JPH08134309A - 帯電防止性アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性アクリル系樹脂組成物

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JPH08134309A
JPH08134309A JP27198894A JP27198894A JPH08134309A JP H08134309 A JPH08134309 A JP H08134309A JP 27198894 A JP27198894 A JP 27198894A JP 27198894 A JP27198894 A JP 27198894A JP H08134309 A JPH08134309 A JP H08134309A
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JP
Japan
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acrylic resin
antistatic
resin composition
weight
polyether ester
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JP27198894A
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Hideo Kinoshita
秀雄 木下
Yoichi Yokota
洋一 横田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形加工時に着色異物の発生が少なく、極め
て高品質且つ優れた永久帯電防止性のアクリル系樹脂組
成物及びその成形品を提供する。 【構成】(A)アクリル系樹脂及び(B)分子内に数平
均分子量が500以上のポリアルキレングリコールセグ
メントよりなるポリエーテル成分を10〜90重量%含
む特定の還元粘度のポリエーテルエステル重縮合体、か
らなる帯電防止性アクリル系樹脂組成物、更に(C)電
解質を配合してなる上記アクリル系樹脂組成物。又、こ
れらの組成物から得られる成形体、シート、積層シー
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止性能を付与す
ることにより、複写機部品、各種防塵用部品等の分野に
も適用する新規な帯電防止性アクリル系樹脂組成物に関
するものである。
【0002】
【従来技術】従来アクリル系樹脂は、その優れた外観、
耐光性を生かして照明器具、機器銘板等の弱電部品用の
素材として幅広く用いられてきた。最近では、これらに
加えて複写機部品、各種防塵用部品等で帯電防止性能を
付与することを要求される分野が増大している。
【0003】アクリル系樹脂に帯電防止性を付与する方
法としては、例えば界面活性剤を練り込んだり、表面に
塗布する方法などがよく知られているが、この様な方法
では、表面に存在する帯電防止剤が水洗や摩擦などによ
って除去されやすく、永久的な帯電防止性を付与するこ
とが困難である。永久的な帯電防止性を付与する方法と
しては、例えば(1)ポリオキシエチレン鎖及びスルホ
ン酸塩あるいは第四級アンモニュウム塩構造を有するビ
ニル共重合体をアクリル樹脂に混練する方法(特開昭55
-36237号公報、特開昭63-63739号公報)(2)ポリエー
テルブロックアミドをアクリル系樹脂に混練する方法
(特開昭64-90246号公報)(3)ポリエーテルアミドエ
ラストマーをアクリル系樹脂に混練する方法(特開平4-
146947号公報)などが提案されている。
【0004】しかしながら、前記(1)の方法において
は、配合されるビニル共重合体が特殊なビニルモノマー
を用いるため高価であって、これを配合したアクリル系
樹脂は、製造コストが高くつくのを紛れない上、特に特
開昭55-36237号公報記載の方法では、ビニル共重合体の
配合量が多く、アクリル系樹脂本来の耐熱性などが低下
するなどの欠点がある。一方、前記(2)あるいは
(3)の方法においては、アクリル系樹脂との相溶性は
良く、アクリル系樹脂と混練したものは充分な帯電防止
性を付与することができるが、アミドセグメントを分子
内に含む永久帯電防止剤は、それ自身が高温で空気と接
触すると非常に短時間に褐色あるいは黒色に変形し易い
ことと、更に加水分解等によりアミド結合が分解して生
ずる末端アミノ化合物等がアクリル系樹脂とイミド化等
によって架橋反応をおこしてゲルとなり易い。そのた
め、例えば、押出機等で帯電防止剤とアクリル系樹脂と
混練する際、ベント部あるいは押出機のデッドゾーン等
に樹脂が滞留し、着色したゲルが発生、成形用材料(ペ
レット)中に着色異物がまぎれ込む。更にその成形用材
料を使用して成形あるいは押出シート成形する際、射出
成形機あるいは押出機等のデッドゾーンに樹脂が滞留す
る等によって、その成形品あるいはシート中に着色異物
が混入、製品品質が劣る等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、優れた帯電防止性を備え且つ配合される
永久帯電防止剤に基ずく着色架橋異物の発生がなく、製
品品質に優れたアクリル系樹脂組成物を提供することを
目的とする
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の好
ましい性質を有するアクリル系樹脂組成物を開発すべく
鋭意検討を重ねた結果、分子内に特定の数平均分子量の
ポリオキシアルキレングリコールセグメントよりなるポ
リエーテル成分を特定の割合で含み、且つ特定の還元比
粘度であるポリエーテルエステル重縮合体とアクリル系
樹脂との組成物は、押出あるいは成形時の高温でも空気
と接触してもほとんど着色せず且つ架橋によるゲルも生
成せず、極めて高品質の製品が得られ、且つ優れた永久
帯電防止性を付与できること、及び更にこのポリエーテ
ルエステル重縮合体と共に特定の化合物を配合すること
によって、帯電防止性がより一層優れた組成物を与える
ことを見いだし、この知見に基ずいて本発明を完成する
に至った。
【0007】即ち、本発明は、(A)アクリル系樹脂7
0〜97重量%及び(B)分子内に数平均分子量が50
0以上のポリオキシアルキレンセグメントよりなるポリ
エーテル成分を10〜90重量%含み、且つ35℃オル
ソクロロフェノール中で測定した還元比粘度が、0.2
〜2.0であるポリエーテルエステル重縮合体3〜30
重量%とよりなる帯電防止性に優れたアクリル系樹脂組
成物を提供するものである。更に、該(A)成分と
(B)成分との合計量100重量部当り、10重量部を
超えない量の(C)有機電解質及び無機電解質の中から
選ばれた少なくとも一種の電解質を配合してなる帯電防
止性に優れたアクリル系樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明組
成物において、(A)成分として用いられるアクリル系
樹脂としては、メタクリル酸メチル単独重合体若しくは
メタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体が使用さ
れる。共重合体中のメタクリル酸メチル構造単位は80
重量%以上有するものが好ましい。メタクリル酸メチル
と共重合可能な単量体としては、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等の
メタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸ア
ルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、αメチ
ルスチレン等の芳香属ビニル化合物類、アクリロニトリ
ル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル化合物類、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等のマレイミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸
等の不飽和カルボン酸無水物類、メタクリル酸、アクリ
ル酸、マレイン酸等の不飽和酸類等が挙げられる。メタ
クリル酸あるいはアクリル酸の共重合体は、それを熱処
理して脱水反応等により6員環酸無水物化した重合体も
含まれる。これらメタクリル酸メチルと共重合可能な単
量体は1種または2種以上組み合わせて使用できる。ア
クリル系樹脂として使用する場合は、上記のメタクリル
酸メチル単独重合体若しくは共重合体を1種または2種
以上組み合わせて使用できる。これらのアクリル系樹脂
の製造方法については特に限定されず、公知の懸濁重合
法、乳化重合法、バルク重合法、溶液重合法等を用いて
製造される。
【0009】本発明において、(B)成分として用いら
れるポリエーテルエステル重縮合体は、ポリエーテル成
分を形成するポリオキシアルキレングリコール化合物及
び、必要に応じてジヒドロキシ化合物とジカルボン酸化
合物等とを重縮合させて得られるポリエーテルエステル
である。ポリオキシアルキレングリコール化合物として
は、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレング
リコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ある
いはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコー
ルブロック共重合体等を単独で、又は2種以上組合せて
使用することができる。これらポリオキシアルキレング
リコール化合物は、数平均分子量が500以上、好まし
くは500〜50,000の範囲であることが必要であ
る。2種類以上組み合わせて使用する際は、各グリコー
ルの構成比によってこの範囲内になる様に各グリコール
の数平均分子量を選定する必要がある。この数平均分子
量が500未満では、ポリエーテルエステル重縮合体と
アクリル系樹脂との組成物の帯電防止性能が不十分とな
る。一方、数平均分子量が50,000を超えると重縮
合時の重合性等に問題を生じやすくなる。
【0010】ジヒドロキシル化合物としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、ブテンジオール、ハイドロキ
ノンレゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シ
クロヘキサンジオール等が挙げられる。これらのジヒド
ロキシ化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて使用してもよい。ポリエーテルエステル重縮
合体は、ポリオキシアルキレングリコール化合物とジカ
ルボン酸化合物のみで重縮合させても得られるが、ポリ
オキシアルキレングリコール化合物とジヒドロキシ化合
物を併用することによって、重縮合性を高めることがで
きる。
【0011】ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカ
ルボン酸であってもよいし、脂肪族ジカルボン酸であっ
てもよい。このようなものとしては、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6ジ
カルボン酸、ジフェニル4,4−ジカルボン酸アジピン
酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸、ドデカ
ンジカルボン酸等が挙げられ、これらのジカルボン酸化
合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせ
て使用してもよい。又、これらのジカルボン酸化合物
は、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエス
テルの形で使用することも可能である。
【0012】ポリエーテルエステル重縮合体中のポリオ
キシアルキレングリコールセグメントよりなるポリエー
テル成分は、ポリエーテルエステル重縮合体の帯電防止
性能に関係するものであり、10〜90重量%含有する
ことが必要であり、好ましくは15〜80重量%であ
る。このポリエーテルエステル重縮合体とアクリル系樹
脂との組成物は、アクリル系樹脂の中にポリエーテルエ
ステル重縮合体が微分散することによって帯電防止効果
が発現されるが、ポリエーテルセグメントが10重量%
未満では、ポリエーテルエステル重縮合体そのものの帯
電防止効果が低く、アクリル系樹脂に混練した場合に充
分な帯電防止効果が得られない。又、90重量%を超え
るとアクリル系樹脂に混練した場合に微分散性が好まし
くなく、従って帯電防止効果も好ましくない。
【0013】ポリエーテルエステル重縮合体の製造方法
については、均一な組成の重合体が得られる方法であれ
ばよく、特に制限はないが、例えば、上述のポリオキシ
アルキレングリコール化合物、必要に応じてジヒドロキ
シ化合物及びジカルボン酸化合物若しくはジカルボン酸
エステル化合物等を溶媒の存在下又は不存在下で、反応
で生成する重縮合体中の水分若しくはアルコールを、反
応系中に窒素ガスを流すかあるいは減圧にすることによ
って系外へ除去しながら、好ましくは150〜300
℃、より好ましくは180〜290℃の程度の温度にお
いて重縮合させる方法等を用いることができる。
【0014】この方法においては、重縮合させる際に、
酢酸マンガン、酢酸カルシュウム、酢酸コバルト、チタ
ン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニューム化合物、
ジルコニウム化合物等の触媒を用いると反応時間が短縮
され、ポリマーの着色も防止できるので有利である。例
えば、触媒としてチタン化合物としてチタニュームアル
コキサイド等の触媒を使用する場合は水が存在すると失
活しやすいので、反応系中の水を系外へ除去した後に添
加するのが有利である。
【0015】本発明組成物に用いるポリエーテルエステ
ル重縮合体の重合度は、必要に応じて変えることができ
るが、該重縮合体1%のオルトクロロフェノール溶液の
温度35℃で測定した還元比粘度が0.2〜2.0であ
ることが必要である。この還元比粘度が0.2未満では
機械的物性に劣り、アクリル系樹脂に混練した場合に組
成物の機械的物性が不足する恐れがある。又、2.0を
超えると、アクリル系樹脂中のポリエーテルエステル重
縮合体の分散性が悪く、帯電防止効果が低下する傾向に
ある。
【0016】得られたポリエーテルエステル重縮合体の
熱安定性を高める為に、各種の耐熱老化防止剤、酸化防
止剤等の耐熱安定剤を用いることができる。これらは、
重合の初期、中期、末期のどの段階で添加してもよい。
又、ポリエーテルエステル重縮合体をアクリル系樹脂と
混練する際に添加することもできる。この耐熱安定剤と
しては、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシケイ皮酸アミ
ド)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノ
ール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t
−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール
類、N,N’−ビス(β−ナフチル)−p−フェニレン
ジアミン、N−N’−ジフェニル−p−フェニレンジア
ミン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒド
ロキノリン)等の芳香族アミン類、ジラウリルチオジプ
ロピオネート等のイオウ化合物やトリス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン化合物等
が使用される。
【0017】本発明の組成物は、上述の(A)成分のア
クリル系樹脂を70〜97重量%、好ましくは75〜9
5重量%含有し、(B)成分のポリエーテルエステル重
縮合体を30〜3重量%、好ましくは25〜5重量%含
有する様に配合される。(B)成分が30重量%を超え
ると相溶性の問題等が生じ機械的強度が低下する傾向が
ある。又、3重量%未満では、充分な帯電防止効果が得
られない。本発明の樹脂組成物は、(A)成分と(B)
成分の混合物を公知の方法、例えばバンバリーミキサ
ー、ミキシングロール、1軸若しくは2軸の押出機等を
使用して混練する方法で調整することができる。この際
の混練温度は180〜280℃の範囲で行なうのが好ま
しい。
【0018】この様にして得られたアクリル系樹脂組成
物は、優れた永久帯電防止効果を示し、押出機等でアク
リル系樹脂とポリエーテルエステル重縮合体とを混練す
る際、あるいは成形する際に着色ゲルに基ずく異物の混
入がなく、極めて品質に優れたものとなる。本発明にお
いては、帯電防止効果を更に発揮させる為に、(C)有
機電解質あるいは無機電解質を併用することもできる。
有機電解質としては、例えば有機スルホン酸塩、有機リ
ン酸塩等を使用することができる。この有機スルホン酸
塩や有機リン酸塩の例としては、ドデシルベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルジフェニル
エーテルジスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ジメチ
ルイソフタール酸メチルエステルスルホン酸等の芳香族
スルホン酸、ラウリルスルホン酸の様なアルキルスルホ
ン酸、亜リン酸ジフェニル、リン酸ジフェニル等の有機
リン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げ
られる。これらの中でアルカリ金属塩が好ましく、特に
ナトリウム塩及びカリウム塩が好適である。又、特殊な
場合として、例えばポリオキシエチレングリコール化合
物、ジヒドロキシ化合物、ジカルボン酸化合物等のポリ
エーテルエステル重縮合原材料中にスルホン酸塩等を含
有する原材料、例えばスルホン酸塩をパラ位に有するイ
ソフタール酸等を共重縮合させる等の方法で実施するこ
とも可能である。
【0019】一方、無機電解質としては、周期律表I
a、Ib、IIa、IIb、VIIa、VIII族金属
の硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸
塩、炭酸塩等が挙げられる。例えば、AgNO3 、Ca
(NO3 2 、KBr、KNO3 、LiCl、NaB
r、Na2 CO3 、NaH2 PO4 、Cu(N
3 2 、Zn(NO3 2 、MgCl2 、Mg(NO
3 2 、MnCl2 、Ni(NO3 2 等が挙げられ
る。これら電解質は1種用いてもよいし、2種以上組み
合わせて用いてもよい。これらの電解質の中では、有機
電解質がアクリル系樹脂あるいはポリエーテルエステル
重縮合体との相溶性が良く好ましい。これら電解質の配
合量は、アクリル系樹脂とポリエーテルエステル重縮合
体との混合物100重量部に対して、0.05〜10重
量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で選ばれる。
この量が10重量部を超えると機械的強度が低下した
り、成形品に肌荒れを生じたり、又、成形時に着色した
りする等好ましくない傾向となる。
【0020】本発明の樹脂組成物には、その物性を損な
わない範囲において他の成分、例えば、潤滑剤、離型
剤、熱安定剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤等の添加
剤を配合することができる。又、ABS樹脂、多層アク
リル系耐衝撃性改良剤等を添加して耐衝撃性を改良する
こともできる。更に、ガラス繊維、炭酸カルシュウム、
水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の充填剤等を添加
することもできる。
【0021】この様にして得られた本発明のアクリル系
樹脂組成物は、その組成物を、例えば射出成形、ブロー
成形等によって成形品とすることができる。又、その組
成物を押出成形することによってシート化することもで
きる。更に、その組成物をフィルム化してアクリル系樹
脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポ
リアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、
ポリアミド系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等の熱可
塑性樹脂よりなる基板部の片面あるいは両面にラミネー
トするあるいは該熱可塑性樹脂のシート成形時にそれを
基板部としてその片面あるいは両面にその組成物を共押
出する等の方法で帯電防止性に優れた積層シートとする
こともできる。基板部として使用する熱可塑性樹脂とし
ては、アクリル系樹脂がリサイクル使用等の観点から好
ましい。
【0022】本発明の組成物は、アクリル系樹脂とポリ
エーテルエステル重縮合体とが屈折率で一致しない場合
は、透明性が充分ではない。乳白色調を示す場合は、そ
れを乳半用として使用することもできるが、ポリエーテ
ルエステル重縮合体の原料であるポリオキシアルキレン
グリコール化合物、ジヒドロキ化合物及びジカルボン酸
化合物に使用する成分の種類あるいは量比等を選定する
ことによって、アクリル系樹脂と屈折率を合わせ、透明
な成形品、シートあるいは積層シートとすることもでき
る。
【0023】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。また、
実施例における各種物性の測定法は次の通りである。 ポリエーテルエステル重縮合体の還元比粘度 オルソクロロフェノール中、ポリマー濃度1%、35℃
で測定した。 組成物の表面抵抗率 50×50×2mmの成形試料を用い、アドバンテスト
社製のエレクトロメーターTR8651と電極及び安藤
電気社製のシールドボックスと電極ホルダーを使用し
て、500V印加した際の抵抗値を測定して表面抵抗率
を求めた。 組成物の全光線透過率及びヘーズ値 50×50×2mmの成形試料について、日本電色工業
社製の曇度計を使用して、JIS K−7105の方法
に準じて測定した。 組成物の曲げ弾性率 ASTM D−790に準じて1/8インチ厚みの試験
片を用いて、23℃、50%RHで測定した。 押出機ホールド試験 250℃に温度設定したベント付き2軸押出機を使用し
てアクリル系樹脂組成物を1時間滞留させ、その後、新
しいアクリル系樹脂組成物を連続押し出した。連続的に
押し出して得られたペレットを250℃の温度設定の射
出成形機で成形した50×50×2mmの成形試料中の
着色異物の有無を確認した。
【0024】<製造例1> ポリエーテルエステル重縮合体(A−1)の製造:撹拌
機、溜去管、原材料投入ポットを取り付けた200cc
の反応器にテレフタル酸ジメチル50g、エチレングリ
コール22g、酢酸マンガン0.025gを仕込み、生
成するメタノールを溜去しながら180〜230℃で3
時間加熱した。この重縮合系に数平均分子量6000の
ポリエチレングリコール17g、三酸化アンチモン0.
03g、ジメチルホスフェート0.015gを追加し
た。更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰のエチレ
ングリコールを溜去しつつ、280℃で2時間加熱処理
し重合を完結した。得られた重縮合体は、窒素圧で反応
器より押し出し、水浴で冷却してカッティング、チップ
化した。得られたポリエーテルエステル重縮合体中のポ
リエチレングリコールセグメントは25重量%,還元比
粘度は0.9であった。
【0025】<製造例2> ポリエーテルエステル重縮合体(A−2)の製造:製造
例1において、テレフタル酸ジメチルを42g、エチレ
ングリコールを19g、ポリエチレングリコールを28
gに変えた以外は製造例1と同一にしてポリエチレング
リコールセグメントが40重量%、還元比粘度が1.0
のポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0026】<製造例3> ポリエーテルエステル重縮合体(A−3)の製造:製造
例1において、テレフタル酸ジメチルを20g、エチレ
ングリコールを9g、ポリエチレングリコールを60g
に変えた以外は製造例1と同一にしてポリエチレングリ
コールセグメントが75重量%、還元比粘度が1.2の
ポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0027】<製造例4> ポリエーテルエステル重縮合体(A−4)の製造:製造
例2において、テレフタル酸ジメチルをセバシン酸ジメ
チルに変えた以外は製造例2と同一にしてポリエチレン
グリコールセグメントが40重量%、還元比粘度が0.
9のポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0028】<製造例5> ポリエーテルエステル重縮合体(A−5)の製造:製造
例2において、ポリエチレングリコールを数平均分子量
3000のポリオキシテトラメチレングリコールに変え
た以外は製造例2と同一にしてポリオキシテトラメチレ
ングリコールセグメントが40重量%、還元比粘度が
1.1のポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0029】<製造例6> ポリエーテルアミド重縮合体(A−6)の製造:数平均
分子量6000のポリオキシエチレングリコールとカプ
ロラクタムを主原料とし、更に連結剤としてテレフタル
酸を使用して、公知の方法で重縮合させ、ポリオキシエ
チレングリコールセグメントが40重量%のポリエーテ
ルアミド重縮合体を得た。
【0030】
【実施例1〜10、比較例1〜3】表1に示す組成の各
成分を2軸押出機を使用して、260℃にて混練してペ
レタイズした。得られたペレットを乾燥した後、シリン
ダー温度250℃、金型温度50℃で射出成形した。成
形した試料は、23℃、50%RHで1日間調湿した後
物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0031】なお、実施例及び比較例で用いたアクリル
系樹脂及び添加剤の記号は次を意味する。 アクリル系樹脂 B−1;アクリル樹脂デルペット80N[旭化成工業
(株)製] B−2;アクリル樹脂デルペット60N[旭化成工業
(株)製] 添加剤 C−1;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム C−2;ジフェニル亜リン酸ナトリウム
【0032】
【実施例11】実施例2のアクリル系樹脂組成物を25
0℃に設定した直径90mm、L/D=32のシート押
出機で、シートの厚みが3mmの厚さになる様にリップ
開度及びポリッシングロールのクリアランスで調整し、
幅60cmのシートを作製した。得られたシートは乳半
色で表面抵抗率は4×1011Ωであった。又、このシー
ト中には着色異物は全く観察されなかった。
【0033】
【実施例12】実施例3のアクリル系樹脂組成物を積層
部用として、直径30mm、L/D=24の押出機を用
い、一方、基板部にはB−1を直径90mm、L/D=
32の押出機を用いて共押出しを行なった。積層シート
が3mmの厚さになる様にリップ開度及びポリッシング
ロールのクリアランスで調整し、押出機の温度は250
℃で行なった。積層部の厚みのコントロールは押出機の
回転数で押出量を調整し、シートの幅60mmの積層シ
ートを作製した。積層シート全体の厚みは3.0mmで
積層部の厚みは50μmであった。この積層シートは透
明で表面抵抗は5×1010Ωであった。又、連続成形5
時間経過してもこの積層シート中には、着色異物は全く
観察されなかった。
【0034】
【比較例4】比較例3のアクリル系樹脂組成物を積層用
として使用すること以外は実施例12と同様にして積層
シートを作製した。表面抵抗は5×1012Ωであった
が、この積層シート中には連続成形スタート当初から積
層部に少量の着色異物が検出され、5時間経過後は着色
異物が増大し、異物が全く無い製品をとることは出来な
かった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明のアクリル系樹脂組成物は、優れ
た永久帯電防止効果を示す。又押出機等で帯電防止剤で
あるポリエーテルエステル重縮合体とアクリル系樹脂と
を組成物化する際あるいは組成物を成形して成形体、シ
ート、積層シートを製造する際に着色ゲルに基ずく異物
の混入がなく、極めて品質に優れた製品が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アクリル系樹脂70〜97重量%
    及び(B)分子内に数平均分子量が500以上のポリオ
    キシアルキレングリコールセグメントよりなるポリエー
    テル成分を10〜90重量%含み、且つ35℃オルソク
    ロロフェノール中で測定した還元比粘度が、0.2〜
    2.0であるポリエーテルエステル重縮合体3〜30重
    量%とよりなる帯電防止性アクリル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の帯電防止性アクリル系樹
    脂組成物100重量部に対して、10重量部を超えない
    量の(C)有機電解質及び無機電解質の中から選ばれた
    少なくとも一種の電解質を配合してなる帯電防止性アク
    リル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは請求項2の帯電防止性
    アクリル系樹脂組成物を成形してなる帯電防止性成形
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1あるいは請求項2の帯電防止性
    アクリル系樹脂組成物を成形してなる帯電防止性シー
    ト。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂基板部の片面又は両面に、
    請求項1あるいは請求項2の帯電防止性アクリル系樹脂
    組成物を積層せしめた帯電防止性熱可塑性樹脂積層シー
    ト。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である請
    求項5の帯電防止性熱可塑性樹脂積層シート。
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