JP2638672B2 - 高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維 - Google Patents

高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維

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JP2638672B2 JP27959590A JP27959590A JP2638672B2 JP 2638672 B2 JP2638672 B2 JP 2638672B2 JP 27959590 A JP27959590 A JP 27959590A JP 27959590 A JP27959590 A JP 27959590A JP 2638672 B2 JP2638672 B2 JP 2638672B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はタイヤコードなどのゴム補強用分野への利用
に適した高強力ポリアミド繊維に関する。更に詳しく
は、従来通りの高強力を維持し且つ、耐疲労性が大幅に
改善された高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維に
関する。
〔従来の技術〕
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は高強力が達成し
やすいので、古くからタイヤコードなどのゴム補強力繊
維向けの開発がなされて来た。
高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は高強力で
且つポリエステル繊維などに比して耐疲労性が高いこと
から、トラックやバスなどの高重量車用のバイヤスタイ
ヤにタイヤコードとして多く使用されてきた。しかし、
近年の自動車の高速化や高重量化の傾向に伴なって、一
層の耐疲労性向上が求められており、従来の高強力ヘキ
サメチレンアジパミド繊維では、その要求に応えられな
いことが明確になっている。
特公昭48−32616号公報には90%蟻酸相対粘度70のポ
リヘキサメチレンアジパミドを用いて直接紡糸延伸法の
条件を特定することによって得られた破断強度10.1g/
d、破断伸度17.5%の高強力ポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維が開示されている(実施例2)。しかし、この
繊維の耐疲労性の尺度であるグッドイヤー法チューブ疲
労破断試験法によって測定される疲労破断時間は610分
であり、極めて低い水準である(本発明では後述のよう
に1500分以上である)。又本先行技術中には、90%蟻酸
相対粘度および仕上げ剤またはその付与方法と耐疲労性
との関係については何ら記載も示唆もしていない。
特開昭59−9209号公報に固相重合で得られた90%蟻酸
相対粘度90.0の原料から紡糸法および延伸法を特定する
ことによって得られた90%蟻酸相対粘度83.0、破断強度
10.4g/d、破断伸度21.0%、タイ分子安定度係数0.09の
高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維が開示されて
いる(実施例1)。この繊維の特徴はタイヤの製造工程
における加硫工程での強力低下が小さいことである。し
かし、本先行技術には得られた繊維の耐疲労性について
の記載は一切なく、ましてや90%蟻酸相対粘度および仕
上げ剤またはその付与方法と耐疲労性との関係について
は記載も示唆もない。
特開昭61−194209号公報にηr=3.33(これを蟻酸相
対粘度に直すと約95)からなり、非水系仕上げ剤で表面
処理された高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維が
開示されている(実施例31)。この繊維は延伸工程にお
いて、第1段目にスチームジェット、第2段目に非接触
ヒータを用いる特殊な手段を用いることで高強力を達成
したもので、繊維長周期が118Åで、破断強度13.1g/d、
破断伸度15.0%である。本先行技術中にはこの繊維の耐
疲労性については何ら記載も示唆もない。
特開昭63−159541号公報には、ナイロン66を1500m/分
以上で紡糸し、連続して多段延伸を施した後、4000m/分
以上で巻取る高強力ポリアミド繊維の製造方法が提案さ
れている。これには破断強度11.5g/d、破断伸度14.2%
で疲労破壊時間が833分を示す繊維が得られたことが記
載されている。これらの繊維のチューブ疲労破壊時間は
1043分以下で、本発明が達成している1500分以上にはは
るかに及ばない水準である。
特開昭60−88116号公報には、紡糸速度1000〜6000m/
分で紡糸したポリヘキサメチレンアジパミドの未延伸糸
を、100m/分以下の速度で延伸することによって、疲労
破壊時間が1500分を越えるような、高い耐疲労性を示す
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維が開示されている。
しかし、この繊維では原糸のタフネスが小さく、強度が
10g/dで且つ伸度が18%を越えるものは得られていな
い。また耐疲労性と仕上げ剤またはその付与方法との関
係について何ら示唆もない。
特開昭63−91235号公報に非水系仕上げ剤(ニートオ
イル)で表面処理されポリヘキサメチレンアジパミドタ
イヤヤーンが開示されている(実施例A,B,C,D,E)。こ
のポリアミドタイヤヤーンはその表面に27℃より高い融
点を持った疎水性有機エステル浸漬浸透調節剤(ニート
オイル内に含まれる)を有し、低い剛性と高い空気透過
性を持ったタイヤコード慣用の手段により、タイヤコー
ドに転化可能なポリヘキサメチレンアジパミド繊維であ
る。この繊維に使用されているポリヘキサメチレンアジ
パミドの蟻酸相対粘度は70であり且つ本先行技術中には
この繊維の耐疲労性について何ら記載されておらず、ニ
ートオイルの耐疲労性に対する効果については記載も示
唆もない。
特開昭63−50519号公報には90%蟻酸相対粘度90のポ
リヘキサメチレンアジパミドを比較的高速で溶融紡糸し
た後に多段延伸するという方法で得た、耐疲労性が改善
された高強力ポリヘキサメチレンアジパミドが開示され
ている。この繊維は耐疲労性は改善されたものの、破断
強度が9g/d以下で、力学的性質がゴム補強用としては不
満な水準に低下した。また疲労破壊時間も1500分未満で
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
タイヤコードなどのゴム補強用に適した高強力ポリア
ミド繊維に対する近年の要求を満す、すなわち力学的物
性が従来以上で、且つグッドイヤー法チューブ疲労破壊
試験において1500分以上の疲労破壊時間を示すような耐
疲労性を示す高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維
を提供することが本発明の目的である。
本発明者らは上の目的を達成せんがために鋭意研究し
た結果、ポリヘキサメチレンアジパミドのある水準以上
の分子量、すなわちある水準以上の90%蟻酸相対粘度と
非水系仕上げ剤とを組合わせることによって、特定の高
分子構造を得ることができ、その結果大幅に耐疲労性が
向上することを見出し本発明を完成した。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維は、95モル%以上がヘキサメチレンアジパミド
の繰返し単位からなる溶融したポリマーを押出し、加熱
筒内で冷却を遅延してフィラメントを形成させ、冷却固
化後のフィラメントに非水系の仕上剤を付与した後、紡
糸速度200m/分〜800m/分で引取り、しかる後延伸機に導
き加熱ロールを用いて多段延伸してなる10g/d〜11g/dの
破断強度と18%以上の破断伸度を有するポリヘキサメチ
レンアジパミド繊維であって、繊維を形成するポリヘキ
サメチレンアジパミドの90%蟻酸相対粘度が85以上であ
り、小角X線回折による繊維長周期が100Å未満であ
り、かつ固体NMR法によって測定される非晶相の比率
R1、非晶相と中間相成分比R2及び結晶相の縦緩和時間tc
が下記の条件を満足する高耐疲労性高強力ポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維である。
R1≧50% ……(1) R2≧2.0 ……(2) tc≧50秒 ……(3) 本発明におけるポリヘキサメチレンアジパミドでは、
95モル%以上がヘキサメチレンアジパミドの繰返えし単
位から形成されなければならない。95モル%未満では、
ポリマーの融点が大幅に下がり、ポリヘキサメチレンア
ジパミドの特徴である耐熱性が損なわれるばかりか、高
強力が得られなくなる。98モル%以上がヘキサメチレン
アジパミド繰返えし単位で形成されていることが好まし
い。
本発明においてはポリヘキサメチレンアジパミド繊維
の破断強度が10g/dで且つ破断伸度が18%以上でなけれ
ばならない。破断強度および/または破断伸度がこの値
未満では、ポリマーの90%蟻酸相対粘度を大きくして
も、タイヤコードにした時タフネスが不十分となり、タ
イヤコードとしては不十分なものとなる。
本発明においては、繊維を形成するポリヘキサメチレ
ンアジパミドの90%蟻酸相対粘度は85以上でなければな
らない。90%蟻酸相対粘度が85未満では、いかに他の条
件を整えても疲労破壊時間を1500分以上にすることはで
きない。90%蟻酸相対粘度の好ましい範囲は95〜150で
あり、溶融紡糸の容易さを考慮すれば95〜135が更に好
ましい。
本発明においては、固体NMR法で測定される非晶相の
比率R1が50%以上で、且つ非晶相と中間相の成分比R2
2.0以上、しかも結晶相の縦緩和時間tcが50秒以上でな
ければならない。これらのパラメータの下限未満では、
他の要件をいかに整えても、疲労破壊時間が1500分以上
とはならない。
非晶相の比率R1、非晶相と中間相の成分比R2および結
晶相の縦緩和時間tcの好ましい範囲はそれぞれ、R1≧55
%、R2≧2.5、tc≧55秒である。
以下に固体NMR法の測定装置、測定方法、および測定
条件を示す。
固体NMR法の測定装置は以下の三つから構成される。
(1)スペクトロメータ(日本電子製JNM−FX200) (2)固体アンプ・MASコントローラ(日本電子製NH−S
H200) (3)プローブ(日本電子製NM−SH20T) 測定方法はTorchiaのパルス法で実施した(Journal o
f Magnetic Resonance 613.vol.30,1978に記載の方
法)。Torchiaのパルス系列を第1図に示す。このパル
ス系列を用いることにより、運動性の低い(スピン−格
子緩和時間T1の長い)試料のT1測定が、精度高く測定定
可能である。
測定は室温で行ない、静磁場強度4.7Tとしその条件下
での1H,13Cの共鳴周波数はそれぞれ199.50MHz,50.14MH
zとした。化学シフトの影響を消すためにMAS(マジック
角度回転)法を採用した。パルス系列の条件は、1Hに対
して90°パルス幅6μsec、回転磁場強度0.98mTとし、
13Cに対しては90°パルス幅6μsec、回転磁場強度3.9m
Tとした。CP(クロスポーラリゼーション)の接触時間
は1msecである。又、待ち時間τ中の1H90°パルス間隔
(τs)は20msecとした。待ち時間τ後の13Cの磁化ベク
トルの自由誘導減衰(FID)を測定した。尚、FID測定中
1Hによる双極子相互作用の影響を除去するためにDipole
Decouplingを行なった。測定はS/N比を向上させるため
に6sec(τ1)の待ち時間をもって500回の積算を行なっ
た。
第2図にナイロン66タイヤコードの(13CCP/MAS)ス
ペクトルとナイロン66の単位ユニットを示す。W.S.Veem
anらにより、ナイロン6についての測定例がある〔Macr
omolecules.21,2028(1988)の参照〕。縦緩和時間
(T1)は、D炭素のシグナルの高さの減衰現象を解析す
ることから求めた。成分比率はD炭素及びA炭素のシグ
ナルの高さの減衰現象を解析し、その両者の平均値から
求めた。
Torchiaのパルスを用いて測定したD炭素(第2図に
示した)の磁化強度の緩和現象の一例を第3図に示す。
一方、高分子構造には結晶相、中間相、非晶相の三相が
存在するとされており第3図はこれらの三相の緩和現象
の総和が観測されている。すなわち、高分子のlnHv.s.
τの関係は、一般に次式で表わされるとされている。
lnH=ln(Hc+Hin+Ha) =ln〔Scexp(−τ/Tc)+Sinexp(−τ/Tin)+Saex
p(−τ/Ta)〕 ……(I) Sc,Sin,Sa:それぞれτ=0における結晶相、中間
相、非晶相の磁化強度 Tc,Tin,Ta:それぞれ結晶相、中間相、非晶の縦緩和
時間通常Tc>Tin>Ta Hc,Hin,Ha:それぞれτ=tにおける結晶相、中間
相、非晶相の磁化強度 と表わすことが出来るので上のような等式が成り立つ。
以下に、磁化強度の実測値と式(I)とを利用して結
晶相、中間相、非晶相の縦緩和時間、および各相の比率
を求める方法を説明する。K.Fujimotoらによって低密度
ポリエチレンで行われた方法と同様にして行う〔Polyme
r J.,3,448(1972)参照〕。
(1)結晶相の縦緩和時間の求め方 第3図において待ち時間τが大きい領域において対数
プロットが直線に載る領域がある。この領域は縦緩和時
間の短い非晶相、中間相の磁化は消失し結晶相のみの磁
化の緩和であると判断できる。すなわち、この直線領域
はlnH≒lnHc=lnScexp(−τ/Tc)=lnSc−τ/Tcで表
わされる。よって、この直線の傾きより結晶相の縦緩和
時間Tc、切片よりτ=0の結晶相の磁化強度Scを算出す
る。
(2)中間相の縦緩和時間の求め方 全磁化強度より結晶相の寄与を差し引いた磁化強度
H′=H−Hc=SAexp(−τ/TA)+Sinexp(−τ/
Tin)の対数と待ち時間τの関係を第4図に示す。結晶
相と同様に直線部分は中間相のみの磁化の緩和であると
判断できる。よって直線領域は(1)と同様にlnH′≒l
nHin=lnSin−τ/Tinで表わされ、直線部分の傾きより
中間相の縦緩和時間Tin、切片よりτ=0の中間相の磁
化強度Sinを算出する。
(3)非晶相の縦緩和時間の求め方 全磁化強度より結晶相、中間相の寄与を差し引いた磁
化強度H″=H−Hc−Hin=Saexp(−τ/Ta)の対数と
待ち時間τの関係を第5図に示す。lnH″−待ち時間τ
の関係は直線を示していることより非晶相のみの緩和と
判断できる。lnH″≒lnHa=lnSa−τ/Taから、直線の
傾きより非晶相の縦緩和時間Ta、切片よりτ=0の非晶
相の磁化強度Saを算出する。
(4)各相の比率の求め方 各相の比率は各相のτ=0の磁化強度の比 Pi(%)=Si/(Sc+Sin+Sa)×100(i=c,in,a)よ
り求める。
本発明の高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維は次のような製造方法で製造できる。すなわ
ち、繊維を形成するポリヘキサメチレンアジパミドの90
%蟻酸相対粘度が85以上となるように使用する原料ポリ
マーの90%の蟻酸相対粘度、水分率、および溶融紡糸中
のポリマー温度、滞留時間、および延伸条件を平衡反応
や分解反応を考慮して溶融紡糸条件を設定し、表面を非
水系仕上げ剤で処理することで製造可能である。非水系
仕上げ剤には二種類あり、原油そのものを直接付与する
ニート系とケロシンなどの有機溶剤に希釈して付与する
希釈系がある。
更に本発明の高耐疲労性高強力ポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維の製造方法を説明する。
まず酢酸銅や沃化カリウムなどの安定剤を含む、90%
蟻酸相対粘度が40〜50のプレポリマーを公知の溶融重合
法で製造し、ポリマーペレットとなす。次いでこのポリ
マーペレットを公知の固相重合法で90%蟻酸相対粘度85
以上に高分子量化する。この高分子量ポリマーを第6図
に示すような装置を用いて溶融紡糸およびそれに続く多
段延伸を行ない、高強力ポリヘキサメチレンアジパミド
繊維とする。
すなわち溶融したポリマーをスピンヘッド1に装置し
た紡糸口金2から押出し、フィラメント4を形成し、加
熱筒3内で冷却を遅延し、その後冷却風チャンバー5内
で冷却風によって冷却固化する。次いで仕上げ剤付与装
置(オイリングロール6)によって仕上げ剤を付与し
た。付与の際には、仕上げ剤の粘度が高いので40〜70℃
に加温して付与するのが望ましい。仕上げ剤付与後、延
伸機に導びき、各段のゴデットロール8,9,10,11で加熱
し、常法に従って多段延伸し、巻取機で巻取る。なお紡
糸して得た未延伸糸を一旦巻取った後、延伸してもよ
い。
またより高い破断強度および破断伸度の繊維を得るに
は紡糸速度は200m/分〜800m/分が好ましい。
〔実施例〕
実施例の説明に先立ち本発明において用いられる各種
の技術用語の定義とその測定方法を説明する。
(1)90%蟻酸相対粘度 90%蟻酸相対粘度とは90%蟻酸にポリマー濃度8.4重
量%となるように溶解せしめた溶液の25℃における相対
粘度である。
(2)強力、破断強度、破断伸度 島津製作所製オートグラフS−100Cを用い、80回/mの
撚りを加えた25cmの原糸の試料に対して、降下速度30cm
/分、チャートスピード60cm/分、フルスケール25kgで求
めた値である。
(3)乾熱収縮率 乾熱収縮率は80回/mの撚りを加えた1.0mの原糸を、16
0℃のエアオーブン中で30分間自由収縮させた後、次式
に従って求める。
l1:熱処理後の糸長(cm) (4)グッドイヤー法チューブ疲労試験 JISL−10173・2・2・1A法に準ずる。
チューブ形状 内径 12.5mm 外径 26 mm 長さ 230 mm 曲げ角度 90° 内圧 3.5kg/cm2G 回転数 850rpm 加硫条件 140℃×40分 (5)加硫コード強力、破断強度、破断伸度 処理コードをゴム中に埋めて155℃×40分間自由収縮
した後、加硫ゴムを分離し、加硫コードを取り出し、
(2)に示した方法で強力、破断強度、破断伸度を測定
する。
(6)長周期 「繊維・高分子測定の技術」繊維学会編、朝倉書店出
版第171頁の長周期の測定方法に従って測定した。
(7)仕上剤付着率 JIS−L−1013の油脂定量試験法 1.洗浄減量に従っ
て測定した。
実施例1,2および比較例1,2 固相重合法によって、蟻酸相対粘度が110のポリヘキ
サメチレンアジパミド(実質的に100%がヘキサメチレ
ンアジパミドからなる)のペレットを得た。このポリマ
ーペレットは銅含有量で170ppmに相当する酢酸第2銅、
沃素含有量で130ppmに相当する沃化カリウムおよび30pp
mの酸化チタンを含む。
第6図に示す溶融紡糸機および延伸機を用いて、前記
ペレットから直接紡糸延伸法で1890d/312fの高強力ポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。その時用いた仕
上げ剤を第1表に示す。そのうち2種(仕上げ剤Aおよ
びB)は非水系仕上げ剤で原油のまま付与し、(実施例
1,2)他の2種(仕上げ剤CおよびD)は水中で乳化能
を有する仕上げ剤で水系デマルジョンとして付与した
(比較例1,2)。
また、紡糸条件および延伸条件は以下の如くであっ
た。
ポリマー吐出量 568g 紡口 孔径 0.26φmm 孔長 0.39mm 孔数 156×2H 紡糸温度(スピンヘッド温度) 300℃ 加熱筒 長さ 300mm 内温 180℃ 冷却風 温度 20℃ 湿度 RH 65% 風速 0.75m/s オイリング オイリングロール径 65φ オイリングロール回転数 仕上げ剤A,B 54rpm 仕上げ剤C,D 7.0rpm 仕上げ剤温度 仕上げ剤A,B 50℃ 仕上げ剤C,D 室温 紡糸速度(プレテンションロール周速) 577.1rpm 延伸条件 周速(m/分) 温度(℃) 第1ゴデットロール 583 80 第2ゴデットロール 1530 215 第3ゴデットロール 3060 220 第4ゴデットロール 3060 150 巻取速度 2800 全延伸比 4.86倍 上の条件で得た高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊
維の原糸物性を第2表に示す。
次に得られた原糸からのコードの特性の評価を行なっ
た。原糸1本ずつに撚数32回/10cm(S撚り)の下撚り
を施し、次いで下撚糸2本ずつに撚数32回/10cm(Z撚
り)の上撚りを施し、生コードを作った。得られたコー
ドの特性は第3表の如くであった。
次に生コードを3オーブンホットストレッチ装置(コ
ンピュートリータ)を用いて、接着剤すなわちレゾルシ
ン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)液の処理を
施し、処理コードを得た。接着剤処理の条件を以下に示
す ホットストレッチ条件 温度(℃) 張力(kg) 第1ゾーン 160 2.08 第2ゾーン 228 4.15 第3ゾーン 228 2.28 処理速度 15m/分 得られた処理コードの物性およびグッドイヤー法のチ
ューブ疲労破壊時間は第4表の如くである。
第4表に示すように原糸物性で、非晶相の比率≧50
%、非晶相と中間相の成分比≧2.0、結晶相の縦緩和時
間≧50秒のものは1500分以上の疲労破壊時間を示す。
実施例3および比較例3 実施例1,2および比較例1,2と仕上げ剤以外の条件は全
く同じ方法、条件でポリヘキサメチレンアジパミド繊維
を製造した。すなわち仕上げ剤EおよびFを付与した90
%蟻酸相対粘度96の繊維2種類を製造した。仕上げ剤E
およびFを付与した90%蟻酸相対粘度96の繊維2種類を
製造した。仕上げ剤E(実施例3)は非水系仕上げ剤で
原油のまま給油し、仕上げ剤F(比較例3)は水系エマ
ルジョンとして給油した。仕上げ剤EおよびFの組成を
第5表に示す。得られたポリヘキサメチレンアジパミド
繊維の物性を第6表に示す。
これらの繊維を実施例1,2と全く同じ方法、条件で撚
糸し、生コードとなし、次いでDipping処理を行ない、
処理コードを得た。この生コードおよび処理コードの物
性をそれぞれ第7表および第8表に示す。
非水系仕上げ剤Eで表面処理された実施例2の繊維
は、非晶相の比率≧50%、非晶相と中間相成分比≧2.
0、結晶相の縦緩和時間≧50秒を満たし1500分を越える
高い疲労破壊時間を示した。
〈実施例4〉 固相重合法によって、蟻酸相対粘度が105の、5モル
%のテレフタラジパミドを含む共重合ポリヘキサメチレ
ンアジパミドのペレットを得た。
このポリマーは実施例1,2に用いたポリマーと同じ添
加剤を含む。
ポリマー以外は実施例1,2と全く同じ方法で、高強力
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維(原糸)を得た。そ
の原糸物性を第9表に示す。次に、得られたこの原糸を
実施例1と全く同じ条件で撚糸し、生コードを得た。こ
の生コードの物性を第10表に示す。更に得られた生コー
ドを実施例1と全く同じ条件で接着剤処理を行ない、処
理コードを得た。この処理コードの物性およびチューブ
疲労破壊時間は第11表の如くである。
本実施例においても、加硫コード疲労破壊時間は、15
00分以上であった。
比較例4 実施例1と、延伸倍率条件以外は全く同じ方法、条件
でポリヘキサメチレンアジパミド繊維を製造した。
延伸条件は以下の如くであった。
上記条件で得た高強力ポリヘキサメチレンアジパミド
繊維の原糸物性を第12表に示す。
この繊維を実施例1と全く同じ方法、条件で撚糸し、
生コードとなし、次いでDipping処理を行い、処理コー
ドを得た。この生コード及び処理コードの物性を、それ
ぞれ第13表及び第14表に示す。
〔発明の効果〕 本発明の高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維
は、それをタイヤコードにした時、従来通りの高いタフ
ネス(強力×伸度)を保持したままで、極めて高い耐疲
労性を示す。このことによって、トラックやバスなどの
高重量車用バイアスタイヤの寿命が伸びたばかりか、高
速走行に適したタイヤが得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図はTorchiaのパルス系列を示す図である。(この
系列にのっとって本文中に記述した条件で測定を実施し
た。) 第2図はナイロン66の単位ユニットとナイロン66タイヤ
コードの13CCP/MASスペクトルを示した図である。 第3図はD炭素の磁化強度の対数と待ち時間τの関係を
示した図である。(直線部分の式より結晶相の縦緩和時
間Tc,τ=0の磁化強度Scを算出する。) 第4図は全磁化強度より結晶相の寄与を差し引いた磁化
強度の対数と待ち時間τの関係を示した図である。(直
線部分の式より中間相の縦緩和時間Tin,τ=0の磁化
強度Sinを算出する。) 第5図は全磁化強度より結晶相、中間相の寄与を差し引
いた磁化強度の対数と待ち時間τの関係を示した図であ
る。(直線式より非晶相の縦緩和時間Ta,τ=0の磁化
強度Saを算出する。) 第6図は本発明に使用した試験用紡糸機および延伸機の
略示側面図である。 1…スピンヘッド、2…紡糸口金、3…加熱筒、4…フ
ィラメント、5…冷却風チャンバー、6…オイリングロ
ール、7…プレテンションロール、8…第1ゴデットロ
ール、9…第2ゴデットロール、10…第3ゴデットロー
ル、11…第4ゴデットロール、12…巻取機。
フロントページの続き (72)発明者 友清 正博 宮崎県延岡市旭町6丁目4100番地 旭化 成工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−194209(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】95モル%以上がヘキサメチレンアジパミド
    の繰返し単位からなる溶融したポリマーを押出し、加熱
    筒内で冷却を遅延してフィラメントを形成させ、冷却固
    化後のフィラメントに非水系の仕上剤を付与した後、紡
    糸速度200m/分〜800m/分で引取り、しかる後延伸機に導
    き加熱ロールを用いて多段延伸してなる10g/d〜11g/dの
    破断強度と18%以上の破断伸度を有するポリヘキサメチ
    レンアジパミド繊維であって、繊維を形成するポリヘキ
    サメチレンアジパミドの90%蟻酸相対粘度が85以上であ
    り、小角X線回折による繊維長周期が100Å未満であ
    り、かつ固体NMR法によって測定される非晶相の比率
    R1、非晶相と中間相成分比R2及び結晶相の縦緩和時間tc
    が下記の条件を満足する高耐疲労性高強力ポリヘキサメ
    チレンアジパミド繊維。 R1≧50% ……(1) R2≧2.0 ……(2) tc≧50秒 ……(3)
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