JP2011510000A - アクリレートのヘビーエンドからスルホン酸触媒およびノーブル・プロダクツを回収するためのプロセス - Google Patents

アクリレートのヘビーエンドからスルホン酸触媒およびノーブル・プロダクツを回収するためのプロセス Download PDF

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    • C07C67/327Preparation of carboxylic acid esters by modifying the acid moiety of the ester, such modification not being an introduction of an ester group by splitting-off hydrogen or functional groups; by hydrogenolysis of functional groups by elimination of functional groups containing oxygen only in singly bound form

Abstract

スルホン酸触媒、たとえばメタンスルホン酸(MSA)、ならびにノーブル・プロダクツ、たとえばアクリル酸、ブタノールおよびアクリル酸ブチルが、アクリレート反応器のブローダウンから回収される。そのブローダウンには、とりわけ、スルホン酸とアクリレートエステルとのマイケル付加物が含まれている。そのブローダウンを水と混合し、マイケル付加物を熱分解または加水分解させてそれらの構成成分とするのに十分な条件にかける。これらの熱分解条件もまた、スルホン酸および構成成分、ならびにヘビーエンドの他の低沸点成分たとえば、未反応のアクリル酸およびブタノールの回収を可能とするに十分なものである。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第61/022,034号(2008年1月18日出願)の利益を主張するものであるが、この出願のすべてを参考として本明細書に組み入れたものとする。
本発明は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを製造するためのプロセスに関する。一つの態様においては、本発明は、強いスルホン酸触媒を採用するプロセスに関し、それに対してまた別な態様においては、本発明は、その強いスルホン酸触媒を最終的に回収して、リサイクルするプロセスに関する。さらに別な態様においては、本発明は、そのプロセスのアクリレートのヘビーエンドから強いスルホン酸触媒と共にノーブル・プロダクツを回収するプロセスに関する。
強いスルホン酸触媒たとえば、メタンスルホン酸(MSA)の存在下に、均一な液相中、高温で(メタ)アクリル酸をC1〜8アルカノールと反応させることによって、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを調製するためのプロセスは周知である。たとえば、米国特許第6,172,258号明細書および米国特許第6,472,554号明細書を参照されたい。それらのプロセスにおいては、等モル量の(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸性触媒と共に、反応器に、好ましくは蒸留塔の底部に供給して、エステル化条件にかける。大部分の(メタ)アクリレートエステルおよび未反応のアルコールは、好ましくは共沸剤として水を使用して、塔頂から留出される。塔頂の蒸気は、主として(メタ)アクリレートエステルと、少量の未反応のアルコール、水、ならびに微少量のライトエンド、すなわち、その(メタ)アクリレートエステルよりも低い沸点を有する反応生成物とからなる。この塔頂の蒸気を凝縮させると、2相に分離する。その有機相を精製にかけ、水相は塔に戻す。反応容器、すなわち蒸留塔の底部からの残滓には、主として(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレートエステルの低分子量のポリマー、幾分かの遊離の(メタ)アクリル酸、アルコールおよび触媒が含まれ、この残滓を回収して、加熱処理にかけて、ポリマーを熱分解させる。加熱処理された残滓の大部分は反応容器に戻されるが、スリップストリームがヘビーエンド除去ユニット、たとえば蒸留塔に送られて、そこで、揮発分は塔頂から除去して反応器にリサイクルされるが、このヘビーエンド除去ユニットからの残滓は、(さらなる処理にかけないのならば)環境的に受け入れられる方法で廃棄される。
また別な実施態様のプロセス、たとえば米国特許第5,386,052号明細書に教示されているものにおいては、反応混合物から、反応の水のみを除去している。その生成物の混合物に含まれるのは、未反応の出発物質、主生成物(たとえば、(メタ)アクリレートエステル)、副生物(たとえば、(メタ)アクリレートエステルのオリゴマーおよびポリマー、水など)、触媒およびプロセス助剤(たとえば、共沸剤、重合禁止剤など)である。その生成物の混合物は、典型的には、冷却し、次いで抽出塔の中で水を用いて洗浄して、塔底ストリームとして触媒および(メタ)アクリル酸を、塔頂ストリームとして生成物の混合物の残りのものを抜き出す。水またはアルカリ性水溶液を用いてこの塔頂ストリームをさらに洗浄して、残存している触媒および酸をさらに除去することも可能であり、次いでこの第二の洗浄済みのストリームを蒸留して主生成物を回収することができる。この主生成物は、典型的には、塔頂ストリームとして回収され、生成物の混合物の残りのもの、すなわちヘビーエンドは、塔底ストリームとして回収される。これらのヘビーエンド中にまだ残っている未反応の出発物質および主生成物の幾分かは、蒸発によって回収することができるが、回収されなかったものおよびヘビーエンドのその他の成分は、さらに他の処理にかけない限り、失われてしまう。
そのようなさらなる処理の一つが、米国特許第5,734,075号明細書に記載されている。ヘビーエンドの副生物成分、すなわち(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸のオリゴマーおよびポリマーを、触媒無しでの熱分解にかける。このプロセスにおいては触媒は存在しないので、回収する必要はない。その熱分解の温度範囲は、140〜260℃の間である。熱分解操作の間にも、その解離反応で生じる低沸点成分を連続的に蒸発させて、そのノーブル・プロダクツ、すなわち、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリレートモノマーおよびアルコールを回収する。
米国特許第5,877,345号明細書および米国特許第6,180,819号明細書には、アクリル酸アルキルの製造の際に生成するヘビーエンドを処理するためのプロセスの教示があるが、そのプロセスには、(a)ヘビーエンド、水および残存している酸性触媒を含む、全部の水性およびヘビーエンドの供給流を、加水分解反応器に供給する工程、および(b)アクリル酸、アクリル酸アルキル、アルカノール、および水を含む塔頂ストリームを留出させる工程、が含まれる。その塔頂ストリームを凝縮させてから、その塔頂ストリームを、ノーブル・プロダクツの有機相と水相とに分離させ、その水相は加水分解反応器にリサイクルさせる。その加水分解反応器は、熱分解反応器と組み合わせて使用するのが好ましく、その中に加水分解反応器からのブリードストリームを供給し、熱分解させることにより、アクリル酸、アクリレートエステル、アルカノール、および水を生成させて回収する。しかしながら、このプロセスでは、加水分解した後でスルホン酸が回収されない。
米国特許第6,084,122号明細書には、アクリレート廃棄物ストリームから硫黄を除去するためのプロセスの記載がある。そのプロセスには次の工程が含まれる:(a)反応器中で、エステル反応生成物および残滓副生物を含む反応混合物を形成させる工程、(b)蒸留により反応生成物を回収する工程、(c)反応混合物の残滓を、残存しているエステル製品および反応剤を回収するための蒸発器へと移送させる工程、(d)撹拌式液−液向流抽出塔の中で、その蒸発器の残滓を水と接触させて、(1)酸性触媒および水、ならびに(2)ヘビーエンドおよびオリゴマーの2相系を形成させる工程、ならびに(e)その水相を反応器へとリサイクルさせる工程。そのヘビーエンドおよびオリゴマーは、(記載はないが)さらなる処理かまたは廃棄のために移送される。
米国特許第6,084,128号明細書には、スルホン酸触媒を含むエステル化生成物の混合物をデカンターまたは抽出機へ送り、(i)触媒および水と、(ii)反応生成物、アクリレートエステル、溶媒、ヘビーエンドおよびオリゴマーとの2相系を形成させるプロセスの記載がある。その触媒および水の相は、次いで反応器へとリサイクルされる。そのヘビーエンドの処理についての記載はない。
先に引用した米国特許第6,472,554号明細書に記載されているプロセスのエステル化ゾーンからの生成物の混合物は、3段の予備精製にかけた後で、精留によりエステル製品を単離させている。予備精製の第一段においては、エステル化触媒およびハイボイラーの大部分が洗浄により分離され、次いでエステル化ゾーンにリサイクルされる。ハイボイラーの蓄積を調節するために、そのリサイクルストリームの一部を循環系から抜き出す。第二段においては、残存している反応混合物の強酸性成分を中和して、アルカリ水溶液を用いて抽出する。第三段においては、第二段の予備精製段の後に残った有機反応混合物から、水を用いた抽出により、残存している塩および水性異相画分(foreign−phase fraction)を除去する。その精製段は、通常の蒸留とするのが好適である。
米国特許第6,512,138号明細書には、未転化の出発化合物および(メタ)アクリレート生成物を蒸留により分離し、オキシエステル含有塔底生成物を形成させて分離する、エステル化プロセスについての記載がある。塔底生成物のオキシエステルは、酸性触媒の存在下に分裂させ、その分裂生成物を除去すると、分離残滓が残る。別な方法では、最初に、蒸留によって分裂生成物からオキシエステルを除去して、蒸留残滓が残る。次いで、除去されたオキシエステルを酸性触媒の存在下に分裂させ、分裂生成物を回収すると、分裂残滓が残る。いずれの代替法においても、その分裂残滓を蒸留残滓と組み合わせて、水と酸または塩基との存在下に加水分解的に分裂させる。その分裂反応は、加熱可能な撹拌式反応器または、強制循環蒸発器の中で起こさせることができる。この場合もまた、スルホン酸は回収されない。
(メタ)アクリレートポリマーまたはポリマー性(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合により形成される。これらのポリマーは、(メタ)アクリレートが加熱されたときに生成するが、それらを分裂させて出発モノマーに戻すことは不可能である。(メタ)アクリレートオリゴマー、またはオリゴマー性(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸またはアルコールとの間のマイケル付加物である。オリゴマー性(メタ)アクリレートは、分裂させることにより、その出発モノマーに戻すことは可能である。
米国特許第6,172,258号明細書 米国特許第6,472,554号明細書 米国特許第5,386,052号明細書 米国特許第5,734,075号明細書 米国特許第5,877,345号明細書 米国特許第6,180,819号明細書 米国特許第6,084,122号明細書 米国特許第6,084,128号明細書 米国特許第6,512,138号明細書
(メタ)アクリレートのヘビーエンド(このヘビーエンドには、スルホン酸、ノーブル・プロダクツ、およびスルホン酸と(メタ)アクリレートエステルとのマイケル付加物が含まれる)の中に含まれるスルホン酸およびノーブル・プロダクツは、以下の工程を含むプロセスにより回収される:(i)ヘビーエンドを水と混合する工程、(ii)その混合物に十分な熱と蒸留条件とを与えて、そのマイケル付加物を熱分解および/または加水分解して、その構成成分のスルホン酸とアクリレートエステル成分にする工程、ならびに(iii)水性溶媒抽出ストリーム中にスルホン酸を、そして留出ストリームとしてノーブル・プロダクツを回収する工程。マイケル付加物が加水分解されると、ヒドロキシ酸とエステルになるが、それらがさらに脱水(すなわち、熱分解)されて、(メタ)アクリル酸モノマーおよび(メタ)アクリレートエステルモノマーとなる。
一つの実施態様においては、そのヘビーエンドをほぼ等量の水と混合し、熱分解/加水分解と蒸留操作とを同時に行っている間にその混合物を撹拌する。その混合物には、アルコールたとえばブタノールと、(メタ)アクリレートエステルたとえばアクリル酸ブチルとが含まれるが、後者は共沸剤として機能する。その留出物は2相となるが、その水相は、蒸留ユニットへ連続的に戻す。(メタ)アクリレート、アルコール、および(メタ)アクリル酸が、塔頂有機留出ストリームとして回収される。スルホン酸は、蒸留が完了した後に、その蒸留ユニットの中の水層から回収される。また別な実施態様においては、その熱分解/加水分解および蒸留の結果として、スルホン酸の回収率が90〜94%から130〜145%(滴定により測定)に向上し、ノーブル・プロダクト回収率が20〜33%に向上し、廃棄物量たとえば、触媒、出発物質および/または製品の損失が、24〜35%に低下する。回収されたスルホン酸は、反応器にリサイクルして、触媒リサイクルを構成することができるが、このことがコストの低減をもたらす。ノーブル・プロダクトの留出ストリームを反応器にリサイクルさせることもまた、出発物質の効率を高める。
スルホン酸触媒の回収率が100%よりも高いのは、その計算方法の人為的な結果のためである。ヘビーエンドの中ではスルホン酸が、二つの形態、すなわち遊離スルホン酸および結合スルホン酸で存在している。遊離スルホン酸は塩基を用いて滴定することができるが、結合スルホン酸は、塩基による滴定ができない。結合スルホン酸は、アクリレートエステルとのマイケル付加物として存在している。そのマイケル付加物はもはや酸性ではないので、塩基によって滴定することが不可能である。しかしながら、加水分解/熱分解をさせると、その結合スルホン酸が遊離スルホン酸に転化され、それは塩基を用いて滴定することができる。このことのために、滴定による回収率の値が100%を超えることとなってしまう。
一つの実施態様においては、本発明は、(メタ)アクリレートエステルを製造するためのプロセスであって、そのプロセスには以下の工程が含まれる:
A.(メタ)アクリル酸、アルコールおよびスルホン酸触媒を含む反応混合物を、エステル化条件にかけて、未反応の(メタ)アクリル酸およびアルコール、スルホン酸触媒、(メタ)アクリレートエステル、ならびにオリゴマー性およびポリマー性(メタ)アクリレートエステルを含む生成物の混合物を形成させる工程;
B.その生成物の混合物を蒸留して、(メタ)アクリレートエステルを回収し、スルホン酸触媒およびオリゴマー性およびポリマー性アクリレートエステルを含む蒸留残滓を残す工程;
C.その蒸留残滓を水と混合して、蒸留残滓と水との混合物を形成させる工程;
D.(C)の蒸留残滓と水との混合物を、以下のことが同時に実施されるような条件にかける工程:(1)オリゴマー性およびポリマー性(メタ)アクリレートエステルが加水分解および/または熱分解されて、(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリル酸、アルコールおよびスルホン酸が形成される、(2)(メタ)アクリル酸、アルコール、および(メタ)アクリレートエステルが、塔頂蒸留生成物として回収される、そして(3)スルホン酸触媒が、塔底生成物としての蒸留残滓と水との混合物を水相分離させることにより回収される;ならびに
E.塔頂蒸留物および(D)の水性の塔底生成物の少なくとも一部を、(A)の反応混合物にリサイクルさせる工程。
塔頂蒸留物および水性の塔底生成物を(A)の反応混合物に戻すことによって、触媒のリサイクルが構成され、出発物質の使用率が向上する。
元素の周期律表を参照する場合は常に、CRC Press Inc.が2003年に版権を有し、刊行している元素の周期律表を指すものとする。さらに、一つまたは複数の族を参照する場合は常に、族の番号を指定するIUPACシステムを使用して、この元素の周期律表に反映される一つまたは複数の族を指すものとする。逆なことが記述されていたり、文脈から暗示されたり、あるいは当業者の間の習慣であったりする場合を除き、すべての「部」および「パーセント」は、重量規準であり、すべての試験方法は、本開示の出願日において受け入れられているものである。米国の特許プラクティスの目的においては、引用した特許、特許出願、または公刊物のいずれの内容も、参照することによりそれらのすべてを本明細書に組み入れたものとする(またはその等価な米国版を、参照することにより組み入れたものとする)が、特に、合成方法、定義(本明細書の開示に特別に与えられるいかなる定義と矛盾しない範囲において)および当業者の一般的知識の開示に関してはそうである。
本明細書の開示における数値の範囲は、およそのものであって、そのため、特に断らない限り、その範囲の外側の数値が含まれていてもよい。数値の範囲は、最小値および最大値も含めてその間の数値を1単位きざみですべて含むが、ただし、いずれの最小値といずれの最大値との間には、少なくとも2単位の分離が存在する。一例を挙げれば、組成的、物理的、またはその他の性質、たとえば分子量、粘度、メルトインデックスなどが、100から1,000迄であるとすると、すべての単一値たとえば、100、101、102など、および部分領域たとえば、100〜144、155〜170、197〜200などが、明示的に数え上げられているということを意味している。1未満の数値を含むか、または1を超える分数値(たとえば、1.1、1.5など)を含むような範囲の場合においては、1単位が、0.0001、0.001、0.01、または0.1などであると適切に考えるべきである。10未満の単一の数値を含む範囲(たとえば、1〜5)においては、典型的には1単位が0.1であると考える。これらは特に意図した例にすぎないが、数え上げたその最小値から最大値の間の数値の全ての可能な組合せが、本明細書の開示において明示的に記載されていると考えるべきである。本明細書の開示の中においては、とりわけ反応混合物または反応質量部分中の試薬と触媒の相対量、および各種の温度およびその他のプロセスパラメーターにおいて、数値の範囲が与えられている。
「含む(comprising)」およびそれから派生する用語は、追加の成分、工程、または手順が、同一のものが特定的に開示されているか否かには関わらず、さらに追加されることを排除するものではない。いかなる疑念も抱かれることがないように言えば、「含む(comprising)」という用語を使用して権利主張されているすべての組成物には、そうではないと特に断っていない限りにおいて、各種の追加の添加物、アジュバント、化合物(ポリマー性であるか否かに関わらない)が含まれていてよい。それとは対照的に、「から実質的になる(consisting essentially of)」という用語では、それに続く引用のすべての範囲から、操作性に実質的に関わらないものは除いて、他のいかなる成分、工程または手順を排除する。「からなる(consisting of)」という用語は、特別に記述したり、列挙したりしたもの以外の、すべての成分、工程または手順を排除する。「または(or)」という用語では、特に断らない限り、列挙された個別の要素、さらにはそれらのすべての組合せを指す。
化合物に関する使用においては、特に断らない限り、その単数表記には、すべての異性体の形態が含まれ、その逆も同様である(たとえば、「ヘキサン」という用語には、ヘキサンのすべての異性体を個別または集合的に含んでいる)。「化合物(compound)」または「錯体(complex)」という用語は、有機化合物、無機化合物、および有機金属化合物を指すのに、言い換え可能に使用される。「原子(atom)」という用語は、イオン的な状態とは無関係に、すなわち、それが電荷または部分電荷を担持しているかどうか、あるいは他の原子に結合されているかどうかとは無関係に、要素の最小構成単位を指している。「ヘテロ原子(heteroatom)」という用語は、炭素または水素以外の原子を指している。
「反応混合物(reaction mixture)」、「反応質量部分(reaction mass)」およびそれらと同様の用語は、反応条件下において、反応に必要かまたは補助的に必要な物質の組合せを意味している。反応の進行の過程で、反応混合物が転化して、生成物の混合物となる。反応混合物の特性を決定するタイミングや、他の因子たとえばそのプロセスがバッチであるか連続であるか、出発物質および生成物質などの物理的状態に依存して、それには、反応剤、触媒、溶媒、プロセス助剤、生成物、副生物、不純物などが含まれているであろうし、それらを含むことができる。
「生成物の混合物(product mixture)」およびそれと同様の用語は、反応混合物を反応条件下にかけた結果として得られる物質の組合せを意味している。生成物の混合物には、幾分かの生成物および/または副生物を常に含むであろうが、多くの因子(たとえば、バッチか連続か、出発物質の物理的状態など)に依存して、未反応の出発物質、触媒、溶媒、プロセス助剤、不純物などが含まれていても、含まれていなくてもよい。反応が開始された後、典型的には反応の終わりまたは終わり近くでは、本発明の一部を形成する典型的な生成物の混合物には、未反応の(メタ)アクリル酸およびアルコール、強酸性触媒、(メタ)アクリレート、副生物の(メタ)アクリレートおよび水が含まれるであろう。
「反応条件(reaction conditions)」およびそれと同様の用語は一般的に、温度、圧力、反応剤濃度、触媒濃度、助触媒濃度、モノマー転化率、反応混合物(または質量部分)の生成物および副生物(または固形物)含量、および/または得られる生成物の性質に影響するその他の条件を指している。
「エステル化条件(esterificaiton conditions)」およびそれと同様の用語は、温度、圧力、反応剤濃度、触媒濃度、助触媒濃度、モノマー転化率、反応混合物(または質量部分)の生成物および副生物(または固形物)含量、および/または(メタ)アクリル酸およびアルコールを転化させて(メタ)アクリレートエステルとするのに必要なその他の条件を意味している。
「加水分解条件(hydrolysis conditions)」およびそれと同様の用語は、化合物を水と反応させることによってそれを分裂させる、たとえば、(メタ)アクリレートエステルとMSAとからのマイケル付加物を分裂させてエステルとMSAにするために必要な温度、圧力、反応剤濃度、触媒濃度などを意味している。
「蒸留条件(distillation conditions)」およびそれと同様の用語は、加熱および還流の作用によって少なくとも1種の化合物を、1種または複数の他の化合物から分離するのに必要な温度、圧力、化合物濃度、共沸剤(存在させるとすれば)などを意味している。
「連続プロセス(continuous process)」およびそれと同様の用語は、そのプロセスが定常状態で運転される、すなわち、生成物がその反応器または反応ゾーンから抜き出されるのと実質的にバランスさせた速度で、反応剤が反応器または反応ゾーンに供給され、それにより反応器または反応ゾーンの中の反応質量部分が、その容積および組成の面で比較的一定となる、ということを意味している。連続プロセスには、バッチまたはセミバッチプロセスは含まれないが、前者では、時間の経過とともに反応剤が消耗し、生成物が増えていくことを特徴とし、後者は典型的には、時間の経過とともに、反応剤の添加と生成物の抜き出しがアンバランスとなることを特徴としている。
「(メタ)アクリル酸((meth)acrylic acid)」という用語は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味している。「アクリレート(acrylate)」という用語は、アクリル酸の塩またはエステルを意味し、「メタクリレート(methacrylate)」という用語は、メタクリル酸の塩またはエステルを意味し、「(メタ)アクリレート((meth)acrylate)」という用語は、アクリル酸またはメタクリル酸いずれかの塩またはエステルを意味している。
「アクリレート反応器ブローダウン(acrylate reactor blowdown)」という用語は、反応混合物の蒸留からの塔底ストリームまたはヘビーエンドを意味している。
「ノーブル・プロダクト(noble product)」およびそれと同様の用語は、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、およびC1〜8アルカノールを意味している。
「(メタ)アクリレートのヘビーエンド((meth)acrylate heavy ends)」およびそれと同様の用語は、主たる、または所望の(メタ)アクリレートエステル生成物よりも高い沸点を有する、(メタ)アクリレート付加副生物を意味している。これらのヘビーエンドには、典型的には、1種または複数のポリマー性(メタ)アクリレートおよび1種または複数のオリゴマー性(メタ)アクリレートが含まれる。本発明の文脈においては、(メタ)アクリレートのヘビーエンドは、典型的には、ブローダウンストリームから回収される。(メタ)アクリレートのヘビーエンドの具体例は、米国特許第5,877,345号明細書に記載されている。
本発明の実施において使用される(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸のいずれか、または両方である。その酸が、少なくとも市販グレードであるのが好ましいが、粗製の(メタ)アクリル酸もまた本発明の実施において使用することが可能である。米国特許第6,472,554号明細書に記載されているように、粗製の(メタ)アクリル酸には、不純物として、5重量パーセント(wt%)までの酢酸と、1重量%までのマレイン酸または無水物とが含まれる。
1個またはそれ以上、好ましくは4個またはそれ以上の炭素原子を有するアルコールとしては、脂肪族、脂環族および芳香族アルコールから選択される各種のアルコールを使用することができる。脂肪族アルコールの例としては以下のものが挙げられる:メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルおよびイソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ならびにステアリルアルコール。脂環族アルコールの例としては以下のものが挙げられる:シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、およびブチルシクロヘキシルアルコール。芳香族アルコールの例としては以下のものが挙げられる:ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、およびブチルベンジルアルコール。
エステル化のための酸性触媒としては、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロスルホン酸、およびメタンスルホン酸(MSA)がその例である。MSAが好適な酸性触媒である。
エステル化反応においては、出発物質のアクリル酸またはメタクリル酸およびアルコールを、通常1.0:1.2〜1.0:0.8のモル比で、反応器に供給する。使用する酸性触媒の量は、一般的には、反応剤の0.1〜5、好ましくは0.5〜2.0重量パーセントである。その反応は一般的には、70〜180℃の温度で実施する。エステル化反応の過程で生成する反応水は、蒸留または共沸蒸留によって除去するのが好ましい(反応−蒸留法)。反応水をスムーズに除去するために、不活性な共沸剤を使用してもよい。ベンゼン、トルエン、およびシクロヘキサンのような炭化水素が共沸剤の例である。反応水の除去は、他の手段を用いても同様に実施することができるが、そのような手段としてはたとえば、蒸気分離膜もしくは過蒸発膜を使用した膜分離法、または蒸留以外の方法が挙げられる。望ましくない重合が起きることによるアクリル酸もしくはメタクリル酸またはエステルの損失を防ぐために、重合禁止剤、たとえば、フェノチアジン、ヒドロキノン、ヒドロキノンのメチルエステル、TEMPO誘導体、または酸素含有ガスが反応器に通常添加される。(メタ)アクリレートエステルおよび副生物は、蒸留または共沸蒸留によって反応水と共に同時に回収され、次いで精製される。
反応容器からの残滓には、主として(メタ)アクリレート酸および(メタ)アクリレートエステルの低分子量のポリマー、幾分かの遊離の(メタ)アクリル酸、アルコールおよび触媒が含まれるが、それを加熱処理(熱分解反応)にかける。その加熱処理した物質の大部分は、反応器に戻されるが、ヘビーエンドのスリップストリームが、ヘビーエンド除去ユニット、たとえば、蒸留塔に送られる。ヘビーエンド除去ユニットからの揮発分は、反応器にリサイクルされるが、その一方で残滓は、さらなる処理にかけないのならば、廃棄される。
たとえば米国特許第5,386,052号明細書に教示されているような、また別な実施態様においては、反応水のみを除去する。反応液体、たとえば生成物の混合物は、エステル化反応が完了した後に反応器から排出される。
反応液体を10〜60℃の温度にまで冷却してから、抽出のために水を用いて洗浄することができる。洗浄水の温度は、反応液体の温度と同じか、幾分低めにするのが好ましい。洗浄水の反応液体に対する重量比は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.05〜0.2である。洗浄水としてフレッシュな水を使用することもできるが、エステル化反応において生成し、反応系から抜き出された反応水を採用してもよい。後者を使用すれば、廃水の量を減らすことができるというメリットがある。
水を用いた洗浄は各種の方法で実施することができる。たとえば、水と反応液体とを撹拌下に混合し、次いでその混合物を静置して、水相と有機相とに分離させる。別な方法では、洗浄と液−液分離を遠心分離の手段により実施する。抽出塔の手段により洗浄を実施するのが最も効果的であるが、その場合、弱い撹拌力を加えて液−液の接触を行わせ、それによって、エマルションの形成があるとしても僅かにして、液−液分離を容易に実施できるようにする。
本発明を実施するにあたっては、各種の抽出塔を使用することができる。典型的には、抽出塔の下端から反応液体を供給し、その上端に水を供給する。塔頂から、触媒およびアクリル酸またはメタクリル酸が除去された反応液体が得られ、触媒、アクリル酸またはメタクリル酸、および副生物を含む水性溶液が塔底から抜き出される。通常、充填塔、段塔などが抽出塔として使用される。
触媒および一部の(メタ)アクリル酸が、塔の底部からの水性ストリームとして抜き出され、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート生成物アルコールの残りが、塔の頂部から有機ストリームとして抜き出される。水またはアルカリ性水溶液のいずれかを用いて、この塔頂ストリームをさらに洗浄して、残っている触媒および酸を除去する。その酸性の水性ストリームは、反応器に戻すことが可能であり、洗浄された塔頂ストリームは次いで、第一の蒸留にかけて、主生成物を第一の蒸留の塔頂ストリームとして回収する。洗浄された塔頂ストリーム以外のものは、第一の蒸留の塔底ストリームとして回収されるが、それにはヘビーエンド(すなわち(メタ)アクリレートエステルのオリゴマーおよびポリマー)、触媒、プロセス助剤などが含まれる。
一つの実施態様においては、この第一の蒸留の塔底ストリームは、いずれかの受容可能な方法、たとえば焼却により単に廃棄するので、その価値が失われる。また別な実施態様においては、その第一の蒸留の塔底ストリームをまず、たとえば等量の水と混合するような他の水洗浄法にかけてから、分離させる。その水相には、追加の回収されたスルホン酸および未反応の出発物質が含まれ、そのヘビーエンドを、いずれかの受容可能な方法で廃棄するが、それに伴い、その(メタ)アクリレートエステルのオリゴマーおよびポリマーの中に含まれるアクリレートおよび触媒の価値が失われる。さらに別な実施態様においては、そのヘビーエンドを熱分解および/または加水分解にかけてから、別の水洗浄にかけて、アクリレートおよびスルホン酸の価値を取り戻す。
しかしながら、本発明においては、この第一の蒸留の塔底ストリーム、または反応混合物の直接的な蒸留からの塔底ストリームを、第二の蒸留にかけて、そこで、オリゴマーおよびポリマーを熱分解および/または加水分解して、ノーブル・プロダクツおよび触媒を回収する。この第二の蒸留の結果として、結合された酸、すなわち酸とアクリレートエステルとからのマイケル付加物を熱分解/加水分解させることによってスルホン酸触媒の回収率が向上し、同時にノーブル・プロダクツの回収率も向上する。
第一の蒸留の塔底ストリーム、またはアクリレートのヘビーエンドをまず、水か、またはいずれかの利便性の良い供給源からの水性ストリーム、たとえば回収されたプロセス水と混合する。典型的には、等量の水とヘビーエンドとを相互に混合するが、ただし水対ヘビーエンドの重量比は、広く変化させることが可能で、たとえば10:1〜1:10の間、好ましくは5:1〜1:5の間、より好ましくは1:1〜1:2の間とすることができる。次いで、その混合物を、そのヘビーエンドの中に存在しているマイケル付加物を熱分解および/または加水分解させて、それらの構成成分の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリル酸、アルコール、およびスルホン酸とするのに十分な条件にかける。それらの条件には、典型的には、たとえば、かきまぜ、乱流などの撹拌、および100〜150℃の間、好ましくは100〜120℃の間、より好ましくは100〜110℃の間の温度が挙げられる。同時に蒸留をしながらの熱分解/加水分解は、典型的には、各種の蒸留塔の中で実施され、塔頂において有機相がまったく認められなくなるか、または量が実質的に低下するまで、たとえば、1〜24時間、好ましくは2〜12時間、より好ましくは4〜8時間かけて、進行させる。そのプロセスは、バッチモード、セミバッチモード、または連続モードで実施することができる。場合によっては、水/ヘビーエンド混合物が共沸剤を含んでいてもよいが、アクリレートのヘビーエンドの中に存在させる共沸剤の量は、典型的にはそのプロセスにとって十分な量である。熱分解/加水分解蒸留が完了した後の残滓の水相を分離して、反応器にリサイクルさせることができる。
以下の実施例により、この回収プロセスを説明する。
比較例1:
3.21重量%のMSA(滴定法による)および5.61重量%(硫黄および窒素分析法による)(窒素分析は、硫黄含量に対するフェノチアジンの寄与を排除するために使用する)を含む、それぞれ75グラムのアクリル酸ブチル反応器のブローダウン(アクリル酸、ブタノール、およびアクリル酸ブチルを回収した後のもの)を、フィード水(aqueous feed)と共に15分間混合する。45分かけて相を放置して沈降させてから、分離する。その有機相は、全質量の54重量%であり、0.10重量%のMSA(滴定法による)および1.45重量%(硫黄および窒素分析法による)を有している。その水層およびラグ層(rag layer)、すなわち水層と有機層との間の中間層を合わせると、全質量の46%であり、3.15重量%のMSA(滴定法による)および4.20重量%(硫黄および窒素分析法による)を有している。滴定法による計算上のMSA回収率は、90重量%である。硫黄および窒素分析法による計算上のMSA回収率は、わずか71重量%である。(表1A、参照)。
比較例2:
3.13重量%のMSA(滴定法による)および4.94重量%(硫黄および窒素分析法による)(窒素分析は、硫黄含量に対するフェノチアジンの寄与を排除するために使用する)を含む、それぞれ75グラムのアクリル酸ブチル反応器のブローダウン(アクリル酸、ブタノール、およびアクリル酸ブチルを回収した後のもの)を、フィード水と共に15分間混合する。45分かけて相を放置して沈降させてから、分離する。その有機相は、全質量の49重量%であり、0.10重量%のMSA(滴定法による)および1.47重量%(硫黄および窒素分析法による)を有していた。水層およびラグ層を合わせると、全質量の51重量%であり、2.89重量%のMSA(滴定法による)および3.90重量%(硫黄および窒素分析法による)を有していた。滴定法による計算上のMSA回収率は、94重量%である。硫黄および窒素分析法による計算上のMSA回収率は、わずか74%である(表1A、参照)。
Figure 2011510000
実施例1:
アクリル酸ブチル反応器のブローダウン(161.35g、ガスクロマトグラフ(GC)法によれは4.2重量%のアクリル酸、0.17重量%のブタノール、および6.5重量%のアクリル酸ブチルを含み、滴定法によれば2.02重量%のMSAを含む)および148.25gのフィード水を、撹拌機、凝縮器、および留出物受器を取り付けた丸底フラスコの中に入れる。100〜104℃、大気圧下で5時間かけて、撹拌を継続しながら、その混合物を蒸留する。その蒸留の間、水性留出物は連続的に蒸留フラスコに戻す。次いでその蒸留フラスコの混合物を放冷し、45分間の沈降時間の後では、相が分離する。4.9重量%のアクリル酸、36.1重量%のブタノールおよび20.8重量%のアクリル酸ブチルを含む、50.14gの有機物が留出物として得られる。蒸留フラスコからの水相は184.93gであり、4.6重量%のアクリル酸、0.86重量%のブタノール、および2.33重量%のMSA(滴定法による)が含まれている。蒸留フラスコからの残存有機相は69.26gであり、0.21重量%のMSA(滴定法による)を含んでいる。滴定ベースのMSA回収率は132重量%であり、アクリル酸、ブタノール、およびアクリル酸ブチルの回収率はそれぞれ、7、12、および6重量%である(表1B、参照)。
実施例2:
アクリル酸ブチル反応器のブローダウン(157.74g、GC法により9.8重量%のアクリル酸、0.13重量%のブタノール、および6.9重量%のアクリル酸ブチル、2.4重量%のMSA(滴定法による)を含む)および147.98gのフィード水を、撹拌機、凝縮器、および留出物受器を取り付けた丸底フラスコの中に入れる。100〜101℃、大気圧下で7.5時間かけて、撹拌を継続しながら、その混合物を蒸留する。その蒸留の間、水性留出物は連続的に蒸留フラスコに戻す。次いでその蒸留フラスコの混合物を放冷し、45分間の沈降時間の後では、相が分離する。8.6重量%のアクリル酸、45重量%のブタノールおよび24.4重量%のアクリル酸ブチルを含む有機物(48.49g)が留出物として得られる。蒸留フラスコからの水相は200.58gであり、7.7重量%のアクリル酸、0.59重量%のブタノール、および2.71重量%のMSA(滴定法による)が含まれている。蒸留フラスコからの残存有機相は53.09gであり、0.23重量%のMSA(滴定法による)を含んでいる。滴定ベースのMSA回収率は144重量%であり、アクリル酸、ブタノール、およびアクリル酸ブチルの回収率はそれぞれ、12、15、および8重量%であった(表1B、参照)。
実施例3:
アクリル酸ブチル反応器のブローダウン(162.18g、GC法によれは3.2重量%のアクリル酸、0.05重量%のブタノール、および2.5重量%のアクリル酸ブチルを含み、滴定法によれば2.71重量%のMSAを含む)および148.63gのフィード水を、撹拌機、凝縮器、および留出物受器を取り付けた丸底フラスコの中に入れる。100〜103℃、大気圧下で5時間かけて、撹拌を継続しながら、その混合物を蒸留する。その蒸留の間、水性留出物は連続的に蒸留フラスコに戻す。次いでその蒸留フラスコの混合物を放冷し、45分間の沈降時間の後では、相が分離する。12.1重量%のアクリル酸、45.5重量%のブタノールおよび11.8重量%のアクリル酸ブチルを含む有機物(45.72g)が留出物として得られる。蒸留フラスコからの水相は201.96gであり、11.6重量%のアクリル酸、0.83重量%のブタノール、および2.86重量%のMSA(滴定法による)が含まれている。蒸留フラスコからの残存有機相は57.47gであり、0.39重量%のMSA(滴定法による)を含んでいる。滴定ベースのMSA回収率は131重量%であり、アクリル酸、ブタノール、およびアクリル酸ブチルの回収率はそれぞれ、18、14、および3重量%であった(表1B、参照)。
実施例4:
アクリル酸ブチル反応器のブローダウン(161.32g、GC法により11.4重量%のアクリル酸、0.09重量%のブタノール、および6.5重量%のアクリル酸ブチル、2.53重量%のMSA(滴定法による)を含む)および147.78gのフィード水を、撹拌機、凝縮器、および留出物受器を取り付けた丸底フラスコの中に入れる。100〜102℃、大気圧下で4.5時間かけて、撹拌を継続しながら、その混合物を蒸留する。その蒸留の間、水性留出物は連続的に蒸留フラスコに戻す。次いでその蒸留フラスコの混合物を放冷し、45分間の沈降時間の後では、相が分離する。9.6重量%のアクリル酸、43.6重量%のブタノールおよび30.6重量%のアクリル酸ブチルを含む有機物(48.73g)が留出物として得られる。蒸留フラスコからの水相は199.33gであり、7.1重量%のアクリル酸、1.12重量%のブタノール、および2.92重量%のMSA(滴定法による)が含まれている。蒸留フラスコからの残存有機相は57.36gであり、0.43重量%のMSA(滴定法による)を含んでいる。滴定ベースのMSA回収率は143重量%であり、アクリル酸、ブタノール、およびアクリル酸ブチルの回収率はそれぞれ、12、15、および9重量%であった(表1B、参照)。
Figure 2011510000
Figure 2011510000
上記の明細書により本発明をかなり詳細に説明してきたが、この詳細な記述は説明のためのものであって、添付の特許請求の範囲に制限をもたらすものではないと受け取られたい。

Claims (16)

  1. (メタ)アクリレートのヘビーエンドからスルホン酸およびノーブル・プロダクツを回収するためのプロセスであって、前記ヘビーエンドが、スルホン酸、ノーブル・プロダクツ、およびスルホン酸と(メタ)アクリレートエステルとのマイケル付加物を含み、前記プロセスが、(i)前記ヘビーエンドを水と混合する工程、(ii)前記マイケル付加物を熱分解および/または加水分解してその構成成分のスルホン酸およびアクリレートエステル成分とするのに十分な加熱および蒸留条件に前記混合物をかける工程、および(iii)留出ストリームとして前記ノーブル・プロダクツを、そして水相として前記スルホン酸を回収する工程を含む、プロセス。
  2. 前記熱分解および蒸留条件に、前記混合物の撹拌が含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記熱分解および蒸留条件に、100〜150℃の範囲の温度が含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  4. 前記アクリレートのヘビーエンドが等量の水と混合される、請求項1に記載のプロセス。
  5. 前記ノーブル・プロダクツに、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、およびC1〜8アルカノールが含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  6. 前記ノーブル・プロダクトに、アクリル酸、ブチルアルコール、およびアクリル酸ブチルが含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  7. 前記アクリレートのヘビーエンドに共沸剤が含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  8. 前記スルホン酸が、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロスルホン酸、およびメタンスルホン酸のうちの少なくとも一つである、請求項1に記載のプロセス。
  9. 前記アクリレートのヘビーエンドに、アクリル酸ブチルのオリゴマーおよびポリマーが含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  10. 前記アクリレートのヘビーエンドに、メタンスルホン酸とアクリル酸ブチルとのマイケル付加物が含まれる、請求項1に記載のプロセス。
  11. 前記共沸剤が、ベンゼン、トルエン、およびシクロヘキサンのうちの少なくとも一つである、請求項7に記載のプロセス。
  12. (メタ)アクリレートエステルを製造するためのプロセスであって、前記プロセスが、
    A.(メタ)アクリル酸、アルコールおよびスルホン酸触媒を含む反応混合物を、エステル化条件にかけて、未反応の(メタ)アクリル酸およびアルコール、スルホン酸触媒、(メタ)アクリレートエステル、ならびにオリゴマー性およびポリマー性(メタ)アクリレートエステルを含む生成物の混合物を形成させる工程;
    B.前記生成物の混合物を蒸留して、(メタ)アクリレートエステルを回収し、スルホン酸触媒およびオリゴマー性およびポリマー性アクリレートエステルを含む蒸留残滓を残す工程;
    C.前記蒸留残滓を水と混合して、蒸留残滓と水との混合物を形成させる工程;
    D.(C)の前記蒸留残滓と水との混合物を、(1)オリゴマー性およびポリマー性(メタ)アクリレートエステルが加水分解および/または熱分解されて、(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリル酸、アルコールおよびスルホン酸が形成される、(2)(メタ)アクリル酸、アルコール、および(メタ)アクリレートエステルが、塔頂蒸留生成物として回収される、および(3)スルホン酸触媒が、塔底生成物としての前記蒸留残滓と水との混合物を水相分離させることにより回収される、が同時に実施されるような条件にかける工程;ならびに
    E.前記塔頂蒸留物および(D)の前記塔底生成物の少なくとも一部を、(A)の前記反応混合物にリサイクルさせる工程、
    を含むプロセス。
  13. 前記アルコールが、C1〜8アルカノールである、請求項12に記載のプロセス。
  14. 前記スルホン酸が、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロスルホン酸、およびメタンスルホン酸のうちの少なくとも一つである、請求項13に記載のプロセス。
  15. 工程(C)の前記蒸留残滓および水が、水対残滓の重量比で5:1および1:5で混合されている、請求項14に記載のプロセス。
  16. 前記オリゴマー性およびポリマー性(メタ)アクリレートエステルが、100〜150℃の範囲の温度で加水分解および/または熱分解される、請求項15に記載のプロセス。
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