JPH08157714A - ポリアミド樹脂成形物 - Google Patents
ポリアミド樹脂成形物Info
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- JPH08157714A JPH08157714A JP6307759A JP30775994A JPH08157714A JP H08157714 A JPH08157714 A JP H08157714A JP 6307759 A JP6307759 A JP 6307759A JP 30775994 A JP30775994 A JP 30775994A JP H08157714 A JPH08157714 A JP H08157714A
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Abstract
少ない摺動部品等を提供し得るポリアミド樹脂成形物を
得ること。 【構成】(A)ポリアミド樹脂および(B)不飽和ジカ
ルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸無水物で変
性された重量平均分子量5〜40万の変性高密度ポリエ
チレンを含有する組成物から得られる成形物であって、
該成形物の表面状態が、すべり摩耗試験の前後で水によ
る接触角の差が15°以内であることを特徴とするポリ
アミド樹脂成形物。
Description
ポリアミド樹脂成形物に関するものであり、さらに詳し
くは、すべり摩擦係数が低く、摩耗による性能低下の少
ない摺動部品を提供し得るような、ポリアミド樹脂成形
物に関する。
耗性に優れているために、ギア、カム、軸受などの摺動
部品に広く用いられている。この種の用途に使用される
プラスチック材料については、下記の特性を満たすこと
が必要とされる。 すべり摩擦係数が低いこと、 ざらつき磨耗量の小さいこと 繰り返し磨耗量の小さいこと 軟化温度が高いこと 成形が容易であること 摺動性能が長期間安定すること しかしながら、従来用いられているポリアミド樹脂など
は上記のような特性を充分に備えていないか、バランス
が取れていないという問題があった。このため、ポリア
ミド樹脂については、その摩擦係数を下げる目的で、一
般には成形物表面にすべり性の良い添加剤をブリ−ドさ
せポリアミド樹脂成形物の表面状態を変質させようとし
ており、たとえば、テフロン樹脂、シリコンオイル、鉱
物油、高密度ポリエチレン等を混入したものが市販され
ているが、固体潤滑剤として使用されるテフロンなど
は、成型体の表面を変質させ摺動性能を期待するには多
量の充填が必要でポリアミドの特徴である耐衝撃性を損
ないやすい。一方、低分子量物のワックス、オイルやポ
リアミドとの相溶性の悪いポリマ−を添加すると短期的
には表面が変質し効果を発揮するが長期間安定した摺動
性能を発現させるには低分子量物のワックス、オイルや
ポリアミドとの相溶性の悪いポリマ−が短時間で消耗さ
れてしまうので困難であった。
の欠点を解決することを課題とするものであり、つま
り、すべり摩擦係数や摩耗量が低く、さらに性能が長期
間安定するポリアミド樹脂成形物を提供することを課題
とする。
め、本発明者は、鋭意、研究、検討した結果、遂に本発
明を完成するに到った。即ち本発明は、(A)ポリアミ
ド樹脂および(B)不飽和ジカルボン酸および/または
不飽和ジカルボン酸無水物で変性された重量平均分子量
5〜40万の変性高密度ポリエチレンを含有する組成物
から得られる成形物であって、該成形物の表面状態が、
すべり摩耗試験の前後で水による接触角の差が15°以
内であることを特徴とするポリアミド樹脂成形物であ
る。
ミド樹脂としては、半結晶性樹脂と非晶性樹脂を含み、
一般にナイロン樹脂と言われているものを使用すること
ができる。なおポリアミド樹脂は、ラクタムの開環重合
反応で得られるポリアミド、炭素数4〜12の飽和ジカ
ルボン酸と炭素数4〜14のジアミンとを等モル量で縮
合重合させることによって得られるポリアミド等が挙げ
られ、過剰にジアミン又はジカルボン酸を用いてポリア
ミドの末端がカルボキシル基よりアミン基過剰となるよ
うにしても良いしその反対であってもよい。具体的に
は、ポリカプロラクタム(6ナイロン)、ポリラウリン
ラクタム(12ナイロン)、ポリ−11−アミノ−ウン
デカン酸(11ナイロン)、ビス(p−アミノシクロヘ
キシル)メタンドデカノアミド、ポリヘキサメチレンア
ジパミド(6,6ナイロン)、ポリメタキシリレンアジ
パミド(MXD−6ナイロン)、ポリヘキサメチレンア
セラミド(6,9ナイロン)及びポリヘキサメチレンド
デカノアミド(6,12ナイロン)などが挙げられる。
また本発明では上記重合体の2種以上の共重合体、又は
上記重合体の2種以上のブレンド物であっても良く、こ
れらに限定されるものではない。
度ポリエチレンは必須の構成成分として含まれるが、こ
の成分は、摩擦特性および長期安定性の向上に寄与す
る。本発明における変性前の高密度ポリエチレンは、分
子量が5〜40万、好ましくは10〜40万、特に12
〜30万が望ましい。また密度は0.90kg/cm2以上、
好ましくは0.94kg/cm2以上である。分子量が5万未
満では、得られる成形物の耐摩耗性が不充分となり、分
子量が40万を越えると成形が困難になったり、良好な
外観が得られにくいために好ましくない。本発明に用い
られる高密度ポリエチレンは、その性能を損なわない範
囲内で他のモノマ−、たとえばプロピレン、ブテン−
1、ペンテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オ
クテン、デセン等のα−オレフィン類、ブタジエン、イ
ソプレン等のジエン類、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、シクロペンタジエン等のシクロオレフィン類、メチ
ルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ
−ト等のアクリレ−ト類が共重合されていても良い。
の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸として
は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クイトン酸、オ
レイン酸等の不飽和カルボン酸や、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン
酸が挙げられ、これらのうち1種以上を用いることがで
きる。本発明においては特に無水マレイン酸が好まし
い。なお前記高密度ポリエチレンを不飽和カルボン酸無
水物または不飽和カルボン酸で変性する方法としては、
ラジカル発生用の過酸化物の存在下に高密度ポリエチレ
ンと上記不飽和ジカルボン酸無水物または不飽和カルボ
ン酸とを混合し、押出機、ミキサ−等を用い、120〜
250℃で1〜10分混練することによって行うことが
できる。不飽和カルボン酸無水物または不飽和カルボン
酸の量は、高密度ポリエチレン100重量部に対して、
0.1〜5重量部が好ましい。また、得られた(B)変
性高密度ポリエチレンは(A)ポリアミド樹脂100重
量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、さらに好
ましくは1.0〜5重量部である。0.5重量部未満の
場合は、成形物の耐磨耗性が不十分であり、含有量が1
0重量部を越えると成形物の剛性等の力学的性質が低下
すると共に耐熱性が低下するため好ましくない。
(B)以外の成分として、不飽和ジカルボン酸またはそ
の無水物を含むオレフィン系重合体および/またはスチ
レン系重合体を含有してもよく、その配合量としては、
(A)および(B)成分の合計量100重量部に対して
20重量部以下の量が添加されることが好ましく、20
重量部より多いと磨耗特性を損なうので好ましくない。
なお前記オレフィン系重合体としては、種々のものが挙
げられるが、エチレンと炭素数3以上、好ましくは3〜
6のα−オレフィンの共重合体(エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ジェン三元共重合
体、エチレン−ブテン−1共重合体など)、エチレンと
ビニル化合物との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチ
レン−(メタ)アクリル酸(エステル)−α,β不飽和
カルボン酸(誘導体)三元共重合体、エチレン−塩化ビ
ニル共重合体など)などが挙げられ、特にエラストマー
としての性質を示すものが好ましい。また、これらは単
独、あるいは混合物として使用される。
ーとしての性質を示すものが好ましく、具体的には、公
知のS(芳香族炭化水素系重合体)−B(共役ジエン系
重合体)−S型の対称ブロック型構造をした、いわゆる
スチレンブロック共重合体が挙げられる。SおよびBは
それぞれ重合体ブロックを示し、中心ブロックBとし
て、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられる
が、特にブタジエンが好ましい。また、水素添加によっ
てポリブタジエン中の二重結合の一部を飽和アルキル基
(エチレン鎖)にしたもの(SEBS)が推奨される。
両末端ブロックSは、芳香族炭化水素の重合体ブロック
を示し、好適にはポリスチレンからなる重合体ブロック
が挙げられる。なお芳香族炭化水素系重合体と共役ジエ
ン系重合体の重量比は、10/90〜90/10の範囲
が好ましく、さらに柔軟性と加工性の両立の点から、1
5/85〜85/15の範囲がさらに好ましい。
チレン系重合体は、不飽和ジカルボン酸またはその無水
物で変性されている方が好ましく、不飽和ジカルボン酸
またはその無水物の具体例としては、マレイン酸、イタ
コン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、ブテニルコ
ハク酸、テトラヒドロフタル酸など、およびこれらの酸
無水物が挙げられる。なかでも好ましいものとして、無
水マレイン酸が挙げられる。また、変性方法としては、
上記不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の1種また
は2種以上をオレフィン系重合体および/またはスチレ
ン系重合体に、過酸化物の存在下で混合し、たとえば押
出し機、ミキサ−などで100〜250℃、1〜10分
混練し、反応させる。不飽和ジカルボン酸またはその無
水物の量は、オレフィン系重合体および/またはスチレ
ン系重合体100重量部に対して、0.1〜5重量部が
好ましい。また、過酸化物量は、オレフィン系重合体お
よび/またはスチレン系重合体100重量部に対し0.
05〜1重量部が好ましい。
成形物とした場合の摺動特性、すなわち摩擦、磨耗特性
のより一層の改良のために、上記成分の他に炭素繊維、
フッソ樹脂粉末、二硫化モリブデン、ガラスビ−ズ等の
添加剤を添加することができる。また、成形物の力学的
性質、電気的性質等の改良のために、炭酸カルシウム、
ワラストナイト、チタン酸カリウム等のウイスカ−、カ
−ボンブラック、金属粉末等の導電性改良充填剤、さら
にガラス繊維、ガラスフレ−クなどを添加してもよく、
樹脂成分(A)+(B)=100重量部に対して120
重量部以下が好ましくさらに好ましくは100重量部以
下である。120重量部より多いと成形性が悪くなり好
ましくない。また酸素、熱、紫外線等に対する劣化防止
剤や、安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤帯電防止剤、着色
剤、離型剤等を樹脂成形物の摺動特性を損なわない範囲
内において添加しても良い。
を単軸押出機、2軸押出機、ニ−ダ−、2軸ロ−ル等の
装置を用いて混練することにより製造される。用いられ
る混練機の種類や混練条件についての制限は特にない。
成形物に成形する方法としては、一般に用いられる方法
を採用することができ、たとえば射出成形方法、押し出
し成形方法、ブロウ成形方法などを採用して、具体的に
は、ギア、カム、軸受、ローラー、車輪、チェーン、シ
ールリング、ネジ、スウィッチ部品、靴底、ファスナ
ー、人工関節等に成形される。なお本発明において、成
形物の表面状態のすべり摩耗試験の前後で水による接触
角とは、以下の方法によって測定した値である。 ○接触角度の測定:純水を注射器より成形物表面(下記
測定サンプル)に一滴載せ、30秒後にその接触角度を
下記測定器を使用して測定した。 測定器:協和界面化学(株)製、型式CA−A 測定サンプル:下記すべり摩耗試験後(15分後、1時
間後および24時間後)に生成した摩耗面 ○すべり摩耗試験:鈴木式スラストマモウ試験機を使用
し、相手材をとしてS−45C鋼(摩擦面積1.6c
m2 )を用い、摩擦速度10cm/s,荷重20kg/c
m2 の条件で15分後の摩擦係数μ、1時間後の摩擦係
数μ、24時間後の摩擦係数μを求めた。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、以下の各例において得られたポリアミド樹脂
成形物の各物性は下記の試験方法に基づいて測定した。 ○耐すべり摩擦性:前記すべり摩耗試験と同様にして測
定。 ○耐ざらつき摩耗性:テ−バ−マモウ試験機を使用し、
磨耗輪としてはH−18を用い、1000回転後の樹脂
成型品の磨耗量mgを求めた。 ○耐衝撃性:ノッチ付き、1/2インチ、ASTM D
−256に準じて測定した。
を、変性前スチレン共重合体としてはSEBS(クレイ
トンG1657,シエル化学(株)製)を、また変性前
高密度ポリエチレンとしては 重量平均分子量が5万、
14万、および100万のポリエチレン(ハイゼック
ス、三井石油化学(株)製)を使用した。なおスチレン
系共重合体および高密度ポリエチレンの変性は、過酸化
物として2,5ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパ−オ
キシ)ヘキシン(パ−ヘイキシン25B日本油脂(株)
製)0.3重量部と無水マレイン酸1重量部を加え、2
40℃×3分間溶融混合して行うことにより変性体を得
た。さらに、オレフィン系エラストマ−としては市販の
無水マレイン酸変性EPR(エクセラ−VA−1801
エクソン化学(株)製)を使用した。また、摩耗改良
材の比較にはジメチルシリコンオイル(1万ポイズ)、
テフロンパウダ−としてはテフロン(MP−1300,
三井デュポンフロロケミカル製)を使用した。次に、表
1、2に示すそれぞれの成分の所定量を、30mm2軸
押出機を用いてブレンドしペレットを製造した。シリン
ダ−温度は265℃とした。得られたペレットは70℃
で16時間真空乾燥した。このペレットを、シリンダ−
温度265℃、金型温度80℃に調整された射出成型機
によりテストピ−スを成形して各物性を測定した。その
結果を表1および2に併記する。
発明ポリアミド樹脂成形物は、すべり摩擦係数が低く、
摩耗量が少なく、長期間摺動性能が安定するので、長期
信頼性の重要なギア、カム、軸受けなどの動的用途を目
的とする成形用材料として非常に有用であり、産業界に
寄与すること大である。
Claims (3)
- 【請求項1】(A)ポリアミド樹脂および(B)不飽和
ジカルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸無水物
で変性された重量平均分子量5〜40万の変性高密度ポ
リエチレンを含有する組成物から得られる成形物であっ
て、該成形物の表面状態が、すべり磨耗試験の前後で水
による接触角の差が15°以内であることを特徴とする
ポリアミド樹脂成形物。 - 【請求項2】請求項1記載の組成物100重量部に対し
て、さらに不飽和ジカルボン酸および/または不飽和ジ
カルボン酸無水物で変性された変性オレフィン系重合体
および/またはスチレン系重合体を0〜20重量部含有
する組成物より得られるポリアミド樹脂成形物。 - 【請求項3】請求項1記載の組成物100重量部に対し
て、さらに無機強化材を0〜120重量部含有する組成
物より得られるポリアミド樹脂成形物。
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