JPH036247B2 - - Google Patents
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Classifications
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- D—TEXTILES; PAPER
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- D01F—CHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
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Description
本発明は、高耐久性ナイロン6糸に関するもの
である。 さらに詳細には、産業資材用糸条、例えばタイ
ヤコード、ベルト、ホース等のゴム補強用材に適
する強力を有し、高耐久性(寸法安定性に優れ、
高い耐疲労性を有する)のナイロン6糸に関する
ものである。 ナイロン6は、工業的に生産されている極めて
有用なポリアミドであり、高強力、高タフネスを
利用して、タイヤコード用糸として多く用いられ
ているが、寸法安定性、特に乾熱収縮率が高いと
いう欠点を有する。 従来、寸法安定性を向上させるため、原糸製造
段階で熱処理する方法が多数提案されている。こ
れらの提案は例外なく、原糸で熱収縮処理する方
法であり、原糸での乾熱収縮率の低下は認められ
るが、切断伸度、中間伸度(1260dの場合荷重
6.8kg、840dの場合荷重4.5kgの各伸度)が増大し
ているため、その原糸が撚糸工程を経てコードと
され、次いでデイツプ工程にて緊張熱処理される
場合、原糸での熱収縮処理時の熱収縮相当分が伸
長される結果、デイツプ処理コードの乾熱収縮率
がおのずと高くなり、原糸熱処理効果が半減され
るか、あるいは全く効果がなくなつてしまう。 従来の一般的ナイロン6高強度糸の製造は、ま
ず第1工程で高重合度のポリマーを溶融し、加熱
フードを紡糸口金下に取り付け、低紡糸速度(通
常300〜600m/min)でできる限り配向度(複屈
折率の値)の低い未延伸糸を得、次いで第2工程
において巻き取られた未延伸糸を放置し、熱延伸
する2工程法かあるいは紡糸に引き続き熱延伸す
る直接紡糸延伸法、所謂スピンドロー法かによつ
て行われている。いずれの方法においても延伸工
程では糸条に十分熱を与え、切断近くまで高度に
延伸し、配向を高める方法が高強力で寸法安定性
に優れた原糸を得る方法であると信じられてき
た。 しかし、このように、緊張熱処理されたナイロ
ン6糸条は、極度の伸長により糸条構造中に欠陥
が生じ、優れた耐疲労性が得られない。 前述の2工程法か、あるいは直接紡糸延伸法か
のいずれかの方法によつて、低配向未延伸糸に高
度の延伸熱処理を施すことにより、より安定な繊
維構造を達成するための努力がこれまでなされて
きた。結晶構造の安定定度は、X線広角測定によ
つて求められる試料の結晶面間隔と、ナイロン6
の最も安定な結晶構造であるα型結晶の理論面間
隔(D.R.Holmes,C.W.Bunn,D.J.Smith,J.
Polym.Sci.,17,159(1955))とから求められる
結晶完全度(CPI)によつて表すことができ、従
来の高強度ナイロン6糸のCPIの値は72〜85(%)
である。 一般に、低配向未延伸糸から得られる延伸糸は
延伸倍率、熱処理の増大に伴いCPIが高くなる。
一方、X線小角測定により求められる長周期
(LP)は、繊維軸方向の結晶の大きさと非晶相の
長さの和であると考えられており、延伸熱処理と
ともに、結晶の大きさの増大と非晶相の伸長によ
りLPの値は増大し、一般に100Å以上の値となつ
ている。 ナイロン6衣料用繊維に関する3000m/min以
上の高速紡糸による巻き取り糸(POY糸)は公
知であり、30×10-3〜45×10-3のΔnを有してい
る。これらを高分子量ナイロン6に適用し、
3000m/min以上の高速紡糸で得た巻き取り糸を
ゴム補強材として用いる方法が特開昭54−34415
号公報に提案されているが、その中に記載されて
いるように、得られた糸は、γ変態型の結晶を有
するものであり、本発明を特徴づけるCPI値に相
当する値が零あるいは零に極めて近いものであ
る。しかし、記載されているナイロン6糸のΔn
は30×10-3〜45×10-3であり、本発明の高強力、
高耐久性ナイロン6糸とは全く異なるものであ
る。 また、ナイロン6衣料用繊維に関して、高速紡
糸(2500m/min以上)に引き続き冷延伸するこ
とによつて、Δnが55×10-3未満の糸条を得る方
法(例えば特開昭50−83519号公報)も知られて
いる。この方法を高分子量のナイロン6に適用
し、残留伸度に相当する分を延伸して、ゴム補強
用糸条を得る方法が特開昭57−191337号公報で提
案されている。しかしながら、この方法で得られ
る糸条はΔnを含む延伸糸の特性値(微細構造)
について何も記載がみられず、紡糸延伸工程にお
ける特別な配慮がない点、延伸速度1000m/min
以上の速度である点等を考慮すれば、特開昭54−
34415号公報のものと同様γ変態が主たる構造と
推定される。また、単に紡糸速度(以後紡速と略
称する)を上げるだけでは1000m/min以上の高
紡速領域においては紡速とともに、Δnの増加が
少なくなり、糸斑の発生などによる延伸性の低下
を招くことは明らかであつて、本発明の高強度、
高耐久性糸用の出発糸とはなりえない。 本発明者らは、結晶化度が低く、高い非晶配向
度(20×10-3≦Δn≦45×10-3)を有する未延伸
糸から得られる、特性値が限定された微細構造を
有する原糸(延伸糸)が撚糸工程、デイツプ処理
工程を経て、原糸から処理コードに加工される時
の強力保持率が良く、また処理コードの乾熱収縮
率の低下にみられるように、寸法安定性に優れ、
またゴム補強材として使用した場合、驚く程優れ
た耐疲労性を有することを見出し、本発明に到達
したものである。 すなわち、本発明の要旨は、「相対粘度が3.2〜
4.2のナイロン6チツプを用い、紡糸速度800〜
3000m/minで溶融紡出後、紡糸口金下に加熱フ
ードを用いずに均一に強制冷却された複屈折率が
20×10-3〜45×10-3の高配向未延伸糸を、一旦巻
き取るか、あるいは引き続いて延伸して得られた
糸であつて、相対粘度3.0〜4.0で、単糸繊度が2.5
〜5.5デニールであり、次の特性値(a)〜(d)を同時
に備えているナイロン6糸。 (a) 54×10-3≦Δn≦62×10-3 (b) 70≦EM≦120 (c) 45≦CPI≦75 (d) LP≦95 (ただし、Δnは複屈折率、EMは中間伸度点に
おける弾性率(g/d)、CPIは結晶完全度
(%)、LPは長周期(Å)であり、それらの定義
は後述の記載に従う。)」にある。 本発明のナイロン6糸において特に好ましいも
のは相対粘度が3.1〜3.8であり、下記の特性値
(a)′〜(d)′を同時に備え、かつ強度が8.8g/d以上
のものである。 (a)′ 56×10-3≦Δn≦61×10-3 (b)′ 80≦EM≦110 (c)′ 52≦CPI≦72 (d)′ LP≦92 本発明をさらに詳細に説明する。 本発明の特性を有するナイロン6糸が高耐久性
を有している理由は、以下のように推定される。 ゴム補強材用糸に必要とされる強度は、その用
途により異なるが、ナイロン6糸の場合8.0g/d
以上が一般に望まれる。本発明における(a)の条件
はポリマーの相対粘度にも依存するが、8.0g/d
以上の強度の原糸とするには54×10-3以上のΔn
が必要であることを示す。より好ましくは56×
10-3以上である。 しかしながら、原糸のΔnを極度に高めるまで
延伸すると、繊維の内部構造にヒズミを生み、処
理コードの乾熱収縮率の増大、耐疲労性の低下を
招く。したがつて、ΔnはΔn≦62×10-3、より好
ましくはΔn≦61×10-3に抑える必要がある。 中間伸度(応力5.36g/d時の伸度)での弾性
率(EM)が120g/d(従来糸はこれ以上である。)
以下であることは通常の撚、デイツプ工程あるい
は製品として伸長がかかる場合、繊維内部に欠陥
の発生する可能性が少なくなる要因の一つと推定
される。しかし、Δnが54×10-3未満であるか、
熱履歴が極めて少なく、EMが70g/d未満の低い
糸であれば、実用上の使用に耐え得ないことはい
うまでもない。 通常、弾性率と呼ばれるものは初期弾性率(1
%伸長時の強度より、EO=強度/0.01で求められ
る。)で25〜45g/dであり、初期弾性率は延伸
時の熱処理条件(特にリラツクス率)に大きく依
存する。また、原糸の中間伸度は一般に切断伸度
の約半分であり、通常のゴム補強物等の繰り返し
変形は、中間伸度までの変形である。中間伸度点
での応力−伸長曲線での勾配、すなわち中間伸度
点における弾性率は、実用上の耐久性に関係す
る、重要な特性といえよう。低配向未延伸糸から
極限近くまで延伸された従来糸では、EMが
120g/dより大きな値となる。しかしながら、
本発明のナイロン6糸は、非晶部がより配向して
いるのに対し、結晶部は紡糸段階で急冷されるこ
とにより、結晶サイズが比較的小さくなり、得ら
れる延伸糸は、EMが70≦EM≦120、より好ましく
は、80≦EM≦110の範囲に限定される。 従来の低配向未延伸糸からなる延伸熱処理糸の
安定な繊維構造は、結晶が大きく、また結晶完全
度が高いことに裏付けられているが、本発明の高
耐久性ナイロン6糸繊維の微細構造は(c)に規定し
たごとく、結晶完全度の適正な範囲45≦CPI≦
75、より好ましくは52≦CPI≦72にすることによ
り、比較的サイズの小さい結晶及び非晶が一体と
なつた構造が高耐久性原糸にする一つの特性値の
制御因子であることが明らかとなつた。さらに、
従来糸の長周期(LP)が約100Å以上と結晶サイ
ズが大きく、非晶鎖の伸長された構造であるのに
対し、本発明においては、紡糸段階で糸条を急冷
することにより、(d)に示すごとくLP≦95、より
好ましくはLP≦92のごとく、結晶サイズが比較
的小さいと同時に、非晶の配向が進んでいること
から、非晶鎖の内部伸長ヒズミの少ない構造にな
つている。 上記(b)〜(d)の特性値は、紡糸段階で糸条を強制
冷却し、結晶サイズを比較的小さいものとし、か
つ糸条(非晶部)を配向させることにより、非晶
鎖の内部伸長ヒズミの少ない未延伸糸を得、続い
て行われる延伸段階で適度な配向を施し、適度な
熱履歴を与えることによつて得られる、比較的小
さな結晶と伸びきつた非晶との構造間にあまり差
がないパラクリスタイル構造を有する繊維に起因
するものである。 そして、本発明における(a)〜(d)の特性を同時に
備えているナイロン6糸はコードに加工された場
合、低い乾熱収縮率に示されるごとく、寸法安定
性に優れ、伸長、圧縮の繰り返しに対して優れた
耐疲労性を発揮するものと推定される。 本発明の特性を有するナイロン6糸は、次の例
に示す方法により工業的生産が可能である。 相対粘度が3.2〜4.2のナイロン6チツプを280
〜300℃で溶融紡出し、紡糸口金下には加熱フー
ドを用いずに、紡糸口金直下少なくとも12cm以内
に冷却開始点を有する冷却装置を用いて急冷し、
次いで延伸熱処理することによつて得られる。顕
著な高耐久性を有する繊維は、紡糸工程におい
て、溶融紡出糸条を、前記冷却装置を用いて急冷
することにより非晶領域が高度に配向し(20×
10-3≦Δn≦45×10-3)、かつ、従来得られなかつ
たような低結晶性の未延伸糸を得ることにはじま
る。 一般に、ナイロン6未延伸糸のΔnは800m/
min領域まででは、紡速にほぼ比例する。通常、
400m/minの紡速では8×10-3、800m/minの
紡速では約15×10-3である。しかし、1000m/
min以上の高紡速領域では、例えば紡速3500m/
minで約35×10-3にとどまり、それ以上紡速を増
大しても未延伸糸のΔnはほとんど増大しない。
したがつて、非晶配向度の高い未延伸糸を作るた
め、単に紡速を上げる方法では有効にΔnを上げ
ることが困難であるばかりか、紡出糸条の冷却速
度が低下し、自ずと繊維の結晶化が進行するた
め、次の延伸熱処理により好ましい延伸糸構造を
得ることが困難となる。さらには、マルチフイラ
メント間のΔnの均斉度の低下、随伴気流による
フイラメントの乱れによる糸斑の発生が起こりや
すくなる。 紡糸工程における未延伸糸のΔnを増大させる
方法として、糸条固化後加熱雰囲気中に糸条を通
す方法(例えば特開昭50−20610号公報)や、水
蒸気処理を施す方法なども提案されているが、効
果に乏しいことや、糸の乱れによる糸斑の増大を
伴い、好ましい方法ではない。 通常、ナイロン6タイヤコード用糸の紡糸にお
いては、紡糸口金下に加熱フードを設け、横型吹
付装置にて冷却する方法がとられる。800m/
min、あるいは1000m/min以上の紡速にて巻き
取られる糸条を通常の方法で冷却するだけで、
Δnを効果的に増大させることは困難である。し
かも、この方法では、加熱フードを使用するた
め、結果として徐冷型の冷却となり、未延伸糸の
結晶化度が高くなるため、延伸熱処理を施して
も、本発明の高耐久糸を得ることはできない。 本発明の高耐久性ナイロン6糸を得るためには
紡糸口金直下での均一な急冷が必要であり、例え
ば次のようにして得ることができる。 本発明にいう紡出糸条の冷却とは、紡糸口金直
下12cm以内に冷却開始点を有する冷却装置を用い
て、紡出糸条を冷却するものであつて、紡糸口金
下には加熱フードは配設されておらず、しかも、
冷却風は紡出糸条にできるだけ均一かつ垂直に当
てることが必要である。具体的には、後述する前
面吸引横型吹付法が最も好ましく、冷却風が随伴
気流によつて下降することなく、均一な急冷が可
能となる。また、環状吹付法でもよいが、この場
合、紡糸口金の吐出孔は、環状に配列されている
ほうが好ましい。 また、単糸デニールを下げることにより、冷却
細化速度を高め、Δnレベルをある程高める方法
も併用する必要がある。産業資材用糸の単糸デニ
ールは、一般に6〜9dがよく用いられているが、
本発明の目的をよりよく発揮するためには、2.5
〜5.5dでなければならない。 このようにして、結晶化度が小さく、非晶部が
より配向した未延伸糸を得て、次に、適度な熱延
伸を施すことにより(a)〜(d)の特性を有するナイロ
ン6糸を製造することができる。未延伸糸のΔn
が45×10-3を超える場合、延伸が困難となる。ま
た、延伸に関して、Δnが25×10-3〜35×10-3の
未延伸糸については、ナイロン6の自己伸長挙動
(巻き取り糸の放置時に糸長の増大する現象であ
り、巻き取りスプールから糸がはずれるトラブル
のために延伸操業性が低下する。)を避けるため、
未延伸糸の引き取りに引き続き延伸し、Δnが35
×10-3〜45×10-3になるように延伸して巻き取り
(半延伸糸と呼ぶ)、その後再び熱延伸する方法
か、あるいは(a)の54×10-3≦Δn≦62×10-3まで
直接紡糸延伸する方法か、いずれかの有利な方法
が選択される。 本発明の高耐久性糸を得るためには、紡速は
800〜3000m/minでなければならず、より好ま
しくは1000〜3000m/minである。上記範囲内で
あれば、紡速は特に限定されるものではないが、
未延伸糸のΔnが25×10-3〜45×10-3となる条件
であれば、紡速はできるだけ低い方が望ましい。 このようにして引き取られた未延伸糸を、引き
続き延伸に供する場合、最終延伸ローラの速度が
6000m/min以下となる速度が望ましく、より好
ましくは5000m/min以下であり、このためにも
紡速(引き取りローラ速度)をいたずらに上げる
ことよりも、冷却細化速度をコントロールして
Δnが高く(非晶が配向しており)、かつ、低結晶
化度の未延伸糸を得て、その後の延伸熱処理に供
するべきである。工業的には高速紡糸、直接延伸
工程でも、実質2段延伸以下が望ましく、また加
熱蒸気をオリフイスから糸条に吹き付け、延伸す
る方法が有利に用いられる。 この直接紡糸延伸法よりも、より好ましくは、
以下に述べる方法により、(a)〜(d)の特性を有する
延伸糸を得ることができる。すなわち、巻き取ら
れた未延伸糸、あるいは半延伸糸を延伸に供する
のである。工業的には、延伸は実質2段以下の段
数で行われるが、2段延伸法がより好ましい。こ
の場合、延伸装置は供給ローラ(60〜120℃)、第
1延伸ローラ(110〜180℃)、第2延伸ローラ
(150〜200℃)からなり、適宜、非加熱のプリテ
ンシヨンローラを供給ローラの前に設けてもよ
い。第2延伸ローラ後に冷却ローラを介して巻き
取つてもよい。全延伸倍率(DRT)は延伸に供さ
れる未延伸糸のΔn及び最終延伸糸のΔnが特性値
(a)の条件の範囲内となるように決められる。ま
た、第1延伸ローラと第2延伸ローラとの間に熱
板(170〜220℃)を設けてもよい。さらに、特性
値(b)〜(d)が満たされるように延伸条件(延伸倍
率、温度、速度、ラツプ数等)を調整する必要が
ある。このようにして、8g/d以上、好ましく
は8.8g/d以上、より好ましくは9.0g/d以上の
強度を有する原糸を得ることができる。 本発明でいうナイロン6とはポリカプラミドあ
るいはポリカプラミドを主体とするポリアミドで
あり、紡糸に先立ち顔料、耐熱剤等を添加しても
よいのはいうまでもない。 次に本発明に係る糸条を、例えばタイヤコード
に用いる場合、繊維とタイヤのゴム組成物との接
着性を付与するため、通常、RFL液(レゾルシ
ン−フオルマリン−ラテツクス)のデイツプ処理
がなされる。この処理を経て得られる、いわゆる
処理コードの弾性率、強力は、デイツプ処理工程
でストレツチ率を上げる方法でも見掛け上アツプ
させることができるが、この方法では、乾熱収縮
率のアツプを伴い、結局、実際のタイヤ中での弾
性率、強力は低くなるので、この方法は効果的で
はない。また、撚係数の低いコードをデイツプ処
理して得られる処理コードは弾性率、強力が増大
し、乾熱収縮率も低下するが、ゴム中での耐疲労
性が大幅に低下するという欠点を有していた。そ
こで、本発明者らは処理コードの160℃時の無緊
張の乾熱収縮率DSと、疲労性Fあるいは撚係数
Kとの関係を求め、本発明に係る糸条からなるタ
イヤコードは、従来のものに比較し、優れた高耐
久性(低収縮、耐疲労性)を有しており、さら
に、撚係数の低いコードであつても、ゴム中の耐
疲労性が大幅に低下するという欠点が解消される
ことを見出した。このような高耐性糸条はゴム補
強用糸条として有用な実用特性、例えばタイヤ成
型に至る加工工程まで、高い強力利用率をもつて
いる。 本発明の糸条は、タイヤコードのほか、Vベル
ト、タイミングベルト、搬送用ベルト類、繊維補
強ゴムシート、コーテイツドフアブリツクなど、
特に高強力、寸法安定性、耐疲労性の特性が有用
視される用途に用いることができる。 以下、実施例にてさらに具体的に説明する。な
お、本発明中で用いる用語及び物性値の定義並び
に測定方法を以下に記述する。 引張試験 JIS−L1017の方法で行つた。中間伸度(以下
MEと記す)とは、原糸の場合応力5.36g/d時の
伸度、コードの場合2.68g/dの伸度である。 乾熱収縮率DS 20℃、65%RHの温調室に24時間以上放置した
のち、0.05g/dに相当する荷重をかけて測定さ
れた長さpの試料を、無張力状態で160℃のオー
ブン中に30分放置したのち、オーブンから取り出
し、前記温調室に12時間放置し、再び0.05g/d
をかけて測定した長さ1から DS=(0−1)/0×100(%) で算出される。 複屈折率 日本光学工業社製POH型偏光顕微鏡を用い、
D線を光源として、通常のベレツクコンペンセー
タ法により求めた。なお、試料を上記の温調室に
一昼夜放置して吸湿させた後の複屈折率を示す。 X線回折 理学電機製、広角X線及び小角X線散乱装置を
使つてCUKαを線源として測定した。 CPI(結晶完全度) 広角X線測定で、赤道線X線散乱強度曲線よ
り、(200)(020)面の回折ピークの角度より面間
隔d(200)Å、d(020)Åを各々求め、次式にし
たがつてCPIを算出した。 CPI=d(200)/d(020)−1/0.1935×100(%) 分母の0.1935はBunnなどによる完全な結晶の
上記計算式の分子の値である。 LP(長周期) 子午線X線小角散乱強度線よりピークの角度を
求め、Braggの式より算出したものである。 EMの算出法 JIS−L1017に準ずる方法で試料長25cm、引張
速度30cm/minの条件で、強伸度曲線を得る。応
力5.36g/d時の伸度(dは原糸の繊度)すなわ
ち中間伸度を(e%)としたとき、(e+1)%
伸長時の強度t(g/d)から EM=(t−5.36)/0.01より計算される。 相対粘度 相対粘度ηrelは96%硫酸100c.c.に試料1gを溶解
し、25℃で測定して求めた。 撚係数K 下記の計算式により求めた。 K=T√、ただしTは撚数(t/10cm)、
Deはコードの繊度である。 強力利用率ε ε=[コード強力/(原糸強力×2)]×100(%) 疲労性F デイツプ処理コードを135℃で加熱後、20℃、
65%RHで6時間放置した後、JIS−L1017に準拠
し、チユーブ疲労試験法にてチユーブ角度90゜、
チユーブ圧4Kg/cm2、850rpmで右回転30分後、
左回転30分間を繰り返し、破断に至までの時間
(分)を調ベる。 タフネス 下記の計算式により求めた。 タフネス=強度×伸度÷2 実施例 エクストルーダー型溶融紡糸機を使用し、紡糸
温度(口金温度)285℃で、相対粘度3.4のナイロ
ン6チツプを溶融し、孔径0.4mm、孔数194〜360
の環状に配置された吐出孔を有する紡糸口金から
吐出し、下記の方法で吐出糸条を冷却した。 紡糸冷却方法として、3種類の方法(s、
s、s)を用いた。 sは通常よく低紡速領域で行われる紡糸冷却
法であり、紡糸口金下に長さ5cm、温度280℃の
加熱フードをつけ7cmのモノマー吸引装置につづ
き1.2mの横型吹付装置で風速1m/secで糸条を冷
却(風温15℃)した。 sは前面吸引横型吹付法であり、紡糸口金下
には加熱フードを設置せず、紡糸口金下10cmの位
置より長さ1.2mの前面吸引横型吹付装置を設け、
冷却風温15℃、風速(m/sec)0.35×√(S
=紡速(m/min))で糸条を冷却した。吸引風
速は、吹付風速とほぼ同一とした。 sは環状吹付法であり、紡糸口金下には加熱
フードを設けず、紡出口金下5cmの位置より、長
さ0.7mの環状吹付装置を設けて、風速0.03×√
で糸条を冷却した。環状吹付装置の下に長さ7cm
の環状モノマー吸引装置を設置した。冷却風温は
s、sと同様に15℃とした。 上記s〜sのいずれかの方法で糸条を冷却
し、未延伸糸を得た。 このように、冷却細化された糸条に0.8%の油
剤を付与し、うち、いくつかの未延伸糸について
は、引き取りローラと第1延伸ローラとの間で
1.03倍のプリストレツチを与え、第2延伸ローラ
との間で延伸し、巻き取り未延伸糸の自己伸長を
抑えるべく半未延伸糸とした。 次に、得られた未延伸糸及び半延伸糸を、下記
の二つの方法(D、D)を用いて延伸熱処理
した。 Dは、延伸速度1000m/minで室温の供給ロ
ーラと室温の第1延伸ローラとの間で1.05倍に延
伸し、次いで第1延伸ローラと第2延伸ローラ
(195℃)との間に500mmの熱板(200℃)を設け
て、種々の延伸倍率で延伸する方法であつて、特
開昭57−191337号の実施例の方法に準じたもので
ある。Dは、延伸速度250m/minで、供給ロ
ーラ(70〜110℃)、第1延伸ローラ(120〜170
℃)との間で第1段目の延伸(延伸倍率DR1=
DRT/DR2)、第1延伸ローラと第2延伸ローラ
(145〜170℃)との間に500mmの熱板(200℃)を
設けて、第2段目の延伸をする方法であつて、第
2段目の延伸倍率(DR2)を1.3とし、DR1を変
更した。得られた糸の紡糸条件、延伸条件、未延
伸糸Δn、半延伸糸Δn及び延伸糸糸質を表1に示
す。
である。 さらに詳細には、産業資材用糸条、例えばタイ
ヤコード、ベルト、ホース等のゴム補強用材に適
する強力を有し、高耐久性(寸法安定性に優れ、
高い耐疲労性を有する)のナイロン6糸に関する
ものである。 ナイロン6は、工業的に生産されている極めて
有用なポリアミドであり、高強力、高タフネスを
利用して、タイヤコード用糸として多く用いられ
ているが、寸法安定性、特に乾熱収縮率が高いと
いう欠点を有する。 従来、寸法安定性を向上させるため、原糸製造
段階で熱処理する方法が多数提案されている。こ
れらの提案は例外なく、原糸で熱収縮処理する方
法であり、原糸での乾熱収縮率の低下は認められ
るが、切断伸度、中間伸度(1260dの場合荷重
6.8kg、840dの場合荷重4.5kgの各伸度)が増大し
ているため、その原糸が撚糸工程を経てコードと
され、次いでデイツプ工程にて緊張熱処理される
場合、原糸での熱収縮処理時の熱収縮相当分が伸
長される結果、デイツプ処理コードの乾熱収縮率
がおのずと高くなり、原糸熱処理効果が半減され
るか、あるいは全く効果がなくなつてしまう。 従来の一般的ナイロン6高強度糸の製造は、ま
ず第1工程で高重合度のポリマーを溶融し、加熱
フードを紡糸口金下に取り付け、低紡糸速度(通
常300〜600m/min)でできる限り配向度(複屈
折率の値)の低い未延伸糸を得、次いで第2工程
において巻き取られた未延伸糸を放置し、熱延伸
する2工程法かあるいは紡糸に引き続き熱延伸す
る直接紡糸延伸法、所謂スピンドロー法かによつ
て行われている。いずれの方法においても延伸工
程では糸条に十分熱を与え、切断近くまで高度に
延伸し、配向を高める方法が高強力で寸法安定性
に優れた原糸を得る方法であると信じられてき
た。 しかし、このように、緊張熱処理されたナイロ
ン6糸条は、極度の伸長により糸条構造中に欠陥
が生じ、優れた耐疲労性が得られない。 前述の2工程法か、あるいは直接紡糸延伸法か
のいずれかの方法によつて、低配向未延伸糸に高
度の延伸熱処理を施すことにより、より安定な繊
維構造を達成するための努力がこれまでなされて
きた。結晶構造の安定定度は、X線広角測定によ
つて求められる試料の結晶面間隔と、ナイロン6
の最も安定な結晶構造であるα型結晶の理論面間
隔(D.R.Holmes,C.W.Bunn,D.J.Smith,J.
Polym.Sci.,17,159(1955))とから求められる
結晶完全度(CPI)によつて表すことができ、従
来の高強度ナイロン6糸のCPIの値は72〜85(%)
である。 一般に、低配向未延伸糸から得られる延伸糸は
延伸倍率、熱処理の増大に伴いCPIが高くなる。
一方、X線小角測定により求められる長周期
(LP)は、繊維軸方向の結晶の大きさと非晶相の
長さの和であると考えられており、延伸熱処理と
ともに、結晶の大きさの増大と非晶相の伸長によ
りLPの値は増大し、一般に100Å以上の値となつ
ている。 ナイロン6衣料用繊維に関する3000m/min以
上の高速紡糸による巻き取り糸(POY糸)は公
知であり、30×10-3〜45×10-3のΔnを有してい
る。これらを高分子量ナイロン6に適用し、
3000m/min以上の高速紡糸で得た巻き取り糸を
ゴム補強材として用いる方法が特開昭54−34415
号公報に提案されているが、その中に記載されて
いるように、得られた糸は、γ変態型の結晶を有
するものであり、本発明を特徴づけるCPI値に相
当する値が零あるいは零に極めて近いものであ
る。しかし、記載されているナイロン6糸のΔn
は30×10-3〜45×10-3であり、本発明の高強力、
高耐久性ナイロン6糸とは全く異なるものであ
る。 また、ナイロン6衣料用繊維に関して、高速紡
糸(2500m/min以上)に引き続き冷延伸するこ
とによつて、Δnが55×10-3未満の糸条を得る方
法(例えば特開昭50−83519号公報)も知られて
いる。この方法を高分子量のナイロン6に適用
し、残留伸度に相当する分を延伸して、ゴム補強
用糸条を得る方法が特開昭57−191337号公報で提
案されている。しかしながら、この方法で得られ
る糸条はΔnを含む延伸糸の特性値(微細構造)
について何も記載がみられず、紡糸延伸工程にお
ける特別な配慮がない点、延伸速度1000m/min
以上の速度である点等を考慮すれば、特開昭54−
34415号公報のものと同様γ変態が主たる構造と
推定される。また、単に紡糸速度(以後紡速と略
称する)を上げるだけでは1000m/min以上の高
紡速領域においては紡速とともに、Δnの増加が
少なくなり、糸斑の発生などによる延伸性の低下
を招くことは明らかであつて、本発明の高強度、
高耐久性糸用の出発糸とはなりえない。 本発明者らは、結晶化度が低く、高い非晶配向
度(20×10-3≦Δn≦45×10-3)を有する未延伸
糸から得られる、特性値が限定された微細構造を
有する原糸(延伸糸)が撚糸工程、デイツプ処理
工程を経て、原糸から処理コードに加工される時
の強力保持率が良く、また処理コードの乾熱収縮
率の低下にみられるように、寸法安定性に優れ、
またゴム補強材として使用した場合、驚く程優れ
た耐疲労性を有することを見出し、本発明に到達
したものである。 すなわち、本発明の要旨は、「相対粘度が3.2〜
4.2のナイロン6チツプを用い、紡糸速度800〜
3000m/minで溶融紡出後、紡糸口金下に加熱フ
ードを用いずに均一に強制冷却された複屈折率が
20×10-3〜45×10-3の高配向未延伸糸を、一旦巻
き取るか、あるいは引き続いて延伸して得られた
糸であつて、相対粘度3.0〜4.0で、単糸繊度が2.5
〜5.5デニールであり、次の特性値(a)〜(d)を同時
に備えているナイロン6糸。 (a) 54×10-3≦Δn≦62×10-3 (b) 70≦EM≦120 (c) 45≦CPI≦75 (d) LP≦95 (ただし、Δnは複屈折率、EMは中間伸度点に
おける弾性率(g/d)、CPIは結晶完全度
(%)、LPは長周期(Å)であり、それらの定義
は後述の記載に従う。)」にある。 本発明のナイロン6糸において特に好ましいも
のは相対粘度が3.1〜3.8であり、下記の特性値
(a)′〜(d)′を同時に備え、かつ強度が8.8g/d以上
のものである。 (a)′ 56×10-3≦Δn≦61×10-3 (b)′ 80≦EM≦110 (c)′ 52≦CPI≦72 (d)′ LP≦92 本発明をさらに詳細に説明する。 本発明の特性を有するナイロン6糸が高耐久性
を有している理由は、以下のように推定される。 ゴム補強材用糸に必要とされる強度は、その用
途により異なるが、ナイロン6糸の場合8.0g/d
以上が一般に望まれる。本発明における(a)の条件
はポリマーの相対粘度にも依存するが、8.0g/d
以上の強度の原糸とするには54×10-3以上のΔn
が必要であることを示す。より好ましくは56×
10-3以上である。 しかしながら、原糸のΔnを極度に高めるまで
延伸すると、繊維の内部構造にヒズミを生み、処
理コードの乾熱収縮率の増大、耐疲労性の低下を
招く。したがつて、ΔnはΔn≦62×10-3、より好
ましくはΔn≦61×10-3に抑える必要がある。 中間伸度(応力5.36g/d時の伸度)での弾性
率(EM)が120g/d(従来糸はこれ以上である。)
以下であることは通常の撚、デイツプ工程あるい
は製品として伸長がかかる場合、繊維内部に欠陥
の発生する可能性が少なくなる要因の一つと推定
される。しかし、Δnが54×10-3未満であるか、
熱履歴が極めて少なく、EMが70g/d未満の低い
糸であれば、実用上の使用に耐え得ないことはい
うまでもない。 通常、弾性率と呼ばれるものは初期弾性率(1
%伸長時の強度より、EO=強度/0.01で求められ
る。)で25〜45g/dであり、初期弾性率は延伸
時の熱処理条件(特にリラツクス率)に大きく依
存する。また、原糸の中間伸度は一般に切断伸度
の約半分であり、通常のゴム補強物等の繰り返し
変形は、中間伸度までの変形である。中間伸度点
での応力−伸長曲線での勾配、すなわち中間伸度
点における弾性率は、実用上の耐久性に関係す
る、重要な特性といえよう。低配向未延伸糸から
極限近くまで延伸された従来糸では、EMが
120g/dより大きな値となる。しかしながら、
本発明のナイロン6糸は、非晶部がより配向して
いるのに対し、結晶部は紡糸段階で急冷されるこ
とにより、結晶サイズが比較的小さくなり、得ら
れる延伸糸は、EMが70≦EM≦120、より好ましく
は、80≦EM≦110の範囲に限定される。 従来の低配向未延伸糸からなる延伸熱処理糸の
安定な繊維構造は、結晶が大きく、また結晶完全
度が高いことに裏付けられているが、本発明の高
耐久性ナイロン6糸繊維の微細構造は(c)に規定し
たごとく、結晶完全度の適正な範囲45≦CPI≦
75、より好ましくは52≦CPI≦72にすることによ
り、比較的サイズの小さい結晶及び非晶が一体と
なつた構造が高耐久性原糸にする一つの特性値の
制御因子であることが明らかとなつた。さらに、
従来糸の長周期(LP)が約100Å以上と結晶サイ
ズが大きく、非晶鎖の伸長された構造であるのに
対し、本発明においては、紡糸段階で糸条を急冷
することにより、(d)に示すごとくLP≦95、より
好ましくはLP≦92のごとく、結晶サイズが比較
的小さいと同時に、非晶の配向が進んでいること
から、非晶鎖の内部伸長ヒズミの少ない構造にな
つている。 上記(b)〜(d)の特性値は、紡糸段階で糸条を強制
冷却し、結晶サイズを比較的小さいものとし、か
つ糸条(非晶部)を配向させることにより、非晶
鎖の内部伸長ヒズミの少ない未延伸糸を得、続い
て行われる延伸段階で適度な配向を施し、適度な
熱履歴を与えることによつて得られる、比較的小
さな結晶と伸びきつた非晶との構造間にあまり差
がないパラクリスタイル構造を有する繊維に起因
するものである。 そして、本発明における(a)〜(d)の特性を同時に
備えているナイロン6糸はコードに加工された場
合、低い乾熱収縮率に示されるごとく、寸法安定
性に優れ、伸長、圧縮の繰り返しに対して優れた
耐疲労性を発揮するものと推定される。 本発明の特性を有するナイロン6糸は、次の例
に示す方法により工業的生産が可能である。 相対粘度が3.2〜4.2のナイロン6チツプを280
〜300℃で溶融紡出し、紡糸口金下には加熱フー
ドを用いずに、紡糸口金直下少なくとも12cm以内
に冷却開始点を有する冷却装置を用いて急冷し、
次いで延伸熱処理することによつて得られる。顕
著な高耐久性を有する繊維は、紡糸工程におい
て、溶融紡出糸条を、前記冷却装置を用いて急冷
することにより非晶領域が高度に配向し(20×
10-3≦Δn≦45×10-3)、かつ、従来得られなかつ
たような低結晶性の未延伸糸を得ることにはじま
る。 一般に、ナイロン6未延伸糸のΔnは800m/
min領域まででは、紡速にほぼ比例する。通常、
400m/minの紡速では8×10-3、800m/minの
紡速では約15×10-3である。しかし、1000m/
min以上の高紡速領域では、例えば紡速3500m/
minで約35×10-3にとどまり、それ以上紡速を増
大しても未延伸糸のΔnはほとんど増大しない。
したがつて、非晶配向度の高い未延伸糸を作るた
め、単に紡速を上げる方法では有効にΔnを上げ
ることが困難であるばかりか、紡出糸条の冷却速
度が低下し、自ずと繊維の結晶化が進行するた
め、次の延伸熱処理により好ましい延伸糸構造を
得ることが困難となる。さらには、マルチフイラ
メント間のΔnの均斉度の低下、随伴気流による
フイラメントの乱れによる糸斑の発生が起こりや
すくなる。 紡糸工程における未延伸糸のΔnを増大させる
方法として、糸条固化後加熱雰囲気中に糸条を通
す方法(例えば特開昭50−20610号公報)や、水
蒸気処理を施す方法なども提案されているが、効
果に乏しいことや、糸の乱れによる糸斑の増大を
伴い、好ましい方法ではない。 通常、ナイロン6タイヤコード用糸の紡糸にお
いては、紡糸口金下に加熱フードを設け、横型吹
付装置にて冷却する方法がとられる。800m/
min、あるいは1000m/min以上の紡速にて巻き
取られる糸条を通常の方法で冷却するだけで、
Δnを効果的に増大させることは困難である。し
かも、この方法では、加熱フードを使用するた
め、結果として徐冷型の冷却となり、未延伸糸の
結晶化度が高くなるため、延伸熱処理を施して
も、本発明の高耐久糸を得ることはできない。 本発明の高耐久性ナイロン6糸を得るためには
紡糸口金直下での均一な急冷が必要であり、例え
ば次のようにして得ることができる。 本発明にいう紡出糸条の冷却とは、紡糸口金直
下12cm以内に冷却開始点を有する冷却装置を用い
て、紡出糸条を冷却するものであつて、紡糸口金
下には加熱フードは配設されておらず、しかも、
冷却風は紡出糸条にできるだけ均一かつ垂直に当
てることが必要である。具体的には、後述する前
面吸引横型吹付法が最も好ましく、冷却風が随伴
気流によつて下降することなく、均一な急冷が可
能となる。また、環状吹付法でもよいが、この場
合、紡糸口金の吐出孔は、環状に配列されている
ほうが好ましい。 また、単糸デニールを下げることにより、冷却
細化速度を高め、Δnレベルをある程高める方法
も併用する必要がある。産業資材用糸の単糸デニ
ールは、一般に6〜9dがよく用いられているが、
本発明の目的をよりよく発揮するためには、2.5
〜5.5dでなければならない。 このようにして、結晶化度が小さく、非晶部が
より配向した未延伸糸を得て、次に、適度な熱延
伸を施すことにより(a)〜(d)の特性を有するナイロ
ン6糸を製造することができる。未延伸糸のΔn
が45×10-3を超える場合、延伸が困難となる。ま
た、延伸に関して、Δnが25×10-3〜35×10-3の
未延伸糸については、ナイロン6の自己伸長挙動
(巻き取り糸の放置時に糸長の増大する現象であ
り、巻き取りスプールから糸がはずれるトラブル
のために延伸操業性が低下する。)を避けるため、
未延伸糸の引き取りに引き続き延伸し、Δnが35
×10-3〜45×10-3になるように延伸して巻き取り
(半延伸糸と呼ぶ)、その後再び熱延伸する方法
か、あるいは(a)の54×10-3≦Δn≦62×10-3まで
直接紡糸延伸する方法か、いずれかの有利な方法
が選択される。 本発明の高耐久性糸を得るためには、紡速は
800〜3000m/minでなければならず、より好ま
しくは1000〜3000m/minである。上記範囲内で
あれば、紡速は特に限定されるものではないが、
未延伸糸のΔnが25×10-3〜45×10-3となる条件
であれば、紡速はできるだけ低い方が望ましい。 このようにして引き取られた未延伸糸を、引き
続き延伸に供する場合、最終延伸ローラの速度が
6000m/min以下となる速度が望ましく、より好
ましくは5000m/min以下であり、このためにも
紡速(引き取りローラ速度)をいたずらに上げる
ことよりも、冷却細化速度をコントロールして
Δnが高く(非晶が配向しており)、かつ、低結晶
化度の未延伸糸を得て、その後の延伸熱処理に供
するべきである。工業的には高速紡糸、直接延伸
工程でも、実質2段延伸以下が望ましく、また加
熱蒸気をオリフイスから糸条に吹き付け、延伸す
る方法が有利に用いられる。 この直接紡糸延伸法よりも、より好ましくは、
以下に述べる方法により、(a)〜(d)の特性を有する
延伸糸を得ることができる。すなわち、巻き取ら
れた未延伸糸、あるいは半延伸糸を延伸に供する
のである。工業的には、延伸は実質2段以下の段
数で行われるが、2段延伸法がより好ましい。こ
の場合、延伸装置は供給ローラ(60〜120℃)、第
1延伸ローラ(110〜180℃)、第2延伸ローラ
(150〜200℃)からなり、適宜、非加熱のプリテ
ンシヨンローラを供給ローラの前に設けてもよ
い。第2延伸ローラ後に冷却ローラを介して巻き
取つてもよい。全延伸倍率(DRT)は延伸に供さ
れる未延伸糸のΔn及び最終延伸糸のΔnが特性値
(a)の条件の範囲内となるように決められる。ま
た、第1延伸ローラと第2延伸ローラとの間に熱
板(170〜220℃)を設けてもよい。さらに、特性
値(b)〜(d)が満たされるように延伸条件(延伸倍
率、温度、速度、ラツプ数等)を調整する必要が
ある。このようにして、8g/d以上、好ましく
は8.8g/d以上、より好ましくは9.0g/d以上の
強度を有する原糸を得ることができる。 本発明でいうナイロン6とはポリカプラミドあ
るいはポリカプラミドを主体とするポリアミドで
あり、紡糸に先立ち顔料、耐熱剤等を添加しても
よいのはいうまでもない。 次に本発明に係る糸条を、例えばタイヤコード
に用いる場合、繊維とタイヤのゴム組成物との接
着性を付与するため、通常、RFL液(レゾルシ
ン−フオルマリン−ラテツクス)のデイツプ処理
がなされる。この処理を経て得られる、いわゆる
処理コードの弾性率、強力は、デイツプ処理工程
でストレツチ率を上げる方法でも見掛け上アツプ
させることができるが、この方法では、乾熱収縮
率のアツプを伴い、結局、実際のタイヤ中での弾
性率、強力は低くなるので、この方法は効果的で
はない。また、撚係数の低いコードをデイツプ処
理して得られる処理コードは弾性率、強力が増大
し、乾熱収縮率も低下するが、ゴム中での耐疲労
性が大幅に低下するという欠点を有していた。そ
こで、本発明者らは処理コードの160℃時の無緊
張の乾熱収縮率DSと、疲労性Fあるいは撚係数
Kとの関係を求め、本発明に係る糸条からなるタ
イヤコードは、従来のものに比較し、優れた高耐
久性(低収縮、耐疲労性)を有しており、さら
に、撚係数の低いコードであつても、ゴム中の耐
疲労性が大幅に低下するという欠点が解消される
ことを見出した。このような高耐性糸条はゴム補
強用糸条として有用な実用特性、例えばタイヤ成
型に至る加工工程まで、高い強力利用率をもつて
いる。 本発明の糸条は、タイヤコードのほか、Vベル
ト、タイミングベルト、搬送用ベルト類、繊維補
強ゴムシート、コーテイツドフアブリツクなど、
特に高強力、寸法安定性、耐疲労性の特性が有用
視される用途に用いることができる。 以下、実施例にてさらに具体的に説明する。な
お、本発明中で用いる用語及び物性値の定義並び
に測定方法を以下に記述する。 引張試験 JIS−L1017の方法で行つた。中間伸度(以下
MEと記す)とは、原糸の場合応力5.36g/d時の
伸度、コードの場合2.68g/dの伸度である。 乾熱収縮率DS 20℃、65%RHの温調室に24時間以上放置した
のち、0.05g/dに相当する荷重をかけて測定さ
れた長さpの試料を、無張力状態で160℃のオー
ブン中に30分放置したのち、オーブンから取り出
し、前記温調室に12時間放置し、再び0.05g/d
をかけて測定した長さ1から DS=(0−1)/0×100(%) で算出される。 複屈折率 日本光学工業社製POH型偏光顕微鏡を用い、
D線を光源として、通常のベレツクコンペンセー
タ法により求めた。なお、試料を上記の温調室に
一昼夜放置して吸湿させた後の複屈折率を示す。 X線回折 理学電機製、広角X線及び小角X線散乱装置を
使つてCUKαを線源として測定した。 CPI(結晶完全度) 広角X線測定で、赤道線X線散乱強度曲線よ
り、(200)(020)面の回折ピークの角度より面間
隔d(200)Å、d(020)Åを各々求め、次式にし
たがつてCPIを算出した。 CPI=d(200)/d(020)−1/0.1935×100(%) 分母の0.1935はBunnなどによる完全な結晶の
上記計算式の分子の値である。 LP(長周期) 子午線X線小角散乱強度線よりピークの角度を
求め、Braggの式より算出したものである。 EMの算出法 JIS−L1017に準ずる方法で試料長25cm、引張
速度30cm/minの条件で、強伸度曲線を得る。応
力5.36g/d時の伸度(dは原糸の繊度)すなわ
ち中間伸度を(e%)としたとき、(e+1)%
伸長時の強度t(g/d)から EM=(t−5.36)/0.01より計算される。 相対粘度 相対粘度ηrelは96%硫酸100c.c.に試料1gを溶解
し、25℃で測定して求めた。 撚係数K 下記の計算式により求めた。 K=T√、ただしTは撚数(t/10cm)、
Deはコードの繊度である。 強力利用率ε ε=[コード強力/(原糸強力×2)]×100(%) 疲労性F デイツプ処理コードを135℃で加熱後、20℃、
65%RHで6時間放置した後、JIS−L1017に準拠
し、チユーブ疲労試験法にてチユーブ角度90゜、
チユーブ圧4Kg/cm2、850rpmで右回転30分後、
左回転30分間を繰り返し、破断に至までの時間
(分)を調ベる。 タフネス 下記の計算式により求めた。 タフネス=強度×伸度÷2 実施例 エクストルーダー型溶融紡糸機を使用し、紡糸
温度(口金温度)285℃で、相対粘度3.4のナイロ
ン6チツプを溶融し、孔径0.4mm、孔数194〜360
の環状に配置された吐出孔を有する紡糸口金から
吐出し、下記の方法で吐出糸条を冷却した。 紡糸冷却方法として、3種類の方法(s、
s、s)を用いた。 sは通常よく低紡速領域で行われる紡糸冷却
法であり、紡糸口金下に長さ5cm、温度280℃の
加熱フードをつけ7cmのモノマー吸引装置につづ
き1.2mの横型吹付装置で風速1m/secで糸条を冷
却(風温15℃)した。 sは前面吸引横型吹付法であり、紡糸口金下
には加熱フードを設置せず、紡糸口金下10cmの位
置より長さ1.2mの前面吸引横型吹付装置を設け、
冷却風温15℃、風速(m/sec)0.35×√(S
=紡速(m/min))で糸条を冷却した。吸引風
速は、吹付風速とほぼ同一とした。 sは環状吹付法であり、紡糸口金下には加熱
フードを設けず、紡出口金下5cmの位置より、長
さ0.7mの環状吹付装置を設けて、風速0.03×√
で糸条を冷却した。環状吹付装置の下に長さ7cm
の環状モノマー吸引装置を設置した。冷却風温は
s、sと同様に15℃とした。 上記s〜sのいずれかの方法で糸条を冷却
し、未延伸糸を得た。 このように、冷却細化された糸条に0.8%の油
剤を付与し、うち、いくつかの未延伸糸について
は、引き取りローラと第1延伸ローラとの間で
1.03倍のプリストレツチを与え、第2延伸ローラ
との間で延伸し、巻き取り未延伸糸の自己伸長を
抑えるべく半未延伸糸とした。 次に、得られた未延伸糸及び半延伸糸を、下記
の二つの方法(D、D)を用いて延伸熱処理
した。 Dは、延伸速度1000m/minで室温の供給ロ
ーラと室温の第1延伸ローラとの間で1.05倍に延
伸し、次いで第1延伸ローラと第2延伸ローラ
(195℃)との間に500mmの熱板(200℃)を設け
て、種々の延伸倍率で延伸する方法であつて、特
開昭57−191337号の実施例の方法に準じたもので
ある。Dは、延伸速度250m/minで、供給ロ
ーラ(70〜110℃)、第1延伸ローラ(120〜170
℃)との間で第1段目の延伸(延伸倍率DR1=
DRT/DR2)、第1延伸ローラと第2延伸ローラ
(145〜170℃)との間に500mmの熱板(200℃)を
設けて、第2段目の延伸をする方法であつて、第
2段目の延伸倍率(DR2)を1.3とし、DR1を変
更した。得られた糸の紡糸条件、延伸条件、未延
伸糸Δn、半延伸糸Δn及び延伸糸糸質を表1に示
す。
【表】
s、sの冷却法によつて冷却細化速度を増
大させ、適当な延伸熱処理を施したものは十分な
強度(Δnを満足する)が得られ、かつEMが比較
的低く、LPが小さい値を示し、CPI値を満足し
ていることがわかる。 一方、従来の冷却法で低速で紡糸したものは、
結晶完全度、結晶サイズが大きすぎ、高速で紡糸
したものは、CPI値を満足しない(γ型結晶構造
と推測される。)ことがわかる。また、急冷法で
紡糸しても、未延伸糸Δnが低い(非晶が十分に
配向していない)ものは、延伸熱処理によつて結
晶サイズが大きくなりすぎてしまう。さらに、急
冷法で紡糸し、高配向、低結晶化度の未延伸糸を
得ても、延伸温度が低すぎたり、延伸倍率が低す
ぎる場合には、本発明の延伸糸は得られないこと
がわかる。 次に、表1での特性値を有する1260dの原糸を
撚糸(39×39t/10cm,32×32t/10cmの上、下
撚)を施し、公知のRFLデイツプ処理を200℃で
テンシヨンコントロール方式により行い、中間伸
度が7.5%のデイツプ処理コードをゴムに埋め込
み、150℃で加硫させたもので、チユーブ疲労試
験を行つた。これらの代表的なものについての結
果を表2に示す。本発明の(a)〜(d)の特性値を同時
に備える原糸からなる処理コードは、低い乾熱収
縮率と高い初期弾性率及びタフネスで示されるご
とく、優れた寸法安定性、極めて高い強力利用率
(原糸デイツプコード)及び耐疲労性を有して
おり、この優れた耐疲労性は撚係数を下げた場合
にも保たれていることがわかる。
大させ、適当な延伸熱処理を施したものは十分な
強度(Δnを満足する)が得られ、かつEMが比較
的低く、LPが小さい値を示し、CPI値を満足し
ていることがわかる。 一方、従来の冷却法で低速で紡糸したものは、
結晶完全度、結晶サイズが大きすぎ、高速で紡糸
したものは、CPI値を満足しない(γ型結晶構造
と推測される。)ことがわかる。また、急冷法で
紡糸しても、未延伸糸Δnが低い(非晶が十分に
配向していない)ものは、延伸熱処理によつて結
晶サイズが大きくなりすぎてしまう。さらに、急
冷法で紡糸し、高配向、低結晶化度の未延伸糸を
得ても、延伸温度が低すぎたり、延伸倍率が低す
ぎる場合には、本発明の延伸糸は得られないこと
がわかる。 次に、表1での特性値を有する1260dの原糸を
撚糸(39×39t/10cm,32×32t/10cmの上、下
撚)を施し、公知のRFLデイツプ処理を200℃で
テンシヨンコントロール方式により行い、中間伸
度が7.5%のデイツプ処理コードをゴムに埋め込
み、150℃で加硫させたもので、チユーブ疲労試
験を行つた。これらの代表的なものについての結
果を表2に示す。本発明の(a)〜(d)の特性値を同時
に備える原糸からなる処理コードは、低い乾熱収
縮率と高い初期弾性率及びタフネスで示されるご
とく、優れた寸法安定性、極めて高い強力利用率
(原糸デイツプコード)及び耐疲労性を有して
おり、この優れた耐疲労性は撚係数を下げた場合
にも保たれていることがわかる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 相対粘度が3.2〜4.2のナイロン6チツプを用
い、紡糸速度800〜3000m/minで溶融紡出後、
紡糸口金下に加熱フードを用いずに均一に強制冷
却された複屈折率が20×10-3〜45×10-3の高配向
未延伸糸を一旦巻き取るか、あるいは引き続いて
延伸して得られた糸であつて、相対粘度が3.0〜
4.0で、単糸繊度が2.5〜5.5デニールであり、次の
特性値(a)〜(d)を同時に備えているナイロン6糸。 (a) 54×10-3≦△n≦62×10-3 (b) 70≦EM≦120 (c) 45≦CPI≦75 (d) LP≦95 (ただし、△nは複屈折率、EMは中間伸度点
における弾性率(g/d)、CPIは結晶完全度
(%)、LPは長周期(Å)であり、それらの定義
は後述の記載に従う。) 2 相対粘度が3.1〜3.8であり、下記の特性値
(a)′〜(d)′を同時に備え、かつ強度が8.8g/d以
上である特許請求の範囲第1項記載のナイロン6
糸。 (a)′ 56×10-3≦△n≦61×10-3 (b)′ 80≦EM≦110 (c)′ 52≦CPI≦72 (d)′ LP≦92
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3040483A JPS59157315A (ja) | 1983-02-24 | 1983-02-24 | 高耐久性ナイロン6糸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3040483A JPS59157315A (ja) | 1983-02-24 | 1983-02-24 | 高耐久性ナイロン6糸 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59157315A JPS59157315A (ja) | 1984-09-06 |
JPH036247B2 true JPH036247B2 (ja) | 1991-01-29 |
Family
ID=12302997
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3040483A Granted JPS59157315A (ja) | 1983-02-24 | 1983-02-24 | 高耐久性ナイロン6糸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59157315A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2450103C (en) * | 2003-10-22 | 2008-09-16 | Hyosung Corporation | Low shrinkage polyamide fiber and uncoated fabric for airbags made of the same |
CN114411280B (zh) * | 2022-01-29 | 2023-12-15 | 优纤科技(丹东)有限公司 | 一种低收缩率锦纶56短纤维的制备方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5854018A (ja) * | 1981-09-17 | 1983-03-30 | Toray Ind Inc | ポリカプラミド系繊維の製造方法 |
-
1983
- 1983-02-24 JP JP3040483A patent/JPS59157315A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5854018A (ja) * | 1981-09-17 | 1983-03-30 | Toray Ind Inc | ポリカプラミド系繊維の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59157315A (ja) | 1984-09-06 |
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