JP2003252825A - (メタ)アクリル酸類製造時の副生物の分解方法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸類製造時の副生物の分解方法Info
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Abstract
エステルの製造工程で副生するミカエル付加物を同時に
一括して分解処理する効率的かつ経済的な方法であっ
て、ミカエル付加物の分解工程で、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル及びアルコールの高い
回収率を安定的に維持しつつ、エーテル類やオレフィン
類の副生を大幅に低減することができる(メタ)アクリ
ル酸類製造時の副生物の分解方法を提供する。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸製造時の副生物と、
(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物との混合物
を液相下で熱分解し、熱分解反応生成物の少なくとも一
部を(メタ)アクリル酸エステル製造工程に戻す。
Description
酸製造時の副生物と(メタ)アクリル酸エステル製造時
の副生物とを分解して(メタ)アクリル酸、(メタ)ア
クリル酸エステル及びアルコール等を回収するための
(メタ)アクリル酸類製造時の副生物の分解方法に関す
る。
ル酸は、アクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そ
のいずれか一方でも良く双方でも良い。また(メタ)ア
クリル酸類とは、これらの酸及びこれらの酸とアルコー
ルとから得られる(メタ)アクリル酸エステルを総称す
るものであり、そのうち少なくとも一種を含むものを指
す。
応として、プロピレンの気相酸化法がある。このプロピ
レンを酸化してアクリル酸を得る方法には、アクロレイ
ンまでの酸化と次の段階のアクリル酸までの酸化の条件
が異なるため、それぞれを別の反応器で行う二段酸化プ
ロセスと、一段酸化で直接アクリル酸まで酸化するプロ
セスとがある。
せ、更に、アルコールとの反応によりアクリル酸エステ
ルを生成させる工程図の一例であり、プロピレン、水蒸
気及び空気がモリブデン系触媒等が充填された第一反応
器及び第二反応器を経て二段酸化されてアクリル酸含有
ガスとなる。このアクリル酸含有ガスを捕集塔にて水と
接触させてアクリル酸水溶液とし、これに適当な抽出溶
剤を加えて抽出塔にて抽出し、溶剤分離塔にて該抽出溶
剤を分離する。次いで、酢酸分離塔にて酢酸を分離して
粗アクリル酸とし、この粗アクリル酸から精留塔にて副
生物を分離することによりアクリル酸精製物が得られ
る。また、このアクリル酸(精製物)がエステル化反応
塔にてエステル化反応した後、抽出塔及び軽質分離塔を
経て粗アクリル酸エステルとされ、この粗アクリル酸エ
ステルが精留塔にて副生物(高沸点物)が分離されてア
クリル酸エステル精製物となる。
は図2のような工程を経る場合もある。この場合、副生
物は重質分分離塔の缶出液として得られる。
おいては、アクリル酸、アルコール、回収アクリル酸、
回収アルコールをそれぞれエステル化反応器に供給す
る。このエステル化反応器には強酸性イオン交換樹脂な
どの触媒が充填されている。この反応器から取り出され
た生成エステル、未反応アクリル酸、未反応アルコール
及び生成水等からなるエステル化反応混合物はアクリル
酸分離塔に供給される。
クリル酸を含む塔底液を抜き出し、エステル化反応器へ
循環させる。該塔底液の一部は重質分分離塔へ供給し、
重質分を塔底から分離し、これを高沸分解反応器(図示
せず)に供給し、分解する。分解により生じた有価物を
含む分解生成物はプロセスに循環される。循環されるプ
ロセス内の場所は、プロセス条件によって異なる。重合
物などの高沸点不純物は高沸分解反応器から系外へ除去
する。
リル酸エステル、未反応アルコール及び生成水が留出す
る。流出物の一部は還流液としてアクリル酸分離塔に循
環され、残りは抽出塔に供給される。
が供給される。塔底から流出するアルコールを含む水は
アルコール回収塔に供給される。蒸留されたアルコール
はエステル化反応器に循環される。
ステルは軽沸分離塔へ供給され、その塔頂から軽沸物が
抜き出され、プロセス内へ循環される。循環されるプロ
セス内の場所は、プロセス条件によって異なる。軽沸物
を除去された粗アクリル酸エステルはアクリル酸エステ
ル製品精製塔へ供給され、塔頂より高純度アクリル酸エ
ステルが得られる。塔底液はアクリル酸を多く含むの
で、プロセス内へ循環される。循環されるプロセス内の
場所はプロセス条件によって異なる。
からのアクリル酸の回収を、抽出溶剤を用いて行う溶剤
抽出法の代りに、水と共沸溶剤を用いて蒸留し、共沸分
離塔の塔頂からは水と共沸溶剤との共沸混合物を留出さ
せ、塔底からアクリル酸を回収する共沸分離法も行われ
ている。
o−V−Te系複合酸化物触媒或いはMo−V−Sb系
複合酸化物触媒等を用いて気相酸化し、アクリル酸を得
る方法も行われている。
場合は、プロピレンの代りにイソブチレンもしくはt−
ブチルアルコールを用い、同様の酸化プロセス及びその
後のエステル化プロセスを経てメタクリル酸精製物及び
メタクリル酸エステル精製物が得られる。
リル酸エステル、メタクリル酸エステル)を生成させる
方法としては、低級アルコールの(メタ)アクリル酸エ
ステルと高級アルコールとを酸等を触媒としてトランス
エステル化反応させ、高級アルコールの(メタ)アクリ
ル酸エステルを製造する方法も行われている。このトラ
ンスエステル化反応で得られた粗(メタ)アクリル酸エ
ステルは、触媒分離、濃縮、精留等の工程を経て精製
(メタ)アクリル酸エステルとされる。
アクリル酸エステル、粗メタクリル酸エステルを蒸留精
製して分離された留分中には、ミカエル付加物などの有
用な副生物が含まれているので、これを分解して(メ
タ)アクリル酸やそのエステル、原料アルコール等を回
収することが行われている。
類の製造時に副生するミカエル付加物の分解方法として
は、アクリル酸の製造プロセスにおいては触媒を用いな
い熱分解方法が一般的に採用されるが(特開平11−0
12222号公報)、アクリル酸エステルの製造プロセ
スの場合は、ルイス酸もしくはルイス塩基の存在下に加
熱して分解する方法が一般的に採用されている (特開
昭49−055614号公報、特開平09−11079
1号公報)。また、ミカエル付加物の分解反応方式とし
ては、分解反応を行いながら目的の分解反応生成物を蒸
留で留去させる反応蒸留方式が一般に採用されている。
また、アクリル酸の製造工程で副生するミカエル付加物
と、アクリル酸エステルの製造工程で副生するミカエル
付加物とを併せて熱分解する方法も公知であり、無触
媒、反応蒸留方式で熱分解する方法(特開平8−225
486号公報)と、高濃度の酸触媒を用いて分解する方
法(特開平9−183752号公報)がある。
いては、アクリル酸エステルの製造工程で副生するミカ
エル付加物は、ルイス酸やルイス塩基を触媒として、反
応蒸留方式を用いて分解反応を行い、アクリル酸、アク
リル酸エステル及びアルコールを回収する方法が一般的
に行われている。しかし、この方法では、アクリル酸、
アルコール、アクリル酸エステルなどの有効成分の回収
率を高めると、分解反応蒸留塔の塔底に非常に重質な化
合物が濃縮されることとなり、粘度が上昇し、流動性が
悪化し、著しい場合には末端の配管で閉塞するなどのト
ラブルがあった。更に、分解反応で生成するアルコール
類が酸触媒の作用で脱水反応を進行させ、オレイン類や
エーテル類を発生させるという問題があった。これらオ
レフィン類やエーテル類は、減圧下で操作される反応系
や蒸留系における圧力制御を困難にしたり、製品アクリ
ル酸エステルに混入して品質を低下させるなどの悪影響
を及ぼす。
カエル付加物については、無触媒で熱分解反応を行い、
アクリル酸を回収する方法が一般的に行われるが、この
方法においても、アクリル酸の回収率を高めると、上記
のアクリル酸エステルの場合と同様に残渣の流動性が低
下し、末端配管での閉塞トラブルを引き起こすなどの問
題があった。
は、通常、各々の製造プロセスで実施されており、各々
の分解工程において、高温での操作、高級材質の必要
性、及び上記の分解残渣の流動性悪化による閉塞トラブ
ルの発生などの問題が生じていた。
双方とも、上記問題点を解決しつつ、高回収率が安定し
て得られるミカエル付加物の分解プロセスの出現が望ま
れていた。
タ)アクリル酸エステルの製造工程で副生するミカエル
付加物を同時に一括して分解処理する効率的かつ経済的
な方法であって、ミカエル付加物の分解工程で、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及びアル
コールの高い回収率を安定的に維持しつつ、エーテル類
やオレフィン類の副生を大幅に低減することができる
(メタ)アクリル酸類製造時の副生物の分解方法を提供
することを目的とする。
ル酸類製造時の副生物の分解方法は、(メタ)アクリル
酸製造時の副生物と、(メタ)アクリル酸エステル製造
時の副生物との混合物を液相下で熱分解し、該熱分解反
応生成物の少なくとも一部を(メタ)アクリル酸エステ
ル製造工程に戻すことを特徴とする。
テル製造時の副生物、即ち、(メタ)アクリル酸エステ
ル製造時に副生するミカエル付加物が濃縮された精留塔
の塔底液を、(メタ)アクリル酸製造時の副生物、即
ち、(メタ)アクリル酸製造時に副生するミカエル付加
物が濃縮された精留塔の塔底液と共に分解するに当た
り、反応蒸留方式ではなく、液相を保った状態で熱分解
反応を行い、かつ、熱分解反応生成物を高い比率で(メ
タ)アクリル酸エステル製造工程にリサイクルするこ
と、更に好ましくは無触媒で熱分解反応を行うことによ
って、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステ
ル、アルコールの回収率を高め、かつ、エーテル類やオ
レフィン類の副生を抑制しつつ、長期間に亘って安定し
た連続運転が可能となる。
必要とし、従来技術では、閉塞などのトラブルの問題が
あり、かつ、従来は(メタ)アクリル酸製造工程と(メ
タ)アクリル酸エステル製造工程の両工程にそれぞれ設
置する必要があった分解反応装置を一つに統合して、
(メタ)アクリル酸エステルの製造工程のみに設置すれ
ば良く、しかも、分解により得られる有価物を、(メ
タ)アクリル酸エステルの製造工程内で高い回収率で回
収できることにある。これにより、建設費、労務費、用
役費の大きな削減が可能となり、コストを大幅に低減す
ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物は酸触媒を
用いて分解されていたが、本発明の方法であれば、酸触
媒を用いる分解反応で問題となるアルコールに由来する
エーテル類やオレフィン類の副生を防止することができ
ることにある。この理由は次の通りである。
ができるため、アルコール由来の酸触媒作用による脱水
反応の進行が抑制され、エーテル類やオレフォン類の副
生が抑制される。
はアルコール由来の化合物は含まれないため、(メタ)
アクリル酸製造時の副生物を同時処理することによる希
釈効果で、アルコールの濃度が低下し、これにより脱水
反応が抑制される。
同時処理することで、分解生成物中の(メタ)アクリル
酸の濃度が増大し、分解により生成したアルコールが、
脱水反応を受ける前に(メタ)アクリル酸とエステル化
反応を行って安定化することにより、アルコール由来の
エーテル類やオレフィン類の副生が抑制される。
エル型の付加反応を行うのみでなく、ラジカル重合反応
も起こし易いが、本発明によれば、(メタ)アクリル酸
製造時の副生物を(メタ)アクリル酸エステル製造時の
副生物と一括処理することにより、(メタ)アクリル酸
濃度が希釈され、高温で操作される熱分解反応時の好ま
しくない重合反応が抑制されるという付随的な効果も生
ずる。
造時の副生物と(メタ)アクリル酸エステル製造時の副
生物を一括して処理することにより、分解残渣の時間当
たりの流量が増加し、残渣の抜き出し配管内での流動性
が改善できるという利点もある。
ル酸エステルの製造工程で副生するミカエル付加反応生
成物を、薄膜式蒸発器を再沸器に使用する精留塔の塔底
液に濃縮し、これに(メタ)アクリル酸の製造工程で副
生したミカエル付加物も加えて原料とし、好ましくは1
20〜280℃にて実質的に液相を保つ条件で0.5〜
50時間熱分解反応を実施し、得られた熱分解反応生成
物の好ましくは50%以上をアクリル酸エステルの製造
工程、好ましくは精留塔の再沸器である薄膜式蒸発器に
リサイクルすることが好ましい。
ル酸類製造時の副生物の分解方法の実施の形態を詳細に
説明する。なお、以下において、(メタ)アクロレイン
はアクロレイン、メタクロレインの一方又は双方を示
す。
はプロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレ
ン、t−ブチルアルコール等の接触気相酸化反応で得ら
れるものであり、ガス状酸化反応生成物を急冷、水でク
エンチ後、水と(メタ)アクリル酸との分離を、共沸溶
媒を用いる共沸蒸留法、又は溶媒を用いる抽出法で行
い、更に酢酸などの低沸点化合物を分離した後、ミカエ
ル付加物などの重質分と分離して高純度(メタ)アクリ
ル酸が製造される。なお、水と酢酸を同時に共沸剤を用
いて分離してもよい。上記のミカエル付加物は重質分に
濃縮されるため、この留分、通常は精留塔の塔底液を、
(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物と混合して
一括処理することが好ましい。
ては、特に限定はなく、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブ
チル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アク
リル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸i−ノニ
ル、(メタ)アクリル酸i−デシル等が挙げられるが、
特に、原料アルコールとして枝分かれのないアルコール
から製造される(メタ)アクリル酸エステルが好まし
い。中でも(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが特に
好ましい。
び(メタ)アクリル酸エステルを製造する場合に、反応
工程や精製工程で生成する副生物であり、これらの製造
過程で存在する(メタ)アクリロイル基を持つ化合物の
(メタ)アクリロイル基のα位又はβ位に(メタ)アク
リル酸、又は酢酸、又はアルコール、又は水がミカエル
付加した化合物である。製造過程で存在する(メタ)ア
クリロイル基を持つ化合物には、(メタ)アクロレイ
ン、(メタ)アクリル酸及びその(メタ)アクリル酸に
(メタ)アクリル酸がミカエル付加したβ−アクリロキ
シプロピオン酸又はβ−メタクリロキシイソ酪酸(以
下、両者を併せてダイマー)、更にこのダイマーに(メ
タ)アクリル酸がミカエル付加した(メタ)アクリル酸
3量体(以下、トリマー)、更にこのトリマーに(メ
タ)アクリル酸がミカエル付加した(メタ)アクリル酸
4量体(以下、テトラマー)等の(メタ)アクリロイル
基を有するカルボン酸、及び、それらの(メタ)アクリ
ロイル基を有するカルボン酸がアルコールでエステル化
された対応する(メタ)アクリル酸エステルがある。ま
た、同様に(メタ)アクロレインに(メタ)アクリル酸
がミカエル付加したものも含まれる。本発明のミカエル
付加物として具体的には、β−アクリロキシプロピオン
酸又はβ−メタクリロキシイソ酪酸及びそのエステル及
びアルデヒド体(β−アクリロキシプロパナール又はβ
−メタクリロキシイソブタナール)、β−アルコキシプ
ロピオン酸及びそのエステル、β−ヒドロキシプロピオ
ン酸もしくはβ−ヒドロキシイソ酪酸及びそれらのエス
テル及びアルデヒド体、更にはダイマー、トリマー、テ
トラマー等、及びそれらのエステル、及びそれらのβ−
アクリロキシ体、β−アセトキシ体、β−アルコキシ
体、β−ヒドロキシ体などがある。なお、微量ではある
が、酢酸が(メタ)アクリロイル基にミカエル付加した
化合物も存在する。
テルを製造する方法としては、(メタ)アクリル酸にア
ルコールをエステル化反応させる方法、或いは低級アル
コールのアクリル酸エステルと高級アルコールをトラン
スエステル化反応させ、高級アルコールのアクリル酸エ
ステルを製造する方法が一般的である。また、製造プロ
セスとしては回分式、連続式いずれも可能である。これ
らのエステル化、トランスエステル化の触媒としては酸
触媒が一般的に使用される。
は、好ましくは、反応工程と、この反応工程で得られた
粗(メタ)アクリル酸エステル液を触媒分離、濃縮・精
製等を行うための単位操作としての洗浄、抽出、蒸発、
蒸留等を行う精製工程よりなる。反応工程での(メタ)
アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルとアルコー
ルの原料モル比、反応に用いる触媒種及び量、反応方
式、反応条件等は用いるアルコールの原料種によって適
宜選定される。
は、重質分を分離する蒸留塔(精留塔)の塔底に濃縮さ
れるため、本発明では、この塔底液を対象として、先の
(メタ)アクリル酸製造工程からの副生物と共に熱分解
し、得られた有効成分を(メタ)アクリル酸エステルの
反応工程又は精製工程に回収する。
プロセスや製造する(メタ)アクリル酸エステルの種類
によって異なるが、一般的には、(メタ)アクリル酸と
重質分を分離するものか、又は(メタ)アクリル酸エス
テルと重質分を分離するものか、又は、(メタ)アクリ
ル酸及びアルコール及び(メタ)アクリル酸エステルと
重質分を分離するものがあるが、本発明はそれらすべて
に適用することができる。
造工程における重質分分離のための蒸留塔(精留塔。以
下「重質分分離塔」と称す場合がある。)の再沸器(リ
ボイラ)としては、サーモサイホン型、強制循環型など
の再沸器を備えることもできるが、これらのいずれか
に、薄膜式蒸発器を補助的に使用しても良い。より好ま
しくは、薄膜式蒸発器単独を再沸器とする精留塔が好ま
しい。薄膜式蒸発器の形式については特に制限されな
い。精留塔の再沸器として薄膜式蒸発器が好ましい理由
は、重質分分離塔の塔底液の粘性が高く、かつ重合性を
有するためである。
カエル付加物が濃縮されているが、この他に、(メタ)
アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルが相
当量含有されており、更にプロセスで使用した重合禁止
剤、プロセスで発生したオリゴマーや重合物、原料中の
高沸点不純物又はそれらの反応生成物などの重質物質が
含有されている。更には、エステル化又はトランスエス
テル化工程で使用した触媒が含まれる場合もあるが、酸
触媒を含まないものが、分解反応時のオレフィンやエー
テル類の副生を抑制する点で好ましい。
ミカエル付加物は、前述の如く、通常、(メタ)アクリ
ル酸の製品を重質分と分離する蒸留塔(精留塔)の塔底
に濃縮される。この塔底液には他に(メタ)アクリル酸
が相当量含有されており、更にプロセスで使用した重合
禁止剤、プロセスで発生したオリゴマーや重質物が含有
されている。
(メタ)アクリル酸製造時の副生物と(メタ)アクリル
酸エステル製造時の副生物の混合物の熱分解反応の反応
方式は、連続式、回分式、半回分式或いは間歇抜き出し
方式等のいかなる方式も採用され得るが、連続式が好ま
しい。また、反応器形式にも特に制限はなく、流通管式
反応器、完全混合槽型攪拌槽反応器、循環型完全混合槽
反応器、又は単なる空洞の反応器等のいずれであっても
良い。
なく、実質的に液相を保つ条件下で行われる。触媒は公
知のルイス酸やルイス塩基触媒も使用できるが、これら
の触媒の使用は、アルコール由来のエーテル類やオレフ
ィン類を副生させるため、触媒は使用しない方が好まし
い。
〜280℃、好ましくは140〜240℃で、抜き出し
液基準の液滞留時間は0.5〜50時間、好ましくは1
〜20時間とすることが好ましい。
も一部を(メタ)アクリル酸エステル製造工程に戻すこ
とが特徴である。熱分解反応生成物の残部は分解残渣と
して抜き出され、廃棄物或いは燃料となる。熱分解反応
生成物の返送先は(メタ)アクリル酸エステルの製造工
程であれば特に限定されないが、重質分分離塔の塔底又
は重質分分離塔の再沸器である薄膜式蒸発器に供給する
ことが好ましい。このようにして熱分解反応生成物を
(メタ)アクリル酸エステル製造工程に戻すことによ
り、熱分解反応生成物中に含まれる有価物である(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アルコ
ールの大半を、重質分分離塔の塔頂液として取り出し、
更に(メタ)アクリル酸エステルの反応工程又は精製工
程に循環して回収することができる。熱分解反応生成物
のうち、(メタ)アクリル酸エステル製造工程に戻す割
合(以下「リサイクル比率」と称す場合がある。)は高
い方が残渣の排出量が減少するため好ましく、本発明で
は、熱分解反応生成物の好ましくは50%以上、より好
ましくは80%以上を(メタ)アクリル酸エステル製造
工程に戻す。このリサイクル比率を高める程回収率は高
くなるが、残渣の粘度が上昇し、流動性が悪化するの
で、リサイクル比率の上限は連続運転可能な範囲で適宜
選定されるが、一般的には95%以下である。
より具体的に説明する。
成の精留塔(重質分分離塔)の塔底液と、下記組成のア
クリル酸製造工程のアクリル酸精留塔の塔底液を原料と
して、熱分解反応を行った。なお、アクリル酸メチル精
留塔は、再沸器として伝熱面2000cm2の薄膜式蒸
発器を備えるものである。
高さ400mmのハステロイC製の攪拌槽を用い、外部
ジャケットに熱媒体を供給して反応温度を200℃に制
御し、液滞留時間は熱分解反応器内の液面で制御した。
反応圧力は液相を保つ圧力である500kPaに保っ
た。
留塔の塔底液と、アクリル酸精留塔の塔底液を、各々5
00g/hrで供給した。運転初期は反応生成物を蓄え
てから、熱分解反応器から系外への抜き出し量1重量部
に対しリサイクル量13重量部となるように、アクリル
酸メチル精留塔の薄膜式蒸発器に供給した。この薄膜式
蒸発器は圧力9.3kPa、温度120℃で運転し、蒸
留残渣を先の2つの原料(各精留塔塔底液)に加えて、
上記熱分解反応器に供給した。
解反応器での抜き出し液基準の滞留時間を10時間とし
た。
式蒸発器へのリサイクル量は3.9kg/hr、残渣と
しての抜き出し量は300g/hrで(リサイクル比率
=92.9%)、薄膜式蒸発器からの留出液は約700
g/hrで安定し、配管の閉塞等のトラブルもなく、3
ヶ月間安定に連続運転を行うことができた。
トグラフィーで分析した結果、次の通りであった。
質物)は70重量%であった。
の真空ラインに設置したドライアイス−アセトントラッ
プに捕捉されたジメチルエーテルを分析、計量した結果
は1.8gであった。
5kg/hrで反応器に供給した。反応器としては、内
径1000mm、高さ2000mmのハステロイC製の
攪拌槽を用い、外部ジャケットに熱媒体を供給して反応
温度を200℃に制御し、反応圧力は130kPaに保
った。また、攪拌槽上部には内径400mm、高さ40
00mmで、充填剤を2000mm充填した塔と、更に
凝縮器を接続し分解反応を反応蒸留方式で実施した。液
滞留時間は分解反応器内の液面で制御し、抜き出し液基
準の滞留時間が10時間となるようにした。
出し配管の下流で閉塞気味になったが、バイパス配管を
使用して対処した。この間の残渣の抜き出し量は平均5
5kg/hrで、残渣の組成をガスクロマトグラフィー
で分析した結果は、次の通りであった。
質物)は63重量%であった。
うに、本発明の方法によると、従来の反応蒸留法と比較
して、有効成分の回収率が高くできるのみならず、残渣
中の軽質分が多くなることによって、残渣の流動性が増
し、閉塞トラブルも回避でき、安定に連続運転が達成で
きる。
m、長さ1000mmでコイルパックを500mm充填
した蒸留塔、及び付属の凝縮器、真空系、アセトン−ド
ライアイストラップを接続し、この反応器に実施例1で
原料としたものと同じ塔底液を各々290g/hrで供
給した。分解触媒として、p−トルエンスルホン酸を原
料に対して5重量%用い、反応温度160℃、反応圧力
60kPaで、抜き出し液基準の滞留時間は10時間と
して24時間分解反応を行った。
平均396g/hrで回収液が得られた。アセトン−ド
ライアイストラップに捕集されたジメチルエーテルは、
時間平均3.8gであった。
うに、本発明の方法を用いると、従来の酸触媒を用いる
反応蒸留法と比較して、メタノール由来のエーテルの副
生が著しく抑制される。
クリル酸類製造時の副生物の分解方法によれば、(メ
タ)アクリル酸製造時の副生物と(メタ)アクリル酸エ
ステル製造時の副生物との分解工程を一つに統合するこ
とにより、省力化、建設費及びエネルギーの削減等の多
大な経済的効果のもとに、アルコール由来のエーテル類
やオレフィン類の副生を抑制した上で、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸エステル及びアルコールを高
い回収率で安定に回収することができる。
図の一例である。
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 (メタ)アクリル酸製造時の副生物と、
(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物との混合物
を液相下で熱分解し、該熱分解反応生成物の少なくとも
一部を(メタ)アクリル酸エステル製造工程に戻すこと
を特徴とする(メタ)アクリル酸類製造時の副生物の分
解方法。 - 【請求項2】 (メタ)アクリル酸製造時の副生物は
(メタ)アクリル酸精製工程の重質分を分離する精留塔
の塔底液であり、(メタ)アクリル酸エステル製造時の
副生物は、(メタ)アクリル酸エステル精製工程の重質
分を分離する精留塔の塔底液であることを特徴とする請
求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 (メタ)アクリル酸エステル精製工程の
重質分を分離する精留塔が、再沸器として薄膜式蒸発器
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の方法。 - 【請求項4】 (メタ)アクリル酸エステルの製造は、
(メタ)アクリル酸とアルコールとのエステル化反応及
び/又は(メタ)アクリル酸エステルとアルコールとの
トランスエステル化反応によるものであることを特徴と
する請求項1から3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 (メタ)アクリル酸製造時の副生物及び
/又は(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物が、
ミカエル付加物を含有することを特徴とする請求項1か
ら4のいずれかに記載の方法。 - 【請求項6】 ミカエル付加物は(メタ)アクリロイル
基に水、アルコール、(メタ)アクリル酸又は酢酸が付
加した化合物であることを特徴とする請求項5に記載の
方法。 - 【請求項7】 熱分解反応温度が120〜280℃であ
り、熱分解反応時間が0.5〜50時間であることを特
徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。 - 【請求項8】 熱分解反応生成物の50%以上を(メ
タ)アクリル酸エステル製造工程に戻すことを特徴とす
る請求項1から7のいずれかに記載の方法。 - 【請求項9】 熱分解反応を無触媒で行うことを特徴と
する請求項1から8のいずれかに記載の方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009062289A (ja) * | 2007-09-04 | 2009-03-26 | Nippon Shokubai Co Ltd | アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 |
WO2010090258A1 (ja) * | 2009-02-05 | 2010-08-12 | 三菱レイヨン株式会社 | (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 |
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US10414711B2 (en) | 2015-11-27 | 2019-09-17 | Lg Chem, Ltd. | Method of preparing (meth)acrylic acid |
-
2002
- 2002-12-12 JP JP2002360880A patent/JP2003252825A/ja active Pending
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