JP4163999B2 - 樹脂補強用ポリエステル繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂のようなハロゲン含有ポリビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合系樹脂等の熱可塑性樹脂の補強用繊維として有用なポリエステル繊維に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、補強用繊維としての力学的、熱的な寸法安定性に優れると共に、イソシアネート系接着剤使用により前記熱可塑性樹脂との優れた接着性を発現し、且つ製糸工程、撚織工程、熱セット工程などの各工程での通過安定性にも優れ、着色等の品位の低下もない樹脂補強用ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート繊維に代表されるポリエステル繊維は、優れた物理的、化学的性質を有していることから、工業的に大量生産され、各方面に多用されている極めて有用な繊維である。例えば、その繊維構造体(撚糸コードや布帛)をポリウレタン系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合系樹脂等(以下、単に樹脂と略記することがある)と組み合わせることにより、帆布、テント、養生シート、搬送用ベルト等の広範な産業資材分野に使われている。
【0003】
しかしながら、ポリエステル繊維はこれら樹脂とは接着性が悪いため、樹脂被覆繊維製品として使用する場合には、繊維・樹脂間の接着性を向上させなければ引裂、屈曲などの応力が負荷されると樹脂・繊維間に剥離が生じるという問題を有している。
【0004】
このような問題を解消するため、従来、製糸工程で繊維表面に接着向上剤を付与する方法が各種提案されている。例えば、特開昭48−27017号公報にはエポキシ化合物を含有する処理剤を付与する方法、特開平5−98577号公報にはアルキルアミノエーテル化合物を含有する処理剤を付与する方法、特開平5−59609号公報にはポリエチレンイミンを含有する処理剤を付与する方法などが提案されている。しかしながら、エポキシ化合物を用いる場合でも通常硬化触媒としてアミン化合物が併用されるため、上記方法はいずれも、加工工程における熱処理により黄変等の変色が発生しやすく、通常透明ないし明色に着色されている樹脂接着用途では問題である。さらには、樹脂補強用として好ましい特性を付与するためにヤング率、切断強度を向上させ、あるいは熱収縮特性を低下させる場合、その熱セット条件が厳しくなるため各種ローラやガイドにスカムが堆積しやすい等の問題もある。
【0005】
一方、このような問題を解消するため、接着処理工程で繊維表面にイソシアネート系接着剤を付与してこれらの樹脂と接着させる方法も実施されている。しかしながら、この方法においても、繊維表面に付与されている処理剤によっては接着処理に先立って該処理剤の付着量を少なくしないかぎり接着性が不十分になるという問題がある。
【0006】
このように、耐黄変性に優れると共に、イソシアネート系接着剤による接着効果も良好なポリエステル繊維は未だ提案されていないのが実状である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭48−27017号公報
【特許文献2】
特開平5−98577号公報
【特許文献3】
特開平5−59609号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、イソシアネート系接着剤を用いてポリウレタン樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合系樹脂等の熱可塑性樹脂と接着する用途において優れた接着性を有し、しかも着色等の品位の低下が抑制された樹脂補強用ポリエステル繊維を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成せんと鋭意検討した結果、イソシアネート系接着剤を使用する場合においては、繊維に付着されている処理剤の種類、特に界面活性剤の種類によっては接着阻害要因になることを見いだし、さらに検討を重ね本発明に到達した。
【0010】
かくして、本発明によれば、「固有粘度が0.65〜0.80のポリエチレンテレフタレートからなる、ヤング率が11.8GPa以上、切断強度が7.0cN/dtex以上、4cN/dtex荷重時の中間伸度が10%以下、切断伸度が13%以上、180℃における熱収縮率が2.0〜8.0%のポリエステル繊維であって、該繊維表面に下記(a)〜(c)成分を含有する処理剤が、繊維重量を基準として0.1〜1.0重量%付着していることを特徴とする樹脂補強用ポリエステル繊維」が提供される。
(a)分子量が400〜900である、多価アルコールの一価脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族多塩基酸の一価アルコールエステル化合物:20〜50重量%
(b)芳香環含有ヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物からなる界面活性剤:20〜50重量%
【0011】
c)分子量が400〜600のポリエチレングリコールと炭素数8〜20の一価脂肪酸とのエステル化合物10〜30重量
【0012】
この様な処理剤を付与した高弾性低収縮のポリエステル繊維の場合、製糸工程、撚糸工程、製織工程、熱処理工程等における、スカム発生による工程通過安定性の低下も抑制できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の樹脂補強用ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレートから構成されるが、該ポリエステルには本発明の目的を阻害しない範囲内、例えば全酸成分を基準として10モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲内で第三成分が共重合されたものであってもよい。好ましく用いられる共重合成分としては、例えば、酸成分としてイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができ、また、ジオール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等を挙げることができる。さらに、上記ポリエステル中には少量の他の重合体や酸化防止剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤その他の添加剤が含有されていてもよい。
【0014】
かかるポリエステルの固有粘度は、0.65以上、好ましくは0.66〜0.80とする必要がある。該固有粘度が0.65未満の場合には、切断強度や切断伸度が低いものとなり、樹脂補強製品に必要な耐久性が得られないので好ましくない。一方、固有粘度があまりに大きくなりすぎると、繊維のヤング率と強伸度特性、熱収縮率とを樹脂補強用として好適な後述の範囲にすることが困難となるので、0.80以下とするのが好ましい。
【0015】
上記ポリエステルからなる本発明の樹脂補強用ポリエステル繊維は、そのヤング率が11.8GPa以上、切断強度が7.0cN/dtex以上、4cN/dtex荷重時の中間伸度が10%以下、切断伸度が13%以上、180℃における熱収縮率が2.0〜8.0%の特性を有している必要があり、このような高弾性低収縮のポリエステル繊維である時、製糸工程、撚糸工程、製織工程、熱処理工程等における、スカム発生による工程通過安定性の低下も抑制できるので好ましい。すなわち、このような特性を有するポリエステル繊維は、その製造工程で高温熱処理が施されるため、処理剤には特に耐熱性を要求されるが、上記処理剤は特に耐熱性に優れているので、製糸工程だけでなく、撚糸・製織・熱処理工程等においてもその工程通過性が良好となるのである。
【0016】
なお、繊維のヤング率は11.8GPa(1200kg/mm2)以上、好ましくは12.3GPa(1250kg/mm2)以上である場合、繊維の腰が十分となって繊維単糸間に隙間が発生しやすくなるため、接着剤や樹脂がマルチフィラメント内部にまで十分浸透して接着性が向上するので好ましい。
【0017】
また切断強度は、製品重量対比の強力の点から7.0cN/dtex以上、好ましくは7.3cN/dtex以上であるが、高くしすぎると製糸性の悪化や切断伸度低下によるタフネスの低下をまねきやすいので、高々8.0cN/dtexとするのが好ましい。
【0018】
次に4cN/dtex荷重時の中間伸度は10%以下とするのが、荷重に対する伸びを一定以下とする寸法安定性の点から好ましく、特に最終製品の他物性とのバランスから5〜9%の範囲が適当である。
【0019】
破断伸度は13%以上、好ましくは15%以上とするのが、繰返し応力が負荷された場合でも、応力集中による断糸を抑制して耐疲労性を向上させる上で好ましい。
【0020】
さらに、180℃における熱収縮率は2.0〜8.0%、好ましくは3.0〜6.0%とするのが、ポリ塩化ビニル樹脂などを樹脂加工する場合、繊維コードや織物にその均整性を良好な範囲に留める上で好ましい。
【0021】
次に、本発明で用いられる処理剤中には、(a)成分として、分子量が500〜900である、多価アルコールの一価脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族多塩基酸の一価アルコールエステル化合物が20〜50重量%、好ましくは30〜50重量%含まれている必要がある。かかるエステル化合物は、いわゆる平滑剤としての作用をなすもので、高弾性低収縮が好ましいとされる樹脂補強用分野において、近年の高速製糸への要求に対応するためには高温熱処理に耐え、熱揮散による発煙や熱劣化によるスカムの堆積し難いものが要求される。そのため該エステル化合物の分子量は500〜900、好ましくは600〜900の範囲である必要があり、500未満の場合には、製糸工程における熱処理時に発煙が生じやすく、また加熱ローラー上にスカムの堆積を生じることもある。一方、900を超える場合には、耐熱性は良好になるものの潤滑性が不十分となり安定製糸を損ねるので好ましくない。
【0022】
かかるエステル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラカプリレート、トリメチロールプロパントリラウレート、グリセリントリステアレート、ジオレイルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジイソステアリルチオプロピオネート等があげられ、なかでもチオジプロピオン酸のジエステル化合物がその耐熱性に優れるので好ましい。
【0023】
かかるエステル化合物は、その平滑作用を発現させるためには処理剤有効成分を基準として少なくとも20重量%必要であるが、多くなりすぎると繊維をイソシアネート系接着剤で処理した場合、その接着剤皮膜の表面にブリードアウトして接着阻害を引起すので50重量%が上限である。
【0024】
次に、本発明者らの研究によれば、処理剤中の界面活性剤成分は、イソシアネート系接着剤皮膜の中に取り込まれて、該接着剤皮膜の物性に大きく影響することが判明し、界面活性剤の種類によっては接着剤皮膜のタフネスを低下させて接着性能を阻害することが判明した。そして検討を進めた結果、その分子構造に芳香環、特に2〜4個の芳香環を有するヒドロキシ化合物に、アルキレンオキサイド特にエチレンオキサイドを付加した界面活性剤は、接着阻害を引起すことはないばかりか、逆に接着剤皮膜物性を高める作用があることを見出した。かかる界面活性剤としては、具体的にはノニルフェノール、ベンジルフェニルフェノール、トリベンジルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール類のエチレンオキサイド付加物を例示することができ、なかでも例えばベンジルフェニルフェノール、トリベンジルフェノール、トリスチレン化フェノールなどの芳香環を2〜4個有するフェノール類のエチレンオキサイド付加物が好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、少なすぎると界面活性効果が不十分となり、逆に多すぎると親水性が強くなり接着剤との親和性が低下して接着阻害をきたすため、2〜20モル、特に3〜10モルの範囲が適当である。
【0025】
かかる(b)成分は、少なすぎると界面活性効果が不十分となって処理剤をエマルションとして使用する場合、その安定性が低下し、逆に多すぎると平滑性に悪影響を及ぼすので20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%の範囲とする必要がある。
【0026】
本発明で用いられる処理剤には、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、上記成分以外の平滑剤、乳化調整剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐光安定剤等を適宜必要に応じて併用しても構わない。特に分子量が400〜600のポリエチレングリコールと炭素数が8〜20の一価脂肪酸とのエステル化合物は、それ自体で平滑作用と界面活性作用とを同時に発揮するので処理剤有効成分の10重量%以上併用しても構わないが、この含有量が多くなりすぎると接着性が低下する傾向にあるので高々30重量%とするのが望ましい。なお、アミン化合物は、適量使用で接着性向上効果が期待できるものの、熱処理による黄変が起こりやすいので、高々3重量%、特に実質的には含有させないことが好ましい。
【0027】
次に、処理剤を繊維表面に付着させる方法は、特に限定されず従来公知の方法を採用すればよい。例えば、製糸時、エマルジョンや溶剤希釈、或いはそのままニートのいずれの形態で給油しても構わないが、エマルション給油が取扱いの点で好ましく採用される。また、給油方法も、ローラータッチ、計量オイリングノズル、油剤液中ディップやスプレーなどいずれの方法も採用できる。
【0028】
処理剤の付着量は、繊維重量を基準として0.15〜1.0重量%、好ましくは0.25〜0.75重量%付着していることが必要である。0.10重量%未満の場合には、繊維表面の摩擦特性が高くなり、延伸及び加工時に擦れによる毛羽や糸切れが発生して工程通過性が低下するので好ましくなく、一方、1.0重量%を超える場合には、接着処理をしたときの接着剤成分を薄める結果となり、接着剤の凝集力が低下して接着性が不十分となるので好ましくない。
【0029】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各物性値は下記の方法で測定した。
【0030】
(1)固有粘度
ポリマー又は繊維をフェノール/テトラクロロエタン=1/1(容量比)混合溶媒に溶解し、30℃において測定した。
【0031】
(2)繊度、切断強度、切断伸度、乾熱収縮率、ヤング率(見掛ヤング率)
JIS−L1013に準拠して測定した。
【0032】
(3)接着力
得られた原糸を撚り数15T/10cmとなるよう撚糸し、経60本/5cm、緯60本/5cmとなる密度で織物を作り、ついでピンテンターに5%収縮を許す条件下200℃で90秒熱セットした。この熱セット反にイソシアネート系接着剤(大日本インキ(株)製)を塗布(厚み0.05mm)し、24時間風乾した。このセット反を2反用意し、一方に塩ビプラスチゾル(日本ゼオン(株)製)を塗布(220g/m2)した後、2反で挟み、3kg/cm2の荷重下190℃で3分の熱処理を行った。24時間放置後、塩ビと織物間の180°剥離力を引張試験機で測定した。接着力はN/2.54cmの値で示した。
【0033】
(4)製品性能
接着力:25N/2.54cm以上を○、未満を×と表示した。
工程通過性:撚糸工程における糸切れ回数が1回/100km未満、且つ製織時の糸切れが1回/100km未満である時を○、これ以上を×とした。
製品耐久性:撚り数をS撚り15T/10cmとなるように撚糸し、ついでピンテンターに5%収縮を許す条件下200℃で90秒熱セットした。このコードを用い室温で荷重14.7N(1.5kgf)をかけ、屈曲径10mmのロール上で往復運動を60回/分の速度で6000回行い、試験後の残存強力を維持率で求めた。この残存強力が70%以上であった場合を○、70%未満の場合×とした。
製品品位:目視で均整性、変色、毛羽を確認し何れも問題ない場合○、1つでも問題あれば×とした。
製品寸法安定性:(3)項で製作した織物の2%伸度における荷重が200N以上の場合○、未満の場合を×とした。
【0034】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのチップを65Paの真空度下、100℃で2時間予備結晶化した後、同真空下230℃で固相重合を行い、固有粘度0.68のポリエチレンテレフタレートチップを得た。このチップを孔径0.4mm、孔数192個の紡糸口金より紡糸温度280℃で押出し、300℃とした口金下の加熱雰囲気中を通過させ、25℃の冷却風で冷却固化し、オイリングローラで表1記載の処理剤を付着量が0.4重量%となるように付与した後、紡糸速度670m/分で引取った。
【0035】
引取った未延伸糸を、一旦巻取ることなく連続して、100℃とした熱ローラと130℃とした延伸ローラとの間で3.00倍に延伸し、次いで該延伸ローラと第2延伸ローラとの間で1.74倍に2段延伸を行なった。その際第2延伸ローラを230℃の温度(熱セット温度)にして熱セットを施した。次いで、該熱セットローラと弛緩ローラ間で弛緩率6.5%にて弛緩後、3500m/分速度で巻取って延伸糸を得た。得られた延伸糸の物性と樹脂補強製品性能を表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004163999
【0037】
【表2】
Figure 0004163999
【0038】
[実施例5〜6、比較例4〜5]
実施例1において、処理剤の付着量を表3に記載のとおり変更する以外は実施例1と同様にして延伸糸を得た。得られた延伸糸を用いた樹脂補強製品性能を表3に示す(実施例1の結果も併記する)。
【0039】
【表3】
Figure 0004163999
【0040】
[実施例7、比較例6〜9]
実施例1において、固相重合時間を調整して表4記載の固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートチップを得た。このチップを孔径0.4mm、孔数192個の紡糸口金より固有粘度に応じて表4記載の紡糸温度で押出し、300℃とした口金下の加熱雰囲気中を通過させ、25℃の冷却風で冷却固化し、オイリングローラで実施例1で使用した処理剤を付着量が0.4重量%となるように付与した後、表4記載の紡糸速度で引取った。
【0041】
引取った未延伸糸を、一旦巻取ることなく連続して、100℃とした熱ローラと130℃とした延伸ローラとの間で3〜4倍に延伸し、次いで該延伸ローラと第2延伸ローラとの間で表5記載の原糸性能が得られるように延伸倍率を調整して2段延伸を行なった。その際第2延伸ローラを表4記載の温度(熱セット温度)にして熱セットを施した。次いで、該熱セットローラと弛緩ローラ間にて表4の弛緩率にて弛緩後、表4記載の速度で巻取って延伸糸を得た。得られた延伸糸の物性と樹脂補強製品性能を表5に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004163999
【0043】
【表5】
Figure 0004163999
【0044】
【発明の効果】
本発明の樹脂補強用ポリエステル繊維は、その繊維表面に前述の特定処理剤が付与されているので、力学的特性、熱的寸法安定性、耐横変性等に優れているとともに、樹脂加工するまでの各種工程における工程通過性にも優れており、品位に優れた繊維補強樹脂製品を生産性よく提供することができる。また、得られた繊維補強樹脂製品は、繰返し応力が負荷される用途、繰返し湿熱や乾熱処理が施される用途においてもその均整性を維持でき、耐久性に優れるという長所をも有する。

Claims (7)

  1. 固有粘度が0.65〜0.80のポリエチレンテレフタレートからなる、ヤング率が11.8GPa以上、切断強度が7.0cN/dtex以上、4cN/dtex荷重時の中間伸度が10%以下、切断伸度が13%以上、180℃における熱収縮率が2.0〜8.0%のポリエステル繊維であって、該繊維表面に下記(a)〜(c)成分を含有する処理剤が、繊維重量を基準として0.1〜1.0重量%付着していることを特徴とする樹脂補強用ポリエステル繊維。
    (a)分子量が500〜900である、多価アルコールの一価脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族多塩基酸の一価アルコールエステル化合物:20〜50重量%
    (b)芳香環含有ヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物からなる界面活性剤:20〜50重量%
    (c)分子量が400〜600のポリエチレングリコールと炭素数8〜20の一価脂肪酸とのエステル化合物:10〜30重量%
  2. 芳香環含有ヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物が芳香環を2〜4個有するフェノールにエチレンオキサイドを2〜20モル付加したものである請求項1記載の樹脂補強用ポリエステル繊維。
  3. 180℃における熱収縮率が3.0〜6.0%である請求項1又は2記載の樹脂補強用ポリエステル繊維。
  4. ポリエステル繊維が撚糸されたものである請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂補強用ポリエステル繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂補強用ポリエステル繊維を製織することを特徴とする樹脂補強用ポリエステル繊維織物の製造方法。
  6. 製織後に熱処理する請求項5記載の樹脂補強用ポリエステル繊維織物の製造方法。
  7. 製織後にイソシアネート接着剤を塗布する請求項5または6記載の樹脂補強用ポリエステル繊維織物の製造方法。
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