JP2012092034A - 光に対して安定化された工業用殺菌剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イソチアゾロン系殺菌剤の1種又は2種以上、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤、pH緩衝剤、スルホン酸塩及び水を含有し、pHが2.3以上4.0以下の範囲である工業用殺菌剤組成物。
【選択図】なし
Description
一般に、これらを有効成分とする工業用殺菌剤組成物は、使用場面で障害となる沈殿物の析出が起こり、冷却塔内においてトラブルが発生するといった課題があり、有効成分の安定性とともに沈殿物の析出のない工業用殺菌剤の創出が望まれていた。特に、イソチアゾロン系殺菌剤として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤として、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを有効成分とする工業用殺菌剤組成物は戸外で使用すると太陽光により、沈殿物の析出が促進するため、戸外等の太陽光に晒される使用場面においても沈殿物の析出しない工業用殺菌剤組成物の創出が望まれていた。
即ち、本発明は、
[1]イソチアゾロン系殺菌剤の1種又は2種以上、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤、pH緩衝剤、スルホン酸塩及び水を含有し、pHが2.3以上4.0以下の範囲である工業用殺菌剤組成物;
[2]イソチアゾロン系殺菌剤が2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び/又は5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤が2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールである上記[1]に記載の工業用殺菌剤組成物;
[3]pH緩衝剤が多塩基酸塩である上記[1]又は[2]に記載の工業用殺菌剤組成物;
[4]pH緩衝剤が酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、グリシン塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、ポリマレイン酸塩及びポリアクリル酸塩から選択される1種又は2種以上である上記[1]又は[2]に記載の工業用殺菌剤組成物;
[5]pH緩衝剤がクエン酸3ナトリウムである上記[3]又は[4]に記載の工業用殺菌剤組成物;
[6]スルホン酸塩がリグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウム及びリグニンスルホン酸ナトリウムから選択される1種又は2種以上である上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の工業用殺菌剤組成物;
[7]イソチアゾロン系殺菌剤を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.1〜14質量%、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.1〜5質量%含有する上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の工業用殺菌剤組成物;
[8]pH緩衝剤を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.01〜5質量%含有する上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の工業用殺菌剤組成物;
[9]スルホン酸塩を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.01〜5質量%含有する上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の工業用殺菌剤組成物;
[10]イソチアゾロン系殺菌剤の1種又は2種以上、及びハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤を有効成分として含有する工業用殺菌剤組成物において、pH緩衝剤及びスルホン酸塩を含有させ、かつpHが2.3以上4.0以下の範囲に調整することを特徴とする工業用殺菌剤組成物の安定化方法;
等に関する。
イソチアゾロン系殺菌剤とハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤の配合割合としては、イソチアゾロン系殺菌剤が1質量部に対してハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤が0.01〜10質量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.1〜1質量部の範囲である。
スルホン酸塩の配合割合としては、工業用殺菌剤組成物全量(100質量%)に対して、スルホン酸塩が0.01〜5質量%の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜3質量%の範囲である。スルホン酸塩の含量がこの範囲より少ないと、光安定性が不十分であり、析出物が生じやすい。また、スルホン酸塩の含量がこの範囲より多いと、スルホン酸塩が製剤中で完全に溶解せず、スルホン酸塩自体が沈降物と成る場合があり、析出物防止の観点からは多量の添加は逆効果となる場合がある。特に、リグニンスルホン酸塩のような高分子量のスルホン酸塩を使用する場合は、0.1質量%以下が好ましい。
当該pHを適当な範囲に調整するために酸を使用することができる。使用できる酸としては、クエン酸、塩酸又は硝酸を例示することができ、これらは2種以上を組み合わせて使用することもできる。好ましくは、クエン酸である。
リグニンスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水70.0質量部に溶解させ、ゾーネンC(CMT約10.5質量%、MT約3.5質量%、ケミクレア製)14.37質量部、ブロノポール(BP;純度99.8%、ケミクレア製)0.3質量部、クエン酸3ナトリウム・2水和物1質量部、を順次溶解させ、クエン酸を用いてpHを2.3に調整し、イオン交換水を加えて全体を100質量部とし、CMTを約1.5質量%、MTを約0.5質量%、BPを約0.3質量%含む試験No.1(実施例1)の工業用殺菌剤組成物を得た。
実施例1と同様の方法により、表1に記載された含量になるようにリグニンスルホン酸ナトリウムおよびクエン酸3ナトリウムを配合し、表1に記載したpHに調整して、試験No.2〜7の工業用殺菌剤組成物を得た。
特開2009−67791号公報に開示された製造方法に従って製造した。即ち、臭素酸カリウム0.1質量部をイオン交換水70.0質量部に溶解させ、ゾーネンC(CMT約10.5質量%、MT約3.5質量%、ケミクレア製)14.2質量部、クエン酸3ナトリウム・2水和物0.1質量部、無水マレイン酸0.06重量部、ブロノポール(BP;純度99.8%、ケミクレア製)0.3質量部を順次溶解させ、イオン交換水を加えて全体を100質量部とした。製造後のpHは、3.4であった。
製剤実施例及び比較例にて製造した工業用殺菌剤組成物を無色のガラス試験管に充填し、屋外で1週間保管し、その後液体クロマトグラフィーによりCMT、MT、BPの残存率を測定した。また沈殿の発生を目視により評価した。結果を第1表及び第2表、並びに実施例3、5及び7、及び比較例の概観の写真を図1及び2に示す。
A:残存率90%以上
B:残存率80〜99%
C:残存率70〜79%
D:残存率60〜69%
E:残存率59%以下
以上の評価基準において、C以上は製品の効果として問題ないが、D以下は効果に問題があり製品とすることができない。
A:沈殿物の発生が少なく、沈降していない
B:目視で明らかに沈殿物が発生
C:多くの沈殿物の発生が認められる
以上の評価基準において、Aは製品の使用に問題ないが、B以下は問題があり製品とすることができない。
Claims (10)
- イソチアゾロン系殺菌剤の1種又は2種以上、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤、pH緩衝剤、スルホン酸塩及び水を含有し、pHが2.3以上4.0以下の範囲である工業用殺菌剤組成物。
- イソチアゾロン系殺菌剤が2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び/又は5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤が2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールである請求項1に記載の工業用殺菌剤組成物。
- pH緩衝剤が多塩基酸塩である請求項1又は2に記載の工業用殺菌剤組成物。
- pH緩衝剤が酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、グリシン塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、ポリマレイン酸塩及びポリアクリル酸塩から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の工業用殺菌剤組成物。
- pH緩衝剤がクエン酸3ナトリウムである請求項3又は4に記載の工業用殺菌剤組成物。
- スルホン酸塩がリグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウム及びリグニンスルホン酸ナトリウムから選択される1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の工業用殺菌剤組成物。
- イソチアゾロン系殺菌剤を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.1〜14質量%、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.1〜5質量%含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の工業用殺菌剤組成物。
- pH緩衝剤を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.01〜5質量%含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の工業用殺菌剤組成物。
- スルホン酸塩を工業用殺菌剤組成物の全量に対して0.01〜5質量%含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の工業用殺菌剤組成物。
- イソチアゾロン系殺菌剤の1種又は2種以上、及びハロゲン化脂肪族ニトロアルコール系殺菌剤を有効成分として含有する工業用殺菌剤組成物において、pH緩衝剤及びスルホン酸塩を含有させ、かつpHが2.3以上4.0以下の範囲に調整することを特徴とする工業用殺菌剤組成物の安定化方法。
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