JP2018176453A - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Isamu Masuzawa
勇 舛澤
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Abstract

【課題】樹脂遮断シートを用いることで発泡成形を行うこともなく、高いインシュレータ機能を有する樹脂成形品の製造方法を提供する。【解決手段】 以下の工程により製造される、樹脂成形品の製造方法。(a)射出ゲートを有する金型(イ)のキャビティ面に、樹脂遮蔽シートを配置するシート配置工程。(b)樹脂遮蔽シートの上に、この樹脂遮蔽シートの全面を覆い、この樹脂遮蔽シートの投影部分よりも更に外側に縁部を残すように圧縮材を配置する圧縮材配置工程。(c)射出ゲートより成形用樹脂を射出する射出工程。(d)射出工程と同時か成形用樹脂の射出が開始された後に、金型(イ)と、この金型(イ)と対をなしキャビティを形成する金型(ロ)とを型締めし、射出された成形用樹脂の圧縮流動を行う、圧縮流動工程。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂成形品の製造方法に関する。
従来自動車のエンジンルームの上側を覆うエンジンカバーの内側面には、吸音材としての機能を発揮するシート状のインシュレータ(圧縮材)が取り付けられており、これによりエンジンから発生する音を吸収している。このような自動車のエンジンカバーへのインシュレータ取り付け方法としては、クリップや両面テープ等が用いられるが、グロメットやクリップ等の部品費や取り付け工数が発生する為に、これらを低減しようとする検討が成されて来た。例えば下記特許文献1に開示された提案がある。
特許文献1の取付け方法を図5に示したが、エンジンカバー11のカバー部材12とインシュレータ13をグロメット14と挟み込むことを利用し、カバー部材12と同時に組み付け可能とする提案である。
これらの構造を用いることで組付け工数低減及びクリップ点数削減が出来るとされている。
特許第5046059号公報 特開2011−195080号公報 特開平6−315946号公報 特許第5851833号公報
しかしながら、前述した特許文献1に開示されたエンジンカバーを前提とした製品化では、部品点数削減に限界があり、例えば、インシュレータの取付け構造においては、作業性向上やグロメット点数低減はあるものの、グロメットとインシュレータを挟み込むカバー部材を完全に無くすことが出来ない問題がある。
また、樹脂化成形体の提案である特許文献2に開示されたものでは、従来のインシュレータが、取付け形状に合わせて賦形やトリミングを必要としたが、成形体内部に発泡層を設けることで、インシュレータの性能を追加することを特徴とした、成形体とインシュレータの一体化が提案されている。
但し、特許文献2に開示されるような成形体の一体化では、インシュレータがスキン層で囲まれた発泡層となり、厚みの自由度が制限されると共に、高いインシュレータ機能を期待する場合は、高コストとなってしまう。
高機能化の為にガラス繊維体を一体化する技術は、特許文献3に開示されるように広く採用されているが、固着性を確保する為にほとんどが熱硬化性樹脂や接着剤を使用した圧縮成形によるものであった。従来、熱可塑性樹脂による一体化においては、樹脂の含浸性や密着性の問題等から機械的締結に頼らざるを得なかったが、本発明はそれを改善するものである。
本発明は、樹脂遮断シートを用いることで発泡成形を行うこともなく、高いインシュレータ機能を有する樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のものに関する。
(1)以下の工程により製造される、樹脂成形品の製造方法。
(a)射出ゲートを有する金型(イ)のキャビティ面に、樹脂遮蔽シートを配置するシート配置工程。
(b)樹脂遮蔽シートの上に、この樹脂遮蔽シートの全面を覆い、この樹脂遮蔽シートの投影部分よりも更に外側に縁部を残すように圧縮材を配置する圧縮材配置工程。
(c)射出ゲートより成形用樹脂を射出する射出工程。
(d)射出工程と同時か成形用樹脂の射出が開始された後に、金型(イ)と、この金型(イ)と対をなしキャビティを形成する金型(ロ)とを型締めし、射出された成形用樹脂の圧縮流動を行う、圧縮流動工程。
(2)項(1)において、圧縮材配置工程の後であって、射出工程の前に、樹脂遮蔽シート及び圧縮材を仮固定する固定工程を有する、樹脂成形品の製造方法。
(3)項(1)又は(2)において、圧縮材の一部と樹脂遮蔽シートを金型(ロ)より突出する駒にて圧縮固定をする、樹脂成形品の製造方法。
(4)項(3)において、駒が、圧縮材と樹脂遮蔽シートの外周部全周よりも中央よりを圧縮し、少なくとも圧縮材と樹脂遮蔽シートの外周部全周が、射出される樹脂と固着する、樹脂成形品の製造方法。
(5)項(1)〜(4)の何れかにおいて、圧縮材が、繊維織布又は繊維不織布である、樹脂成形品の製造方法。
(6)項(1)〜(5)の何れかにおいて、樹脂遮蔽シートが、成形樹脂の溶融温度よりも高い融点を有する素材である、樹脂成形品の製造方法。
(7)項(1)〜(6)の何れかにおいて、成形用樹脂が、熱可塑性樹脂である、樹脂成形品の製造方法。
(8)項(1)〜(7)の何れかにおいて、更に、金型(ロ)が、圧縮材の投影領域内に凹部を有し、幅及び深さを、共に0.5mm以上とし、凹部の幅と深さの関係が(幅/深さ)≦1.0である、樹脂成形品の製造方法。
本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、成形自由度の高い樹脂製の成形体を用いながらも、発泡成形を行うことなく、高いインシュレータ機能を有する。
また、樹脂遮蔽シートを用いることにより、圧縮材を樹脂遮蔽シートにて覆い隠すことができると共に、駒等を用いて射出樹脂と圧縮材とを非接触とする必要もない。
本発明の樹脂成形品の構成を示すものである。 本発明の樹脂成形品の製造方法を示す工程図の一部であり、凹形状がない場合を示す。 本発明の樹脂成形品の製造方法を示す工程図であり、(a)は配置工程、(b)は射出工程、(c)(d)は圧縮流動工程、(e)は型開きを示す。 本発明の別の実施例を示す製造方法の断面図であり、(a)は配置工程、(b)は射出工程、(c)(d)は圧縮流動工程、(e)は型開きを示す。 従来のインシュレータ取付け構造を示す要部斜視図である。
(金型)
本明細書にて述べる金型は、射出ゲートを有する金型(イ)と、金型(ロ)とが一対となり、この金型(イ)及び金型(ロ)にてキャビティを形成する。
金型の材質は、特に制限されるものではないが、用いる圧力と温度に耐えうるものであればよく、一般的な金型に使用されるものを用いることができる。
例えば、炭素含有が0.45質量%〜0.55質量%含まれるS45C、S50C、S55C等の炭素鋼やプリハードン鋼を用いることができ、焼入れを行う場合は、SKD材やSCM材のような特殊鋼を用いることもできる。
金型は、樹脂射出後に圧縮流動工程がある為、所謂くいきり構造が好ましい。射出樹脂がキャビティ外に流出しない構造が取れれば可動の駒によるパーティング構造でもよい。
金型(ロ)には、凹部を設けることができる。その凹部の位置は、後述する圧縮材の投影領域内とする。即ち、凹部は、圧縮材により覆われることになる。
凹部は、単純な平面上に圧縮材を配置しただけでは、樹脂が圧縮材に含浸しにくいことから設けられるものである。平面の(凹部がない)場合は、樹脂圧により圧縮材が圧縮されて圧縮材中の隙間が減り含浸がしにくくなり、更に金型からの冷却で、樹脂が固化してしまう場合がある。
一方、凹部が設けられる場合は、樹脂圧の逃げ場が発生し、圧縮材の圧縮が局部的に減り、樹脂の冷却も局部的に減る。結果的に樹脂が圧縮材中を貫通し易くなり、容易に凹部へ樹脂流入が可能である。
凹部の形状は、特に制限されるものではなく、様々な形とすることができる。また、凹部によって形成される樹脂硬化部分は、後に取り除くこともできるが、そのまま残してリブ等の機能部分として利用することもできる。
凹部の大きさは、形状と同様に制限されるものではないが、圧縮材の入り込みが防げて、樹脂が入り込み易い形状であれば好ましく、具体的には、幅及び深さの関係が(幅/深さ)≦1.0であって、幅及び深さが、共に0.5mm以上であれば好ましい。これは、特に用いる圧縮材の繊維径が、1〜30μmであり、樹脂遮蔽シートの厚みが100μm以下の際に、樹脂貫通しやすい。
射出ゲートは、少なくとも金型(イ)に設けられるものであり、必要により、金型(イ)及び金型(ロ)の両方に設けてもよい。
尚、金型(イ)に設けられるゲートは、必ずしも1つである必要はなく、複数設けてもよい。
(樹脂遮断シート)
本発明の製造方法では、樹脂遮断シートを用いて、樹脂遮断する部分としない部分とを設けて成形することが出来る。
樹脂遮断シートは、成形用の射出樹脂から圧縮材を遮断するものである。射出樹脂から遮断する場合、樹脂遮断シートは、フィルム状やシート状等で樹脂の進入を防げる物であればよい。例えば、シリコンやポリテトラフルオロエチレン等でコーティングされた離型フィルムやPMMA(ポリメタクリル酸メチル)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PC(ポリカルボナート)フィルム、フッ素フィルム等の高機能フィルム、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、PPフィルム(ポリプロピレン)等の汎用フィルム等がある。これらは、樹脂によって成形時の樹脂温度が異なるので、適切に樹脂遮断シートの選択が必要である。一方、樹脂遮断シートの厚みによっても異なり、厚くなると材料コストが高くなり、成形体の質量も重くなるので100μm程度が好ましい。
例えば、離型フィルムは高い耐熱性があり、成形樹脂の適用範囲が広くなるが材料コストが高くなってしまう。高機能フィルムや汎用フィルムの場合は、成形時の樹脂温度を考慮した適正化が必要である。具体的には、成形樹脂温度が200℃以上の場合、PP、PE、PVCフィルム等は溶融してしまい射出樹脂が遮断出来ない場合がある為、より高い耐熱を持った樹脂遮蔽シートの選択が必要である。
樹脂遮蔽シートの配置は、射出ゲートを有する金型(イ)のキャビティ面に対し行うが、射出ゲートの直上部分においては、樹脂遮蔽シートに孔を設けて、射出ゲートから射出された樹脂の一部が直接圧縮材に到達するようにしても、樹脂遮蔽シートに孔を設けずに、射出ゲートから射出された樹脂が樹脂遮蔽シートにより進行を阻止され、圧縮材の縁部へと向かうようにしてもよい。
(圧縮材)
本明細書にて述べる圧縮材は、成形後に吸音することが可能なものであれば、特に制限されるものではなく、後述する駒での圧縮を行う場合には、圧縮された際に、駒にて圧縮された部分に射出される樹脂が入り込まないものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、1MPa程度の圧力で、充分に変形し、高密度化し、樹脂の進入を防げる物であればよい。
圧縮材の材質としては、ガラス繊維等の無機繊維、ケブラ繊維等の樹脂繊維、セルロース等の天然繊維等の集合体として、マット状、シート状又はクロスに加工された織物又は不織布等がある。
これらは、圧縮することで充分に変形し、高密度化する特徴を持っており且つ、圧力を取り除けば復元する。尚、ここで述べる復元とは、インシュレータとしての機能を充分に発揮出来る状態に戻っていればよく、圧縮前の状態に完全に戻ることを意味しない。
圧縮材は、材質により、耐圧強度が異なるので、目的に応じて材料選択或いは、金型の駒の圧縮力の適正化が必要になる。一方、熱の影響に関しても、材質によって異なり、無機繊維では高い耐熱性があり、適用の自由度が高いが、樹脂繊維或いは天然繊維等の場合は、耐熱性を考慮した成形条件の適正化が必要である。例えば、樹脂繊維の場合は、成形樹脂の融点に対して、より高い耐熱を持った繊維の選択が必要になる。これらの繊維織物、マット状又は不織布等は、例えば、発泡体のようなものに比べ、特許文献4に示されるように低周波領域から高周波数領域における吸音特性が良く、防音、断熱等が得られることから自動車等にも使用実績もあり、より好ましい。
(圧縮材の配置)
圧縮材の配置は、樹脂遮蔽シートの上に、樹脂遮蔽シートの全面を覆い、樹脂遮蔽シートの投影部分よりも更に外側に縁部を残すようにする。即ち、射出ゲートから射出される樹脂と、圧縮材とは、少なくとも圧縮材の縁部にて接触することになり、射出された樹脂が固化することで、圧縮材と固着することになる。圧縮材の縁部は、その全周(周縁)にて樹脂遮蔽シートの投影部分よりも外側に残す必要はなく、一部でもよいが、固着強度を強く求める場合には、全周を残すようにする。
(駒による圧縮固定)
圧縮材に対し樹脂を固着させたくない部分が生じる場合は、駒を用いることもできる。本明細書にて述べる駒は、金型(ロ)より突出して、圧縮材の一部を圧縮するものであり、この圧縮により樹脂の固着を阻止する。
尚、駒にて圧縮する部分は、先に述べた凹部が形成されてない部分となる。
駒にて圧縮する部分は、圧縮材の外周部全周よりも中央よりであることが好ましく、このようにすることで、圧縮材の外周部全周が、射出される樹脂と固着することができ、強固に圧縮材と樹脂とを一体化できる。
(仮固定)
樹脂遮蔽シート及び圧縮材の位置がずれないようにする場合は、図4記載の駒7やピンを用いる。本明細書にて述べるピンは、金型(ロ)5より突出して、樹脂遮蔽シート3及び圧縮材2の一部に孔を設け、このピンに配設することで仮固定できる。
尚、ピンにて仮固定する部分は、先に述べた凹部9が形成されてない部分や射出ゲート6が無い部分となる。
ピンは、射出される樹脂の進入を防げるものであれば特に制限されるものではない。具体的には、スプリング機構や油圧或いはエア圧のシリンダー機構更には電動モータによる機構等が挙げられるが、もっとも安価なスプリング機構が好ましい。
(成形用樹脂)
本明細書にて述べる成形用樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を意味し、成形の容易性から、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等を用いることができる。
射出させる樹脂は、樹脂のみでもよいが、樹脂に繊維を混合したものでもよい。
混合する繊維としては、先に述べた圧縮材を形成する繊維と同じものであることが好ましいが、異なる繊維でもよく、具体的には、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、ケブラ繊維等の樹脂繊維、セルロース等の天然繊維等がある。
また、混合する繊維は、1種類でも複数種類を混合したものでもよい。
(射出工程)
射出工程では、少なくともキャビティ内に樹脂を射出供給する。射出工程のみで金型(ロ)に設けた凹部に樹脂を流入させる場合は、流入方向に樹脂圧がかかり、且つ樹脂の低粘度状態を保つ必要がある。通常の射出成形では、キャビティ内に充填が完了する迄、凹形状方向への圧力が期待出来ず、充填することが難しいが、ゲート直上部の対向する金型からの加圧で圧縮体を圧縮した状態での射出充填であれば可能となる。
(圧縮流動工程)
圧縮流動工程は、キャビディ内での樹脂充填を行う。この時、樹脂圧は金型の面直方向に働き易く、金型に設けた凹部への樹脂の貫通を容易とする。圧縮流動工程による樹脂圧が効果的に働く為には、樹脂を低粘度に維持する必要があり、圧縮流動工程を、射出工程の樹脂射出直後又は射出工程と同時に行うことが効果的である。この為、具体的には、射出圧縮成形機を用いることが好ましい。
尚、金型(ロ)の凹部の位置は、圧縮充填時の樹脂圧が充分かかる位置であればよく、ゲート直上部に限定されない。
圧縮材の駒にて圧縮されていない部分は、樹脂と圧縮材とが接触し、固着する。更に、樹脂の冷却後、型開きし、成形体が取り出される。この時、圧縮材は、部分的な圧縮から開放され復元する。これにより、固着部を除き、インシュレータとしての機能を発揮出来るようになる。
樹脂遮蔽シートの配設構成は、図1に示すように樹脂遮蔽シート3、圧縮材2で構成される。樹脂遮蔽シートが成形樹脂から圧縮材を遮断するように配設すればよい。また、樹脂遮断シートの配設方法は縦型の場合、駒が不要であり、所定の位置決めが出来れば、特に固定する必要がない。横型の場合には、金型に対して固定しておく必要があり、可動又は固定側の金型に設けたピン等を用いて行うことが出来る。
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
成形金型は、図2に示す試作金型を用いる。金型は、樹脂遮蔽シート3を配置する金型(イ)4と、この金型(イ)4と対をなしてキャビティを形成する金型(ロ)5とで、形成される。
また、金型(ロ)5には、幅:3mm、深さ:3mm、長さ:3mmの凹部9を設けてある。
樹脂遮蔽シート3は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み100μm)を、縦:400mm、横:400mmに裁断したものを用いた。
圧縮材2は、ガラスクロス(ガラス繊維径17μm、繊維本数2000本、目付け960g/m2、厚み1.0mm、平織り)を、縦:500mm、横:500mmに裁断したものを用いた。
成形樹脂は、GFPP(ガラス強化ポリプロピレンガラス30質量%入りのポリプロピレン)を用いた。
成形は、図3に示すように、先ず、金型(イ)4に樹脂遮蔽シート3を載置し、その樹脂遮蔽シート3を全て覆うように圧縮材2を重ねて配置する(図3(a)参照)。
次に、射出ゲート6から成形樹脂を射出する(図3(b)参照)。
そして、成形樹脂を射出すると同時に、金型(ロ)5を図面上にて下方へと移動させ、射出された成形樹脂の圧縮流動を行う(図3(c)参照)。
尚、図3(c)は、圧縮流動工程の途中段階を示すものであり、最終段階では、図3(d)に示すように、金型(イ)4と金型(ロ)5とで、当初予定されていたキャビティを形成するまで圧縮される(圧縮ストローク:5mm)。
圧縮流動工程の終了後、成形樹脂の冷却を行い、型開きし、樹脂成形品を脱型させる(図3(e)参照)。尚、型開きの際には、圧縮されていた圧縮材が、圧力開放により復元される。
図3に示す金型は、株式会社アミノ製1,000トンプレス機を成形機として用い、株式会社日本製鋼所製の射出機を用いた。
(実施例2)
圧縮材は、ガラスマット(ガラス繊維径12μm、繊維本数100本、厚み0.5mm、目付け300g/m2)を用い、樹脂遮蔽シートは、PC(ポリカルボナート)フィルム(厚み75μm)を用い、それ以外は実施例1と同様にして成形品を作製した。
(実施例3)
金型に、凹部9がない(平面)、ものを用い、それ以外は実施例1と同様にして成形品を作製した。
(実施例4)
金型に、凹部9がない(平面)、ものを用い、それ以外は実施例2と同様にして成形品を作製した。
(比較例1)
樹脂遮蔽シートを用いない以外は、実施例1と同様にして、成形品を作製した。
(比較例2)
樹脂遮蔽シートを用いない以外は、実施例2と同様にして、成形品を作製した。
(比較例3)
樹脂遮蔽シートを用いない以外は、実施例3と同様にして、成形品を作製した。
(比較例4)
樹脂遮蔽シートを用いない以外は、実施例4と同様にして、成形品を作製した。
(比較例5)
射出のみ(圧縮流動工程なし)で行った以外、実施例1と同様にして、成形品を作製した。
(比較例6)
射出のみ(圧縮流動工程なし)で行った以外、実施例2と同様にして、成形品を作製した。
(比較例7)
射出のみ(圧縮流動工程なし)で行った以外、実施例3と同様にして、成形品を作製した。
(比較例8)
射出のみ(圧縮流動工程なし)で行った以外、実施例4と同様にして、成形品を作製した。
(圧縮材と樹脂遮蔽シートの固着状態)
作製した成形品を目視により観察し、圧縮材と樹脂遮蔽シートの固着状態を以下のように評価した。
「◎」:圧縮材と樹脂遮蔽シートが射出樹脂と固着される
「○」:圧縮材が射出樹脂と固着するが樹脂遮蔽シートは固着されない
「×」:圧縮材と樹脂遮蔽シートが射出樹脂と固着しない状態
(圧縮材の露出)
作製した成形品を目視により観察し、圧縮材と樹脂遮断シートの外観状態を以下のように評価し、前項含めて結果を表1に示した。
「○」:圧縮材が露出しない状態。
「×」:圧縮材が露出する状態。
(圧縮材の復元性)
作製した成形品を目視により観察し、圧縮材の復元性を以下のように評価し、前項含めて結果を表1に示した。
「○」:圧縮材が固着して復元する状態。
「×」:圧縮材が固着して復元しない状態。
Figure 2018176453
表1から明らかなように、凹部を設けた金型を用いた実施例1〜2では、成形樹脂と圧縮材及び樹脂遮蔽シートとの固着状態が良好であり、圧縮材が外観面に露出せず復元性もよい。凹部を設けない実施例3〜4では、成形樹脂と圧縮材のみが固着され、圧縮材は外観面に露出してしまうが復元することが可能である。比較例1〜3は、樹脂遮断シートを用いていない為、圧縮材が露出し、復元もしない。比較例4〜6は射出成形である為、圧縮材や樹脂遮蔽シートの位置がずれたり、壊したりする。
また、実施例1〜2と、実施例3〜4とを比較すると、凹部がある実施例1〜2では、圧縮材と樹脂遮断シートの凹部となった部分が樹脂貫通し固着されており、実施例3〜4では、凹部がないことで圧縮材のみの固着となる。即ち、樹脂遮蔽シートがあることで成形する上で好ましく、更に凹部を設けることで外観もよいことが判る。
1.成形樹脂、2.圧縮材、3.樹脂遮蔽シート、4.金型(イ)、5.金型(ロ)、6.射出ゲート、7.駒、8.バネ、9.凹部、11.エンジンカバー、12.カバー部材、13.インシュレータ、14.グロメット。

Claims (8)

  1. 以下の工程により製造される、樹脂成形品の製造方法。
    (a)射出ゲートを有する金型(イ)のキャビティ面に、樹脂遮蔽シートを配置するシート配置工程。
    (b)樹脂遮蔽シートの上に、この樹脂遮蔽シートの全面を覆い、この樹脂遮蔽シートの投影部分よりも更に外側に縁部を残すように圧縮材を配置する圧縮材配置工程。
    (c)射出ゲートより成形用樹脂を射出する射出工程。
    (d)射出工程と同時か成形用樹脂の射出が開始された後に、金型(イ)と、この金型(イ)と対をなしキャビティを形成する金型(ロ)とを型締めし、射出された成形用樹脂の圧縮流動を行う、圧縮流動工程。
  2. 請求項1において、圧縮材配置工程の後であって、射出工程の前に、樹脂遮蔽シート及び圧縮材を仮固定する固定工程を有する、樹脂成形品の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、圧縮材の一部と樹脂遮蔽シートを金型(ロ)より突出する駒にて圧縮固定をする、樹脂成形品の製造方法。
  4. 請求項3において、駒が、圧縮材と樹脂遮蔽シートの外周部全周よりも中央よりを圧縮し、少なくとも圧縮材と樹脂遮蔽シートの外周部全周が、射出される樹脂と固着する、樹脂成形品の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、圧縮材が、繊維織布又は繊維不織布である、樹脂成形品の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、樹脂遮蔽シートが、成形樹脂の溶融温度よりも高い融点を有する素材である、樹脂成形品の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、成形用樹脂が、熱可塑性樹脂である、樹脂成形品の製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れかにおいて、更に、金型(ロ)が、圧縮材の投影領域内に凹部を有し、幅及び深さを、共に0.5mm以上とし、凹部の幅と深さの関係が(幅/深さ)≦1.0である、樹脂成形品の製造方法。
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