JPH08225486A - アクリル酸およびそのエステルの製造プロセスからの蒸留残液中に存在する軽質有価物の回収方法 - Google Patents

アクリル酸およびそのエステルの製造プロセスからの蒸留残液中に存在する軽質有価物の回収方法

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JPH08225486A JP7346513A JP34651395A JPH08225486A JP H08225486 A JPH08225486 A JP H08225486A JP 7346513 A JP7346513 A JP 7346513A JP 34651395 A JP34651395 A JP 34651395A JP H08225486 A JPH08225486 A JP H08225486A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル酸およびアクリル酸とC1 〜C8
ルコールとのエステルの製造プロセスで生じる蒸留残液
中に存在するアクリル酸モノマー、アクリルエステルモ
ノマーおよびアルコールからなる軽質有価物を、上記蒸
留残液の熱クラッキングによって回収する方法の改良。 【解決手段】 アクリル酸製造プロセスとアクリルエス
テル製造プロセスとから来る重質蒸留残液1、2の混合
物4を触媒を用いずに熱クラッキングR1し、この熱ク
ラッキング中に解離反応で得られる軽質成分を連続的に
蒸発させ、この軽質成分を蒸留C1し、凝縮して軽質有
価物7を回収し、カラムC1の底部で回収した流れ3を
反応器R1へ再循環させ、反応器R1から重質残液6を
回収して次段の処理装置9へ送る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル酸の製造プ
ロセスおよびアクリル酸とC1 〜C8 アルコールとのエ
ステルの製造プロセスで生じる蒸留残液中に存在する軽
質有価物を蒸留残液の熱解離(クラッキング)によって
回収する方法に関するものである。軽質有価物とはアク
リル酸モノマー、上記のアクリルエステルモノマーおよ
びアルコールを意味する。
【0002】
【従来の技術】アクリル酸の合成プロセス、例えばプロ
ピレンの触媒酸化を用いるプロセスでは重質副生成物が
生じる。この副生成物は最終蒸留カラムの底部で除去さ
れる。この重質副生成物混合物は主として〔化1〕の誘
導体を含んでいる:
【0003】
【化1】 (nは1以上の数) これらの誘導体はアクリル酸の二重結合と下記(a) 〜
(c) との縮合反応でできる: (a) アクリル酸自身
【0004】
【化2】 (b) 酢酸
【0005】
【化3】
【0006】(C) 水 (X=HO−) 同様に、アクリル酸からエステルを合成するためのプロ
セスでは、蒸留カラムの底部から除去される重質生成物
には、エステルの合成で使用したアルコールに対応する
エステルの他にアルコールとアクリル酸の二重結合との
縮合生成物(X=RO−、R=C1 〜C8 アルキル)が
含まれている。この重質生成物混合物中には重合プロセ
スで用いた重合防止剤の一部も含まれている。
【0007】重質生成物混合物に含まれているモノマー
(アクリル酸およびエステル)の大部分は重質生成物混
合物の蒸留で回収することができるが、生じた残留液中
に含まれるモノマーは適当な回収プロセスが存在しない
場合には廃棄される。事実、この多量の廃棄物からモノ
マーおよびアルコールを除去するのが難しいため、モノ
マーおよびアルコールはロスとなる。
【0008】アクリルの二重結合へ付加した誘導体の液
相熱解離でモノマーを回収する方法は多くの文献に記載
されているが、この熱解離処理をアクリル酸の最終蒸留
カラムの底部で得られる実際の重質生成物混合物に適用
した場合の主たる問題点は残液の粘度が非常に高いため
管路で移送できなくなる点にある。この異常に高い粘度
に加えて、不溶性タール状沈澱物が生じるためクラッキ
ング反応器の壁面が詰まり、壁面を介した熱交換効率が
低下し、結果的にはクラッキングの収率が低下する。こ
の閉塞現象のために定期的な清掃作業を頻繁に行うこと
が必要になり、連続運転できなくなり、出力効率は不連
続運転の出力効率へ低下する。
【0009】クラッキングで得られる残留液の粘度は、
被処理重質生成混合物の高温での滞留時間と蒸留で回収
される軽質モノマーの量とに比例して上昇する。残留液
の粘度を通常の液体流の移送条件に合うレベルまで下げ
且つ閉塞現象を抑制するためには上記の2つのパラメー
タを低く抑えなければならないが、そうするとクラッキ
ング収率は低下する。
【0010】フランス国特許第 2,194,681号では上記の
欠点を解決するためにアクリルエステルの製造で得られ
る重質エンドでの有価物の回収にこの処理を用いてい
る。アクリル酸製造での重質生成物中の有価物回収法と
して公知の方法は基本的に触媒を用いたものである。触
媒としては極めて種々のものが報告されており、例えば
カルボキシレート、ホスフェート、ボレート(フランス
国特許第 2,261,252号)、硫酸等の酸(日本国特許第05
-025086 号)、アルミナまたはシリカ(日本国特許第75
-69014号)、第2級または第3級アミンまたはホスフィ
ン(フランス国特許第 1,572,316号)、ゼオライトのよ
うな固体の酸(日本国特許第 03-178949 号)、フリー
デル−クラフト型触媒(米国特許第 2,806,878号)およ
びアルコキシドチタネート(日本国特許第06-0655149
号)がある。
【0011】これらの方法は残留液の粘度が著しく高
く、しかも望ましくないタールが生じるため、回収率に
限度があるという最も重要な問題を解決することができ
ないという欠点の他に、触媒の使用に起因する下記の欠
点がある: 1) 触媒コスト 2) 腐蝕現象 3) 重質残留液の除去が困難(従って、廃棄物処理コス
トが高い) 4) 焼却の困難な無機廃棄物が生じる。 5) 金属残留物が存在するため焼却炉が閉塞する。 6) 水洗すると水溶性廃棄物中に放出される汚染物質が
増加する。 7) 部分重合化合物が沈着して活性触媒の孔が閉塞さ
れ、その結果、固体触媒が不活化する。
【0012】米国特許第 3,086,046号にはこれらの欠点
を減らすために触媒を用いない処理方法が記載されてい
る。この方法ではクラッキングすべき混合物を蒸発さ
せ、その後、極めて高い温度( 350〜650 ℃)で 6.7×
102 〜2×104Pa (5〜150 mmHg)の圧力下で気相熱解
離する。この方法は分子量の低いもの(アクリル酸およ
びアクリル酸ダイマー)の含有率が非常に高い混合物の
処理には適しているが、例えばプロピレンと酸素とから
アクリル酸を製造する方法で生じる実際の重質蒸留残留
液の場合には使用できない。この場合には、十分に低い
沸点を有する化合物の量が少ないため混合物中の第1段
階で揮発する部分が減る。逆に、この部分を増加させる
には蒸発温度を下げる必要があるが、そうすると蒸発器
の底部から除去する残流液の粘度が高くなってしまう。
【0013】熱解離で得られる反応混合物中に存在する
アクリル酸を水で抽出する方法は多くの特許に記載され
ている(フランス国特許第 2,415,092号、塩基性水溶液
を用いる日本国特許第57-062,229号、水を添加した後に
有機溶媒による抽出を行う日本国特許第56-147,745
号)。これらの方法の主たる欠点は熱解離反応中に再生
されたモノマーが形成された時に混合物から除去されな
いため、この混合物中に存在する解離生成物の付加また
は重合誘導体の再結合(逆反応)が避けられない点にあ
る。
【0014】アクリル酸製造プラントで生じる重質生成
物の熱クラッキングで得られる重質残液の粘度が過剰に
高くなるという問題を解決するためのもう1つの方法は
溶媒を使用する方法であるが、この方法の欠点は使用し
た溶媒の回収にコストがかかる点にある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、驚くべき
ことに、アクリル酸合成で生じる重質生成物の熱解離ま
たはクラッキング操作をアクリル酸エステル製造の最終
カラムの底部で回収される重質生成物の存在下で行い且
つ発生する軽質生成物を瞬間的に蒸発させることによっ
て回収率が大幅に上昇するということ、しかも、解離反
応器の汚染・閉塞が減り、熱解離操作の出口で得られる
残液の粘度が低下するということを見出した。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル酸お
よびアクリル酸とC1 〜C8 アルコールとのエステルの
製造プロセスで生じる蒸留残液中に存在するアクリル酸
モノマー、アクリルエステルモノマーおよびアルコール
からなる軽質有価物を、上記蒸留残液の熱クラッキング
によって回収する方法において、アクリル酸製造プロセ
スおよびアクリルエステル製造プロセスから来る重質蒸
留残液の混合物を触媒を用いずに熱クラッキングし、こ
の熱クラッキング中に解離反応で得られる軽質成分を連
続的に蒸発させ、この軽質成分を蒸留し、凝縮して上記
の軽質有価物を回収することを特徴とする方法を提供す
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明方法で用いられる残液混合
物でのアクリル酸製造プロセスから来る重質残液とアク
リル酸エステル製造プロセスから来る重質残液との重量
比は9/1〜1/9にするのが好ましい。熱クラッキン
グを温度 140〜260 ℃、滞留時間 0.5〜3時間で行うの
が好ましい。揮発した軽質成分の蒸留は減圧下で行うの
が好ましく、少なくとも1つの重合阻害剤の存在下で行
うのが好ましい。重合阻害剤は蒸留カラムに供給される
フローの一部と一緒に導入することができる。
【0018】本発明方法の有利な特徴は、得られた軽質
有価物をアクリルエステル製造プラント(このアクリル
エステル製造プラントからの重質残液がアクリル酸製造
プラントで得られる重質残液と一緒に用いられる)へ再
循環できる点にある。
【0019】連続的に行われる本発明プロセスの第1の
具体例では下記操作が行われる: 1) クラッキングすべき重い残液を、必要に応じて予め
加熱した後、反応器(R1)内でクラッキングし、 2) クラッキングで得られる軽質生成物を蒸留カラム
(C1)へ供給し、 3) カラム(C1)の頭部で目的とする軽質有価混合物
を回収し、 4) カラム(C1)の底部で回収された流れを反応器
(R1)へ再循環し、 5) 反応器(R1)から重い残液を回収し、必要な場合
にはカラム(C1)の底部で回収される流れの一部を用
いて希釈してから、処理装置へ送り、この流れの残りは
反応器(R1)へ再循環する。
【0020】本発明の第2の具体例では、使用済みの重
質生成物の混合物を、クラッキング段階終了時に回収さ
れる軽質生成物と一緒に蒸留し、クラッキング反応器に
は蒸留カラムの底部で得られる重質生成物の混合物が供
給される。この操作方法は未結合の軽質生成物(アクリ
ル酸、エステルモノマーおよびアルコール)の含有率の
高い重質生成物の処理に適している。この方法は連続的
に行われ、下記操作を含んでいる: 1) クラッキングすべき重い残液の混合物を蒸留カラム
(C'1)へ送り、 2) 蒸留カラム(C'1)の頭部で軽質有価物の混合物を
回収し、 3) 蒸留カラム(C'1)の底部で得られた流れをクラッ
キング反応器(R'1)へ送り、 4) クラッキングで得られた軽質有価物の混合物を蒸留
カラム(C'1)へ再循環し、 5) カラム(C'1)の底部で回収された流れをクラッキ
ング反応器(R'1)に送り、反応器(R'1)からの重質
残液は、必要な場合には、カラム(C'1)の底部で回収
された流れの一部で希釈してから、後処理設備へ送る。
【0021】以下、上記2つの具体例に各々対応する
〔図1〕〔図2〕のプラントを参照して本発明プロセス
をさらに詳細に説明する。先ず、〔図1〕を参照する。
クラッキング反応器R1には、アクリル酸製造プラント
から来る重質生成物(管路1)と、アクリルエステル製
造プラントから来る重質生成物(管路2)と、後で説明
するカラムC1の底部で回収される流れの一部(管路
3)との混合物が管路4を介して供給される。必要な場
合にはこの混合物をクラッキング反応器R1に供給する
前に予め加熱することもできる。
【0022】クラッキング反応器R1を加熱して得られ
る軽質混合物は管路5を介してカラムC1へフィードと
して送られる。このカラムC1は減圧状態で運転するの
が好ましい。カラムC1の上部には公知の重合阻害剤の
中から選択された阻害剤またはその混合物(フェノチア
ジン、ハイドロキノン、フェノール、フェノールエーテ
ル等)を供給する。カラムC1の上部を安定化するため
に、カラムC1に供給されるフローの一部を頭部に導入
するのが好ましい。軽質生成物の混合物の一部は還流さ
れ、残りはカラムC1の頭部で凝縮され、回収される。
蒸留生成物は主としてアクリル酸と、アクリルエステル
モノマーと、アルコールと、水とで構成され、実質的に
重質生成物を含んでいない。この有価軽質生成物の混合
物はアクリルエステル製造プロセス(管路2を介してR
1へ供給される重質生成物の供給源となるプロセス)の
上流へ再循環するのが好ましい(管路7)。
【0023】カラムC1の底部で回収された流れの大部
分は反応器R1へフィードとして送られる(管路3)。
必要な場合には、カラムC1の底部で回収される流れの
一部(管路8)で反応器R1の底部で得られる残液(管
路6)を希釈してもよい。この使用済み重質残液(管路
9)は下流に設けた従来型の処理装置へ送られる。
【0024】次に〔図2〕を参照する。アクリル酸製造
プラントから来る重質生成物(管路1')と、アクリルエ
ステル製造プラントから来る重質生成物(管路2')と、
後で説明するクラッキング反応器R'1の頭部で回収され
る軽質エンドフローの全量または一部(導管3')との混
合物(管路4')がカラムC'1へフィードとして送られ
る。カラムC'1は減圧下で運転し、第1具体例と同様に
その上部には重合阻害剤を供給するのが好ましい。カラ
ムC'1では重質生成物の大部分がカラムの底部へ分離さ
れる。蒸留生成物は主としてアクリル酸と、アクリルエ
ステルモノマーと、アルコールと、水とによって構成さ
れる。この有価軽質混合物はアクリルエステル製造プロ
セス(導管2'を介してカラムC'1に供給される重質生成
物の供給源)の上流へ再循環する(管路5')のが有利で
ある。
【0025】カラムC'1の底部で得られた流れはクラッ
キング反応器R'1へ送られる(管路6')。反応器R'1を
加熱して得られる気化した軽質生成物の混合物はカラム
C'1へのフィードとして管路3'を介して送られる。必要
な場合には、管路7'を介してクラッキング反応器R'1か
ら出た使用済み重質残液の流れをカラムC'1の底部で回
収された流れの一部(管路8')を用いて希釈してもよ
い。この使用済み重質残液は下流側に設けた従来の処理
装置へ送られる(管路9')。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。以下の実
施例ではパーセンテージは重量%であり、略号は下記の
ものを表す: AA :アクリル酸 AAH:AA製造プラントから来る重質生成物の部分 EA :エチルアクリレート EAH:EA製造プラントから来る重質生成物の部分 MA :メチルアクリレート MAH:MA製造プラントから来る重質生成物の部分 AAのダイマーおよびトライマー:アクリル酸の縮合で
得られる〔化4〕および〔化5〕で表される化合物:
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】EAP:エチルアクリロイロキシプロピオ
ネート(AAダイマーのエチルエステル) MAP:メチルアクリロイロキシプロピオネート(AA
ダイマーのメチルエステル) EEP:エチル2−エトキシプロピオネート(EAの二
重結合にエタノールを付加して得られる) MMP:メチル2−メトキシプロピオネート(MAの二
重結合にメタノールを付加して得られる) クラッキング比:反応器に導入した重質生成物混合物に
対するクラッキング操作で回収される軽質成分の比率
(重量%で表示) AAおよびエステルの回収率:反応器に導入した重質生
成物混合物に対するクラッキング操作時に蒸留成分中に
回収されるAAおよびエステルモノマーの比率(重量%
で表示)
【0030】実施例1 AAHとEAHとの混合物 200gを油浴で加熱される容
量 0.5リットルの攪拌機付き反応器に導入した。反応器
にはデミスタの役目をするヴィグロウ点を備えて短いカ
ラムと、凝縮器と、受け器とが支持されている。混合物
を加熱沸騰させ、反応で生じる軽質生成物を蒸留した。
AAH混合物は 2.8%のAAと、25.4%のAAダイマー
と、 9.8%のハイドロキノンとを含み、残部は主として
さらに重いAAの縮合生成物からなる。EAH混合物は
9.2%のAAモノマーと、 8.8%のAAダイマーと、0.
08%のEAと、0.08%のエタノールと、1.3 %のハイド
ロキノンとを含み、残部は主としてEAPと、EEP
と、さらに重いAAまたEAの縮合生成物から成る。
〔表1〕〜〔表4〕は、AAH/EAHの比を変えて行
った試験の結果を各種クラッキング比についてまとめた
ものである。試験中の温度は 190℃〜250 ℃である。結
果には下記事項が記載してある:
【0031】1) クラッキング試験終了後に得られる残
液の粘度。 (この粘度は温度100 ℃で測定されたもので、センチポ
アズ(Pa s)で表示してある (表1) 。AAHとEAHと
の混合物を使用した場合、AAH成分のみを用いてクラ
ッキングした場合に比べてクラッキング後に得られる残
液の粘度が極めて明確に低下するのが観察される) 2) AAおよびEAの回収率(〔表2〕〔表3〕) この結果から、粘度を同じにした場合のクラッキング後
の残液のAAおよびEAの回収率が計算できる。〔表
4〕は粘度が500 Pa sの残液について行った 100℃での
計算結果を表している。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】〔表4〕はAAHとEAHとの混合物をク
ラッキングすることによって、AAH成分またEAH成
分のいずれかのみを用いた場合に比べてモノマーの回収
率が向上することを示している。
【0037】実施例2 下記構成を有する〔図1〕に示すプロセスを連続運転し
た: (a) 反応部分 1) クラッキングすべき重質生成物の混合物が供給され
る調製タンク (容量1リットル) :攪拌機と温度90℃に
調節されたオイルで加熱されるジャケットとを備えてい
る。この調製タンクからクラッキング反応器へ連続的に
供給される。 2) クラッキング反応器R1 (容量 0.5リットル) :攪
拌機と、温度を制御されたオイルが内部を循環するジャ
ケットと、クラッキング反応の残液を取り出すための反
応器の底部に設けた出口と、温度形とを備えている。こ
のクラッキング反応器の上には短いカラムが取り付けら
れている。このカラムには液相の随伴を防止するための
ヴィグロウ(Vigreux) 点(デミスター)と、20℃の水を
循環させた凝縮器とが備えられている。 3) クラッキング反応器R1の底部で得られる重質残液
を受けるタンク。 4) クラッキング反応器R1の頭部で凝縮された軽質生
成物の混合物を受けるタンク。
【0038】(b) 蒸留セクション 理論効率段数が6の断熱ヴィグロウカラムC1:クラッ
キング反応器R1の頭部で凝縮された軽質生成物の混合
物が連続的に供給される。以下のものを備えている: 1) 底部に熱サイホンを備えたリボイラ(外壁に温度調
節されたオイルが供給される) 2) 20℃の水が供給される頭部の凝縮器 3) 頭部の温度計 4) 凝縮された液相の一部をカラム頭部へ還流させるた
めの抜出し装置 5) カラム内を減圧に維持する制御手段を備えた真空ポ
ンプ 6) カラムの頭部にフェノチアジンの1%アクリル酸溶
液を導入する手段 7) カラムC1の底部から出る流れを受けるタンク 8) カラムC1の頭部で蒸留された軽質生成物の混合物
を受けるタンク。
【0039】クラッキングすべき下記の各種の重質生成
物の混合物に対して得られた運転条件と、反応部分でで
結果を〔表5〕に示す: 1) AAモノマー:3.8 %、AAダイマー: 15.6 %、
EA:0.06%、エタノール:0.3 %、残部は主としてさ
らに重いAAまたはEAの縮合生成物で構成されている
AAH/EAH(50/50)混合物 2) AAモノマー:1.3 %、AAダイマー9.4 %、M
A:0.01%、メタノール:0.09%、残部は主としてさら
に重いAAまたはEAの縮合生成物で構成されているA
AH/MAH(50/50)混合物 3) AAモノマー:1.8 %、AAダイマー:22.5%、A
Aトライマー:4.1 %、ハイドロキノン:9.8 %、残部
は主としてさらに重いAAの縮合生成物で構成されてい
るAAHのみ
【0040】
【表5】 (*:残液取出しパイプの閉塞)
【0041】この場合も反応器R1の底部で得られる重
質残液の粘度に大幅な低下が観察され、また、AAHと
EAHとの混合物およびAAHとMAHとの混合物での
熱クラッキング後にAAH成分のみで行った処理に比べ
て同じ粘度値で回収率の工場が見られる。なお、AAH
成分のみのクラッキングで得られる 4,000Pa s以上の粘
度(100 ℃で測定した値)は高過ぎるため、得られた残
液を安定した流れとして扱うことができない。この熱ク
ラッキング段階後、クラッキング反応器R1の頭部で回
収された軽質生成物を上記装置で連続的に蒸留した。運
転条件および結果は〔表6〕〔表7〕に示してある。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】実施例3 下記構成の〔図2〕に示すプロセスで連続運転した。 (a) 蒸留部分 1) クラッキングすべきAAHとEAHとの混合物と、
クラッキング反応で得られた軽質生成物とが供給される
容量1リットルの調製タンク。このタンクは攪拌機とオ
イルによって90℃に加熱されたジャケットとを備えてい
る。 2) 理論効率段数が12の断熱ヴィグロウカラムC'1(こ
のカラムの中間に調製タンクに収容された混合物が連続
的に供給される)。このカラムは以下を備えている: 2-1) 底部に熱サイホンを備えたリボイラ(外壁には温
度調節されたオイルが供給される) 2-2) 20℃の水が供給される頭部凝縮器 2-3) 頭部温度計 2-4) 凝縮された液相の一部をカラム頭部へ還流させる
抜き出し装置 2-5) カラム内を減圧を保つための制御手段を備えた真
空ポンプ 2-6) カラムの頭部にフェノチアジンの1%AA溶液を
導入する手段 3) カラムC'1の底部を出た流れを受けるタンク 4) カラムC'1の頭部で蒸留された軽質生成物の混合物
を受けるタンク。
【0045】(b) 反応部分 1) クラッキング反応器R'1(容量0.5 リットル):攪
拌機と、内部を温度制御されたオイルが循環するジャケ
ットと、クラッキング反応の残液を取り出すための反応
器底部に設けられた出口と、温度計とを備えている。こ
のクラッキング反応器の上には短いカラムが取付けられ
ている。このカラムには液相の随伴を防止するためのヴ
ィグロウ点を有するデミスターと、20℃の水が循環する
凝縮器とが備えられている。この反応器R'1にはカラム
C'1の底部で得られた生成物が連続的に供給される。 2) クラッキング反応器R'1の底部で得られた残液を受
けるタンク。 3) 反応器R'1の頭部で凝縮された軽い生成物の混合物
を受けるタンク。運転条件および蒸留段階の模擬実験の
結果を〔表8〕〔表9〕に示す。クラッキング反応段階
の運転条件と結果は〔表10〕に示す。
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】(表8の続き)
【0048】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の具体例に対応するプラントの
概念図。
【図2】 本発明の第2の具体例に対応するプラントの
概念図。
【符号の説明】
R1、R’1:クラッキング反応器 C1、C’1:蒸留カラム
フロントページの続き (72)発明者 パトリック ドゥラファン フランス国 04600 サントーバン アン パス ジー.レヴェル 2

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸およびアクリル酸とC1 〜C
    8 アルコールとのエステルの製造プロセスで生じる蒸留
    残液中に存在するアクリル酸モノマー、アクリルエステ
    ルモノマーおよびアルコールからなる軽質有価物を、上
    記蒸留残液の熱クラッキングによって回収する方法にお
    いて、 アクリル酸製造プロセスとアクリルエステル製造プロセ
    スとから来る重質蒸留残液の混合物を触媒を用いずに熱
    クラッキングし、この熱クラッキング中に解離反応で得
    られる軽質成分を連続的に蒸発させ、この軽質成分を蒸
    留し、凝縮して上記の軽質有価物を回収することを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】 アクリル酸製造プロセスから来る重質残
    液とアクリル酸エステル製造プロセスから来る重質残液
    との重量比が9/1〜1/9である請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 エステルがメチルアクリレートまたはエ
    チルアクリレートである請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 熱クラッキングを温度 140〜260 ℃、滞
    留時間 0.5〜3時間で行う請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 蒸発した軽質成分を減圧下で蒸留する請
    求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 蒸留カラムに供給されるフローの一部を
    介して導入可能な少なくとも1種類の重合阻害剤の存在
    下で蒸留する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 得られた軽質有価物をアクリルエステル
    製造設備へ再循環し、このアクリルエステル製造設備か
    らの重質残液とアクリル酸製造設備からの重質残液とを
    一緒にして用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 下記操作を連続的に行う請求項1〜7の
    いずれか一項に記載の方法: 1) 反応器(R1)内で上記の重質残液の混合物をクラ
    ッキングし、 2) クラッキングの軽質生成物を蒸留カラム(C1)へ
    供給し、 3) 蒸留カラム(C1)の頭部で目的の軽質有価混合物
    を回収し、 4) 蒸留カラム(C1)の底部で回収した流れを反応器
    (R1)へ再循環し、 5) 反応器(R1)から回収した重質残液を必要お応じ
    て蒸留カラム(C1)の底部で回収した流れの一部を用
    いて希釈した後、処理装置へ送り、この流れの残部を反
    応器(R1)へ再循環させる。
  9. 【請求項9】 下記操作を連続的に行う請求項1〜7の
    いずれか一項に記載の方法: 1) クラッキングすべき重い残液の混合物を蒸留カラム
    (C'1) へ送り、 2) 蒸留カラム(C'1) の頭部で軽質有価物の混合物を
    回収し、 3) 蒸留カラム(C'1) の底部で得られた流れをクラッ
    キング反応器(R'1)へ送り、 4) クラッキングで得られた軽質有価物の混合物を蒸留
    カラム(C'1)へ再循環し、 5) カラム(C'1)の底部で回収された流れをクラッキ
    ング反応器(R'1)に送り、反応器(R'1)からの重質
    残液は回収して後処理設備へ送る。
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