JPH08183059A - 表皮付樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

表皮付樹脂成形品及びその製造方法

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JPH08183059A
JPH08183059A JP32808394A JP32808394A JPH08183059A JP H08183059 A JPH08183059 A JP H08183059A JP 32808394 A JP32808394 A JP 32808394A JP 32808394 A JP32808394 A JP 32808394A JP H08183059 A JPH08183059 A JP H08183059A
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Ryoichi Katayama
良一 片山
Takeshi Yajima
武 矢島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来と同様の発泡体層をもつ表皮を使用しつ
つ、ゲートに対向する部分の表皮の発泡セルの変形など
の不具合を確実に防止する。 【構成】表皮層20と発泡体層21とからなる表皮2を
分割型内に配置し、発泡体層21と型面との間に溶融樹
脂6をゲート40から低圧で射出するとともに圧縮成形
して樹脂基材1を形成する表皮付樹脂成形品の製造方法
であって、少なくともゲート部分にはシート部材3が載
置され、樹脂流による押圧でシート部材3を発泡体層2
1に圧接させながら成形することを特徴とする。ゲート
から射出された溶融樹脂の圧力はシート部材3全体に分
散して発泡体層21に伝わるので、局部的に大きな圧力
が作用するのが回避される。またシート部材3により溶
融樹脂の熱が遮蔽される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表皮の裏面側に一体的
に形成された樹脂基材をもつ表皮付樹脂成形品とその製
造方法に関し、さらに詳しくは、表皮層と発泡体層とか
らなる表皮をもつ表皮付樹脂成形品とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えばアームレストやインストルメント
パネルなどの自動車内装品は、表面意匠と質感を与える
表皮と、その表皮を所定形状に賦形した状態を保持する
樹脂基材とから構成されている。そして表皮としては、
塩化ビニル樹脂やファブリックなどの表皮層と、表皮層
の裏面側に積層された発泡体層とから構成されたものが
用いられ、発泡体層により弾力のあるクッション感が付
与されているのが通常である。
【0003】このような表皮付樹脂成形品の製造方法と
しては、従来は射出成形や圧縮成形などにより形成され
た樹脂基材表面に表皮を被せることで製造されていた
が、接着などの工数が多大であるため、近年では、表皮
を金型内に配置して樹脂基材を成形する一体成形法が主
流となっている。ところが表皮を金型内に配置して樹脂
基材を射出成形する方法では、高圧の溶融樹脂が表皮に
接触して表皮を金型表面に強く押圧するため、表皮の表
面が熱で変色したり、模様が変形したり、起毛をもつフ
ァブリックなどの表皮においては毛倒れや毛流れによっ
て外観品質が損なわれる。さらに場合によっては表皮に
溶融樹脂が含浸・滲透して商品価値をなくしてしまうこ
ともある。
【0004】そこで一般に低圧射出圧縮成形法が用いら
れるようになっている。この低圧射出圧縮成形法は、分
割型を僅かに開いた状態でキャビティ内に所定量の溶融
樹脂を低圧で射出し、それとともに分割型を型締めして
圧縮することで射出された溶融樹脂をキャビティ内に充
填させ圧縮成形する方法である。この成形法によれば、
表皮を型内に配置して成形した場合にも、表皮に作用す
る圧力は低圧であるので、毛倒れや毛流れなどの不具合
のない外観品質に優れた表皮付樹脂成形品を製造するこ
とができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが低圧射出成形
法であっても、ゲートから射出された瞬間の溶融樹脂の
圧力は比較的高く、ゲートに対向する部分の表皮には比
較的高圧が作用することとなる。また溶融樹脂は、ゲー
トから射出された直後が最も高温である。そのため、そ
の部分の発泡体層には高温と高圧が作用し、発泡体層の
発泡セルが変形して部分的に触感が損なわれる場合があ
った。
【0006】この不具合を回避するためには、発泡体層
を厚肉とするのが手っ取り早いが、細かな曲面形状の実
現が困難となったり、端末の折り返し処理が困難で皺が
発生したりする不具合がある。また射出圧力で変形しな
いように、発泡体層をより剛性のあるフォームに変更す
ることも考えられるが、触感が硬くなるという問題があ
る。
【0007】さらに、表皮を型内に保持するために、表
皮は周縁部が分割型どうしの間に挟持された状態で保持
されているので、成形時には表皮の周縁部の分割型に対
する相対移動は困難である。また表皮は、樹脂基材の成
形時に皺の発生を防止するために、成形時に引張応力が
作用する程度に型内に保持されるのが一般的である。ま
た低圧射出圧縮成形時には、溶融樹脂からの圧力により
表皮にはさらに引張応力が作用する。そのため、樹脂基
材を成形した後の表皮には引張応力が残留し、その結果
発泡体層の面方向には引張応力が残留し、厚さ方向には
圧縮応力が残留した状態となっている。したがって得ら
れた成形品では、発泡体層は厚さ方向に圧縮されて薄く
なった状態で表皮層と樹脂基材の間に挟まれて保持され
ているため、本来の形状に復元することが困難となり、
発泡体層が圧縮された分だけ触感が損なわれるという不
具合が生じている。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、従来と同様の発泡体層をもつ表皮を使用し
つつ、部分的に軟質度を増大させて触感を向上させるこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する第1
発明の表皮付樹脂成形品は、樹脂基材と、発泡体層と表
皮層とが一体的に積層された表皮とからなり、表皮を型
内に配置して低圧射出圧縮成形により表皮の発泡体層側
に樹脂基材が一体的に形成された表皮付樹脂成形品にお
いて、樹脂基材と発泡体層の間には部分的にシート部材
が介在し、表皮のシート部材に対向する部分は他の部分
より軟質であることを特徴とする。
【0010】また第2発明の表皮付樹脂成形品の製造方
法は、表皮層と表皮層の裏面側に積層された発泡体層と
からなる表皮を分割型内に配置し、表皮の発泡体層と型
面との間に溶融樹脂をゲートから低圧で射出するととも
に圧縮成形して発泡体層表面に樹脂基材を形成する表皮
付樹脂成形品の製造方法であって、表皮の軟質とすべき
部分の発泡体層に対向する型面には部分的にシート部材
が載置され、かつ少なくともシート部材が載置された部
分の型面にはゲートをもち、ゲートからの樹脂流による
押圧でシート部材を発泡体層に圧接させながら成形する
ことを特徴とする。
【0011】さらに第3発明の製造方法は、上記第2発
明においてシート部材が載置されるゲートをもつ型面に
は、シート部材を収納保持する凹部をもつことを特徴と
する。また第4発明の表皮付樹脂成形品は、樹脂基材
と、発泡体層と表皮層とが一体的に積層された表皮とか
らなり、表皮を型内に配置して低圧射出圧縮成形により
表皮の発泡体層側に樹脂基材が一体的に形成された表皮
付樹脂成形品において、樹脂基材の発泡体層に対向する
表面には部分的に凹部をもち、表皮の凹部に対向する部
分は他の部分より軟質であることを特徴とする。
【0012】そして第4発明の表皮付樹脂成形品を製造
する第5発明の製造方法は、表皮層と表皮層の裏面側に
積層された発泡体層とからなる表皮を第1型と第2型よ
りなる分割型内に配置し、表皮の発泡体層と第2型の型
面との間に第2型に設けられたゲートから溶融樹脂を低
圧で射出するとともに圧縮成形して発泡体層表面に樹脂
基材を形成する表皮付樹脂成形品の製造方法であって、
第1型は第2型の型面に向かって突出する凸部をもち、
凸部で表皮を第2型へ近接するように押圧した状態で樹
脂基材が成形され、樹脂基材には凸部により凹部が形成
されるとともに型開き時に凸部で押圧された部分の発泡
体層の形状回復量が大きくされたことを特徴とする。
【0013】
【作用】第2発明の表皮付樹脂成形品の製造方法では、
ゲートから射出された溶融樹脂は先ずシート部材に衝突
し、シート部材はその力により型面から持ち上げられて
ゲートに対向する発泡体層に圧接される。したがってゲ
ートから射出された溶融樹脂の圧力は、シート部材の表
面全体に分散して発泡体層に伝わるので、発泡体層に局
部的に大きな圧力が作用するのが回避される。またシー
ト部材により溶融樹脂の熱が遮蔽されるので、ゲートに
対向する発泡体層に高温が直接伝わるのが防止される。
【0014】すなわち発泡体層のゲートに対向する部分
には、従来に比べて低圧と低温が作用することとなるの
で、その部分の発泡体層の発泡セルの変形を防止するこ
とができ、その部分は他の部分より特に軟質となる。し
たがって得られた第1発明の表皮付樹脂成形品では、シ
ート部材の存在する部分では発泡体層が薄肉であっても
クッション性に優れ、部分的に異硬度となっているの
で、極めて触感に優れている。またシート部材は表皮の
発泡体層と樹脂基材との間に存在しているので、表面か
ら直接に触れることはできずその存在がわからないので
触感を損なうことがない。
【0015】さらにシート部材が載置されるゲートが開
口する型面に、シート部材を収納保持する凹部をもつよ
うに構成すれば、シート部材の配置時に凹部により位置
決めを確実に行うことができる。また、もし凹部が無い
場合には、キャビティの容積はシート部材の体積の分だ
け小さくなるから、圧縮成形時には発泡体層がシート部
材の体積分だけさらに圧縮された状態となる。また型開
き後に発泡体層が形状復元しようとしても、表皮層はほ
とんど変形が困難であるので発泡体層は圧縮された状態
が維持され、その分触感が低下する。しかし、凹部を形
成することにより、キャビティの容積を従来と同じにす
ることができ、そのような不具合を回避することができ
る。
【0016】なお、シート部材の大きさは少なくともゲ
ートの開口より大きくする必要があるが、その材質及び
厚さは、溶融樹脂の温度や射出圧力などに応じて種々選
択することができる。第5発明の製造方法では、表皮は
第1型の凸部で押圧されて膨出した状態で型内に配置さ
れるので、凸部をもたない従来の配置に比べて型内に配
置される部分の面積が増大する。したがって従来に比べ
て残留する引張応力が小さくなり、発泡体層の圧縮度合
いも小さくなる。またその状態で成形された樹脂基材に
は、凸部で押圧されて膨出した表皮により凹部が形成さ
れる。
【0017】そして型開き時には、凸部からの押圧が解
除されるので、表皮は自身に内在する引張応力により表
面が平坦になる。これにより樹脂基材の凹部表面と表皮
層との間には大きな容積が確保され、かつ従来に比べて
面方向の引張応力が小さいので、他の部分に比べて発泡
体層を充分に形状回復させることができる。したがって
第5発明で製造される第4発明の表皮付樹脂成形品で
は、樹脂基材の凹部に対向する部分の表皮は他の部分に
比べて軟質度が高く触感に優れている。
【0018】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 (実施例1)図2に本実施例の自動車用アームレストの
斜視図を、図3に図2のA−A断面図を示す。このアー
ムレストは、樹脂基材1と、樹脂基材1表面に一体的に
被覆された表皮2と、樹脂基材と表皮2との間に挟持さ
れたシート部材3とから構成されている。
【0019】樹脂基材1は、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、ABSなどの熱可塑性樹脂を用いることができる
が、本実施例ではポリプロピレンから形成されている。
表皮2は、意匠表面となる表皮層20と、表皮層20の
裏面側にラミネート法により一体的に積層された発泡体
層21とから構成されている。表皮層20としては、織
布、不織布、塩化ビニル樹脂、TPOなどが利用できる
が、本実施例では厚さ0.4mmの塩化ビニル樹脂を用
いている。また発泡体層21としては、ウレタンフォー
ムやオレフィン系のフォームなどが利用できるが、本実
施例では不織布が裏打ちされた厚さ5mmのウレタンフ
ォームを用いている。
【0020】シート部材3は、厚さ0.7mmの板状を
なし、本実施例では塩化ビニル樹脂からアームレストの
肘が置かれる部分(図2の二点鎖線部)の形状に合わせ
て形成されているが、材質とその形状は種々設定するこ
とができる。このシート部材3は、一方の表面と側周面
は樹脂基材1と接合され、他方の表面は発泡体層21に
圧接されている。
【0021】本実施例のアームレストでは、シート部材
3の存在する部分の表皮2が特に軟質となっている。こ
れは、発泡体層21の発泡セルの変形が皆無となってい
ることに起因している。したがって肘を置いた時のフィ
ーリングに優れている。以下、このアームレストを製造
した本実施例の表皮付樹脂成形体の製造方法を説明す
る。
【0022】図1に本実施例で用いた金型を示す。この
金型はコア型4とキャビティ型5とから構成され、コア
型4にはゲート40が形成されている。このゲート40
は、アームレストのうち肘が置かれる部分(図2の二点
鎖線部)の中央に開口している。そしてゲート40の開
口する型面には、シート部材3の形状に対応しシート部
材3の厚さに対応する深さをもつ凹部41が形成されて
いる。またキャビティ型5の端部の内周縁部には突条部
50が形成されている。
【0023】先ず、コア型4の凹部41にシート部材3
を載置する。この凹部41の存在により、シート部材3
の位置決めが極めて容易となっている。一方、キャビテ
ィ型5内には表皮2が配置される。表皮2は、表皮層2
0と発泡体層21及び不織布層22がこの順で積層され
てなり、表皮層20がキャビティ型5の型面に対向する
ように配置される。
【0024】そしてコア型4とキャビティ型5を合わ
せ、図1に示すように完全な型締め状態から約20mm
程度浮かせた状態とする。この状態では、表皮2の周縁
部はキャビティ型5の突条部50とコア型4の側周面と
で強く挟持され、周縁部の移動は困難となっている。そ
の状態で、先ずゲート40から溶融樹脂6を30〜50
kg/cm2 の圧力で射出する。それとほぼ同時に、キ
ャビティ型5がコア型4にさらに近接するように駆動さ
れる。すると、溶融樹脂6の圧力でシート部材3が凹部
41から持ち上げられて不織布層22を介して発泡体層
21に圧接される。
【0025】そして溶融樹脂6は、射出の圧力と型締め
の圧力で押圧されて拡がり、30〜50kg/cm2
圧力で圧縮成形が行われて樹脂基材1が成形される。こ
のとき、シート部材3は不織布層22に圧接されている
ので、シート部材3の周縁部と発泡体層21との間には
隙間が発生せず、溶融樹脂6がシート部材3と不織布層
22の間に浸入するのが防止される。
【0026】ずなわち本実施例では、ゲート40から射
出された溶融樹脂6は、先ずシート部材3に衝突してか
ら放射状に拡がるので、ゲート40に対向する部分にあ
る発泡体層21に温度と圧力の高い溶融樹脂6が直接接
触するのが防止されている。したがって、最も変形しや
すいゲート40に対向する部分にある発泡体層21の発
泡セルの変形が防止されている。
【0027】なお、シート部材3が当接する部分以外の
発泡体層21の表面にも不織布層22が予め積層されて
いるので、その部分の発泡セルの変形を一層防止できる
とともに、発泡セルへの溶融樹脂の含浸固化をも防止す
ることができ、表皮2の触感が一層向上している。成形
された樹脂基材1が冷却固化後、キャビティ型5がコア
型4から離れる方向へ駆動され、型開き後表皮付樹脂成
形体が離型される。これにより、圧縮されていた発泡体
層21は自身の弾性力で膨張し、表皮2の表面は平坦と
なって目的とする意匠形状となる。その後表皮2の端部
が樹脂基材1の周縁部に巻き込まれて接着される。この
時、発泡体層21の厚さは従来と同じであるので、皺な
どの発生なく容易に巻き込むことができ、外観品質及び
触感に優れたアームレストが得られる。
【0028】なお、シート部材3の発泡体層21に対向
する表面に接着剤を塗布しておけば、圧縮成形時にシー
ト部材3と発泡体層21とを一体的に接着することがで
きる。また、本実施例では平板状のシート部材3を用い
たが、シート部材を載置する場所が曲面である場合など
には、予め所定形状に賦形されたシート部材を用いるこ
ともできる。
【0029】また必要に応じてゲートに対向する部分以
外の場所にシート部材を設ける場合には、シート部材と
発泡体層の間に溶融樹脂が浸入しやすいので、シート部
材は発泡体層側に接着などで予め一体化しておくことが
好ましい。 (実施例2)図4に本実施例で用いた金型を示す。この
金型はコア型4とキャビティ型5とから構成され、コア
型4にはゲート40が形成されている。このゲート40
は、アームレストのうち肘が置かれる部分(図2の二点
鎖線部)の中央に開口している。そしてゲート40の開
口する型面には、凹部42が形成されている。またキャ
ビティ型5の端部の内周縁部には突条部50が形成さ
れ、凹部42に対向する型面には凸部51が形成されて
いる。
【0030】本実施例ではこの金型を用い、図4に示す
ように表皮2を保持する。そしてコア型4とキャビティ
型5を合わせ、図4に示すように完全な型締め状態から
約20mm程度浮かせた状態とする。この状態では、表
皮2の周縁部はキャビティ型5の突条部50とコア型4
の側周面とで移動不能に挟持されている。また表皮2
は、凹部42に沿うように配置されている。
【0031】その状態で、先ずゲート40から溶融樹脂
6を30〜50kg/cm2 の圧力で射出する。それと
ほぼ同時に、キャビティ型5がコア型4にさらに近接す
るように駆動され、圧縮成形が行われる。成形時には、
溶融樹脂の圧力により表皮2には引張応力が発生する。
圧縮成形後の金型内の様子を図5に示す。凸部51によ
り表皮2はコア型4に向かって膨出した凹状となってい
るため、成形された樹脂基材1’には凹部10が形成さ
れ、表皮2の表面も凸部51に沿って凹状に窪んでい
る。
【0032】そして樹脂基材1’が固化後コア型4とキ
ャビティ型5が型開きされ、樹脂基材1’と表皮2とか
らなる成形品が離型される。これにより圧縮されていた
発泡体層21は自身の弾性力で元の形状に復元しようと
する。ここで、型開き後に凸部51からの押圧が解除さ
れると、表皮2は内在する引張応力により表面が平坦に
なる。これにより凹部10表面と表皮層20表面の間に
は大きな容積が確保され、発泡体層21は充分に形状回
復することができる。
【0033】したがって発泡体層21は大きく膨張し、
図6に示すように凹部10に対向する部分の発泡体層2
1が厚くなるとともに圧縮応力の残留もなく、その部分
の触感がきわめて向上している。なお、実施例1の製造
方法と実施例2の製造方法を組み合わせて製造すること
も好ましい。このようにすれば、実施例2の製造方法で
生じる樹脂流の接触による発泡体層のセルのつぶれを防
止することができ、一層軟質で触感に優れた成形品を製
造することができる。また、この場合には樹脂基材とシ
ート部材の間や、シート部材と発泡体層の間に間隙が発
生する場合がある。しかしこの場合には、その間隙の空
気層の存在により一層触感が優れるようになることが期
待される。
【0034】
【発明の効果】すなわち第2発明の表皮付樹脂成形品の
製造方法によれば、少なくともゲートに対向する部分の
発泡体層の発泡セルの変形を確実に防止することができ
るので、外観品質と触感に優れた表皮付樹脂成形品を容
易にかつ安定して製造することができる。
【0035】またシート部材が載置される型面に凹部を
設けておけば、シート部材の載置の位置決めが容易とな
るとともに、外観品質が一層向上する。さらに第5発明
の表皮付樹脂成形品の製造方法によれば、成形後の発泡
体層の圧縮度合いが小さくなるので、その分発泡体層の
弾性変形度合いを大きくすることができ、触感に優れた
表皮付樹脂成形品を容易に製造することができる。
【0036】そして上記製造方法により得られた第1発
明及び第4発明の表皮付樹脂成形品によれば、表皮が薄
肉であっても、シート部材の存在する部分の表皮又は樹
脂基材に凹部が存在する部分の表皮は、きわめてクッシ
ョン感に富むので使用フィーリングに優れている。また
従来と同等の触感とすれば表皮の発泡体層の厚さを薄く
できるので、細かな部分の意匠形状を正確に表すことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における樹脂基材の成形直前
の金型の断面図である。
【図2】本発明の一実施例であるアームレストの斜視図
である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例における樹脂基材の成形
直前の金型の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例における樹脂基材の成形
直後の金型の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例の成形品の断面図であ
る。
【符号の説明】
1:樹脂基材 2:表皮 3:
シート部材 4:コア型 5:キャビティ型 20:
表皮層 21:発泡体層 40:ゲート 4
1:凹部 10:凹部 51:凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂基材と、発泡体層と表皮層とが一体
    的に積層された表皮とからなり、該表皮を型内に配置し
    て低圧射出圧縮成形により該表皮の該発泡体層側に該樹
    脂基材が一体的に形成された表皮付樹脂成形品におい
    て、 該樹脂基材と該発泡体層の間には部分的にシート部材が
    介在し、該表皮の該シート部材に対向する部分は他の部
    分より軟質であることを特徴とする表皮付樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 表皮層と該表皮層の裏面側に積層された
    発泡体層とからなる表皮を分割型内に配置し、該表皮の
    該発泡体層と型面との間に溶融樹脂をゲートから低圧で
    射出するとともに圧縮成形して該発泡体層表面に樹脂基
    材を形成する表皮付樹脂成形品の製造方法であって、 該表皮の軟質とすべき部分の該発泡体層に対向する型面
    には部分的にシート部材が載置され、かつ少なくとも該
    シート部材が載置された部分の型面にはゲートをもち、
    該ゲートからの樹脂流による押圧で該シート部材を該発
    泡体層に圧接させながら成形することを特徴とする表皮
    付樹脂成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シート部材が載置される該ゲートを
    もつ型面には、該シート部材を収納保持する凹部をもつ
    ことを特徴とする請求項2記載の表皮付樹脂成形品の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂基材と、発泡体層と表皮層とが一体
    的に積層された表皮とからなり、該表皮を型内に配置し
    て低圧射出圧縮成形により該表皮の該発泡体層側に該樹
    脂基材が一体的に形成された表皮付樹脂成形品におい
    て、 該樹脂基材の該発泡体層に対向する表面には部分的に凹
    部をもち、該表皮の該凹部に対向する部分は他の部分よ
    り軟質であることを特徴とする表皮付樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 表皮層と該表皮層の裏面側に積層された
    発泡体層とからなる表皮を第1型と第2型よりなる分割
    型内に配置し、該表皮の該発泡体層と該第2型の型面と
    の間に該第2型に設けられたゲートから溶融樹脂を低圧
    で射出するとともに圧縮成形して該発泡体層表面に樹脂
    基材を形成する表皮付樹脂成形品の製造方法であって、 該第1型は該第2型の型面に向かって突出する凸部をも
    ち、該凸部で該表皮を該第2型へ近接するように押圧し
    た状態で該樹脂基材が成形され、該樹脂基材には該凸部
    により凹部が形成されるとともに型開き時に該凸部で押
    圧された部分の該発泡体層の形状回復量が大きくされた
    ことを特徴とする表皮付樹脂成形品の製造方法。
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