接化合物及び
    分散剤を含有させて安定化させた水性懸濁液から成る防
    菌防カビ用組成物。
  3. 【請求項3】 ホスト成分のテトラキスフェノール化合
    物が、一般式 【化3】 (式中のR1ないしR8はそれぞれ水素原子、ハロゲン原
    子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又は置換基を有
    する若しくは有しないフェニル基であり、それらはたが
    いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、nは
    0又は1〜3の整数である)で表わされる化合物である
    請求項1又は2記載の防菌防カビ用組成物。
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