JPH09291189A - 帯電防止性アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性アクリル系樹脂組成物

Info

Publication number
JPH09291189A
JPH09291189A JP10772796A JP10772796A JPH09291189A JP H09291189 A JPH09291189 A JP H09291189A JP 10772796 A JP10772796 A JP 10772796A JP 10772796 A JP10772796 A JP 10772796A JP H09291189 A JPH09291189 A JP H09291189A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic resin
weight
component
resin composition
antistatic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10772796A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoichi Yokota
洋一 横田
Satoru Hirota
悟 廣田
Hideo Kinoshita
秀雄 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10772796A priority Critical patent/JPH09291189A/ja
Publication of JPH09291189A publication Critical patent/JPH09291189A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた持続性帯電防止性能を有し、且つ着色
異物の発生がない。アクリル系樹脂組成物を提供する。
この樹脂組成物は、フィルム又はシート及び射出成形品
として優れる。 【解決手段】 (A)アクリル系樹脂70〜98重量部
と、(B)数平均分子量が500〜20,000のポリ
オキシアルキレングリコール成分20〜75重量%、芳
香族ジカルボン酸成分10〜65重量%、ジヒドロキシ
化合物成分5〜35重量%を含み、且つ30℃メタクレ
ゾール中で測定した相対粘度が、1.2〜4.0である
ポリエーテルエステル重縮合体2〜30重量部とを含有
してなることを特徴とする帯電防止性アクリル系樹脂組
成物、およびこの樹脂組成物よりなるフィルム又はシー
ト及び射出成形品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性アクリ
ル系樹脂組成物に関する。更には、その樹脂組成物を用
いたフィルム及びシート、及び射出成形品に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】従来アクリル系樹脂は、その優れた外観、
耐光性を生かし、アクリル系樹脂シートは看板、照明カ
バー、店装ディスプレー、エクステリアあるいは自販機
前面板等幅広い用途に使用されている。また、アクリル
系樹脂フィルムは屋外用サイジング材、看板、標識に用
いるプラスチックシートあるいはディスプレーの表面保
護、高級壁紙等の用途に使用されている。
【0003】しかしながら、通常のアクリル系樹脂は、
帯電しやすく、ほこり等が付きやすい等の欠点を有して
いる。その為、最近、これらの用途あるいはこれらに加
えてクリーンルーム使用材料等に帯電防止性能付与の要
求がある。特に使用時に性能が低下しない持続的な帯電
防止性能付与の要求が大きくなりつつある。アクリル系
樹脂に帯電防止性を付与する方法としては、例えば界面
活性剤を練り込んだり、表面に塗布する方法などがよく
知られているが、この様な方法では、表面に存在する帯
電防止剤が水洗等によって容易に除去されて、帯電防止
性能を失い、持続的な帯電防止性能を付与することが出
来ない。また、表面に塗布する方法は、塗布する際の溶
剤の問題があり、材料にクラックが入ったり、又は塗布
した層が剥離する等の問題がある。
【0004】一方、持続的な帯電防止性能を付与する方
法としては、例えばポリオキシエチレン鎖及びスルホ
ン酸塩あるいは第四級アンモニュウム塩構造を有するビ
ニル共重合体よりなる帯電防止剤をアクリル系樹脂に混
練する方法(特開昭55-36237号公報、特開昭63-63739号
公報)ポリアミドセグメントとポリエーテルエステル
セグメントからなるポリエーテルアミド重縮合体よりな
る帯電防止剤をアクリル系樹脂に混練する方法(特開昭
64-90246号公報、特開平1-308444号公報)などが提案さ
れている。
【0005】しかしながら,前記の方法においては、
配合されるビニル共重合体が特殊なビニルモノマーを用
いる為高価であって、これを配合したアクリル系樹脂は
製造コストが高くつくのを紛れない上、特に特開昭55-3
6237公報記載の方法では,ビニル共重合体の配合量が多
く、アクリル系樹脂本来の耐熱性などが低下するなどの
欠点がある。一方,前記の方法においては、優れた持
続性の帯電防止性を付与することができるが、ポリアミ
ド成分を分子内に含む永久帯電防止剤は、それ自身が高
温で空気と接触すると非常に短時間に褐色あるいは黒色
に変形し易いことと、更に、特にアクリル系樹脂に特有
の現象であるが、ポリエーテルアミドとアクリル系樹脂
とを併用すると、加水分解等によりアミド結合が分解し
て生ずる末端アミノ化合物等がアクリル系樹脂とイミド
化反応によって架橋反応をおこすことによると推定され
るゲルが発生し易い問題がある。その為、例えば、押出
機等でこの帯電防止剤とアクリル系樹脂と混練コンパウ
ンド化する際、または、得られた組成物を押出機でフィ
ルム成形あるいはシート成形する際に、押出機のデッド
ゾーンやベント部に樹脂が滞留し、着色したゲルが発生
しその異物混入による製品品質低下の問題点がある。
【0006】また、射出成形においては、成形を一時中
止し、再度成形を開始した際、シリンダー内に滞留した
樹脂が着色及びゲル化を起こし、成形開始直後から断続
的に成形品内に異物が混入し、外観を著しく低下させ安
定に製品が得られないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これに関して、本出願
人は特願平6−271988号により、アクリル系樹脂
に、特定のポリエーテルエステル重縮合体との組成物を
提案した。更に、本発明は、より優れた持続性、帯電防
止性を備え、且つ配合される持続性帯電防止剤に基ずく
着色ゲル異物発生が少なく、製品品質に優れたアクリル
系樹脂組成物、その樹脂組成物よりなるアクリル系樹脂
フィルム又はシート、及び射出成形品を提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、製品品質
に優れた帯電防止性アクリル系樹脂フィルム又はシート
及び射出成形品を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、分
子内に、特定の数平均分子量のポリオキシアルキレング
リコール成分、芳香族ジカルボン酸成分、ジヒドロキシ
化合物成分を含み、特定の相対粘度のポリエーテルエス
テル重縮合体とアクリル系樹脂との組成物は、押出機で
アクリル系樹脂と混練コンパウンド時、または、得られ
た組成物を押出機でフィルム成形あるいはシート成形時
に空気と接触した場合、あるいは射出成形時に一時成形
を中止し、再度成形を開始した場合、ポリエーテルアミ
ドが褐色から黒色に着色するのに対して淡黄色程度の着
色に止まり、更に、架橋によるゲルも生成しない為、着
色異物のない極めて高品質の製品が得られ、且つ優れた
持続性帯電防止性を付与できることを見い出し、この知
見に基ずいて本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、(A)アクリル系樹脂7
0〜98重量部と、(B)数平均分子量が500〜2
0,000のポリオキシアルキレングリコール成分20
〜75重量%、芳香族ジカルボン酸成分10〜65重量
%、ジヒドロキシ化合物成分5〜35重量%を含み、且
つ30℃メタクレゾール中で測定した相対粘度が、1.
2〜4.0であるポリエーテルエステル重縮合体2〜3
0重量部とを含有してなるアクリル系樹脂組成物を提供
するものである。
【0010】このアクリル系樹脂組成物よりなるアクリ
ル系樹脂フィルム又はシート、及びアクリル系樹脂射出
成形品は優れたものである。更に、場合により該(A)
成分と(B)成分との合計量100重量部当り、5重量
部を越えない量の有機スルホン酸塩及び/又は有機リン
酸塩の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を配合し
てなるアクリル系樹脂組成物を好ましいものとして提供
するものである。
【0011】更に、本発明は、(A)アクリル系樹脂7
0〜98重量部と、(B)数平均分子量が500〜2
0,000のポリオキシアルキレングリコール成分60
〜75重量%、芳香族ジカルボン酸成分10〜35重量
%、ジヒドロキシ化合物成分5〜20重量%を含み、且
つ30℃メタクレゾール中で測定した相対粘度が、1.
2〜4.0であるポリエーテルエステル重縮合体2〜3
0重量部とを含有してなるアクリル系樹脂組成物を好ま
しいものとして提供するものである。
【0012】更に、場合により該(A)成分と(B)成
分との合計量100重量部当り、5重量部を越えない量
の有機スルホン酸塩及び有機リン酸塩の中から選ばれた
少なくとも1種の化合物を配合してなる透明な帯電防止
性アクリル系樹脂を好ましいものとして提供するもので
ある。以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明組成物において、(A)成分として
用いられるアクリル系樹脂としてはメタクリル酸メチル
単独重合体若しくはメタクリル酸メチルと他の単量体と
の共重合体が使用される。共重合体中のメタクリル酸メ
チル構造単位は80重量%以上有するものが好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル等のアクリル酸アルキルエステル類、スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香属ビニル化合
物類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシア
ン化ビニル化合物類、N−フェニルマレイミド、N−シ
クロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、
メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類
等が挙げられる。
【0014】メタクリル酸あるいはアクリル酸の共重合
体は、それを熱処理して脱水反応等により6員環酸無水
物化した重合体も含まれる。これらメタクリル酸メチル
と共重合可能な単量体は1種または2種以上組み合わせ
て使用できる。アクリル系樹脂として使用する場合は、
上記のメタクリル酸メチル単独重合体若しくは共重合体
を1種または2種以上組み合わせて使用できる。これら
アクリル系樹脂の中で、(A)成分として用いられるア
クリル系樹脂としては、一般にアクリル樹脂として使用
されているメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルある
いはアクリル酸エチルとの共重合体が熱安定性等に優
れ、加工安定性が良く、最も好ましい。
【0015】これらのアクリル系樹脂の製造方法として
は、公知の懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法、溶
液重合法等を用いて製造される。又、耐衝撃性が要求さ
れる用途については、一般に使用されている多層構造ア
クリル系ゴム等で補強された耐衝撃性のアクリル系樹脂
等を使用することもできる。本発明において、(B)成
分として用いられるポリエーテルエステル重縮合体は、
少なくともポリオキシアルキレングリコール化合物、芳
香族ジカルボン酸若しくは芳香族ジカルボン酸エステル
化合物及びジヒドロキシ化合物を必須成分とし、これを
重縮合させて得られる。
【0016】ポリオキシアルキレングリコール化合物と
しては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレ
ングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、
あるいはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリ
コールブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリ
オキシアルキレングリコール化合物は、単独で用いても
よいし、2種以上を組み合せて使用してもよい。これら
の中で、特にポリオキシエチレングリコールが帯電防止
性能の面で優れ最も好ましい。
【0017】ポリオキシエチレングリコール以外のポリ
オキシアルキレングリコールは、これ単独で使用した場
合はポリオキシエチレングリコールに比較して帯電防止
性能はやや低下する傾向にはあるが、重縮合で得られる
ポリエーテルエステル重縮合体がより高い強度を示し、
その製造面で有利である。ポリオキシエチレングリコー
ル以外のポリオキシアルキレングリコールとしては特に
ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。必要
に応じてこのポリオキシテトラメチレングリコール単独
あるいはポリオキシエチレングリコールとの組合せ等で
使用することが好ましい。
【0018】ポリオキシアルキレングリコール化合物
は、数平均分子量が500〜20,000の範囲である
ことが必要である。2種類以上組み合わせて使用する際
は、各グリコールの構成比によってこの範囲内になる様
に各グリコールの数平均分子量を選定する。数平均分子
量が500未満では、ポリエーテルエステル重縮合体の
融点が低く、重縮合体の取り扱いが困難になると同時に
アクリル系樹脂組成物の帯電防止性能も不十分となる。
一方、数平均分子量が20,000を越えると重縮合時
組成分布が生じ易くなる、あるいは分子量が上がらない
等重合性等の問題を生じやすくなり、又アクリル系樹脂
組成物の帯電防止性能も不十分となる。
【0019】ポリエーテルエステル重縮合体中のポリオ
キシアルキレングリコール成分の量は、20〜75重量
%である。20重量%以下の場合は、帯電防止機能を発
現するエーテル結合成分量が少ない為、アクリル系樹脂
組成物の帯電防止性能が低く好ましくない。75重量%
以上の場合は、これもアクリル系樹脂組成物の帯電防止
性能が低く好ましくない。その理由は、次の様に推定さ
れる。ポリアルキレングリコール成分が75重量%以上
の場合には、エーテル結合成分が多くなって本来は帯電
防止性能は向上するはずであるが、もう一つの帯電防止
性能を発現する要因として帯電防止剤がアクリル系樹脂
中に0.1ミクロン以上に球状あるいは線状に微分散す
ることが好ましい。この微分散粒子の中を電子が移動し
て帯電防止性能が発現されると推定されるが、ポリオキ
シアルキレングリコールが75重量%以上の場合には、
アクリル系樹脂との相溶性が良すぎて0.1ミクロン以
下に分散あるいは完全相溶する。その為に帯電防止性能
が低下する。
【0020】芳香族ジカルボン酸化合物若しくは芳香族
ジカルボン酸エステル化合物としては、例えば、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸及
びこれらの芳香族ジカルボン酸のメチル、エチル、プロ
ピル、ブチルエステル等が挙げられる。これらの芳香族
ジカルボン酸化合物若しくは芳香族ジカルボン酸エステ
ル化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて使用してもよい。これらの中で、特にテレフタル
酸あるいはそのエステルが、得られるポリエーテルエス
テル重縮合体の融点が高く取り扱い上最も好ましい。
【0021】ポリエーテルエステル重縮合体中の芳香族
ジカルボン酸成分の量は、10〜65重量%である。芳
香族ジカルボン酸成分は、そのポリエーテルエステル重
縮合体のアクリル系樹脂との相溶性を制御する。10重
量%以下の場合はアクリル系樹脂との相溶性が良すぎて
帯電防止剤が微分散若しくは完全相溶し帯電防止性能が
低下し好ましくない。又、65重量%以上の場合は、ポ
リエーテルエステル重縮合体中のポリアルキレングリコ
ール成分が少なく、この場合も帯電防止性能が低下し好
ましくない。
【0022】ジヒドロキシ化合物としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ブテンジオール、ハイドロキノ
ンレゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シク
ロヘキサンジオール等が挙げられる。これらのジヒドロ
キシ化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて使用してもよい。これらの中で、特にエチレン
グリコールが帯電防止性能が高く、最も好ましい。
【0023】ポリエーテルエステル重縮合体中のジヒド
ロキシ化合物成分の量は、5〜35重量%である。この
ジヒドロキシ化合物は、ポリオキシアルキレングリコー
ルと芳香族ジカルボン酸との連結剤の役割を果たすもの
である。目的の組成のポリエーテルエステル重縮合体と
する為には、ポリオキシアルキレングリコールの末端ヒ
ドロキシル基とジヒドロキシ化合物の末端ヒドロキシル
基との和と芳香族ジカルボン酸のカルボン酸基とを同モ
ル数にする必要がある。この調整の為にジヒドロキシ化
合物成分が導入される。従って、ジヒドロキシ化合物成
分の重量%は、ポリオキシアルキレングリコール成分量
及び芳香族ジカルボン酸成分量から自動的に決定され
る。
【0024】アクリル系樹脂は用途によっては透明品、
乳半品あるいは着色品として使用される。乳半あるいは
着色の帯電防止性アクリル系樹脂で使用する場合は、ポ
リエーテルエステル重縮合体とアクリル系樹脂よりなる
アクリル系樹脂組成物が必ずしも透明である必要はない
為、広い範囲のポリエーテルエステル重縮合体、即ち、
数平均分子量が500〜20,000のポリオキシアル
キレングリコール成分20〜75重量%、芳香族ジカル
ボン酸成分10〜65重量、ジヒドロキシ化合物成分5
〜35重量%を含むポリエーテルエステル重縮合体とア
クリル系樹脂とのアクリル系樹脂組成物が使用できる。
【0025】一方、透明な帯電防止性アクリル系樹脂
は、好ましくはヘーズ10以下、より好ましくはヘーズ
5以下の透明な帯電防止性アクリル系樹脂成形体とする
為には、限られた範囲の組成のポリエーテルエステル重
縮合体を使用する必要がある。本発明のアクリル系樹脂
を透明とする要因としては、ポリエーテルエステル重縮
合体の屈折率及び結晶化度、更にアクリル系樹脂のポリ
エーテルエステル重縮合体の粒径等がある。透明とする
為の一つの要因である屈折率は、使用する原材料によっ
て多少のズレはあるが、ポリオキシアルキレングリコー
ル成分量でほぼ決定される。ポリオキシアルキレングリ
コール成分としてポリエチレングリコール、芳香族ジカ
ルボン酸成分としてテレフタル酸、ジヒドロキシ化合物
成分としてエチレングリコールを使用した場合は、ポリ
オキシアルキレングリコール成分が約75重量%の範囲
で一般に使用されるアクリル樹脂と屈折率がほぼ一致す
る。又、透明とする為の要因である結晶化度は、使用す
るポリオキシアルキレングリコールの分子量で決まる。
一般に分子量が高い場合結晶化度は高くなる傾向にあ
る。逆に、その分子量が低い場合はポリエーテルエステ
ル重縮合体そのものの融点が低く取り扱いが困難にな
る。透明とする為のポリオキシアルキレングリコールの
数平均分子量の好ましい範囲は1,000〜8,000
である。更に、もう一つの透明とする為の因子であるア
クリル系樹脂中のポリエーテルエステル重縮合体の粒径
は小さい方が好ましい。この粒径はポリエーテルエステ
ル重縮合体とアクリル系樹脂との相溶性で決まり、相溶
性が高くなると微分散する方向であり透明性は良くな
る。
【0026】しかしながら、微分散しすぎると帯電防止
性能が低下するので、アクリル系樹脂と適度な相溶性の
ポリエーテルエステル重縮合体とする必要がある。この
アクリル系樹脂との相溶性及び屈折率は、ポリエーテル
エステル重縮合体中のポリオキシアルキレングリコール
成分量で決まり、その量は、60〜75重量%である。
即ち、本発明のアクリル系樹脂を透明とする為のポリエ
ーテルエステル重縮合体は、数平均分子量が500〜2
0,000、好ましくは1,000〜8,000のポリ
オキシアルキレングリコール成分が、60〜75重量
%、好ましくは70〜75重量%、芳香族ジカルボン酸
成分が、10〜35重量%、ジヒドロキシ化合物成分
が、5〜20重量%である。
【0027】本発明のポリエーテルエステル重縮合体中
のジカルボン酸成分は、上記の如く基本的には上記の芳
香族ジカルボン酸を必須成分として使用する。しかしな
がら、本発明のアクリル系樹脂を透明にする為に、屈折
率を微調整する目的で、10重量%を越えない範囲で脂
肪族ジカルボン酸成分を導入させることもある。脂肪族
ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシ
ル−4,4−ジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等を
挙げることができる。
【0028】ポリエーテルエステル重縮合体の製造方法
については、均一な組成の重合体が得られる方法であれ
ばよく、例えば、上述のポリオキシアルキレングリコー
ル化合物、芳香族ジカルボン酸化合物若しくは芳香族ジ
カルボン酸エステル化合物及びジヒドロキシ化合物を溶
媒の存在下又は不存在下で、反応で生成する水分若しく
はアルコールを、反応系中に窒素ガスを流すかあるいは
減圧にすることによって系外へ除去しながら、150〜
300℃、好ましくは180〜290℃の温度において
重縮合させる方法等を用いることができる。
【0029】この方法においては、重縮合させる際に、
酢酸マンガン,酢酸カルシュウム,酢酸コバルト,チタ
ン化合物,アンチモン化合物,ゲルマニューム化合物,
ジルコニウム化合物等の触媒を用いると反応時間が短縮
され、ポリマーの着色も防止できるので有利である。な
お、触媒としてチタン化合物、例えばチタニュームアル
コキサイド等の水が存在すると失活しやすい触媒を使用
する場合は、反応系中の水を系外へ除去した後に添加す
るのが有利である。
【0030】本発明の組成物に用いるポリエーテルエス
テル重縮合体の重合度は必要に応じて変えることができ
るが、該重縮合体を30℃、メタクレゾール中で測定し
た相対粘度が、1.2〜4.0であることが必要であ
る。この比粘度が1.2未満では機械的物性に劣り、ア
クリル系樹脂に混練した場合にその成形品の機械的物性
が不足する、あるいは低粘度である為に、アクリル系樹
脂中でポリエーテルエステル重縮合体が微分散しすぎて
帯電防止性能が低くなる等の問題がある。又,4.0を
越えると、アクリル系樹脂中のポリエーテルエステル重
縮合体の分散性が悪く、粒径が逆に大きくなりすぎて帯
電防止性能が低くなる等の問題がある。
【0031】得られたポリエーテルエステル重縮合体の
熱安定性を高める為に、各種の耐熱老化防止剤、酸化防
止剤等の耐熱安定剤を用いることができる。これらは、
重合の初期、中期、末期のどの段階で添加してもよい。
又、ポリエーテルエステル重縮合体をアクリル系樹脂と
混練する際に添加することもできる。この耐熱安定剤と
しては、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−5−t−ブチル フェニル)ブタン、N,
N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシケイ皮酸アミド)、4,4’−ビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]等のヒンダードフェノール類、N,N’−ビス
(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−N’
−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ポリ(2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)等の
芳香族アミン類、ジラウリルチオジプロピオネート等の
イオウ化合物やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等のリン化合物等が使用される。
【0032】本発明のアクリル系樹脂を形成するアクリ
ル系樹脂組成物は、上述の(A)成分のアクリル系樹脂
を70〜98重量部、好ましくは75〜95重量部含有
し、(B)成分のポリエーテルエステル重縮合体を30
〜2重量部、好ましくは25〜5重量部含有する様に配
合される。(B)成分が30重量部を越えると機械的強
度が低下する。又、2重量部未満では、充分な帯電防止
効果が得られない。本発明のアクリル系樹脂組成物は、
(A)成分と(B)成分の混合物を公知の方法、例えば
バンバリーミキサー、ミキシングロール、1軸若しくは
2軸の押出機等を使用して混練する方法で調整すること
ができる。この際の混練温度は180〜280℃の範囲
で行なうのが好ましい。
【0033】この様にして得られたアクリル系樹脂組成
物は、優れた永久帯電防止効果を示し、押出機等でアク
リル系樹脂とポリエーテルエステル重縮合体とを混練す
る際、あるいは成形する際に着色ゲルに基ずく異物の混
入がなく、極めて品質に優れたものとなる。本発明にお
いては、帯電防止効果を更に向上する為に、有機スルホ
ン酸塩及び有機リン酸塩から選ばれた少なくとも1種の
化合物を併用することができる。この有機スルホン酸塩
や有機リン酸塩の例としては、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルジフェニルエ
ーテルジスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ジメチル
イソフタール酸メチルエステルスルホン酸等の芳香族ス
ルホン酸、ラウリルスルホン酸の様なアルキルスルホン
酸、亜リン酸ジフェニル、リン酸ジフェニル等の有機リ
ン酸等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げ
られる。これらの中でアルカリ金属塩が好ましく、特に
ナトリウム塩及びカリウム塩が好適である。
【0034】有機スルホン酸塩あるいは有機リン酸塩の
配合量は、アクリル系樹脂組成物100重量部に対し
て、5重量部以下、好ましくは2重量部以下である。こ
の量が5重量部を越えると機械的強度が低下したり、成
形品に肌荒れを生じたり、又、成形時に着色したりする
等好ましくない。又、特殊な場合として、例えばポリオ
キシエチレングリコール化合物、芳香族ジカルボン酸化
合物若しくは芳香族ジカルボン酸エステル化合物及びジ
ヒドロキシ化合物を重縮合する際に、スルホン酸塩、リ
ン酸塩を分子内に有する原材料、例えばスルホン酸塩を
パラ位に有するイソフタル酸若しくはそのエステルを共
重縮合させる等の方法で実施することも可能である。ス
ルホン酸塩をパラ位に有するイソフタル酸成分、即ち、
5−スルホイソフタル酸塩成分は、ポリエーテルエステ
ル重縮合体中に5重量%を越えない量を含むことが好ま
しい。5重量%以上の場合は、本発明のアクリル系樹脂
組成物を透明用途に使用する際、湿熱時白化等が生じ好
ましくない。
【0035】本発明のアクリル系樹脂組成物には、その
物性を損なわない範囲において他の成分、例えば、着色
品とする為の顔料、染料等、乳半とする為のタルク、マ
イカ、クレー、高分子樹脂あるいは無機微粒子、炭酸カ
ルシューム等、補強する為のガラス繊維、炭素繊維、チ
タン酸カリウム等の外、各種熱安定剤、酸化防止剤、核
剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、着
色剤等を配合することができる。又、ABS樹脂、多層
アクリル系耐衝撃性改良剤等を添加して耐衝撃性を改良
することもできる。更に、水酸化アルミニウム、硫酸バ
リウム等の充填剤等を添加することもできる。
【0036】この様にして得られたアクリル系樹脂組成
物を、通常の押出成形をすることによってフィルム化又
はシート化することができる。押出温度は、180〜3
00℃であり、200〜280℃が好ましい。帯電防止
性アクリル系樹脂シートの厚みは、用途によって異なる
が、一般には0.5〜20mmである。また、帯電防性
アクリル系樹脂フィルムの厚みは、薄すぎると帯電防止
性能が低くなり、5ミクロン〜0.5mmである。
【0037】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂シート
は、そのままあるいはプレス成形や真空成形等により加
工して照明カバー、ICトレー、IC部品ボックス等の
電子材料収納容器、電気製品ハウジング、クリーンルー
ム内装材、テレビの前面板等の帯電により問題が生ずる
様々な用途に使用できる。また、照明カバー等の乳半で
使用する場合は、その表面はシボ模様を付ける等もでき
る。
【0038】また、本発明の帯電防止性アクリル系樹脂
フィルムは、クリーンルームの窓材の保護等に用られる
ほか、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂あるいはポリエス
テル系樹脂等の熱可塑性樹脂よりなる基板部の片面ある
いは両面にラミネートする等の方法で帯電防止性に優れ
た積層シートとすることもできる。基板部として使用す
る熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂がリサイクル
使用等の観点から好ましい。
【0039】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂を射出
成形する温度条件は、180〜300℃、好ましくは2
00〜280℃である。本発明の帯電防止性アクリル系
樹脂射出成形品としては、照明カバー、ICトレー、I
C部品ボックス等の電子材料収納容器、電気製品ハウジ
ング、クリーンルーム内装材、テレビの前面板等帯電に
より問題が生ずる様々な用途に使用できる。
【0040】
【発明の実施の形態】実施例における各種物性の測定法
は次の通りである。 (1)ポリエーテルエステル重縮合体の相対粘度 重縮合体0.25gをメタクレゾール50mlに精秤
し、オストワルド粘度計No3により、30℃で流下時
間を測定する。溶解に使用したメタクレゾールについて
も同様の測定を行い、比粘度は重縮合体メタクレゾール
液の流下時間とメタクレゾール液の流下時間の比で算出
した。
【0041】(2)成形品の表面抵抗値 アドバンテスト社製のエレクトロメーターTR8651
と電極及び安藤電気社製のシールドボックスと電極ホル
ダーを使用して、23℃、50%RHで500V印加し
た際の抵抗値を求めた。 (3)全光線透過率及びヘーズ値 日本電色工業社製の曇度計を使用して、JIS K−7
105の方法に準じて測定した。
【0042】(4)曲げ弾性率 ASTM D−790に準じて3mm厚みの試験片を用
いて、23℃、50%RHで測定した。実施例および比
較例で使用した帯電防止剤とその製造方法は以下の通り
である (製造例1)ポリエーテルエステル重縮合体(A−1)
の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル81.4g、エ
チレングリコール53.7g、酢酸マンガン0.03g
を仕込み、生成するメタノールを溜去しながら180〜
230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量150
0のポリオキシエチレングリコール20.0g、三酸化
アンチモン0.04g、ジメチルホスフェート0.02
gを追加した。更に昇温と同時に真空度をアップし、過
剰のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時
間加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応
器から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエステル重
縮合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体
は数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコー
ル成分が20重量%、テレフタル酸成分が62重量%、
エチレングリコール成分が18重量%であった。又、相
対粘度は1.7であった。
【0043】(製造例2)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−2)の製造 テレフタル酸ジメチルを76.6g、エチレングリコー
ルを49.8g、ポリオキシエチレングリコールを2
5.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が25重量%、テレフタル酸成分が58重量%、エチ
レングリコール成分が17重量%、相対粘度が1.8の
ポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0044】(製造例3)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−3)の製造 テレフタル酸ジメチルを61.9g、エチレングリコー
ルを38.4g、ポリオキシエチレングリコールを4
0.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が40重量%、テレフタル酸成分が47重量%、エチ
レングリコール成分が13重量%、相対粘度が2.0の
ポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0045】(製造例4)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−4)の製造 テレフタル酸ジメチルを42.2g、エチレングリコー
ルを23.4g、ポリオキシエチレングリコールを6
0.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が60重量%、テレフタル酸成分が32重量%、エチ
レングリコール成分が8重量%、相対粘度が2.1のポ
リエーテルエステル重縮合体を得た。
【0046】(製造例5)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−5)の製造 テレフタル酸ジメチルを32.4g、エチレングリコー
ルを15.9g、ポリオキシエチレングリコールを7
0.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が70重量%、テレフタル酸成分が25重量%、エチ
レングリコール成分が5重量%、相対粘度が2.1のポ
リエーテルエステル重縮合体を得た。
【0047】(製造例6)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−6)の製造 テレフタル酸ジメチルを30.9g、エチレングリコー
ルを20.3g、ポリオキシエチレングリコールを7
0.0gに変え、更に使用するポリオキシエチレングリ
コールの数平均分子量を5000に変えた以外は製造例
1と同様に反応して、数平均分子量5000のポリオキ
シエチレングリコール成分が70重量%、テレフタル酸
成分が24重量%、エチレングリコール成分が6重量
%、相対粘度が2.1のポリエーテルエステル重縮合体
を得た。
【0048】(製造例7)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−7)の製造 テレフタル酸ジメチルを30.7g、エチレングリコー
ルを19.8g、ポリオキシエチレングリコールを7
0.0gに変え、更に使用するポリオキシエチレングリ
コールの数平均分子量を8000に変えた以外は製造例
1と同様に反応して、数平均分子量8000のポリオキ
シエチレングリコール成分が70重量%、テレフタル酸
成分が23重量%、エチレングリコール成分が7重量
%、相対粘度が2.1のポリエーテルエステル重縮合体
を得た。
【0049】(製造例8)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−8)の製造 テレフタル酸ジメチルを20.7g、エチレングリコー
ルを12.6g、ポリオキシエチレングリコールを8
0.0gに変えた以外は製造例7と同様に反応して数平
均分子量8000のポリオキシエチレングリコール成分
が80重量%、テレフタル酸成分が16重量%、エチレ
ングリコール成分が4重量%、相対粘度が2.2のポリ
エーテルエステル重縮合体を得た。
【0050】(製造例9)ポリエーテルエステル重縮合
体(A−9)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル41.0g、5
−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩1.2g、
エチレングリコール23.1g、酢酸マンガン0.03
gを仕込み、生成するメタノールを溜去しながら180
〜230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量15
00のポリオキシエチレングリコール60.0g、三酸
化アンチモン0.04g、ジメチルホスフェート0.0
2gを追加した。
【0051】更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰
のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時間
加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応器
から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエステル重縮
合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体は
数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
成分が60重量%、テレフタル酸成分が31重量%、5
−スルホイソフタル酸ナトリウム塩成分が1重量%、エ
チレングリコール成分が8重量%であった。又、相対粘
度は2.0であった。
【0052】(製造例10)ポリエーテルエステル重縮
合体(A−10)の製造 テレフタル酸ジメチルを29.7g、5−スルホイソフ
タル酸ジメチルナトリウム塩を1.2g、エチレングリ
コールを19.3g、ポリオキシエチレングリコールを
70.0gに変え、更に使用するポリオキシエチレング
リコールの数平均分子量を5000に変えた以外は製造
例9と同様に反応して、数平均分子量5000のポリオ
キシエチレングリコール成分が70重量%、テレフタル
酸成分が23重量%、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム塩成分が1重量%、エチレングリコール成分が6重量
%、相対粘度が2.1のポリエーテルエステル重縮合体
を得た。
【0053】(製造例11)ポリエーテルエステル重縮
合体(A−11)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル38.4g、
1,4ブタンジオール32.4g、酢酸マンガン0.0
3gを仕込み、生成するメタノールを溜去しながら18
0〜230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量1
500のポリオキシエチレングリコール60.0g、三
酸化アンチモン0.04g、ジメチルホスフェート0.
02gを追加した。更に昇温と同時に真空度をアップ
し、過剰の1,4ブタンジオールを溜去しつつ、260
℃で2時間加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合
体を反応器から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエ
ステル重縮合体を得た。得られたポリエーテルエステル
重縮合体は数平均分子量1500のポリオキシエチレン
グリコール成分が60重量%、テレフタル酸成分が29
重量%、1,4ブタンジオール成分が11重量%であっ
た。又、相対粘度は1.9であった。
【0054】(製造例12)ポリエーテルエステル重縮
合体(A−12)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル42.1g、エ
チレングリコール23.7g、酢酸マンガン0.03g
を仕込み、生成するメタノールを溜去しながら180〜
230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量150
0のポリオキシエチレングリコール30.0g、数平均
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール
30g、三酸化アンチモン0.04g、ジメチルホスフ
ェート0.02gを追加した。
【0055】更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰
のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時間
加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応器
から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエステル重縮
合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体は
数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
成分が30重量%、数平均分子量1800のポリオキシ
テトラメチレングリコール成分が30重量%、テレフタ
ル酸成分が32重量%、エチレングリコール成分が8重
量%であった。又、相対粘度は1.9であった。
【0056】(製造例13)ポリエーテルアミド重縮合
体(A−13)の製造 数平均分子量1500のポリエチレングリコールとカプ
ロラクタムを主原料とし、更に連結剤としてテレフタル
酸を使用して、公知の方法で重縮合させ、ポリオキシエ
チレングリコール成分が60重量%、カプロラクタム成
分が32重量%、テレフタル酸成分が8重量%のポリエ
ーテルアミド重縮合体を得た。
【0057】実施例および比較例で使用したアクリル系
樹脂及び添加剤を以下に示す。 B−1:アクリル樹脂デルペットLP−1[旭化成工業
(株)製] B−2:アクリル樹脂デルペットSR8500[旭化成
工業(株)製耐衝撃性アクリル樹脂] B−3:アクリル樹脂デルペット80N[旭化成工業
(株)製] C−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム C−2:ジフェニル亜リン酸ナトリウム
【0058】
【実施例1〜16,比較例1〜5】表1、表2に示す帯
電防止剤、アクリル系樹脂、添加剤よりなるアクリル系
樹脂組成物を、250℃に設定した直径90mm,L/
D=32のシート押出機を使用し、シートの厚みが3m
mになる様にリップ開度及びポリッシングロールのクリ
アランスで調整し、幅60cmのシートを作成した。得
られたシートは、23℃,50%RHで1日間調湿した
後物性を測定した。その特性を表1、表2に示す。
【0059】比較例5の帯電防止剤としてポリエーテル
アミド重縮合体を使用して得られたシートは、押出開始
直後は、異物は検出されなかったが、押出後30分経過
後から0.1〜0.2mmの着色異物が検出され始め、
1時間経過後はその異物は60×60mmのシートに2
〜3個検出された。一方、本発明のポリエーテルエステ
ル重縮合体を使用して得られたシートは、1時間経過後
も全く異物は検出されなかった。
【0060】
【実施例17】実施例3のアクリル系樹脂組成物100
重量部に対して15部のタルクを入れること以外は実施
例3と同様にして帯電防止性アクリル系樹脂シートを得
た。得られたシートは乳半で、その表面抵抗は2×10
10Ωであった。
【0061】
【実施例18】帯電防止剤A−4が15重量部、アクリ
ル系樹脂B−1が84.5重量部、添加剤C−1が0.
5重量部のアクリル系樹脂組成物を、直径90mm,L
/D=32の押出機を使用し、100ミクロンのフィル
ムを作成した。得られたフィルムの表面抵抗は1×10
10Ω、全光線透過率は92%、ヘーズは1.8%であっ
た。
【0062】
【実施例19】帯電防止剤としてA−5を用いる以外は
実施例18と同様にして帯電防止性アクリル系樹脂フィ
ルムを得た。得られたフィルムの表面抵抗は5×1011
Ω、全光線透過率は93%、ヘーズは0.3%であっ
た。
【0063】
【実施例20】帯電防止剤としてA−9を用いる以外は
実施例18と同様にして帯電防止性アクリル系樹脂フィ
ルムを得た。得られたフィルムの表面抵抗は4×109
Ω、全光線透過率は92%、ヘーズは1.8%であっ
た。
【0064】
【実施例21】帯電防止剤A−4が15重量部、多層ア
クリル系耐衝撃性改良剤[SR−E:旭化成工業(株)
製]が60重量部、アクリル系樹脂B−1が24.5重
量部、添加剤C−1が0.5重量部のアクリル系樹脂組
成物を、直径90mm,L/D=32の押出機を使用
し、100ミクロンのフィルムを作成した。このフィル
ムをポリカーボネート樹脂シート[ユーピロン・シー
ト:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製3m
m押出板]の片面に280℃のプレスにより積層し帯電
防止性ポリカーボネート積層シートを得た。得られた積
層シートの表面抵抗は2×1010Ω、全光線透過率は8
9%、ヘーズは5.8%、曲げ弾性率は2300MPa
であった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【実施例22〜34、比較例6〜10】表3に示す帯電
防止剤、アクリル系樹脂、添加剤よりなるアクリル系樹
脂組成物を直径30mm、L/D=24の押出機を用
い、押出温度は250℃でペレタイズを行った。得られ
たペレットを3オンス射出成形機を用いシリンダー温度
250℃、金型温度65℃で射出成形を行い3ミリ厚の
成形品を作成した。得られた射出成形品の特性を表3に
示す。射出成形を一時間中止し、その後成形を再開した
場合、比較例10の帯電防止剤としてポリエーテルアミ
ド重縮合体を使用してた場合は、再開後、100sho
tは、0.1〜0.2mmの着色異物が断続的に検出さ
れ成形品を得ることはできなかった。一方、本発明のポ
リエーテルエステル重縮合体を使用した際は、射出成形
開始直後から着色異物の混入がなく成形品を得ることが
できた。
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明のアクリル系樹脂組成物は、優れ
た持続性帯電防止性能を有し、且つ着色異物の発生がな
い。その結果、本発明のアクリル系樹脂組成物より作成
したフィルム及びシートは、優れた持続性帯電防止性能
を有し、且つ着色異物の発生がなく、極めて高品質の帯
電防止フィルム又はシートが得られる また、本発明のアクリル系樹脂組成物よりなる射出成形
品は、優れた帯電防止性能を有し、高強度で且つ着色異
物の発生混入がなく、照明カバー、ICトレー、IC部
品ボックス等の電子材料収納容器、電気製品ハウジン
グ、クリーンルーム内装材、テレビの前面板等、帯電に
より問題の生ずる様々な用途に使用できる帯電防止性ア
クリル系樹脂射出成形材料を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5:524

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)アクリル系樹脂70〜98重量部
    と、(B)数平均分子量が500〜20,000のポリ
    オキシアルキレングリコール成分20〜75重量%、芳
    香族ジカルボン酸成分10〜65重量%、ジヒドロキシ
    化合物成分5〜35重量%を含み、且つ30℃メタクレ
    ゾール中で測定した相対粘度が、1.2〜4.0である
    ポリエーテルエステル重縮合体2〜30重量部とを含有
    してなることを特徴とする帯電防止性アクリル系樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】(A)アクリル系樹脂70〜98重量部
    と、(B)数平均分子量が500〜20,000のポリ
    オキシアルキレングリコール成分60〜75重量%、芳
    香族ジカルボン酸成分10〜35重量%、ジヒドロキシ
    化合物成分5〜20重量%を含み、且つ30℃メタクレ
    ゾール中で測定した相対粘度が、1.2〜4.0である
    ポリエーテルエステル重縮合体2〜30重量部とを含有
    してなるを特徴とする透明な帯電防止性アクリル系樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】ポリオキシアルキレングリコール成分が、
    ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシテトラメ
    チレングリコールの中から選ばれた少なくとも1種の化
    合物よりなるポリエーテルエステル重縮合体を使用する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の帯電防止
    性アクリル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸
    よりなるポリエーテルエステル重縮合体を使用すること
    を特徴とする請求項1記載又は請求項2記載の帯電防止
    性アクリル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】ジヒドロキシ化合物成分が、エチレングリ
    コールよりなるポリエーテルエステル重縮合体を使用す
    ることを特徴とする請求項1又は2の帯電防止性アクリ
    ル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】アクリル系樹脂のメタクリル酸メチル構造
    単位が80重量%以上であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の帯電防止性アクリル系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】アクリル系樹脂のメタクリル酸メチル構造
    単位が80重量%以上であり、それと共重合可能な単量
    体がアクリル酸メチル及び/またはアクリル酸エチルで
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止性
    アクリル系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】アクリル系樹脂組成物100重量部に対し
    て、5重量部を越えない量の有機スルホン酸塩及び/又
    は有機リン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種の化合
    物を配合することを特徴とする請求項1又は2記載の帯
    電防止性アクリル系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1又は2記載の帯電防止性アクリル
    系樹脂よりなることを特徴とするフィルム又はシート。
  10. 【請求項10】請求項1又は2記載の帯電防止性アクリ
    ル系樹脂よりなることを特徴とする射出成形品。
JP10772796A 1996-04-26 1996-04-26 帯電防止性アクリル系樹脂組成物 Withdrawn JPH09291189A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10772796A JPH09291189A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 帯電防止性アクリル系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10772796A JPH09291189A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 帯電防止性アクリル系樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09291189A true JPH09291189A (ja) 1997-11-11

Family

ID=14466425

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10772796A Withdrawn JPH09291189A (ja) 1996-04-26 1996-04-26 帯電防止性アクリル系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09291189A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003050160A1 (en) * 2001-12-06 2003-06-19 Eastman Chemical Company Antistatic polyester-polyethylene glycol compositions
JP2006290958A (ja) * 2005-04-07 2006-10-26 Lonseal Corp 帯電防止性アクリル系樹脂組成物およびフィルム、シート

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003050160A1 (en) * 2001-12-06 2003-06-19 Eastman Chemical Company Antistatic polyester-polyethylene glycol compositions
JP2006290958A (ja) * 2005-04-07 2006-10-26 Lonseal Corp 帯電防止性アクリル系樹脂組成物およびフィルム、シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2019132221A1 (ko) 열가소성 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품
EP0759459B1 (en) Thermoplastic resin composition superior in transparency and antistatic property
JP4811925B2 (ja) 熱可塑性樹脂シート
JP3373398B2 (ja) 帯電防止性を備えた照明部品用難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3257833B2 (ja) 透明性及び帯電防止性の優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH09291189A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂組成物
KR20130074365A (ko) 열가소성 수지 조성물
JP3281269B2 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及びその成形品
JPH09193316A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂積層シート
JP2000136295A (ja) 帯電防止性樹脂組成物
JPH08134309A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂組成物
JPH10287740A (ja) ポリエーテルエステル重縮合体
JPH1129685A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂組成物
JP2001207041A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2002060596A (ja) 難燃性のポリエステルエラストマ樹脂組成物
JPH10251389A (ja) ポリエーテルエステル重縮合体
JPH10287791A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂組成物およびその成形品
JPH1129630A (ja) ポリエーテルエステル重縮合体
JP5596457B2 (ja) 難燃性ポリエステル系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形品
JPH10251472A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂組成物
JPS59193953A (ja) ポリエステル組成物
JP2000053837A (ja) 帯電防止性アクリル系樹脂組成物
JPH1045881A (ja) 重縮合体
JP2000159998A (ja) 帯電防止性ポリカーボネート系樹脂組成物
JPH0584875A (ja) 帯電防止に優れたアクリル系樹脂積層シート

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20030701