JPH08225706A - メタクリル樹脂組成物 - Google Patents

メタクリル樹脂組成物

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JPH08225706A
JPH08225706A JP3214395A JP3214395A JPH08225706A JP H08225706 A JPH08225706 A JP H08225706A JP 3214395 A JP3214395 A JP 3214395A JP 3214395 A JP3214395 A JP 3214395A JP H08225706 A JPH08225706 A JP H08225706A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 メタクリル酸メチル単位を主体とするメタク
リル樹脂A10〜92重量%、ゴム含有多層構造共重合
体Bおよび/またはゴム含有多層構造共重合体C87〜
5重量%、並びにメタクリル系硬質重合体D3〜50重
量%からなるメタクリル樹脂組成物。 【効果】 弾性率等の機械的性質および透明性等のメタ
クリル樹脂が本来有する優れた諸特性を保持し、かつ耐
衝撃性および耐歪白化性に優れるメタクリル樹脂組成物
が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタクリル樹脂組成物
に関する。本発明により提供されるメタクリル樹脂組成
物は耐衝撃性、耐歪白化性、透明性および機械的性質に
優れるため、オートバイの前面板等の車両用部品、自動
販売機の前面板等の機械部品、カーポート等の建築材料
などの素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂は、その透明性、耐候
性、機械的性質などの優れた特性から、自動車部品、電
気関係部品、工業部品、雑貨などの広い分野で利用され
ている。その反面、耐衝撃性に乏しい等の欠点を有して
おり、これが用途拡大の障害となっている。メタクリル
樹脂に耐衝撃性を付与する方法については、多くの提案
がなされているが、中でも、ゴム状粒子からなるコアに
メタクリル酸メチルを主成分とする単量体混合物をグラ
フト重合させてシェルを形成して得られる多層構造共重
合体粒子をメタクリル樹脂に分散させたメタクリル樹脂
組成物が、衝撃強度、透明性等の点から優れており、工
業的に広く利用されている(英国特許1,340,02
5号公報および英国特許1,414,187号公報参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
メタクリル樹脂組成物を成形した場合、歪をかけると白
化して、メタクリル樹脂が本来有する優れた透明性が低
下する傾向にあった。この傾向を緩和するために、上記
ゴム含有多層構造共重合体の粒径を小さくする方法があ
るが、粒径を小さくすると、得られる成形体の耐衝撃強
度が低下するため、メタクリル樹脂中に大量のゴム含有
多層構造共重合体を分散させる必要があり、歪のかかっ
ていない状態でも、透明性が著しく低下するだけでな
く、硬度および強度などの機械的性質も低下してしまう
という欠点があった。また、硬質層とゴム層を段階的に
変化させた多層構造重合体をメタクリル樹脂中に分散さ
せる方法も提案されているが(特開昭53−58554
号公報参照)、歪に対する白化を大きく低減させるには
至っていない。しかして、本発明の目的は、耐衝撃性、
耐歪白化性、透明性および機械的性質に優れたメタクリ
ル樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、ゴム含有多層構造共
重合体粒子と、架橋性硬質重合体を内核とし非架橋性硬
質重合体を外殻とするメタクリル系多層構造重合体粒子
とを、メタクリル樹脂に同時に分散させることによっ
て、耐衝撃性、耐歪白化性、透明性および機械的性質に
優れるメタクリル樹脂組成物が得られることを見出し本
発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(A)メタクリル酸
メチル単位を主体とするメタクリル樹脂(以下、これを
メタクリル樹脂Aと略称することがある)10〜92重
量%、(B)下記[イ]により規定される多層構造共重
合体(以下、これを多層構造共重合体Bと略称すること
がある)および/または(C)下記[ロ]により規定さ
れる多層構造共重合体(以下、これを多層構造共重合体
Cと略称することがある)87〜5重量%、並びに
(D)下記[ハ]により規定されるメタクリル系重合体
(以下、これをメタクリル系重合体Dと略称することが
ある)3〜50重量%からなるメタクリル樹脂組成物で
ある。 [イ] アルキル基の炭素数が2〜12の(メタ)アク
リル酸アルキルエステル69.9〜94.9重量%、スチ
レン30〜5重量%および重合可能な多官能性化合物
0.1〜5重量%からなる単量体混合物、または下記の
一般式(I)
【化3】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で示さ
れるジエン単量体25〜75重量%およびアルキル基の
炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル75〜2
5重量%からなる単量体混合物を重合させ、得られる重
合体100重量部にメタクリル酸メチル80〜99.9
重量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体
20〜0.1重量%からなる単量体混合物10〜200
重量部を連鎖移動剤の存在下に重合させて得られる平均
粒径0.05〜0.4μmの多層構造共重合体。 [ロ] メタクリル酸メチル80〜99.9重量%、ア
ルキル基の炭素数が1〜4のアクリル酸アルキルエステ
ル1〜20重量%および重合可能な多官能性化合物0.
1〜3重量%からなる単量体混合物を重合させ、得られ
る重合体100重量部にアルキル基の炭素数が2〜12
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル69.9〜94.
9重量%、スチレン30〜5重量%および重合可能な多
官能性化合物0.1〜5重量%からなる単量体混合物、
または下記の一般式(I)
【化4】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で示さ
れるジエン単量体25〜75重量%およびアルキル基の
炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル75〜2
5重量%からなる単量体混合物50〜2000重量部を
重合させ、得られる重合体100重量部にメタクリル酸
メチル80〜99.9重量%およびメタクリル酸メチル
と共重合可能な単量体20〜0.1重量%からなる単量
体混合物10〜100重量部を連鎖移動剤の存在下に重
合させて得られる平均粒径0.05〜0.5μmの多層構
造共重合体。 [ハ] メタクリル酸メチル50〜95重量%、アルキ
ル基の炭素数が1〜4ののアクリル酸アルキルエステル
1〜20重量%および重合可能な多官能性化合物4〜4
0重量%からなる単量体混合物を重合させ、得られる重
合体100重量部にメタクリル酸メチル80〜99.5
重量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体
20〜0.5重量%からなる単量体混合物10〜300
重量部を連鎖移動剤の存在下に重合させて得られる平均
粒径0.01〜0.4μmのメタクリル系重合体。
【0006】本発明においては、メタクリル樹脂Aを1
0〜92重量%配合する必要がある。メタクリル樹脂A
の配合量が10重量%未満の場合は、メタクリル樹脂が
本来有する透明性および力学的性能が低下し、92重量
%を越える場合は、耐衝撃性が低下する。多層構造共重
合体Bおよび/または多層構造共重合体Cは、メタクリ
ル樹脂組成物の耐衝撃性を向上させるために、87〜5
重量%配合することが必要である。配合量が5重量%未
満になると、得られるメタクリル樹脂組成物の耐衝撃性
が損なわれ、87重量%を越えると、メタクリル樹脂が
本来有する高い硬度、弾性率などの機械的性質が損なわ
れる。また、耐歪白化性をより要求される用途には多層
構造共重合体Bを用いることが好ましく、耐衝撃性がよ
り要求される用途には多層構造共重合体Cを用いること
が好ましい。本発明におけるメタクリル系重合体Dの配
合量は3〜50重量%の範囲内であることが必要であ
り、5〜30重量%の範囲内が好ましい。該配合量が、
3重量%未満の場合は、メタクリル樹脂組成物の耐歪白
化性が損なわれ、50重量%を越える場合は、メタクリ
ル樹脂組成物の耐衝撃性が損なわれる。
【0007】本発明におけるメタクリル樹脂Aにおい
て、メタクリル酸メチル単位の含有量は80重量%以上
が好ましく、メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単
量体から誘導される構造単位の含有量は20重量%以下
であることが好ましい。該単量体としては、スチレン;
アクリロニトリル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアルキ
ル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル;
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸オクチル等のアルキル基の炭素数が2〜8のメタ
クリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸イソボル
ニル、メタクリル酸フェニル等の脂環骨格または芳香環
骨格を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられ、こ
れらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いても
よい。
【0008】本発明における多層構造共重合体Bは、架
橋されたゴム成分よりなる内核と硬質成分よりなる外殻
とからなる実質的に二層のコア・シェル構造を有してい
る。ここでいう実質的に二層のコア・シェル構造とは、
内核と外殻が明確な境界により区別されている二層のコ
ア・シェル構造だけでなく、該境界付近では内核の重合
体成分と外殻の重合体成分が混じり合い境界がやや不明
確になっているコア・シェル構造や、外殻成分の一部が
内核に入り込んでいるコア・シェル構造も包含する。
【0009】内核はアルキル基の炭素数が2〜12の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル69.9〜94.9
重量%、スチレン30〜5重量%および重合可能な多官
能性化合物0.1〜5重量%からなる単量体混合物(以
下、これを混合物Aと略称することがある)を重合させ
て得られる重合体、または上記の一般式(I)で示され
るジエン単量体25〜75重量%およびアルキル基の炭
素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル75〜25
重量%からなる単量体混合物(以下、これを混合物Bと
略称することがある)を重合させて得られる重合体から
なる。
【0010】混合物Aにおけるアルキル基の炭素数が2
〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして
は、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オ
クチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルな
どが挙げられ、中でも、アクリル酸ブチルが好ましい。
該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合が9
4.9重量%を越える場合は、得られるメタクリル樹脂
組成物の透明性が低下し、69.9重量%未満の場合
は、耐衝撃性および透明性が低下する。スチレンの配合
割合は30〜5重量%の範囲内である。この範囲外にな
ると、得られるメタクリル系樹脂組成物の透明性が著し
く低下する。重合可能な多官能性化合物とは、分子内に
炭素間二重結合を2個以上有する単量体であり、アリル
アルコールおよび/またはメタリルアルコールと、アク
リル酸、メタクリル酸、桂皮酸よりなる群から選ばれる
少なくとも1種の酸とのエステル、またはフタル酸、テ
レフタル酸およびイソフタル酸よりなる群から選ばれる
少なくとも1種の酸成分とのジエステルが好ましい。具
体的には、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メ
タクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリ
ル、桂皮酸メタリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸
ジアリル、イソフタル酸ジアリル等が例示される。これ
らは、単独で使用しても、2種以上を組合わせて使用し
てもよい。該多官能性化合物は外殻を形成する重合反応
において、化学結合によって外殻と内核を接着させるグ
ラフト剤として機能するため、その配合割合が0.1重
量%未満の場合は、内核と外殻の間の接着性が低下し、
5重量%を越える場合は、グラフト反応と同時に進行す
る架橋反応により、ゴムとしての性能が低下するため、
得られるメタクリル樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
【0011】また、混合物Aは、上記の成分と共重合可
能な他の単量体を含有することもできる。該単量体とし
ては、α-メチルスチレン、p−メチルスチレン、桂皮
酸メチル、アクリロニトリル等が挙げられ、その含有量
は10重量%以下であることが好ましい。10重量%を
越えると、メタクリル樹脂が本来有する透明性および力
学的性能が損なわれることがある。
【0012】混合物Bにおけるアルキル基の炭素数が2
〜8のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オク
チル等が挙げられ、中でも、耐衝撃性の観点からアクリ
ル酸ブチルが好ましい。一般式(I)で示されるジエン
単量体は、ブタジエンおよびイソプレンであり、これら
は単独で用いても、両者を組合わせて用いてもよい。該
ジエン単量体とアクリル酸アルキルエステルとの重量比
は前者対後者の比で25対75から75対25の範囲内
であることが必要であり、この範囲をはずれると、得ら
れるメタクリル樹脂組成物の透明性が著しく低下する。
【0013】また、混合物Bに、5重量%以下であれば
重合可能な多官能性化合物を配合することもでき、20
重量%以下であれば共重合可能な他の単量体を配合する
こともできる。該多官能性化合物としては、混合物Aに
おいて用いられるものと同様のものが例示され、共重合
可能な他の単量体としては、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル等のアルキル基の炭素数が
4〜12のメタクリル酸アルキルエステル、α-メチル
スチレン、p−メチルスチレン、桂皮酸メチル、アクリ
ロニトリル等が挙げられる。多官能性化合物の配合量が
5重量%を越えると、ゴムとしての性能が低下するため
得られるメタクリル樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、他
の共重合可能な単量体の配合量が20重量%を越える
と、メタクリル樹脂の本来有する透明性、力学的性能が
損なわれることがある。
【0014】外殻は、内核を形成する上記の重合体にメ
タクリル酸メチル80〜99.9重量%およびメタクリ
ル酸メチルと共重合可能な単量体20〜0.1重量%か
らなる単量体混合物(以下、混合物Cと略称することが
ある)を連鎖移動剤の存在下に重合させることにより形
成される。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体と
しては、メタクリル樹脂Aにおいて採用されるものと同
様のものが例示される。連鎖移動剤は外殻を形成する重
合体の分子量を調節し、粒子の流動性を確保するために
必要であり、ラジカル重合で通常用いられる、オクチル
メルカプタン、ラウリルメルカプタン等のアルキルメル
カプタン;チオグリコール酸;チオグリコール酸メチル
エステル等のチオグリコール酸アルキルエステル;チオ
フェノール等の芳香族メルカプタンなどが例示される。
中でも、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン
が好適に用いられる。メタクリル酸メチルと、メタクリ
ル酸メチルと共重合可能な他の単量体との重量比は前者
対後者の比で80対20から99.9対0.1の範囲内で
ある。メタクリル酸メチルの量がこの範囲内の量より少
なくなると、多層構造共重合体Bとメタクリル樹脂から
なるマトリックスとの相溶性が低下して粒子のマトリッ
クスへの分散性が悪くなり、得られるメタクリル樹脂組
成物の透明性が低下する。一方、メタクリル酸メチルの
量が上記の範囲内の量より多くなると、得られるメタク
リル樹脂組成物の耐熱分解性および成形加工性が低下す
る。
【0015】多層構造共重合体Bの製造に用いる混合物
Aまたは混合物Bを重合させて得られる重合体と混合物
Cとの重量比は前者対後者の比で10対1〜10対20
の範囲内である。混合物Cの量が、この範囲内の量より
多くなると、得られるメタクリル樹脂組成物の耐衝撃性
が低下し、この範囲内の量より少なくなると粒子のマト
リックスへの分散性が低下し、得られるメタクリル樹脂
組成物の成形性が低下する。
【0016】多層構造共重合体Bの平均粒径は、0.0
5〜0.4μmの範囲内であることが必要であり、この範
囲をはずれると得られるメタクリル樹脂組成物の耐衝撃
強度が低下する。多層構造共重合体Bとしては、混合物
Aから得られる多層構造共重合体または混合物Bから得
られる多層構造共重合体を単独で用いても、両者を組合
わせて用いてもよい。
【0017】本発明における多層構造共重合体Cは、架
橋された硬質成分からなる第一層を形成する重合体、架
橋されたゴム成分からなる第二層を形成する重合体およ
び硬質成分からなる第三層を形成する重合体よりなり、
実質的に三層のコア・シェル構造を有する。ここでいう
三層のコア・シェル構造とは第一層からなる内核の外側
に中間殻となる第二層が形成され、かつ第二層の外側に
外殻となる第三層が形成されているコア・シェル構造を
意味し、実質的に三層のコア・シェル構造とは前述した
実質的に二層のコア・シェル構造の場合と同様、第一層
と第二層との境界および第二層と第三層との境界がやや
不明確になっているコア・シェル構造、第二層の成分の
一部が第一層に入り込んでいるコア・シェル構造、第三
層の成分の一部が第二層および/または第一層に入り込
んでいるコア・シェル構造なども包含する。
【0018】第一層は、メタクリル酸メチル80〜9
9.9重量%、アルキル基の炭素数が1〜4のアクリル
酸アルキルエステル1〜20重量%および重合可能な多
官能性化合物0.1〜3重量%からなる単量体混合物
(以下、混合物Dと略称することがある)を重合させて
得られる重合体からなる。混合物Dにおいて、メタクリ
ル酸メチルの量が80重量%未満になると、得られるメ
タクリル樹脂組成物の透明性が低下する。アルキル基の
炭素数が1〜4のアクリル酸アルキルエステルは、メタ
クリル樹脂組成物の耐熱分解性を向上させるため1〜2
0重量%必要である。重合可能な多官能性化合物は、第
二層を形成する重合反応においてグラフト剤としても機
能し、第一層と第二層の接着性を向上させるために、
0.1重量%以上必要であるが、多すぎると得られるメ
タクリル樹脂組成物の透明性および耐熱分解性が低下す
るため、その上限は3重量%である。
【0019】多層構造共重合体Cの第二層は、第一層を
形成する重合体に混合物Aまたは混合物Bを重合させる
ことにより形成され、その結果第一層を形成する重合体
を内核とし、その外側に第二層が外殻を形成する実質的
に二層のコア・シェル構造を有する重合体が得られる。
【0020】このようにして得られた重合体に混合物C
を連鎖移動剤の存在下に重合させることに第三層が形成
され、その結果、多層構造共重合体Cが得られる。反応
条件は多層構造共重合体Bの第二層を形成する場合と同
様のものが採用される。
【0021】多層構造共重合体Cの製造において、混合
物Aまたは混合物Bとそれを重合させる重合体との重量
比は前者対後者の比で50対100から2000対10
0の範囲内であり、混合物Cとそれを重合させる重合体
との重量比は前者対後者の比で10対100〜100対
100の範囲内である。これらの範囲を逸脱すると、得
られるメタクリル樹脂組成物の耐衝撃性および透明性が
低下する。多層構造共重合体Cにおいて、第二層を形成
する重合体の割合は30〜80重量%の範囲内が好まし
く、35〜60重量%の範囲内がより好ましい。多層構
造共重合体Cの平均粒径は、0.05〜0.5μmの範囲
内であることが必要であり、この範囲をはずれるとメタ
クリル樹脂組成物の耐衝撃強度が著しく低下する。
【0022】本発明におけるメタクリル系重合体Dは、
硬質の架橋性重合体からなる内核と非架橋性重合体から
なる外殻により形成される実質的に二層のコア・シェル
構造を有する粒子であり、メタクリル樹脂組成物の耐歪
白化性および機械的性質等を向上させるために必要であ
る。内核は、メタクリル酸メチル50〜95重量%、ア
ルキル基の炭素数が1〜4のアクリル酸アルキルエステ
ル1〜20重量%および重合可能な多官能性化合物4〜
40重量%からなる単量体混合物(以下、これを混合物
Eと略称することがある)を重合させて得られる重合体
からなる。
【0023】混合物Eにおける重合可能な多官能性化合
物とは、分子内に炭素間二重結合を2個以上有する化合
物であり、エチレングリコールメタクリル酸ジエステ
ル、1,3−ブチレングリコ−ルメタクリル酸ジエステ
ル、ヘキサメチレングリコールメタクリル酸ジエステ
ル、エチレングリコールアクリル酸ジエステル、ヘキサ
メチレングリコールアクリル酸ジエステル、トリメチロ
ールプロパンメタクリル酸トリエステル、アクリル酸ア
リル、メタクリル酸アリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタ
リル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソ
フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリルまたはジビニ
ルベンゼン等が例示されるが、中でも、全ての炭素間二
重結合がメタクリル酸メチルと良好な共重合性を示す化
合物、すなわち、該炭素間二重結合の単量体反応性比
(r2)が下記の数式(II)を満足する化合物が好まし
い。 0.1≦r1×r2≦2.0 (II) (式中、r1はメタクリル酸メチルの単量体反応性比、
r2は重合可能な多官能性化合物の炭素間二重結合の単
量体反応性比を表す。) r1×r2(単量体反応性比の積)の値がこの範囲外にな
ると、架橋の程度が低くなるため、耐歪白化性が低下す
る傾向にある。数式(II)を満足する重合可能な多官能
性化合物としては、(メタ)アクリル酸とジオールまた
はトリオ−ルとのジエステルまたはトリエステルが好ま
しく、具体的には、エチレングリコ−ルメタクリル酸ジ
エステル、1,3−ブチレングリコ−ルメタクリル酸ジ
エステル、トリメチロールプロパンメタクリル酸トリエ
ステル、エチレングリコールアクリル酸ジエステル、ヘ
キサメチレングリコールメタクリル酸ジエステル、ヘキ
サメチレングリコールアクリル酸ジエステル等が挙げら
れる。
【0024】混合物Eにおけるメタクリル酸メチルの量
が50重量%未満の場合は、得られるメタクリル樹脂組
成物の透明性が低下する。メタクリル樹脂組成物の耐熱
分解性を向上させるために、アルキル基の炭素数が1〜
4のアクリル酸アルキルエステルは、1〜20重量%配
合されていることが必要である。重合可能な多官能性化
合物の量が4重量%未満の場合は、得られるメタクリル
樹脂組成物の耐歪白化性および力学的性能が低下し、4
0重量%を越える場合は、透明性が低下する。また、必
要に応じて混合物Eに他の共重合性単量体を含有させる
こともできる。他の共重合性単量体としては、スチレ
ン、アクリロニトリル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のアル
キル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボ
ルニル、メタクリル酸フェニル等の脂環骨格または芳香
環を有するメタクリル酸エステル等が挙げられ、これら
は単独あるいは組合わせて用いられる。
【0025】多層構造共重合体Cの外殻は、多層構造共
重合体Bの外殻と同様にして形成される。メタクリル系
重合体Dの平均粒径は0.01〜0.4μmの範囲内であ
ることが必要であり、0.01〜0.2μmの範囲内が好
ましい。0.4μmを越える場合は、メタクリル樹脂組成
物の耐歪白化性が低下し、0.01μm未満の場合は、耐
衝撃強度が低下する。
【0026】本発明における多層構造共重合体B、多層
構造共重合体Cおよびメタクリル系重合体Dを製造する
ための重合方法に特に制限はないが、球状の多層構造重
合体が容易に得られる乳化重合法が好ましい。以下、乳
化重合法を例にとり説明する。反応容器に脱イオン水お
よび乳化剤を入れ、これに内核を形成する重合体を製造
するための単量体混合物の成分を添加して重合を行い、
次いで外殻(多層構造共重合体Cの場合は、第二層)を
形成する重合反応を行う。多層構造共重合体Cの場合
は、さらに、第三層を形成する重合反応を行う。重合温
度は10〜120℃の温度範囲が好ましく、30〜10
0℃の範囲がより好ましい。重合時間は、重合開始剤お
よび乳化剤の種類および量、重合温度等によって異なる
が、通常は各層を形成する重合反応ごとに、それぞれ3
0分〜7時間の範囲内である。単量体混合物と水との重
量比は前者対後者の比で5対95から70対30の範囲
内が好ましい。単量体混合物の成分は、全量を一時に仕
込んでも、分割して仕込んでもよいが、重合に伴う発熱
を効率よく除去する観点から、分割して仕込むのが好ま
しい。
【0027】乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、
ノニオン系界面活性剤、ノニオン−アニオン系界面活性
剤など乳化重合で通常用いられるものが使用され、例え
ば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムな
どの長鎖アルキルカルボン酸の塩または長鎖アルケニル
カルボン酸の塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル
硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナト
リウム、ラウリルザルコシン酸ナトリウム、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルアルコ−ル、ポリオキシエチレ
ンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエー
テル硫酸ナトリウム等が挙げられる。重合開始剤として
は、特に限定はなく、通常用いられるペルオキソ硫酸カ
リウム等の過硫酸塩、過ホウ酸ナトリウム等の過ほう酸
塩などの無機開始剤、それらと亜硫酸ナトリウム等の亜
硫酸塩との組合わせ、ベンゾイルパーオキシド、クメン
ハイドロパーオキシド等の有機ヒドロパーオキシドと硫
酸第一鉄、第一塩化鉄等の第一金属塩またはその水和物
との組合わせなどのレドックス開始剤等が例示される。
【0028】エマルジョンの粒径は、乳化剤の種類、濃
度等の乳化条件により適宜調整することができる。粒径
は、重合終了時のラテックスの状態で顕微鏡観察法、吸
光度法、静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法など
の既知の方法により測定される。
【0029】上記の乳化重合によりポリマーラテックス
が得られる。次に、これを公知の方法にしたがって凝固
乾燥させる。
【0030】このようにして得られた多層構造共重合体
Bおよび/または多層構造共重合体C、並びにメタクリ
ル系重合体Dを、メタクリル酸メチル単位を主体とする
メタクリル樹脂Aと混合することにより、本発明のメタ
クリル樹脂組成物が得られる。これらを混合する方法と
しては、均一に混合できる方法であればいかなる方法で
もよく、通常用いられる樹脂の混合方法が全て適用でき
る。例えば、溶融混合法では、溶融混合に先立ち、上記
の各樹脂成分の他に、必要により安定剤、染料、顔料、
可塑剤、滑剤、充填剤等を適宜加え、V型ブレンダー、
ヘンシェルミキサー等で混合した後、ミキシングロール
スクリュー型押出機等を用いて150〜300℃で溶融
混練する。また、乳化重合法により得られた多層構造共
重合体Bおよび/または多層構造共重合体Cおよびメタ
クリル系重合体Dを含むラテックスと、メタクリル酸メ
チル単位を主体とするメタクリル樹脂Aのラテックスを
ブレンドした後、樹脂を分離して取り出す方法等が例示
される。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。また、得られた多層構造共重合体、メタク
リル系重合体およびメタクリル樹脂組成物の物性は以下
の方法により評価した。 〈粒径〉光散乱法粒径測定装置(大塚電子株式会社製P
AR−III)を用いて測定した。 〈耐衝撃性〉射出成形で得られた小型試験片を調湿(2
3℃、60%RH、24時間)した後、ノッチングマシ
ン(CSI社製Mini−max)により切り欠き(先
端半径0.25mm、深さ1.3mm)を入れて、アイゾ
ット衝撃試験機(CSI社製Mini−max Imp
act Tester)により、耐衝撃強度を測定し
た。 〈歪白化性〉厚さ0.2mmの板からダンベル状の試験
片を作成し、顕微測光装置(日本光学株式会社製P1)
を装着した引張試験機(株式会社島津製作所製オートグ
ラフAG5000、歪速度0.1mm/min)を用い
て、伸度と全光線透過率を同時に測定し、10%伸長時
の全光線透過率で評価した。 〈透明性〉厚さ0.2mmの板からダンベル状の試験片
を作成し、顕微測光装置(日本光学株式会社製 P1)
を用いて測定した全光線透過率で示した。 〈弾性率〉厚さ1mmの板からダンベル状の試験片を作
成し、引張試験機(株式会社島津製作所製AG500
0、歪速度2mm/min)を用いて測定した。
【0032】合成例1(多層構造共重合体[B−1]の
合成) 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管および滴下ロートを装着
した2リットルの重合器に蒸留水600g、乳化剤とし
てラウリルザルコシン酸ナトリウム0.168gおよび
ステアリン酸ナトリウム2.1gを加え、70℃に加熱
して均一に溶解させた。次いで、アクリル酸ブチル(以
下、BAと略記する)124.05g、スチレン(以
下、Stと略記する)25.95gおよび重合可能な多
官能性化合物としてメタクリル酸アリル(以下、ALM
Aと略記する)0.15gを加え、30分間攪拌した
後、ペルオキソ二硫酸カリウム(以下、KPSと略記す
る)0.15gを加えて重合を開始した。4時間後、ガ
スクロマトグラフィー(以下、GCと略記する)で各単
量体が全て消費されたことを確認した。次いで、得られ
た共重合体ラテックスにKPS0.3gを加えた後、メ
タクリル酸メチル(以下、MMAと略記する)144.
0g、アクリル酸エチル(以下、EAと略記する)6.
0gおよび連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン
(以下、n−OSHと略記する)0.3gの混合物を滴
下ロートより2時間かけて滴下した。滴下終了後、さら
に30分間反応を続け、各単量体が消費されたことを確
認して重合を終了した。得られたラテックスの粒径は
0.30μmであった。これを−20℃に24時間冷却
して凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で
3回洗浄した。さらに、80℃で2日間減圧乾燥して、
多層構造共重合体[B−1]を得た。結果を表1に示し
た。
【0033】合成例2〜4(多層構造共重合体[B−
2]〜[B−4]の合成) 合成例1において、乳化剤、単量体混合物の組成および
使用量を表1に示したように変更した以外は合成例1と
同様の操作を行い、多層構造共重合体[B−2]〜[B
−4]を得た。結果を表1に示した。
【0034】合成例5(多層構造共重合体[B−5]の
合成) 0.5リットルのオートクレーブに蒸留水200g、乳
化剤としてオレイン酸ナトリウム4.0g、ロンガリッ
ト(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート)
0.267g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.
013gおよび硫酸第一鉄7水和物0.008gを仕込
み、攪拌して窒素置換しながら50℃に昇温した。30
分後、BA41.6g、ブタジエン38.4gを加え、さ
らに30分この温度を保持した。次いで、クメンハイド
ロパーオキサイド0.1gを加えて重合を開始した。4
時間後、GCで各単量体が全て消費されたことを確認し
た。次に、得られた共重合体ラテックス204g(共重
合体量:57.2g)を、窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却
管および滴下ロートを装着した2リットルの重合器に移
し、蒸留水86gを追加して、70℃に昇温した。さら
に、KPS0.1gを加えた後、MMA54.9g、EA
2.3gおよび連鎖移動剤としてn−OSH0.23gの
混合物を滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下終
了後、さらに30分間反応を続け、各単量体が消費され
たことを確認して重合を終了した。得られたラテックス
の粒径は0.12μmであった。これを−20℃に24
時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出し、80℃
の熱水で3回洗浄した。さらに、80℃で2日間減圧乾
燥して、多層構造共重合体[B−5]を得た。結果を表
1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】合成例6(多層構造共重合体[C−6]の
合成) 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管および滴下ロートを装着
した2リットルの重合器に蒸留水600g、乳化剤とし
てラウリルザルコシン酸ナトリウム0.192gおよび
ステアリン酸ナトリウム2.4gを加え、70℃に加熱
して均一に溶解させた。次いで、MMA115.2g、
EA4.8gおよび重合可能な多官能性化合物としてA
LMA0.24gを加えて30分間攪拌し、KPS0.1
5gを加えて重合を開始した。2時間後、GCで各単量
体が全て消費されたことを確認した。次いで、得られた
重合体ラテックスに、KPS0.15gを加え、BA9
7.3g、St20.4gおよび重合可能な多官能性化合
物としてALMA2.35gの混合物を滴下ロートから
2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応
を継続し、GCで各単量体が全て消費されたことを確認
した。得られた共重合体ラテックスに、KPS0.3g
を加え、MMA62.0g、EA2.4gおよび連鎖移動
剤としてn−OSH0.12gの混合物を滴下ロートよ
り2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに30分間
反応を続け、各単量体が消費されたことをGCで確認し
て重合を終了した。得られたラテックスの粒径は0.2
7μmであった。これを−20℃に24時間冷却して凝
集させた後、凝集物を取り出し、80℃の熱水で洗浄を
3回行った。さらに、80℃で2日間減圧乾燥して、多
層構造共重合体[C−6]を得た。結果を表2に示し
た。
【0037】合成例7〜9(多層構造共重合体[C−
7]〜[C−9]の合成) 合成例6において、乳化剤、単量体混合物の組成および
使用量を表2に示したように変更した以外は、合成例6
と同様の操作を行い、多層構造共重合体[C−7]〜
[C−9]を得た。結果を表2に示した。
【0038】合成例10(多層構造共重合体[C−1
0]の合成) 窒素雰囲気下、攪拌翼および冷却管を装着した2リット
ルの重合器に蒸留水600g、乳化剤としてラウリルザ
ルコシン酸ナトリウム0.73gおよびステアリン酸ナ
トリウム9.1gを加え、70℃に加熱して30分攪拌
した。次いで、MMA86.4g、EA3.6gおよび重
合性多官能性化合物としてALMA0.18gを加えて
さらに30分間攪拌し、KPS0.15gを加えて重合
を開始した。2時間後、GCで各単量体が全て消費され
たことを確認した。次に、得られた重合体ラテックス2
30g(共重合体量:30g)を0.5リットルのオー
トクレーブに移し、ロンガリット(ホルムアルデヒドナ
トリウムスルホキシレート)0.267g、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム0.013gおよび硫酸第一
鉄7水和物0.008gを仕込み、攪拌して窒素置換し
ながら50℃に昇温した。1時間後、クメンハイドロパ
ーオキサイド0.1gを加え、BA27.94g、イソプ
レン27.06gを2時間かけてフィードした。フィー
ド終了後、さらに2時間反応を継続し、GCで各単量体
が全て消費されたことを確認した。得られた共重合体ラ
テックス285g(共重合体量:85g)を、窒素雰囲
気下、攪拌翼、冷却管および滴下ロートを装着した2リ
ットルの重合器に移し、70℃に昇温した。さらに、K
PS0.1gを加えた後、MMA14.4g、EA0.6
gおよび連鎖移動剤としてn−OSH0.23gの混合
物を滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに30分間反応を続け、各単量体が消費された
ことをGCで確認して重合を終了した。得られたラテッ
クスの粒径は0.15μmであった。これを−20℃に
24時間冷却して凝集させた後、凝集物を取り出し、8
0℃の熱水で洗浄を3回行った。さらに、80℃で2日
間減圧乾燥して、多層構造共重合体[C−10]を得
た。結果を表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】合成例11(メタクリル系重合体[D−1
1]の合成) 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管および滴下ロートを装着
した2リットルの重合器に蒸留水600g、乳化剤とし
てラウリル硫酸ナトリウム27.0gを加え、70℃に
加熱して均一に溶解させた。次いで、MMA110.6
4g、EA2.31gおよび重合可能な多官能性化合物
としてヘキサメチレングリコールメタクリル酸ジエステ
ル34.76gを加えて30分間攪拌し、KPS0.15
gを加えて重合を開始した。1時間後、各単量体が全て
消費されたことをGCで確認した。得られた重合体ラテ
ックスに、KPS0.3gを加え、MMA36.0g、E
A1.5gおよび連鎖移動剤としてn−OSH0.075
gの混合物を滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴
下終了後、さらに30分間反応を続け、各単量体が消費
されたことを確認して重合を終了した。得られたラテッ
クスの粒径は0.05μmであった。これを−20℃に
冷却し、24時間この温度を保持して凝集させた後、凝
集物を取り出し、80℃の熱水で3回洗浄した。さら
に、80℃で2日間減圧乾燥して、メタクリル系重合体
[D−11]を得た。結果を表3に示した。
【0041】合成例12〜14(メタクリル系重合体
[D−12]〜[D−14]の合成) 合成例11において、乳化剤、単量体混合物の組成およ
び使用量を表3に示したように変更した以外は、合成例
11と同様の操作を行い、メタクリル系重合体[D−1
2]〜[D−14]を得た。結果を表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】実施例1(メタクリル樹脂組成物の製造と
物性評価) メタクリル樹脂((株)クラレ製パラグラスHR−10
00L)42重量部、多層構造共重合体[B−1]38
重量部およびメタクリル系重合体[D−11]20重量
部を、バッチ式混練機(東洋精機社製プラストミル)を
用いて、245℃で5分間混練した。得られた組成物を
細かく粉砕し、圧縮熱成形機(神藤金属工業所製F−3
7)を用いて厚さ0.2mmおよび1mmの板を得、ま
た、小型射出成形機(CSI社製CS−183MMX)
を用いて小型試験片(32×3.2×6.4mm)を得
た。これらを用いて各種物性評価を行い、その結果を表
4に示した。
【0044】実施例2〜9および比較例1〜8(メタク
リル樹脂組成物の製造と物性評価) メタクリル樹脂、多層構造共重合体およびメタクリル系
重合体の種類および配合量を表4または表5に示したよ
うに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、メ
タクリル樹脂組成物を製造し、各種物性評価を行った。
実施例2〜9の結果を表4に、比較例1〜8の結果を表
5に示した。
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、弾性率等の機械的性質
および透明性等のメタクリル樹脂が本来有する優れた諸
特性を保持し、かつ耐衝撃性および耐歪白化性に優れる
メタクリル樹脂組成物が提供される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)メタクリル酸メチル単位を主体と
    するメタクリル樹脂10〜92重量%、(B)下記
    [イ]により規定される多層構造共重合体および/また
    は(C)下記[ロ]により規定される多層構造共重合体
    87〜5重量%、並びに(D)下記[ハ]により規定さ
    れるメタクリル系重合体3〜50重量%からなるメタク
    リル樹脂組成物。 [イ] アルキル基の炭素数が2〜12の(メタ)アク
    リル酸アルキルエステル69.9〜94.9重量%、スチ
    レン30〜5重量%および重合可能な多官能性化合物
    0.1〜5重量%からなる単量体混合物、または下記の
    一般式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で示さ
    れるジエン単量体25〜75重量%およびアルキル基の
    炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル75〜2
    5重量%からなる単量体混合物を重合させ、得られる重
    合体100重量部にメタクリル酸メチル80〜99.9
    重量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体
    20〜0.1重量%からなる単量体混合物10〜200
    重量部を連鎖移動剤の存在下に重合させて得られる平均
    粒径0.05〜0.4μmの多層構造共重合体。 [ロ] メタクリル酸メチル80〜99.9重量%、ア
    ルキル基の炭素数が1〜4のアクリル酸アルキルエステ
    ル1〜20重量%および重合可能な多官能性化合物0.
    1〜3重量%からなる単量体混合物を重合させ、得られ
    る重合体100重量部にアルキル基の炭素数が2〜12
    の(メタ)アクリル酸アルキルエステル69.9〜94.
    9重量%、スチレン30〜5重量%および重合可能な多
    官能性化合物0.1〜5重量%からなる単量体混合物、
    または下記の一般式(I) 【化2】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で示さ
    れるジエン単量体25〜75重量%およびアルキル基の
    炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステル75〜2
    5重量%からなる単量体混合物50〜2000重量部を
    重合させ、得られる重合体100重量部にメタクリル酸
    メチル80〜99.9重量%およびメタクリル酸メチル
    と共重合可能な単量体20〜0.1重量%からなる単量
    体混合物10〜100重量部を連鎖移動剤の存在下に重
    合させて得られる平均粒径0.05〜0.5μmの多層構
    造共重合体。 [ハ] メタクリル酸メチル50〜95重量%、アルキ
    ル基の炭素数が1〜4ののアクリル酸アルキルエステル
    1〜20重量%および重合可能な多官能性化合物4〜4
    0重量%からなる単量体混合物を重合させ、得られる重
    合体100重量部にメタクリル酸メチル80〜99.5
    重量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体
    20〜0.5重量%からなる単量体混合物10〜300
    重量部を連鎖移動剤の存在下に重合させて得られる平均
    粒径0.01〜0.4μmのメタクリル系重合体。
  2. 【請求項2】 前記[イ]により規定される多層構造共
    重合体または前記[ロ]により規定される多層構造共重
    合体を構成する重合可能な多官能性化合物が、アリルア
    ルコールおよび/またはメタリルアルコールとアクリル
    酸、メタクリル酸、桂皮酸、フタル酸、テレフタル酸お
    よびイソフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも一
    種の酸とのエステルであることを特徴とする請求項1記
    載のメタクリル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記[ハ]により規定されるメタクリル
    系重合体を構成する重合可能な多官能性化合物が分子内
    に炭素間二重結合を2個以上有し、かつ該炭素間二重結
    合の単量体反応性比(r2)が下記の数式(II)を満足
    することを特徴とする請求項1記載のメタクリル樹脂組
    成物。 0.1≦r1×r2≦2.0 (II) (式中、r1はメタクリル酸メチルの単量体反応性比、
    r2は重合可能な多官能性化合物の炭素間二重結合の単
    量体反応性比を表す。)
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