JPH09193316A - 帯電防止性アクリル系樹脂積層シート - Google Patents

帯電防止性アクリル系樹脂積層シート

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JPH09193316A
JPH09193316A JP8023437A JP2343796A JPH09193316A JP H09193316 A JPH09193316 A JP H09193316A JP 8023437 A JP8023437 A JP 8023437A JP 2343796 A JP2343796 A JP 2343796A JP H09193316 A JPH09193316 A JP H09193316A
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JP
Japan
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acrylic resin
weight
component
antistatic
polyether ester
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Withdrawn
Application number
JP8023437A
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English (en)
Inventor
Hideo Kinoshita
秀雄 木下
Yoichi Yokota
洋一 横田
Satoru Hirota
悟 広田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた持続性帯電防止性能を有する樹脂組成
物を積層部に用い、高強度の着色異物のない極めて高品
質の積層シートを安価に提供する。 【解決手段】 (A)アクリル系樹脂70〜98重量部
と、(B)数平均分子量が500〜20,000のポリ
アルキレングリコール成分20〜75重量%、芳香族ジ
カルボン酸成分10〜65重量%、ジヒドロキシ化合物
成分2〜35重量%を含み、且つ30℃メタクレゾール
中で測定した相対粘度が、1.0〜3.0であるポリエ
ーテルエステル重縮合体2〜30重量部とを含有してな
るアクリル系樹脂組成物を積層部が、アクリル系樹脂基
板部に積層されていることを特徴とする帯電防止性アク
リル系樹脂積層シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な帯電防止性
アクリル系樹脂積層シートに関するものである。
【0002】
【従来技術】従来アクリル系樹脂は、その優れた外観、
耐候性を生かし、アクリル系樹脂シートは看板、照明カ
バー、店装ディスプレー、エクステリアあるいは自販機
前面板等幅広い用途に使用されている。しかしながら、
通常のアクリル系樹脂は、帯電しやすく、ほこり等が付
きやすい等の欠点を有している。その為、最近、これら
の用途あるいはこれらに加えてクリーンルーム使用材料
等に帯電防止性能付与の要求がある。特に使用時に性能
が低下しない持続的な帯電防止性能付与の要求が大きく
なりつつある。
【0003】アクリル系樹脂に帯電防止性を付与する方
法としては、帯電防止剤をアクリル系樹脂の表面に塗布
したり、あるいは帯電防止剤をアクリル系樹脂に練り込
んだりすることが一般的である。しかしながら、帯電防
止剤を表面に塗布する方法は、塗布する際の溶剤の問題
があり、材料にクラックが入ったり、又は塗布した層が
剥離する等の問題がある。又、帯電防止剤を練り込む方
法は、練り込む帯電防止剤の影響で材料の物性低下が免
れない。帯電防止剤としては、一般的には界面活性剤が
使用されるが、この界面活性剤は表面に塗布する方法あ
るいは練り込む方法でも、水洗等によって容易に除去さ
れて、帯電防止性能を失い、持続的な帯電防止性能を付
与することが出来ない。
【0004】一方、持続的な帯電防止性能を付与する方
法としては、最近、水洗等で除去されない高分子型の帯
電防止剤、特にポリエーテル成分とポリアミド成分とを
必須成分とするポリエーテルアミド重縮合体よりなる帯
電防止剤をアクリル系樹脂に練り込む方法が提案されて
いる(特開昭64−90246号公報、特開平1−30
8444号公報)。更に、このポリエーテルアミド重縮
合体を、アクリル系樹脂に練り込んでそれ単独で成形し
て得たシートは、そのシートの物性低下が免れない為、
それを改良した方法として、ポリエーテルアミド重縮合
体とアクリル系樹脂との組成物からなる積層部をアクリ
ル系樹脂からなる基板部の片面又は両面に積層せしめた
アクリル系樹脂積層シートが提案されている(特開平5
−84875号公報)。
【0005】このような積層シートは、機械的強度、耐
熱性等の物性は帯電防止剤を含まない基板部のアクリル
系樹脂で保持させることができるので、帯電防止性能は
表面のみで機能を発揮できればよく、高価な帯電防止剤
を使用しても積層部のみに帯電防止剤があればよいの
で、コストアップも最小限に抑制できる等の優れた特徴
を持っている。しかしながら、帯電防止剤としてこのポ
リエーテルアミド重縮合体を使用した場合、ポリアミド
成分を重縮合体に含んでいるので、それ自身が高温で空
気と接触すると非常に短時間に褐色あるいは黒色に変色
し易いことと、更にアクリル系樹脂に特有の現象である
が、ポリエーテルアミド重縮合体とアクリル系樹脂とを
併用すると、加水分解等によりアミド結合が分解して生
ずる末端アミノ化合物等がアクリル系樹脂とイミド化反
応し、架橋反応をおこすことによると推定されるゲルが
発生し易い問題がある。
【0006】上記のような積層シートを製造する方法と
しては、帯電防止剤を押出機でアクリル系樹脂と混練コ
ンパウンド化し、得られた組成物を押出機でフィルム成
形し、セルキャストあるいは連続キヤストアクリル系樹
脂シート、押出アクリル系樹脂シートとラミネートする
方法、あるいは得られた組成物をアクリル系樹脂を基板
部とし、帯電防止剤を含むアクリル系樹脂を積層部とし
て押出機で共押出する方法等で実施されるが、例えば、
この帯電防止剤とアクリル系樹脂と混練コンパウンド化
する際、または、フィルム成形あるいは共押出する際
に、押出機のデッドゾーンやベント部に樹脂が滞留し、
着色したゲルが発生するので、その異物混入によって製
品品質が低下するという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた持続
性、帯電防止性を有し、且つ配合された持続性帯電防止
剤に基ずく着色ゲル異物の混入がなく、製品品質に優れ
た帯電防止性アクリル系樹脂積層シートを提供するもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、製品品質
に優れた帯電防止性アクリル系樹脂積層シートを開発す
べく鋭意検討を重ねた結果、特定の数平均分子量のポリ
オキシアルキレングリコール成分、芳香族ジカルボン酸
成分、ジヒドロキシ化合物成分を含み、特定の相対粘度
のポリエーテルエステル重縮合体とアクリル系樹脂との
組成物は、押出機でアクリル系樹脂と混練コンパウンド
時または押出機でフィルム成形あるいは共押出時にほと
んど着色せず、また、架橋によるゲルも生成せず、且つ
優れた帯電防止性能を示すことを見い出し、更に特定の
組成のポリエーテルエステル重縮合体を使用すると透明
で、表面状態が優れ、湿熱時の白化も少ない高品質の帯
電防止性アクリル系樹脂積層シートが得られるという知
見に基ずいて本発明を完成したものである。
【0009】即ち、本発明は、(A)アクリル系樹脂7
0〜98重量部と、(B)数平均分子量が500〜2
0,000のポリオキシアルキレングリコール成分20
〜75重量%、芳香族ジカルボン酸成分10〜65重量
%、ジヒドロキシ化合物成分2〜35重量%を含み、且
つ30℃メタクレゾール中で測定した相対粘度が、1.
0〜3.0であるポリエーテルエステル重縮合体2〜3
0重量部とを含有してなるアクリル系樹脂組成物がアク
リル系樹脂基板部に積層されていることを特徴とする帯
電防止性アクリル系樹脂積層シートを提供するものであ
る。更に、場合により該(A)成分と(B)成分との合
計量100重量部当り、5重量部を越えない量の有機ス
ルホン酸塩及び有機リン酸塩の中から選ばれた少なくと
も1種の化合物を配合してなるアクリル系樹脂組成物を
積層部とした帯電防止性アクリル系樹脂積層シートを提
供するものである。
【0010】更に、本発明は、(A)アクリル系樹脂7
0〜98重量部と、(B)数平均分子量が500〜2
0,000のポリオキシアルキレングリコール成分50
〜75重量%、芳香族ジカルボン酸成分10〜40重量
%、ジヒドロキシ化合物成分2〜20重量%を含み、且
つ30℃メタクレゾール中で測定した相対粘度が、1.
0〜3.0であるポリエーテルエステル重縮合体2〜3
0重量部とを含有してなるアクリル系樹脂組成物がアク
リル系樹脂基板部に積層されていることを特徴とする帯
電防止性アクリル系樹脂積層シートを提供するものであ
る。更に、場合により該(A)成分と(B)成分との合
計量100重量部当り、5重量部を越えない量の有機ス
ルホン酸塩及び有機リン酸塩の中から選ばれた少なくと
も1種の化合物を配合してなるアクリル系樹脂組成物を
積層部とした透明な帯電防止性アクリル系樹脂積層シー
トを提供するものである。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明組
成物において、(A)成分として用いられるアクリル系
樹脂及び積層シートの基板部のアクリル系樹脂は、その
組成が同一であってもあるいは異なっても良い。アクリ
ル系樹脂としては、メタクリル酸メチル単独重合体若し
くはメタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体が使
用される。共重合体中のメタクリル酸メチル構造単位は
80重量%以上有するものが好ましい。
【0012】メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体
としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキル
エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類、ス
チレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香
族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリルニト
リル等のシアン化ビニル化合物類、N−フェニルマレイ
ミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド
類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボ
ン酸無水物類、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸
等の不飽和酸類等が挙げられる。
【0013】メタクリル酸あるいはアクリル酸の共重合
体は、それを熱処理して脱水反応等により6員環酸無水
物化した重合体も含まれる。これらメタクリル酸メチル
と共重合可能な単量体は1種または2種以上組み合わせ
て使用できる。アクリル系樹脂として使用する場合は、
上記のメタクリル酸メチル単独重合体若しくは共重合体
を1種または2種以上組み合わせて使用できる。これら
アクリル系樹脂の中で、(A)成分として用いられるア
クリル系樹脂は、一般にアクリル樹脂として使用されて
いるメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルあるいはア
クリル酸エチルとの共重合体が熱安定性等に優れ、加工
安定性が良く、最も好ましい。
【0014】積層シートの基板部のアクリル系樹脂は、
一般にアクリル系樹脂シートとして使用されているメタ
クリル酸メチル単独重合体やメタクリル酸メチルとアク
リル酸メチルあるいはアクリル酸エチルが経済性やアク
リル樹脂としての性能面で最も好ましい。(A)成分と
して用いられるアクリル系樹脂の製造方法については特
に限定されず、公知の懸濁重合、乳化重合、バルク重
合、溶液重合等で製造される。
【0015】基板部として用いられるアクリル系樹脂
は、例えば、本発明のアクリル系樹脂組成物のフィルム
をラミネート積層する場合は、セルキャスト重合、連続
キヤスト重合を含む公知の懸濁重合、乳化重合、バルク
重合、溶液重合等で製造される。又、共押出で積層する
場合は、公知の懸濁重合、乳化重合、バルク重合、溶液
重合等で製造される。又、耐衝撃性が要求される用途に
ついては、(A)成分として用いられるアクリル系樹脂
あるいは基板部のアクリル系樹脂のいずれか一方あるい
は両方を、例えば多層構造アクリル系ゴム等で補強され
た耐衝撃性のアクリル系樹脂等を使用することもでき
る。
【0016】本発明において、(B)成分として用いら
れるポリエーテルエステル重縮合体は、少なくともポリ
オキシアルキレングリコール化合物、芳香族ジカルボン
酸若しくは芳香族ジカルボン酸エステル化合物及びジヒ
ドロキシ化合物を必須成分とし、これを重縮合させて得
られる。
【0017】ポリオキシアルキレングリコール化合物と
しては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレ
ングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、
あるいはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリ
コールブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリ
オキシアルキレングリコール化合物は、単独で用いても
よいし、2種以上を組み合せて使用してもよい。これら
の中で、特にポリオキシエチレングリコールが帯電防止
性能の面で優れ最も好ましい。
【0018】ポリオキシエチレングリコール以外のポリ
オキシアルキレングリコールは、これ単独で使用した場
合はポリオキシエチレングリコールに比較して帯電防止
性能はやや低下する傾向にあるが、重縮合で得られるポ
リエーテルエステル重縮合体がより高い強度を示す傾向
にあり、重縮合体製造面で有利である。ポリオキシエチ
レングリコール以外のポリオキシアルキレングリコール
としては特にポリオキシテトラメチレングリコールが好
ましい。必要に応じてこのポリオキシテトラメチレング
リコール単独あるいはポリオキシエチレングリコールと
の組合せ等で使用することが好ましい。
【0019】ポリオキシアルキレングリコール化合物
は、数平均分子量が500〜20,000の範囲である
ことが必要である。2種類以上組み合わせて使用する際
は、各グリコールの構成比によってこの範囲内になる様
に各グリコールの数平均分子量を選定する。この数平均
分子量が500未満では、ポリエーテルエステル重縮合
体の融点が低く、重縮合体の取り扱いが困難になると同
時にアクリル系樹脂組成物の帯電防止性能も不十分とな
る。一方、数平均分子量が20,000を越えると重縮
合時組成分布が生じ易くなるあるいは分子量が上がらな
い等重合性等の問題を生じやすくなると同時にアクリル
系樹脂組成物の帯電防止性能も不十分となる。
【0020】ポリエーテルエステル重縮合体中のポリオ
キシアルキレングリコール成分の量は、20〜75重量
%である。20重量%以下の場合は、帯電防止機能を発
現するエーテル結合成分量が少ない為、アクリル系樹脂
組成物の帯電防止性能が低く好ましくない。75重量%
以上の場合には、エーテル結合成分が多くなって本来は
帯電防止性能は向上するはずであるが、もう一つの帯電
防止性能を発現する要因として帯電防止剤がアクリル系
樹脂中に0.1ミクロン以上に球状あるいは線状に微分
散し、この微分散粒子の中を電子が移動して帯電防止性
能が発現されると推定されることから、ポリアルキレン
グリコールが75重量%以上の場合には、アクリル系樹
脂との相溶性が良すぎて0.1ミクロン以下に分散ある
いは完全相溶する為に帯電防止性能が低下することにな
り好ましくない。
【0021】芳香族ジカルボン酸化合物若しくは芳香族
ジカルボン酸エステル化合物としては、例えば、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸及
びこれらの芳香族ジカルボン酸のメチル、エチル、プロ
ピル、ブチルエステル等が挙げられる。これらの芳香族
ジカルボン酸化合物若しくは芳香族ジカルボン酸エステ
ル化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて使用してもよい。一般にポリエーテルエステル重
縮合体は融点が高い方が、アクリル系樹脂中のポリエー
テルエステル重縮合体が微分散しにくい傾向があるの
で、芳香族ジカルボン酸化合物若しくは芳香族ジカルボ
ン酸エステル化合物としてテレフタル酸若しくはそのエ
ステルが、得られるポリエーテルエステル重縮合体の融
点が高く取り扱い上最も好ましい。
【0022】ポリエーテルエステル重縮合体中の芳香族
ジカルボン酸成分の量は、10〜65重量%である。芳
香族ジカルボン酸成分は、ポリエーテルエステル重縮合
体のアクリル系樹脂との相溶性を制御するが、10重量
%以下の場合はアクリル系樹脂との相溶性が良すぎて帯
電防止剤が微分散若しくは完全相溶し帯電防止性能が低
下し好ましくない。又、65重量%以上の場合は、ポリ
エーテルエステル重縮合体中のポリアルキレングリコー
ル成分が少なくなり、この場合も帯電防止性能が低下す
るので好ましくない。
【0023】ジヒドロキシ化合物としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ハイドロキノンレゾルシン、ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオー
ル等が挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物は、単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用して
もよい。これらの中で、特にエチレングリコールが帯電
防止性能が高く、最も好ましい。
【0024】ポリエーテルエステル重縮合体中のジヒド
ロキシ化合物成分の量は、2〜35重量%である。この
ジヒドロキシ化合物は、ポリオキシアルキレングリコー
ルと芳香族ジカルボン酸との連結剤の役割を果たすもの
である。目的の組成のポリエーテルエステル重縮合体と
する為には、ポリオキシアルキレングリコールの末端ヒ
ドロキシル基とジヒドロキシ化合物の末端ヒドロキシル
基との和と芳香族ジカルボン酸のカルボン酸基とを同モ
ル数にする必要がある。この調整の為にジヒドロキシ化
合物成分が導入される。従って、ジヒドロキシ化合物成
分の重量%は、ポリオキシアルキレングリコール成分量
及び芳香族ジカルボン酸成分量から自動的に決定され
る。
【0025】アクリル系樹脂は用途によっては透明品、
乳半品あるいは着色品として使用される。乳半あるいは
着色の帯電防止性アクリル系樹脂積層シートで使用する
場合は、ポリエーテルエステル重縮合体とアクリル系樹
脂よりなるアクリル系樹脂組成物が必ずしも透明である
必要はない為、広い範囲の組成のポリエーテルエステル
重縮合体、即ち、数平均分子量が500〜20,000
のポリオキシアルキレングリコール成分20〜75重量
%、芳香族ジカルボン酸成分10〜65重量%、ジヒド
ロキシ化合物成分2〜35重量%を含むポリエーテルエ
ステル重縮合体とアクリル系樹脂とのアクリル系樹脂組
成物が積層部として使用できる。
【0026】一方、透明な帯電防止性アクリル系樹脂積
層シート、即ち好ましくはヘーズ5以下の透明な帯電防
止性アクリル系樹脂積層シートとする為には、限られた
範囲の組成のポリエーテルエステル重縮合体を使用する
必要がある。アクリル系樹脂組成物を透明とする大きな
要因は、ポリエーテルエステル重縮合体の屈折率とアク
リル系樹脂中のポリエーテルエステル重縮合体の粒径で
ある。ポリエーテルエステル重縮合体の屈折率を(A)
成分で用いられるアクリル系樹脂の屈折率に近づけるこ
とで透明性はアップする。又、粒径は小さい方が透明性
に優れる。この粒径は、ポリエーテルエステル重縮合体
とアクリル系樹脂との相溶性で決まり、相溶性が高くな
ると微分散する傾向があり、透明性は良くなる。
【0027】しかしながら、微分散しすぎると帯電防止
性能が低下するので、アクリル系樹脂と適度な相溶性の
ポリエーテルエステル重縮合体とする必要がある。この
透明とする為の要因である屈折率と粒径は、ポリエーテ
ルエステル重縮合体中のポリオキシアルキレングリコー
ル成分量で決定され、その量は、50〜75重量%であ
る。即ち、数平均分子量が500〜20,000のポリ
オキシアルキレングリコール成分50〜75重量%、芳
香族ジカルボン酸成分10〜40重量%、ジヒドロキシ
化合物成分220重量%を含むポリエーテルエステル重
縮合体とアクリル系樹脂とのアクリル系樹脂組成物を積
層部として使用することにより、透明な帯電防止性アク
リル系樹脂積層シートが得られる。
【0028】積層シートの場合、基板部であるアクリル
系樹脂の片面あるいは両面、又特殊な場合には中間層
に、一般的には5〜1000ミクロン、好ましくは10
〜500ミクロンの厚みのアクリル系樹脂組成物よりな
る積層部を設けるので、アクリル系樹脂組成物のみをシ
ート化した単層シートが必要とする透明性に比較して、
低いレベルの透明性であっても良い。従って、本発明の
帯電防止性アクリル系樹脂積層シートの場合、透明とす
る為のポリエーテルエステル重縮合体の組成の範囲は,
単層シートに比較して広い範囲の組成のポリエーテルエ
ステル重縮合体が使用できる。
【0029】本発明のポリエーテルエステル重縮合体中
のジカルボン酸成分は、上記の如く基本的には上記の芳
香族ジカルボン酸を必須成分として使用する。しかしな
がら、本発明のアクリル樹脂組成物を透明にする為に、
屈折率の微調整する目的で、10重量%を越えない範囲
で脂肪族ジカルボン酸成分を導入させることもある。脂
肪族ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘ
キシル−4,4−ジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸
等を挙げることができる。
【0030】ポリエーテルエステル重縮合体の製造方法
については、均一な組成の重合体が得られる方法であれ
ばよく、特に制限はないが、例えば、上述のポリオキシ
アルキレングリコール化合物、芳香族ジカルボン酸化合
物若しくは芳香族ジカルボン酸エステル及びジヒドロキ
シ化合物を含む化合物を溶媒の存在下又は不存在下で、
反応で生成する水分若しくはアルコールを、反応系中に
窒素ガスを流すかあるいは減圧にすることによって系外
へ除去しながら、150〜300℃、好ましくは180
〜290℃の温度において重縮合させる方法等を用いる
ことができる。
【0031】この方法においては、重縮合させる際に、
酢酸マンガン、酢酸カルシュウム、酢酸コバルト、チタ
ン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニューム化合物、
ジルコニウム化合物等の触媒を用いると反応時間が短縮
され、ポリマーの着色も防止できるので有利である。な
お、触媒としてチタン化合物、例えばチタニュームアル
コキサイド等の水が存在すると失活しやすい触媒を使用
する場合は、反応系中の水を系外へ除去した後に添加す
るのが有利である。
【0032】本発明組成物に用いるポリエーテルエステ
ル重縮合体の重合度は必要に応じて変えることができる
が、該重縮合体を30℃、メタクレゾール中で測定した
相対粘度が、1.0〜3.0であることが必要である。
この比粘度が1.0未満では機械的物性に劣り、アクリ
ル系樹脂に混練した場合にその成形品の機械的物性が不
足する、あるいは低粘度である為に、アクリル系樹脂中
でポリエーテルエステル重縮合体が微分散しすぎて帯電
防止性能が低くなる等の問題がある。又、3.0を越え
ると、アクリル系樹脂中のポリエーテルエステル重縮合
体の分散性が悪く、粒径が逆に大きくなりすぎて帯電防
止性能が低くなる等の問題がある。得られたポリエーテ
ルエステル重縮合体の熱安定性を高める為に、各種の耐
熱老化防止剤、酸化防止剤等の耐熱安定剤を用いること
ができる。これらは、重合の初期、中期、末期のどの段
階で添加してもよい。又、ポリエーテルエステル重縮合
体をアクリル系樹脂と混練する際に添加することもでき
る。
【0033】この耐熱安定剤としては、例えば、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシケイ皮酸アミド)、4,4’−ビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]等のヒンダードフェノール類、N,N’−ビス
(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’
−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ポリ(2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)等の
芳香族アミン類、ジラウリルチオジプロピオネート等の
イオウ化合物やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等のリン化合物等が使用される。
【0034】本発明で積層部として使用するアクリル系
樹脂組成物は、(A)成分のアクリル系樹脂を70〜9
8重量部、好ましくは75〜95重量部と、(B)成分
のポリエーテルエステル重縮合体を30〜2重量部、好
ましくは25〜5重量部とを含有する様に配合する。
(B)成分が30重量部を越えると機械的強度が低下
し、又、2重量部未満では、充分な帯電防止効果が得ら
れない。本発明のアクリル系樹脂組成物は、(A)成分
と(B)成分の混合物を公知の方法、例えばバンバリー
ミキサー、ミキシングロール、1軸若しくは2軸の押出
機等を使用して混練する方法で調整することができる。
この際の混練温度は180〜280℃の範囲で行なうの
が好ましい。
【0035】この様にして得られたアクリル系樹脂組成
物は、優れた永久帯電防止効果を示し、押出機等でアク
リル系樹脂とポリエーテルエステル重縮合体とを混練す
る際、あるいは成形する際に着色ゲルに基ずく異物の混
入がなく、極めて品質に優れたものとなる。
【0036】本発明においては、帯電防止効果を更に向
上する為に、有機スルホン酸塩及び有機リン酸塩から選
ばれた少なくとも1種の化合物を併用することができ
る。この有機スルホン酸塩や有機リン酸塩の例として
は、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸、ナフ
タリンスルホン酸、ジメチルイソフタール酸メチルエス
テルスルホン酸等の芳香族スルホン酸、ラウリルスルホ
ン酸の様なアルキルスルホン酸、亜リン酸ジフェニル、
リン酸ジフェニル等の有機リン酸等のアルカリ金属塩や
アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの中でアル
カリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩及びカリウム
塩が好適である。
【0037】有機スルホン酸塩あるいは有機リン酸塩の
配合量は、アクリル系樹脂組成物100重量部に対し
て、5重量部以下、好ましくは2重量部以下である。こ
の量が5重量部を越えると機械的強度が低下したり、成
形品に肌荒れを生じたり、又、成形時に着色したりする
等好ましくない。
【0038】又、特殊な場合として、例えばポリオキシ
エチレングリコール化合物、芳香族ジカルボン酸若しく
は芳香族ジカルボン酸エステル及びジヒドロキシ化合物
を重縮合する際に、スルホン酸塩、リン酸塩を分子内に
有する原材料、例えばスルホン酸塩をパラ位に有するイ
ソフタル酸若しくはそのエステルを共重縮合させる等の
方法で実施することも可能である。スルホン酸塩をパラ
位に有するイソフタル酸成分、即ち、5−スルホイソフ
タル酸塩成分は、ポリエーテルエステル重縮合体中に5
重量%を越えない量を含むことが好ましい。5重量%以
上の場合は、本発明のアクリル系樹脂組成物を透明用途
に使用する際、湿熱時白化等が生じ好ましくない。
【0039】本発明で使用する積層部であるアクリル系
樹脂組成物及び基板部であるアクリル系樹脂には、その
物性を損なわない範囲において他の成分、例えば、着色
品とする為の顔料、染料等、乳半とする為のタルク、マ
イカ、クレー、高分子樹脂あるいは無機微粒子、炭酸カ
ルシューム等、補強する為のガラス繊維、炭素繊維、チ
タン酸カリウム等の外、各種熱安定剤、酸化防止剤、核
剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、着
色剤等を配合することができる。又、ABS樹脂、多層
アクリル系耐衝撃性改良剤等を添加して耐衝撃性を改良
することもできる。
【0040】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層シ
ートを製造する方法は、大きく分類して共押出法とフィ
ルムラミネート法がある。共押出法は、2台あるいはそ
れ以上の押出機を使用して基板部であるアクリル系樹脂
と積層部である帯電防止性アクリル系樹脂組成物を同時
に押出する。特にこの方法は、溶融状態で同時に押出す
為、基板部と積層部との密着性が優れ最も好ましい方法
である。押出温度は、180〜300℃、好ましくは2
00〜280℃で共押出する。
【0041】フィルムラミネート法は、予め帯電防止性
アクリル系樹脂組成物のフィルムを押出機等で作成して
おき、これを基板部である予めセルキャスト、連続キャ
スト、押出等で製造した基板部であるアクリル系樹脂シ
ートとをプレス等で熱接着する方法あるいは基板部であ
るアクリル系樹脂を押出した後、押出機出口のロールで
アクリル系樹脂組成物のフィルムと重ね合わす等の方法
によって製造することができる。
【0042】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層シ
ートは、アクリル系樹脂組成物からなる積層部の厚みが
薄すぎると帯電防止性能が低くなり、又厚すぎると積層
シートの本来の効果である基板部の性能維持が難しくな
る等の問題がある。従って、積層部の厚みは5〜100
0ミクロンが好ましく、該積層部を基板部の片面あるい
は両面、又特殊な場合には中間層に設け、且つ製品であ
る帯電防止性アクリル系樹脂積層シート全体厚み中の積
層部厚みは、30%以下が好ましい。帯電防止性アクリ
ル系樹脂積層シート全体の厚みは、用途によって異なる
が、一般には20mm以下が好ましい。厚みの下限は特
に限定はない。本発明は、シートと表現しているが、通
常フィルムと称されている厚みのシート、例えば、10
0ミクロン程度のフィルムも含むものである。
【0043】この様にして得られた本発明の帯電防止性
アクリル系樹脂積層シートは、そのままあるいはプレス
成形や真空成形等により加工して照明カバー、ICトレ
ー、IC部品ボックス等の電子材料収納容器、電気製品
ハウジング、クリーンルーム内装材、テレビの前面板等
の帯電により問題が生ずる様々な用途に使用できる。ま
た、照明カバー等の乳半で使用する場合は、その表面は
シボ模様を付ける等もできる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明の実施の
形態を説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。なお、実施例における各種物性の測定法
は次の通りである。
【0045】(1)ポリエーテルエステル重縮合体の相
対粘度 重縮合体0.25gをメタクレゾール50mlに精秤
し、オストワルド粘度計No3)により、30℃で流下
時間を測定する。溶解に使用したメタクレゾールについ
ても同様の測定を行い、相対粘度は重縮合体メタクレゾ
ール液の流下時間とメタクレゾール液の流下時間の比で
算出した。 (2)組成物の表面抵抗値 アドバンテスト社製のエレクトロメーターTR8651
と電極及び安藤電気社製のシールドボックスと電極ホル
ダーを使用して、23℃、50%RHで500V印加し
た際の表面抵抗値を求めた。
【0046】(3)全光線透過率及びヘーズ値 日本電色工業社製の曇度計を使用して、JIS K−7
105の方法に準じて測定した。 (4)曲げ弾性率 ASTM D−790に準じて3mm厚みの試験片を用
いて、23℃、50%RHで測定した。
【0047】
【実施例】実施例および比較例で使用した帯電防止剤と
その製造方法はは以下の通りである。
【0048】製造例1 ポリエーテルエステル重縮合体(A−1)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル81.4g、エ
チレングリコール53.7g、酢酸マンガン0.03g
を仕込み、生成するメタノールを溜去しながら180〜
230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量150
0のポリオキシエチレングリコール20.0g、三酸化
アンチモン0.04g、ジメチルホスフェート0.02
gを追加した。
【0049】更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰
のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時間
加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応器
から取出し,冷却後粉砕してポリエーテルエステル重縮
合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体は
数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
成分が20重量%、テレフタル酸成分が62重量%、エ
チレングリコール成分が18重量%であった。又、相対
粘度は1.7であった。
【0050】製造例2 ポリエーテルエステル重縮合体(A−2)の製造 テレフタル酸ジメチルを76.6g、エチレングリコー
ルを49.8g、ポリオキシエチレングリコールを2
5.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が25重量%、テレフタル酸成分が58重量%、エチ
レングリコール成分が17重量%、相対粘度が1.8の
ポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0051】製造例3 ポリエーテルエステル重縮合体(A−3)の製造 テレフタル酸ジメチルを61.9g、エチレングリコー
ルを38.4g、ポリオキシエチレングリコールを4
0.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が40重量%、テレフタル酸成分が47重量%、エチ
レングリコール成分が13重量%、相対粘度が2.0の
ポリエーテルエステル重縮合体を得た。
【0052】製造例4 ポリエーテルエステル重縮合体(A−4)の製造 テレフタル酸ジメチルを42.2g、エチレングリコー
ルを23.4g、ポリオキシエチレングリコールを6
0.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が60重量%、テレフタル酸成分が32重量%、エチ
レングリコール成分が8重量%、相対粘度が2.1のポ
リエーテルエステル重縮合体を得た。
【0053】製造例5 ポリエーテルエステル重縮合体(A−5)の製造 テレフタル酸ジメチルを32.4g、エチレングリコー
ルを15.9g、ポリオキシエチレングリコールを7
0.0gに変えた以外は製造例1と同様に反応して、数
平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール成
分が70重量%、テレフタル酸成分が25重量%、エチ
レングリコール成分が5重量%、相対粘度が2.1のポ
リエーテルエステル重縮合体を得た。
【0054】製造例6 ポリエーテルエステル重縮合体(A−6)の製造 テレフタル酸ジメチルを30.7g、エチレングリコー
ルを19.8g、ポリオキシエチレングリコールを7
0.0gに変え,更に使用するポリオキシエチレングリ
コールの数平均分子量を8000に変えた以外は製造例
1と同様に反応して、数平均分子量8000のポリオキ
シエチレングリコール成分が70重量%、テレフタル酸
成分が23重量%、エチレングリコール成分が7重量
%、相対粘度が2.1のポリエーテルエステル重縮合体
を得た。
【0055】製造例7 ポリエーテルエステル重縮合体(A−7)の製造 テレフタル酸ジメチルを20.7g、エチレングリコー
ルを12.6g、ポリオキシエチレングリコールを8
0.0gに変えた以外は製造例6と同様に反応して数平
均分子量8000のポリオキシエチレングリコール成分
が80重量%、テレフタル酸成分が16重量%、エチレ
ングリコール成分が4重量%、相対粘度が2.2のポリ
エーテルエステル重縮合体を得た。
【0056】製造例8 ポリエーテルエステル重縮合体(A−8)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル41.0g、5
−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩1.2g、
エチレングリコール23.1g、酢酸マンガン0.03
gを仕込み、生成するメタノールを溜去しながら180
〜230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量15
00のポリオキシエチレングリコール60.0g、三酸
化アンチモン0.04g、ジメチルホスフェート0.0
2gを追加した。
【0057】更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰
のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時間
加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応器
から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエステル重縮
合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体は
数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
成分が60重量%、テレフタル酸成分が31重量%、5
−スルホイソフタル酸ナトリウム塩成分が1重量%、エ
チレングリコール成分が8重量%であった。又、相対粘
度は2.0であった。
【0058】製造例9 ポリエーテルエステル重縮合体(A−9)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル38.4g、
1,4ブタンジオール32.4g、酢酸マンガン0.0
3gを仕込み、生成するメタノールを溜去しながら18
0〜230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量1
500のポリオキシエチレングリコール60.0g、三
酸化アンチモン0.04g、ジメチルホスフェート0.
02gを追加した。
【0059】更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰
のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時間
加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応器
から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエステル重縮
合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体は
数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
成分が60重量%、テレフタル酸成分が29重量%、
1,4ブタンジオール成分が11重量%であった。又、
相対粘度は1.9であった。
【0060】製造例10 ポリエーテルエステル重縮合体(A−10)の製造 撹拌機、窒素導入口、溜去管を取り付けた300ccの
ガラス製反応器にテレフタル酸ジメチル42.1g、エ
チレングリコール23.7g、酢酸マンガン0.03g
を仕込み、生成するメタノールを溜去しながら180〜
230℃で3時間加熱した。これに数平均分子量150
0のポリオキシエチレングリコール30.0g、数平均
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール
30g、三酸化アンチモン0.04g、ジメチルホスフ
ェート0.02gを追加した。
【0061】更に昇温と同時に真空度をアップし、過剰
のエチレングリコールを溜去しつつ、260℃で2時間
加熱処理し重合を完結した。得られた重縮合体を反応器
から取出し、冷却後粉砕してポリエーテルエステル重縮
合体を得た。得られたポリエーテルエステル重縮合体は
数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
成分が30重量%、数平均分子量のポリオキシテトラメ
チレングリコール成分が30重量%、テレフタル酸成分
が32重量%、エチレングリコール成分が、8重量%で
あった。又、相対粘度は1.9であった。
【0062】製造例11 ポリエーテルアミド重縮合体(A−11)の製造 数平均分子量1500のポリエチレングリコールとカプ
ロラクタムを主原料とし、更に連結剤としてテレフタル
酸を使用して、公知の方法で重縮合させ、ポリオキシエ
チレングリコール成分が60重量%、カプロラクタム成
分が32重量%、テレフタル酸成分が8重量%のポリエ
ーテルアミド重縮合体を得た。
【0063】実施例および比較例で使用したアクリル系
樹脂及び添加剤は以下の通りである。 B−1;アクリル樹脂デルペットLP−1[旭化成工業
(株)製] B−2;アクリル樹脂デルペット80N[旭化成工業
(株)製] B−3;アクリル樹脂デルペットSR8500[旭化成
工業(株)製耐衝撃性アクリル樹脂] C−1;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム C−2;ジフェニル亜リン酸ナトリウム
【0064】実施例1〜15、比較例1〜5 表−1に示す帯電防止剤、アクリル系樹脂、添加剤より
なるアクリル系樹脂組成物を積層部とし、直径30m
m、L/D=24の押出機を用い、一方、表−1に示す
アクリル系樹脂を基板部とし、直径90mm、L/D=
32の押出機を用いて共押出を行なった。ダイはフィー
ドブロック式で、積層シートが3mmの厚さになるよう
にリップ開度及びポリッシングロールのクリアランスで
調整した。押出機の温度は250℃で行い、積層部の厚
みコントロールは、押出機の回転数で押出量を調整し、
シート幅60cmの積層シートを作成した。得られた積
層シートの特性を表1に示す。
【0065】比較例5の帯電防止剤としてポリエーテル
アミド重縮合体を使用して得られた積層シートは、共押
出開始直後は、積層部に異物は検出されなかったが、共
押出後約30分経過後から0.1〜0.2mmの着色異
物が検出され始め、1時間経過後はその異物は60×6
0mmの積層シートに2〜3個検出された。一方、本発
明のポリエーテルエステル重縮合体を使用して得られた
積層シートは、1時間経過後も全く異物は検出されなか
った。
【0066】比較例6 共押出機は使用せず、上記の基板部用の直径90mm、
L/D=32の押出機のみを使用し、表1に示す帯電防
止剤、アクリル系樹脂、添加剤よりなるアクリル系樹脂
組成物を押出し、3mmの厚さの単層シートを作成し
た。得られた単層シートの特性を表1に並記する。
【0067】実施例16 実施例2のアクリル系樹脂組成物100重量部に対して
20部のタルクを入れること以外は実施例2と同様にし
て帯電防止性アクリル系樹脂積層シートを得た。得られ
た積層シートは乳半で、表面抵抗は3×1011Ωであっ
た。
【0068】実施例17 帯電防止剤A−4が15重量部、アクリル系樹脂B−1
が84.5重量部、添加剤C−1が0.5重量部のアク
リル系樹脂組成物を上記の基板部用の直径90mm、L
/D=32の押出機のみを使用し、100ミクロンのフ
ィルムを作成した。このフィルムをアクリル樹脂デラグ
ラスA[旭化成工業(株)製3mm押出板]の片面に2
40℃でプレスにより積層し帯電防止性アクリル系樹脂
積層シートを得た。得られた積層シートの表面抵抗は2
×1011Ωであった。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層
シートは、アクリル系樹脂からなる基板部とポリエーテ
ルエステル重縮合体とアクリル系樹脂とよりなる積層部
とからなるもので、優れた帯電防止性能を有し、高強度
で、且つ着色異物の発生がなく、極めて高品質の帯電防
止シートを安価に提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/00 LPZ C08L 71/00 LPZ // C08K 5:09 5:42 5:49

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アクリル系樹脂70〜98重量部
    と、(B)数平均分子量が500〜20,000のポリ
    オキシアルキレングリコール成分20〜75重量%、芳
    香族ジカルボン酸成分10〜65重量%、ジヒドロキシ
    化合物成分2〜35重量%を含み、且つ30℃メタクレ
    ゾール中で測定した相対粘度が、1.0〜3.0である
    ポリエーテルエステル重縮合体2〜30重量部とを含有
    してなるアクリル系樹脂組成物が、アクリル系樹脂基板
    部に積層されていることを特徴とする帯電防止性アクリ
    ル系樹脂積層シート。
  2. 【請求項2】 (A)アクリル系樹脂70〜98重量部
    と、(B)数平均分子量が500〜20,000のポリ
    オキシアルキレングリコール成分50〜75重量%、芳
    香族ジカルボン酸成分10〜40重量%、ジヒドロキシ
    化合物成分2〜20重量%を含み、且つ30℃メタクレ
    ゾール中で測定した相対粘度が、1.0〜3.0である
    ポリエーテルエステル重縮合体2〜30重量部とを含有
    してなるアクリル系樹脂組成物が、アクリル系樹脂基板
    部に積層されていることを特徴とする透明な帯電防止性
    アクリル系樹脂積層シート。
  3. 【請求項3】 ポリオキシアルキレングリコール成分と
    して、ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシテ
    トラメチレングリコールの中から選ばれた少なくとも1
    種の化合物よりなるポリエーテルエステル重縮合体を使
    用することを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止
    性アクリル系樹脂積層シート。
  4. 【請求項4】芳香族ジカルボン酸成分として、テレフタ
    ル酸よりなるポリエーテルエステル重縮合体を使用する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止性アク
    リル系樹脂積層シート。
  5. 【請求項5】ジヒドロキシ化合物成分として、エチレン
    グリコールよりなるポリエーテルエステル重縮合体を使
    用することを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止
    性アクリル系樹脂積層シート。
  6. 【請求項6】アクリル系樹脂組成物100重量部に対し
    て、5重量部を越えない量の有機スルホン酸塩及び有機
    リン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を配
    合することを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止
    性アクリル系樹脂積層シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003011294A (ja) * 2001-07-03 2003-01-15 Sumitomo Chem Co Ltd 積層体
WO2003050160A1 (en) * 2001-12-06 2003-06-19 Eastman Chemical Company Antistatic polyester-polyethylene glycol compositions

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