JPH10286917A - 帯電防止性アクリル系樹脂積層板 - Google Patents

帯電防止性アクリル系樹脂積層板

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JPH10286917A
JPH10286917A JP9911797A JP9911797A JPH10286917A JP H10286917 A JPH10286917 A JP H10286917A JP 9911797 A JP9911797 A JP 9911797A JP 9911797 A JP9911797 A JP 9911797A JP H10286917 A JPH10286917 A JP H10286917A
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JP
Japan
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acrylic resin
weight
polyetherester
antistatic
resin composition
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JP9911797A
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English (en)
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Genichi Tsuruta
嚴一 鶴田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性能の向上を目的としてポリエーテ
ルエステルの組成と粘度を調整し、アクリル樹脂組成物
中の形態を制御した積層部を基板部に設ける。 【解決手段】 分子内に、数平均分子量400〜200
00のポリオキシアルキレングリコールセグメントより
なるポリエーテル成分を20〜65重量%含み、m−ク
レゾール中30℃で測定した相対粘度が1.5〜4.0
のポリエーテルエステル(A)とアクリル系樹脂(B)
とからなり、透過型電子顕微鏡観察した場合に特定の形
態を呈する帯電防止性アクリル系樹脂組成物(イ)を、
アクリル樹脂からなる基板部(ロ)の片面または両面に
積層せしめたアクリル系樹脂積層板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な帯電防止性ア
クリル系樹脂積層板に関する。さらに詳しくは、良好な
帯電防止性能の持続性を有し、アクリル樹脂板本来の機
械強度を維持するほか、熱劣化による着色物混入が無く
表面外観、色調にも優れた帯電防止性アクリル系樹脂積
層板に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系樹脂は、透明性、表面光沢、
表面硬度、耐候性などに優れ、照明器具カバー、テール
レンズ等の車輌外装品、レンズ、導光板、ビデオディス
ク、プロジェクションテレビ用スクリーン等の光学用部
品、自動販売機の前面板、屋外看板、店装ディスプレイ
などの用途に広く使用されている。
【0003】これらの用途は、アクリル系樹脂が透明性
に優れているという特徴を生かしたものであるが、アク
リル樹脂は一般的に帯電しやすく、製品にほこりが付着
して透明性や表面外観が損なわれやすいほか、成形品や
シートの後加工時にほこりの付着が障害となる、といっ
た欠点も有している。従って、ほこりの付着を防止する
ためには、アクリル樹脂に良好な帯電防止性能を付与す
ることが求められてきた。
【0004】アクリル系樹脂などに帯電防止性能を付与
するためには、これまでにも様々な方法が提案されてき
た。則ち、 1.シリコン系化合物などを樹脂表面に塗布する方法。 2.界面活性剤を樹脂に添加、混合する方法。 3.親水性基および/またはイオン性基を有する単量体
を共重合し、樹脂を化学的に改質する方法。
【0005】1.については、成形品やシートに対する
塗付工程が必要であり、コスト的に不利なばかりか、得
られた製品の帯電防止効果の持続性に劣り、降雨などの
流水により効果が消失しやすいため、十分な解決とは言
い難い。2.に関するものとしては、例えば、スルホン
酸基を有する化合物またはこれとポリエーテルとをアク
リル樹脂に練り込む方法(特開昭47ー26438号公
報、特開平3ー43440号公報)、スルホン酸基を有
する化合物、ポリオキシアルキレングリコール、および
特定のリン化合物を練り込む方法(特公昭53ー307
24号公報)が提案されているが、ポリエーテル等を比
較的多量に添加するため、成形品表面に帯電防止剤がブ
リードアウトしやすく、表面外観を損なうほか、べとつ
きの原因となるなど問題がある。また、ポリアルキレン
グリコールと高級脂肪酸モノグリセライドを混練する方
法(特公昭53ー36865号公報)、さらに特定のリ
ン化合物を併用する方法(特公昭53ー15896号公
報、特開昭54ー74849号公報)が提案されている
が、アクリル樹脂のガラス転移温度が比較的高く、モノ
グリセライドの成形品表面への移行性が低いため、十分
な帯電防止性能を付与するためには、多量にモノグリセ
ライドを添加する必要があり、表面外観を損ないやすい
という欠点がある。その他、アルキルスルホン酸塩また
はアルキルベンゼンスルホン酸塩とトリアルキルフォス
ファイトを混練する方法(特開昭64ー24845号公
報)も提案されているが、アルキルスルホン酸塩等を比
較的多量に添加する必要があるため、樹脂の表面外観に
劣るという問題がある。またこれらの方法に共通する問
題として、添加した界面活性剤が流水などで成形品表面
から失われやすいため、帯電防止性能の持続性に劣るこ
とが挙げられる。
【0006】3.に関しては、例えばスルホコハク酸エ
ステル系の単量体とアクリレート系単量体との共重合体
と酸性リン酸エステルあるいはアルキレンオキサイド化
合物とからなる組成物(特開昭59ー182837号公
報、182838号公報)が提案されており、帯電防止
効果の持続性の観点からは有利であるが、特殊な単量体
を比較的多く共重合させる必要があり、コスト的に不利
なばかりか、組成物の耐候性や耐熱性が低下するという
問題がある。
【0007】帯電防止効果の持続性を向上するために、
高分子型帯電防止剤を添加する方法が提案されてきた。
則ち、 4.親水性およびイオン性基を含むビニル系共重合体を
混練する方法。 5.ポリエーテルアミド系重合体を混練する方法。 4.に関しては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、およ
びスルホン酸塩あるいは第4級アンモニウム塩構造を有
するビニル系共重合体をアクリル系樹脂に混練する方法
(特開昭55ー36237号公報、特開昭63ー637
39号公報)が提案されているが、高価な特殊単量体を
使用するため、このビニル系共重合体を配合するのはコ
スト的に不利なばかりか、アクリル系樹脂の耐熱性を低
下させるという問題があった。
【0008】5.については、ポリアミドセグメントと
ポリエーテルセグメントとからなるポリエーテルエステ
ルアミド重縮合体を帯電防止成分としてアクリル系樹脂
に混練する方法(特開昭64ー90246号公報、特開
平1ー308444号公報、特開平8−120147号
公報)が提案されている。これらの方法では帯電防止性
能の持続性には優れるが、ポリアミドセグメントを含む
重縮合体は、それ自体が高温下に空気と接触すると熱着
色しやすいこと、また、特にアクリル系樹脂とポリアミ
ドセグメントを含む重縮合体とが加熱下に架橋反応を起
こして不溶不融のゲル状物を生成しやすいことにより、
例えば押出機中に滞留した該組成物が着色したゲルとな
って射出成形品やシートに混入し、製品の外観を著しく
損なうという欠点があった。
【0009】このようなゲル化と着色異物の欠点を改良
するために、特定分子量のポリオキシアルキレングリコ
ールセグメントからなるポリーテル成分を特定の割合で
含み、かつ特定の還元比粘度をもつポリエーテルエステ
ル重縮合体とアクリル樹脂とからなる帯電防止性樹脂組
成物が提案されている(特開平8−134309号公
報)。。同様なポリエーテルエステルと任意の熱可塑性
樹脂とからなる制電性樹脂組成物も提案されている(特
開平6−57153号公報)。しかしながら、これらの
ポリエーテルエステル系重縮合体をアクリル樹脂等に混
合して帯電防止性樹脂組成物を製造する場合、分散状態
を適度に制御することが帯電防止性付与の効果上重要で
あると考えられているが、該ポリエーテルエステル系重
縮合体自体の流動性の温度依存性が大きいため、良好な
分散状態を実現しうるコンパウンド条件幅が狭いもので
あった。さらに該重縮合体は溶融粘度が低く、アクリル
樹脂と混練すると0.03μm以下の微小な分散体とな
りやすく、帯電防止性能付与の効果の観点から、なお不
十分なものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、良好な帯電
防止性能の持続性を有し、アクリル樹脂板本来の機械強
度を維持するほか、熱劣化による着色物混入が無く表面
外観、色調にも優れた帯電防止性アクリル系樹脂積層板
を提供しようとするものである。高分子型帯電防止剤と
して用いるポリエーテルエステルは、一般にポリ(アル
キレンオキシド)グリコール、ジオール、ジカルボン酸
またはジカルボン酸エステルを共重縮合させて得られる
が、これまではその数平均分子量はせいぜい10万前後
であった(特開平6−57153号公報)。ここでポリ
エーテルエステルをポリエーテルエステルアミド重縮合
体と比較すると、ポリアミド部分に由来する分子間水素
結合を欠くため、同程度の分子量であってもそれ自体の
溶融粘度は格段に低くなる。このため、アクリル樹脂等
とコンパウンドする場合、加工温度におけるポリエーテ
ルエステルとアクリル樹脂との粘度差は(一般的にはア
クリル樹脂の方が粘度が大きい)、ポリエーテルエステ
ルアミド重縮合体とアクリル樹脂との粘度差よりも大き
く、ポリエーテルエステルアミド重縮合体に比べてコン
パウンド時および成形時のシェアにより0.03μm以
下の分散体に微細化されやすい傾向があった。帯電防止
性能の観点からは、高分子型帯電防止剤がマトリックス
樹脂中にあまりに微分散しすぎることは好ましくないと
考えられており、従ってポリエーテルエステルを高分子
型帯電防止剤として使用しようとする場合は、ポリエー
テルエステルアミド重縮合体と同等以上まで溶融粘度を
高める工夫が必要である。
【0011】しかしながら、前述したようにこれまでポ
リエーテルエステルの溶融粘度を大きくすることはかな
り困難であったということが、高分子型帯電防止剤とし
てのポリエーテルエステルの利用を制約となってきたの
である。さらに、ポリエーテルエステルをポリエーテル
エステルアミド重縮合体と比較すると、分子中のポリア
ミド成分を欠き、ポリエステル成分の割合を大きくして
アクリル樹脂との相溶性を低下させないと、やはりコン
パウンド時および成形時にアクリル樹脂中に0.03μ
m以下の分散体に微細化されやすい傾向があった。一
方、ポリエーテルエステル分子中のポリエステル成分の
割合を大きくするということは、ポリエーテル成分の割
合が小さくなることになり、帯電防止性能付与の効果が
低下する傾向があるほか、ポリエーテルエステルの屈折
率が高くなり、アクリル系樹脂との屈折率差が大きくな
るため、組成物とした場合に外観、色調に劣るものしか
得られなかった。
【0012】このようにポリエーテルエステルをポリエ
ーテルエステルアミド重縮合体に変えて高分子型帯電防
止剤として用いようとする場合、従来のようにポリマー
組成や分子量を調整するだけでは良好な帯電防止性能を
アクリル樹脂に付与することが困難であった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、次のような
重要な発見に到達し、本発明を完成するに至った。即
ち、 1)ポリエーテル成分を特定の割合で含有したポリエー
テルエステルは、アクリル系樹脂等に混合して帯電防止
押出板や帯電防止成形材料を製造する場合、コンパウン
ド時および成形時にほとんど熱着色せず、架橋、ゲル化
も生じにくいため製品中に焼け異物が混入せず、極めて
外観が良好な製品が得られる。このことは熱着色、ゲル
化しやすいポリエーテルエステルアミドに比べて有利な
点である。 2)ところがポリエーテルエステルは強固な分子間水素
結合を有するポリエーテルエステルアミドに比べて溶融
粘度が低く、アクリル樹脂との相溶性が高いので、分子
量が同程度であればアクリル樹脂とのコンパウンド時に
微分散しやすく、帯電防止性能の付与効果と持続性に劣
ったものしか得られない。 3)そこで、ポリエーテルエステルの原料成分としての
多価アルコール成分についてジオール成分を主体とし、
トリオールおよび/またはテトラオール成分を併用する
ことにより、ポリエーテルエステルの溶融粘度を容易に
ポリエーテルエステルアミドと同等に調整することがで
きる。 4)ポリエーテルエステルのアクリル樹脂との相溶性を
下げ、分散を微細化にしないようにするためには、分子
中のポリエステル成分の割合を大きくすることになる
が、同時にポリエーテルエステルの屈折率が高くなるこ
とを防ぐため、芳香族ポリエステル成分だけでなく、脂
肪族ポリエステル成分をも導入することが効果的で、ア
クリル樹脂との組成物にした場合に外観、色調が改良さ
れる。 5)以上から、アクリル系樹脂組成物をルテニウム酸染
色した超薄切片を透過型電子顕微鏡を用いて観察した場
合に、特定の形態(モルフォロジー)を呈する様に設計
すれば、帯電防止性能、外観、色調のいずれにも優れた
帯電防止性樹脂組成物とすることができる。 6)このような特定のポリエーテルエステルを特定の割
合で含み、かつ特定の形態を呈する帯電防止性樹脂組成
物を、アクリル系樹脂からなる基板部の片面または両面
に積層することによって、アクリル樹脂板が本来持つ機
械強度を維持しつつ、良好な帯電防止性能の持続性を有
するアクリル系樹脂積層板を得ることが可能となる。
【0014】即ち、本発明は分子内に数平均分子量が4
00〜20000のポリオキシアルキレングリコールセ
グメントよりなるポリエーテル成分を20〜65重量%
含み、m−クレゾール中30℃で測定した相対粘度が
1.5〜4.0であるポリエーテルエステル(A)3〜
40重量%とアクリル系樹脂(B)97〜60重量%と
からなるアクリル系樹脂組成物(イ)をアクリル系樹脂
からなる基板部(ロ)の片面または両面に積層せしめた
アクリル系樹脂積層板であって、該アクリル系樹脂組成
物(イ)からなる層をルテニウム酸染色し透過型電子顕
微鏡を用いて観察した場合に、(1)該アクリル系樹脂
組成物からなる層が海島構造を呈しており、島を構成す
る分散体の長径の平均値が0.06〜20μm、短径の
平均値が0.03〜0.5μmであり、(2)分散体の
長径と短径の平均値の比が1.2以上である、ことを特
徴とする帯電防止性アクリル系樹脂積層板、に関するも
のである。
【0015】以下、本発明をさらに詳しく説明する。本
発明のアクリル系樹脂組成物(イ)は、分子内に数平均
分子量が400〜20000のポリオキシアルキレング
リコールセグメントよりなるポリエーテル成分を20〜
65重量%含み、m−クレゾール中30℃で測定した相
対粘度が1.5〜4.0であるポリエーテルエステル
(A)3〜40重量%とアクリル系樹脂(B)97〜6
0重量%とからなるものである。
【0016】ポリエーテルエステル(A)は、一般的に
は炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸および/または
そのエステルと炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸お
よび/またはそのエステルとから選ばれる少なくとも1
種のジカルボン酸および/またはそのエステル、炭素数
2〜18の多価アルコール、および数平均分子量が40
0〜20000のポリオキシアルキレングリコールとを
重縮合して得られる。
【0017】ポリエーテルエステル(A)の製造に用い
られる炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸および/ま
たはそのエステルとしては、テレフタル酸、フタル酸、
イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジ
フェニル−4,4’−ジカルボン酸などと、それらの芳
香族ジカルボン酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル
エステルなどが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン
酸やそのエステルは単独で使用しても良いし、2種類以
上を組み合わせて使用することも可能である。得られる
ポリエーテルエステル(A)の融点、耐熱性の観点か
ら、テレフタル酸およびそのアルキルエステルが好まし
く用いられる。
【0018】ポリエーテルエステル(A)の製造に用い
られる炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸および/ま
たはそのエステルとしては、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸など
と、それらの脂肪族ジカルボン酸のメチル、エチル、プ
ロピル、およびブチルエステルなどが挙げられる。これ
らの脂肪族ジカルボン酸やそのエステルはそれぞれ単独
で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用す
ることも可能である。
【0019】また、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン
酸および/またはそのエステルと炭素数4〜20の脂肪
族ジカルボン酸および/またはそのエステルとは併用す
ることができる。とりわけ、アクリル樹脂組成物の様に
外観、色調の改良に対する要求が強い分野では、芳香族
ジカルボン酸および/またはそのエステルのみをポリエ
ステルセグメント形成原料として用いると、製造される
ポリエーテルエステルの屈折率が高くなり、アクリル樹
脂との屈折率差が大きくなって樹脂組成物とした場合に
外観、色調が劣り好ましくない。これを回避するために
は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル
と、脂肪族ジカルボン酸および/またはそのエステルと
を併用し、ポリエーテルエステルの結晶性を低下させる
ことが有効である。ただし、脂肪族ジカルボン酸および
/またはそのエステルを導入すると熱劣化や加熱着色し
やすくなり、かつポリエーテルエステルの融点も低下し
て取り扱いが困難となるので、導入量の決定には注意を
要する。
【0020】本発明のポリエーテルエステル(A)を構
成する(b)ジカルボン酸成分は20〜65重量%であ
る。一般的には、ポリエーテルエステル(A)中の
(b)ジカルボン酸成分は(b1)炭素数8〜20の芳
香族ジカルボン酸成分を主体とし、(b)ジカルボン酸
成分の1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%が
(b2)脂肪族ジカルボン酸成分となるようにするのが
良い。芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル
と脂肪族ジカルボン酸および/またはそのエステルとの
併用例としては、ポリエーテルエステル(A)の30〜
50重量%がテレフタル酸をジカルボン酸成分とするポ
リエステル、3〜20重量%がアジピン酸またはセバシ
ン酸をジカルボン酸成分とするポリエステルとなる様に
組み合わせることが、ポリエーテルエステルの屈折率、
融点、結晶性を調整し、ポリマーの取り扱いやアクリル
樹脂組成物としたときのポリエーテルエステルの分散状
態、外観、色調などの点から好ましい。
【0021】本発明のポリエーテルエステル(A)を構
成する(b)ジカルボン酸成分は、(b1)炭素数8〜
20の芳香族ジカルボン酸成分を主体とし、(b)ジカ
ルボン酸成分の0.5〜50重量%、好ましくは1〜3
0重量%が(b3)分子中に1個以上のスルホン酸金属
塩を含む芳香族または脂肪族ジカルボン酸成分となるよ
うにすると、帯電防止性能の点からはさらに好ましい。
分子中に1個以上のスルホン酸金属塩を含む芳香族また
は脂肪族ジカルボン酸およびそのエステルとしては、5
ースルホイソフタル酸・ナトリウム塩、スルホコハク酸
・ナトリウム塩、およびそれらの低級アルキルエステル
などが挙げられる。ポリエーテルエステル(A)中に5
ースルホイソフタル酸・ナトリウム塩成分が0.5〜2
0重量%となる様にするのが帯電防止性能上好ましい。
5ースルホイソフタル酸・ナトリウム塩成分の割合が2
0重量%を越える場合は、得られるポリエーテルエステ
ル(A)が熱着色しやすくなり、好ましくない。
【0022】ポリエーテルエステル(A)の製造に用い
られる炭素数2〜18の多価アルコールは、分子中に2
個以上のヒドロキシ基を含む化合物であって脂肪族、脂
環式、および芳香族多価アルコールのうち、いずれを用
いてもよい。また、これらは単独で使用することも、あ
るいは2種類以上を併用することも可能である。ここで
炭素数が18を越える高沸点の多価アルコールは、重縮
合反応時に過剰な多価アルコールを反応系外に留去する
のが困難であり、好ましくない。
【0023】1分子中に2個のヒドロキシ基を含むジオ
ールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレ
ングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3
ーブタンジオール、1,4ーブタンジオール、2,2−
ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグ
リコール、1,6ーヘキサンジオール、1、8ーオクタ
ンジオールの様な脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキ
サンジオール、ビス−1,4−ヒドロキシメチルシクロ
ヘキサンの様な脂環式ジオール、およびヒドロキノンレ
ゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノー
ル−Aの様な芳香族ジオール等が挙げられる。また1分
子中に3個のヒドロキシ基を有するトリオールとしては
トリメチロールプロパン、グリセロールなどが挙げら
れ、1分子中に4個のヒドロキシ基を有するテトラオー
ルとしてはペンタエリスリトールが挙げられる。
【0024】これらの多価アルコールは、本発明のポリ
エーテルエステル(A)を重縮合法で製造する際に、ジ
カルボン酸および/またはジカルボン酸エステルとポリ
オキシアルキレングリコールとを連結して高分子量化す
る働きを持つ。即ち、高分子量のポリエーテルエステル
を得るためには、ポリオキシアルキレングリコールの末
端ヒドロキシ基と多価アルコールの持つヒドロキシ基と
の合計モル数が、ジカルボン酸および/またはジカルボ
ン酸エステルの持つカルボキシル基のモル数と厳密に一
致しなければならないが、この関係を満足させるために
一般に多価アルコールをあらかじめ反応系に過剰に仕込
んでおき、過剰な多価アルコールを反応系外へ留去させ
ながら反応を進める方法が好ましく用いられる。従っ
て、ポリオキシアルキレングリコールとジカルボン酸お
よび/またはジカルボン酸エステルの仕込み組成を決め
れば、これらの反応系外への留出が無い通常の条件で製
造を実施する場合、得られるポリエーテルエステル中の
(c)多価アルコール成分の割合はほぼ自動的に決まる
と考えられる。
【0025】本発明の多価アルコール成分の割合は5〜
30重量%である。ポリエーテルエステル(A)中の
(c)多価アルコール成分としては、(c1)炭素数2
〜18のジオール成分が主体で、その0.005〜5重
量%を(c2)炭素数2〜18のトリオールおよび/ま
たはテトラオール成分に置換したものであることが好ま
しく、より好ましくは0.01〜2重量%である。ポリ
エーテルエステル(A)中の(c2)炭素数2〜18の
トリオールおよび/またはテトラオール成分の割合が
0.005重量%未満の場合は、重縮合時の溶融粘度上
昇がゆるやかなために重縮合時間が長くなり生産性に劣
るほか、ポリエーテルエステルが熱着色しやすく好まし
くない。さらに得られるポリエーテルエステルの溶融粘
度が十分でなく、アクリル系樹脂との組成物を製造する
際に樹脂中に微分散しやすく、帯電防止性能の発現の点
からも好ましくない。一方、(c2)炭素数2〜18の
トリオールおよび/またはテトラオール成分の割合が5
重量%を越える場合は、重縮合時の溶融粘度上昇が急激
で反応が不安定になりやすく、反応器内で固化トラブル
を起こす恐れがある。さらに得られるポリエーテルエス
テルの溶融粘度が高くなり過ぎると、アクリル系樹脂と
の組成物を製造する際に樹脂中に分散しにくいため、こ
れまた帯電防止性能の発現の点からも好ましくない。
【0026】ポリエーテルエステル(A)の製造に用い
られるポリオキシアルキレングリコールとしては、例え
ば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ル、ポリオキシヘキサメチレングリコール、エチレング
リコール/プロピレングリコールブロック共重合体など
が挙げられる。また、これらのポリオキシアルキレング
リコールをヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビスフェノール−A等のエチレンオキシド付加体やプロ
ピレンオキシド付加体などで代替することも可能であ
る。これらのうちでも、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ビスフェノール
−Aのエチレンオキシド付加体やプロピレンオキシド付
加体を用いると、得られるポリエーテルエステル(A)
の帯電防止性能が良好となり好ましい。これらの化合物
は、単独で使用しても、2種類以上を併用しても良い。
またポリオキシエチレングリコールとポリオキシテトラ
メチレングリコールを組み合わせて用いると、得られる
重縮合体の帯電防止性能が良好で、かつ機械的強度にも
優れたものが得られるので、さらに好ましい。
【0027】ポリエーテルエステル(A)の製造に用い
られるポリオキシアルキレングリコール成分は、数平均
分子量は400〜20000であり、より好ましくは1
000〜12000、さらに好ましくは1500〜10
000である。ポリオキシエチレングリコールを2種類
以上併用する場合は、その組成比を勘案して平均分子量
がこの範囲内になるように選ぶのが好ましい。ポリオキ
シエチレングリコールの数平均分子量が400未満の場
合、得られるポリエーテルエステルの軟化温度が低くな
り、常温でもべとつきやすくなって取り扱いが困難にな
る。また吸水性が過大となり、加工時に含水率の管理を
徹底しないと重縮合体の加水分解が起きやすく実用的で
はない。また、この化合物の数平均分子量が20000
を越える場合は、得られるポリエーテルエステルの帯電
防止性能付与効果が低下し、さらに加工時のポリエーテ
ルエステルの熱分解性が大きくなるため、やはり好まし
くない。
【0028】さらにポリエーテルエステル(A)とアク
リル系樹脂とからなる帯電防止性アクリル樹脂組成物を
押出成形してシート、フィルム状の成形品を製造する際
に、ポリエーテルエステル(A)中の(a)ポリエーテ
ル成分の数平均分子量が2000未満の場合は、シーテ
ィング用ロールの表面に曇り状の付着物が見られ、成形
品外観を損なう恐れがあるので、(a)ポリエーテル成
分の数平均分子量は2000以上が特に好ましい。
【0029】ポリエーテルエステル(A)を構成する
(a)ポリエーテル成分は、前述したポリオキシエチレ
ングリコールをジカルボン酸および/またはジカルボン
酸のアルキルエステル、および多価アルコールと重縮合
することにより、ポリマー中にポリエーテルブロック成
分として導入しうる。ポリエーテルエステル(A)を構
成する(a)ポリエーテル成分の割合は20〜65重量
%であり、30〜60重量%が好ましい。(a)ポリエ
ーテル成分の割合が20重量%未満の場合は、得られる
ポリエーテルエステルの帯電防止性能の付与効果が低下
し、一方、この割合が65重量%を越える場合も帯電防
止性能の付与効果がやはり低下するので、いずれも好ま
しくない。即ち(a)ポリエーテル成分の割合には、最
適な範囲が存在する。このような現象が起きる作用機構
については、なお不明な点が多い。帯電防止性能を発現
する主体は親水性のポリエーテルブロック成分と考えら
れ、この割合が過少の場合は帯電防止性能の付与効果が
低下すると推定される。一方、この割合が過多の場合は
得られるポリエーテルエステルのアクリル樹脂などとの
相容性が良くなり、樹脂中にかなり微細に分散してしま
い、帯電防止性能の付与に効果的とされる「海ー島構
造」という形態的特徴を発現しにくくなるため、性能が
低下してしまうものと推定される。
【0030】ポリエーテルエステル(A)はヘキサフロ
ロイソプロパノールを溶媒として40℃でゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)を
測定した際に、ポリメチルメタクリレート換算数平均分
子量が5万〜20万であることが好ましく、6万〜18
万がさらに好ましい。このGPC分析を実施する際に
は、分子量分布の狭い標準ポリメチルメタクリレートを
用いて分子量の検量線を作成しておき、クロマトグラム
から数平均分子量を算出する。該ポリエーテルエステル
(A)の数平均分子量が5万未満の場合、ポリマー自体
がやや脆く、さらにアクリル樹脂等とコンパウンドする
と微分散しやすく、帯電防止性の付与効果が低下するの
で好ましくない。さらに該ポリマーの金属との密着性が
増し、押出機のバレルやスクリューに滞留しやすくな
り、熱着色の原因となりやすいので好ましくない。一
方、該ポリエーテルエステル(A)の数平均分子量が2
0万を越える場合は、アクリル樹脂等とコンパウンドす
る際に微分散しにくくなるので、やはり好ましくない。
【0031】従来のポリエーテルエステルの数平均分子
量は、大きいものでも10万前後にとどまっていた。そ
こでポリアルキレングリコール、多価アルコール、ジカ
ルボン酸またはジカルボン酸エステルを共重縮合させて
数平均分子量5〜10万のポリエーテルエステルを前駆
体として得、このポリマー末端のヒドロキシ基を酸無水
物と付加反応させることにより末端にカルボキシル基を
導入でき、このカルボキシル化したポリエーテルエステ
ルと分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物との
付加反応を行うことにより、さらに高分子量化が可能と
なる。
【0032】カルボキシル化されたポリエーテルエステ
ルの製造に用いうる酸無水物としては、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸、無水マレイン酸、無水トリメリ
ット酸、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シ
クロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水
エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド
酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水
物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられ、
これらは単独で使用しても、2種類以上を併用しても良
い。
【0033】酸無水物の使用量はポリエーテルエステル
末端のヒドロキシ基のモル数に対して酸無水物基として
0.5〜2倍モルを用いるのが好ましい。これらはポリ
エーテルエステルのヒドロキシ基末端と付加反応してポ
リマー中にカルボキシル基を導入しうる。分子中に2個
の酸無水物基を有する化合物を用いた場合は、その一部
はポリエーテルエステル末端どうしをカップリングさせ
て高分子量化する効果も期待できる。酸無水物の使用量
がポリエーテルエステルのヒドロキシ末端に対して0.
5倍モル未満の場合は末端のカルボキシル基化率が低
く、分子中に2個以上のエポキシ基を含む化合物と付加
反応させて高分子量化する効果が不足するので好ましく
ない。一方、酸無水物の使用量がポリエーテルエステル
のヒドロキシ末端に対して2倍モルを超える場合は、付
加反応に伴って副反応により架橋やゲル化が生じやすく
なり、やはり好ましくない。
【0034】酸無水物とポリエーテルエステルのヒドロ
キシ基末端とを付加反応させる方法について特に制限は
無い。例えば、 1.ポリエーテルエステルを攪拌機付き反応槽内で製造
し、酸無水物を反応槽へ追添してさらに攪拌下に付加反
応を行い、カルボキシル化されたポリエーテルエステル
を製造する方法、 2.ポリエーテルエステルを攪拌機付き反応槽内で製造
後、溶融状態のまま混練機へ払い出し、酸無水物を注入
しながら混練機内で付加反応させて、カルボキシル化さ
れたポリエーテルエステルを製造する方法、 3.ポリエーテルエステルを攪拌機付き反応槽内で製造
後、いったん払い出し、固化、細粒化する。この後、酸
無水物と押出機やニーダー型混練機を用いてコンパウン
ドし、付加反応させてカルボキシル化されたポリエーテ
ルエステルを製造する方法、等いずれの方法を用いても
良い。反応温度は生産性、副反応の抑制、ポリエーテル
エステルの分解防止等を考慮して選択すれば良いが、一
般には150〜260℃で実施するのが好ましい。酸無
水物は原料中及び空気中の水分と反応しやすいので、実
施に当たっては原料の乾燥、反応機や押出機の窒素置換
などに留意する必要がある。
【0035】効果的な帯電防止剤とするために、カルボ
キシル化されたポリエーテルエステルと分子中に2個以
上のエポキシ基を含む化合物とを付加反応させて高分子
量化して用いても良い。分子中に2個以上のエポキシ基
を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル
エステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等
の脂肪族ジエポキシ化合物や、レゾルシンジグリシジル
エーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、o−フ
タル酸ジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジ
ルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
ビスフェノールSジグリシジルエーテル、N,N−ジグ
リシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−メチル
アニリン等の芳香族ジエポキシ化合物、トリグリシジル
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グ
リセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプ
ロパントリグリシジルエーテル等の3官能性エポキシ化
合物、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテ
ル、1,3−ビス(N.N’−ジグリシジルアミノメチ
ル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ化合物、エポ
キシ化クレゾールノボラック樹脂、メタクリル酸メチル
/メタクリル酸グリシジル共重合体等のポリエポキシ化
合物が挙げられ、1、6−ヘキサンジオールジグリシジ
ルエーテルやネオペンチルグリコールジグリシジルエー
テルが毒性、皮膚刺激性の少ないことから好ましい。こ
れらは単独で使用しても、2種類以上を併用しても良
い。分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物の使
用量は、ポリエーテルエステル中のカルボキシル基のモ
ル数に対してエポキシ基として0.5〜2倍モルを用い
るのが好ましい。分子中に2個以上のエポキシ基を有す
る化合物の使用量がポリエーテルエステル中のカルボキ
シル基に対して0.5倍モル未満の場合は付加反応させ
て高分子量化する効果が不足し、2倍モルを超える場合
は付加反応に伴う副反応により架橋、ゲル化が生じやす
くなり、いずれも好ましくない。
【0036】カルボキシル化されたポリエーテルエステ
ルと分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物とを
付加反応させる方法について特に制限は無い。例えば、 1.カルボキシル化されたポリエーテルエステルを攪拌
機付き反応槽内で製造し、分子中に2個以上のエポキシ
基を有する化合物を反応槽へ追添してさらに攪拌下に付
加反応を行い、高分子量化されたポリエーテルエステル
を製造する方法。 2.カルボキシル化されたポリエーテルエステルを攪拌
機付き反応槽内で製造後、溶融状態のまま混練機へ払い
出し、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を
注入しながら混練機内で付加反応させて、高分子量化さ
れたポリエーテルエステルを製造する方法。 3.カルボキシル化されたポリエーテルエステルを攪拌
機付き反応槽内で製造後、いったん払い出し、固化、細
粒化する。この後、分子中に2個以上のエポキシ基を有
する化合物を押出機やニーダー型混練機を用いてコンパ
ウンドし、付加反応させて高分子量化されたポリエーテ
ルエステルを製造する方法。など、いずれの方法を用い
ても良い。反応温度は生産性、副反応の抑制、ポリエー
テルエステルの分解防止等を考慮して選択すれば良い。
一般には150〜260℃で実施するのが好ましい。酸
無水物は水分と反応しやすいので、実施に当たっては原
料の乾燥や反応機、押出機等の窒素置換に留意する必要
がある。
【0037】また、ポリエーテルエステル(A)はmー
クレゾール中、30℃で測定した相対粘度が1.5〜
4.0であり、1.8〜3.5であることが好ましく、
2.0〜3.2であることがさらに好ましい。この相対
粘度が1.5未満では、ポリマー自体の流動性が大き
く、アクリル系樹脂等とコンパウンドした場合に、樹脂
中にポリエーテルエステルが微分散して帯電防止性能の
付与効果が低下するので好ましくない。一方、相対粘度
が4.0を越える場合は、アクリル系樹脂等とコンパウ
ンドした場合に、樹脂中にポリエーテルエステルが分散
しにくくなり、やはり帯電防止性能の付与効果が低下す
るので好ましくない。
【0038】ポリエーテルエステル(A)は250℃、
シェアレート101 sec-1での見かけせん断粘度が5
00〜10000ポイズであり、1000〜10000
ポイズが好ましく、2000〜10000ポイズがさら
に好ましい。シェアレート101 sec-1は概ね押出成
形時のシェアに相当する。見かけせん断粘度が500ポ
イズ未満では、加工温度(概ね250〜270℃)にお
けるアクリル系樹脂(一般に見かけせん断粘度は数千か
ら数万ポイズである)との溶融粘度差が大きく、アクリ
ル系樹脂中にポリエーテルエステル(A)が微分散して
帯電防止性能が低下するので好ましくない。一方、見か
けせん断粘度が10000ポイズを越える場合は、コン
パウンド時にアクリル系樹脂中にポリエーテルエステル
(A)が分散しにくく、やはり帯電防止性能が低下する
ので好ましくない。
【0039】さらにポリエーテルエステル(A)は、荷
重1kgで測定したメルトフローレートが1g/10分
間以下となる温度、即ち実質的に固化が始まる温度が1
60〜230℃の範囲にあることが好ましく、170〜
220℃の範囲がさらに好ましい。このような特徴を有
することの意義を以下に述べる。本発明のようなポリエ
ーテルエステルを製造する方法としては、温度240〜
280℃の範囲での溶融重縮合法によるのが一般的であ
るが、反応終了後にポリマーを反応器から払い出し、さ
らにポリマー自体の包装やアクリル系樹脂等とのコンパ
ウンディングに便利なように細粒化する工程が実施され
ることが多い。従って、ポリマーが実質的に固化する温
度が230℃を越えて反応温度に接近すると、反応器か
ら払い出されたポリマーの表面は直ちに固くなり始め、
シート状に吐出されたポリマーを冷却ドラムへ巻き取っ
たり、あるいはストランド状に吐出されたポリマーをロ
ールで引き取ってカッターへ導入するなどの工程を安定
して実施することは困難となる。この結果、反応器から
安定してポリマーを払い出すことができず、生産性が著
しく損なわれることになる。一方、ポリマーが実質的に
固化する温度が160℃よりも低くなると、反応器から
払い出されたポリマーがべとつき、やはり後処理工程を
安定して実施することが困難となる。
【0040】ポリエーテルエステル(A)の荷重1kg
でのメルトフローレートが1g/10分間以下となる温
度、即ち実質的に固化が始まる温度を160〜230℃
の範囲にするための方法にはいくつか考えられる。重縮
合ポリマーの固化現象は、ポリマー中のポリエステル連
鎖の結晶性によって概ね規定されると考えられる。従っ
て、ポリエステル連鎖の結晶性を低下させるために、ポ
リエステル連鎖の鎖長を短くする、言い換えればポリマ
ー中に組み込むポリエーテルブロックの鎖長を短くし
て、ポリエステルとポリエーテルのいずれのブロックも
短くして連結することが効果的である。またポリエステ
ル連鎖中に結晶性の低い成分を導入することも有効であ
り、例えば脂肪族のジカルボン酸成分を導入することが
行われる。ただし、これらの方法は、いずれもポリマー
の常温でのべとつきの原因ともなり、取り扱いを極めて
困難にするという欠点があるので注意を要する。
【0041】またポリエーテルエステル(A)をポリア
ルキレングリコール、多価アルコール、およびジカルボ
ン酸および/またはジカルボン酸のアルキルエステルと
を重して製造する際に、分子中にスルホン酸塩やリン酸
塩を含有する化合物例えば、スルホン酸塩を含むイソフ
タル酸またはそのアルキルエステルを共重縮合させ、ポ
リエーテルエステル中に導入することも可能である。分
子中にスルホン酸塩やリン酸塩を含有する化合物単位を
導入する場合は、ポリエーテルエステル中に0.2〜2
0重量%が好ましく、0.5〜10重量%がさらに好ま
しい。該化合物単位が20重量%を越える場合は、得ら
れる重縮合ポリマーの吸湿性が過大となり、樹脂組成物
を製造する際の水分コントロールに留意しないと加水分
解を引き起こしやすく、好ましくない。
【0042】ポリエーテルエステル(A)の製造方法に
関しては、一般的な方法で実施しうる。例えば、ポリオ
キシアルキレングリコール10〜60重量%、ジカルボ
ン酸および/またはジカルボン酸エステル20〜60重
量%、および多価アルコール5〜50重量%からなる原
料混合物を反応器に仕込み、溶媒の存在下または不存在
下で、反応中に生成する水もしくはアルコールを反応器
外へ除去しながら重縮合させ、高分子量化させる方法が
好ましく用いられる。水もしくはアルコールを反応器外
へ除去するには、窒素ガスを流すか、あるいは反応器内
を高度に減圧にして実施することが好ましい。重縮合時
の温度は150〜300℃、好ましくは180〜270
℃で実施しうる。
【0043】ポリエーテルエステル(A)を製造する際
には、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸コバルト、
酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、チタンテトラアルコキシ
ド、有機ジルコニウム化合物等を触媒として用いると、
反応時間を短縮でき、その結果、反応中の重縮合体の着
色、劣化が防止できるので好ましい。ポリエーテルエス
テル(A)を製造する際には、反応中の重縮合体の熱劣
化を防止し、かつ高分子量化を実現するため、適当な熱
安定剤をポリエーテルエステル(A)100重量部に対
して0.01〜5重量部添加しておくことが好ましい。
熱安定剤としては、例えば、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)
ブタン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシケイ皮アミド、4,4’−
ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’
−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]等のヒンダードフェノール系安定剤、N,N’−
ビス(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N,
N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ポリ
(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン)等のアミン系安定剤、ジラウリルチオジプロピオネ
ート等のイオウ系安定剤、あるいはトリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン化合物
などを使用しても良い。これらのうちでも、分子中にヒ
ドロキシフェニル基を少なくとも2個、好ましくは3個
以上有する安定剤が特に顕著な効果を示す。これらは原
料にあらかじめ混合して重縮合反応時に共存させること
もでき、あるいは反応途中や反応後に反応器に追加する
など、任意の方法で添加しうる。
【0044】ポリエーテルエステル(A)は、それ自体
で、または分子中に2個以上のエポキシ基を含む化合物
とを付加反応させて高分子量化した後に、アクリル系樹
脂(B)に混合して帯電防止性樹脂組成物(イ)として
用いる。アクリル系樹脂(B)は、メチルメタクリレー
ト単位単独、あるいはそれと30重量%以下の共重合可
能な他の単量体単位とからなるものである。メチルメタ
クリレート単位70〜99重量%、およびこれと共重合
可能な他の単量体単位1〜30重量%からなるものが好
ましい。メチルメタクリレート単位が70重量%未満の
場合は、アクリル系樹脂(B)の耐候性、耐熱性、機械
強度、光学特性などが低下するため、好ましくない。共
重合可能な他の単量体としては、アルキル基の炭素数が
2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素
数が1〜18のアルキルアクリレートのほか、アクリル
酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン
酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等
の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレ
イミド等が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、
また2種類以上を併用してもよい。またメチルメタクリ
レートとメタクリル酸あるいはアクリル酸との共重合体
には、それを熱処理して脱アルコール反応あるいは脱水
反応を行い六員環酸無水物単位を生成した重合体、およ
びアンモニアやアミンとイミド化反応させ、六員環イミ
ド単位を生成した重合体も含まれる。これらのなかで
も、共重合体の耐光性、耐熱分解性や流動性の観点か
ら、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブ
チルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等
が好ましく用いられ、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
【0045】アクリル系樹脂(B)は、クロロホルム中
25℃における還元粘度が30〜90ml/gであり、
35〜85ml/gのものが好ましく、50〜75ml
/gのものがさらに好ましい。還元粘度が30ml/g
未満の場合は、得られる帯電防止性樹脂組成物の機械強
度が低下し、一方、還元粘度が90ml/gを越える場
合は、得られる帯電防止性樹脂組成物の流動性が低下し
て押出成形や射出成形が困難となるので、いずれも好ま
しくない。
【0046】このようなアクリル系樹脂(B)の製造方
法としては特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状
重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用い
てもよい。重合開始剤としては、通常のパーオキサイド
系やアゾ系のラジカル重合開始剤を用いることができ、
これと還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤とし
て実施しても良い。アルキルリチウムなどを用いたアニ
オン重合法、有機金属錯体を用いた配位重合法、グルー
プトランスファー重合法などを用いて得られたアクリル
系樹脂を使用してもさしつかえない。重合温度は、懸濁
重合または乳化重合では30〜120℃、塊状または溶
液重合では80〜170℃で実施するのが一般的であ
る。該アクリル系樹脂の還元粘度を制御するために、ア
ルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて実施し
てもよい。その他、多層構造アクリルゴムなどを配合し
た耐衝撃性アクリル系樹脂組成物をも使用できる。
【0047】なお、本発明のポリエーテルエステル
(A)とアクリル系樹脂(B)を混合して帯電防止性樹
脂組成物を製造する場合、アクリル系樹脂以外にもポリ
カーボネート樹脂、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレ
ン、非晶性コポリエステルなどの熱可塑性樹脂と併用す
ることもできる。ポリエーテルエステル(A)とアクリ
ル系樹脂(B)とを混合して本発明のアクリル系樹脂組
成物(イ)を製造する場合には、該ポリエーテルエステ
ルを3〜40重量%、好ましくは5〜20重量%とアク
リル系樹脂60〜97重量%、好ましくは80〜95重
量%とを混合して使用するのが好ましい。該ポリエーテ
ルエステルが3重量%未満の場合は、得られるアクリル
系樹脂組成物の帯電防止性能が十分でなく、一方、該ポ
リエーテルエステルが40重量%を越える場合は、得ら
れるアクリル系樹脂組成物の機械強度が低下してやはり
好ましくない。帯電防止性樹脂組成物を製造するための
混合方法には特に制限は無い。ドラムブレンダーやヘン
シェルミキサーで混合する方法や、これらの方法で混合
したあと押出機を用いて200〜280℃の温度で造粒
する方法等がある。押出混合する場合は、ポリエーテル
エステルの熱分解および加水分解を抑制するために、押
出温度、該重縮合体の水分、押出機内の窒素パージ等に
留意して実施することが好ましい。
【0048】本発明のアクリル系樹脂組成物(イ)から
なる積層部は、ルテニウム酸染色した超薄切片を透過型
電子顕微鏡を用いて観察した場合に、(1)該アクリル
系樹脂組成物が海島構造を呈しており、島を構成する分
散体の長径の平均値が0.06〜20μm、短径の平均
値が0.03〜0.5μmであり、(2)分散体の長径
と短径の平均値の比が1.2以上である、という特徴を
有する。ここで、ルテニウム酸で染色されて島を構成す
る分散体として観察されるのがポリエーテルエステル
(A)と考えられる。島を構成する分散体の長径の平均
値が0.06μm未満の場合は、ポリエーテルエステル
(A)がアクリル系樹脂(B)にかなり相溶性を持ち微
分散している状態と見られ、帯電防止性能が低く好まし
くない。長径の平均値は好ましくは0.1〜15μm、
さらに好ましくは0.3〜10μmである。また短径の
平均値は好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ま
しくは0.07〜0.4μmである。短径の平均値が
0.03μm未満の場合は、ポリエーテルエステル
(A)がアクリル系樹脂(B)にかなり相溶性を持ち微
分散している状態と見られ、帯電防止性能が低く好まし
くない。短径の平均値が0.5μmを越える場合は、ポ
リエーテルエステル(A)がアクリル系樹脂(B)に分
散不良であると見られ、やはり帯電防止性能が低く好ま
しくない。島を構成する分散体の長径と短径の平均値の
比は1.2以上であり、好ましくは1.5以上、さらに
好ましくは2以上である。長径と短径の平均値の比が
1.2未満の場合は帯電防止性能が低く、好ましくな
い。ポリエーテルエステル(A)の組成、粘度を適当な
範囲に調整し、このような形態特徴を持たせることが帯
電防止性能と成形品の表面外観のいずれも改良しうる重
要な発見となり、本発明を完成するに至ったのである。
【0049】ポリエーテルエステル(A)がアクリル系
樹脂(B)とを混合して本発明のアクリル系樹脂組成物
(イ)を製造する場合に、帯電防止性能をさらに向上さ
せるため、有機スルホン酸塩と有機リン酸塩から選ばれ
た少なくとも1種の化合物を併用しても良い。これらの
化合物の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のような
芳香族スルホン酸、ラウリルスルホン酸、ステアリルス
ルホン酸窓のアルキルスルホン酸、亜リン酸ジフェニ
ル、リン酸ジフェニル等の有機リン酸などのアルカリ金
属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げられる。樹脂組成物
の帯電防止効果の点から、ナトリウム塩やカリウム塩が
好ましい。有機スルホン酸塩や有機リン酸塩の配合量は
帯電防止性樹脂組成物100重量部に対して0.05〜
5重量部が好ましい。5重量部を越える場合は、得られ
る樹脂組成物の機械強度が低下し、また樹脂組成物が着
色し易くなるので、好ましくない。
【0050】ポリエーテルエステル(A)がアクリル系
樹脂(B)とを混合して本発明のアクリル系樹脂組成物
(イ)を製造する場合に、帯電防止性能を損なわない範
囲で、例えば各種の染料、顔料、メチルメタクリレート
/スチレン共重合体ビーズ等の有機光拡散剤、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機光
拡散剤、ヒンダードフェノール系、リン酸塩系等の熱安
定剤、酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロ
キシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系
等の紫外線吸収剤、フタル酸エステル系、脂肪酸エステ
ル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、
ポリエステル系等の可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エ
ステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、マタハトリグリセリド
等の離型剤、高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン等の
滑剤、リン系、リン/塩素系、リン/臭素系などの難燃
剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強剤等を混合して使
用しても良い。
【0051】特に本発明のアクリル系樹脂組成物(イ)
の熱安定化のためには、ポリエーテルエステル(A)と
アクリル系樹脂(B)の合計100重量部に対して、
(C)分子中にヒドロキシフェニル基を少なくとも2個
有する安定剤0.005〜5重量部を含有することが好
ましい。このような安定剤の例は前述した。さらに本発
明のアクリル系樹脂組成物(イ)の光(紫外線)熱安定
化のためには、ポリエーテルエステル(A)とアクリル
系樹脂(B)の合計100重量部に対して、(D)分子
中に少なくとも1個のトリアジン環を有するむ安定剤
0.005〜5重量部を含有することが好ましい。この
ような安定剤の例としては、2−(4,6−ジフェニル
−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキ
シル)オキシ]−フェノールなどが挙げられる。
【0052】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板
の基板部(ロ)を構成するアクリル系樹脂としては、ア
クリル系樹脂組成物(イ)を構成するアクリル系樹脂
(B)として先に例示したもののなかから選ぶことがで
き、また、両者は同一であっても異なっていても良い。
本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板の基板部
(ロ)を構成するアクリル系樹脂には、各種の染料、顔
料、メチルメタクリレート/スチレン共重合体ビーズや
架橋シリコン系粒子などの有機系光拡散剤、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの無機系
光拡散剤、ヒンダードフェノール系、リン酸塩系などの
熱安定剤、酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、2ーヒ
ドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステ
ル系などの紫外線吸収剤、フタル酸エステル系、脂肪酸
エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステ
ル系、ポリエステル系などの可塑剤、高級脂肪酸、高級
脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグ
リセリドなどの離型剤、高級脂肪酸エステル、ポリオレ
フィン系などの滑剤、リン系、リン/塩素系、リン/臭
素系などの難燃剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強剤
等を混合しても良い。
【0053】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板
を製造する方法は、特に制限は無く、通常の共押出法
(コエクストルージョン法)やラミネート法などを用い
うる。本発明のアクリル系樹脂組成物(イ)は、押出成
形により帯電防止性シートに加工する場合、樹脂の焼け
や劣化を防ぐため、樹脂温度200〜270℃の範囲で
実施することが好ましい。
【0054】共押出法は基板部と積層部の密着性が良
く、成形歪みも少ないという点で優れている。共押出法
は通常、押出機を2台以上用いる。基板部樹脂には40
mmφ、60mmφ、90mmφなどの押出機を用い、
また積層部樹脂にはそれらよりも小さい20mmφ、3
0mmφ、45mmφなどの押出機を用い、共押出用の
ダイで押出すのが一般的である。積層部および基板部の
厚み調整は、各押出機の押出量を調整し、また共押出用
ダイの出口に設置したポリシングロールの間隔を調整し
て行うのが一般的である。また基板部樹脂と積層部樹脂
との流動性を合わせて共押出するために、各押出機の温
度を調整することで対応しうる。積層部に用いるアクリ
ル系樹脂組成物(イ)は、一般にポリエーテルエステル
(A)とアクリル系樹脂(B)とをあらかじめブレンダ
ー等を用いて均一に混合し、その後押出機で混練、造粒
したものが好ましい。
【0055】ラミネート法で製造する場合は、あらかじ
めアクリル系樹脂組成物(イ)を所望の厚みのフィルム
状に成形しておき、これと基板部を押出機出口のポリシ
ングロールで重ね合わせて一定厚みの積層板とするのが
一般的な方法である。この場合、重ね合わせ時の空気残
留防止とロール温度制御等による密着性の向上がポイン
トである。
【0056】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板
の厚みは、一般的には0.5〜10mmのものが用いら
れる。本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板の積層
部の厚みは3〜500μmであり、好ましくは5〜20
0μm、さらに好ましくは10〜120μmである。積
層部の厚みが3μm未満の場合は、積層板の帯電防止性
能が不十分となりやすく、好ましくない。一方、積層部
の厚みが500μmを越える場合は、積層板の機械強度
が低下するので、やはり好ましくない。一般的に積層部
の厚みは、板の全厚みの30%以下であることが機械強
度の観点から好ましい。基板部の両面に積層部を設ける
場合も、積層部の合計厚みが板の全厚みの30%以下で
あることが好ましい。この帯電防止性アクリル系樹脂積
層板の積層部の厚みは、積層板断面を微分干渉顕微鏡や
電子顕微鏡で観察することによって計測することができ
る。積層板製造時に積層部厚みの測定を容易にするため
に、アクリル系樹脂組成物(イ)に微量の染料等を含有
させておくこともできる。
【0057】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板
はアクリル樹脂板の成形に用いられている一般的な方法
で製造することができる。例えば圧空成形、真空成形、
フリー加熱成形などの方法で加工することができる。ま
た表面をマット状にしたり、シボ模様を付しても良い。
【0058】
【発明の実施の形態】以下に実施例と比較例を用いて本
発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明
はこれによって何ら制限されるものではない。なお、用
いた評価および試験方法を以下に示す。 1.相対粘度 ポリマー0.25gを精秤し、m−クレゾール50ml
に溶解してオストワルド粘度計No.3を用いて、30
℃で流下時間を測定した。溶解に使用したm−クレゾー
ルについても同様に流下時間を測定した。相対粘度は、
ポリマーのm−クレゾール溶液の流下時間とm−クレゾ
ールの流下時間の比として算出した。 2.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C) 試料5mgをヘキサフロロイソプロパノール5mlに溶
解し、昭和電工製カラムHFIP8120を付けたGP
C測定装置(東ソー製HLC8120型)を用い、ヘキ
サフロロイソプロパノールを溶媒とし、カラム温度40
℃にて測定を実施した。あらかじめ標準ポリメチルメタ
クリレートを用いて同様の測定を行い、溶出時間と分子
量との検量線を作成しておき、クロマトグラムから試料
の数平均分子量を算出した。 3.ポリマー組成1 H−NMR分析を行い、各成分に対応するシグナルの
強度比からポリマー組成を求めた。 4.見かけせん断粘度 東洋精機製メルトインデクサーを用いて、荷重を変えな
がら250℃でのメルトフローレート(MFR)を測定
し、このデータからシェアレートと見かけせん断粘度と
をプロットしたグラフを作成した。グラフから、シェア
レート101 sec-1での見かけせん断粘度を読み取っ
た。 5.樹脂組成物の形態観察 積層板から押出方向に平行にウルトラミクロトームで
(厚さを1000Åに設定)超薄切片を作製し、ルテニ
ウム酸蒸気で染色を行った。倍率3000倍で積層部の
透過型電子顕微鏡観察を行い、写真を3倍に引き伸ばし
て倍率9000とした。この写真から島を構成する分散
体の長径と短径を測り、20個の算術平均値で示した。 6.表面固有抵抗Rs 東亜電波工業製の絶縁抵抗計ウルトラメグオームメータ
ーSM−8200シリーズSME8311型を用いて、
23℃、相対湿度50%の環境で成形品に500Vを4
5秒間印加し、15秒後の表面固有抵抗を測定した。 7.引張り破断強度 板からダンベル状試験片を切り出し、JIS−K711
3に基づき測定した。
【0059】また、下記の略号を用いた。 EG :エチレングリコール PEG(1500):ポリオキシエチレングリコール。 なお、( )内の数字は数平均分子量を示す。 SIPM :5−スルホイソフタル酸ジメチル・ナトリウム塩 SIP :5−スルホイソフタル酸・ナトリウム塩 DBS :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム なお部数は特に断らない限り、重量部を示す。 製造例1.ポリエーテルエステル(A−1) 攪拌機、窒素導入管、留去管を備えた耐圧反応器にテレ
フタル酸ジメチル71重量部、エチレングリコール68
重量部および酢酸マンガン2水和物0.02重量部を仕
込み、180〜220℃で3時間加熱して、生成するメ
タノールを留去しながらエステル交換反応を実施した。
次に、反応器へ数平均分子量1500のポリオキシエチ
レングリコール30重量部、三酸化アンチモン0.06
重量部、トリメチルホスフェート0.02重量部、「イ
ルガノックス1330」(チバガイギ−製)0.5重量
部、および「トパノールCA」0.02重量部を追加
し、270℃に昇温した。反応器内を徐々に減圧し、過
剰のエチレングリコールを留去しつつ内圧を1トール以
下に保ち4時間重縮合反応を実施した。その後反応器内
に窒素で圧力をかけながら底部のバルブを開け、ポリマ
ーをノズルからストランド状に排出し、水浴槽で冷却後
にペレタイザーでカットしてペレットを得た。ポリマー
の排出状態は安定し、カッティング性も良好であった。
【0060】得られたポリエーテルエステル(A−1)
の相対粘度は1.8であり、GPC分析の結果、ポリメ
チルメタクリレート換算の数平均分子量は7.4万であ
った。1 H−NMR分析の結果、その組成は、ポリエー
テル成分30重量%、ジカルボン酸(テレフタル酸)成
分55重量%、多価アルコール(エチレングリコール)
成分15重量%であった。また、250℃、シェアレー
ト101 sec-1での見かけせん断粘度は800ポイズ
であった。結果を表1、3に示す。 製造例2.ポリエーテルエステル(A−2) 攪拌機、窒素導入管、留去管を備えた耐圧反応器にテレ
フタル酸ジメチル46重量部、セバシン酸ジメチル15
重量部、エチレングリコール56重量部、および酢酸マ
ンガン2水和物0.008重量部を仕込み、190〜2
20℃で3時間加熱して、生成するメタノールを留去し
ながらエステル交換反応を実施した。次に、反応器へ数
平均分子量5000のポリオキシエチレングリコール4
0重量部、三酸化アンチモン0.06重量部、トリメチ
ルホスフェート0.02重量部、「イルガノックス13
30」(チバガイギ−製)0.5重量部、および「トパ
ノールCA」0.02重量部を追加し、内温を250℃
に昇温した。反応器内を徐々に減圧し、過剰のエチレン
グリコールを留去しつつ内圧を1トール以下に保ち3時
間重縮合反応を実施した。その後は実施例1と同様に行
い、ポリエーテルエステル(A−2)を得た。
【0061】得られたポリエーテルエステル(A−2)
の相対粘度は1.9であり、GPC分析の結果、ポリメ
チルメタクリレート換算の数平均分子量は7.8万であ
った。1 H−NMR分析を実施し、その組成は、ポリエ
ーテル成分40重量%、ジカルボン酸(テレフタル酸、
セバシン酸)成分47重量%、多価アルコール(主にエ
チレングリコール)成分13重量%の結果であった。ま
た、250℃、シェアレート101 sec-1での見かけ
せん断粘度は900ポイズであった。結果を表1、3に
示す。 製造例3〜11.ポリエーテルエステル(A−3)〜
(A−11) 仕込み組成を表1および表2のように変えた以外は実施
例2と同様にして行った。得られたポリエーテルエステ
ルの製造結果を表3にまとめて示した。 製造例12.ポリエーテルエステル(A−12) 仕込み組成を表2のように変え、また重縮合反応を26
0℃、2時間で終了した以外は実施例2と同様にして行
った。得られたポリエーテルエステルの製造結果を表3
に示した。 製造例13.ポリエーテルエステル(A−13) 仕込み組成を表2のように変えた以外は実施例2と同様
にして行った。得られたポリエーテルエステルの製造結
果を表3に示した。
【0062】
【実施例1】製造例1.で得られたポリエーテルエステ
ル(A−1)15重量部、MMA単位/MA単位=94
/6重量比でクロロホルム中25℃で測定した還元粘度
が70ml/gのアクリル樹脂(B−1)85重量部、
イルガノックス1330(C−1)0.4重量部、チヌ
ビン1577(D−1)0.3重量部、およびドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部とをドラム
ブレンダーで混合し、30mm二軸押出機を用いて樹脂
温度約260℃で混練、造粒し積層部用とした。
【0063】得られた積層部用ペレットを20mmφ押
出機を用い、また基板部用には上記のアクリル樹脂(B
−1)を40mmφ押出機を用いて、共押出を行った。
ダイは2種2層のフィードブロック式を用い、リップ開
度は3mmで、押出機とダイの温度は250〜260℃
で実施した。積層板の全厚みはポリシングロール間隔で
2mmを目標に調整し、また積層部厚みは20mmφ押
出機の押出量を変えることによって調整した。このよう
にして幅約30cmの積層板を製造したところ、全厚み
は2.0mm、積層部厚みは30μmであった。成形中
にポリシングロール表面の曇りやダイのリップへの目や
に状付着物が少し認められた。
【0064】このシートから試験片を切り出し、23
℃、相対湿度50%の恒温室内に置いて24時間後に表
面固有抵抗値Rsを測定したところ、3×1012Ωであ
った。また試験片を水道水を流しながら布で軽く60回
ぬぐい、水滴を拭き取ってから恒温室内に置いて15時
間後に表面固有抵抗値Rsを測定したところ、8×10
12Ωであり、大きな性能低下は見られなかった。さらに
400W高圧水銀灯で75℃の雰囲気下、約50cmの
距離から30日間照射した後に上記の恒温室内に置き2
4時間後の表面固有抵抗値Rsを測定したところ、1×
1013Ωであった。 またシートから押出方向に平行に
切削して超薄切片を作製し、染色後に積層部の透過型電
子顕微鏡観察を行ったところ、島状に分散したポリエー
テルエステルは平均長径0.80μm、平均短径0.1
1μmで、平均長径と平均短径の比が7.3の棒状に引
き伸ばされた形態を呈していた。結果を表4、5に示
す。
【0065】
【実施例2〜9、比較例1〜8】用いたポリエーテルエ
ステルの種類と添加剤等の配合組成、積層部の厚みを表
4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして
行った。評価結果を表5にまとめて示した。
【0066】
【比較例9】 1.ポリエーテルエステルアミド(X−1)の製造 数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
とε−カプロラクタムを主原料として、さらにテレフタ
ル酸を連結剤として用いて、公知の方法で共重縮合し
た。得られたポリエーテルエステルアミド系ポリマーの
相対粘度は2.1で1 H−NMR分析により、組成はポ
リオキシエチレングリコール成分60重量%、テレフタ
ル酸成分8重量%、およびカプロラクタム成分32重量
であった。1kg荷重でのメルトフローレートが1g/
10分間以下になる温度は180℃であった。また、2
50℃、シェアレート101 sec-1での見かけせん断
粘度は2900ポイズであった。 2.帯電防止性樹脂組成物の製造と評価 1.で製造したポリエーテルエステルアミド(X−1)
15重量部を用い、安定剤として、イルガノックス24
5(C−2)0.1重量部とチヌビン234(D−2)
0.3重量部とを用いた以外は実施例2と同様にして行
ったところ、約30分間の連続運転でポリシングロール
表面の曇りやTダイリップの目やに状付着物が見られ、
シートの表面に着色した目やにが付着し、実施例1〜9
に比べて外観に劣るものしか得られなかった。評価結果
を表5にまとめて示した。
【0067】
【比較例10】実施例1で用いたアクリル樹脂(B−
1)89.5重量部、分子量5000のポリエチレング
リコール10重量部、およびドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム0.5重量部とをドラムブレンダーで混合
し、30mm二軸押出機を用いて樹脂温度約260℃で
混練、造粒した。
【0068】以下は、実施例1と同様に実施したが、得
られたシートの表面抵抗値は3×1010Ω、水拭き後の
表面抵抗値は8×1015Ωであり、帯電防止性能の持続
性に関して著しく劣るものであった。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【発明の効果】本発明の帯電防止性アクリル系樹脂積層
板は、良好な帯電防止性能の持続性を有し、アクリル樹
脂板本来の機械強度を維持するほか、熱劣化による着色
物混入が無く表面外観、色調にも優れる。従って、本発
明の帯電防止性アクリル系樹脂積層板は0A機器銘板、
メーターカバー、照明器具カバー、半導体部品の輸送容
器、クリーンルーム内で使用する器具、プロジェクショ
ンテレビの前面板やスクリーン、光学レンズ等の帯電や
ほこり付着を嫌う用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 467:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に数平均分子量が400〜200
    00のポリオキシアルキレングリコールセグメントより
    なるポリエーテル成分を20〜65重量%含み、m−ク
    レゾール中30℃で測定した相対粘度が1.5〜4.0
    であるポリエーテルエステル(A)3〜40重量%とア
    クリル系樹脂(B)97〜60重量%とからなるアクリ
    ル系樹脂組成物(イ)をアクリル系樹脂からなる基板部
    (ロ)の片面または両面に積層せしめたアクリル系樹脂
    積層板であって、 該アクリル系樹脂組成物(イ)からなる層をルテニウム
    酸染色し透過型電子顕微鏡を用いて観察した場合に、 (1)該アクリル系樹脂組成物からなる層が海島構造を
    呈しており、島を構成する分散体の長径の平均値が0.
    06〜20μm、短径の平均値が0.03〜0.5μm
    であり、 (2)分散体の長径と短径の平均値の比が1.2以上で
    ある、ことを特徴とする帯電防止性アクリル系樹脂積層
    板。
  2. 【請求項2】 アクリル系樹脂組成物(イ)を構成する
    ポリエーテルエステル(A)が(a)数平均分子量が4
    00〜20000のポリオキシアルキレングリコールセ
    グメントよりなるポリエーテル成分20〜65重量%、
    (b)ジカルボン酸成分20〜65重量%、および
    (c)多価アルコール成分5〜30重量%からなるもの
    であり、250℃、シェアレート101 sec-1での見
    かけせん断粘度が500〜10000ポイズである、特
    許請求範囲第1項に記載の帯電防止性アクリル系樹脂積
    層板。
  3. 【請求項3】 アクリル系樹脂組成物(イ)を構成する
    ポリエーテルエステル(A)中の(b)ジカルボン酸成
    分が(b1)炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸成分
    を主体として、その1〜50重量%を(b2)炭素数4
    〜20の脂肪族ジカルボン酸成分で置換したものであ
    る、特許請求範囲第1〜2項に記載の帯電防止性アクリ
    ル系樹脂積層板。
  4. 【請求項4】 アクリル系樹脂組成物(イ)を構成する
    ポリエーテルエステル(A)中の(b)ジカルボン酸成
    分が(b1)炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸成分
    を主体として、その0.5〜50重量%を(b3)分子
    中に1個以上のスルホン酸金属塩を含む芳香族または脂
    肪族ジカルボン酸成分で置換したものである、特許請求
    範囲第1〜3項記載の帯電防止性アクリル系樹脂積層
    板。
  5. 【請求項5】 アクリル系樹脂組成物(イ)を構成する
    ポリエーテルエステル(A)中の(c)多価アルコール
    成分が(c1)炭素数2〜18のジオール成分を主体と
    し、その0.005〜5重量%を(c2)炭素数2〜1
    8のトリオールおよび/またはテトラオール成分に置換
    したものである、特許請求範囲第1〜4項に記載の帯電
    防止性アクリル系樹脂積層板。
  6. 【請求項6】 アクリル系樹脂組成物(イ)を構成する
    ポリエーテルエステル(A)が炭素数8〜20の芳香族
    ジカルボン酸および/またはそのエステルと炭素数4〜
    20の脂肪族ジカルボン酸および/またはそのエステル
    とから選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸および/
    またはそのエステル、炭素数2〜18の多価アルコー
    ル、および数平均分子量が400〜20000のポリオ
    キシアルキレングリコールとを重縮合して得られたもの
    である、特許請求範囲第1〜5項に記載の帯電防止性ア
    クリル系樹脂積層板。
  7. 【請求項7】 アクリル系樹脂組成物(イ)を構成する
    アクリル系樹脂(B)が、メチルメタクリレート単位単
    独、あるいはそれと共重合可能な他の単量体単位とから
    なり、クロロホルム中25℃で測定した還元粘度が30
    〜90ml/gのものである、特許請求範囲第1〜6項
    に記載の帯電防止性アクリル系樹脂積層板。
  8. 【請求項8】 アクリル系樹脂組成物(イ)がポリエー
    テルエステル(A)とアクリル系樹脂(B)の合計10
    0重量部に対して、0.05〜5重量部の有機スルホン
    酸塩および有機リン酸塩の中から選ばれた少なくとも1
    種の化合物を含有してなる、特許請求範囲第1〜7項に
    記載の帯電防止性アクリル系樹脂積層板。
  9. 【請求項9】 アクリル系樹脂組成物(イ)をアクリル
    系樹脂からなる基板部(ロ)の片面または両面に3〜5
    00μmの厚みで積層せしめた、特許請求範囲第1〜8
    項に記載の帯電防止性アクリル系樹脂積層板。
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