JP2003226668A - (メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物の分解方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物の分解方法

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JP2003226668A
JP2003226668A JP2002341091A JP2002341091A JP2003226668A JP 2003226668 A JP2003226668 A JP 2003226668A JP 2002341091 A JP2002341091 A JP 2002341091A JP 2002341091 A JP2002341091 A JP 2002341091A JP 2003226668 A JP2003226668 A JP 2003226668A
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Shuhei Yada
修平 矢田
Kenji Takasaki
研二 高崎
Yasuyuki Ogawa
寧之 小川
Yoshiro Suzuki
芳郎 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリル酸エステルの製造工程で副
生するミカエル付加反応生成物を、酸を触媒として分解
を行い、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エス
テルおよびアルコールを回収する方法において、高い回
収率を得るような分解反応条件にしても、プロセス上問
題となるエーテル類の副生が抑制できる方法を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル製造時の副
生物を酸触媒の存在下で分解する方法において、該酸触
媒を該副生物に対し0.1〜1.0重量%添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
酸エステル製造時の副生物を分解して(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル及びアルコール等を回
収するための(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生
物の分解方法に関する。
【0002】なお、本明細書において、(メタ)アクリ
ル酸は、アクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そ
のいずれか一方でもよく双方でもよい。
【0003】
【従来の技術】周知の通り、アクリル酸エステルを製造
するためのアクリル酸生成反応として、プロピレンの気
相酸化法がある。このプロピレンを酸化してアクリル酸
を得る方法には、アクロレインまでの酸化と次の段階の
アクリル酸までの酸化の条件が異なるため、それぞれを
別の反応器で行う二段酸化プロセスと、一段酸化で直接
アクリル酸まで酸化するプロセスとがある。
【0004】図1は二段酸化によりアクリル酸を生成さ
せ、次いでエステル化反応させてアクリル酸エステルを
製造する工程図の一例であり、プロピレン、水蒸気及び
空気がモリブデン系触媒等が充填された第一反応器及び
第二反応器を経て二段酸化されてアクリル酸含有ガスと
なる。このアクリル酸含有ガスを凝縮塔にて水と接触さ
せてアクリル酸水溶液とし、これに適当な抽出溶剤を加
えて抽出塔にて抽出し、溶剤分離塔にて該抽出溶剤を分
離する。次いで、酢酸分離塔にて酢酸を分離して粗アク
リル酸とし、この粗アクリル酸から精留塔にて副生物を
分離することによりアクリル酸精製物が得られる。この
アクリル酸(精製物)がエステル化反応塔にてエステル
化反応した後、抽出塔及び軽質分離塔を経て粗アクリル
酸エステルとされ、この粗アクリル酸エステルが精留塔
にて副生物(高沸点物)が分離されてアクリル酸エステ
ル精製物となる。
【0005】なお、アクリル酸エステルの種類によって
は、図2のような工程を経る場合もある。
【0006】図2のアクリル酸エステル製造プロセスに
おいては、アクリル酸、アルコール、回収アクリル酸、
回収アルコールをそれぞれエステル化反応器に供給す
る。このエステル化反応器には強酸性イオン交換樹脂な
どの触媒が充填されている。この反応器から取り出され
た生成エステル、未反応アクリル酸、未反応アルコール
及び生成水等からなるエステル化反応混合物はアクリル
酸分離塔に供給される。
【0007】このアクリル酸分離塔の塔底から未反応ア
クリル酸を含む塔底液を抜き出し、エステル化反応器へ
循環させる。該塔底液の一部は重質分分離塔へ供給し、
重質分を塔底から分離して高沸分解反応器(図示せず)
に供給し、分解する。分解により生じた有価物を含む分
解生成物はプロセスに循環される。循環されるプロセス
内の場所は、プロセス条件によって異なる。重合物など
の高沸点不純物は高沸分解反応器から系外へ除去する。
【0008】このアクリル酸分離塔の塔頂からは、アク
リル酸エステル、未反応アルコール及び生成水が留出す
る。流出物の一部は還流液としてアクリル酸分離塔に循
環され、残りは抽出塔に供給される。
【0009】この抽出塔にはアルコール抽出のための水
が供給される。塔底から流出するアルコールを含む水は
アルコール回収塔に供給される。蒸留されたアルコール
はエステル化反応器に循環される。
【0010】抽出塔の塔頂から流出した粗アクリル酸エ
ステルは軽沸分離塔へ供給され、その塔頂から軽沸物が
抜き出され、プロセス内へ循環される。循環されるプロ
セス内の場所は、プロセス条件によって異なる。軽沸物
を除去された粗アクリル酸エステルはアクリル酸エステ
ル製品精製塔へ供給され、塔頂より高純度アクリル酸エ
ステルが得られる。塔底液はアクリル酸を多く含むの
で、プロセス内へ循環される。循環されるプロセス内の
場所はプロセス条件によって異なる。
【0011】この場合、副生物はアクリル酸分離塔の缶
出液として得られる。
【0012】なお、近年では、上記のアクリル酸水溶液
からのアクリル酸の回収を、抽出溶剤を用いて行う溶剤
抽出法の代りに、水と共沸溶剤を用いて蒸留し、共沸分
離塔の塔頂からは水と共沸溶剤との共沸混合物を留出さ
せ、塔底からアクリル酸を回収する共沸分離法も行われ
ている。
【0013】メタクリル酸エステルの合成の場合は、プ
ロピレンの代りにイソブチレンもしくはt−ブチルアル
コールを用い、同様の酸化プロセス及びその後のエステ
ル化プロセスを経てメタクリル酸エステル精製物が得ら
れる。
【0014】なお、(メタ)アクリル酸エステル(アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル)を生成させる
方法としては、低級アルコールの(メタ)アクリル酸エ
ステルと高級アルコールとを酸等を触媒としてトランス
エステル化反応させ、高級アルコールの(メタ)アクリ
ル酸エステルを製造する方法も行われている。このトラ
ンスエステル化反応で得られた粗(メタ)アクリル酸エ
ステルは、触媒分離、濃縮、精留等の工程を経て精製
(メタ)アクリル酸エステルとされる。
【0015】上記の粗アクリル酸エステル、粗メタクリ
ル酸エステルを蒸留精製して分離された留分中には、ミ
カエル付加物などの有用な副生物が含まれているので、
これを分解して(メタ)アクリル酸やそのエステル、原
料アルコール等を回収することが行われている。
【0016】アクリル酸エステルのミカエル付加物の分
解方法としては、ルイス酸もしくはルイス塩基の存在下
に加熱して分解する方法が採用されている(特開昭49
−055614号公報、特開平09−110791号公
報)。また、アクリル酸の製造プロセスとアクリル酸エ
ステルの製造プロセスの両製造プロセスでのミカエル付
加物を併せて熱分解する方法として、無触媒での熱分解
による方法(特開平8−225486号公報)と、酸触
媒を用いる分解方法(特開平9−183752号公報)
とが公知である。
【0017】
【特許文献1】特開昭49−055614号公報
【特許文献2】特開平09−110791号公報
【特許文献3】特開平8−225486号公報
【特許文献4】特開平9−183752号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】(メタ)アクリル酸エ
ステルの製造工程で副生するミカエル付加反応生成物
を、ルイス酸やルイス塩基を触媒として分解反応を行
い、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル
およびアルコールを回収する方法にあっては、これら
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ア
ルコールの高い回収率を得るような分解反応条件を採用
すると、エーテル類の副生量が極端に増加し、製品を汚
染したり、真空系の反応器や蒸留塔での適正操作を妨害
するなどの問題があった。
【0019】エーテル類の副生の問題点について、アク
リル酸メチルエステル製造プロセスおよびアクリル酸n
−ブチルエステル製造プロセスを例にとって詳述する。
【0020】アクリル酸メチルエステル製造時のミカエ
ル付加物の分解工程では、メチルアルコール由来のジメ
チルエーテルが副生する。この副生ジメチルエーテル
は、標準沸点が248.3Kと極めて低いため、分解反
応器自身や回収先の蒸留塔などで凝縮しにくいため、副
生量が増大すると真空系の制御を妨害するという弊害を
もたらす。
【0021】アクリル酸n−ブチルエステル製造時のミ
カエル付加物の分解工程では、n−ブチルアルコール由
来のジ−n−ブチルエーテルが副生する。このジ−n−
ブチルエーテルを含む留分を反応系や精製系に回収した
場合、ジ−n−ブチルエーテルの標準沸点は 413.
4Kであり、製品アクリル酸n−ブチルの標準沸点であ
る420Kと極めて近接しているため、製品を汚染する
という重大な問題が生じる。
【0022】本発明は、上記従来の問題点を解決し、
(メタ)アクリル酸エステルの製造工程で副生するミカ
エル付加反応生成物等の副生物を、酸を触媒として分解
を行い、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エス
テルおよびアルコールを回収する方法において、高い回
収率を得るような分解反応条件にしても、プロセス上問
題となるエーテル類の副生が抑制される方法を提供する
ことを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の(メタ)アクリ
ル酸エステル製造時の副生物の分解方法は、(メタ)ア
クリル酸エステル製造時の副生物を酸触媒の存在下で分
解する方法であって、該酸触媒を該副生物に対し0.1
〜1.0重量%添加することを特徴とするものである。
【0024】(メタ)アクリル酸エステルの製造工程で
副生するミカエル付加物の分解工程において、従来は、
回収率を上げるために、多量の酸触媒を使用していた。
しかし、多量の触媒を使用した場合には、アルコールの
脱水2量化反応等によってエーテルが副生し、ここで生
成するエーテルは上述の通り、真空系の制御を妨害した
り、製品を汚染する恐れがあるという弊害があった。
【0025】本発明者の研究の結果、むしろ、酸触媒の
使用量を少なくすることが、エーテルの生成を抑え、生
産性が向上することが見出された。
【0026】本発明は、かかる知見に基づくものであ
り、本発明によればミカエル付加物の分解を効率良く行
うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳しく説
明する。
【0028】本発明の(メタ)アクリル酸エステルとし
ては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n
−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)
アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸メトキシ
エチル等の原料アルコールとして枝分かれのないアルコ
ールから製造される(メタ)アクリル酸エステルが好ま
しい。中でも(メタ)アクリル酸n−ブチルが最も好ま
しい。
【0029】ミカエル付加物は、(メタ)アクリル酸エ
ステルを製造する場合に、反応工程や精製工程で生成す
る副生物であり、これらの製造過程で存在する(メタ)
アクリロイル基を持つ化合物の(メタ)アクリロイル基
のα位もしくはβ位に、(メタ)アクリル酸、またはア
ルコール、または水、または酢酸がミカエル付加した化
合物である。製造過程で存在する(メタ)アクリロイル
基を持つ化合物には、(メタ)アクリル酸およびその
(メタ)アクリル酸に(メタ)アクリル酸がミカエル付
加したβ-アクリロキシプロピオン酸又はβ−メタクリ
ロキシイソ酪酸(以下、ダイマー)、さらにこのダイマ
ーに(メタ)アクリル酸がミカエル付加した(メタ)ア
クリル酸3量体(以下、トリマー)、(メタ)アクリル
酸4量体(以下、テトラマー)等のカルボン酸、およ
び、それらの(メタ)アクリロイル基を有するカルボン
酸がアルコールでエステル化された対応する(メタ)ア
クリル酸エステルがある。本発明のミカエル付加物とし
て具体的には、β−アクリロキシプロピオン酸ならびに
β−メタクリロキシイソ酪酸およびそのエステル、β−
アルコキシプロピオン酸もしくはβ−アルコキシイソ酪
酸およびそのエステル、β−ヒドロキシプロピオン酸も
しくはイソ酪酸およびそのエステルおよびアルデヒド
体、さらにはダイマー、トリマー、テトラマー等、およ
びそれらのエステル、およびそれらのβ−アクリロキシ
体、β−アルコキシ体、β−ヒドロキシ体などがある。
【0030】本発明において、(メタ)アクリル酸エス
テルを製造するための(メタ)アクリル酸は、好ましく
はプロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレ
ン、t−ブチルアルコール等の接触気相酸化反応で得ら
れるものであり、ガス状酸化反応生成物を急冷、水でク
エンチ後、水とアクリル酸との分離を、共沸溶媒を用い
る共沸蒸留法、または溶媒を用いる抽出法で行い、さら
に酢酸などの低沸点化合物を分離した後、ミカエル付加
物などの重質分と分離して高純度(メタ)アクリル酸が
製造される。なお、水と酢酸を同時に共沸剤を用いて分
離してもよい。
【0031】本発明において、(メタ)アクリル酸エス
テルを製造する方法としては、(メタ)アクリル酸にア
ルコールをエステル化反応させる方法でもよく、低級ア
ルコールのアクリル酸エステルと高級アルコールをトラ
ンスエステル化反応させ、高級アルコールのアクリル酸
エステルを製造する方法でもよい。また、製造プロセス
としては回分式、連続式いずれも可能である。これらの
エステル化、トランスエステル化の触媒としては酸触媒
が一般的に使用される。
【0032】(メタ)アクリル酸エステル製造プロセス
は、好ましくは、反応工程と、この反応工程で得られた
粗アクリル酸エステル液を触媒分離、濃縮・精製等を行
う為の洗浄、抽出、蒸発、蒸留等を行う精製工程よりな
る。反応工程での(メタ)アクリル酸または(メタ)ア
クリル酸エステルとアルコールの原料モル比、反応に用
いる触媒種および量、反応方式、反応条件等は用いるア
ルコールの原料種によって適宜選定される。エステル化
反応工程で主として副生するミカエル付加物は、有効成
分を回収する蒸留塔の塔底に重質分として濃縮される。
【0033】本発明において、ミカエル付加物の分解反
応を実施する反応プロセスには、連続式、回分式、半回
分式あるいは間歇抜き出し方式等いかなる方式も採用さ
れ得るが、連続式が好ましい。反応器形式の形式にも特
に制限はなく、流通式管式反応器、薄膜流下型反応器、
完全混合槽型攪拌槽反応器、循環型完全混合槽反応器等
のいずれの形式も採用できる。分解反応生成物中に含ま
れる有用成分を反応中に蒸発または蒸留で取得する方
法、または分解反応後、蒸発ないしは蒸留で取得する方
法のいずれも採用できるが、高回収率を得るには前者の
反応蒸留方式の方が好ましい。
【0034】反応蒸留方式を採用した場合の反応圧力
は、後述する反応温度に大きく依存し、分解反応で生成
した、および分解反応原料中に含まれるアクリル酸、ア
クリル酸エステル、アルコール等の有用成分の大半が蒸
発するような圧力が採用される。
【0035】触媒としては、硫酸、燐酸などの無機酸、
メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機
酸などから選択されるが、有機酸が好ましい。
【0036】本発明では、酸触媒の濃度は、仕込み液基
準で 0.1〜1.0重量%、好ましくは0.2〜0.
8重量%である。
【0037】分解反応温度は120〜200℃が好まし
い。抜き出し液基準の液滞留時間は0.5〜50時間特
に2〜20時間が好ましい。なお、分解反応を連続反応
で行う場合、反応時間は抜き出し液で換算した液滞留時
間を反応時間とみなすことができる。例えば、反応器内
の液容量が500L、抜き出し液量が100L/Hの場
合、滞留時間は5時間となる。
【0038】なお、従来は、通常の分解反応条件とし
て、p−トルエンスルホン酸濃度が、仕込み液基準で5
〜15重量%、分解反応温度が180〜230℃、反応
時間は0.1〜4.0時間の条件が採用されていた。本
発明者らは、エーテルの副生反応およびミカエル付加体
類の分解反応を多面的に解析し、エーテル体の副生を抑
制するためには、触媒としての酸を低濃度とし、かつ、
比較的低い分解温度とするのが好適であることを見出し
た。
【0039】本発明の分解反応条件を採用するとミカエ
ル付加体の分解反応の進行がやや遅くなるが、反応時間
をある程度長くとれば、十分高い回収率が得られる。
【0040】なお、種々の実験の結果、本発明の分解反
応条件で得られる分解残渣は、通常の分解反応条件で得
られる分解残渣より、粘度が低く流動性が良いことが見
出された。
【0041】
【実施例】以下に、本発明について、実施例および比較
例を挙げて詳細に説明する。
【0042】実施例1 アクリル酸n−ブチルエステル製造工程の精留塔塔底液
を分解反応に供した。
【0043】アクリル酸n−ブチルエステルの精留塔塔
底液の組成は、アクリル酸n−ブチル16重量%、β−
n−ブトキシプロピオン酸n−ブチル59重量%、β−
アクリロキシプロピオン酸n−ブチル4重量%、β―ヒ
ドロキシプロピオン酸n−ブチル2重量%、その他重質
物19重量%で、580g/hで分解反応器に供給し
た。
【0044】分解反応器は、内径200mm、長さ40
0mm、材質はハステロイCであり、上部に内径30m
m、長さ1000mmでコイルパックを500mm充填
した蒸留塔、および付属のコンデンサー、真空系を設置
した。分解反応器は外部ヒーターにより反応温度を制御
し、液滞留時間は分解反応器内の液面で制御した。
【0045】分解反応触媒として、p−トルエンスルホ
ン酸を2.9g/h(供給液に対し0.5重量%)で供
給し、反応圧力47kPa、分解温度160℃、滞留時
間10時間で分解反応を実施した。
【0046】塔底の抜き出し残渣の組成をガスクロマト
グラフィーで分析した結果、アクリル酸n−ブチル6重
量%、β−n−ブトキシプロピオン酸n−ブチル36重
量%、アクリロキシプロピオン酸n−ブチル2重量%、
β−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル0.3重量%、
p−トルエンスルホン酸1.4重量%、その他重質物5
4重量%であった。199.8g/hにてこの反応残渣
物が得られた。この反応残渣物は流動性が高いことが認
められた。
【0047】塔頂からは382.5g/hにて、アクリ
ル酸、アクリル酸n−ブチル及びn−ブタノールを主成
分とする留分が回収され、ジ−n−ブチルエーテルは
0.35重量%含有されていた。
【0048】比較例1 触媒としてp−トルエンスルホン酸を290g/h(供
給液に対し5重量%)供給したこと以外は実施例1と全
く同一の原料及び装置を用い、原料を5.80kg/h
で供給した。反応温度は200℃、圧力は120kPa
で、滞留時間は1時間の条件で分解反応を実施した。
【0049】この結果、塔底より平均2.41kg/h
が反応残渣物として得られた。この反応残渣物の流動性
は実施例1のものに比べてやや劣っていた。反応残渣物
の組成はアクリル酸n−ブチル4重量%、β−n−ブト
キシプロピオン酸n−ブチル34重量%、アクリロキシ
プロピオン酸n−ブチル2重量%、β−ヒドロキシプロ
ピオン酸n−ブチル0.3重量%、p−トルエンスルホ
ン酸12重量%、その他48重量%であった。
【0050】分解反応器上部の蒸留塔塔頂からは平均
3.68kg/hにて、アクリル酸、アクリル酸n−ブ
チル、n−ブタノールが主成分の留分が回収され、ジ−
n−ブチルエーテルは2.78重量%含有されていた。
【0051】実施例2 実施例1と同一の分解反応装置を用い、アクリル酸メチ
ルエステル製造プラントの重質分分離のための精留塔の
塔底液について、実施例1と同様な触媒種、濃度、温
度、液滞留時間とし、圧力は60kpaで分解反応を行
った。原料の組成は、アクリル酸20重量%、β−アク
リロキシプロピオン酸8重量%、β−メトキシプロピオ
ン酸メチル12重量%、β−ヒドロキシプロピオン酸メ
チル7重量%、β−メトキシプロピオン酸40重量%、
β−アクリロキシプロピオン酸メチル7重量%、その他
6重量%であり、580g/hでフィードした。
【0052】この結果、分解反応器上部の蒸留塔塔頂か
らは、平均397g/hにて回収液が得られ、アセトン
−ドライアイストラップに捕集されたジメチルエーテル
は0.72g/hであった。
【0053】比較例2 触媒濃度を原料供給量に対して5重量%、反応温度を2
00℃、液滞留時間を1時間で反応圧力を180kPa
としたこと以外は、実施例2と全く同一の原料および分
解反応装置を用い分解反応を行った。分解反応器上部の
蒸留塔塔頂からは、平均3.87kg/hにて回収液が
得られ、アセトン−ドライアイストラップに捕集された
ジメチルエーテルは68.1g/hであった。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
(メタ)アクリル酸エステル製造工程で副生するミカエ
ル付加反応生成物を、酸を触媒として分解処理を行い、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよ
びアルコールを高率にて回収することができる。また、
プロセス上および/または製品品質上問題となるエーテ
ル類の副生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクリル酸及びアクリル酸エステルの製造工程
図の一例である。
【図2】アクリル酸エステルの製造工程図の他の例であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 寧之 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 鈴木 芳郎 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC26 AC41 AC43 AC46 AC48 AD11 AD30 BA28 BA32 BA36 BD34 BD53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステル製造時の副
    生物を酸触媒の存在下で分解する方法であって、 該酸触媒を該副生物に対し0.1〜1.0重量%添加す
    ることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製造時
    の副生物の分解方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、(メタ)アクリル酸
    エステル製造時の副生物は、(メタ)アクリル酸エステ
    ル精製工程の重質分を分離する精留塔の塔底液であるこ
    とを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製造時の副
    生物の分解方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、(メタ)アク
    リル酸エステル生成反応は、(メタ)アクリル酸とアル
    コールとのエステル化反応及び/又は(メタ)アクリル
    酸エステルとアルコールとのトランスエステル化反応で
    あることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製造
    時の副生物の分解方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、アルコールがメタノ
    ール、エタノール又はn−ブタノールであることを特徴
    とする(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物の分
    解方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、前記(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物
    は、ミカエル付加物を含有することを特徴とする(メ
    タ)アクリル酸エステル製造時の副生物の分解方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、ミカエル付加物は
    (メタ)アクリロイル基のα位もしくはβ位に水、アル
    コール、(メタ)アクリル酸又は酢酸が付加した化合物
    であることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製
    造時の副生物の分解方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項におい
    て、前記分解処理温度が120〜200℃であることを
    特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物
    の分解方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項におい
    て、前記分解処理時間が0.5〜20時間であることを
    特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物
    の分解方法。
JP2002341091A 2001-11-28 2002-11-25 (メタ)アクリル酸エステル製造時の副生物の分解方法 Pending JP2003226668A (ja)

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JP2011510000A (ja) * 2008-01-18 2011-03-31 アーケマ・インコーポレイテッド アクリレートのヘビーエンドからスルホン酸触媒およびノーブル・プロダクツを回収するためのプロセス
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