JPH08218945A - スプリング復帰式多連装型気化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スプリング復帰式多連装型気化器において駆
動側気化器と従動側気化器の開度差を可及的に小さくす
る。 【構成】 従動側気化器３の復帰スプリング１６のばね
力を駆動側気化器２の復帰スプリング１４より小さくし
た。従動側気化器３のスロットル軸６を開き側へ回すと
きの負荷が減少することから、駆動側気化器２のスロッ
トル軸６やスロットル軸連結機構４のアーム部材の弾性
変形量が減少する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、絞り弁軸および復帰ス
プリングが個々に設けられた気化器を絞り弁軸連結機構
を介して複数個連結してなるスプリング復帰式多連装型
気化器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば船外機に用いる気化器とし
ては、スロットル軸が個々に設けられたバタフライ弁式
気化器を気筒数に対応させて並べ、各気化器のスロット
ル軸をスロットル軸連結機構を介して連結した多連装型
のものがある。前記スロットル軸連結機構は、一方のス
ロットル軸に固着されたアームと他方のスロットル軸に
固着されたアームとを調整スクリューを介して連結した
構造になっており、調整スクリューによって両アームの
間隔を増減させて両気化器の全閉状態での開度を調整す
るように構成されていた。

【０００３】そして、これらの気化器の並設方向一端に
位置する気化器のスロットル軸にスロットルレバーが固
着されていた。すなわち、運転者からの操作力が前記ス
ロットルレバーを有する駆動側気化器に伝達されるとも
に、この駆動側気化器からこれに隣接する従動側気化器
にスロットル軸連結機構を介して伝達されることにな
り、駆動側気化器と従動側気化器とが同時に同方向へ開
閉するようになる。

【０００４】また、この多連装型気化器は、何らかの原
因でスロットル軸連結機構の駆動力伝達機能が失われた
ときに従動側気化器を閉じることができなくなるのを防
ぐために、気化器毎にスロットル弁を閉側へ付勢する復
帰スプリングが装着されていた。この復帰スプリングは
スロットル軸に軸装されたねじりコイルスプリングから
なり、ばね力の略等しいものが各気化器に装着されてい
た。なお、駆動側気化器の復帰スプリングはスロットル
レバーの近傍に配置され、従動側気化器の復帰スプリン
グはスロットル連結機構の近傍に配置されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、上述したよ
うに構成されたスプリング復帰式多連装型気化器では、
全閉時の開度が駆動側気化器と従動側気化器とで等しく
なるように設定したとしても、スロットル弁の開度は駆
動側気化器の方が大きくなってしまうという問題があっ
た。これは、スロットル弁を開けるときに駆動側気化器
のスロットル軸やスロットル連結機構のアームを従動側
気化器用復帰スプリングのばね力に抗して回さなければ
ならないからであった。

【０００６】すなわち、従動側気化器の復帰スプリング
は駆動側気化器の復帰スプリングより気化器１個分だけ
スロットルレバーから離間しているので、両スプリング
間に位置する駆動側気化器のスロットル軸およびスロッ
トル連結機構のアーム部材が開操作時に従動側気化器の
復帰スプリングのばね力により僅かにねじり方向に弾性
変形してしまう。その結果、スロットルレバーと従動側
気化器のスロットル軸の回転角度に差が生じ、従動側気
化器の開度が駆動側気化器より小さくなってしまう。特
に、全閉状態からスロットル弁が僅かに開いた低開度域
においてこのような現象が生じると、気筒毎の燃焼ばら
つきが大きくなり、エンジンの回転が不安定になる。

【０００７】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、スプリング復帰式多連装型気化器に
おいて駆動側気化器と従動側気化器の開度差が可及的に
小さくなるようにすることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係るスプリング
復帰式多連装型気化器は、従動側気化器の復帰スプリン
グのばね力を駆動側気化器の復帰スプリングより小さく
したものである。

【０００９】

【作用】従動側気化器の絞り弁軸を絞り弁開き側へ回す
ときの負荷が減少することから、駆動側気化器の絞り弁
軸や絞り弁軸連結機構のアーム部材の弾性変形量が減少
する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１ないし図３に
よって詳細に説明する。図１は本発明に係るスプリング
復帰式多連装型気化器の平面図で、同図は気化器を吸気
通路上流側から見た状態で描いてある。図２は同じく正
面図、図３は駆動側気化器のエンジン側取付部を示す図
である。

【００１１】これらの図において、１は本実施例による
スプリング復帰式多連装型気化器で、この気化器は水上
走行船用２サイクル２気筒エンジンに使用されるもので
ある。なお、この気化器１は、その内部の吸気通路が上
下方向に延びるようにエンジンに取付けられる。そし
て、この気化器１は、気筒毎に設けられた駆動側気化器
２と従動側気化器３とを並べた状態でスロットル軸連結
機構４を介して連結させることによって構成されてい
る。

【００１２】前記駆動側気化器２および従動側気化器３
は、それぞれバタフライ弁型のフロートレス構造のもの
であり、弁体５を駆動するスロットル軸６，７が個別に
設けられている。これらのスロットル軸６，７は吸気通
路と直交する方向に延在して各気化器の気化器ボディ２
ａ，３ａを貫通しており、気化器ボディ２ａ，３ａの一
側（図において左側）から突出した軸端部に後述する復
帰スプリングなどが軸装されている。

【００１３】両気化器２，３のスロットル軸６，７どう
しを連結するスロットル軸連結機構４は、駆動側気化器
用スロットル軸６における従動側気化器３側の軸端に固
着された駆動アーム８と、従動側気化器用スロットル軸
７における駆動側気化器２側の軸端に固着された従動ア
ーム９と、前記駆動アーム８に頭部側ねじ部が挿通され
るとともに先端側ねじ部が前記従動アーム９に螺着され
た調整スクリュー１０と、この調整スクリュー１０が貫
通した状態で両アーム８，９間に弾装された圧縮コイル
スプリング１１とから構成されている。

【００１４】すなわち、このスロットル軸連結機構４に
よれば、圧縮コイルばね１１により緩み止めされた調整
スクリュー１０によって両アーム８，９が連結されるの
で、従動側気化器２のスロットル軸６に従動側気化器３
のスロットル軸７が連動するようになる。また調整スク
リュー１０のねじ込み量を変えて両アーム８，９間の間
隔を増減させることにより、駆動側気化器２に対する従
動側気化器３の開度を微調整することができる。

【００１５】なお、前記従動アーム９は板金材を曲げ加
工することによって形成され、スロットル軸７に固着さ
れる基部から前記調整スクリュー１０が螺着される連結
部９ａと、後述する復帰スプリングが当接する爪部９ｂ
と、後述する閉位置調整スクリューと対向するストッパ
ー部９ｃとがそれぞれ起立されている。

【００１６】駆動側気化器２のスロットル軸６は、気化
器ボディ２ａにおける従動側気化器３とは反対側の一側
から突出する軸端部には、スロットルレバー１２が軸端
に固着されるとともに、このスロットルレバー１２に隣
接してストッパーレバー１３、復帰スプリング１４がこ
の順に軸装されている。前記スロットルレバー１２は図
示してないスロットルワイヤを介してアクセルレバーに
連結され、運転者の操作により回動されるように構成さ
れている。このスロットルレバー１２は、弁体５を開く
ときには図１中の上端部が図１の紙面に対して手前側へ
移動するように回される。なお、図１は全閉状態を示し
ている。

【００１７】前記ストッパーレバー１３は板金材を曲げ
加工することによって形成され、スロットル軸６に固着
される基部から復帰スプリング用爪部１３ａとストッパ
ー部１３ｂとが起立されている。前記爪部１３ａは復帰
スプリング１４の一端が当接する構造になっており、前
記ストッパー部１３ｂは後述する閉位置調整スクリュー
１５の先端と対向する構造になっている。

【００１８】前記復帰スプリング１４は、スロットル軸
６に軸装されたねじりコイルスプリングからなり、一端
が気化器ボディ２ａに係止されるとともに他端が前記ス
トッパーレバー１３の爪部１３ａに当接されてスロット
ル軸６を弁体５が閉じる方向へ回転付勢するように構成
されている。

【００１９】前記閉位置調整スクリュー１５は気化器ボ
ディ２ａに螺合され、ねじ込み量を変えて前記ストッパ
ーレバー１３のストッパー部１３ｂと対向する先端部の
突出量を増減させることによって、ストッパーレバー１
３（スロットル軸６）の閉側回転位置を規制するように
構成されている。

【００２０】一方、従動側気化器３のスロットル軸７
は、前記スロットル軸連結機構４側の軸端部にこのスロ
ットル軸７を閉側へ回転付勢するための復帰スプリング
１６が軸装されている。この復帰スプリング１６もねじ
りコイルスプリングからなり、一端が気化器ボディ３ａ
に係止されるとともに他端が前記従動アーム９の爪部９
ｂに当接されている。なお、この従動アーム９のストッ
パー部９ｃは、気化器ボディ３ａに螺合された閉位置調
整スクリュー１７の先端と対向する構造になっている。
すなわち、この閉位置調整スクリュー１７のねじ込み量
を変えることによって、スロットル軸７の閉側回転位置
を規制することができる。

【００２１】そして、従動側気化器３の復帰スプリング
１６は、駆動側気化器２の復帰スプリング１４よりばね
力の小さいものが使用されている。

【００２２】図２および図３中に符号２１，２２で示す
ものは両気化器２，３を図示してないエンジンに取付け
るためのフランジである。このフランジ２１，２２は、
気化器ボディ２ａ，３ａのエンジン側連結部２ｂ，２ｃ
に、エンジン側から螺着される六角穴付ボルト２３によ
って固定されている。この六角穴付ボルト２３は、図３
に示すように吸気通路の下流側から見て丁度スロットル
軸６，７と重なる位置に位置づけられている。

【００２３】そして、これらのフランジ２１，２２は前
記エンジン側連結部２ｂ，２ｃより側方へ延在されてお
り、この延在部にこのフランジ２１，２２をエンジンに
固定する固定ボルト（図示せず）が挿通される透孔２４
が穿設されている。この透孔２４の穿設位置は、フラン
ジ２１，２２における前記６角穴付ボルト２３に対して
スロットル軸６，７の軸方向と直交する方向に離間する
ように位置づけられている。なお、従動側気化器３に取
付けられるフランジ２２は、図３に示した駆動側気化器
用フランジ２４とは左右対称となるように形成されてい
る。

【００２４】このフランジ２１，２２を用いて両気化器
２，３をエンジンに取付けると、固定ボルトを締め付け
るに当たって工具がスロットル軸６，７に干渉されるこ
とがないのできわめて容易に気化器の着脱を行うことが
できる。なお、このフランジ２１，２２を使用しない
と、エンジン側連結部２ｂ，２ｃにおける六角穴付ボル
ト２３の位置に固定ボルトを挿通させなければならない
ので、これを締め付けるときに工具がスロットル軸６，
７に干渉されてしまう。しかも、必要に応じて特殊工具
などを用いなければならない。

【００２５】次に、上述したように構成されたスプリン
グ復帰式多連装型気化器１の動作を説明する。この気化
器１を図１に示した全閉状態からスロットル開度を大き
くするに当たっては、気化器２，３の並設方向一端に設
けられたスロットルレバー１２を復帰スプリング１４，
１６のばね力に抗してアクセルレバー（図示せず）によ
って回して行う。すなわち、駆動力がスロットルレバー
１２から駆動側気化器２のスロットル軸６に伝達される
とともに、このスロットル軸６からスロットル軸連結機
構４を介して従動側気化器３のスロットル軸７に伝達さ
れて両気化器２，３が連動する。

【００２６】このとき、従動側気化器３の復帰スプリン
グ１６のばね力が駆動側気化器２の復帰スプリング１４
より小さく従動側気化器用スロットル軸７を回すための
負荷が小さくなっていることから、駆動側気化器用スロ
ットル軸６とスロットル軸連結機構４の駆動、従動アー
ム８，９の弾性変形量が少なくて済むので、両スロット
ル軸６，７の角度差はきわめて小さくなる。すなわち、
駆動側気化器２と従動側気化器３との開度差が可及的に
小さくなる。

【００２７】そして、アクセルレバーを例えば全開位置
から全閉位置まで戻すと、スロットルレバー１２には駆
動力が加わらなくなる関係から、スロットル軸６，７は
閉位置調整スクリュー１５，１７にストッパーレバー１
３、従動アーム９がそれぞれ当接するまで復帰スプリン
グ１４，１６によって戻される。

【００２８】したがって、本実施例で示したスプリング
復帰式多連装型気化器１では、従動側気化器用復帰スプ
リング１６のばね力を駆動側気化器２の復帰スプリング
１４より小さくしたため、駆動側気化器用スロットル軸
６やスロットル軸連結機構４のアーム部分の弾性変形量
が少なくなって２個の気化器２，３の開度差を可及的に
小さくすることができる。

【００２９】なお、本実施例では２個の気化器を連結し
た例を示したが、気化器の数量はこれ以上であってもよ
い。このように構成する場合には、スロットルレバーが
設けられた駆動側気化器の復帰スプリングより従動側の
全ての気化器の復帰スプリングのばね力を小さくする。
また、気化器が３個以上の場合、従動側気化器の復帰ス
プリングのばね力は、駆動側気化器から離れるほど小さ
くなるよう、そのばね力に差をもたせてもよい。

【００３０】また、本実施例では復帰スプリングとして
ねじりコイルスプリングを採用したが、この復帰スプリ
ングとしては引張りコイルスプリングを用いることもで
きる。このように構成する場合には、ストッパーレバー
１３、従動アーム９と気化器ボディ２ａ，３ａとの間に
引張りコイルスプリングを張架させる。さらに、本実施
例ではスロットル弁を復帰させる復帰スプリングに本発
明を適用した例を示したが、対象となる復帰スプリング
はチョーク弁用のものであっても同様の効果が得られ
る。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るスプリ
ング復帰式多連装型気化器は、従動側気化器の復帰スプ
リングのばね力を駆動側気化器の復帰スプリングより小
さくしたため、従動側気化器の絞り弁軸を絞り弁開き側
へ回すときの負荷が減少することから、駆動側気化器の
絞り弁軸や絞り弁軸連結機構の弾性変形量が減少する。

【００３２】このため、駆動側気化器の絞り弁軸と従動
側気化器の絞り弁軸との角度差が小さくなって両気化器
の開度差を可及的に小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るスプリング復帰式多連装型気化
器の平面図である。

【図２】 本発明に係るスプリング復帰式多連装型気化
器の正面図である。

【図３】 駆動側気化器のエンジン側取付部を示す図で
ある。

【符号の説明】

１…スプリング復帰式多連装型気化器、２…駆動側気化
器、３…従動側気化器、４…スロットル軸連結機構、５
…弁体、６，７…スロットル軸、８…駆動アーム、９…
従動アーム、１２…スロットルレバー、１４，１６…復
帰スプリング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絞り弁軸が個別に設けられた気化器が絞
   り弁軸連結機構を介して複数個連結され、絞り弁軸に駆
   動用レバーが固着された駆動側気化器から従動側気化器
   へ駆動力が伝達されるとともに、気化器毎に絞り弁軸を
   蝶形絞り弁閉側へ付勢する復帰スプリングが装着された
   スプリング復帰式多連装型気化器において、従動側気化
   器の復帰スプリングのばね力を駆動側気化器の復帰スプ
   リングより小さくしたことを特徴とするスプリング復帰
   式多連装型気化器。