JPH08176963A - 高タフネスポリヘキサメチレンアジパミド繊維およびその製造方法 - Google Patents

高タフネスポリヘキサメチレンアジパミド繊維およびその製造方法

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JPH08176963A
JPH08176963A JP6325738A JP32573894A JPH08176963A JP H08176963 A JPH08176963 A JP H08176963A JP 6325738 A JP6325738 A JP 6325738A JP 32573894 A JP32573894 A JP 32573894A JP H08176963 A JPH08176963 A JP H08176963A
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史章 伊勢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多量の仕上剤を付着することなしに、タイヤ
コードなどのゴム補強分野への利用に適した、ゴム補強
時に高い破断エネルギーを有し、かつ、耐疲労性に優れ
たポリヘキサメチレンアジパミド繊維およびその製造方
法の提供。 【構成】硫酸相対粘度ηrが2.8〜3.7のポリヘキ
サメチレンアジパミドからなり、破断強度9.5g/d
〜12.5g/dで、破断伸度16.0%〜21.0%
のポリヘキサメチレンアジパミド繊維であって、230
℃における熱応力が0.55g/d以上であり、かつ、
繊維表面に仕上剤を0.5重量%〜1.5重量%有し、
該仕上剤の吸水性が吸水時間で3秒〜120秒である繊
維、製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤコードなどのゴ
ム補強分野への利用に適した高強度ポリアミド繊維およ
びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、
ゴム補強時に高い破断エネルギーを有し、かつ、耐疲労
性に優れたポリヘキサメチレンアジパミド繊維およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド繊維は、高強度で、タフネス
が高く、耐疲労性、耐衝撃性に優れているため、各種産
業用途に用いられている。なかでも、タイヤコード等の
ゴム補強用として、特に高重量のトラックやバスなどの
バイアスタイヤ用途に用いられてきた。最近では、タイ
ヤの高性能化のために、一層の高強度化を求めることも
さることながら、むしろ、耐疲労性に優れるとともに、
いわゆるプランジャーエネルギー(JIS D 423
0)を高めるといった安全性能への要求が高まってき
た。プランジャーエネルギーは、タイヤが棒の先端で踏
み抜かれる際の破壊エネルギーであり、タイヤという繊
維強化ゴム複合体の中にあって強度を主として担ってい
るタイヤコードの破断エネルギーを高めることによって
これを強化することができる。
【0003】このようなタイヤコードに対する要求に応
えるために、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維のタフ
ネスすなわち破断エネルギーを高めるための提案がされ
ている。特開平4−185711号公報や特開平5−1
56315号公報には、繊維用仕上げ剤の付着率を1.
6%以上となるように多量付与し、熱多段延伸の最後に
200℃以下の低温で低弛緩処理し、熱応力値を0.5
5g/d以上に高めた繊維をタイヤコード原糸にするこ
とで、接着剤処理コード、ゴム加硫コード及び疲労コー
ドの破断エネルギー値を高いものとすることが開示され
ている。すなわち、仕上剤を多用することで繊維表面の
接着性を制御し、熱応力によって接着剤処理工程での熱
延伸によるタフネス低下を抑制することで、タイヤなど
のゴム複合体中でのコードの破断エネルギーを高くする
ことを可能にしていた。
【0004】しかし、繊維用仕上剤の付着量を多くする
ことは、チューブ疲労試験(JISL−10173.
2.2.1A)に代表される繰り返し伸長圧縮歪試験で
評価されるような耐疲労性の低下を招いてしまう。ま
た、比較的高価な繊維用仕上剤の多用による製造コスト
の増大や製造環境の悪化とともに、タイヤコード用のポ
リアミド繊維の糸を加工する際の撚り、織工程での油剤
の垂れ汚れなどに伴う、加工工程性能を低下させるとい
う問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、タイ
ヤコードなどのゴム補強用に適した高強度ポリアミド繊
維であって、ゴム補強用に加工した際、高い破断エネル
ギーすなわち高タフネスを有し、かつ、高耐疲労性であ
るような性能を、多量の繊維用仕上剤を付与することな
く、発現する繊維およびその製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、延伸工程
を適切なものとする事によって、仕上油剤を多量に付与
することなしにゴム複合体中のコードの破断エネルギー
すなわちタフネスを高く保つとともに、耐疲労性が向上
することを見いだし、さらに、特定の性質をもった仕上
剤を繊維表面に存在せしめることによって、仕上剤を多
量に付与することなしに接着剤およびゴムとの接着を制
御し、応力の集中を回避して、ゴム複合体中での高タフ
ネスが達成できる発見し、本発明に至達した。
【0007】すなわち、本発明の一つは、硫酸相対粘度
ηrが2.8以上、3.7以下のポリヘキサメチレンア
ジパミドからなる繊維を、溶融紡出し、冷却し、延伸ロ
ールを用いて多段熱延伸して製造する方法において、溶
融紡出し冷却した糸条に、仕上剤を0.5〜1.5重量
%付与し、次いで、第1段目の延伸で鏡面加工と梨地加
工された二つの表面領域からなる引取ロールを用いて糸
条を鏡面加工された表面で引取り、梨地加工された表面
から次のゴデットロールに引き渡し、引き続き、全延伸
比(DR)を4.5〜6.9で多段に延伸した後に、最
終ゴデットロール温度(T)が150℃〜50℃で、リ
ラックス比(RR)が下記式の範囲で弛緩熱処理するこ
とを特徴とする高タフネスポリヘキサメチレンアジパミ
ド繊維の製造方法 −0.00028×T+0.99≧RR≧−0.000
28×T+0.956 、であり、また、本発明のもう一つは、硫酸相対粘度η
rが2.8以上、3.7以下のポリヘキサメチレンアジ
パミドからなり、破断強度9.5〜12.5g/dで、
破断伸度16〜21%であって、230℃における熱応
力が0.55g/d以上であり、かつ、繊維表面に仕上
剤が0,5〜1,5重量%付着し、該仕上剤の吸水性が
吸水時間において3〜120秒であることを特徴とする
高タフネスポリヘキサメチレンアジパミド繊維、であ
り、仕上剤が、(1)チオジプロピオン酸と炭素数12
〜18の1価アルコールとのジエステルを40〜70重
量部、および(2)エチレンオキサイド(10〜45モ
ル)付加したヒマシ油あるいは硬化ヒマシ油の炭素数1
2〜18の脂肪酸エステルあるいは部分エステルを15
〜30重量部、および(3)炭素数12〜18の1価ア
ルコールとエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド
の共重合体とのエーテルを10〜30重量部含有する組
成物であって、かつ上記仕上剤(1)、(2)、(3)
が合わせて100重量部であることを特徴とする請求項
1に記載のポリヘキサメチレンアジパミド繊維、であ
る。また、仕上剤が、さらに、(4)アルカノールアミ
ンを0.1〜10重量部含有する請求項2に記載のポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維、である。
【0008】本発明の高タフネスポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維の製造方法は、繊維に対する仕上剤の付着
率を0.5重量%以上、1.5重量%以下にする。0.
5重量%未満では、マルチフィラメントからなる繊維に
対する均一付与が保証できず、とくにタイヤコードなど
の産業資材用繊維では、安定生産ができない。また、
1.5重量%を超えると接着剤処理コードおよびゴム加
硫コードの破断エネルギーを高めるには有効だが、過剰
な仕上げ剤によって十分な耐疲労性を得ることができな
くなってしまうという問題を生ずる。
【0009】従来、仕上剤付着量を多量にすることで繊
維へのRFL接着剤の浸透を抑制し、接着剤処理コード
および加硫コードの伸度低下を防止していた。本発明の
製造方法では、延伸工程を適切なものにすることによっ
てタイヤコードに用いる繊維の均一延伸と均一分子配向
を促し、結果として仕上剤の多量付着をすることなしに
接着剤処理や加硫処理などの熱張力工程後の繊維破断エ
ネルギーを高いものにすることが可能となった。
【0010】本発明の製造方法においては、図1に例示
するような装置を用いて、紡口より溶融吐出し、冷却し
たポリマー糸条に、仕上剤を付与した後、引取ロール
(8)に引き取り、引取ロールとゴデットロールとの間
で熱多段延伸を行って製造することができる。第1段目
の延伸は、引取ロール(8)と2ゴデットロール(9)
との間で行われるが、この第1段延伸は引取ロール表面
上から延伸を始め、2ゴデットロールにかけて延伸細化
を徐々に行う。
【0011】延伸細化を徐々に行うには、引取ロールと
して糸条を引き取る表面が鏡面加工で、糸条が次のゴデ
ットロールに引き渡される表面領域が梨地加工されてい
る引取ロールを用いる。糸条引き取り部分では、鏡面加
工表面部分で糸条をラップし、十分これを把持してい
る。次に、梨地加工部分では、糸条は滑りながら延伸さ
れ始め、2ゴデットロールにかけて第1段目の延伸を完
了する。従って、第1段目の延伸を徐延伸にすることが
容易に達成できる。
【0012】本発明の製造方法において、引取ロールの
表面は、たとえば、クロム鍍金などによって硬化処理さ
れており、その表面粗さRaが、鏡面加工では0.5以
下で、梨地加工では1以上、7以下に加工にすることに
よつて糸条の把持と滑りとを好ましく制御することがで
きる。図2に、糸条の走行速度をレーザードップラー糸
速測定機(DANTEC社製)で測定したデータの一例
を示す。
【0013】従来法(a)では、引取ロールと2ゴデッ
トロールとの間のみで糸条の走行速度が変化し、延伸細
化は急峻に生じているが、本発明(b)では、引取ロー
ル上から糸条の走行速度が上昇し始め、2ゴデットロー
ルにかけて徐々に糸条の走行速度が上昇してゆき、延伸
は徐延伸になっている。この方法によれば、とくにマル
チフィラメントからなる繊維においてフィラメント間の
延伸均一性を確保することができる。
【0014】本発明の製造方法においては、糸条を鏡面
加工された表面で引取り、梨地加工された表面から次の
ゴデットロールに引き渡した後、引き続き、全延伸比
(DR)を巻取速度(WR)に応じての、 7.1−WR/2860≧DR≧6−WR/2860 の式の範囲であるが、その値は4.5〜6.9、さらに
好ましくは4.95〜6.75で多段に延伸する。
【0015】さらに、延伸工程の安定性のためには、引
き取り糸条の無定型部分の分子鎖が十分セグメント運動
できるように、表面温度T(℃)を下記一般式を満足す
る引取ロールを用いる。 Tgc−20≦Ts≦Tgc+40 ただし、ここでTgcとは引取ロールに引取られる糸条
の貯蔵弾性率がガラス転移領域で急激に低下を完了する
温度をいい、図3に例示するチャートより得る。また、
貯蔵弾性率はオリエンテック社製DDV−01FPレオ
バイブロンを使用し、糸長2cm、初期荷重0.027
g/d、昇温速度5℃/分の条件下35Hzでマルチフ
ィラメントからなる糸条の単糸1本ずつ測定した。本発
明の製造方法においては、弛緩熱処理は、最終ゴデット
ロールの温度(T)が150℃以下、50℃以上であ
り、リラックス比(RR)が下式で示す範囲である。 −0.00028×T+0.99≧RR≧−0.000
28×T+0.956 このようにして、本発明の製造方法によって、弛緩熱処
理することにより、多段延伸後に、230℃における熱
応力が0.55g/d以上となる高タフネスポリヘキサ
メチレンアジパミド繊維を得ることができる。
【0016】熱応力が0.55g/d未満では、接着剤
処理や加硫処理などの230℃付近の温度で実施される
熱張力工程における糸条のストレッチが大きすぎ、過剰
な伸長配向によってこれら加工工程後の繊維破断エネル
ギーの著しい低下を招いてしまう。そこで、多段延伸の
後に低温での分子配向固定を実施することで、加工工程
での破断エネルギー低下を抑制することが可能になる。
【0017】弛緩熱処理温度が150℃以上では、熱応
力値が0.55g/d以下となり、弛緩熱処理温度は低
ければ低いほど良いが、工業的に常温付近での温度制御
が困難になってくるため、50℃以上に設定することが
望ましい。さらに好ましくは、70℃以上、120℃以
下である。この時、リラックス比(RR:巻取り速度/
最終ゴデットロール速度)が上記式に示す範囲より低す
ぎては分子配向固定が不十分であり、必要な熱応力値を
示さなくなる。リラックス比は高いほうが熱応力を高く
するに有利であるが、上記式に示す上限を超えると、か
えって繊維の破断エネルギーの低下を招いてしまう。
【0018】また、リラックス比が高すぎると最終ゴデ
ットロールと巻取り機の間での巻取り張力が高くなり過
ぎ、巻形状が悪くなることがある。また、逆に低くなり
すぎても糸条がゆるんで巻けなくなる。適切な巻き張力
(たとえば、0.1〜0.3g/d)になるように上記
式の範囲でリラックス比を設定すればよい。この方法で
分子の配向固定をする事によって、前述の徐延伸法によ
る均一延伸とあいまって、接着剤処理や加硫処理などの
熱張力工程における分子さらにはフィラメント同士の均
一配向を確保することができる。その結果、破断試験に
おける弱点への応力集中が減って、破断エネルギー向上
を図ることができる。
【0019】本発明の製造方法は、紡糸延伸機を、図1
に例示するような直接紡糸延伸機を用いることが好まし
いが、紡糸と延伸が分かれているものを用いてもかまわ
ない。また、ポリマーの紡糸機への供給は、重合から直
接スピンヘッド図1の(1)へ送液する方法でも、ペレ
ット化したポリマーを押し出し機で再熔融した後スピン
ヘッドへ送液する方法のいずれでもよい。
【0020】本発明の製造方法は、延伸を、図1のよう
な装置で多段延伸することが好ましい。2段延伸以上を
行う場合には、ゴデットロールは3段以上必要で、4段
以上有った方が好ましい。3段ゴデットロール法では、
最後の弛緩熱処理は3ゴデットロールと巻取り機の間の
リラックス比で行い、4段ゴデットロール法では3ゴデ
ットロールと4ゴデットロールとの間および巻取り機の
間でリラックス比を配分してもよい。さらに、第2段延
伸は2ゴデットロールと3ゴデットロールの間で行われ
るが、その延伸温度である2ゴデットロール温度は、1
50℃から250℃の範囲から選べば良い。また、第2
段延伸比は1.6から2.2の範囲から選べばよい。
【0021】本発明におけるポリヘキサメチレンアジパ
ミドは、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの縮重合
反応によって得られるが、通常用いられる添加剤、例え
ば、リン酸、次亜リン酸ソーダ等の無機リン化合物、フ
ェニルホスホン酸、トリフェニルホスファイト等の有機
リン化合物、リン−窒素系錯塩、リン−窒素系化合物等
の重合触媒、酢酸銅、臭化銅、よう化銅、2−メルカプ
トベンズイミダゾール銅錯塩等の銅化合物、2−メルカ
プトベンズイミダゾール、テトラキス−[メチレン−3
−(3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
−プロピオネート]−メタン等の熱安定剤、乳酸マンガ
ン、次亜リン酸マンガン等の光安定剤、二酸化チタン、
カオリン等の艶消し剤、環状フェノール類、エチレンビ
スステアリルアミド、同部分メチロール化物、ステアリ
ン酸カルシューム等の滑剤、可塑剤、結晶化阻害剤を含
ませることができる。
【0022】ポリマーの重合度は、硫酸相対粘度ηrで
2.8以上、3.7以下でなければならない。硫酸相対
粘度が低いと必要な破断強度が得られなく、硫酸相対粘
度が高いと紡糸困難になる。硫酸相対粘度のさらに好ま
しい範囲は2.9以上、3.4以下である。また、ポリ
マー重合の際、高分子構造、とくに、無定型部分の凝集
構造を制御するためにポリマー中の塩基濃度を高めてお
いてもよい。その方法としては、水酸化ナトリウム、ア
ジピン酸ナトリウム等の有機金属塩を、重合過程で直接
ポリマーに添加する方法、または、繊維形成後、仕上剤
等に溶解して付着させ添加する方法がある。
【0023】また、ヘキサメチレンアジパミド等のジア
ミン、ジカルボン酸の縮合物からなるポリアミド繊維の
場合は、ジアミン成分をジカルボン酸成分対比多く添加
することでも達成される。この際、一般にヘキサメチレ
ンジアミン等の脂肪族ジアミンの蒸気圧は低いため、ア
ミド化反応中に飛散しやすいが、この飛散ジアミンを回
収し、リサイクルすることで効率的な生産が可能とな
る。
【0024】本発明の製造方法は、巻取速度、および重
合度すなわち硫酸相対粘度などの粘度、さらには、溶融
紡出方法および引き続く冷却方法によって定まる未延伸
糸の性状に基づいて全延伸比を定めて、巻取速度の増
加、および/または硫酸相対粘度の増加にたいして全延
伸比をより低い値とすることで、所望の強度のポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維が得られる。
【0025】たとえば、巻取速度の増加に大して所望の
破断強度を得るためには、0.00035倍/1m・m
in-1の値を差し引いた延伸比を用いればよい。さら
に、前記した延伸温度、延伸方法によって破断伸度が著
しく低下させずにタフネスの高い繊維が得られる。特
に、タイヤコードなどの用途に用いられる繊維は、繊維
の破断強度が9.3g/d以上、破断伸度が12%以上
であるように全延伸比を設定し、製造することができ
る。
【0026】RFL接着剤およびこれを介したゴムとポ
リヘキサメチレンアジパミド繊維の接着の様子を検討す
ると、接着によりマルチフィラメントからなる繊維の一
部分が固定され、引張応力などが加えられた際に応力集
中点となって破断強度および破断伸度の低下すなわちタ
フネス低下となるというのがもう一つのタフネス低下因
子である。本発明者らは特にRFL接着剤が生コード中
へ浸透するのを抑制することで一層タフネス低下を抑制
できることを見いだした。
【0027】従来は、仕上剤付着量を多量にすることで
繊維へのRFL接着剤の浸透を抑制し、接着剤処理コー
ドおよび加硫コードの伸度低下を防止していた。しか
し、本発明では、特定の性質を有する仕上剤を繊維表面
に存在せしめることで浸透抑制を果たすことができる。
すなわち、本発明の製造方法により得られるポリヘキサ
メチレンアジパミド繊維は、該仕上剤の付着量が10%
であるナイロン基布への水の滴下法で計測される吸水時
間が、3秒以上、120秒以下でなければならない。
【0028】吸水時間が3秒以上であれば、仕上剤付着
量が0.6%から1.5%であっても、該ポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維をRFL接着液に浸漬し、これを
付与する工程でのRFL接着剤の浸透抑制が可能にな
り、繊維のタフネス低下を防ぐことができる。一方、R
FL接着剤をはじいてしまうと接着不良を引き起こすた
め、吸水時間は120秒以下でなければならない。
【0029】本発明において、繊維に対する仕上剤の付
着率は0.5重量%〜1.5重量%でなければならな
い。0.5重量%未満では、マルチフィラメント繊維に
対する均一付与が保証できず、とくにタイヤコードなど
の産業資材用繊維では、安定生産ができない。また、
1.5重量%を超えると接着剤処理コードおよびゴム加
硫コードの破断エネルギーを高めるには有効だが、過剰
な仕上剤によって十分な耐疲労性を得ることができなく
なってしまうという問題を生ずる。
【0030】仕上剤の組成は、吸水性を制御しながら、
その他の一般的な延伸プロセッシングオイルに要求され
る延伸性、耐熱性、供給安定性などの特性を満足するも
のであればよい。また、主として平滑剤と乳化剤からな
る水系エマルジョンタイプでも、平滑剤が主成分である
非水系のいずれでもよいが、仕上剤による吸水性を所望
の吸水時間に制御するためにその親水性や配合量を選択
すれば組成設計する事ができる。
【0031】たとえば、平滑剤の例としては、オレイル
オレート、イソステアリルオレートなどの高級アルコー
ルと高級脂肪酸とのエステル、ジオレイルアジペート、
ジイソステアリルセバケートなどの二塩基酸と高級アル
コールとのエステル、トリイソデシルトリメリラートな
ど芳香族カルボン酸と高級アルコールとのエステル、チ
オジプロピオン酸と高級アルコールのエステル、およ
び、ネオペンチルグリコールラウレート、グリセリント
リオレート、ペンタエリスリトールテトラデカネート、
ソルビタントリステアレートなどの多価アルコールと高
級脂肪酸エステルなどが用いられる。多価アルコールあ
るいは/また二塩基酸などからなるエステルを用いた平
滑剤においては、そのエステル化度は吸水性を制御する
因子となる。また、乳化剤の例としては、おもに非イオ
ン界面活性剤を用い、グリセリン、ソルビタンなどの多
価アルコールのエチレンオキサイド付加物、オレイン
酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸やヒマシ油などの天然
油脂にエチレンオキサイドを付加させたもの、高級アル
コール、高級アミン、アルキルフェノールなどにエチレ
ンオキサイドを付加したものなどが用いられる。乳化剤
のエチレンオキサイド付加量は吸水性を制御する因子と
なる。また、その他の成分として熱安定剤、抗酸化剤、
制電剤、高分子活性剤などが含まれるのが好ましく、ア
ルキルホスフェートおよびその金属塩、アルキルスルホ
ネートおよびその金属塩を添加することも好ましい。
【0032】特に、仕上剤の平滑剤成分としてチオジプ
ロピオン酸と炭素数12〜18の1価アルコールとのジ
エステルを選択すると耐熱性の良い仕上剤を組み立て易
い。さらに、乳化やフィラメント収束および均一付着性
のために非イオン界面活性剤を配合するが、平滑剤の配
合量が多すぎると乳化不可能になり均一付着性も損なわ
れ、少なすぎると延伸のための平滑性が損なわれると同
時に吸水性を促進してしまう。非イオン界面活性剤とし
ては、エチレンオキサイド(10〜45モル)付加した
ヒマシ油あるいは硬化ヒマシ油の炭素数12〜18の脂
肪酸エステルあるいは部分エステルと炭素数12〜18
の1価アルコールとエチレンオキサイド/プロピレンオ
キサイドの共重合体とのエーテルの組み合わせることに
よって乳化性、収束性、均一付着性、および耐熱性に優
れながら吸水性を制御する事ができるようになる。
【0033】すなわち、(1)チオジプロピオン酸と炭
素数12〜18の1価アルコールとのジエステル配合量
は40〜70重量部とし、さらに、(2)エチレンオキ
サイド(10〜45モル)付加したヒマシ油あるいは硬
化ヒマシ油の炭素数12〜18の脂肪酸エステルあるい
は部分エステルを15〜30重量部、および(3)炭素
数12〜18の1価アルコールとエチレンオキサイド/
プロピレンオキサイドの共重合体とのエーテルを10〜
30重量部とし、仕上剤(1)、(2)、(3)成分を
あわせて100重量部とした組成になる仕上剤を用いれ
ば、吸水性能が抑制され、繊維表面でのRFL接着剤の
浸透を抑制できた、より好適な高タフネスポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維とすることができる。
【0034】さらには、仕上剤成分に、アルカノールア
ミンを添加せしめることにより吸水性を抑制することが
できる。しかし、配合量が多すぎると乳化安定性や油剤
としての均一安定性を損なって実用に供さなくなる。す
なわち、(4)アルカノールアミンを0.1〜10重量
部添加した配合組成が好ましい。また、仕上剤の安定性
を高めるためには、中和塩のかたちで配合することが好
ましく、特にアルキルホスフェートとの中和塩などで配
合するのが好ましい。
【0035】仕上剤付与の方法は、オイリングロール
法、オイリングノズル法、また、その併用でもよい。延
伸、弛緩熱処理後に行うアフターオイリングを併用する
のもよい。さらに、非水系仕上げ剤では、石油系有機溶
剤などを用いて希釈付与してもよい。さらにその他の条
件として、ゴム補強コード用の加工工程では、繊維は熱
や張力、接着剤などの激烈な条件にさらされる、とく
に、接着剤処理工程では、繊維の構造を大きく変化させ
るため、工程条件を適切に選ぶことによって繊維の性能
を充分発揮させることができる。
【0036】本発明によれば、230℃における熱応力
が0.55g/d以上であり、たとえば、1890デニ
ール程度の繊度を有する繊維では、ゴム中に配され加硫
した後での加硫コード破断エネルギーが49Kg・cm
以上であって、タイヤの破壊強度試験であるプランジャ
ーエネルギー試験で十分な性能値を示す。 また、通常
タイヤコード用の疲労試験として利用されるグッドイヤ
ーチューブ疲労試験を150゜の曲げ角度で23時間実
施した後の疲労コード破断エネルギーが40Kg・cm
以上となり、耐疲労性が向上するものになる(ただし、
必要なコードエネルギーはコードに用いる繊維の繊度に
比例する)。
【0037】さらに、本発明の製造方法により得られる
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、仕上剤付与量が
多すぎないため、タイヤコード加工工程での油垂れなど
の問題がなくなり、さらにその他、ゴム補強コード用に
加工される際、熱や張力、接着剤などの激烈な条件、特
に、接着剤処理工程では繊維の構造を大きく変化させる
条件にさらされるが、優れた物性をもつので工程条件を
適切に選ぶことができ繊維の性能を充分発揮させること
ができる。
【0038】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。なお、本発明において用いられる各種用語の
定義と物性の測定方法を説明する。 (1)吸水性評価 JIS−L−1096およびJIS−L−1018に示
される滴下法による。ここで用いる特定のナイロン基布
は、420デニール/70フィラメントの無撚糸を縦緯
ともに53本/インチの織り密度とした平織り布帛(2
0×20cm)を脱脂精錬した後、乳化し、あるいは非
水系希釈剤で希釈して濃度調節した仕上剤に浸漬し、た
るまないように枠にとりつけ風乾し、さらに、熱風乾燥
機60℃にて完全に乾燥し、仕上げ剤付着量を10%と
したものである。
【0039】吸水時間は、該基布の表面より1cmの高
さから蒸留/イオン交換水を0.5μl滴下して、滴下
から水滴表面の鏡面反射が目視確認できなくなるまでの
時間を計測した値(10回繰り返した平均値)。 (2)硫酸相対粘度 95.5重量%硫酸にポリマー濃度1.0g/dlとな
るように溶解せしめた溶液の25℃における相対粘度で
ある。 (3)原糸、コードの破断強度、破断伸度、中間伸度、
および破断エネルギー 測定室は温度25℃、湿度55RH%に保持する。測定
装置は島津制作所製、商品名オートグラフS−100を
用いる。実施例によって得られた繊維を原糸とし、原糸
に80回/mの撚りを加え、25cmの試料を降下速度
30cm/分で求めた。生コード、処理コードについて
はJISL 1017に従う。破断エネルギーはS−S
カーブの面積をインテグレータを用いて求めた。中間伸
度は下式で定める荷重w(Kg)における伸度(%)で
ある。
【0040】w=4.5×d2/d1 (d2:試料デニール、d1:基準デニール;原糸では
840d、コードでは1680d) (4)230℃熱応力値 熱応力測定装置は、カネボウエンジニアリング社製、商
品名KE−2を用いて測定した。マルチフィラメントか
らなるポリヘキサメチレンアジパミド繊維から長さ20
cmのフィラメント単糸を5本抜き出し、このフィラメ
ント単糸の束の両端を結んで輪を作り、測定器にセット
する。このようにして、フィラメント単糸10本分の熱
応力を測定する。初荷重0.05g/d、昇温速度10
0℃/分の条件で測定し、230℃における張力Thを
求め、以下の算式に従って熱応力値(g/d)を算出す
る。
【0041】230℃熱応力値=Th/2×5×フィラ
メント単糸繊度(デニール) (5)乾熱収縮(乾収) コード1.2mの試料を、160℃のエアーオーブン中
で30分間自由収縮させた後、熱処理後の糸長(S)c
mから次式に従って算出する。 乾熱収縮率(%)=100−S/100×100 (6)仕上剤付着量(OPU) 繊維試料を2±0.002g容器に計り取り、ジクロル
メタン3ccを加えて90秒間放置した後、このジクロ
ルメタンをアルミ製の皿に搾り取る。この操作を3回繰
り返し、得られたジクロルメタン溶液を120±1℃で
加熱し、ジクロルメタンを蒸発させる。残渣の重量R
(g)を測定し、下式により仕上剤の付着量(%)を求
めた。
【0042】仕上剤付着量(%)=R/2×100 (7)生コード 原糸1本ずつに撚数32回/10cmの下撚を施し、次
いで得られた下撚糸2本ずつに撚数32回/10cmの
上撚を施し、生コードとした。 (8)処理コード 生コードに、図4に例示する3オーブンホットストレッ
チ装置(コンピュートリータ)を用いて、レゾルシン−
ホルムアルデヒド−ラテックス接着液(RFL接着液)
のディッピング処理を15m/分で施し、処理コードを
得た。その条件は以下の通りである。
【0043】 A)通常温度法 温度 張力 第1ゾーン 160℃ 2.25Kg/コード 第2ゾーン 232℃ 4.5 Kg/コード 第3ゾーン 232℃ 2.9 Kg/コード B)低温法 温度 張力 第1ゾーン 160℃ 2.25Kg/コード 第2ゾーン 222℃ 4.5 Kg/コード 第3ゾーン 222℃ 2.9 Kg/コード (9)疲労コード JIS L−10173.2.2.1Aに準ずるチュー
ブ試験方法に準拠した チューブ形状 内径 12.5mm 外形 26mm 長さ 226.5mm 加硫条件 140℃×40分 曲げ角度 150度 内圧 3.5Kgf・cm2 回転数 850rpm 疲労時間1380分後に、チューブからコードを傷つけ
ぬように切り出した。オートグラフにてS−Sカーブを
測定し、インテグレーターを用いてS−Sカーブ面積か
ら破断エネルギーを求めた。 (10)加硫コード 前記の疲労コードと同様の形状でチューブを作成し、た
だし、加硫条件を155℃×30分とした後、コードを
傷つけぬようにゴムから切り出した。オートグラフにて
S−Sカーブを測定し、インテグレーターを用いてS−
Sカーブ面積から破断エネルギーを求めた。
【0044】
【実施例1】常法の重合法にて硫酸相対粘度ηr3.1
のポリヘキサメチレンアジパミドのペレットを得た。こ
のポリマーペレットは、銅含有量で80ppmに相当す
るヨウ化銅、ヨウ素含有量で1300ppmに相当する
ヨウ化カリウム、および酸化チタン15ppmを含む。
このポリマーペレットの水分率を紡出糸条の硫酸相対粘
度が低下しないよう調整して、図2に示す熔融紡糸機お
よび延伸機を用いて直接紡糸延伸法で1890d/31
2fのポリヘキサメチレンアジパミド繊維を製造した。
そのときの製造条件及び仕上剤組成は下記のごとくであ
る。 ・紡糸条件 ポリマー吐出量 435m/分 紡口 孔径 0.23mmφ、孔長 0.23、孔数
312 紡糸温度(スピンヘッド温度) 310℃ 紡糸速度(プリテンションロール周速)420m/分 仕上剤 ナタネ油35部、グリセリントリオレート
21部、POE(25)硬化ヒマシ油トリステアレート
18部、硬化ヒマシ油EO(25)16部、2エチルヘ
キシルアルコールEO/PO8部、酸化防止剤2部を濃
度30重量%の水系エマルジョンとして付与した。 ・延伸条件 温度 周速 引取ロール(以下1GDと記載する) 90℃ 424m/分 第2ゴデットロール(以下2GDと記載する) 223℃ 1304m/分 第3ゴデットロール(以下3GDと記載する) 105℃ 2348m/分 巻取速度 2200m/分 全延伸比は5.54 (1GDで引き取る糸条のTgcは78℃であった。) 1GDロールは、図5に示すように、糸を引き取る部分
を鏡面仕上げとし、同ロールの2GDへの引き渡し部分
を梨地仕上げとした。(これ以後ハーフ梨地と記載す
る)これにより、糸条巻き付けのはじめの2ラップは鏡
面加工部分を、それ以降のラップは梨地加工部分を走行
させた。2GD、3GDはすべて梨地仕上げを用いた。
【0045】このようにして得られた原糸、およびこれ
を加工した生コード、処理コード(通常温度法)、加硫
コード、さらに疲労試験を行った疲労コードの物性を表
1に示す。加硫コードエネルギーは、1890デニール
の繊維での目標値49Kg・cmを超え、タイヤのプラ
ンジャーエネルギー向上にとって十分な性能である。ま
た、疲労コードの破断エネルギー値も40Kg・cmを
超え、耐疲労性も十分である。
【0046】
【実施例2】実施例1の生コードを用い、低温ディップ
処理を行った。その他の条件は実施例1と同様である。
結果を表1に示す。実施例1に比べ加硫コードエネルギ
ーが一層改善されており、タイヤのプランジャーエネル
ギー向上に有効である。
【0047】
【実施例3】ディップ処理条件を低温法で行い、下記条
件以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。 ・紡糸条件 紡糸速度(プリテンションロール周速)422m/分 ・延伸条件 温度 周速 1GD 90℃ 426m/分 2GD 220℃ 1326m/分 3GD 140℃ 2386m/分 巻取速度 2200m/分 全延伸比は5.60 (1GDで引き取る糸条のTgcは79℃であった。)
【0048】
【実施例4、5】1GD温度を90℃(実施例4)と6
5℃(実施例5)で行った。ディップ処理条件を低温法
で行い、下記条件以外は実施例1と同様に行った。結果
を表1に示す。 ・紡糸条件 ポリマー吐出量 525g/分 紡糸速度(プリテンションロール周速)492m/分 ・延伸条件 温度 周速 1GD 90℃ 497m/分 または65℃ 2GD 220℃ 1413m/分 3GD 105℃ 2685m/分 巻取速度 2500m/分 全延伸比は5.40 (1GDで引き取る糸条のTgcは79℃であった。)
【0049】
【実施例6】4段ゴデットロール法を用いて、延伸を行
った。条件は下記の通り。ディップ条件は低温法で下記
条件以外は実施例1と同様に行った。 ・紡糸条件 ポリマー吐出量 525g/分 紡糸速度(プリテンションロール周速)493m/分 ・延伸条件 温度 周速 1GD 90℃ 498m/分 2GD 215℃ 1364m/分 3GD 220℃ 2591m/分 4GD 100℃ 2591m/分 巻取速度 2500m/分 全延伸比は5.20 (1GDで引き取る糸条のTgcは79℃であった。) 結果を表1に示す。3段ゴデットロール法と物性的に異
なるものではないが、巻取り時にリラックス比を高めに
設定することができ、巻取り易くなっている。
【0050】
【実施例7】4段ゴデットロール法を用いて、延伸を行
った。条件は下記の通り。ディップ条件は低温法で下記
条件以外は実施例1と同様に行った。 ・紡糸条件 ポリマー吐出量 567g/分 紡口 孔径 0.23mmφ、孔長 0.46、孔数
624 紡糸速度(プリテンションロール周速)475m/分 ・延伸条件 温度 周速 1GD 100℃ 480m/分 2GD 215℃ 1574m/分 3GD 220℃ 2833m/分 4GD 100℃ 2833m/分 巻取速度 2700m/分 全延伸比は5.90 (1GDで引き取る糸条のTgcは81℃であった。)
【0051】
【実施例8〜10】仕上剤以外は実施例2と同様に実施
した。吸水時間の増加とともに加硫コード破断エネルギ
ーが向上し、タイヤのプランジヤーエネルー向上に有効
である。仕上剤の配合組成および付与方法は、表4およ
び表5の通りである。
【0052】
【実施例11〜12】4段ゴデットロール法を用いて、
延伸を行った。条件は下記の通り。仕上剤の配合組成お
よび付与方法は、表4および表5の通り。そのたの条件
は実施例1と同様に実施した。 ・紡糸条件 ポリマー吐出量 567g/分 紡口 孔径 0.23mmφ、孔長 0.46、孔数
624 紡糸速度(プリテンションロール周速)475m/分 延伸条件 温度 周速 1GD 100℃ 480m/分 2GD 215℃ 1574m/分 3GD 220℃ 2833m/分 4GD 100℃ 2833m/分 巻取速度 2700m/分 全延伸比は5.90 (1GDで引き取る糸条のTgcは81℃であった。)
【0053】
【比較例1】1GDに全体鏡面仕上げのロールを用い、
また、3GD温度を220℃として、下記条件で紡糸延
伸し、ディップ温度は低温条件で実施した。その他の条
件は実施例5と同様にした。結果を表1に示す。 ・紡糸条件 紡糸速度(プリテンションロール周速)508m/分 加硫コードの破断エネルギーは大きく下回っている。
【0054】
【比較例2】1GDに全体鏡面仕上げのロールを用い、
3GD温度は105℃の弛緩処理として下記条件で紡糸
延伸し、ディップ温度は低温条件で実施した。その他の
条件は実施例5と同様にした。結果を表1に示す。 ・紡糸条件 紡糸速度(プリテンションロール周速)493m/分 最終ゴデットロールの3GDで低温弛緩処理しても、全
体鏡面仕上げロールを使用していると加硫コードの破断
エネルギーは目標値を達成できない。
【0055】
【比較例3】1GDに全体鏡面仕上げのロールを用い、
3GD温度は105℃の弛緩処理として、仕上げ剤付着
量を2.0重量%と多量にした。ディップ温度は低温条
件で実施した。その他の条件は比較例2と同様にした。
結果を表1に示す。仕上剤付着量によって加硫コードの
破断エネルギーは向上するものの、疲労コードの破断エ
ネルギーが低下し、耐疲労性が悪化している。
【0056】
【比較例4】仕上剤を表4に示すものとした以外は実施
例2と同様に実施した。吸水時間は短く、加硫コードの
破断エネルギーは目標値を達成できない。
【0057】
【比較例5】仕上剤を表4に示すものとした以外は比較
例1と同様に実施した。吸水時間は長いが、熱応力の値
が小さく、加硫コードの破断エネルギーは目標値を達成
できない。
【0058】
【発明の効果】本発明の高タフネスポリヘキサメチレン
アジパミド繊維の製造方法は、従来のものに比べて、仕
上剤を多量に付与しなくても、接着処理、加硫処理後に
高いコード破断エネルギーを示し、かつ、耐疲労性に優
れるゴム補強用コードに適した高強度ポリアミド繊維を
得ることができる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用した試験紡糸機および延伸機を模
式的に示した説明図
【図2】ゴッデットロールを用いた多段延伸法における
糸条速度の測定例
【図3】1GDでの引き取り糸条の単糸のE’、tan
δ−T曲線の一例
【図4】実施例に使用したディップ装置を模式的に示し
た概略図
【図5】実施例に使用した引取ロールを模式的に示した
説明図
【符号の説明】
1:スピンヘッド 2:紡糸口金 3:加熱筒 4:フィラメント 5:冷風チャンバー 6:オイリングロール 7:プリテンションロール 8:引取ロール 9:2ゴデットロール 10:3ゴデットロール 11:4ゴデットロール 12:巻取機 21:張力制御ロール 22:張力制御ロール 23:接着剤浸漬装置 24:張力制御ロール 25:張力制御ロール 26:張力制御ロール 27:張力制御ロール 28:ディップコードの巻取機 29:供給ゾーン 30:第1ゾーン(乾燥ゾーン) 31:第2ゾーン(ストレッチゾーン) 32:第3ゾーン(リラックスゾーン) (a):従来法の糸条の走行速度 (b):徐延伸法の糸条の走行速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/22 J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸相対粘度ηrが2.8以上、3.7
    以下のポリヘキサメチレンアジパミドからなり、破断強
    度9.5〜12.5g/dで、破断伸度16〜21%で
    あって、230℃における熱応力が0.55g/d以上
    であり、かつ、繊維表面に仕上剤が0,5〜1,5重量
    %付着し、該仕上剤の吸水性が吸水時間において3〜1
    20秒であることを特徴とする高タフネスポリヘキサメ
    チレンアジパミド繊維。
  2. 【請求項2】 仕上剤が、(1)チオジプロピオン酸と
    炭素数12〜18の1価アルコールとのジエステルを4
    0〜70重量部、および(2)エチレンオキサイド(1
    0〜45モル)付加したヒマシ油あるいは硬化ヒマシ油
    の炭素数12〜18の脂肪酸エステルあるいは部分エス
    テルを15〜30重量部、および(3)炭素数12〜1
    8の1価アルコールとエチレンオキサイド/プロピレン
    オキサイドの共重合体とのエーテルを10〜30重量部
    含有する組成物であって、かつ上記仕上剤(1)、
    (2)、(3)が合わせて100重量部であることを特
    徴とする請求項1に記載のポリヘキサメチレンアジパミ
    ド繊維。
  3. 【請求項3】 仕上剤が、さらに、(4)アルカノール
    アミンを0.1〜10重量部含有する請求項2に記載の
    ポリヘキサメチレンアジパミド繊維。
  4. 【請求項4】 硫酸相対粘度ηrが2.8以上、3.7
    以下のポリヘキサメチレンアジパミドからなる繊維を、
    溶融紡出し、冷却し、延伸ロールを用いて多段熱延伸し
    て製造する方法において、溶融紡出し冷却した糸条に、
    仕上剤を0.5〜1.5重量%付与し、次いで、第1段
    目の延伸で鏡面加工と梨地加工された二つの表面領域か
    らなる引取ロールを用いて糸条を鏡面加工された表面で
    引取り、梨地加工された表面から次のゴデットロールに
    引き渡し、引き続き、全延伸比(DR)を4.5〜6.
    9で多段に延伸した後に、最終ゴデットロール温度
    (T)が150℃〜50℃で、リラックス比(RR)が
    下記式の範囲で弛緩熱処理することを特徴とする高タフ
    ネスポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法。 −0.00028×T+0.99≧RR≧−0.000
    28×T+0.956
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