JP2006283203A - カチオン可染性特殊断面仮撚加工糸及びその製造方法 - Google Patents

カチオン可染性特殊断面仮撚加工糸及びその製造方法 Download PDF

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正明 柳原
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Abstract

【課題】 異形断面仮撚加工糸においても、カチオン染料により濃色且つ鮮明に染色可能であると共に、吸水・速乾性に優れ、ソフト感が良好で、ベタツキ感がなく、しかも経筋欠点がない品位に優れた布帛を製造することが可能なカチオ染料可染性特殊断面仮撚加工糸を提供すること。
【解決手段】 特定の構造を有するスルホン酸ホスホニウム塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩を除く全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合され、且つ特定の構造を有する有機スルホン酸金属塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%含有されたポリエステルからなる仮撚加工糸であって、該仮撚加工糸を構成する単繊維の横断面形状が、その長軸方向に3〜7個のくびれ部を有し、扁平係数が2〜7であり、且つ該仮撚加工糸の捲縮率が3〜12%である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カチオン染料で染色した際に改善された染色性や鮮明発色性及び吸水・速乾性が良好な特殊断面形状を有する仮撚加工糸に関するものである。
さらに詳しくは、従来濃色且つ鮮明なカチオン染色が困難であり、その上強度等の物性が得られ難かった異形断面仮撚加工糸においても、カチオン染料で染色した際にナイロン繊維を凌駕する鮮明発色性と改善された染色性が得られると共に、強度等の物性も改良され、さらには吸水・速乾性が良好な特殊断面形状を有する仮撚加工糸に関するものである。
ポリエステルは多くの優れた特性を有しているために繊維やフィルムとして広く用いられているが、染色性が低く、分散染料以外の染料では染色が困難であるため、その改善策が切望されてきた。
染色性を改良する方法としては、例えばポリエステル主鎖中に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の如きスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させることによって、カチオン染料可染性とする方法が古くから知られている(特公昭34−10497号公報)。
しかしながら、該方法ではカチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不充分であるのみならず、共重合によってポリマーの溶融粘度が著しく増大し、重合度を充分に高めることが困難になると共に、紡糸の工程調子が不良となり、充分な強度を有する繊維が得られないという問題があった。
かかるカチオン染料可染性ポリエステルの欠点を解消するため、本発明者らは先にスルホン酸ホスホニウム塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させたポリエステル繊維を提案した(特公平3−61766号公報)。この方法によればポリマーの溶融粘度増大が抑制されるため、高重合度で且つ低溶融粘度のポリエステルが容易に得られ、充分な強度を有する繊維が得られるだけでなく、カチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性も改良できる。
しかしながら、この方法を採用しても、例えば異形断面繊維を製造した場合には、繊維表面における反射光が増大するためにカチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不足する上、強度等も不充分となるという問題があった。
また、前述のスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させたポリエステルに、アルキルスルホン酸金属塩やアルキルベンゼンスルホン酸金属塩などの有機スルホン酸金属塩を配合したポリエステルも開発されており、これらのポリエステルから高強力を有するカチオン可染性ポリエステル繊維が得られること(特開平4−264126号公報)も知られている。
しかしながら、該方法においても、繊維の強度などの物理特性と、濃色性や鮮明発色性との間には二律背反の関係があり、両者を共に満足する繊維は得られていないのが実情である。
さらに、特許第2915045号公報には、高強力のカチオン可染性極細仮撚加工糸が得られることが示されているが、やはり異形断面繊維を製造した場合には、繊維表面における反射光が増大するためにカチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不足する上、強度等も不充分となるという問題があった。
一方、ポリエステルはその優れた特性を生かし衣料用繊維として広く用いられている。しかしながら、ポリエステルは吸湿・吸水性が極めて低いため、ブラウスなどに使用した場合、特にムレ感などによる不快感を招くことが多く、吸水速乾性の機能が要求されるので、これまで様々な方法でポリエステルに吸湿・吸水性を付与する方法が提案されてきた。
上記の吸湿速乾性の要求に対しては、特開平6−279658号公報に、繊維断面に凹部を有するポリエステル繊維を多層構造の布帛となし、吸収された水分を構成繊維間空隙に導水して布帛の吸水速乾性を高める方法が提案されている。
しかし、このように特殊な構造の布帛を製造するとコスト高となるため、その使用範囲は限定されたものとなる。また、繊維断面に凹部を有するポリエステル繊維を仮撚加工すると、繊維断面が大きく変形して、導水効果をもたらす繊維単糸間の毛細管間隙が形成されないことが多くなる。
これに対して、我々は、特開2002−105644号公報において、3〜6個の凹部が存在し、開口深度が0.3以上の凹部が、繊維断面全凹部に対して50〜80%存在し、扁平断面係数の平均値が1.5〜3.5、標準偏差が0.3〜1.0である仮撚加工糸を提案し、該仮撚加工糸を用いれば、吸水・速乾性を著しく向上できることがわかった。
かかる仮撚加工糸はベタツキ感の点でも従来にくらべ改善はされてはいるものの、最近になってこのベタツキ感をさらに小さくしたいといった要求が出てきている。また、一方で、高級感を出すため、ソフトな風合いに対する要望も高まっており、ベトツキがほとんど無く、しかもソフト風合いを有する布帛が切望されている。
特公昭34−10497号公報 特公平3−61766号公報 特開平4−264126号公報 特許第2915045号公報 特開平6−279658号公報 特開2002−105644号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、異形断面仮撚加工糸においても、カチオン染料により濃色且つ鮮明に染色可能であると共に、吸水・速乾性に優れ、ソフト感が良好で、ベタツキ感がなく、しかも経筋欠点がない品位に優れた布帛を製造することが可能なカチオ染料可染性特殊断面仮撚加工糸を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、その断面に特定のくびれ部を有し、スルホン酸ホスホニウム塩を共重合したポリエステル仮撚加工糸に、特定の有機スルホン酸金属塩をブレンドするとき、これをカチオン染色すれば、上記目的が達成できることを究明した。
かくして本発明によれば、(1)下記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩を除く全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合され、且つ下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%含有されたポリエステルからなる仮撚加工糸であって、該仮撚加工糸を構成する単繊維の横断面形状が、その長軸方向に3〜7個のくびれ部を有し、扁平係数が2〜7であり、且つ該仮撚加工糸の捲縮率が3〜12%であることを特徴とするカチオン可染性特殊断面仮撚加工糸、及び(2)下記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩を除く全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合され、且つ下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%含有されたポリエステルからなり、且つその横断面形状が、3〜7個のくびれ部を有し、扁平形状である未延伸ポリエステル繊維を、非接触式のヒーターを備えた仮撚加工機を用い、下記(ア)及び(イ)を同時に満足する条件で延伸同時仮撚することを特徴とするカチオン可染性特殊断面仮撚加工糸の製造方法が提供される。
(ア)第1仮撚ヒーターの温度が100〜300℃
(イ)仮撚数(回/m)が15000/D1/2〜30000/D1/2
Figure 2006283203
(式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R1、R2、R3及びR4はアルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示す。)
Figure 2006283203
(式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基であり、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
本発明によれば、異形断面仮撚加工糸においても、カチオン染料により濃色且つ鮮明に染色可能であると共に、吸水・速乾性に優れ、ソフト感が良好で、ベタツキ感がなく、しかも経筋欠点がない品位に優れた布帛を製造することが可能なカチオ染料可染性特殊断面仮撚加工糸を得ることができる。
本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエチレングリコール,トリメチレングリコール,テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを主たる対象とする。
また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであってもよく、及び/又はグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコールもしくは他のジオール成分で置換えたポリエステルであってもよい。
ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸,ナフタリンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェノキシエタンジカルボン酸,β−ヒドロキシエトキシ安息香酸,p−オキシ安息香酸,アジピン酸,セバシン酸,1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族,脂肪族,脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。更に本発明の効果が実質的に奏せられる範囲で5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸を共重合成分として用いてもよい。
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール,ネオペンチルグリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールSの如き脂肪族,脂環族,芳香族のジオール化合物及びポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
更に、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメリット酸,ピロメリット酸の如きポリカルボン酸,グリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトールの如きポリオールを使用することができる。
かかるポリエステルは任意の方法によって合成される。例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造される。
本発明において、共重合成分として使用するスルホン酸ホスホニウム塩は下記一般式(I)で表わされる。
Figure 2006283203
上記式中、Aは芳香族基又は脂肪族基を示し、中でも芳香族基が好ましい。X1はエステル形成性官能基を示し、具体例として、下記式に示す官能基をあげることができる。X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子を示し、なかでもエステル形成性官能基であることが好ましい。R1、R2、R3及びR4はアルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数である。
Figure 2006283203
かかるスルホン酸ホスホニウム塩は、一般に対応するスルホン酸とホスフィン類との反応又は対応するスルホン酸金属塩とホスホニウムハライド類との反応により容易に合成できる。
上記スルホン酸ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸等をあげることができる。上記スルホン酸ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記スルホン酸ホスホニウム塩をポリエステルに共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、好ましくは第1段の反応が終了する以前の任意の段階で添加すればよい。
スルホン酸ホスホニウム塩をポリエステルに共重合させる割合は、ポリエステルを構成する酸成分(スルホン酸ホスホニウム塩を除く)に対して0.5〜5モル%の範囲が適当であり、特に1〜4モル%の範囲が好ましい。該共重合割合が0.5モル%より少いと、得られる共重合ポリエステルのカチオン染料に対する染色性が不充分になる傾向があり、一方5モル%より多くなるとカチオン染色性は最早著しい向上を示さず、かえってポリエステルの物性が低下し、本発明の目的を達成し難くなる。
上記スルホン酸ホスホニウム塩を共重合したポリエステルには、下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%含有される。
Figure 2006283203
式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基であり、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。Rがアルキル基であるときは、Rは直鎖状でも分岐した側鎖を有していてもよい。Rは炭素原子数6〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基がより大きな効果が奏されるので好ましい。Rがアルキルアリール基の場合のアルキルは直鎖状でも分岐した側鎖を有していてもよい。Mはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、又はカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属であり、なかでもナトリウム、カリウムが好ましい。
このような有機スルホン酸金属塩としては、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム(ハード型、ソフト型)など、炭素原子数が14であるアルキルスルホン酸ナトリウム、炭素原子数が15であるアルキルスルホン酸ナトリウム、炭素原子数が22であるアルキルスルホン酸ナトリウム、炭素原子数が11であるアルキルスルホン酸ナトリウム、炭素原子数が12であるアルキルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ブチルスルホン酸ナトリウム、プロピルスルホン酸ナトリウム、ステアリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記スルホン酸金属塩は2種以上を併用しても良い。また、その配合量はスルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%であり、3.0〜8モル%が好ましい。該配合量が1.0モル%より少ない場合は、得られる仮撚加工糸をカチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不充分になると共に、強度等の改良効果が不充分となる。一方、該配合量が10モル%より多い場合は、カチオン染料に対する染色性向上効果は見られない。
上記ポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は0.4〜0.8の範囲が好ましく、0.5〜0.7の範囲が適当である。
本発明の仮撚加工糸は、仮撚加工糸を構成する単繊維の横断面形状が、その長軸方向に3〜7個のくびれ部を有し、扁平係数が2〜7であり、該仮撚加工糸の捲縮率が3〜12%であることが肝要である。これにより、上記の特殊な繊維横断面の効果と、フィブリルの効果により、ベタツキ感がなく、しかも極めてソフトな布帛を得ることができる。
つまり、本発明においては、フィブリルの毛細管現象により吸水性が発現しているのに加えて、断面の凹部でも毛細管現象による大きな水の移動が起こり、吸水・速乾性が向上されている。
図1及び図2は、本発明の仮撚加工糸を構成する単繊維の横断面形状の一例を示す図である。本発明でいう扁平係数とは、長軸即ち最も長い部位の長さ(A)と、長軸に直交する短軸の最大長さ(B)との比A/Bで定義されるものであり、横断面における10箇所の平均値で表したものである。
また、本発明において、くびれ部とは、図1に示す如く、短軸の長さ(C)が短くなっている部分を言う。この部分においては、他の短軸の長さ、例えば(B)との長さの比B/Cは1.05以上、好ましくは1.1以上であることが好ましい。但し、B/Cがあまり大きくなりすぎると、横断面形状を保持することが困難となるので、3.0以下であることが好ましい。
尚、図2にはくびれ部が短軸方向の両側に形成されている例を示しているが、片側のみにくびれ部が形成されていても構わない。要するにくびれ部は3〜7個の範囲であれば良く、2個未満の場合は目的とする吸水性が得られない。一方、くびれ部が従って、図2の(d)及び(e)は本発明の対象外である。
本発明の仮撚加工糸は、その捲縮率が3〜12%、好ましくは5〜10%である必要がある。かかる範囲の捲縮を有することにより、得られる布帛はソフトな風合を呈すると共に、抱合斑に起因する色調低下も抑制される。この捲縮率が3%未満の場合には、ソフトな風合が得難くなると共に発色性も低下するので好ましくない。一方、捲縮率が12%を超える場合には、カチオン染色後、得られる布帛の表面が白けた色調となりやすく、またフカツキ感を呈するようになるので好ましくない。
さらに、上記仮撚加工糸は、その保水率が50〜90%、特に55〜85%の範囲にあることが好ましい。かかる範囲とすることにより、得られる布帛に良好な吸水・速乾性を付与すると同時に、良好なドライ感をも付与することができるようになる。
なお、仮撚加工糸の単繊維繊度は、大きくなりすぎると風合が硬くなりやすく、逆に小さくなりすぎると製糸性や仮撚加工性が低下しやすいので、1.0〜5.0dtexの範囲、特に1.5〜4.0dtexの範囲が適当である。
以上に説明した本発明の仮撚加工糸は、従来の公知の製編織工程へ供給されて織編物、好ましくは織物として使用される。得られた織編物は、通常ポリエステル布帛に施されているアルカリ減量処理を施すことにより、フィブリルが形成される。
以上に説明した本発明の仮撚加工糸は、例えば以下の方法により製造することができる。まず、前述のスルホン酸ホスホニウム塩及び有機スルホン酸金属塩を含有するポリエステルを通常の条件で乾燥し、エクストルーダー等の溶融押出機で溶融し、例えば図3に示すような複数個のスリットを配置した吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、固化後、2500〜4000m/分の速度で紡糸することにより、未延伸糸を得る。
ここで紡糸速度が2500m/分未満の場合には、後述する延伸仮撚加工の際に繊維が脆化して糸切れが多発するので好ましくない。一方、4000m/分を超える場合には、延伸仮撚加工の際に毛羽が発生しやすくなるので好ましくない。
次に、未延伸糸を延伸仮撚加工するが、その前の未延伸糸には空気交絡処理が施されていることが好ましい。かかる交絡処理は延伸仮撚加工と別の工程で行ってもよいが、図3に示すように、延伸仮撚加工装置にインターレースノズルを設置して延伸仮撚加工直前に施すのが好ましい。かくすることにより、加工時の取扱い性が向上すると共に得られる加工糸の風合が向上する。
さらには、仮撚加工後に再空気交絡処理を施せば、混繊交絡の均一化が向上し、高級感ある風合が発現するので好ましい。なお、空気交絡の度合いは、少なすぎると延伸仮撚加工中に単糸群が分離して織編物にした際の織物表面が不均一なものとなりやすいので、仮撚加工糸で測定した交絡度が15個/m以上、特に20個/m以上とするのが好ましい。一方、交絡度が大きくなりすぎると、単糸同士の絡み合いが強くなりすぎ、織編物にした際の風合が粗硬なものとなりやすいので、80個/m以下とするのが好ましい。
次に、上記未延伸糸は、例えば図3に示すような2段式ヒーターを備えた延伸仮撚加工機を用いて延伸仮撚加工する。なお図3には、前述の未延伸ポリエステル繊維(1)に、2対のフィードローラー(3、3’)の間に設置されたインターレースノズル(4、4’)により、空気交絡処理する工程が記載されている。ここで交絡処理された未延伸糸は、フィードローラー(3’)と第1デリベリーローラー(8)との間で延伸されながら、回転している仮撚ディスク(7)との摩擦により加撚される。この間、1段目ヒーター(5)で熱処理され、冷却プレート(6)で冷却され、仮撚ディスク(7)を通過し解撚される。さらに、走行糸条は第1デリベリーローラー(8)と第2デリベリーローラー(10)との間に設置された2段目ヒーター(9)で再熱処理され、さらにに、熱セット仮撚後糸条に空気交絡(4’:図示せず)を施した後、巻取ローラー(11)でチーズ状パッケージ(12)として巻き取られる。
上記の延伸仮撚加工機においては、高速での延伸仮撚加工性を考慮すると、1段目ヒーター(5)および2段目ヒーター(9)の両方を非接触式とするのが好ましい。但し、2段目のヒーターは使用しなくとも構わないが、織物にした場合の収縮率(巾入れ率)を考慮すると、2段目ヒーターで再熱セットするのが好ましい。
次に、上記延伸仮撚加工工程においては、下記(1)および(2)を同時に満足する条件で延伸仮撚加工する。
(1)仮撚第1ヒーター温度が200〜400℃
(2)仮撚数が((15000〜30000)/D1/2回/m(Dはポリエステル仮撚加工糸の繊度(dtex)
ここで第1ヒーター温度が200℃未満の場合には、十分な捲縮を付与することができなくなり、捲縮率が5%未満のものしか得られなくなる。一方、第1ヒーター温度が400℃を超える場合には、仮撚加工時の断面形状の変形が激しくなりすぎ、くびれ部がなくなって吸水性が低下するだけでなく平均の扁平度も7を超えやすくなるので好ましくない。さらには、延伸仮撚加工の際に単糸間の融着が部分的に発生しやすく、ガサガサでザラツキ感のある品位に劣った仮撚加工糸しか得られなくなる。
次に、仮撚数(回/m)が15000/D1/2未満の場合には、十分な捲縮を付与することができなくなり、捲縮率が5%未満のものしか得られなくなる。一方、仮撚数(回/m)が30000/D1/2を超える場合には、延伸仮撚加工時に単糸が切断されやすくなるため、毛羽や断糸が発生しやすくなるので好ましくない。
なお、延伸仮撚加工機の1段目ヒーターは、前半部と後半部とに分割されたものを用いてもよいが、その際には、例えば前半部と後半部とを同一温度に設定すればよい。
第1段ヒーターにおける糸条の熱処理時間は、ヒーターの種類、その長さおよびその温度等により適宜設定すればよいが、短すぎると捲縮率が不十分なものとなりやすく、また、張力変動に起因する延伸仮撚断糸、仮撚加工糸の毛羽、織編物での染斑が発生しやすくなり、逆に長すぎると捲縮率が大きくなりすぎる傾向にある。したがって、通常非接触式ヒーターの場合には0.04〜0.12秒の範囲、特に0.06〜0.10秒の範囲とするのが適当である。
延伸仮撚加工に用いられる仮撚具も特に限定する必要はないが、直径が40〜70mmのディスク、特に直径45〜62mmのディスクが好ましい。例えば図4に示すような、ディスク2枚を3軸に配置した仮撚ユニットとして組み立てて使用するのが好ましい。このディスク直径が40mm未満では、ディスクによる摩擦損傷が増加して断糸および毛羽の発生が多くなりやすい。一方、70mmを超えるに場合は、ディスクによる撚掛け力が低下して十分な捲縮を付与することが困難になる。
次に、ディスクを通過する糸条の走行角(ディスク回転軸とディスクの外周上を接触走行する糸条とがなす角度)は、30〜48度、特に32〜45度の範囲とすることが好ましい。かくすることにより、ディスクによる撚掛け力を低下させることなく糸送り作用を高め、安定した状態で加撚・解撚を施すことができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
オルソ-クロルフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
(2)金属含有濃度分析
反応析出触媒のチタン、リン原子濃度は、乾燥したサンプルを走査電子顕微鏡(SEM、日立計測機器サービスS570型)にセットし、それに連結したエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(XMA、堀場EMAX-7000)にて定量分析を実施した。
ポリエステル中の触媒金属濃度は、粒状のサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業3270E型)にて、定量分析した。
(3)紡糸断糸
紡糸設備で1週間溶融紡糸を行い断糸した回数を記録し、1日1錘当りの紡糸断糸回数を紡糸断糸とした。ただし、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(4)扁平係数
未延伸糸あるいはポリエステル仮撚加工糸を繊維軸方向に10m毎に10箇所サンプリングし、おのおの断面顕微鏡写真を撮影した。撮影された全繊維断面について、長軸即ち最も長い部位の長さ(A)と、長軸に直交する短軸の最大長さ(B)との比A/Bを測定し、全測定値の平均値で表したものである。
(5)くびれ部比
未延伸糸あるいはポリエステル仮撚加工糸を繊維軸方向に10m毎に10箇所サンプリングし、おのおの断面顕微鏡写真を撮影した。撮影された全繊維断面について、短軸の最大長さ(B)と、くびれ部の短軸の長さ(C)との比B/Cを測定し、全測定値の平均値で表したものである。
(6)保水率
加工糸を筒編した後に乾燥して得られる試料を、水中に30分以上浸漬した後に家庭用電気洗濯機の脱水機で5分間脱水する。保水率は、乾燥試料の重量と脱水後の試料の重量から、下記式により求めた。
Figure 2006283203
(7)ウイッキング性
(4)で得られた織物を用い、JIS L-1907-5.1.1(滴下法)に従ってウイッキング値(秒)を測定した。
(8)バイレック法吸水性能
(4)で得られた織物を用い、JIS-L-1018Bに準じ、巾2.5cmの織物の一端を水に浸し10分後に吸い上げた水の高さcmを測定した。
(9)ベトツキ度(感)
(4)で得られた織物を用い、牛皮上を保水させた布帛を滑らす時の抵抗(動摩擦係数:試験布帛と金属ローラーとの摩擦力をUゲージにて検出する数値)を測定し、ベトツキ度(g)として評価する。(数値が高いほど、ベトツキ度大)
(10)防透度
JIS−Z−8729で規定するL値を、背景に白板を使用した場合と、背景に黒板を使用した場合の両方で測定し、白板を使用した場合のL値−黒板を使用した場合のL値を防透度(△L)とした。
(11)通気性
JIS−1096−79−6.27の通気性A法に準じ、フラジール型通気量測定器を用いて通気量を測定した。
(12)走行角
仮撚ディスク上を走行している糸条を写真撮影し、各仮撚ディスク円盤上の糸条の走行角度θを写真の上で実測して、それらの測定値の平均値を走行角とした。
(13)交絡度
約1.2mのポリエステル仮撚加工糸の糸端に0.2cN/dtexの荷重をかけて、衝立上部に取り付けられた固定点から垂直にたらし、0.1cN/dtexの荷重に相当する重量の釣り針型のフックを用い、上部固定点より、該釣り針型フックを挿入し、フックが自然落下し止まるのを待って取り外す。次いで、停止点から2mm下の位置にフックを再び挿入する。この繰り返しを糸長1mにわたって行い、その間でフックの止まった回数を交絡度(個/m)とした。
(14)延伸仮撚断糸
帝人製機製216錘建HTS-15V(2ヒーター仮撚加工機で非接触式ヒーター仕様)にて、延伸仮撚加工を1週間連続実施し、延伸仮撚機1台・1日当たりの断糸回数を延伸仮撚断糸とした。ただし、糸繋ぎ前後による断糸(ノット断糸)あるいは自動切替え時の断糸等、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(15)捲縮率
仮撚加工糸に0.044cN/dtexの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該カセの一端に、0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.0177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥し、再び0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さを測定しS1(cm)とした。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さを測定しS2とし、次の算式で捲縮率を算出し、10回の測定値の平均値で表した。
Figure 2006283203
(16)仮撚加工糸の強度、伸度
JIS L−1013−75に準じて測定した。
(17)毛羽個数
東レ(株)製DT-104型毛羽カウンター装置を用いて、ポリエステル仮撚加工糸サンプルを500m/分の速度で20分間連続測定して発生毛羽数を計測し、サンプル長1万m当たりの個数で表した。
(18)生機の色相
生機の色相は、ハンター型色差計を用い、L値、a値、b値を測定した。L値が大きいほど白く、a値が大きいほど黄色味、また、b値が大きいほど青味が強くなることを表す。
(19)染色布の視感染色性
染色布の視感染色性は、ミノルタ色彩色差計CR−200(ミノルタカメラ販売(株))を用い、染色布の深色度L*値を測定すると共に、a*値、b*値を測定して下記式により彩度を算出した。深色度の値が小さいほど、また、彩度が大きいほど鮮明発色性が大きいことを表す。
(20)織物の風合と鮮明性の官能評価
織物の風合、及び鮮明性を下記の基準で官能判定した。
(風合)
レベル1:ソフトでしなやかな感触がある
レベル2:ややソフト感が乏しいが反撥性は感じられる
レベル3:カサカサした触感あるいは硬い触感である
(鮮明性)
レベル1:非常に鮮明である。
レベル2:やや鮮明性が乏しい。
レベル3:くすんだ色相である。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60部、酢酸マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.024モル%)、整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モル%)、カチオン染料可染化剤としてテレフタル酸ジメチルに対して0.5モル%となる量の3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウム塩、および安定剤としてテレフタル酸ジメチルに対して0.050モル%のテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドをエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下3時間かけて140℃から220℃まで昇温して、生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。
続いて得られた生成物にエステル交換触媒失活剤として正リン酸の56%水溶液0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.033モル%)および消泡剤としてジメチルポリシロキサン0.03部を添加し、同時に過剰のエチレングリコールの昇温追出しを開始した。
10分後重縮合触媒として三酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加した。内温が240℃に達した時点でエチレングリコールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に移した。
次いで、ハード型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムをテレフタル酸ジメチルに対して1.5モル%添加した後、昇温しながら内温が260℃に到達するまで常圧反応させた後、1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて内温を280℃まで昇温した。さらに、1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で更に2時間重合した時点で窒素ガスで真空を破って重合反応を終了し、窒素ガス加圧下にポリマーを吐出し、冷却してチップ化した。得られたチップの固有粘度[η]は0.640(これから得られた加工糸の固有粘度[η]は0.625)であった。
このポリマーチップを常法により乾燥した後、該乾燥ポリマーを従来公知の紡糸設備を用いて溶融し、スピンプロックを通して、紡糸スピンパックに導入した。ポリマー流は、該スピンパックに組み込まれた、扁平吐出孔を48個穿設した紡糸口金から吐出し、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化した後に3200m/分の速度で引き取り、140dtex/48フィラメントの未延伸糸を得た。
得られた未延伸ポリエステル繊維を帝人製機製216錘建HTS−15Vに掛け、仮撚加工の前段と後段とで、孔径1.8mmの圧空吹出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ60nL/分の流量で交絡度が50個/mとなるように空気交絡を施し、延伸倍率1.60、第1ヒーター(非接触タイブ)温度300℃の条件に設定し、直径60mm、厚み9mmのウレタンディスクを仮撚デイスクとして、走行角43度で仮撚数×(仮撚糸繊度(dtex))1/2が26000近傍となるように延伸仮撚を行い、速度800m/分でチーズ形状に巻き取り、84dtex/48フィラメントの仮撚加工糸を得た。
得られた仮撚加工糸を常法に従って編地に製編し、常法により精練、プリセットした後、保土谷化学製のCathilon B1ue CD-FRLH/Cathi1on B1ue CD-FBLH=1:1の混合染料中(濃度2%owfおよび10%owf)で、芒硝3g/L、酢酸0.3g/Lを含む染浴中にて130℃で60分間染色し、その後常法に従ってソーピングして青色布を得た。
得られた編地の評価結果を表1示す。
[実施例2〜3、比較例1〜2]
実施例1において、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウム塩の含有量を表1の如く変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた編地の評価結果を併せて表1に示す。
Figure 2006283203
[実施例4〜7、比較例3〜4]
実施例2において、仮撚加工糸を構成する単繊維の横断面形状、即ち、凹部の数、開口深度が0.3以上である凹部の割合、扁平係数を表2の如く変更した以外は実施例2と同様に実施した。
得られた編地の評価結果を表2に示す。
Figure 2006283203
[実施例8〜11、比較例5〜6]
実施例2において、仮撚条件を表3の如く変更した以外は実施例2と同様に実施した。
得られた編地の評価結果を表3に示す。
Figure 2006283203
本発明によれば、カチオン染料で濃色かつ鮮明に染色可能であると共に、通常の未改質ポリエステル仮撚加工糸と同等の強度を有するカチオン染料可染性ポリエステル仮撚加工糸が製造できるので、吸水・速乾性に優れ、ベトツキ感がなく、しかもソフトで、品位にも優れた布帛を得ることができる。このため、婦人衣料をはじめ、吸水・速乾性や鮮明で繊細な風合いが要求される用途にも広く展開することができる。
本発明の仮撚加工糸の扁平係数、及びくびれ部を説明するための断面形状を示す模式図。 本発明の仮撚加工糸の断面形状の他の例を示す模式図。 本発明で使用する延伸仮撚加工工程の1例を示す模式図。 本発明で使用する仮撚ディスクユニットの1例を示す模式図。
符号の説明
A 長軸
B 短軸の最大長さ
C くびれ部の長さ
1 ポリエステル未延伸糸
2 糸ガイド
3、3’ フィードローラー
4 インターレースノズル
5 第1ヒーター
6 冷却プレート
7 仮撚ディスクユニット
8 第1デリベリーローラー
9 第2ヒーター
10 第2デリベリーローラー
11 巻取ローラー
12 ポリエステル仮撚加工糸チーズ
13 仮撚ディスク
14 ガイドディスク
15 回転軸
16 タイミングベルト
17 駆動ベルト

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩を除く全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合され、且つ下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%含有されたポリエステルからなる仮撚加工糸であって、該仮撚加工糸を構成する単繊維の横断面形状が、その長軸方向に3〜7個のくびれ部を有し、扁平係数が2〜7であり、且つ該仮撚加工糸の捲縮率が3〜12%であることを特徴とするカチオン可染性特殊断面仮撚加工糸。
    Figure 2006283203
    (式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R1、R2、R3及びR4はアルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示す。)
    Figure 2006283203
    (式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基であり、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
  2. 下記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩を除く全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合され、且つ下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が、該スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜10モル%含有されたポリエステルからなり、且つその横断面形状が、3〜7個のくびれ部を有し、扁平形状である未延伸ポリエステル繊維を、非接触式のヒーターを備えた仮撚加工機を用い、下記(ア)及び(イ)を同時に満足する条件で延伸同時仮撚することを特徴とするカチオン可染性特殊断面仮撚加工糸の製造方法。
    (ア)第1仮撚ヒーターの温度が100〜300℃
    (イ)仮撚数(回/m)が15000/D1/2〜30000/D1/2
    Figure 2006283203
    (式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R1、R2、R3及びR4はアルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示す。)
    Figure 2006283203
    (式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基であり、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
  3. 未延伸ポリエステル繊維が、紡糸速度2500〜4000m/分で溶融紡糸されたものである請求項2記載のカチオン可染性特殊断面仮撚加工糸の製造方法。
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