JPH10298272A - カルボキシル化ポリエーテルエステル - Google Patents

カルボキシル化ポリエーテルエステル

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JPH10298272A
JPH10298272A JP10495697A JP10495697A JPH10298272A JP H10298272 A JPH10298272 A JP H10298272A JP 10495697 A JP10495697 A JP 10495697A JP 10495697 A JP10495697 A JP 10495697A JP H10298272 A JPH10298272 A JP H10298272A
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JP
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polyetherester
carboxylated
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glycol
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JP10495697A
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Genichi Tsuruta
嚴一 鶴田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂に配合した場合、外観が良好
で、かつ帯電防止性及びその持続性に優れる成形品を与
えるカルボキシル化ポリエーテルエステルを提供する。 【解決手段】 有機ジカルボン酸単位15〜55重量
%、有機ジヒドロキシ化合物単位3〜20重量%及びポ
リ(オキシアルキレン)グリコール単位25〜82重量
%から構成され、かつ分子中のヒドロキシル基に対する
カルボキシル基の当量比が1未満のポリエーテルエステ
ルをカルボキシル化してヒドロキシル基に対するカルボ
キシル基の当量比を1以上に調整して、ポリメチルメタ
クリレート換算数平均分子量5万〜14万のカルボキシ
ル化ポリエーテルエステルとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なカルボキシル
化ポリエーテルエステル、さらに詳しくいえば、各種の
熱可塑性樹脂に配合して成形した場合、着色が少なく、
表面外観が良好で、かつ帯電防止性及びその持続性の良
い成形品を与え、また帯電防止性の優れた高分子量ポリ
エーテルエステルの前駆体としても有用なカルボキシル
化ポリエーテルエステルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル系樹脂は、透明性、表面光沢、
表面硬度、耐候性などに優れることから、照明器具カバ
ー、テールレンズなどの車輌外装品、レンズ、導光板、
ビデオディスク、プロジェクションテレビ用スクリーン
などの光学用部品、自動販売機の前面板、屋外看板、店
装ディスプレイなどの用途に広く使用されている。
【0003】一方、ポリカーボネート樹脂は、その透明
性や衝撃強度を生かして、ヘッドランプレンズ・サンル
ーフ用透明天窓などの車輌外装品、コンパクトディスク
などの光学用部品、高速道路の透明遮音壁、アーケード
・ドームなどの建材などの用途に供されている。
【0004】アクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂が
これらの用途に供されるのは、これらの樹脂が実質的に
非晶質性で透明であるという特質を有するためである
が、これらの樹脂は一般的に帯電しやすく、製品に塵埃
が付着するため透明性や表面外観が損なわれる上、成形
品やシートの後加工においても障害となるという欠点を
有している。このため、通常このような塵埃が付着をし
ないように、これらの樹脂に帯電防止性を付与すること
が行われている。
【0005】そして、アクリル系樹脂などに帯電防止性
を付与する方法としては、シリコン系化合物などの帯電
防止剤を樹脂表面に塗布する方法、界面活性剤を樹脂に
添加、混合する方法、親水性基やイオン性基を有する単
量体を共重合させ、樹脂を化学的に改質する方法などが
知られている。
【0006】しかしながら、帯電防止剤を塗布する方法
においては、構造体やシートなどの成形品に対する付加
的な塗布工程が必要であり、コスト的に不利である上、
得られた製品が他の物体との接触や、降雨などの流水に
よって効果が消失しやすく、帯電防止性の持続性が欠け
るという欠点がある。また、界面活性剤を混合する方法
としては、例えば、スルホン酸基を有する化合物又はこ
れとポリエーテルとをアクリル系樹脂に練り込む方法
(特開昭47−26438号公報、特開平3−4344
0号公報)、スルホン酸基を有する化合物、ポリオキシ
アルキレングリコール、及び特定のリン化合物を練り込
む方法(特公昭53−30724号公報)などが提案さ
れているが、十分な帯電防止性を得るには比較的多量の
配合を必要とするため、成形品表面に帯電防止剤がブリ
ードアウトしやすく、表面外観を損なうほか、べとつき
の原因となるという欠点を伴なう。また、ポリアルキレ
ングリコールと高級脂肪酸モノグリセリドを混練する方
法(特公昭53−36865号公報)、さらに特定のリ
ン化合物を併用する方法(特公昭53−15896号公
報、特開昭54−74849号公報)なども提案されて
いるが、アクリル系樹脂のガラス転移温度が比較的高
く、モノグリセリドの成形品表面への移行性が低いた
め、十分な帯電防止性を付与するためには、多量にモノ
グリセリドを添加する必要があり、表面外観が損なわれ
るという欠点がある。その他、アルキルスルホン酸塩又
はアルキルベンゼンスルホン酸塩とトリアルキルホスフ
ァイトを混練する方法(特開昭64−24845号公
報)も提案されているが、アルキルスルホン酸塩などを
比較的多量に使用する必要があるため、樹脂の表面外観
が劣化するという欠点がある。またこれらの方法に共通
する欠点として、添加した界面活性剤が流水などで成形
品表面から失われやすいため、帯電防止性の持続性が低
いことが挙げられる。
【0007】さらに親水性単量体を共重合させたものと
しては、例えばスルホコハク酸エステル系の単量体とア
クリレート系単量体との共重合体と酸性リン酸エステル
あるいはアルキレンオキシド化合物とからなる組成物
(特開昭59−182837号公報、特開昭59−18
2838号公報)が提案されており、このものは帯電防
止効果の持続性の観点からは有利であるが、十分な効果
を奏するには、特殊な単量体を比較的多く共重合させる
必要があり、コスト的に不利なばかりか、耐候性や耐熱
性が低下するのを免れない。
【0008】他方、帯電防止効果の持続性を向上させる
ために、高分子型帯電防止剤を添加する方法、例えば親
水性及びイオン性基を含むビニル系共重合体を混練する
方法、ポリエーテルアミド系重合体を混練する方法など
が提案されている。前者のビニル系共重合体を混練する
方法については、例えばポリオキシエチレン鎖及びスル
ホン酸塩又は第四級アンモニウム塩構造を有するビニル
系共重合体をアクリル系樹脂に混練する方法(特開昭5
5−36237号公報、特開昭63−63739号公
報)が提案されているが、この方法は、高価な特殊単量
体を使用するため、コストが高くなるのを免れない上、
アクリル系樹脂の耐熱性を低下させるという欠点を有し
ている。
【0009】また、ポリエーテルアミド系重合体を混練
する方法については、例えばポリアミドセグメントとポ
リエーテルセグメントとからなるポリエーテルアミド重
縮合体を帯電防止成分としてアクリル系樹脂に混練する
方法(特開昭64−90246号公報、特開平1−30
8444号公報、特開平8−120147号公報)が提
案されているが、これらは帯電防止性の持続効果はある
が、ポリアミドセグメントを含む重縮合体は、それ自体
が高温下に空気と接触すると熱着色しやすい上に、特に
アクリル系樹脂の場合は、ポリアミドセグメントを含む
重縮合体がこれと加熱下に架橋反応を起こして不溶不融
のゲル状物を生成しやすく、押出機中に滞留した原料が
着色したゲルとなって射出成形品やシートに混入し、製
品の外観を著しく損なうという欠点があった。
【0010】このようなゲル化と着色異物の欠点を改良
するために、特定分子量のポリオキシアルキレングリコ
ールセグメントからなるポリエーテル成分を特定の割合
で含み、かつ特定の還元比粘度をもつポリエーテルエス
テル系重縮合体とアクリル樹脂とからなる帯電防止性樹
脂組成物が提案されている(特願平6−271988
号)。しかしながら、このポリエーテルエステル系重縮
合体は、比較的結晶化しやすい性質をもつためと思われ
るが、それ自体の流動性の温度依存性がかなり大きいも
のであった。すなわち、溶融状態で反応器から取り出し
て細粒化する際に、ポリマーは、その表面温度の低下に
伴い、粘度が極端に低い状態から急速に固くなるため、
安定した後処理が難しく生産性に劣るという問題を有し
ていた。さらに、このポリエーテルエステル系重縮合体
をアクリル系樹脂などに混合して帯電防止性成形材料を
調製する場合、分散状態を適度に制御することが、帯電
防止性付与効果の点から重要であるとされているが、該
ポリエーテルエステル系重縮合体自体の流動性の温度依
存性が大きいため、良好な分散状態を実現しうる混練条
件幅が狭いという問題があった。また、該重縮合体は、
分子量が十分に大きくないため、アクリル系樹脂と混合
した場合、0.03μm以下のドメインに微小分散しや
すく、十分な帯電防止性が付与されにくい。
【0011】ところで、ポリエーテルエステルは、一般
に、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、ジオール及
びジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを共重縮合さ
せて得られるが、これまでは、その数平均分子量はせい
ぜい10万前後であった(特開平6−57153号公
報)。
【0012】ポリエーテルエステルは、ポリエーテルア
ミド重縮合体に比べて、ポリアミド部分に由来する分子
間水素結合がないため、同程度の分子量であっても、溶
融粘度がはるかに低くなる。したがって、アクリル系樹
脂などと混練する場合、加工温度におけるポリエーテル
エステルとマトリックス樹脂との粘度差は(一般的には
マトリックス樹脂の方が粘度が高い)、ポリエーテルア
ミド重縮合体とマトリックス樹脂との粘度差よりも大き
く、ポリエーテルアミド重縮合体に比べて、加工時のシ
ェアにより微細化されやすい。帯電防止性付与効果の点
から、高分子型帯電防止剤がマトリックス樹脂中にあま
り微分散しすぎることは好ましくないと考えられてお
り、したがって、ポリエーテルエステルを高分子型帯電
防止剤として使用する場合には、ポリエーテルアミド重
縮合体に比べて、格段に分子量を大きくすることによ
り、粘度を補わなければならないことが分かる。
【0013】しかしながら、前述したように、これまで
はポリエーテルエステルの数平均分子量を10万より大
きくすることは困難であったため、高分子型帯電防止剤
としてのポリエーテルエステルの利用が制限されるのを
免れなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、アクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂
などの熱可塑性樹脂に配合して成形した場合、帯電防止
性及びその持続性に優れ、かつ着色が少なく、外観の良
好な成形品を与えることができる上、生産性が高く、ま
た帯電防止性がさらに優れる高分子量ポリエーテルエス
テルの前駆体としても有用なポリエーテルエステルを提
供することを目的としてなされたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエー
テルエステルのもつ物性を改質するために種々研究を重
ねた結果、特定の割合の有機ジカルボン酸単位、有機ジ
ヒドロキシ化合物単位及びポリ(オキシアルキレン)グ
リコール単位から成るポリエーテルエステルをカルボキ
シル化することにより、アクリル系樹脂などに配合して
成形する場合、混練時及び成形時にほとんど熱着色せ
ず、かつ製品中に焼け異物が混入せず、極めて外観の良
好な帯電防止性及び持続性の良い製品を与えうるポリエ
ーテルエステルが得られること、及びこのポリエーテル
エステルは、さらに帯電防止性の優れた高分子量ポリエ
ーテルエステルの前駆体としても有用なことを見出し、
この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0016】すなわち、本発明は、有機ジカルボン酸単
位15〜55重量%、有機ジヒドロキシ化合物単位3〜
20重量%及びポリ(オキシアルキレン)グリコール単
位25〜82重量%から構成され、かつ分子中のヒドロ
キシル基に対するカルボキシル基の当量比が1未満のポ
リエーテルエステルをカルボキシル化してヒドロキシル
基に対するカルボキシル基の当量比を1以上に調整して
成る、ポリメチルメタクリレート換算数平均分子量5万
〜14万のカルボキシル化ポリエーテルエステルを提供
するものである。なお、本発明におけるポリメチルメタ
クリレート換算数平均分子量は、ヘキサフルオロイソプ
ロパノールを溶媒として、40℃においてゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)を測定し、あら
かじめ標準ポリメチルメタクリレートについて測定して
得た溶出カウントと分子量との検量線グラフと対比して
算出したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエーテルエス
テルとしては、例えば特開平6−57153号公報に記
載されていて公知の、ポリエーテルエステルのうち有機
ジカルボン酸単位15〜55重量%、有機ジヒドロキシ
化合物単位3〜20重量%及びポリ(オキシアルキレ
ン)グリコール単位25〜82重量%から構成されてい
るものが用いられる。このような構成をもつポリエーテ
ルエステルは、通常分子中のヒドロキシル基に対するカ
ルボキシル基の当量比が1未満である。
【0018】本発明の基本構造を構成するポリエーテル
エステルは、有機ジカルボン酸単位、有機ジヒドロキシ
化合物単位及びポリ(オキシアルキレン)グリコール単
位から構成されるが、これらの構成単位は、これまで知
られているポリエーテルエステルの場合と同じものを用
いることができる。そして、これらの構成単位は、それ
ぞれ原料として用いた有機ジカルボン酸又はそのエステ
ル有機ジヒドロキシ化合物及びポリ(オキシアルキレ
ン)グリコールに由来している。
【0019】このような有機ジカルボン酸又はそのエス
テルとしては、例えばテレフタル酸、フタル酸、イソフ
タル酸などの炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、リンゴ酸などの炭素数4〜24
の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン‐1,4‐ジカ
ルボン酸などの炭素数8〜16の脂環式ジカルボン酸、
及びこれらのメチル、エチル、プロピル、ブチルエステ
ルなどが挙げられる。これらの中で、テレフタル酸とイ
ソフタル酸、あるいはテレフタル酸のメチル、エチルエ
ステルとイソフタル酸のメチル、エチルエステルとの組
合せが、得られるポリエーテルエステルの軟化温度、ポ
リマーの流動性の温度依存性及び取り扱いやすさなどの
点から好ましい。
【0020】また、有機ジヒドロキシ化合物としては、
炭素数2〜22の脂肪族ジヒドロキシ化合物、炭素数6
〜14の脂環式ジヒドロキシ化合物、及び炭素数6〜1
2の芳香族ジヒドロキシ化合物などがある。これらは単
独で使用することも、あるいは2種以上を併用すること
も可能である。具体例としては、エチレングリコール、
1,2‐プロピレングリコール、1,3‐プロピレング
リコール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジ
オール、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオー
ル、1,6‐ヘキサンジオール、1,8‐オクタンジオ
ールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、1,4‐シクロ
ヘキサンジオール、ビス‐1,4‐ヒドロキシメチルシ
クロヘキサンなどの脂環式ジヒドロキシ化合物、及びヒ
ドロキノン、レゾルシン、4,4′‐ジヒドロキシジフ
ェニル、4,4′‐ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物が挙
げられる。ここで例えば炭素数が22を超える高沸点の
脂肪族ジヒドロキシ化合物の場合は、重縮合反応時に過
剰なジヒドロキシ化合物を反応系外に留去するのが困難
であり、好ましくない。これらのうちでも、エチレング
リコール、1,2‐プロピレングリコール、1,3‐プ
ロピレングリコール、1,3‐ブタンジオール、1,4
‐ブタンジオールが好ましいが、反応性の点からはエチ
レングリコール及び1,4‐ブタンジオールが特に好ま
しい。
【0021】次に、前記のポリ(オキシアルキレン)グ
リコールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテ
トラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレング
リコール、エチレングリコール/プロピレングリコール
ブロック共重合体などのポリオキシアルキレングリコー
ルの他、ヒドロキシノン、4,4′‐ジヒドロキシジフ
ェニル、4,4′‐ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビスフェノールAなどのエチレンオキシド付加体やプロ
ピレンオキシド付加体などが挙げられる。これらのうち
でも、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロ
ピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシ
ド付加体やプロピレンオキシド付加体を用いると、帯電
防止性のよい重縮合体が得られるので好ましい。これら
の化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。またポリオキシエチレングリコールとポリ
オキシテトラメチレングリコールを組み合わせて用いる
と、得られるポリエーテルエステルの帯電防止性が良
く、しかも機械的強度にも優れたものが得られるので好
ましい。
【0022】このポリ(オキシアルキレン)グリコール
の数平均分子量は好ましくは400〜20000、より
好ましくは600〜12000、さらに好ましくは20
00〜9000の範囲である。この化合物の数平均分子
量が400未満では得られるポリエーテルエステルの軟
化温度が低くなり、常温でもべとつきやすくなって取り
扱いが困難となる上、吸水性が過大となり、加工時に含
水率の管理を徹底しないと得られるポリエーテルエステ
ルは加水分解が起きやすくなるなどの問題を生じ、実用
的でない。一方、数平均分子量が20000を超えると
得られるポリエーテルエステルの帯電防止性付与効果が
低下し、かつ加工時のポリエーテルエステルの熱分解性
が大きくなるため、好ましくない。
【0023】本発明のポリエーテルエステルにおいて
は、全重量に基づき有機ジカルボン酸単位が15〜55
重量%、有機ジヒドロキシ化合物単位が3〜20重量%
及びポリ(オキシアルキレン)グリコール単位が25〜
82重量%の割合で構成されていることが必要である。
有機ジカルボン酸単位が15重量%未満の場合は、ポリ
エーテルエステルの軟化温度が低くなり、室温でもべと
つきやすくなるので好ましくない。一方、55重量%を
超える場合は、ポリエーテルエステルの固化温度が高く
なり反応器からの取り出し時に不安定となるほか、帯電
防止性の付与効果が低下するのでやはり好ましくない。
また、有機ジヒドロキシ化合物が3重量%未満の場合
は、ポリエーテルエステルの軟化温度が低くなり、室温
でもべとつきやすくなるので好ましくない。一方、20
重量%を超える場合は、ポリエーテルエステルの帯電防
止性の付与効果が低下するのでやはり好ましくない。
【0024】他方、ポリ(オキシアルキレン)グリコー
ル単位が25重量%未満では高分子量のものとはならな
いし、82重量%を越えると、有機ジカルボン酸単位を
優先的に結合し、有機ジヒドロキシ化合物単位との結合
量が低下するため、低分子量成分の量が増加する。
【0025】このような本発明のポリエーテルエステル
は、例えば、ポリ(オキシアルキレン)グリコール30
〜75重量%、有機ジカルボン酸又はそのエステル20
〜60重量%及び有機ジヒドロキシ化合物5〜40重量
%から成る原料混合物を反応器に仕込み、溶媒の存在下
又は不存在下で、反応中に生成する水若しくはアルコー
ルを反応器外へ除去しながら重縮合させ、高分子量化さ
せる方法により製造することができる。水若しくはアル
コールを反応器外へ除去するには、窒素ガスを流すか、
あるいは反応器内を高度に減圧にして実施するのが有利
である。重縮合時の温度は、通常150〜300℃、好
ましくは180〜270℃の範囲である。
【0026】この反応において、有機ジヒドロキシ化合
物と有機ジカルボン酸又はそのエステルから一般式
【化1】 (式中のR1は有機ジカルボン酸又はそのエステルから
2個のカルボキシル基又はエステル基を除いた残基、R
2は有機ジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシル基
を除いた残基である)で表わされる構成単位が形成さ
れ、これがポリ(オキシアルキレン)グリコールから誘
導される構成単位を結合して、高分子量化する。すなわ
ち、高分子量のポリエーテルエステルを得るには、ポリ
(オキシアルキレン)グリコールの末端ヒドロキシ基と
有機ヒドロキシ化合物の持つヒドロキシル基との合計モ
ル数が、有機ジカルボン酸又はそのエステルのもつカル
ボキシル基のモル数と厳密に一致しなければならない
が、この関係を満足させるために一般に有機ジヒドロキ
シ化合物をあらかじめ反応系に過剰に仕込んでおき、過
剰な有機ジヒドロキシ化合物を反応系外へ留去させなが
ら反応を進める方法が好ましく用いられる。したがっ
て、ポリ(オキシアルキレン)グリコールと有機ジカル
ボン酸又はそのエステルの仕込み組成を決めれば、これ
らの反応系外への留出がない通常の条件で製造を実施す
る場合、得られたポリエーテルエステル中の有機ジヒド
ロキシ化合物単位の割合は自動的に決まると考えられ
る。
【0027】本発明のポリエーテルエステルにおいて
は、ポリエーテル部分(A)及びポリエステル部分
(B)は、それぞれ1種ずつ含んでいてもよいし、2種
以上の混合であってもよいが、ポリエーテル部分(A)
の合計とポリエステル部分(B)の合計が、重量比で
3:7ないし8:2の割合になっていることが必要であ
る。ポリエーテル部分(A)の割合が上記範囲より少な
いとポリエーテルエステルの帯電防止性の付与効果が不
十分であるし、上記範囲より多いとやはり帯電防止性の
付与効果が低下する。帯電防止性の付与効果の面から、
ポリエーテル部分(A)とポリエステル部分(B)の割
合は、重量比で4:6ないし7.5:2.5の範囲にあ
るのが特に好ましい。すなわち、ポリエーテル部分
(A)の含有割合には、最適な範囲が存在する。このよ
うな現象が起きる作用機構については、なお不明な点が
多い。帯電防止性を発現する主体は親水性のポリオキシ
アルキレングリコール成分であり、この割合が少ない場
合は、帯電防止性の付与効果が低下すると考えられる。
一方、この割合が多い場合は、ポリエーテルエステルの
アクリル系樹脂などに対する相容性が良くなり、樹脂中
にかなり微細に分散してしまい、帯電防止性の付与に効
果的とされる「海−島構造」という形態的特徴を発現し
にくく、性能が低下するものと推定される。
【0028】この重縮合反応においては、所望により触
媒を用いることができる。この触媒としては、例えば酢
酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸コバルト、酢酸亜
鉛、三酸化アンチモン、チタンテトラアルコキシド、有
機ジルコニウム化合物などが挙げられる。このような触
媒を用いると、反応時間を短縮でき、その結果、反応中
のポリマーの着色や劣化が防止できるので有利である。
【0029】このポリエーテルエステルを製造する際に
は、反応中のポリマーの熱劣化を防止し、かつ高分子量
化を実現するため、適当な熱安定剤を添加しておくこと
が好ましい。この熱安定剤としては、例えば、1,3,
5‐トリメチル‐2,4,6‐トリス(3,5‐ジ‐t
‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,
1,3‐トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t
‐ブチルフェニル)ブタン、N,N′‐ヘキサメチレン
ビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシケイ皮
アミド、4,4′‐ビス(2,6‐ジ‐t‐ブチルフェ
ノール)、2,2′‐メチレンビス(4‐エチル‐6‐
t‐ブチルフェノール)、ペンタエリスリチルテトラキ
ス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]などのヒンダードフェノール
系安定剤、N,N′‐ビス(β‐ナフチル)‐p‐フェ
ニレンジアミン、N,N′‐ジフェニル‐p‐フェニレ
ンジアミン、ポリ(2,2,4‐トリメチル‐1,2‐
ジヒドロキノリン)などのアミン系安定剤、ジラウリル
チオジプロピオネートなどの硫黄系安定剤、あるいはト
リス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト
などのリン化合物などが挙げられる。これらは原料にあ
らかじめ混合して重縮合反応時に共存させたり、あるい
は途中で反応器に追加するなど、任意の方法で添加しう
る。
【0030】本発明においては、このようにして得られ
た、分子中のヒドロキシル基に対するカルボキシル基の
当量比が1未満のポリエーテルエステルをカルボキシル
化して、分子中のヒドロキシル基に対するカルボキシル
基の当量比を1以上に調整することが必要である。
【0031】このカルボキシル化は、例えば前記のポリ
エーテルエステルに多価カルボン酸無水物を反応させる
ことにより行うことができる。この際用いる多価カルボ
ン酸無水物としては、例えば、無水イタコン酸、無水シ
トラコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリ
メリット酸、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4
‐シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,
4,4′‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレ
ンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無
水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられ
るが、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメ
リット酸のような芳香族ジカルボン酸無水物が好まし
い。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
【0032】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルにおいては、ヒドロキシル基に対するカルボキシル
基の当量比を1以上、好ましくは2以上にする必要があ
る。この当量比が1未満では十分な帯電防止性が得られ
ないし、また分子中にエポキシ基2個以上を有する化合
物と付加反応させて高分子量化する場合に反応性が低く
なる。ヒドロキシル基に対するカルボキシル基の当量比
を1以上に制御するには、ポリエーテルエステル末端の
ヒドロキシル基のモル数に対して、酸無水物のモル数を
調整して反応させることが必要である。
【0033】この酸無水物は、ポリエーテルエステル末
端のヒドロキシル基のモル数に対し、酸無水物基として
0.5〜2倍モル用いるのが好ましい。これにより、酸
無水物とポリエーテルエステルの末端ヒドロキシル基と
が反応して、ポリマー中にカルボキシル基が導入され
る。また、酸無水物として、分子中に2個の酸無水物基
を有するものを用いた場合には、その一部はポリエーテ
ルエステル末端同士をカップリングさせて、高分子量化
しうる効果も期待できる。酸無水物の使用量が、ポリエ
ーテルエステルの末端ヒドロキシル基に対し、酸無水物
基として0.5倍モル未満の場合は末端のカルボキシル
化率が低く、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化
合物と付加反応させても所望の高分子量化物が得られに
くい。また2倍モルを超えると付加反応のほかに架橋化
やゲル化を生じやすくなる。
【0034】この酸無水物とポリエーテルエステルの末
端ヒドロキシル基とを付加反応させる方法については特
に制限はないが、例えば(1)ポリエーテルエステルを
かきまぜ機付きの反応槽で製造後、酸無水物を反応槽へ
追添して、さらにかきまぜながら付加反応を行い、カル
ボキシル化ポリエーテルエステルを製造する方法、
(2)ポリエーテルエステルをかきまぜ機付きの反応槽
で製造後、溶融状態のまま混練機へ供給し、酸無水物を
注入しながら混練機内で付加反応させて、カルボキシル
化ポリエーテルエステルを製造する方法、(3)ポリエ
ーテルエステルをかきまぜ機付き反応槽で製造後、いっ
たん排出して固化、細粒化したのち、このものと酸無水
物とを、押出機やニーダー型混練機により混練し、付加
反応させてカルボキシル化ポリエーテルエステルを製造
する方法など、いずれの方法を用いてもよい。反応温度
は特に制限はなく、生産性、副反応の抑制、ポリエーテ
ルエステルの分解防止などを考慮して適宜選択すればよ
いが、一般には150〜260℃の範囲で選ばれる。な
お、酸無水物は、原料中及び空気中の水分と反応しやす
いので、原料の乾燥、反応機や押出機の窒素置換などに
留意する必要がある。
【0035】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルは、m‐クレゾール中、30℃で測定した相対粘度
が1.6〜2.0の範囲にあるのが好ましい。この相対
粘度が1.6未満では、ポリマー自体の流動性が大き
く、アクリル系樹脂などと混練した場合に、樹脂中にポ
リエーテルエステルが微分散して帯電防止性の付与効果
が低下するおそれがある。一方、相対粘度が2.0を超
える場合は、ポリマー自体の流動性が低下して反応器か
らの取り出しが困難となるほか、アクリル系樹脂などと
混練した場合に、ポリエーテルエステルが分散しにく
く、やはり帯電防止性の付与効果が低下するので好まし
くない。
【0036】さらに本発明のカルボキシル化ポリエーテ
ルエステルは、荷重1kgで測定したメルトフローレー
トが1g/10分間以下となる温度、すなわち実質的に
固化が始める温度が160〜220℃の範囲にあるのが
好ましく、170〜210℃の範囲がさらに好ましい。
すなわち、本発明のような性状を有するポリエーテルエ
ステルを製造する方法としては、温度240〜280℃
の範囲での溶融重縮合法によるのが一般的であるが、反
応終了後にポリマーを反応器から取り出し、さらにポリ
マー自体の包装やアクリル系樹脂などとの混練に便利な
ように細粒化する工程が実施されることが多い。したが
って、ポリマーが実質的に固化する温度が220℃を超
えて反応温度に接近すると、反応器から取り出されたポ
リマーの表面はただちに固くなり始め、シート状に吐出
されたポリマーを冷却ドラムへ巻き取ったり、あるいは
ストランド状に吐出されたポリマーをロールで引き取っ
てカッターへ導入するなどの工程を安定して実施するこ
とが困難となる。この結果、反応器から安定してポリマ
ーを取り出すことができず、生産性が著しく損なわれる
ことになる。一方、ポリマーが実質的に固化する温度が
160℃よりも低くなると、反応器から取り出されたポ
リマーがべとつき、やはり後処理工程を安定して実施す
ることが困難となる。
【0037】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルの荷重1kgでのメルトフローレートが1g/10
分間以下となる温度、すなわち実質的に固化が始まる温
度を160〜220℃の範囲にするための方法にはいく
つか考えられる。ポリエーテルエステルの固化現象は、
ポリマー中のポリエステル部分の結晶性によって概ね規
定されると考えられる。したがって、ポリエステル部分
の結晶性を低下させるために、ポリマー中に組み込むポ
リエーテル部分の鎖長を短くし、かつポリエステル部分
とポリエーテル部分のいずれのブロックも短くして連結
することが効果的である。またポリエステル部分に結晶
性の低い成分を導入することも有効であり、例えば脂肪
族のジカルボン酸成分を導入することが行われる。ただ
し、これらの方法は、いずれもポリマーの常温でのべと
つきの原因ともなり、取り扱いを極めて困難にするとい
う欠点がある。これらの方法で得られたポリマーに比べ
て本発明のカルボキシル化ポリエーテルエステルは、反
応後の取り出しや混練における恒温での流動性変化が少
なく、かつ常温でのべとつきも改善さえ、極めて実用性
に富むものである。
【0038】次に、本発明のカルボキシル化ポリエーテ
ルエステルは、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒
として、温度40℃でゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(以下、GPCと略記する)法により測定した
ポリメチルメタクリレート換算の数平均分子量が5万〜
14万の範囲にあることが必要である。この数平均分子
量が5万未満ではポリマー自体がやや脆い上、アクリル
系樹脂などと混練した場合、微分散しやすく、帯電防止
性の付与効果が不十分である。さらに、該ポリマーの金
属に対する密着性が増し、押出機のバレルやスクリュー
などに滞留しやすくなり、熱着色の原因となる。一方、
数平均分子量が14万を越えると末端基の数が少ないた
め、酸無水物と反応しにくくなるので、ポリマー中に効
果的にカルボキシル基を導入することが困難となる。帯
電防止性の付与効果及びカルボキシル基の導入性などの
面から、特に好ましい数平均分子量は6万〜13万の範
囲である。
【0039】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルは、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物
を付加反応させ、さらに高分子量化することにより、帯
電防止剤としてより優れたものとすることができる。こ
の際用いる、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化
合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジル
エーテル、1,6‐ヘキサンジオールジグリシジルエー
テル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエス
テル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの
脂肪族ジエポキシ化合物や、レゾルシンジグリシジルエ
ーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、o‐フタ
ル酸ジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジル
エーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビ
スフェノールSジグリシジルエーテル、N,N‐ジグリ
シジルアニリン、N,N‐ジグリシジル‐o‐メチルア
ニリンなどの芳香族ジエポキシ化合物、トリグリシジル
トリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グ
リセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプ
ロパントリグリシジルエーテルなどの3官能性エポキシ
化合物、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテ
ル、1,3‐ビス(N,N′‐ジグリシジルアミノメチ
ル)シクロヘキサンなどの4官能性エポキシ化合物、エ
ポキシ化クレゾールノボラック樹脂、メタクリル酸メチ
ル/メタクリル酸グリシジル共重合体などのポリエポキ
シ化合物が挙げられる。これらの中で1,6‐ヘキサン
ジオールジグリシジルエーテルやネオペンチルグリコー
ルジグリシジルエーテルが毒性、皮膚刺激性の少ないこ
とから好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上
を併用してもよい。
【0040】これらの分子中に2個以上のエポキシ基を
有する化合物の使用量は、ポリエーテルエステル中のカ
ルボキシル基のモル数に対し、エポキシ基として0.5
〜2倍モルを用いるのが好ましい。分子中に2個以上の
エポキシ基を有する化合物の使用量が、ポリエーテルエ
ステル中のカルボキシル基に対して0.5倍モル未満の
場合は付加反応させて高分子量化する効果が不足し、一
方、2倍モルを超える場合は付加反応に伴う副反応によ
り架橋、ゲル化を生じやすくなり、いずれも好ましくな
い。
【0041】カルボキシル化ポリエーテルエステルと分
子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物とを付加反
応させる方法について特に制限はないが、例えば(1)
カルボキシル化ポリエーテルエステルをかきまぜ機付き
反応槽で製造後、分子中に2個以上のエポキシ基を有す
る化合物を反応槽へ追添し、さらにかきまぜ下に付加反
応を行い、高分子量化されたポリエーテルエステルを製
造する方法、(2)カルボキシル化ポリエーテルエステ
ルをかきまぜ機付き反応槽で製造後、溶融状態のまま混
練機へ供給し、分子中に2個以上のエポキシ基を有する
化合物を注入しながら、混練機内で付加反応させて、高
分子量化されたポリエーテルエステルを製造する方法、
(3)カルボキシル化ポリエーテルエステルをかきまぜ
機付き反応槽で製造後、いったん排出して固化、細粒化
したのち、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合
物を、押出機やニーダー型混練機を用いて混練し、付加
反応させて高分子量化されたポリエーテルエステルを製
造する方法を用いてもよい。この場合の反応温度として
は、特に制限はなく、生産性、副反応の抑制、ポリエー
テルエステルの分解防止などを考慮して適宜選択すれば
よいが、一般には150〜260℃の範囲で選ぶのがよ
い。
【0042】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルは、それ自体で、または分子中に2個以上のエポキ
シ基を含む化合物と付加反応させて高分子量化した後
に、アクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱可
塑性樹脂に混合して帯電防止性樹脂組成物を製造するこ
とが可能である。さらにこの樹脂組成物を押出成形して
帯電防止性シートを製造したり、射出成形して帯電防止
性の各種成形品を製造することもできる。
【0043】ここで用いるアクリル系樹脂としては、メ
チルメタクリレート単位50〜99重量%、及びこれと
共重合可能な他の単量体単位1〜50重量%からなるも
のが好ましい。共重合可能な他の単量体としては、アル
キル基の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、
アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート
のほか、アクリル酸やメタクリル酸などのα,β‐不飽
和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
基含有二価カルボン酸、スチレン、α‐メチルスチレ
ン、核置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、無水マ
レイン酸、マレイミド、N‐置換マレイミドなどが挙げ
られ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を
併用してもよい。またメチルメタクリレートとメタクリ
ル酸あるいはアクリル酸との共重合体には、それを熱処
理して脱アルコール反応あるいは脱水反応を行い六員環
酸無水物単位を生成させた重合体、及びアンモニアやア
ミンとイミド化反応させ、六員環イミド単位を生成させ
た重合体も含まれる。これらのなかでも、共重合体の耐
光性、耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、n‐プロピルアクリレー
ト、n‐ブチルアクリレート、s‐ブチルアクリレー
ト、2‐エチルヘキシルアクリレートなどが好ましく、
特にメチルアクリレート、エチルアクリレート、n‐ブ
チルアクリレートが好適である。
【0044】このアクリル系樹脂は、クロロホルム中2
5℃における還元粘度が30〜90ml/gのものが好
ましく用いられる。この還元粘度が30ml/g未満の
場合は、得られる帯電防止性樹脂組成物の機械的強度が
低下し、一方、還元粘度が90ml/gを超える場合
は、得られる帯電防止性樹脂組成物の流動性が低下して
押出成形や射出成形が困難となるので、いずれも好まし
くない。
【0045】このようなアクリル系樹脂の製造方法とし
ては特に制限はなく、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、
あるいは溶液重合などの公知の方法のいずれを用いても
よい。重合開始剤としては、通常のパーオキシド系やア
ゾ系のラジカル重合開始剤を用いることができ、これと
還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施
してもよい。アルキルリチウムなどを用いたアニオン重
合法、有機金属錯体を用いた配位重合法、グループトラ
ンスファー重合法などを用いて得られたアクリル系樹脂
を使用してもさしつかえない。重合温度は、懸濁重合又
は乳化重合では30〜100℃程度、塊状又は溶液重合
では80〜170℃程度で実施するのが一般的である。
該アクリル系樹脂の還元粘度を制御するために、アルキ
ルメルカプタンなどを連鎖移動剤として用いて実施して
もよい。その他、多層構造アクリルゴムなどで耐衝撃性
を付与したアクリル系樹脂組成物も使用できる。
【0046】一方、ポリカーボネート樹脂としては、ビ
スフェノールAに代表される二価のフェノール化合物か
ら誘導される重合体を用いることができる。このポリカ
ーボネート樹脂に関しても特に制限はなく、ホスゲン
法、エステル交換法、あるいは固層重合法などのいずれ
で製造されたものでも使用できる。ポリカーボネート樹
脂の分子量についても特に制限はないが、押出板や射出
成形品として使用する場合には、GPC法を用い、単分
散ポリスチレンを標準とした検量線から求めた重量平均
分子量が20000〜100000のものが好ましく、
30000〜80000のものが特に好ましい。
【0047】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルを混合して帯電防止性樹脂組成物を製造することが
可能な熱可塑性樹脂は、上記のアクリル系樹脂やポリカ
ーボネート樹脂に限定されるものではなく、広い範囲の
一般的な樹脂を使用することができる。すなわち、ポリ
スチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、MBS
樹脂、非晶性コポリエステルなども単独で用いたり、あ
るいは2種以上を併用することができる。
【0048】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルとアクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱
可塑性樹脂とを混合して帯電防止性樹脂組成物を製造す
る場合は、該ポリエーテルエステルを30〜2重量%、
好ましくは25〜5重量%と該熱可塑性樹脂70〜98
重量%、好ましくは75〜95重量%とを混合するのが
有利である。該ポリエーテルエステルが2重量%未満の
場合は、得られる樹脂組成物の帯電防止性が十分でな
く、一方、該ポリエーテルエステルが30重量%を超え
る場合は、得られる樹脂組成物の機械的強度が低下して
やはり好ましくない。帯電防止性樹脂組成物を製造する
ための混合方法には特に制限がなく、例えばドラムブレ
ンダーやヘンシェルミキサーで混合する方法や、これら
の方法で混合したあと押出機を用いて200〜280℃
程度の温度で造粒する方法などを用いることができる。
押出混合する場合は、ポリエーテルエステルの熱分解及
び加水分解を抑制するために、押出温度、該ポリエーテ
ルエステルの水分、押出機内の窒素パージなどに留意し
て実施することが好ましい。
【0049】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルとアクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱
可塑性樹脂とを混合して帯電防止性樹脂組成物を製造す
る場合に、帯電防止性をさらに向上させるため、有機ス
ルホン酸塩と有機リン酸塩から選ばれた少なくとも1種
の化合物を併用してもよい。これらの化合物の例として
は、ドデシルベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホ
ン酸、ナフタレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、
ラウリルスルホン酸、ステアリルスルホン酸などのアル
キルスルホン酸、亜リン酸ジフェニル、リン酸ジフェニ
ルなどの有機リン酸などのアルカリ金属塩やアルカリ土
類金属塩などが挙げられる。樹脂組成物の帯電防止効果
の点から、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。有機
スルホン酸塩や有機リン酸塩の配合量は帯電防止性樹脂
組成物100重量部に対して5重量部以下が好ましい。
5重量部を超える場合は得られる樹脂組成物の機械的強
度が低下し、また樹脂組成物が着色しやすくなるので、
好ましくない。
【0050】また、本発明のカルボキシル化ポリエーテ
ルエステルの製造において、ポリ(オキシアルキレン)
グリコール、有機ジヒドロキシ化合物及び有機ジカルボ
ン酸又はそのエステルとを重縮合してポリエーテルエス
テルを製造する際に、分子中にスルホン酸塩やリン酸塩
を含有する化合物、例えばスルホン酸塩を含むイソフタ
ル酸やそのアルキルエステルを共重縮合させ、ポリエー
テルエステル中に導入することも可能である。分子中に
スルホン酸塩やリン酸塩を含有する化合物単位を導入す
る場合は、ポリエーテルエステル中に10重量%以下が
好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。該化合物単
位が10重量%を超える場合は、得られるポリエーテル
エステルの吸湿性が過大となり、樹脂組成物を製造する
際の水分コントロールに留意しないと加水分解を引き起
こしやすく、好ましくない。
【0051】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルとアクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱
可塑性樹脂とを混合して帯電防止性樹脂組成物を製造す
る場合に、帯電防止性を損なわない範囲で、例えば、各
種の染料、顔料、メチルメタクリレート/スチレン共重
合体ビーズなどの有機系光拡散剤、硫酸バリウム、酸化
チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの無機系光拡散
剤、ヒンダードフェノール系、リン酸塩系などの熱安定
剤、酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、2‐ヒドロキ
シベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系な
どの紫外線吸収剤、フタル酸エステル系、脂肪酸エステ
ル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、
ポリエステル系などの可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸
エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、又はトリグリセリド
などの離型剤、高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン系
などの滑剤、リン系、リン/塩素系、リン/臭素系など
の難燃剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強剤などを混
合して使用してもよい。
【0052】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエス
テルとアクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱
可塑性樹脂とを混合して得られた帯電防止性樹脂組成物
は、押出成形により帯電防止性シートやフィルムを製造
したり、射出成形することにより各種成形品を製造する
ことができる。これらの成形は樹脂の焼け、劣化を防ぐ
ため樹脂温度180〜270℃程度で実施することが好
ましい。
【0053】
【発明の効果】本発明のカルボキシル化ポリエーテルエ
ステルは、アクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂など
の熱可塑性樹脂に混合して帯電防止性樹脂組成物を製造
するための高分子型帯電防止剤として好適である。ま
た、本発明のカルボキシル化ポリエーテルエステルをア
クリル系樹脂などの混合して帯電防止性押出板や成形材
料を製造する場合、混練時や押出成形時にほとんど熱着
色せず、かつ架橋、ゲル化も発生しないために極めて外
観が良好で帯電防止性の持続性に優れた製品が得られ、
さらに押出板製造用ポリシングロールや射出成形用金型
の曇りが発生しにくく、表面外観の良好な製品を安定し
て得ることができる。したがって、本発明のカルボキシ
ル化ポリエーテルエステルは、照明器具カバー、半導体
部品の輸送容器、クリーンルーム内で使用する器具、プ
ロジェクションテレビの前面板、光学レンズなどの帯電
やほこり付着を嫌う用途において使用するための帯電防
止性樹脂組成物を製造するのに好適である。また、本発
明のカルボキシル化ポリエーテルエステルは、帯電防止
性がさらに優れる高分子量ポリエーテルエステルの前駆
体として好ましく用いることができる。
【0054】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。なお、評価及び試験方法を以下に
示す。
【0055】(1)ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)分析試料5mgをヘキサフルオロイソ
プロパノール5mlに溶解し、昭和電工社製カラムHF
IP8120を付けたGPC測定装置(東ソー社製HL
C8120型)を用い、ヘキサフルオロイソプロパノー
ルを溶媒とし、カラム温度40℃にて測定を実施した。
予め標準ポリメチルメタクリレートを用いて同様の測定
を行い、溶出カウントと分子量との検量線を作成してお
き、クロマトグラムから試料の数平均分子量を算出し
た。
【0056】(2)相対粘度 ポリマー0.25gを精秤し、m‐クレゾール50ml
に溶解してオストワルド粘度計No.3を用いて、30
℃で流下時間を測定した。溶解に使用したm‐クレゾー
ルについても同様に流下時間を測定した。相対粘度は、
ポリマーのm‐クレゾール溶液の流下時間とm‐クレゾ
ールの流下時間の比として算出した。
【0057】(3)ポリマー組成1 H−NMR分析を行い、各成分に対応するシグナルの
強度比からポリマー組成を求めた。
【0058】(4)カルボキシル末端基の定量 試料0.3gを試験管に秤量し、ベンジルアルコール5
gを加えて窒素流通下190℃で5分間加熱して溶解し
た。この溶液をクロロホルム40g中に注ぎ、試験管内
部を熱ベンジルアルコール15gとクロロホルム10g
で洗い、それぞれの洗液を加えて滴定用試料とした。
0.1N水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で
フェノールフタレインを指示薬として滴定し、水酸化ナ
トリウム所要量から、カルボキシル末端基量を算出し
た。
【0059】(5)ヒドロキシル末端基の定量 試料約1gを枝付きフラスコに精秤し、α‐メチルナフ
タレン20mlを加えて、窒素流通下240℃に加熱し
て溶解した。この溶液を175℃に冷却し、無水コハク
酸1gを加えて4時間加熱した。加熱後の溶液を大量の
エタノール中に注いでポリマーを沈殿させ、ろ別したの
ち、再度α‐メチルナフタレンに溶解して再沈精製し
た。得られたポリマーのカルボキシル末端基量を上記
(4)の方法で定量し、無水コハク酸処理を行わなかっ
たポリマーのカルボキシル末端基量との差をヒドロキシ
ル末端基量として算出した。
【0060】(6)メルトフローレート(MFR) 東洋精機社製メルトインデクサーを用いて、バレル温度
を変えながら荷重1kgでのメルトフローレート(MF
R)を測定し、温度とMFRをプロットしたグラフを作
成した。このグラフから、MFRが1g/10分間以下
となる温度を読み取った。
【0061】(7)表面抵抗値 東亜電波工業社製の絶縁抵抗計ウルトラメグオームメー
ターSM−8200シリーズSME8311型を用い
て、23℃、相対湿度50%で500Vを45秒間成形
品に印加し、15秒後の表面抵抗値を測定した。持続性
評価のため、試験片を、水道水を流しながら布で軽く6
0回ぬぐい、水滴を拭き取ってから恒温室内において2
4時間後に、上記と同様にして表面抵抗値を測定した。
また、PEGはポリオキシアルキレングリコールを意味
し、かっこ内の数値は数平均分子量を示す。
【0062】実施例1 (1)ポリエーテルエステル(A−1)の製造 かきまぜ機、窒素導入管及び留去管を備えた反応器にテ
レフタル酸ジメチル51重量部、エチレングリコール3
3重量部及び酢酸マンガン2水和物0.02重量部を仕
込み、180〜230℃で3時間加熱して、生成するメ
タノールを留去しながら、エステル交換反応を実施し
た。次いで、反応器に数平均分子量1500のポリオキ
シエチレングリコール17重量部、三酸化アンチモン
0.03重量部及びトリメチルホスフェート0.015
重量部を追加し、260℃に昇温した。反応器内を徐々
に減圧し、過剰のエチレングリコールを留去しながら、
内圧を1トール以下に保ち3時間重縮合反応を実施し
た。その後反応器内に窒素で圧力をかけながら、底部の
バルブを開け、少量のポリマーを排出し、サンプルとし
た。
【0063】得られたポリエーテルエステル(A−1)
のGPC分析の結果、ポリメチルメタクリレート換算の
数平均分子量は6.5万であった。また相対粘度は1.
8であった。1H−NMR分析の結果、その組成は、ポ
リオキシエチレングリコール成分25重量%、テレフタ
ル酸成分58重量%、及びエチレングリコール成分17
重量%であった。カルボキシル基及びヒドロキシル基の
定量結果はそれぞれ3eq/トン及び28eq/トンで
あり、ほぼヒドロキシル基で占められていることが分か
った。
【0064】(2)カルボキシル化ポリエーテルエステ
ル(A−1−1)の製造 反応器底部のバルブを再び閉じ、ポリエーテルエステル
100重量部当たり無水フタル酸0.21重量部(末端
ヒドロキシル基の0.5倍モル)を添加し、250℃で
内圧を1トール以下に保ちながら後反応を1時間実施し
た。再度反応器内に窒素で圧力をかけながら底部のバル
ブを開け、ポリマーをストランド状に排出し、ペレタイ
ザーでカットしてペレットを得た。ポリマーの排出状態
は安定し、カッティング性も良好であった。このカルボ
キシル化ポリエーテルエステル(A−1−1)のGPC
分析の結果、ポリメチルメタクリレート換算の数平均分
子量は6.4万であった。カルボキシル基及びヒドロキ
シル基の定量結果はそれぞれ16eq/トン、15eq
/トンであり、当量比は約1.1となった。また相対粘
度は1.8で(A−1)と変わらなかった。1kg荷重
でのメルトフローレートが1g/10分間以下になる温
度は230℃であった。
【0065】実施例2〜6 仕込み組成を表1に示すように変更し、かつ酸無水物の
種類と使用量を表3に示すように変更した以外は、実施
例1と同様にして行った。製造条件とその結果を表1、
表2及び表3にまとめて示す。
【0066】実施例7,8 仕込み組成を表1に示すように変更した以外は、実施例
1と同様にしてポリエーテルエステル(A−7)及び
(A−8)の製造を行った。この(A−7)及び(A−
8)のカルボキシル基及びヒドロキシル基の定量結果、
それぞれ3eq/トン、22eq/トン及び3eq/ト
ン、24eq/トンであり、後者が過剰であった。(A
−7)又は(A−8)を反応器から取り出し、冷却固
化、カッティングして細粒化した。さらに(A−7)又
は(A−8)100重量部に対して無水フタル酸又は無
水ピロメリット酸0.46重量部を添加、混合し、窒素
パージしながら30mm二軸押出機へ供給してバレル温
度200℃で押出造粒し、ポリエーテルエステル(A−
7−1)又は(A−8−1)を得た。得られたポリエー
テルエステル(A−7−1)及び(A−8−1)のGP
C分析の結果、ポリメチルメタクリレート換算の数平均
分子量は8.7万及び9.0万であり、相対粘度はいず
れも1.9であった。また1kg荷重でのメルトフロー
レートが1g/10分間以下になる温度は210℃及び
190℃であった。製造条件とその結果を表1、表2及
び表3にまとめて示す。
【0067】比較例1〜4 仕込み組成を表1に示すように変更するとともに、酸無
水物の使用量を表3に示すように変更し、比較例3、4
はさらに重縮合温度条件を表1に示すように変更した以
外は、実施例1と同様にして行った。製造条件とその結
果を表1、表2及び表3にまとめて示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】比較例5 ポリエーテルエステルアミド(B−1)の製造 数平均分子量1500のポリオキシエチレングリコール
とε‐カプロラクタムを主原料として、さらにテレフタ
ル酸を連結剤として用いて、公知の方法で共重縮合し
た。得られたポリエーテルエステルアミド(B−1)の
相対粘度は2.1、NMR分析により、組成はポリオキ
シエチレングリコール成分60重量%、テレフタル酸成
分8重量%、及びカプロラクタム成分32重量%であっ
た。また、1kg荷重でのメルトフローレートが1g/
10分間以下になる温度は180℃であった。
【0072】参考例1 実施例3で製造したポリエーテルエステル(A−3−
1)15重量部、旭化成工業(株)製アクリル樹脂「デ
ルペットLP−1」84.5重量部、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム0.5重量部をドラムブレンダー
で混合し、30mm二軸押出機を用いて樹脂温度約26
0℃で混練、造粒した。得られたペレットを幅約30c
mのTダイを付けた50mm単軸押出機から樹脂温度約
260℃で押し出し、表面温度約100℃のポリシング
ロールの間隔を調整して、厚さ2mmのシート状に成形
した。成形中にポリシングロール表面の曇りやTダイの
リップへの目やに状付着物は認められなかった。このシ
ートから試験片を切り出し、23℃、相対湿度50%の
恒温室内に置いて24時間後に表面抵抗値を測定したと
ころ、4×1012Ωであった。また試験片を水道水を流
しながら布で軽く60回ぬぐい、水滴を拭き取ってから
恒温室内に置いて15時間後に表面抵抗値を測定したと
ころ、1×1013Ωであり、大きな性能低下は見られな
かった。
【0073】参考例2 実施例3で製造したポリエーテルエステル(A−3−
1)100重量部と、1,3‐ビス(N,N′‐ジグリ
シジルアミノメチル)シクロヘキサン0.73重量部と
をドラムブレンダーで混合し、30mm押出機を用いて
樹脂温度約200℃で混練、造粒した。このポリエーテ
ルエステル(A−3−1−1)のGPC分析の結果、ポ
リメチルメタクリレート換算の数平均分子量は18.5
万となり、相対粘度は2.2に向上した。(A−3−1
−1)を参考例1と同様にコンパウンド及び評価したと
ころ、ポリシングロール表面の曇りやTダイリップの目
やに状付着物は無く、得られたシートの表面抵抗値は5
×1011Ω、水拭き後の表面抵抗値は2×1012Ωであ
り、(A−3−1)を用いた参考例1よりも性能が改良
されていた。
【0074】参考例3 ポリエーテルエステルの代わりにポリエーテルエステル
アミド(B−1)を用い、他は参考例1と同様にして実
施したところ、約30分間の連続運転でポリシングロー
ル表面の曇りやTダイリップの目やに状付着物が見ら
れ、シートの表面に着色した目やにが付着し、参考例
1、2に比べて外観に劣るものしか得られなかった。
【0075】参考例4 旭化成工業(株)製アクリル樹脂「デルペットLP−
1」89.5重量部、分子量5000のポリエチレング
リコール10重量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム0.5重量部をドラムブレンダーで混合し、
30mm二軸押出機を用いて樹脂温度約260℃で混
練、造粒した。以下は、参考例1と同様に実施したが、
得られたシートの表面抵抗値は3×1011Ω、水拭き後
の表面抵抗値は8×1015Ωであり、帯電防止性の持続
性に劣るものであった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ジカルボン酸単位15〜55重量
    %、有機ジヒドロキシ化合物単位3〜20重量%及びポ
    リ(オキシアルキレン)グリコール単位25〜82重量
    %から構成され、かつ分子中のヒドロキシル基に対する
    カルボキシル基の当量比が1未満のポリエーテルエステ
    ルをカルボキシル化してヒドロキシル基に対するカルボ
    キシル基の当量比を1以上に調整して成る、ポリメチル
    メタクリレート換算数平均分子量5万〜14万のカルボ
    キシル化ポリエーテルエステル。
  2. 【請求項2】 有機ジカルボン酸単位が芳香族ジカルボ
    ン酸単位である請求項1記載のカルボキシル化ポリエー
    テルエステル。
  3. 【請求項3】 芳香族ジカルボン酸単位がフタル酸単
    位、テレフタル酸単位及びイソフタル酸単位の中から選
    ばれた少なくとも1種である請求項2記載のカルボキシ
    ル化ポリエーテルエステル。
  4. 【請求項4】 有機ジヒドロキシ化合物単位がアルキレ
    ングリコール単位又はシクロアルキレングリコール単位
    である請求項1、2又は3記載のポリエーテルエステ
    ル。
  5. 【請求項5】 有機ジヒドロキシ化合物単位が2,2‐
    ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐プロパン単位である
    請求項1、2又は3記載のポリエーテルエステル。
  6. 【請求項6】 ポリ(オキシアルキレン)グリコール単
    位がポリエチレングリコール単位、ポリプロピレングリ
    コール単位及びポリブチレングリコール単位の中から選
    ばれた少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれ
    かに記載のポリエーテルエステル。
  7. 【請求項7】 多価カルボン酸無水物によりカルボキシ
    ル化された請求項1ないし6のいずれかに記載のカルボ
    キシル化ポリエーテルエステル。
  8. 【請求項8】 多価カルボン酸無水物が芳香族ジカルボ
    ン酸無水物である請求項7記載のカルボキシル化ポリエ
    ーテルエステル。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012246387A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Dic Corp ポリエステル樹脂の製造方法、ポリエステル樹脂、電子写真トナー用樹脂組成物及び電子写真トナー

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