JP2008223148A - 常圧カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スルホン酸ホスホニウム塩を共重合したカチオン可染ポリエステル極細仮撚糸の仮撚工程での工程調子を改良し、力学特性、濃染色性、特に黒色の色調が改善された常圧カチオン可染性極細ポリエステル仮撚加工糸を歩留まり良く提供する。
【解決手段】スルホン酸ホスホニウム塩を共重合した極限粘度0.6以上の改質ポリエステルからなる高配向ポリエステル未延伸糸を延伸仮撚加工して、単糸繊度が1.5dtex以下、強度が3.0cN/dtex以上、TCが3.0%以上であるカチオン可染極細仮撚加工糸を製造するに際し、該高配向ポリエステル未延伸糸のスルホン酸ホスホニウム塩の共重合モル比を2.5〜7.0モル%、強度を1.5cN/dtex、ΔIVを0.05未満、及びドラフト率を700/M≦ドラフト率≦2500/Mを満足するようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、常圧で濃色カチオン可染性を有するポリエステル極細仮撚加工糸に関する。
一般にポリエステル繊維、特にポリエチレンテレフタレート繊維は強度、寸法安定性等多くの優れた特性を備え種々の用途に利用されている。反面、ポリエチレンテレフタレート繊維は染色性が劣り、染色に際しては130℃付近の高温高圧で染色する必要があるため特別な装置を必要としたり、またウール、アクリル等高圧染色により特性低下を生じる繊維との混用に制限がある等の欠点を有している。
ポリエチレンテレフタレート繊維の染色性改良、常圧可染化に関しては、いくつかの試みがなされており、例えば染色時にキャリヤーを用いる方法が知られているが、特別なキャリヤーを要すること、染色液後処理が困難なこと等の欠点がある。また染色性の改良されたポリエチレンテレフタレートとして金属スルホネート基含有化合物やポリエーテルを共重合したものが知られているが、例えば特公昭34−10497号公報、特開2000−355831号公報等には、スルホン酸金属塩基を含有するイソフタル酸成分、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分をポリエステルに共重合することによりカチオン染料で染色可能にする方法が提案されている。しかしながらこれらの変性ポリエステルは、染色性は向上するものの、重合、紡糸が困難であったり、或いはポリエチレンテレフタレート本来のすぐれた性質を低下せしめたり、更には染色堅牢度が劣る等の欠点があった。特に、ソフトで良好な風合を有する、単糸繊度1.5dtex以下の極細仮撚加工糸に用いるには、上記変性ポリエステルは曳糸性が極めて悪く、紡糸中に単糸切れが頻発して安定に紡糸できない、紡糸できたとしても、得られた糸は力学特性が著しく低くなる為、一定の布帛強度が要求されるスポーツ衣料のような高密度織物(ダウンプルーフ、スキーウエア等)には利用されていないのが現状である。
別の染色性改良の方法として化学的改質によらない試みがなされており、例えば高速紡糸、高ドラフト紡糸、高異形断面化等の方法が知られている。しかしながら、これら物理的改質手段のみでのアプローチは、ある程度の易染性は得られるものの、細繊度で常圧可染のレベルまで染色性を改善することは難しかった。
また、特開平5−230713号公報には、カチオン可染剤としてスルホン酸ホスホニウム塩を特定量共重合したポリエステルを特定ドラフト率で高速紡糸することが提案されている。この方法により上記常圧可染性はある程度解決されるが、しかしながら狙いとする極細繊度の仮撚加工糸とする場合には、仮撚加工工程での断糸や毛羽の発生が多く織物品位や歩留まりが低下するという問題点があった。
更に特開平3−241024号公報には、カチオン可染剤としてスルホン酸ホスホニウム塩を共重合した0.7デニール以下の極細繊度のカチオン可染極細ポリエステル仮撚糸において、高配向未延伸糸の複屈折率を特定の範囲に収めることにより仮撚加工工程の安定性を得ることが提案されている。確かに高配向未延伸糸の複屈折率は効果はあるものの十分ではなく、更に仮撚加工工程安定性を向上させる必要があり、又極細繊度での更なる濃色可染性が求められていた。
特公昭34−10497号公報 特開2000−355831号公報 特開平5−230713号公報 特開平3−241024号公報
本発明の目的は、スルホン酸ホスホニウム塩を共重合した濃色に染色可能なカチオン可染ポリエステル極細仮撚加工糸の製造工程において、仮撚加工工程での断糸、毛羽発生等の問題の解消と濃染性を両立させる製造方法を提供することにある。
特定のスルホン酸ホスホニウム塩を共重合した極限粘度0.6以上の改質ポリエステルを紡糸してなる高配向ポリエステル未延伸糸を延伸仮撚加工し、単糸繊度が1.5dtex以下、強度が3.0cN/dtex以上、TCが3.0%以上である常圧カチオン可染極細仮撚加工糸を製造するに際し、該高配向ポリエステル未延伸糸のスルホン酸ホスホニウム塩の共重合モル比を2.5〜7.0モル%、強度を1.5cN/dtex以上、ΔIVを0.05未満、及びドラフト率を次式を満足するように設定することにより濃色カチオン可染性と仮撚工程調子を向上させる。700/M≦ドラフト率≦2500/M
本発明によれば、仮撚加工用原糸として使用する、スルホン酸ホスホニウム塩共重合改質ポリエステルからなる高配向未延伸糸のスルホン酸ホスホニウム塩共重合モル比、強度、ΔIV及びドラフト率を、特定範囲にすることにより大幅に仮撚工程調子が改善され、常圧の沸水中で細繊度でも特に濃色、特に濃黒色可染性が改善された常圧カチオン可染極細ポリエステル仮撚加工糸とすることができる。
本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを主たる対象とする。
また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであってもよく、及び/又はグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコールもしくは他のジオール成分で置換えたポリエステルであってもよい。
ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β―ヒドロキシエトキシ安息香酸、p―オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。更に本発明の効果が実質的に奏せられる範囲で5―ナトリウムスルホイソフタル酸等の金属スルホネート基を有するイソフタル酸を共重合成分として用いてもよいが、この場合、その使用量をテレフタル酸成分に対して1.0モル%未満の量に抑えることが望ましい。
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては例えばシクロヘキサン―1,4―ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物及びポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
本発明においては、上記ポリエステルのポリマー鎖の中に下記一般式
[X1−A−X2]
| ・・・・・・・式(I)
(SO
で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩がポリエステルの酸成分に対して2.5〜7.0モル%共重合されていることが必要である。2.5モル%未満では常圧カチオン可染とはならず、7.0モル%を超える場合は強度が低下し仮撚加工工程において毛羽や断糸が発生するので好ましくない。濃黒色と強度の点から好ましくは3.5〜5.5モル%である。
上記一般式中Aは芳香族基又は脂肪族基であり、芳香族基が好ましい。X1及びX2はエステル形成性官能基であり、カルボキシル基、クロロカルボキシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。このX1及びX2は同一であっても、異なっていてもよい。R1、2、及びRは水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基であり、アルキル基が好ましく、なかでもブチル基が特に好ましい。このR1、2、3、は同一であっても異なっていてもよい。但し、後に述べる理由によりR1、2、3、の分子量の合計は60以上であることが必要である。また、nは正の整数であり、通常は1又は2である。
かかるスルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、2,6―ジカルボメトキシナフタレン―4―スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩等が挙げられる。
上記スルホン酸ホスホニウム塩をポリエステルの主鎖中に共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、好ましくは第1段の反応が終了する以前の任意の段階で上記化合物を添加すればよい。
このようにして得られる改質ポリエステルは、その極限粘度[η]が0.6以上、好ましくは0.63以上であることが必要である。0.6を下回る場合には、得られる易染性カチオン可染仮撚加工糸の力学特性、特に強度が不足し、本発明の目的が達成されない。
本発明の易染性カチオン可染撚加工糸は強度が3.0cN/dtex以上、TCが3.0%以上である必要がある。強度が3.0cN/dtex以下の場合には得られる布帛の強度が低下し、一定の布帛強度(引き裂き強力)が要求されるスポーツ衣料のような高密度織物(ダウンプルーフ、スキーウエア等)には利用出来ず、用途が限定されてしまう。又TCは3.0%未満であれば布帛にした時にペーパーライクでボリューム感がなく好ましくない。
一般に化学改質を行ったポリエステルの高速紡糸は製糸の調子を著しく悪化させる。しかしながら、本発明においては特定のスルホン酸ホスホニウム塩を共重合することによって、ポリエステルの高速紡糸曳糸性は著しく改善されている。この理由はおよそ次のとおりである。すなわち、高速紡糸されている溶融流の中に分子鎖の絡み等不均一な部所があると、その点に過度に強い応力が集中する。これは紡糸の引取速度が高くなる程顕著になり、走行フィラメント切断の主要な原因になる。このミクロな応力集中を避けるためには、例えば紡糸温度を上げたりポリエステルの分子鎖長を短くする等の手段があるが、これらの手段には限界があり、また力学特性が悪化する等の欠点が付随する。これに対して本発明のポリエステルでは、分子鎖間に相当バルキーなボリュームを有するホスホニウム塩基、Pが挟み込まれており、この結果隣接する分子鎖との距離を押しひろげることになる。その結果、分子鎖相互のからみあいの確率は極端に低くなり、ミクロな応力集中が回避されて曳糸性が向上するのである。
従ってPの嵩性は重要であり、R1、2、3、の合計の分子量が60に達しないような場合、隣接分子鎖を排除する効果が小さくなり曳糸性は改善されない。
同様な考え方に立ち、本発明にかかるポリエステルのPと同程度の嵩性を持つ側鎖をポリエステルに与えた場合(すなわち分岐ポリエステルとした場合)、高速の曳糸性は逆に悪化する。この理由は、隣接分子鎖との距離は押し広げられるであろうが、分岐点そのものが応力集中点となるからである。本発明のポリエステルの場合には、Pとポリエステル本体とは、イオン結合で適度に軽く結ばれているため、強い外力が作用すると容易に解離することが可能となり、応力集中が避けられるのである。
本発明の易染性カチオン可染極細仮撚加工糸は上記改質ポリエステルを例えば2000〜3500m/分の引取速度で溶融紡糸した高配向ポリエステル未延伸糸(以後POYと略称することがある)を用いて、延伸仮撚加工することによって得られるが、延伸仮撚加工する際、高配向ポリエステル未延伸糸の強度を1.5cN/cm以上とすること、溶融紡糸する際の粘度変化(ΔIV)を0.05未満に抑えること、且つドラフト率(ここでドラフト率とは、引取速度/吐出線速度を示す)を700/M≦ドラフト率≦2500/M〔但し、Mはスルホン酸ホスホニウム塩の全酸成分に対する共重合(モル%)を示す。〕の範囲にすることが重要であり、これらの条件を全て満足する必要がある。
高配向ポリエステル未延伸糸の強度が1.5cN/cm未満である場合、1.5dtex未満のような極細仮撚糸とするとき強度が不足し仮撚加工工程での断糸、毛羽発生が多発する。
又高配向ポリエステル未延伸糸のΔIVが0.05以上の場合も加水分解等に起因する毛羽が発生し仮撚加工原糸として適さない。ΔIVを0.05未満の所定範囲に収める方法としては、例えば紡糸温度を調整したり、又適切な分解抑制剤等を添加することが好ましい。
又一般的なポリエステルの場合、ドラフト率を700/M以上とする高ドラフト紡糸する場合、易染性は向上するが工程調子が悪化する傾向にある。本発明に使用するスルホン酸ホスホニウム塩を特定量共重合したポリエステルを用いた場合は、通常のポリエステルの場合よりも高ドラフト率で紡糸することが可能になるという利点があるが、但し本発明のように単糸繊度1.5dtex以下の極細仮撚糸とする場合、ドラフト率を2500/Mを超えると紡糸調子の悪化だけでなく仮撚加工工程での断糸や毛羽の増加を招くので、ドラフト率は700/M〜2500/Mの範囲に調整する必要がある。
単にスルホン酸ホスホニウム塩を共重合したとしても常圧である程度の黒色となるが、特に耐候性が良く鮮明な黒色をえるためには、このドラフト率の条件を満足する必要があり、この条件を満足しない場合は常圧で鮮明な濃黒色可染性とはならない。
仮撚加工方法としては公知の方法で行うことが出来るが、例えば図1で示されるような接触式のヒーターを備えた仮撚加工機を用い、下記(ア)及び(イ)を同時に満足する条件で延伸仮撚加工される。
(ア)第1仮撚ヒーターの温度が100〜300℃
(イ)仮撚数(回/m)が15000/D1/2〜30000/D1/2
得られた仮撚加工糸は織編等の常法により布帛とし、更にカチオン染料により常圧90〜100℃の沸騰水中で染色することが好ましい。例えばKAYACRYL BLACK R−ED等の黒色カチオン染料で濃黒色に染色することにより細繊度でありながら鮮明で高品位の漆黒布帛が得られた。得られた布帛は裁断縫製しスキー用衣料等のスポーツ衣料用途として好ましく用いられる。又本発明の加工糸を他の常圧染色性繊維と混用することが出来るので様々な用途展開が可能である。
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、各特性値の測定は下記にしたがい、本実施例に用いる評価は下記の方法によって評価した。
ポリマーの極限粘度[η](IV)
(1)固有粘度
オルソ−クロルフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
(2)ΔIV
△IV: 改質ポリエステルチップのIV−高配向ポリエステル未延伸糸のIV
ドラフト率
引取速度/吐出線速度で示す。
最大点強度(St)、破断点伸度(El)
テンシロン引張試験機を用いて得られた荷伸曲線から求めた。なお、試料長20cm、伸長伸度20%/分とした。
引き裂き強度
JIS L−1096−8.15.5 D法(ペンジュラム法)に準拠した。
◎・・・・1000cN以上
○・・・・600cN≦引き裂き強度<1000
×・・・・600cN以下
TC(捲縮率)
仮撚加工糸に0.044cN/dtexの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該カセの一端に、0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.0177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥し、再び0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さを測定しS1(cm)とした。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さを測定しS2とし、次の算式で捲縮率を算出し、10回の測定値の平均値で表した。
TC(捲縮率)(%)=[(S1−S2)/S0]×100
織物の視感染色性
染色布の視感染色性は、ミノルタ色彩色差計CR−200(ミノルタカメラ販売(株))を用い、染色布の深色度L*値を測定した。L*値が低いほど濃色性を示す。
織物の風合と鮮明性の官能評価
織物の風合を下記の基準で官能判定した。
◎:ソフトでしなやかな感触がある
○:ややソフト感が乏しいが反撥性は感じられる
×:カサカサした触感あるいは硬い触感である
仮撚工程調子
帝人製機製216錘建HTS−15V(2ヒーター仮撚加工機で非接触式ヒーター仕様)にて、延伸仮撚加工を1週間連続実施し、延伸仮撚機1台・1日当たりの断糸回数を延伸仮撚断糸とした。ただし、糸繋ぎ前後による断糸(ノット断糸)あるいは自動切替え時の断糸等、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
○ 良好(断糸10回/日未満)
× 不調(断糸10回/日以上)
[実施例1〜4]
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール66部、表1に記載した量の3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(テレフタル酸ジメチルに対するモル%、またR、R、R、Rの合計分子量は228である。)、酢酸、マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.024モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成物に正リン酸の56%水溶液、0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.033モル%)及び三酸化アンチモン0.04部(0.027モル%)を添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃から280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で表1に記載した固有粘度に達するまで重合した。
得られたポリエステルを常法により乾燥し、水分率を100ppm以下に調節し、孔径0.25mmの円形吐出孔を72個穿設した紡糸口金を使用して表1に示す温度で溶融紡糸し、毎分2800m、表1に示すドラフト率で引き取り、高配向未延伸糸(POYと略称)を得た。
[比較例1]
実施例1で紡糸温度を270℃とした以外は同様の方法で行った。
[比較例2〜6]
チップ水分率、紡糸温度、ドラフト率、使用する紡糸口金の円形吐出孔径を表1に示した条件で行って高配向未延伸糸を得た。
インターレースノズルにより、オーバーフィード率1.5%、圧空圧3kg/cmで60ケ/mの交絡を付与し、引続いて延伸倍率1.50、ヒーター温度190℃、仮撚装置に外接式摩擦仮撚装置を用い、600m/分で延伸仮撚加工した。
本発明のものは仮撚加工において断糸や毛羽の発生が少なく、安定性が高く、比較例は比較例5を除き毛羽の発生が多く製品品位が悪いものとなった。
この加工糸を製織してなる布帛を黒カチオン染料KAYACRYL BLACK R−EDを2.0%owf含む染浴(助剤として芒硝3g/l,酢酸0.3g/lを含む)で沸水で60分間染色した。
染色布の黒色調は第1表に示すように、L*は10前後であり、鮮明で高品位な濃黒色染色性を示し、且つ極細繊度であるため風合いの非常に優れたものであった。比較例5は濃染性の点で劣るものであった。
Figure 2008223148
本発明のカチオン染料可染性(以下、カチオン可染)極細加工糸は、常圧の沸水中で濃色に染色することが可能で、特に黒色の色調が改善され、かつ、力学特性、風合いに優れ、スポーツ衣料を始めとする高密度織物(ダウンプルーフ、スキーウエア等)、紳士婦人衣料、その他幅広い用途に適用出来る。
本発明方法を実施する仮撚加工装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 ポリエステル未延伸糸
2 糸ガイド
3、3’ フィードローラー
4 インターレースノズル
5 第1ヒーター
6 冷却プレート
7 仮撚ディスクユニット
8 第1デリベリーローラー
9 第2ヒーター
10 第2デリベリーローラー
11 巻取ローラー
12 ポリエステル仮撚加工糸チーズ

Claims (6)

  1. 下記一般式で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩を共重合した極限粘度0.6以上の改質ポリエステルを紡糸してなる高配向ポリエステル未延伸糸を仮撚加工し、単糸繊度が1.5dtex以下、強度が3.0cN/dtex以上、TC(全捲縮率)が3.0%以上であるカチオン可染極細仮撚加工糸を製造するに際し、該高配向ポリエステル未延伸糸として下記要件を満足する高配向ポリエステル未延伸糸を使用することを特徴とする常圧カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法。
    [X1−A−X2]
    | ・・・・・・・式(I)
    (SOPR
    (式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子、R、R、R及びRはアルキル基及びアリール基より選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示す)
    a)高配向ポリエステル未延伸糸のスルホン酸ホスホニウム塩の共重合モル比がポリエステル全酸成分に対して2.5〜7.0モル%であること。
    b)該高配向ポリエステル未延伸糸の△IVが、△IV<0.05であること。
    ここで△IV: 改質ポリエステルチップのIV−高配向ポリエステル未延伸糸のIV
    c)高配向ポリエステル未延伸糸の強度が1.5cN/dtex以上であること。
    d)高配向ポリエステル未延伸糸のドラフト率が700/M≦ドラフト率≦2500/Mであること。
    〔但し、Mはスルホン酸ホスホニウム塩のポリエステル全酸成分に対する共重合(モル%)を示す。〕
  2. 高配向ポリエステル未延伸糸のスルホン酸ホスホニウム塩の共重合モル比がポリエステル全酸成分に対して3.5〜5.5モル%である請求項1記載の常圧カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法。
  3. 下記一般式で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩を共重合した極限粘度0.6以上の改質ポリエステルを紡糸してなる高配向ポリエステル未延伸糸を仮撚加工し、単糸繊度が1.5dtex以下、強度が3.0cN/dtex以上、TC(全捲縮率)が3.0%以上であるカチオン可染極細仮撚加工糸を製造するに際し、該高配向ポリエステル未延伸糸として下記要件を満足する高配向ポリエステル未延伸糸を使用して得られた常圧カチオン可染極細仮撚加工糸を含む布帛。
    [X1−A−X2]
    | ・・・式(I)
    (SOPR
    (式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子、R、R、R及びRはアルキル基及びアリール基より選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示す)
    a)高配向ポリエステル未延伸糸のスルホン酸ホスホニウム塩の共重合モル比がポリエステル全酸成分に対して2.5〜7.0モル%であること。
    b)該高配向ポリエステル未延伸糸の△IVが、△IV<0.05であること。
    ここで△IV: 改質ポリエステルチップのIV−高配向ポリエステル未延伸糸のIV
    c)高配向ポリエステル未延伸糸の強度が 1.5cN/dtex以上であること。
    d)高配向ポリエステル未延伸糸のドラフト率が700/M≦ドラフト率≦2500/Mであること。
    〔但し、Mはスルホン酸ホスホニウム塩のポリエステル全酸成分に対する共重合(モル%)を示す。〕
  4. 請求項3記載の布帛を染色して得られた染色布帛。
  5. 請求項3記載の布帛を黒色に染色した染色布帛。
  6. 請求項4、5記載の染色布帛を含む衣服。
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