JP3541542B2 - 二量化アルデヒドの製造方法 - Google Patents

二量化アルデヒドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒドを塩基性触媒の存在下にアルドール縮合反応(アルドール化反応)及び脱水反応させて二量化アルデヒドを製造する方法に関する。詳しくは、アルデヒドのアルドール縮合反応及び脱水反応において、アルデヒド三量体等の望ましくない高沸点化合物の生成を抑制し、二量化アルデヒドを高選択率で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルデヒドをアルカリ水溶液等の塩基性物質を触媒としてアルドール縮合反応及び脱水反応させることにより、二量化アルデヒドを製造する方法は知られており、例えば、n−ブチルアルデヒド(以下、NBDと表す)をアルドール縮合反応及び脱水反応させると、2−エチルヘキセナール(以下、EPAと表す)が得られる。しかしながら、従来のアルドール縮合及び脱水反応方法においては、目的生成物である二量化アルデヒド(二量体の1種)が更に反応して、例えば、三量体、四量体等の高沸点化合物が生成することが知られており、結果として二量化アルデヒドの収率が低下する傾向があった。こうした問題点に対し、従来、次のような種々の改良が提案されている。
【0003】
例えば、特公昭39−24787号には、NBDとアルカリ水溶液とを充填物又は目皿を入れた塔内で向流接触させ、かつこの塔に脈動を与えNBDを微粒化させてEPAを製造する方法が記載されている。
また、特公昭52−43810号には、NBDとアルカリ水溶液とを攪拌混合器及び管型反応器の2つの反応器を用い、120〜130℃の温度及び4〜5kg/cm2 Gの圧力条件下で反応させる方法が記載されている。
【0004】
更に、フランス特許第2058532号には、目皿塔を用いて苛性ソーダ希薄水溶液によりアセトアルデヒドをアルドール化反応させる方法が開示されており、反応を所望の選択率で行うために、塔底にアルカリ触媒を中和するための酢酸を加えてアルドール化反応を希望の段階で停止させることが記載されている。この方法では、アセトアルデヒドをアルカリ触媒によりアルドール化反応させるに際し、脱水反応まで同時に実施しようとすると、二量体であるクロトンアルデヒドのγ位の水素が移動することによりエノレートイオンが生成し、このエノレートイオンが更に縮合を繰り返し最後に重合物になる可能性があるため、酢酸のような一種の反応停止剤を反応系に導入しているものである。
【0005】
一方、このような縮合脱水反応を工業的に実施する際には、通常、反応液から油水分離等の方法によりEPA等の生成物を含有する油層を分離した後、アルカリ水溶液である水層を再度反応器に循環して再使用するが、脱水反応により生成する水のために水溶液中のアルカリ触媒の濃度が低下する。また、アルカリ水溶液の体積が増加するため、生成水見合いで循環アルカリ水溶液の一部をパージする必要があり、それに伴ってパージされる分の塩基性触媒は新たに反応器に補給しなければならなかった。
更に、上記パージ液には反応器内で部分的に起こるカニツァロ反応により生成する酪酸ナトリウム等の水質汚染物質が含まれているため、排水として放出する前に中和処理等の無害化処理が必要となり、過大な設備投資を余儀なくされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭39−24787号の方法では、生成したEPAの収率はせいぜい94%であり、また、特公昭52−43810号の方法においても、アルドール縮合生成物及び高沸点化合物の生成量が多く、また未反応のNBDも数%と多いことから、従来技術においてはEPA等の二量化アルデヒドは満足できる収率で得られてはいなかった。
【0007】
一方、こうした問題を解決するため、副生する高沸点化合物を原料アルデヒドと不飽和アルデヒドとに分解させて回収する方法(特公昭39−24952号、特公昭39−17907号)や、アルドール縮合生成物を水添反応工程に導入する前に蒸発器において高沸点化合物を分離し、この高沸点化合物をアルドール縮合反応工程へ還流させることによりアルドール縮合工程の収率を向上させる方法(特開昭51−41309号)も提案されている。しかしながら、こうしたプロセスを工業的に採用した場合には工程が複雑となり、高沸点物の分解装置や除去装置が更に必要となるため、建設費が増加することとなり経済的に不利である。
【0008】
更に、フランス特許第2058532号の方法では、酢酸を添加するのでアルカリ触媒を繰り返し使用することは現実的に不可能であり、商業的には不利益をもたらす結果となる。
一方、水質汚染問題に対する提案もいくつかなされている。
例えば、本発明者らによる特開昭53−28109号においては、反応液を油水分離し、得られた水層の少なくとも一部を蒸留して、脱水反応により生成する生成水見合いの水を留出除去して、水質汚染物質を含まない形態として排出している。この方法は、環境保全という点では進歩した方法であるが、反応器以外に蒸留設備が余分に必要であり、設備投資を必要とし工業的には満足し得るものではなかった。
【0009】
また、特表平7−505390号においては、アルカリ触媒水溶液を用いたアルドール化−脱水反応の生成物流をそのまま油水分離せずに、次工程である蒸留塔に導入し、塔頂部より水とアルデヒドとの不均一共沸物を留出させ、油水分離することにより中和処理を必要としない形態で排出する方法を提案している。
しかしながら、特平表7−505390号の方法においても、前述の特開昭53−28109号と同様に、追加的な蒸留塔を必要とし、追加的な設備費が必要となる。さらに、この方法において塔頂から留出させる共沸物中のアルデヒドはアルドール縮合反応の原料アルデヒドであり、水に対する溶解度が大きいので、油水分離して生成水を除去する際に水層中に溶解する原料アルデヒドを回収するための追加的な後工程が必要となり、工程の複雑さを招き、工業的には満足出来るものではなかった。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルデヒドをアルドール縮合反応及び脱水反応させて、不飽和二量化アルデヒドを製造する方法において、経済的な不利益を伴う複雑な処理工程を必要とせず、高沸点化合物の生成を極小にし、二量化アルデヒドを高収率で製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討を重ねた結果、α位の水素原子数が1〜2個であるアルデヒドを塩基性触媒によりアルドール縮合反応及び脱水反応させる方法において、アルドール縮合反応と脱水反応とを反応蒸留塔内で同時に行わせることにより、高沸点化合物の生成を抑制することができ、二量化アルデヒドを高収率で製造し得ることを見出して、本発明に到達した。
【0012】
即ち、本発明の第1の要旨は、原料アルデヒドを塩基性触媒の存在下にアルドール縮合反応及び脱水反応させて二量化アルデヒドを製造する方法において、原料アルデヒドがα位に1〜2個の水素原子を有するものであり、原料アルデヒドを含有する有機供給流を反応蒸留塔に供給し、アルドール縮合反応及び脱水反応を該反応蒸留塔内で同時に行わせることを特徴とする二量化アルデヒドの製造方法、に存する。
【0013】
また、本発明の第2の要旨は、塔の中間部に原料供給口を、また該原料供給口の上方及び下方の塔内にそれぞれ液相保持手段を備えた蒸留塔を用意し、原料供給口の下方にある液相保持手段上に塩基性触媒を存在させ、原料供給口からα位に2個の水素原子を有するアルデヒドを含有する原料アルデヒドを供給し、塔内で原料アルデヒドのアルドール縮合反応及び脱水反応を生起させて不飽和結合を有する二量化アルデヒドを生成させ、蒸留塔の原料供給口よりも上部から原料アルデヒド及び水を含有する軽沸分を留出させ、蒸留塔の原料供給口よりも下部から二量化アルデヒドを含有する生成混合物を抜き出し、該生成混合物から二量化アルデヒドを回収することを特徴とする二量化アルデヒドの製造方法、に存する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる原料アルデヒドは、α位に水素原子1〜2個有するアルデヒドであり、中でもα位に水素原子を2個有する飽和アルデヒドが好ましく、単品でも混合物でも用いることができる。具体的には、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド等が挙げられ、好ましくはn−ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、中でもn−ブチルアルデヒドを用いるのが好ましい。
【0015】
本発明は、アルドール縮合反応及び脱水反応を反応蒸留塔内で同時に行わせる方法である。したがって、反応蒸留塔に供給する、原料アルデヒドを含む有機供給流が、α位に2個の水素原子を有するアルデヒドを、50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上含有するものであることが、工業的な実施において、本発明の効果を十分達成し得るという点で好ましい。ここで、α位に2個の水素原子を有するアルデヒドの含有量を算出する際に、反応蒸留塔に供給する上記有機供給流が塩基性触媒又はその水溶液を含有している場合には、該触媒又はその水溶液を除いた有機成分の重量を基準として算出を行なうものとする。
【0016】
更に本発明において、脱水反応により生成する生成水を、アルドール縮合反応及び脱水反応を同時に行う反応蒸留塔より蒸気状態で抜き出すことにより、排水の中に塩基性触媒及び反応で微量生成するカルボン酸ナトリウム等の水質汚染物質を実質的に含まない状態で排出することが可能となる。
また脱水反応により生成する生成水を排出する別の方法としては、アルドール縮合反応及び脱水反応を同時に行う反応蒸留塔から、塩基性触媒液流又は塩基性触媒液と反応生成物との混合液流を抜き出し、この液状物流の一部をフラッシュさせて生成水を抜き出すことにより、上記の方法と同様に排水の中に塩基性触媒及び反応で微量生成する酪酸ナトリウム等の水質汚染物質を実質的に含まない状態で生成水を排出することが可能となる。
【0017】
また、上記の反応蒸留塔から抜き出した液状物流がエマルジョンを形成する場合は、エマルジョン系のままで一部をフラッシュさせるか、又はフラッシュさせる前に油水分離して、分離した塩基性触媒液を含む水層のみを一部フラッシュさせることも可能である。
また、上記塩基性触媒液流又は塩基性触媒液と反応生成物との混合液流を抜き出す反応蒸留塔内の位置としては、原料アルデヒドの損失を最小限にするために、二量化アルデヒドと原料アルデヒドとの重量比(以下、LDA/LUA値と表す)が0.5以上の液組成となる位置が好ましく、更に好ましくはLDA/LUA値が0.8以上であり、最も好ましいのはLDA/LUA値が0.9以上である。
【0018】
本発明で用いられる塩基性触媒としては、アルドール縮合反応及び脱水反応を促進し得るものであれば特に制限はなく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシドなどのアルカリ金属を含有する塩基性化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの各種アミン化合物、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの水酸化第四アンモニウム化合物等の水溶性の塩基性化合物を使用することもできる。これらの塩基性触媒は通常適当な溶媒を用いた溶液として使用するのが好適である。この場合、塩基性触媒溶液を構成する溶媒としては、触媒を溶解する能力を有するものであれば特に限定はないが、例えば水、アルコールあるいはこれらの混合物を用いることが出来る。
【0019】
この方法を工業的に実施する場合には、反応後の生成混合物と触媒との分離ならびに触媒の循環再利用が容易に行い得るなどの点から、水に不溶性もしくは難溶性の塩基性固体触媒を使用することもできる。水に不溶性もしくは難溶性の塩基性固体触媒としては、たとえば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属含有塩基性化合物、これらのアルカリ土類金属含有塩基性化合物を種々の担体に公知の方法で担持させた触媒、塩基性イオン交換樹脂などを例示することができる。
【0020】
これらの塩基性触媒のうちでは、原料と反応生成物との分離性の観点から水溶性の無機塩基性化合物が好ましく、中でもアルカリ金属の水酸化物、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を水溶液の形で使用するのが好ましい。
塩基性触媒の濃度は、通常0.5〜10重量%であるのが好ましい。
【0021】
原料アルデヒド及び塩基性触媒の供給態様は特に限定されないが、通常、その一方又は双方を連続的に供給するのが好ましく、特に原料アルデヒドは連続的に供給するのが好ましい。
本発明の好適な実施態様としては、塔の中間部に原料供給口を、また該原料供給口の上方及び下方の塔内にそれぞれ液相保持手段を備えた蒸留塔を用意し、原料供給口の下方にある液相保持手段上に塩基性触媒を存在させ、原料供給口からα位に2個の水素原子を有するアルデヒドを含有する原料アルデヒドを供給し、塔内で原料アルデヒドのアルドール縮合反応及び脱水反応を生起させて不飽和結合を有する二量化アルデヒドを生成させ、蒸留塔の原料供給口よりも上部から原料アルデヒド及び水を含有する軽沸分を留出させ、蒸留塔の原料供給口よりも下部から二量化アルデヒドを含有する生成混合物を抜き出し、該生成混合物から二量化アルデヒドを回収する方法を採用することができる。
【0022】
この場合、二量化アルデヒドを含有する生成混合物は、蒸留塔の原料供給口と塔底との中間位置から抜き出すのが好ましく、液相保持手段としては、少なくとも一部が棚段又は充填物であるのが好ましい。高沸点化合物の生成を抑制するという観点からは、原料供給口の下方にある液相保持手段、即ち反応帯域の理論段数が、2〜50段のものを用いることが好ましい。
【0023】
また、蒸留塔としてリボイラーを備えた蒸留塔を使用する場合には、リボイラーに供給する液流が、塩基性触媒液に対して多量の反応生成物を含んでいると、反応生成物の分解及び高沸化が起こり、実質的に収率が低下することとなる。
したがって、リボイラーに供給する液流としては、二量化アルデヒドを主成分とする有機相と塩基性触媒を含む水相との重量比が0.1以下であるのが好ましい。
【0024】
以下に、本発明の実施態様の例を図面を参照しつつ説明する。
図1において、反応蒸留塔3の導管1及び2よりそれぞれ原料アルデヒドと塩基性触媒水溶液とを供給する。反応蒸留塔内において、原料アルデヒドと塩基性触媒とが接触してアルドール縮合反応及び脱水反応を生起し、かつリボイラー8により加熱されて塔内を上昇する蒸気と下降する液とが実質的に気液平衡を維持するように反応蒸留を行わせる。
【0025】
塔頂より留出する蒸気はコンデンサー6により冷却凝縮させ、未反応の原料アルデヒドの一部は反応蒸留塔3の上部に還流させる。また、導管13より生成した二量化アルデヒドを水と共に蒸気状態で抜き出し、油水分離により二量化アルデヒドを分離取得する。一方、塔底からは塩基性触媒水溶液と高沸点化合物を抜き出し、油水分離の後、塩基性触媒水溶液を反応蒸留塔に再循環させる。
【0026】
図2は、反応生成水の抜き出しを行う実施態様の一例を示すものである。
図2において、反応蒸留塔3の導管1及び2よりそれぞれ原料アルデヒドと塩基性触媒水溶液とを供給する。反応蒸留塔3内において、原料アルデヒドと塩基性触媒とが接触してアルドール縮合反応及び脱水反応を生起し、かつリボイラー8により加熱されて塔内を上昇する蒸気と下降する液とが実質的に気液平衡を維持するように反応蒸留を行わせる。
【0027】
塔頂より留出する蒸気はコンデンサー6により冷却凝縮させ、未反応の原料アルデヒドの全量又は大部分を導管4より反応蒸留塔3の上部に還流させる。また、微量生成する軽沸成分は必要により導管5より抜き出す。また、導管13より反応で生成した二量化アルデヒドを液状で抜き出し、次いでコンデンサー14により冷却し、導管15を経て油水分離ドラム16に導入する。油水分離後、導管17より二量化アルデヒドを分離取得する。油水分離ドラム16にて油水分離された塩基性触媒を含む水層は、導管18,20及び21を経て反応蒸留塔3に再循環される。
【0028】
一方、反応蒸留塔3の塔底から塩基性触媒水溶液と高沸点化合物とを導管9により抜き出し、これを油水分離ドラム10にて油水分離した後、塩基性触媒を含む水層を導管21を経て反応蒸留塔3に再循環させる。油水分離ドラム10にて油水分離された高沸点化合物を含む有機層は導管11を経て排出され、例えば燃料として有効利用される。
【0029】
更に、脱水反応により生成する生成水は、二量化アルデヒド及び少量含まれる原料アルデヒドと共沸物を構成する。これを蒸気状態で導管22より抜き出し、コンデンサー23にて冷却し、導管24により油水分離ドラム25に導入する。油水分離により生成水と原料アルデヒド及び二量化アルデヒドを含む有機層とに分離し、分離された生成水は導管27を経て水路に放出する。また、二量化アルデヒド及び少量含まれる原料アルデヒドは導管26にて回収する。
【0030】
本発明で用いられる反応蒸留塔としては、塔内で実質的に気液平衡が保たれるものであれば特に制限はない。高沸点化合物の生成を抑制するという観点からは、反応帯域、即ちアルデヒドと触媒溶液との接触帯域の理論段数が、2〜50段のものを用いることが好ましい。本発明における反応帯域とは、例えば図1の装置を用いた場合のB部及びC部を指す。上記反応帯域の理論段数が2段未満の場合は、高沸点化合物の生成量が増加し、二量化アルデヒドの収率の低下をもたらす。また、上記理論段数が50段よりも大きい場合は、不必要な設備費の増加につながるだけである。
【0031】
反応蒸留塔は、棚段蒸留塔及び充填蒸留塔のいずれを用いてもよい。棚段蒸留塔の棚段構造には特に制限はなく、棚段上で原料アルデヒドと塩基性触媒液とが緊密に接触できるものであればよく、例えば、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ等の十字流接触型トレイ、又は向流接触型トレイ等が使用できる。また、充填蒸留塔においても同様に制限はなく、規則充填物・不規則充填物のいずれを利用することも可能である。
【0032】
また、反応蒸留塔への原料アルデヒド及び塩基性触媒液の導入方法は、向流、並流のどちらでも任意に選択できる。
反応蒸留塔の操作圧力は、通常、大気圧〜10kg/cm2 の範囲内から任意に選択することができる。また、減圧下において操作しても特に問題はないが、原料アルデヒドの沸点が低い場合には反応蒸留塔の塔頂に特別な冷却設備を必要とすることもある。
【0033】
反応蒸留塔内の温度は塔内の圧力により任意に設定でき、例えばアルデヒドがNBDの場合には、大気圧においては70〜110℃の範囲内で実施される。
本発明の方法によれば、蒸留操作のために必要な熱エネルギーの一部として、アルドール縮合及び脱水反応の反応熱を利用することが可能となり経済的にも有利となる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施の態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
図1に示す装置を用いて、プロピレンのヒドロホルミル化反応により得られたNBDのアルドール縮合−脱水反応を行った。
【0035】
反応蒸留塔3は、理論段数としてA部(NBD回収領域)2段、B部(反応領域)20段、C部(反応領域)2段を有する棚段を備えた内径35mmの塔であり、塩基性触媒としては水酸化ナトリウムの2%水溶液を使用した。原料NBD及び塩基性触媒は、導管1及び導管2より、各々毎時50mlの流量で供給し、大気圧下で反応を行った。導管1より供給した有機供給流のうちNBDの含有量は99重量%以上であった。反応蒸留塔3の最下部に設置したリボイラー8により加熱を行い、塔上部に蒸気を発生させて塔内を実質的に気液平衡の定常状態に維持した。定常状態における塔内の温度は、塔頂68℃、塔底103℃であった。生成したEPAは水と共に導管13より蒸気状態で抜き出し、コンデンサー14にて冷却した後、油水分離ドラム16に供給した。生成物であるEPAを含む油層を導管17により抜き出し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。一方、油水分離ドラム16にて分離された水を導管18により抜き出し、反応で生成する量の水を導管19によりパージし、残りは導管20及び21を経て反応蒸留塔3内に循環させた。
【0036】
また、塩基性触媒液及び極微量生成する高沸点化合物は、反応蒸留塔3の塔底の導管9により油水分離ドラム10に送り、導管11より高沸点化合物を排出しガスクロマトグラフィーにより分析を行った。一方、導管21より塩基性触媒液を抜き出し、導管20からの水と混合し導管21を経て反応蒸留塔3内へ再循環させ使用した。この再循環が開始した段階で導管2からの塩基性触媒液の供給を停止した。
【0037】
また、塔頂より留出した蒸気はコンデンサーにより冷却凝縮され液化された後、還流ドラム7へ送られた。この液化された液は約95%以上のNBDを含んでいた。更に、導管4により塔頂に一定量の還流を行い、また、導管5からの抜き出し液量は還流ドラム7の液面を一定に保つように設定した。この一連の操作により得られた結果を表−1に示す。
【0038】
実施例2
反応蒸留塔3のB部の理論段数を8段としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
実施例3
反応蒸留塔3のB部の理論段数を4段としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0039】
実施例4
反応蒸留塔3のB部の理論段数を2段としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
実施例5
反応蒸留塔3のB部の理論段数を1段としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0040】
実施例6
図1に示す装置において、NBDの供給部をB部の最下部とし、この供給部とCとの間に理論段数で3段の棚段を備えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
比較例1
アルドール縮合−脱水反応を2段直列の完全混合槽型反応器で行い、塩基性触媒として2%NaOH水溶液を使用し、NBDと塩基性触媒液を各々毎時50mlの流量で供給し、大気圧下で、反応温度90℃、滞留時間は各反応槽15分として反応を行った。結果を表−1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003541542
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法に従ってアルデヒドをアルドール縮合及び脱水反応させることによって、二量化アルデヒドの選択率を上げるために反応停止剤等を添加しなくても、高沸点化合物の生成を極微量に抑制することができ、高選択的に二量化アルデヒドを製造することができる。また、本発明の方法では、触媒溶液を再循環して使用することができるため、連続法で実施する場合に特に有利であり、反応蒸留塔を用いることで、アルドール縮合反応と脱水反応とを同時に行うことができるため、工業化の際の設備コストを著しく削減することができる。
更に、本発明の方法によれば、蒸留操作のために必要な熱エネルギーの一部としてアルドール縮合及び脱水反応の反応熱を利用することができるので経済的に有利となる上に、原料アルデヒドの損失を工業的に満足出来る最小限にでき、経済的に不利益を伴う複雑な工程を必要とせずに、脱水反応で生成する生成水を分離することができる。また、工程より排出される水質汚染物質の量を最小限にすることができるため、追加的な排水処理設備を必要とせず、工業化の際の設備コストを著しく削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において使用する反応装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の方法において使用する反応装置の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
3:反応蒸留塔
6,14,23:コンデンサー
7:還流ドラム
8:リボイラー
10,16,25:油水分離ドラム

Claims (14)

  1. α−位に1〜2個の水素原子を有する原料アルデヒドを塩基性触媒を含有する水溶液の存在下にアルドール縮合反応及び脱水反応させて二量化アルデヒドを製造するに際し、反応蒸留塔に原料アルデヒド及び塩基性触媒を供給して、蒸留しつつ塔内でアルドール縮合反応及び脱水反応を行わせることを特徴とする二量化アルデヒドの製造方法。
  2. α−位に1〜2個の水素原子を有する原料アルデヒドを塩基性触媒を含有する水溶液の存在下にアルドール縮合反応及び脱水反応させて二量化アルデヒドを製造するに際し、反応蒸留塔に原料アルデヒド及び塩基性触媒を供給して、蒸留しつつアルドール縮合反応及び脱水反応を行わせ、かつ原料アルデヒドの供給位置と塔底との中間であって二量化アルデヒドと原料アルデヒドとの液組成が重量比で0.5以上のところから二量化アルデヒドを塩基性触媒を含有する水溶液との混合液として抜出し、これを油水分離して油相から二量化アルデヒドを回収し、水相は触媒として塔に供給することを特徴とする方法。
  3. 二量化アルデヒドと原料アルデヒドとの液組成が重量比で0.8以上のところから二量化アルデヒドを塩基性触媒を含有する水溶液との混合物として抜出すことを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 油水分離して得た水相を、フラッシングして水の一部を除去したのち、触媒として塔に供給することを特徴とする請求項2又は3記載の方法。
  5. 原料アルデヒドがn−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  6. 原料アルデヒドがバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  7. 塩基性触媒が水溶性の無機塩基性化合物であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  8. 塩基性触媒がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩基性化合物であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  9. 塩基性触媒がアルカリ金属の水酸化物であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  10. 塩基性触媒を水溶液として反応蒸留塔に供給することを特徴とする請求
    項1ないし9のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  11. 反応蒸留塔が棚段落であり、かつ反応帯域の理論段数が2〜50段であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  12. 反応蒸留塔が充填塔であり、かつ反応帯域の理論段数が2〜50段であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  13. 反応蒸留塔が塔底にリボイラーを有しており、かつリボイラーで加熱される液組成が二量化アルデヒドを主成分とする有機相と塩基性触媒を含む水相との重量比が0.1以下となるように塔を操作することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
  14. 反応蒸留塔が原料供給位置の上方及び下方の双方に液相保持手段を有するものであることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の二量化アルデヒドの製造方法。
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