JP2010180504A - 共重合ポリエステル繊維織物の製造方法および共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品 - Google Patents

共重合ポリエステル繊維織物の製造方法および共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防風性と染色堅牢性とを有する共重合ポリエステル繊維織物の製造方法、および該製造方法により得られた共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品を提供すること。
【解決手段】単繊維の横断面形状が2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面である共重合ポリエステルを用いて織物を得た後、該織物に染色加工を施す共重合ポリエステル繊維織物の製造方法であって、前記共重合ポリエステル繊維として特定の共重合ポリエステル繊維を用い、かつ染色する際にカチオン染料を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた防風性と染色堅牢性とを有する共重合ポリエステル繊維織物の製造方法、および該製造方法により得られた共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品に関する。
従来、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、カイト、セールクロス、テント、寝袋などの繊維製品において、防風性に優れた織物が必要とされており、ポリエチレンテレフタレートからなる扁平断面繊維を用いた織物などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、かかる織物では防風性に優れるものの染色堅牢性が良くないという問題があった。
特開2008−2039号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた防風性と染色堅牢性とを有する共重合ポリエステル繊維織物の製造方法、および該製造方法により得られた共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の共重合ポリエステルからなる扁平断面繊維を用いて織物を得た後、該織物にカチオン染料で染色加工を施すことにより優れた防風性と染色堅牢性とを有する共重合ポリエステル繊維織物が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維の横断面形状が2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面である共重合ポリエステル繊維を用いて織物を得た後、該織物に染色加工を施す共重合ポリエステル繊維織物の製造方法であって、
前記の共重合ポリエステル繊維が、共重合成分として、酸成分中にスルホイソフタル酸の金属塩(A)および下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)および(2)を同時に満足するよう含有し、かつ該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲内にあり、かつ該共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲内にある共重合ポリエステルからなる共重合ポリエステル繊維であり、
かつ、染色する際にカチオン染料を用いることを特徴とする共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。」が提供される。
Figure 2010180504
[上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニ
ウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタ
ル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分
を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
その際、前記共重合ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下であることが好ましい。また、前記スルホイソフタル酸の金属塩(A)が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸または5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルであることが好ましい。また、上記式(I)で表される化合物(B)が、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウムまたは5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルホスホニウムであることが好ましい。また、前記共重合ポリエステル繊維の総繊度が24〜40dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記共重合ポリエステル繊維の単繊維繊度が1〜5dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記共重合ポリエステル繊維の引張り強度が3.0cN/dtex以上であることが好ましい。また、前記共重合ポリエステル繊維が無撚であることが好ましい。また、織物組織が平織物組織であることが好ましい。また、織物に染色加工を施す際に常圧で染色加工を行うことが好ましい。
また、本発明によれば、前記の製造方法により製造された共重合ポリエステル繊維織物が提供される。
その際、織物の目付が65g/m以下であることが好ましい。また、下記式により算出される織物のカバーファクター(CF)が1650〜2200の範囲内であることが好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
また、織物の経方向の引裂強力と緯方向の引裂強力がともに5.5N以上であることが好ましい。また、織物の通気性が1.3cc/cm/sec以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の織物を用いてなる、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、カイト、セールクロス、テント、および寝袋からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、優れた防風性と染色堅牢性とを有する共重合ポリエステル繊維織物の製造方法、および該製造方法により得られた共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品が得られる。
本発明において、共重合ポリエステル繊維の単繊維断面形状として採用することのできる、くびれ部を有する扁平断面形状を模式的に例示したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される共重合ポリエステルとは、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール成分とを重縮合反応せしめて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする共重合ポリエステルであり、共重合成分としてスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)及び(2)を同時に満足する状態で含有する共重合ポリエステルであり、該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲にあり、かつ得られる共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲にあることを特徴とするポリエステルである。
Figure 2010180504
[上記式中、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウム
塩又は4級アンモニウム塩を表す。]
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
ここでテレフタル酸のエステル形成性誘導体とは、テレフタル酸の、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステル、若しくはジフェニルエステル又はテレフタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジブロマイドを挙げる事ができるが、これらの中でもテレフタル酸ジメチルエステルが好ましい。
(共重合ポリエステルについて)
本発明における共重合ポリエステルとはエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、主たる繰り返し単位とは共重合ポリエステルを構成する全繰り返し単位あたり80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることを指している。他の20モル%以下の範囲内で他の成分が共重合されていても良い。好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることである。その他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸を挙げる事ができ、グリコール成分として1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビス(トリメチレングリコール)、ビス(テトラメチレングリコール)、トリエチレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げる事ができ、これらの1種以上のジカルボン酸と1種以上のグリコール成分を反応させて得られる成分を繰り返し単位として共重合されていても良い。
(スルホイソフタル酸の金属塩(A)について)
本発明で使用されるスルホイソフタル酸の金属塩(A)としては、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)が例示される。必要に応じてこれら化合物のマグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類塩を併用しても良い。また、これらのエステル形成性誘導体も好ましく例示される。エステル形成性誘導体としてはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステル、ジフェニルエステル、5−スルホイソフタル酸金属塩のジハロゲン化物を挙げる事ができるが、これらの中でもジメチルエステルが好ましい。これらの化合物群の中では、熱安定性、コストなどの面から、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩が好ましく例示され、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのジメチルエステルである5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルが特に好ましく例示される。これらの条件を満たす化合物である場合に、ポリエステル繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
(化合物(B)について)
また、上記式(I)で表される化合物(B)としては、5−スルホイソフタル酸又はその低級アルキルエステルの4級ホスホニウム塩又は4級アンモニウム塩である。4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩としては、リン原子又は窒素原子にアルキル基、ベンジル基又はフェニル基が結合した4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級ホスホニウム塩であることが好ましい。また、4つある置換基は同一であっても異なっていても良い。上記式(I)で表される化合物の具体例としては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸エチルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラエチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラブチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩、あるいはこれらイソフタル酸誘導体のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロプルエステル、ジブチルエステル、ジへキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステルが好ましく例示される。これらのイソフタル酸誘導体の中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラエチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルベンジルトリメチルアンモニウム塩がより好ましく例示される。これらの条件を満たす化合物である場合に、ポリエステル繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
(数式(1)について)
本発明において、ポリエステルに共重合させる上記のスルホイソフタル酸の金属塩(A)と上記の化合物(B)の合計は共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準として、(A)成分と(B)成分の和A+Bが3.0〜5.0モル%の範囲である必要がある。3.0モル%より少ないと、常圧下でのカチオン染色では十分な染着を得ることができない。一方、5.0モル%より多くなると、得られるポリエステル糸の強度が低下するため実用に適さない。さらに染料を過剰に消費するため、コスト面でも不利である。好ましくは3.2〜4.8モル%であり、より好ましくは3.3〜4.7モル%である。
(数式(2)について)
また、スルホイソフタル酸の金属塩(A)と化合物(B)の成分比は上記のモル%の値にて、B/(A+B)が0.2〜0.7の範囲にある必要がある。0.2未満、つまり成分Aの割合が多い状態では、スルホイソフタル酸金属塩による増粘効果により、得られる共重合ポリエステルの重合度を上げることが困難になる。一方、0.7より大、つまり化合物(B)の割合が多い状態では、重縮合反応が遅くなり、さらに化合物(B)の比率が多くなると熱分解反応が進むため重合度を上げることが困難となる。さらに、化合物(B)の比率多くなると共重合ポリエステルの熱安定性が悪化し、溶融紡糸段階で再溶融した際の熱分解反応による分子量の低下が大きくなるため、得られるポリエステル糸の強度が低下するため、好ましくない。好ましくは0.23〜0.65であり、より好ましくは0.25〜0.60である。
スルホイソフタル酸の金属塩(A)をポリエステルに共重合することによりカチオン可染性は付与する事ができるが、スルホン酸金属塩基間のイオン結合に由来すると思われる共重合ポリエステルの溶融粘度の増粘効果のため共重合ポリエステルを高重合度化することが困難であった。そのため十分に高い重合度、高い固有粘度を有する共重合ポリエステルが得られず、その高い固有粘度でない共重合ポリエステルから得られるポリエステル繊維は、繊維強度が著しく低下する問題があった。一方その問題を解消するためにスルホイソフタル酸のテトラアルキルアンモニウム塩又はスルホイソフタル酸のテトラアルキルホスホニウム塩、即ち化合物(B)をポリエステルに共重合することが開示されているが、当該化合物は重合反応中に熱分解を起こしやすいため、共重合量を上げようとすると熱分解反応が進みやすい問題があり、繊維強度を高い値にすることが依然として困難であった。本発明の共重合ポリエステルにおいては、これらのスルホイソフタル酸の金属塩(A)と化合物(B)を併用し、双方の化合物の共重合量、共重合比率、共重合ポリエステルのガラス転移温度及び固有粘度を特定の範囲に設定することによって、充分なカチオン染料による染色性と高い繊維強度を両立させ、且つ熱セット性が良好で捲縮を固定しやすいと言った物性をも同時に有する。この熱セット性が良好で捲縮を固定しやすいという物性をも有することは驚くべき事である。
(ガラス転移温度について)
本発明の共重合ポリエステルは、DSC(示差走査熱量測定)法による測定方法(昇温
速度=20℃/min)でのガラス転移温度(Tg)が70〜85℃の範囲であることが肝要である。Tgが70℃以下の場合、溶融紡糸による得られたポリエステル繊維の熱セット性が悪化し、仮撚捲縮加工性が悪化し、撚りがかからない状態となるため、該共重合ポリエステルからなるポリエステル繊維から得られる布帛の風合いが悪化するおそれがある。ガラス転移温度を下げる方法としては、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを共重合することで成されるが、本発明においてはこれら共重合成分が、上記のガラス転移温度の条件を満足する範囲であれば微量共重合されていても良い。Tgの好ましい値の範囲は71〜80℃である。
通常、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度は70〜80℃くらいであることが知られているので、本発明において、共重合ポリエステルは、上述のように他の共重合成分が共重合されていても良いが、共重合した結果ガラス転移温度を著しく降下させる成分については共重合させることは好ましくない。ガラス転移温度を上記の値の範囲にするには、例えば上述の共重合ポリエステルの説明の項で挙げた共重合されても良い化合物の種類・共重合率を適宜調整して共重合させることを挙げる事ができる。
(固有粘度について)
本発明の共重合ポリエステルの固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は0.55〜1.00dL/gの範囲であることが肝要である。固有粘度が0.55dL/g以下である場合、得られるポリエステル繊維の強度が不足し、一方、1.00dL/g以上とする場合、溶融粘度が高くなりすぎて溶融成型が困難になるため好ましくなく、また、溶融重合法に引続いて固相重合法により共重合ポリエステルの重縮合工程での生産コストが大幅に増大するため好ましくない。共重合ポリエステルの固有粘度としては、0.60〜0.90dL/gの範囲がさらに好ましい。共重合ポリエステルの固有粘度を0.55〜1.00dL/gの範囲にするためには、溶融重合を行う際の最終の重合温度、重合時間を調整したり、溶融重合法のみでは困難な場合には固相重合を行って適宜調整することができる。本発明においては、スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)を上記数式(1)及び(2)を満たすようにポリエチレンテレフタレートに対して共重合を行うことで上述のような手法により固有粘度を0.55〜1.00dL/gにすることが可能となる。
(DEG含有量について)
本発明における共重合ポリエステルに含有されるジエチレングリコールは、2.5重量%以下であることが好ましい。より好ましくは2.2重量%以下、さらにより好ましくは1.85〜2.2重量%である。一般にカチオン可染性ポリエステルを製造する際には、ポリエステルの製造工程において副生するジエチレングリコール(DEG)量を抑制するために、DEG抑制剤として少量のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水酸化テトラアルキルホスホニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミンなどの少なくとも1種類を、使用するカチオン可染性モノマー(本発明の場合はスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)の全モル量)に対して、1〜20モル%程度を添加することが好ましい。
(共重合ポリエステルの製造方法について)
本発明における共重合ポリエステルの製造は特に限定されず、スルホイソフタル酸の金属塩(A)(以下化合物Aと略称することがある。)及び化合物(B)を請求項1に記載の条件を満たすように留意する他は、通常知られているポリエステルの製造方法が用いられる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールの直接エステル化反応させる、あるいはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとをエステル交換反応させて低重合体を製造する。次いでこの反応生成物を重縮合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることにより製造される。スルホイソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル誘導体(スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B))を共重合する方法についても通常知られている製造方法を用いる事ができる。これらの化合物の反応工程への添加時期は、エステル交換反応又はエステル化反応の開始当初から重縮合反応の開始までの任意の時期に添加することができる。
またエステル交換反応時の触媒についても通常のエステル交換反応を行う際に用いられる触媒化合物を用いる事ができる。重縮合触媒についても通常用いられるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を用いる事ができる。またチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応生成物、チタン化合物とリン化合物の反応生成物を用いても良い。
(その他添加剤について)
また、本発明における共重合ポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤又は艶消し剤などを含んでいても良い。特に酸化防止剤、艶消し剤などは特に好ましく添加される。
(溶融紡糸について)
単繊維の横断面形状が2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6(好ましくは3漢)の扁平断面となるような口金を用いて溶融紡糸する。ここで、断面扁平度とは、図1に示す長辺の長さ(B)と短辺の長さ(C1)との比(B/C1)である。また、くびれ部とは図1に模式的に示すように、短辺の長さが短くなっている部分のことである。かかるくびれ部において、凹部の深さとしては、短辺の長さの最大値と最小値の比(C1/C2)で、1.05以上(好ましくは1.1〜1.5)となる深さであることが好ましい。また、図1に示すように長軸に対して左右対称であり、かつ膨出部の大きさが全て同じであることが好ましい。なお、図1は、くびれ部が3個所の場合を例示するものである。
その際、乾燥した共重合ポリエステルを270〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られるポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸もしくは部分延伸糸を、延伸工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸し、熱セットすることが好ましい。この延伸は未延伸ポリエステル繊維を一旦巻き取ってから行ってもよく、一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。
かくして得られた共重合ポリエステル繊維において、繊維強度(引張強度)が3.0cN/dtex以上(より好ましくは3.0〜5.0cN/dtex)であることが好ましい。なお、このような繊維強度を有する共重合ポリエステル繊維は、前記のように共重合ポリエステルを紡糸、延伸することにより得られる。
(織物の製織について)
前記の共重合ポリエステル繊維を用いて織物を製織する。ここで、前記の共重合ポリエステル繊維の形態としては、単糸繊度が0.00001〜20dtex(より好ましくは1〜5dtex)、総繊度が24〜40dtex、フィラメント数が20〜200本の範囲内のマルチフィラメント(長繊維)であることが好ましい。
かかる共重合ポリエステル繊維(共重合ポリエステルマルチフィラメント)において、撚糸が施されていないことが好ましい。撚糸が施されていると、共重合ポリエステル繊維が織物中において丸く集束するため、経糸と緯糸とで形成される組織間空隙が大きくなり通気性が大きくなるおそれがある。
また、前記の織物において、織組織は特に限定されず、通常の方法で製織されたものでよい。例えば、織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。なかでも、引裂強力を高める上で、組織点の多い平組織またはツイル組織が好ましい。なお、製織の際に用いる織機は特に限定されず、ウオータージェットルームやエアージェットルームなど通常の織機でよい。
(染色加工について)
染色加工はカチオン染料を用いて行うことが肝要である。カチオン染料を用いて染色を行うと、カチオン染料がイオン結合により繊維にしっかりと吸着されるため、優れた染色堅牢性が得られる。分散染料を用いた染色では、十分な染色堅牢性が得られず好ましくない。かかるカチオン染料は市販されている通常のカチオン染料でよい。また、染色加工の条件としては、高圧で染色してもよいが、前記共重合ポリエステル繊維構造体は常圧(100℃)で染色可能であるので、常圧(100℃)で染色することが地球環境にやさしく、また染色コストを低減することができ好ましい。なお、染色の際に、染色助剤等を用いることは何らさしつかえない。
(その他の加工)
前記染色加工の前および/または後の工程において、アルカリ減量加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
特に、前記染色加工の後に撥水加工を施すと、織物の撥水性がさらに向上し好ましい。ここで、撥水加工は公知の方法でよい。例えばシリコン系あるいはフツ素系の揆水剤をスプレー法、パツデイング法、浸漬法、コーテイング法などの方法で付与する方法である。この中でパツデイング法は均一に揆水剤を布帛に付与するのに最もすぐれており、好ましい。
かくして得られた織物には、前記の共重合ポリエステル繊維が織物の経糸および/または緯糸(好ましくは経糸および緯糸)に配され、かつ下記式により算出されるカバーファクター(CF)が1650〜2200(好ましくは1800〜2200)であることが防風性の点で好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
該カバーファクターが1650よりも小さいと、通気性が大きくなり防風性が損なわれるおそれがある。逆に、該カバーファクターが2200よりも大きいと単繊維同士が動きにくくなり引裂強力が低下するおそれがある。
本発明の織物において、前記のような単繊維横断面がくびれ部を有する扁平断面形状である共重合ポリエステル繊維が、前記織物の経糸および/または緯糸に配されているので、優れた防風性も呈する。その際、かかる防風性としては、通気性で1.3cc/cm/sec以下であることが好ましい。また、織物が特定のカバーファクターを有するときは、単繊維同士が動きやすくなり引裂強力が向上する。かかる引裂強力としては、織物の経方向の引裂強力と緯方向の引裂強力がともに5.5N以上であることが好ましい。
次に、本発明の繊維製品は、前記の織物を用いてなる、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、カイト、セールクロス、テント、および寝袋から軽量性だけでなく、引裂強力と防風性にも優れる。
なお、前記の織物は前記の繊維製品以外の、カーシート表皮材、床材、天井材などの車両内装材、カップ、パッド等の衣料資材、カーテン、カーペット、マット、家具等のインテリア用品、ベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等の産業資材、アクセサリー、形態ストラップ、めがね拭き、食器拭き、マウスパッド、ぬいぐるみ、おもちゃ張り、帽子、手袋、ホワイトボードクリーナー、ノートの表紙等の小物類としても好適に使用される。
以下、本発明を、実施例を用いて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は下記の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステル試料を100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。なお、チップの固有粘度をηC、紡糸後の未延伸糸の固有粘度をηFと称する。
(2)ジエチレングリコール(DEG)含有量:
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステル試料チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
(3)ポリマーのガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製DSC:Q10型)を用いて、昇温速度=20℃/minで測定した。
(4)ポリエステル繊維の引張強度(破断強度)、引張伸度(破断伸度)
JIS L1013:1999 8.5に記載の方法により測定を行った。引張強度(破断強度)を繊維強度とする。
(5)目付
JIS L1096により目付を測定した。
(6)カチオン可染性:
CATHILON BLUE CD−FRLH)0.2g/L、CD−FBLH0.2
g/L(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製のカチオン可染性染料)、硫酸ナトリウム3g
/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて100℃(常圧)で1時間、浴比1:50で染色を行い、次式により染着率を求めた。
染着率=(OD−OD)/OD
OD:染色前の染液の576nmの吸光度
OD:染色後の染液の576nmの吸光度
本発明の実施例では、染着率98%以上のものを可染性良好と判断した。
(7)カバーファクターCF
下記式により、カバーファクターCFを求めた。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
(8)染料移行汚染堅牢性
試験片(5cm×5cm)と、該試験片と同一の白布に検討布帛と添付片(5cm×5cm)とが接触するようにアルミ板2枚の間に挟み込んだ後、そのアルミ板の上に44.1N(4.5kgf)の荷重をかけ、恒温加熱処理機で120℃×80分の熱処理を行い、試験片から添付白布への染料移行状態を汚染用グレースケールで1〜5級に等級判定を行った。等級が高いほど、堅牢度が良好である。
(9)撥水性
JIS L−1092に記載のスプレー法により撥水点を求め、撥水性の評価を行った。
(10)通気性
JIS L 1096−1998、6.27.1、A法(フラジール形通気性試験機法)により通気性(cc/cm・s)を測定した。
(11)引裂強力
JIS L1096 6.15 D法により引裂強力(N)を測定した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4.1重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン0.03重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.12重量部を添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。その後、正リン酸0.03重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後、反応生成物に三酸化アンチモン0.05重量部と5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネート2.8重量部と水酸化テトラエチルアンモニウム0.3重量部とトリエチルアミン0.003重量部を添加して重縮合槽に移し、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重縮合槽の攪拌機電力の値が所定電力に到達した段階若しくは所定時間を経過した段階で反応を終了させ、常法に従いチップ化(共重合ポリエステル)した。
次いで、4つ山扁平断面(凹部6個所)に穿孔された口金を使用し、前記チップ(共重合ポリエステル)を用いて、140℃、5時間乾燥後、紡糸温度285℃、巻取り速度400m/minで未延伸糸を作り、ついで倍率4.0で延伸して熱セットをし、単繊維の横断面形状が図1に示すような、くびれ部(短辺の長さCの最大/最小=1.2)を3個所有する扁平断面(断面扁平度3.2)の共重合ポリエステル繊維(マルチフィラメント)36dtex/12フィラメント(引っ張り強度3.2cN/dtex)を得た。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
次いで、該共重合ポリエステル繊維を平組織織物の経糸および緯糸に用いて、経密度159本/2.54cm、緯密度152本/2.54cmの生機を得た。
次いで、該織物を通常の方法に従って精練、リラツクス、乾燥、プリセツト、染色、乾燥を行った。染色に用いる染料はカチオン性染料であり、CATHILON BLUE CD−FRLH)0.2g/L、CD−FBLH0.2g/L(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製のカチオン可染性染料)、硫酸ナトリウム3g/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて98℃(常圧)で1時間、浴比1:50で染色を行った。染色乾燥した布帛に下記処方の通常のフツ素樹脂による揆水加工を行った。
(撥水加工処理液組成)
アサヒガードAG710 (旭ガラス)6%
ユニカレジン380K (ユニオン化学)0.3%
スミテツクスアリセレタACX (住友化学)0.1%
水 93.6%
撥水加工処理液をパツデイング方法により布帛に付与した後、100℃の温度で乾燥し、次いで180℃の度で30秒間の熱処理を施した。
得られた織物において、経密度173本/2.54cm、緯密度163本/2.54cm(CF=1912)であった。また、該織物において、目付けが53g/mで、経の引裂強力が6.5N、緯の引裂強力が6.1N、通気度が0.9cc/cm/secと、軽量性、防風性、引裂強力に優れるものであった。染料移行汚染堅牢度は4−5級と染料がイオン結合されている為、染料がブリードされにくく、染色堅牢性に優れるものであった。
次いで、該織物を用いて、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、カイト、セールクロス、テント、および寝袋を得たところ、いずれも防風性、染色堅牢性、引裂強力、軽量性に優れるものであった。
[実施例2〜4、比較例1〜6]
実施例1において、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネートの添加量を表1となるように変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
[実施例5]
テレフタル酸ジメチル100重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4.1重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン0.03重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.12重量部を添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。その後、正リン酸0.03重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後、反応生成物に三酸化アンチモン0.05重量部と5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネート2.8重量部と水酸化テトラエチルアンモニウム0.3重量部とトリエチルアミン0.003重量部を添加し、さらにアジピン酸1.5重量部を添加して重縮合槽に移し、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重縮合槽の攪拌機電力の値が所定電力に到達した段階若しくは所定時間を経過した段階で反応を終了させ、常法に従いチップ化した。それ以降の処理は実施例1と同様に実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
[比較例7]
実施例4において、重縮合反応での攪拌機電力の値が低い段階で反応終了させること以外は参考例4と同様に実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表
に示した。
[比較例8]
実施例5において、アジピン酸の添加量を表1となるようにする事以外は実施例5と同様に実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
[比較例9]
実施例1において、エステル交換反応が終了した段階で、平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG400)を、共重合ポリエステルの重量に対して5重量%となるように添加した後、実施例1と同様の方法で重縮合反応させた。その後のチップ化、繊維化以降の処理については実施例1と同様に実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
Figure 2010180504
[比較例10]
固有粘度0.90のポリエチレンテレフタレートを4つ山扁平断面(凹部6個所)に穿孔された口金より、紡糸温度295℃で紡出し、850m/minで引き取ったのち、延伸することにより、フィラメントの横断面形状が図1に示すような、くびれ部(短辺の長さCの最大/最小=1.2)を3個所有する扁平断面(断面扁平度3.2)のポリエステルマルチフィラメント36dtex/12フィラメント(引っ張り強度3.2cN/dtex)を得た。
次いで、撥水樹脂加工を含む常法の分散染色仕上加工を行い、経密度175本/2.54cm、緯密度165本/2.54cmの平織物を得た(CF=1935)。
得られた平織物は、目付けが53g/mで、経の引裂強力が6.5N、緯の引裂強力が6.1N、通気度が0.9cc/cm/secと、軽量性、防風性、引裂強力は同等であったが、染料移行汚染堅牢度は2−3級と染料がブリードされやすく、染色堅牢性に劣るものであった。
[比較例11]
実施例1において、フィラメントの横断面形状を丸断面形状に変更すること以外は実施1と同様に実施した。
得られた平織物は、目付けが54g/mで、経の引裂強力が4.5N、緯の引裂強力が4.5N、通気度が1.5cc/cm/secと、通気性が高く防風性に劣るものであった。染料移行汚染堅牢度は4−5級と染料がイオン結合されている為、染料がブリードされにくく、染色堅牢性に優れるものであった。
[実施例6]
実施例1において、生機密度を経密度196本/2.54cm、緯密度180本/2.54cmとすること以外は実施例1と同様にした。
得られた織物において、経密度211本/2.54cm、緯密度197本/2.54cmの平織物を得た(CF=2344)、目付けが63g/mで、経の引裂強力が5.0N、緯の引裂強力が5.0N、通気度が0.7cc/cm/secと、軽量性、防風性はよいものの、引裂強力が低いものであった。染料移行汚染堅牢度は4−5級と染料がイオン結合されている為、染料がブリードされにくく、染色堅牢性に優れるものであった。
[実施例7]
実施例1において、生機密度を経密度136本/2.54cm、緯密度133本/2.54cmとすること以外は実施例1と同様にした。
得られた織物において、経密度143本/2.54cm、緯密度135本/2.54cm(CF=1597)、目付けが44g/mで、経の引裂強力が7.0N、緯の引裂強力が7.0N、通気度が1.5cc/cm/secと、軽量性、引裂強力はよいものの通気性が高く防風性に劣るものであった。染料移行汚染堅牢度は4−5級と、染料がイオン結合されている為、染料がブリードされにくく、染色堅牢性に優れるものであった。
本発明によれば、優れた防風性と染色堅牢性とを有する共重合ポリエステル繊維織物の製造方法、および該製造方法により得られた共重合ポリエステル繊維織物および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
1 くびれ図

Claims (16)

  1. 単繊維の横断面形状が2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面である共重合ポリエステル繊維を用いて織物を得た後、該織物に染色加工を施す共重合ポリエステル繊維織物の製造方法であって、
    前記の共重合ポリエステル繊維が、共重合成分として、酸成分中にスルホイソフタル酸の金属塩(A)および下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)および(2)を同時に満足するよう含有し、かつ該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲内にあり、かつ該共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲内にある共重合ポリエステルからなる共重合ポリエステル繊維であり、
    かつ、染色する際にカチオン染料を用いることを特徴とする共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
    Figure 2010180504
    [上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニ
    ウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
    3.0≦A+B≦5.0 (1)
    0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
    [上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタ
    ル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分
    を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
  2. 前記共重合ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下である、請求項1に記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  3. 前記スルホイソフタル酸の金属塩(A)が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸または5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルである、請求項1または請求項2に記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  4. 上記式(I)で表される化合物(B)が、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウムまたは5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルホスホニウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  5. 前記共重合ポリエステル繊維の総繊度が24〜40dtexの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  6. 前記共重合ポリエステル繊維の単繊維繊度が1〜5dtexの範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  7. 前記共重合ポリエステル繊維の引張り強度が3.0cN/dtex以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  8. 前記共重合ポリエステル繊維が無撚である、請求項1〜7のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  9. 織物組織が平織物組織である、請求項1〜8のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  10. 織物に染色加工を施す際に常圧で染色加工を行う、請求項1〜9のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載された製造方法により製造された共重合ポリエステル繊維織物。
  12. 織物の目付が65g/m以下である、請求項11に記載の共重合ポリエステル繊維織物。
  13. 下記式により算出される織物のカバーファクター(CF)が1650〜2200の範囲内である、請求項11または請求項12に記載の共重合ポリエステル繊維織物。
    CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
    ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
  14. 織物の経方向の引裂強力と緯方向の引裂強力がともに5.5N以上である、請求項11〜13のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物。
  15. 織物の通気性が1.3cc/cm/sec以下である、請求項11〜14のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維織物。
  16. 請求項11〜15のいずれかに記載の織物を用いてなる、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、カイト、セールクロス、テント、および寝袋からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
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