JPH08148321A - 磁性組成物および樹脂結合型磁石 - Google Patents

磁性組成物および樹脂結合型磁石

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JPH08148321A
JPH08148321A JP6286510A JP28651094A JPH08148321A JP H08148321 A JPH08148321 A JP H08148321A JP 6286510 A JP6286510 A JP 6286510A JP 28651094 A JP28651094 A JP 28651094A JP H08148321 A JPH08148321 A JP H08148321A
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magnetic
epoxy resin
resin
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magnetic particles
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JP6286510A
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Koichiro Kawate
恒一郎 川手
Norihiro Kasai
紀宏 笠井
Akitaka Mitsui
明高 三井
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3M Co
Original Assignee
Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 磁性粒子と、エポキシ樹脂および式: 【化1】 [式中、Rは独立に水素原子、塩素原子または炭素数1
〜3のアルキル基を表わす。]で示されるフルオレンア
ミンを含んでなる結合剤を含有する磁性組成物。 【効果】 この磁性組成物は、室温において長期間安定
に保存でき、これを熱硬化させて得られる樹脂結合型磁
石は、高い実用耐熱温度を有し、耐溶剤性に優れ、優れ
た機械的強度をも有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性組成物、及び該組
成物を熱硬化して得られる樹脂結合型磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂結合型磁石は、磁性粒子および結合
剤を含有する磁性組成物を、硬化等の手段により固体化
して得られ、焼結タイプの磁石に比べ、寸法精度が高
く、複雑な形状に成形することができる。また、脆弱さ
が少なく、機械加工性が良好である等の利点を有する。
しかし、樹脂バインダーの耐熱性、耐溶剤性が乏しく、
このことが樹脂結合型磁石の用途を著しく制限してい
た。
【0003】従来の樹脂結合型磁石として、特開平6−
120017号公報、同6−120018号公報、同6
−112022号公報、同6−96923号公報、同2
−292802号公報に示されるように、エポキシ樹脂
をジシアンジアミド等の硬化剤で硬化させたバインダー
を用いるものが知られているが、これらの樹脂結合型磁
石の実用耐熱温度は、120℃から150℃と低いもの
である。
【0004】耐熱性を向上させるために、エポキシ樹脂
をフェノール樹脂と反応させたバインダーを用いること
は、特開昭62−46505号公報、同58−1270
5号公報等に開示されているが、エポキシ樹脂とフェノ
ール樹脂との反応で得られる樹脂を含む磁石の耐熱温度
は180℃から200℃であり充分とは言えない。
【0005】耐熱性を向上させるその他の試みとして
は、ガラス転移温度Tgの高い熱可塑性樹脂をバインダ
ーとして用いることが特開昭63−73604号公報、
特開平1−169048号公報、同2−159702号
公報、同5−47536号公報、同5−159916号
公報に示されている。これらの樹脂結合型磁石において
は、ナイロン−6、ナイロン−46、ポリテトラメチレ
ンアジパミド樹脂/ゴム質重合体、ポリフェニレンスル
フィド、ポリアリルシアノエーテル、ポリエーテルエー
テルケトン等がバインダーとして用いられている。これ
らの熱可塑性樹脂は、樹脂結合剤型磁石の耐熱温度を2
50℃まで高めるものの、成形方法としては非常な高温
での射出成形か、冷間圧縮成形の後に高温で熱処理する
などの工程が必要であり、作業性に劣る。また、熱可塑
性樹脂であるので、熱変形温度を越えれば流動を起こ
し、耐溶剤にも劣るという問題も発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】樹脂結合型磁石の耐熱
性を高めるためには、硬化後のガラス転移点を高めるこ
とが可能な、熱硬化性樹脂を含む結合剤を使用すること
が必要である。ところが、磁性組成物に使用できる結合
剤として使用するには、硬化後のガラス転移点を高める
ことに加え、以下の問題点を解決できるものであること
が必要である。
【0007】(1)磁性組成物の保存安定性を損なわな
いこと。結合剤中の硬化剤として作用する成分と磁性粒
子の活性表面との化学反応などが原因となって生じる、
組成物の経時粘度上昇、および磁性粒子の分散破壊を防
ぐ必要がある。 (2)磁性組成物の粘度が不必要に高くなり、所望の形
および大きさの磁石に成形することが困難にならないこ
と。磁性粒子間の磁気引力作用などが原因となり、結合
剤だけに比べてかかる組成物全体の粘度が高くなる傾向
があるので、結合剤自体および組成物としての粘度を低
く保つ必要がある。 (3)樹脂結合型磁石中の磁性体充填度が低下しないこ
と。強い磁石とするには、磁性組成物中の非磁性材料で
ある結合剤の含有量を少なくし、磁性粒子の含有量を高
めても、磁性粒子の安定な分散が維持できる必要があ
る。
【0008】本発明は、上記(1)〜(3)の問題点を
解決し得る磁性組成物を提供するとともに、その組成物
を硬化して得られる高耐熱性の樹脂結合型磁石を提供し
ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、磁性粒子と、エポキシ樹脂および式:
【0010】
【化2】
【0011】[式中、Rは独立に水素原子、塩素原子ま
たは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。]で示される
フルオレンアミンを含んでなる結合剤を含有する磁性組
成物を提供する。
【0012】エポキシ樹脂/フルオレンアミン硬化剤の
組み合わせは、特開昭61−283617号公報(米国
特許第4,684,678号)に開示されるように、高い
ガラス転移温度(200〜260℃)を有し、耐湿性、
機械的強度に優れた熱硬化性樹脂を与えることが知られ
ているが、本発明者らは、エポキシ樹脂/フルオレンア
ミン硬化剤の組み合わせが磁性粒子の分散性に優れ、得
られる磁性組成物の粘度が低いため、所望の形および大
きさに容易に圧縮成形でき、これを熱硬化すれば高い実
用耐熱温度、例えば260〜360℃の耐熱温度を有す
る樹脂結合型磁石が得られることを見いだした。また、
本発明の磁性組成物は高い保存安定性を有し、室温で保
存できる。また、これを熱硬化させて得られた樹脂結合
型磁石は良好な磁気特性を有し、同時に高い耐熱性、耐
溶剤性及び良好な機械的強度を示すことを見いだした。
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0013】本発明の構成について詳細について説明す
ると次の通りである。本発明に用いられる磁性粒子とし
ては特に制限はなく、各種のものを用途に応じて適宜選
定すればよい。その具体例を挙げれば、フェライト粉
末、アルニコ粉末、希土類コバルト粉末、希土類・鉄・
ホウ素粉末、等が挙げられる。かかる磁性粒子として好
適なものは、フェライト粉末、または稀土類コバルト粉
末である。これらの磁性粒子は、後に詳述するエポキシ
樹脂およびフルオレンアミンを含んでなる結合剤中に良
好に分散するため、これらの磁性粒子を含む磁性組成物
の保存安定性は特に高くなる。またかかる磁性組成物か
ら得られる樹脂結合型磁石は、高い磁気特性、例えば、
残留磁束密度、保磁力、および最大エネルギー積(磁束
密度と保磁力の積)を有する。フェライト粉末として好
適にはバリウムフェライトであり、稀土類コバルト粉末
として好適にはサマリウムコバルトである。磁性粒子の
添加量は、好適には全組成物を基準として50〜99.
8重量%であり、特に好適には、75〜95重量%であ
る。磁性粒子添加量が99.8重量%を越えると、磁性
組成物の粘度が不必要に高くなる傾向があり、また、熱
硬化後の成形体の強度が保持できない。反対に、50重
量%未満の場合には、得られた磁石の磁気特性が低下す
る傾向がある。
【0014】本発明で用いられるエポキシ樹脂は、後述
するフルオレンアミンと反応して高ガラス転移点を有す
る硬化物を与える、分子内に反応性に富んだエポキシ基
をもった化合物であり、化学構造の異なった数多くのも
のが知られている。具体例として、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、グリシジ
ルアミン樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹
脂が挙げられ、これらは単独で、または2種以上の混合
物として使用することができる。好適には、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂またはフルオレンエポキシ樹脂、
あるいはビスフェノールA型エポキシ樹脂とフルオレン
エポキシ樹脂の混合物を含むエポキシ樹脂である。かか
るエポキシ樹脂は、前述の磁性粒子の分散性を向上さ
せ、磁性組成物の保存安定性を特に高める。また、かか
るエポキシ樹脂は後述するフルオレンアミンとの反応性
も高い。また、かかるエポキシ樹脂に含有されるビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂の量は、好適には5〜65重
量%の範囲である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の
含有量が5%未満であると、磁性組成物の粘度が高くな
る傾向があり、反対に65重量%を越えると、得られる
樹脂結合型磁石の耐熱温度が低下する傾向がある。
【0015】本発明で用いる前記一般式(1)で示され
るフルオレンアミンは、それとエポキシ樹脂を含んでな
る結合剤の可使時間(結合剤の硬化反応が進み、流動性
が低下して、成形作業が行えなくなるまでの時間)を長
く保ち、また、硬化後の結合剤のガラス転移温度を高く
し、吸湿性を低下させ、力学的強度を高めることから、
本発明の磁性組成物に用いるエポキシ樹脂の硬化剤とし
て最適である。フルオレンアミン(1)の例としては、
9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9'
−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオレン、
9,9'−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオ
レン、9,9'−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)
フルオレン等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以
上の混合物として使用することができる。中でも、9,
9’−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオ
レンが好適である。かかるフルオレンアミンは、前述の
エポキシ樹脂との反応性が特に高く、かかるフルオレン
アミンとエポキシ樹脂を含んでなる結合剤は、100〜
300℃の温度で容易に硬化する。また、かかる結合剤
を含む磁性組成物の保存安定性を特に高める。
【0016】エポキシ樹脂とフルオレンアミンの添加量
に関して、エポキシ樹脂に対してフルオレンアミンを等
グラム当量配合したとき、硬化物のガラス転移温度が最
高になることが知られている。架橋密度の調整のため
に、フルオレンアミンをエポキシ樹脂に対して等グラム
当量より多く、又は少なく用いることも可能であるが、
好適な添加量は、0.5〜2グラム当量の範囲である。
かかる添加量が、等グラム当量の2倍を越えたり、0.
5倍未満になるとガラス転移温度が極端に低下して好ま
しくない。
【0017】本発明の磁性組成物は、エポキシ樹脂及び
フルオレンアミンを含む有機溶剤に溶かしたものに、室
温において磁性粒子を加え、混合分散させた塗料として
調製することができ、かかる塗料から有機溶剤を真空乾
燥等の乾燥手段により除去した流動性を有する不揮発性
成分を用いて、後述する様な成形手段により樹脂結合型
磁石とする方法が好適である。かかる方法によれば、磁
性粒子の分散性を向上させることが容易な塗料の状態で
磁性組成物を調製するため、その塗料から得られる樹脂
結合型磁石中の磁性粒子の分散性も向上し、その磁石の
磁気特性が向上するからである。また、有機溶剤を用い
ずに、エポキシ樹脂及びフルオレンアミンの混合物を加
熱して液体状態にしたものに磁性粒子を分散させて、磁
性組成物として調製することもできる。
【0018】好ましくは、磁性粒子はシランカップリン
グ剤処理して用いられる。この処理により、磁性粒子の
分散性が向上する。ここで用いるシランカップリング剤
としては、例えばβ−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエ
チル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独
で、又は2種以上の混合物として使用することができ
る。特に好適には、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランである。かかるシランカップリング剤は、磁
性組成物の保存安定性を特に高める。
【0019】磁性粒子をシランカップリング処理する方
法としては、磁性粒子のみを、シランカップリング剤を
含む溶剤中でシランカップリング剤と反応させてもよい
が、シランカップリング剤をエポキシ樹脂及びフルオレ
ンアミンと共に有機溶剤に混合しておき、その混合物に
磁性粒子を加えた後、30〜60℃で加熱して、シラン
カップリング処理を行う方法は、作業を単純化させるた
めに有効である。シランカップリング剤の添加量は、磁
性粒子の全比表面積をシランカップリング剤の最小被覆
面積値(シランカップリング剤の分子の大きさから一義
的に決まる量、1グラムのシランカップリング剤からな
る単分子吸着膜が被覆可能な粉体の表面積に相当する)
で割った値の0.1から10倍の範囲が望ましい。
【0020】本発明において磁性粒子の分散性をさらに
向上させるために、組成物に界面活性剤を加えてもよ
い。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニ
オン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界
面活性剤の内のいずれか1種、または2種以上を組み合
わせて用いることができる。非イオン性の界面活性剤の
例としては、多価アルコール、酸化エチレン重合付加
物、脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、高級アルコ
ールのポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノー
ルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルの
ポリオキシエチレンエーテル、ヒマシ油のポリオキシエ
チレンエーテル、ポリオキシプロピレンのポリオキシエ
チレンエーテル、脂肪酸のアルキロールアミド等、アニ
オン性界面活性剤の例としては、リン酸のモノエステル
またはジエステル、脂肪酸、硫酸エステル塩、スルホン
酸塩等、カチオン性界面活性剤の例としては、第4級ア
ンモニウム塩、アミンオキサイド塩等、両性界面活性剤
の例としては、スルホベタイン、カルボベタイン等、が
挙げられる。
【0021】本発明においては、エポキシ樹脂/フルオ
レンアミン硬化物の強靭性を向上させるために、熱可塑
性樹脂、特にガラス転移温度の高いスーパーエンジニア
リング・プラスティックを加えることも有利である。こ
のようなスーパーエンジニアリング・プラスティックと
しては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテ
ルイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。
【0022】磁性粒子を上述の樹脂又は樹脂溶液中に分
散させる手段としては、通常の撹拌でもよいが、ミキサ
ー、ミル等の分散装置または混練装置を用いることによ
り分散性を良好にし、又作業性を向上することができ
る。かかる装置の例としては、サンドミル、ボールミ
ル、アトライター、トルネード分散機、高速度衝撃ミ
ル、ニーダー、プラネタリーミキサー、エクストルーダ
ー、ホモジナイザー、ハイスピードミキサーが挙げられ
る。
【0023】本発明の樹脂結合型磁石組成物を熱硬化さ
せるためには、組成物を100〜300℃の硬化温度で
10分から5時間、熱処理する。所望の形状の磁石を得
るためには、鋳型中で硬化する。鋳型に樹脂結合型磁石
組成物を注入する方法としては、圧縮成形又はトランス
ファー成形の方法を採用できる。鋳型中で硬化する際に
10kg/cm2以上の圧力を加えると、硬化物の充填率を
高めるので有利である。好適には、100〜10,00
0kg/cm2の範囲である。
【0024】所望の形状の樹脂結合型磁石を得る別の方
法は、室温近傍で成形した組成物をオーブン又はホット
プレートを用いて熱硬化する方法である。本発明の磁性
組成物は、溶剤を蒸発させた後も比較的低温における粘
度が低く流動性を有するため、硬化温度より低い温度、
例えば30〜80℃において、磁性組成物を硬化させな
いで所望の形状に成形することがきる。このように成形
した後、所望の段階で、100〜300℃の温度におい
て硬化させることが可能である。また、溶剤を蒸発させ
た後の、または溶剤をまったく含まない磁性組成物の粘
度は、成形が容易である、100〜10,000cpsの
低い範囲に制御することが可能である。本発明の磁性組
成物の熱硬化を100〜10,000エルステッドの磁
界中で行うことにより、高度に整列された磁性粒子を有
する樹脂結合型磁石を得ることができる。また、本発明
の磁性組成物は、磁気記録媒体の磁性層を設けるための
磁性塗料として使用することができ、支持体上にその磁
性塗料から得られる磁性層を設け、それを熱硬化するこ
とにより磁気記録媒体とすることができる。
【0025】
【作用】本発明の磁性組成物は、その結合剤がエポキシ
樹脂およびフルオレンアミン(1)を含んでなるため、
磁性組成物の保存安定性が高い。これは、硬化剤として
機能するフルオレンアミンが磁性粒子の活性表面とはほ
とんど化学反応しないため、それが原因となる組成物の
粘度上昇、ならびに磁性粒子の分散破壊が起きないため
と考えられる。また、かかる結合剤自体の粘度は充分に
低いので、組成物としての粘度も低くでき、その組成物
を用いて所望の形および大きさの磁石に容易に成形する
ことできる。さらに、磁性組成物中の磁性体含有量を充
分に高くできるため、磁石中の磁性体充填度を高めるこ
とができる。これは、上述の様に磁性粒子の分散破壊が
起きないので、高い含有量の磁性体を組成物中に分散さ
せることが可能であるためと考えられる。加えて、エポ
キシ樹脂およびフルオレンアミン(1)を含んでなる結
合剤は、かかる結合剤を含有する硬化型の樹脂結合型磁
石の耐熱温度(すなわちガラス転移点)を、従来の熱硬
化性結合剤を含有する磁石に比べて高くすることができ
ると同時に、耐溶剤性および耐酸性も実用上充分高いも
のとすることができる。
【0026】
【発明の効果】本発明の樹脂結合型磁石組成物は室温に
おいて安定に保存可能な潜在性熱硬化性組成物であり、
所望の形状に熱硬化した後は、高い耐熱温度、例えば2
60〜360℃の範囲を有し、同時に高い耐溶剤性と機
械的強度を合わせ有する磁石が得られる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらにより制限されるものではない。なお、以
下の実施例に使用する材料は次ぎのとおりである。 (1)磁性粒子 バリウムフェライト粉末:戸田工業株式会社製FM−2
01(商品名。平均粒子径1.25ミクロン)及びFB
−105(商品名。平均粒子径1.10ミクロン) サマリウムコバルト:信越化学工業株式会社製のサマリ
ウム系レア・アースアグネット粉末 R−30 (2)エポキシ樹脂 ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ダウ・ケミカル社製
DER−332(商品名) フルオレンエポキシ樹脂:新日鐵化学工業ESF−30
0(商品名) (3)フルオレンアミン 9,9’−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フル
オレン:スリーエム社製 (4)シランカップリング剤 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化
学工業社製KBM403(商品名)
【0028】実施例1〜5 1)試料の調製方法 3.2gのDER−332と1.72gのESF−300
をトルエン30〜60gに室温で溶解した。得られた溶
液に、表1に示す磁性粒子40〜120gを加え、さら
に0.3gのシランカップリング剤KBM403を加
え、50℃で10分間撹拌を行った。その後、さらに5
0℃で40分間撹拌を行い、4.41gの上記フルオレ
ンアミンを撹拌を続けながら加えた後に、50℃で6時
間真空乾燥して磁性組成物を得た。
【0029】2)熱硬化条件 得られた磁性組成物を200℃、100kg/cm2の圧力
下で1時間熱硬化して樹脂結合型磁石を得た。なお、実
施例5においては、熱硬化中、3KOeの磁場を印加し
た。 3)磁性組成物の粘度 実施例4の磁性組成物の粘度(見掛け粘度)を、レオメ
トリックス社製の動的粘弾性測定装置(RDA)を使用
して測定した。測定は剪段速度を10rad/秒とし、測
定温度を50℃から200℃まで3℃/分で昇温させた
後200℃で一定に保って行った。測定された粘度は、
200℃まで約6,000cpsに保たれ、200℃に到
達すると硬化反応が始まり急激に粘度が上昇した。
【0030】4)磁気特性 実施例1〜6において得られた磁石の磁気特性(残留磁
束密度、保磁力及び最大エネルギー積)を表1に示す。
磁気特性の測定には東英工業株式会社製振動試料型磁力
計(VSM)を用い、最大印加磁場15KOeにおける
減磁曲線を測定した。表1からもわかる様に、最大エネ
ルギー積の大きな樹脂結合型磁石を得るためには、実施
例5の様に、磁界中で磁性組成物の熱硬化を行うか、ま
たは実施例6の様にサマリウムコバルト等の高保磁力の
磁性粒子を使用することが特に好適である。
【0031】
【表1】
【0032】5)耐熱性評価 熱機械的分析:実施例2の樹脂結合型磁石及び比較例1
としてナイロン6を樹脂バインダーとして用いた従来の
樹脂結合型磁石に対し、MACサイエンス社製熱機械的
分析装置(TMA−400)を用いて、直径1mmのプロ
ーブに100gの荷重をかけ、室温から400℃の範囲
で10℃/分の速度で昇温し、試料寸法を測定し、プロ
ーブが試料中に侵入を開始する温度(熱変形温度)を求
めた。熱変形温度は、実施例2の樹脂結合型磁石では3
64℃、比較例1では143℃であった。 熱重量分析:実施例2及び比較例1の樹脂結合型磁石に
対して、デュポン社製熱重量分析装置(TGA−95
1)を用いて、室温から900℃の範囲で20℃/分の
速度で昇温を行い、熱分解温度を求めた。熱分解温度
は、実施例2では390℃、比較例1では386℃であ
った。 動的粘弾性測定:実施例2および実施例7〜13の樹脂
結合型磁石に対して、レオメトリックス社製動的粘弾性
測定装置(RSA2)を用いて、動的粘弾性スペクトル
を測定した。測定は室温から5℃/分の速度で昇温を行
い3Hzの周波数で0.1%の曲げ歪を与えた際の複素
ヤング率E*=E'+iE"を測定し、E"の最大を与える
温度をガラス転移温度とした。結果を表2に示す。また
別途測定した実施例2の樹脂結合型磁石に用いられた組
成の結合剤からなる樹脂組成物のTgは196℃であ
り、磁石のTgと樹脂組成物単独のTgはほぼ一致して
いる。従って、バインダー樹脂の組成を変えることで磁
石のTgを変えることが可能である。一方、比較例1の
ナイロン−6の場合、結晶化のために通常の測定ではガ
ラス転移は求められないが、文献では50℃と報告され
ている。表2からもわかる様に、高いガラス転移点、す
なわち高い耐熱温度を有する樹脂結合型磁石を得るため
には、実施例8の様に、最適なフルオレンアミン含有量
を選択することが特に好適である。
【0033】
【表2】
【0034】実用耐熱限界温度(耐熱温度)の評価 実用耐熱限界温度は使用条件に応じて変化するが、ガラ
ス転移温度以上、熱変形温度以下であると考えることが
できる。従って本発明の実施例において、実用耐熱限界
温度は260℃(表2のガラス転移温度の上限)以上、
360℃(上記の熱変形温度)以下と見積もれるレベル
の樹脂結合型磁石を得ることができる。
【0035】6)耐溶剤性の評価 実施例2の樹脂結合型磁石、及び比較例1のナイロン磁
石を9%の塩酸水溶液、メチルエチルケトン(MEK)及
びトルエンに2週間浸漬し、乾燥した試料の重量変化を
求めた。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】7)磁性組成物の保存安定性の評価 実施例2の組成物を室温で1カ月放置した後に200
℃、100kg/cm2の圧力下で1時間熱硬化したとこ
ろ、調製直後に熱硬化して得た磁石と同様の性質を有す
る磁石を得た。
フロントページの続き (72)発明者 三井 明高 神奈川県相模原市南橋本3−8−8 住友 スリーエム株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粒子と、エポキシ樹脂および式: 【化1】 [式中、Rは独立に水素原子、塩素原子または炭素数1
    〜3のアルキル基を表わす。]で示されるフルオレンア
    ミンを含んでなる結合剤を含有する磁性組成物。
  2. 【請求項2】 前記フルオレンアミンの含有量が、エポ
    キシ樹脂に対して0.5〜2グラム当量の範囲である請
    求項1に記載の磁性組成物。
  3. 【請求項3】 前記磁性粒子の含有量が、組成物全重量
    に対して50〜99.8重量%の範囲である請求項1ま
    たは請求項2に記載の磁性組成物。
  4. 【請求項4】 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA
    型エポキシ樹脂および/またはフルオレンエポキシ樹脂
    を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の磁性組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記磁性組成物が、さらにシランカップ
    リング剤を含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載
    の磁性組成物。
  6. 【請求項6】 磁性粒子および結合剤を含む組成物を硬
    化して得られる樹脂結合型磁石において、該組成物が、
    請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁性組成物である
    ことを特徴とする樹脂結合型磁石。
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