JP2002205365A - 光学用易接着フィルム - Google Patents

光学用易接着フィルム

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JP2002205365A
JP2002205365A JP2001002665A JP2001002665A JP2002205365A JP 2002205365 A JP2002205365 A JP 2002205365A JP 2001002665 A JP2001002665 A JP 2001002665A JP 2001002665 A JP2001002665 A JP 2001002665A JP 2002205365 A JP2002205365 A JP 2002205365A
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resin
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coating
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JP2001002665A
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Hiroshi Taki
博 多喜
Chikao Morishige
地加男 森重
Masaya Higashiura
真哉 東浦
Masayoshi Sato
昌由 佐藤
Naoki Mizuno
直樹 水野
Mikio Matsuoka
幹雄 松岡
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材フィルム表面に異物が少なく、接着性、
耐水性、回収性、透明性に優れ、かつプリズムレンズ加
工やハードコート加工等の後加工工程において、加熱白
化防止性に優れ、さらに光学欠点が少ない光学用易接着
フィルムを提供する。 【解決手段】 実質的に粒子を含有しない二軸延伸ポリ
エステルフィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面
に粒子を含有する被覆層を設けてなる被覆フィルムであ
って、前記基材表面に存在する、高さ1μm以上で最大
径20μm以上の凸部と、凸部に隣接している所から1
00μm以内の深さが0.5μm以上である凹部を有す
る異物の個数が10個/m2以下であり、前記被覆フィ
ルムの耐水性値が90以上、溶融成型後の変色値が10
以下、加熱後のヘイズ値の変化が20%以下であること
を特徴とする光学用易接着フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学用易接着フィ
ルムに関し、詳しくは、光学欠点が少なく、透明性、接
着性、耐水性、回収性に優れ、かつプリズムレンズ加工
やハードコート加工等の後加工工程において優れた加熱
白化防止性を有する光学用易接着フィルムに関するもの
である。
【0002】
【従来技術】二軸配向ポリエステルフィルムは優れた透
明性、寸法安定性、耐薬品性から各種光学用フィルムと
して多く利用されている。
【0003】特に、液晶表示装置に用いられるプリズム
レンズシート用のベースフィルムやタッチパネル用ベー
スフィルム、バックライト用ベースフィルム、AR(ア
ンチリフレクション)フィルム用のベースフィルムやC
RT用の破砕防止フィルムの用途は、優れた強度、寸法
安定性が要求されるため、ベースフィルムとして厚みが
100μm以上の比較的厚手のフィルムが好適に用いら
れている。
【0004】このような光学用フィルムの基材として用
いられるベースフィルムには、下記のような特性が要求
されている。 1)透明性に優れていること 2)プリズムレンズ加工やハードコート加工、AR加工
などの後加工処理時に、基材上に設けられる樹脂との接
着性に優れていること 3)前記の接着性が高温・高湿度下でも低下しないこと
(優れた耐水性) 4)後加工工程での加熱処理時にフィルムの白化が少な
いこと 5)光学的な欠点となる異物が極力少ないこと 6)環境保全の観点から、屑フィルムの回収利用が可能
なこと
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、一般に二軸
配向ポリエステルフィルムは、概して他の材料、例えば
アクリル系樹脂を主成分とするプリズムレンズ層やハー
ドコート層などとの接着性が悪いことが知られている。
このため、ポリエステルフィルムの表面に、ポリエステ
ルフィルムにアンカーコート層を設け接着性を改良する
ことが一般的に行なわれている。
【0006】アンカーコート用樹脂として、多数の樹脂
がこれまで提案されている。例えば、ポリエステルに代
表される比較的極性が高いフィルムに対しては、水溶性
あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはアクリ
ル系樹脂を用いることが、特開昭54−43017号公
報、特公昭49−10243号公報、特開昭52−19
786号公報、特開昭52−19787号公報、特開昭
58−124651号公報等で提案されている。しかし
ながら、これら従来の技術では接着性の改良効果が十分
ではない。
【0007】そこで、ポリエステルフィルムの接着性を
改良するために、グラフト変性を中心とした種々の変性
ポリエステル樹脂をアンカーコート用樹脂として使用す
ることが、例えば特開平2−3307号公報、特開平2
−171243号公報、特開平2−310048号公
報、特開平3−273015号公報、特公平3−676
26号公報等で提案されている。しかしながら、このグ
ラフト変成ポリエステル樹脂をアンカーコート用樹脂と
して用いることにより、接着性は向上するが、湿潤下で
の接着性に乏しいという問題がある。
【0008】このため、架橋剤を併用することにより湿
潤下での接着性を向上させることが、特公平5−744
633号公報、特公平6−24765号公報、特公平6
−39154号公報、特公平6−39548号公報等で
提案されている。しかしながら、架橋剤を併用すること
により湿潤下での接着性は改良されるが、ポリエステル
フィルム製造時に製品とならない屑フィルムは、ペレッ
ト状に溶融成型しフィルム原料として再利用する場合
に、得られるフィルムは品位が低く、実用上再利用する
ことができない。
【0009】したがって、たとえ耐水性及び接着性に優
れる被覆ポリエステルフィルムであっても、フィルム製
造時に製品とならない屑フィルムは廃棄されるか、ある
いは用途や混合量を限定して使用されているのが現状で
ある。そのため、製造コストが高く、かつ廃棄に伴う環
境負荷の観点からも問題となっている。
【0010】さらに、光学用途等においてはフィルム加
工時または加工後での高温環境下において、フィルムが
白化して透明性が低下することや微小な表面突起が形成
されるという問題がある。前記のフィルムの白化や微小
な表面突起の形成は、フィルム中のポリエステルオリゴ
マーの結晶が表面へ析出することで発生する。
【0011】フィルム表面へのオリゴマー析出を抑制す
る方法として、固相重合により製造したオリゴマー含有
量の少ないポリエステルを使用する方法(特開昭55−
89330号公報、特開昭55−189331号公
報)、フィルム表面をオリゴマー含有量の少ないポリエ
ステルで被覆する方法(特開平11−300918号公
報)等が提案されている。しかしながら、これらの方法
のみでは接着性、耐水性、及び回収性をすべて改善する
ことはできず、また公知のコーティングフィルムの技術
と組み合わせたとしても、接着性、耐水性、回収性、加
熱白化防止性のすべてに優れたポリエステルフィルムは
得られていない。
【0012】また、二軸延伸ポリエステルフィルムは、
滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング
性を付与するために、フィルム中に不活性粒子を含有さ
せ、フィルム表面に微小な凹凸を形成させることが一般
的に行なわれている。しかしながら、一般に粒子とポリ
エステルの屈折率の差は大きく、さらにフィルム延伸時
に粒子周囲に発生するボイドにより、ポリエステルフィ
ルム中に粒子を含有させることはフィルムの透明性を悪
化させる原因となる。
【0013】また、基材フィルムを製膜する際、原料ポ
リマー中に異物が存在すると、製膜時の延伸工程でこの
異物の周囲でポリエステル分子の配向が乱れ、光学的歪
みが発生する。この光学的歪みのため、実際の異物の大
きさよりもかなり大きな欠点として認識されるため、著
しく品位を損なう。例えば、大きさ20μmの異物で
も、光学的には50μm以上の大きさとして認識され、
さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識
される場合もある。
【0014】高透明なフィルムを得るためには、基材フ
ィルム中に易滑性を付与するための粒子を含有させない
か、透明性を阻害しない程度に少量しか含有させないこ
とが望ましい。しかしながら、粒子含有量が少なくフィ
ルムの透明性が高くなるほど、微小な異物による光学欠
点はより鮮明となる傾向にある。また、フィルムが厚手
になるほど、フィルム単位面積当たりの異物の含有量が
薄手のフィルムより多くなる傾向にあり、一層この問題
は大きくなる。
【0015】一方、フィルムの透明性を高くするため
に、基材フィルム中に粒子を含有させないと、フィルム
の易滑性が不十分となりハンドリング性が悪化する。そ
のため、被覆層に粒子を含有させて、被覆層表面に凹凸
を形成させる必要がある。
【0016】被覆層中に含有させる粒子としては、透明
性の点から、可視光線の波長以下の極めて平均粒径が小
さい粒子が好ましい。しかしながら、これらの微細粒子
は粗大凝集物となりやすく、この粗大凝集物を含有する
被覆層を基材フィルムに積層すると光学欠点の原因とな
る。
【0017】すなわち、本発明の目的は、前記従来の問
題点を解消し、基材フィルム表面に異物が少なく、接着
性、耐水性、回収性、透明性に優れ、かつプリズムレン
ズ加工やハードコート加工等の後加工工程において、加
熱白化防止性に優れ、さらに光学欠点が少ない光学用易
接着フィルムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた光学用易接着フィルムとは、以下のとお
りである。
【0019】すなわち、本発明の第1の発明は、実質的
に粒子を含有しない二軸延伸ポリエステルフィルムを基
材とし、該基材の少なくとも片面に粒子を含有する被覆
層を設けてなる被覆フィルムであって、前記基材表面に
存在する、高さ1μm以上で最大径20μm以上の凸部
と、凸部に隣接している所から100μm以内の深さが
0.5μm以上である凹部を有する異物の個数が10個
/m2以下であり、前記被覆フィルムの耐水性値が90
以上、溶融成型後の変色値が10以下、加熱後のヘイズ
値の変化が20%以下であることを特徴とする光学用易
接着フィルムである。
【0020】第2の発明は、前記被覆層を構成する樹脂
が芳香族ポリエステル系樹脂または酸価が200eq/
t以上のアクリル系樹脂から選ばれる単独樹脂、2種以
上の樹脂混合物、または共重合体樹脂であることを特徴
とする第1の発明に記載の光学用易接着フィルムであ
る。
【0021】第3の発明は、第2の発明に記載の樹脂
が、2重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1
種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以上含
有することを特徴とする光学用易接着フィルムである。
【0022】第4の発明は、前記被覆フィルムの被覆層
の表面及び内部に存在する最大径が100μm以上の異
物の数が3個/m2以下であることを特徴とする請求項
1乃至3記載の光学用易接着フィルムである。
【0023】
【作用】本発明の光学用易接着フィルムは、耐水性値が
90以上であることが必要であり、好ましくは95%以
上である。耐水性値が90%未満では、ポリエステルフ
ィルムの被覆層にインキ層を形成させた際に、湿潤下で
の接着性が不良となる。本発明で定義する耐水性値と
は、UVシールインキを易接着ポリエステルフィルムの
被覆層に塗布し、UV硬化させた後、加圧ボイル処理を
120℃で1時間行い、次いでフィルムの被覆層面をJ
IS−K5400記載の方法で剥離試験を行なった際
に、剥離せずに残ったインキの残存面積率(%)のこと
である。すなわち、湿潤下での被覆層の接着性の強さを
示すパラメータである。
【0024】また、本発明の光学易接着フィルムは、溶
融成型後の変色値が10以下であることが必要である。
変色値が10を越えると、回収ペレットをフィルム原料
として使用する際にポリエステルフィルムの品位の低下
が著しくなる。
【0025】本発明で定義する溶融成型後の変色値と
は、易接着ポリエステルフィルムを溶融成型したペレッ
トと、溶融成型前の易接着ポリエステルフィルムとのカ
ラーb値の差で表わされるパラメータである。
【0026】具体的には、易接着ポリエステルフィルム
を短冊状に切断し減圧乾燥した後、モデル試験機により
280℃の温度で溶融押出しし、水中で冷却し、次いで
切断してペレットに成形する。このペレットを回収ペレ
ットと略記する。回収ペレットとテスト前の易接着ポリ
エステルフィルムとのカラーb値を測定し、両者の差を
溶融成型後の変色値と定義する。カラーb値とは、光電
色度計で測定されるLab空間によるb値を意味する。
【0027】本パラメータを用いたバックグラウンドに
ついて説明する。ポリエステルフィルムを製造する際
に、テンターでの横延伸時にクリップで把持された両端
部、スリット時に所定の製品幅に満たない両端部、品質
面で格落ちしたロール状フィルム、製膜開始時及び終了
時、条件変更時、トラブルなどにより、製品とならない
屑フィルムが必ず発生する。一般的には、前記の屑フィ
ルムは、フレーク状に砕いた後、押出し機で溶融され、
ダイスからストランド状に水中へ吐出され、次いでペレ
ット状にカットされ、回収ペレットとして再成形しフィ
ルム原料として再利用される。
【0028】ところが、被覆層を有するポリエステルフ
ィルムからなる回収ペレットを使用したフィルムは、回
収ペレット製造時の熱履歴により被覆層が変質し、フィ
ッシュアイの原因となる異物が存在したり、または着色
等により品位が低くなる。そのため、透明性、異物に起
因する粗大突起、フィッシュアイなどの欠点が問題とな
る光学用途では、製品とならない屑フィルムをフィルム
原料として再利用することができない。
【0029】この現象を詳しく解析し、モデルテストに
より被覆層を有するポリエステルフィルムを再溶融して
ペレットに再成型し、該ペレットをフィルム原料とし二
軸延伸した際のフィルムの変色値(溶融成型後の変色
値)をパラメータとして用いることにより、実際に回収
ペレットを含むフィルム原料を用いてポリエステルフィ
ルムを製造した際のフィルムの品位が把握できることを
見出した。その結果、回収ペレットを使用したフィルム
の品位の低下を小さくするためには、すなわち、回収可
能な易接着ポリエステルフィルムであるためには、溶融
成型後の変色値を10以下とすることが必要である。
【0030】さらに、本発明の易接着ポリエステルフィ
ルムは、加熱後のヘイズ値の変化が20%以下であるこ
とが必要である。好ましくは15%以下であり、特に好
ましくは10%以下である。ヘイズ値の変化が20%を
越えるとフィルムの白化が著しくなり、後加工工程で熱
処理が行なわれる光学用途に本発明のフィルムを基材と
して使用した際に、外観及び性能への影響が無視できな
くなる。
【0031】加熱後のヘイズ値の変化とは、150℃で
30分間加熱した後のヘイズ値と、加熱する前の易接着
ポリエステルフィルムのヘイズ値との差を意味する。こ
のパラメータは、本発明の易接着ポリエステルフィルム
が後加工工程で熱処理される際のフィルムの加熱白化を
フィルム段階で予見し品質を管理するために用いられる
ものである。
【0032】本発明の易接着フィルムは、光学用部材の
基材として使用されるため、光学欠点の原因となる異物
は可能な限り低減させる必要がある。異物は大きく分け
て、(1)原料ポリエステル中の触媒(重縮合反応触
媒、エステル交換反応触媒)、添加剤(アルカリ金属
塩、アルカリ土類金属塩のような静電密着改良剤、リン
酸またはリン酸塩のような熱安定剤など)の凝集物、金
属還元物に起因するもの、(2)外部から混入したコン
タミ物、(3)高融点有機物、などに分類される。
【0033】溶融樹脂の押し出し工程において濾材を通
過する微細な異物であっても、シート状溶融ポリエステ
ル樹脂の冷却過程において異物の周囲で結晶化が進み、
次工程の延伸工程において延伸の不均一性を引き起こ
し、微小な厚みの差異を生じせしめレンズ状態となる。
ここでは光はレンズがあるかの様に屈折又は散乱し、肉
眼で観察した時には実際の異物より大きく見える様にな
る。この微小な厚みの差は、凸部の高さと凹部の深さの
差として観測することができ、凸部の高さが1μm以上
で、凸部に隣接する凹部の深さが0.5μm以上である
と、レンズ効果により、大きさが20μmの形状の物で
も肉眼的には50μm以上の大きさとして認識され、さ
らには100μm以上の大きさの光学欠点として認識さ
れる場合もある。基材フィルム中に粒子を実質的に含有
しない高透明なフィルムでは、微小な凹凸による光学欠
点はより鮮明となる傾向にある。また、厚手のフィルム
の表面は薄手のフィルムより急冷となりにくく、結晶化
が進む傾向にあり、一層この問題は大きい。
【0034】本発明で用いる基材フィルムは、高さ1μ
m以上で最大径20μm以上の凸部と、凸部に隣接して
いる所から100μm以内の深さが0.5μm以上であ
る凹部を有する異物がフィルム表面に10個/m2以下
と少ないため、光学用部材として使用した際の光学欠点
が少ないという特徴を有する。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光学用易接着フィ
ルムにおける実施の形態を詳細に説明する。
【0036】(基材フィルム用ポリエステル樹脂)本発
明の基材フィルムとして用いられるポリエステルフィル
ムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート又は
これらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体が用い
られるが、なかでもポリエチレンテレフタレートから形
成された二軸延伸フィルムが特に好適である。
【0037】ポリエステルの重合方法としては、ジカル
ボン酸とグリコールをエステル化反応させ、次いで重縮
合反応を行う直接重合法、あるいはジカルボン酸塩とグ
リコールをエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を
行うエステル交換法、など公知の方法を適用することが
できる。
【0038】上記ポリエステル樹脂には、重縮合触媒
(エステル交換法の場合には、エステル交換反応触媒も
使用される)、リン酸またはリン酸塩などの熱安定剤が
必須成分として用いられる。これら以外に、アルカリ金
属塩やアルカリ土類金属塩も適性量含有させ、これらの
金属塩とリン原子のモル比を制御することで、シート状
の溶融ポリエステル樹脂を回転冷却ロール上に静電印加
法により密着固化させ、厚みの均一な未延伸シートを安
定して得ることができる。
【0039】ポリエステルの代表的な重縮合触媒とし
て、三酸化アンチモン、アンチモングリコラートなどの
Sb系触媒、Ge系触媒、Ti系触媒がある。透明性、
熱安定性、価格の点から、フィルム用ポリエステル樹脂
の重縮合触媒としては、一般的に三酸化アンチモン(S
23)が使用されている。
【0040】特に、重縮合触媒としてSb23を使用し
た場合、重合時及び/または未延伸ポリエステルフィル
ムの製造時に、Sb23が金属Sbに還元され、フィル
ム表面に凝集物として析出しやすくなる。これがフィル
ムにおける光学欠点の原因の1つとなるため、重縮合時
間を著しく遅くしない範囲で、できるだけSb23の含
有量を低減させることが好ましい。
【0041】したがって、本発明のように光学用途に使
用する場合には、Sb23含有量を、汎用フィルム原料
に使用するポリエステル樹脂に比べ、低減させておくこ
とが光学欠点を低減する上で有効である。
【0042】高さ1μm以上で最大径20μm以上の凸
部と、凸部に隣接している所から100μm以内の深さ
が0.5μm以上である凹部を有する異物をフィルム表
面に10個/m2以下とするためには、ポリエステル樹
脂中のSb23の含有量をSb元素として50〜250
ppmとすることが好ましく、60〜200ppmがさ
らに好ましく、特に好ましくは70〜150ppmであ
る。
【0043】また、前記ポリエステル樹脂中には、粒子
を実質上含有させないことが必要である。粒子が実質上
含有しないとは、原子吸光分析法や発光分析法など予め
他の分析法で定量分析し作成した蛍光X線分析法の検量
線を用いて粒子に起因する元素を定量した際に、その含
有量が検出限界以下となる含有量を意味する。
【0044】しかしながら、例えばエステル交換触媒に
用いられる酢酸カルシウムと炭酸カルシウム粒子、リン
酸カルシウム粒子などでは、元素としてカルシウムが共
通しており、カルシウム元素が触媒なのか粒子なのかの
判別が困難な場合がある。このような場合には、ポリエ
ステル樹脂またはポリエステルフィルムをヘキサフルオ
ロイソプロパノール/クロロホルム(=2/3;体積
比)で溶解し、次いで遠心分離して粒子を分離した後、
デカンテーションを行い、原子吸光分析法や発光分析法
などで上澄み液中の触媒起因のカルシウム元素量を定量
する。そして、ポリエステル中の総カルシウム含有量と
触媒に用いたカルシウム元素量との差異より、粒子起因
のカルシウム元素量を算出することができる。
【0045】さらに、重縮合完了後PET樹脂を孔径
(95%カット)が7μm以下のナスロン製フィルター
で濾過処理を行たり、溶融樹脂をストランド状に冷却水
中に押し出す際に予め冷却水を濾過処理(孔径:1μm
以下)し、かつこの工程を密閉した部屋とし、ヘパフィ
ルターで環境中の1μm以上の異物を低減させておくこ
とは、基材フィルムの原料となるPET樹脂中の大きさ
20μm以上の異物をフィルムの単位面積当たり10個
/m2以下とするのに好ましい。
【0046】また、ポリエステル樹脂の固有粘度は、
0.45〜0.80dl/gの範囲が好ましい。固有粘
度が0.45dl/g未満であると、フィルム製造時に
破断が多発しやすくなる。一方、固有粘度が0.80d
l/gを超えると、濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が
困難となる。さらに、フィルムの熱収縮率も悪化する。
【0047】本発明において、ポリエステル樹脂を製造
した後、低オリゴマー化処理、及び触媒失活処理あるい
はオリゴマー再生抑止処理を行うことは、加熱後のヘイ
ズ値の変化を20%以下とするための重要な手段の1つ
である。ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂を例に挙げて説明する。
【0048】ポリエチレンテレフタレートフイルム中に
含有されている、環状3量体に代表されるオリゴマー量
を低減するためには、まず原料レジンを窒素などの不活
性ガス雰囲気下、1.0MPaより高く2.0MPa以
下、より好ましくは1.0MPaより高く1.4MPa
以下の加圧下で、180℃以上250℃以下、より好ま
しくは200℃以上230℃以下に加熱し、12時間以
上36時間以下の低オリゴマー化処理を行うことが有効
である。
【0049】このとき、雰囲気に酸素が存在すると酸化
反応による着色などの障害が発生し、水蒸気が存在する
と加水分解反応によってポリエチレンテレフタレートの
重合度が低下しフィルムの強度低下などの障害が発生す
る。不活性雰囲気の気圧が1.0MPaより低い場合に
は、外気とともに酸素や水蒸気が侵入しないよう特別に
設計された装置が必要となり、2.0MPa気圧より高
い気圧下で処理をしても低オリゴマー化の効果は変わら
ない。
【0050】低オリゴマー化処理の温度が250℃より
高いと、レジンの融着や溶融、変色などの障害を招き、
180℃より低いと十分な低オリゴマー化効果が得られ
ない。処理時間が12時間より短いときも十分な低オリ
ゴマー化効果が得られず、36時間より長く処理を続け
ても、フィルムの熱処理によるヘイズ上昇に及ぼす効果
は変わらない。
【0051】レジンの低オリゴマー化処理に引き続き、
触媒活性を低下させる失活処理、例えば、酸化、還元、
水和などの化学処理、およびまたは音波、電磁波照射な
どの物理処理により、触媒活性を低下または失わせる処
理を行っても良い。また、ポリエステルの末端OH基
に、例えばエーテル化などの化学修飾を施して環状3量
体などのオリゴマー再生反応を抑止しても良い。
【0052】(被覆層)本発明で基材フィルムの被覆層
に用いる樹脂は、特に限定されるものではないが、例え
ばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂
等が挙げられる。なかでも、芳香族ポリエステル系樹脂
または酸価が200eq/t以上のアクリル系樹脂から
選ばれる1種以上の樹脂または2種以上の共重合体が好
ましい。この共重合体にはブロック体及びグラフト体が
含まれる。
【0053】芳香族ポリエステル系樹脂とは、ポリエス
テルの酸成分中、芳香族ジカルボン酸成分が30モル%
以上含有する樹脂をいう。芳香族ジカルボン酸成分が3
0モル%未満であると、ポリエステル樹脂の加水分解性
が顕著となり耐水性が悪化する。
【0054】前記のアクリル系樹脂における酸価とは、
樹脂溶液等を100Paの減圧下、80℃で2時間乾燥
させた後の固形分を、濃度既知のエタノール性水酸化カ
リウム溶液で滴定して求めた値である。酸価が200e
q/t未満では、本願の特性を満足することが不十分と
なる。アクリル系樹脂の酸価を200eq/t以上とす
ることで、本願の特性を満足することができる。アクリ
ル樹脂の酸価を200eq/t以上とするためには、分
子中に酸性基を含有させる必要がある。しかしながら、
酸性基であってもスルホン酸ナトリウムのように金属塩
になっている場合は、加熱しても変化せず本願の酸価を
満たさないばかりか、かえって被覆層の耐水性を悪化さ
せるため好ましくない。
【0055】被覆層の耐水性を悪化させない酸性基とし
ては、樹脂自体の安定性等から加熱後に分解して極性が
低下するカルボン酸のアミン塩が例示される。使用する
ことができるアミンは、塗膜の乾燥条件で気化すること
が必要であり、例えばアンモニウム、ジエチルアミン、
トリエチルアミン等が挙げられる。
【0056】さらに好ましくは、芳香族ポリエステル系
樹脂または酸価が200eq/t以上のアクリル系樹脂
から選ばれる1種以上の樹脂または2種以上の共重合体
が、2重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1
種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以上含
有することである。5重量%未満では耐水性の効果が不
十分となりやすい。
【0057】前記の酸無水物を樹脂中に導入することに
より、樹脂分子間で架橋反応を行うことが可能となる。
すなわち、樹脂中の酸無水物はコート液中等により加水
分解等によりカルボン酸に変化し、乾燥及び製膜中の熱
履歴により、分子間で酸無水物または他の分子の活性水
素基と反応してエステル基等を生成し、塗布層の樹脂の
架橋を行い、耐水性及び加熱白化防止性等を発現するこ
とができる。
【0058】2重結合を有する酸無水物を含有するモノ
マーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2,
5−ノルボネンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸等が挙げられる。また、ラジカル重合体は、他の重合
性不飽和単量体との共重合体であってもよい。
【0059】他の重合性不飽和単量体としては、(1)
フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フ
マル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジ
エステル、(2)マレイン酸、マレイン酸モノエチル、
マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイ
ン酸のモノエステルまたはジエステル、(3)イタコン
酸、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、
(4)フェニルマレイミド等のマレイミド等、(5)ス
チレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ク
ロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、(6)ビニ
ルトルエン、ジビニルベンゼンなど、(7)アルキルア
クリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基とし
てはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2
−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基、フェニルエチル基等)などのアクリル重合
性単量体、(8)2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタク
リレートのヒドロキシ含有アクリル単量体、(9)アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,
N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチル
アクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミ
ド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリ
ル単量体、(10)N,N−ジエチルアミノエチルアク
リレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
トのアミノ基含有アクリル単量体、(11)グリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基
含有アクリル単量体、(12)アクリル酸、メタクリル
酸、及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩)、などのカルボキシル基またはその塩を含
有するアクリル単量体、などが挙げられる。
【0060】本発明の被覆層形成のために使用される塗
布液は、有機溶媒系または水系溶媒が主たる構成成分で
ある。前記でも述べたように、被覆層を形成する樹脂と
しては、芳香族ポリエステル系樹脂または酸価が200
eq/t以上のアクリル系樹脂から選ばれる1種以上の
樹脂または2種以上の共重合体が、2重結合を有する酸
無水物を含有する少なくとも1種のモノマーからなるラ
ジカル重合体を5重量%以上含有していることが好まし
い。
【0061】この場合、塗布液調整時に酸化合物を添加
することが特に好ましい。この酸化合物の添加により、
樹脂中のカルボン酸基の酸無水化及びエステル化反応を
促進させて樹脂の架橋を向上させることができるため、
本発明の積層ポリエステルフィルムにおける重要な構成
要件である耐水性値を90%以上とするのに好適であ
る。
【0062】酸化合物の添加量は、樹脂に対して1〜1
0重量%の範囲が好ましい。また、酸化合物として種々
の化合物を使用することが可能であるが、被覆層形成時
の熱で気化しやすく、被覆層中の残留量が少なくかつ残
留時の悪影響が小さい、低沸点のカルボン酸が好まし
い。低沸点のカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、吉草酸、ヘプタン酸等を挙げることがで
きる。
【0063】本発明において、耐水性値及び変色値を満
足するためには、前記の酸無水物を用いた架橋反応を行
う際に、窒素原子またはフェノール類を含まない架橋剤
または架橋触媒を使用することが好ましい。
【0064】窒素原子またはフェノール類を含む架橋剤
または架橋触媒は、熱等により酸化・分解し、窒素原子
及び芳香環を中心とした共役構造を有する化合物を生成
する。その結果、着色が著しくなる。しかしながら、本
発明において、これらの架橋剤の使用を完全に否定する
ものではなく、本発明の耐水性値及び変色値が満足され
れば、架橋剤(硬化用樹脂)の種類に応じて適量使用す
ることが可能である。
【0065】窒素原子を含む架橋剤としては、例えば、
(1)尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルム
アルデヒドとの付加物、(2)これらの付加物と炭素原
子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化
合物などのアミノ樹脂、(3)多官能性イソシアネート
化合物、(4)ブロックイソシアネート化合物、(5)
多官能性アジリジン化合物、(6)オキサゾリン化合
物、などが挙げられる。
【0066】前記(2)記載のアミノ樹脂としては、例
えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロー
ルN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシア
ンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ
化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロール
メラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなど
が挙げられる。この中でも、メトキシ化メチロールメラ
ミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロー
ル化ベンゾグアナミンなどが好適である。
【0067】前記(3)記載の多官能性イソシアネート
化合物としては、例えば、低分子または高分子の芳香
族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシ
アネート、などが挙げられる。
【0068】ポリイソシアネートとしては、テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および
これらのイソシアネート化合物の3量体などが例示され
る。
【0069】さらに、これらのイソシアネート化合物の
過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトー
ル、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性
水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエ
ーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水
素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基
含有化合物、などが挙げられる。
【0070】前記(4)記載のブロックイソシアネート
は、上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを公知
の方法より付加反応させて合成することができる。
【0071】イソシアネートブロック化剤としては、例
えば、(a)フェノール、クレゾール、キシレノール、
レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール
などのフェノール類、(b)チオフェノール、メチルチ
オフェノールなどのチオフェノール類、(c)アセトキ
シム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなどのオキシム類、(d)メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、
(e)エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2
−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、
(f)t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級
アルコール類、(g)ε−カプロラクタム、δ−バレロ
ラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム
などのラクタム類、(h)芳香族アミン類、(i)イミ
ド類、(j)アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、
マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、
(k)メルカプタン類、(l)イミン類、(m)、尿素
類、(n)ジアリール化合物類、(o)重亜硫酸ソー
ダ、などを挙げることができる。
【0072】フェノール類を含む架橋剤としては、例え
ば、アルキル化フェノール類、クレゾール類などのホル
ムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド
樹脂が挙げられる。
【0073】フェノールホルムアルデヒド樹脂として
は、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、
イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert
−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフ
ェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−クレ
ゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−シクロ
ヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェ
ノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノー
ル、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニ
ルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノ
ールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物
を挙げられる。
【0074】窒素原子またはフェノール類を含まない架
橋剤として、多官能性エポキシ化合物が挙げられる。こ
れは窒素原子を含むアミン系の架橋触媒を用いることが
多いため、触媒起因の着色が起こる。また、触媒量低減
またはアミン等を含まない触媒を用いることにより、着
色を押さえることが可能ではあるが、架橋が不十分であ
ったり、回収時にゲル状の混合物が増加するため好まし
くない。
【0075】前記記載の多官能性エポキシ化合物として
は、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
およびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグ
リシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル
酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエ
ステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキ
シ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタ
ル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジ
グリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、
アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシ
ジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,
4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘ
キサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキ
レングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット
酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌ
レート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリ
シジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グ
リセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジ
ルエーテル、などが挙げられる。
【0076】多官能エポキシ化合物の触媒として、トリ
エチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチル
アンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ベン
ジルジメチルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメ
チルアミノ)メチルフェノール等の3級アミン、2−メ
チル−4−エチルイミダゾール、2ーメチルイミダゾー
ル等のイミダゾール化合物、ピリジン、メチルピリジン
等の含窒素複素環化合物、また、アミン等を含まない触
媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強
塩基、ほうふっ化亜鉛、四塩化すず等の金属化合物など
が挙げられる。
【0077】本発明において、被覆層形成のために使用
する塗布液は、特に溶媒系を限定するものではないが、
作業環境及び環境保護の面から水系塗布液であることが
好ましい。上記水系塗布液を基材フィルム表面に塗布す
る際には、基材フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液
を均一にコートするために、公知のアニオン系界面活性
剤やノニオン系界面活性剤を適量添加することが好まし
い。
【0078】また、塗布液には、性能向上のために、複
数の他の樹脂等を塗布液に添加してもよい。
【0079】さらに、塗布液中には、ハンドリング性、
帯電防止性、抗菌性など、他の機能性をフィルムに付与
するために、無機及び/または有機粒子、帯電防止剤、
紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの
添加剤を含有させることができる。
【0080】特に、本発明の易接着ポリエステルフィル
ムは、透明性の点から、基材の中に不活性粒子を実質上
含有させていないので、フィルムのハンドリング性や耐
スクラッチ性を向上させるために、被覆層中に適切な大
きさの粒子を塗布液中に適性量含有させ、被覆層表面に
凹凸を形成させることが好ましい。
【0081】かかる粒子の例としては、(1)炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、シリカ、シリカーアルミナ
複合酸化物粒子、カオリン、タルク、二酸化チタン、ア
ルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチ
ウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、
(2)架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレー
ト、架橋アクリル、などの架橋高分子粒子、(3)シリ
コン樹脂粒子、ポリイミド粒子、フッ素系樹脂粒子、な
どの耐熱性高分子粒子、(4)シュウ酸カルシウム等の
有機粒子を挙げることができる。なかでも、シリカ粒子
はポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く、高透明のフ
ィルムを得やすいため最も好適である。
【0082】被覆層中に含有させる粒子の平均粒径は、
20nm以上1000nm以下が好ましい。さらに好ま
しくは30〜500nmであり、特に好ましくは40〜
100nmである。平均粒径が1.0μmを超えると、
フィルムの被覆面が粗面化し、フィルムの透明性が低下
する傾向がある。一方、20nm未満では、ハンドリン
グ性や耐スクラッチ性が不十分となりやすい。
【0083】また、上記塗布液中に含まれる粒子含有量
は、乾燥後の被覆層における樹脂組成物(樹脂と粒子が
主成分)の固形分に対して1〜50重量%が好ましい。
さらに好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜
30重量%である。被覆層の粒子含有量が50重量%を
超えると、フィルムの透明性、接着性が損なわれること
がある。一方、1重量%未満ではハンドリング性や耐ス
クラッチ性が不十分となりやすい。
【0084】フィルムの被覆層中に、前記粒子を2種類
以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを
配合してもよい。いずれにしても、粒子の平均粒径およ
び含有量が、上記の範囲を満足することが好ましい。
【0085】塗布液に用いる溶剤は、特に限定されない
が、作業環境及び環境保護の点から選択される。特に溶
剤として水を用いた場合には、水以外にエタノール、イ
ソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアル
コール類を、全塗布液に対し50重量%未満の範囲で混
合しても良い。さらに、10重量%未満であれば、アル
コール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合しても
よい。但し、塗布液中のアルコール類とその他の有機溶
剤との合計量は、50重量%未満とすることが好まし
い。
【0086】有機溶剤の添加量が50重量%未満であれ
ば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの
場合と比べ被覆層の外観が向上するという効果がある。
50重量%以上では、溶剤の蒸発速度が速くなるため塗
工中に塗布液の濃度変化が起こり、塗布液の粘度が上昇
して塗工性が低下する。その結果、被覆層の外観不良が
起こりやすくなる。さらに、環境面、作業者の健康面、
火災の危険性などからも好ましくない。
【0087】本発明でいう易接着層とは、後述の方法に
したがって測定したときの光硬化型アクリル系コート層
との接着性が85%以上有する被覆層を意味し、好まし
くは90%以上であり、特に好ましくは95%以上であ
る。ここで、接着性とはJIS−K5400の8.5.
1に準拠したクロスカット法を用い下記式から求めた値
を意味する。 接着性(%)=(1−剥離したマス目の数/マス目の総
数)×100
【0088】(易接着フィルムの製造方法)次に、本発
明の光学用易接着フィルムの好適な製造方法について、
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記す
る)を例にして説明するが、当然これに限定されるもの
ではない。
【0089】不活性粒子を実質的に含有していないPE
T樹脂ペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供
給し、Tダイから約280℃の溶融PET樹脂を回転冷
却金属ロールにシート状に溶融押出しし、静電印加法に
より冷却固化せしめて未延伸PETシートを得る。前記
未延伸PETシートは、単層構成でもよいし、共押出し
法による複層構成であってもよい。
【0090】前記のフィルム原料として使用するPET
樹脂は、低オリゴマー処理、及び触媒失活処理あるいは
オリゴマー再生抑止処理を行なっておくことが、フィル
ム加熱後のヘイズ値の変化を低減するのに特に有効であ
る。
【0091】前記の触媒の失活処理あるいはオリゴマー
再生抑止処理を行わない場合には、低オリゴマー処理を
行ったPET樹脂でも、メルトライン中で時間の経過と
ともにオリゴマーが再生しやすくなる。したがって、P
ETを押出し機へ投入後Tダイからシート状に溶融押出
しするまでの滞留時間を20分以内、より好ましくは1
2分以内に制御することにより、フィルム製膜後のフィ
ルム中の環状3量体含有量を5000ppm以下にする
ことができ、フィルム加熱後のヘイズ値の変化を低減す
るのに有効である。
【0092】さらに、基材フィルムの原料PET樹脂中
に含まれている異物を除去するために、溶融押出しの際
に溶融樹脂が約280℃に保たれたメルトライン中の任
意の場所で、高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過
に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレ
ス焼結体の濾材の場合、触媒起因の凝集物、重縮合反応
缶に気液界面に析出したスケールの脱落物、外部から混
入したコンタミ物及び高融点ポリエステルなどのゲルの
除去性能に優れ好適である。
【0093】溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材の
濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下
が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超える
と、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下
の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことによ
り生産性が低下する場合があるが、全光線透過率が高
く、光学欠点が少ない光学用フィルムを得るには極めて
好適である。
【0094】また、厚みが180μm以上の厚手の二軸
延伸PETフィルムを製造する場合、未延伸PETシー
トは回転冷却ロールとの接触面とは反対側の表面が急冷
させにくいため、該表面で結晶化が進む傾向にある。そ
のため、未延伸PETシートの透明性が不十分となりや
すいため、未延伸PETシート製造時にフィルム厚み方
向を均一に急冷することが必要となる。
【0095】未延伸PETシートを厚み方向に均一に冷
却する方法としては、溶融PET樹脂を回転冷却ドラム
上にダイスからシート状に押し出し、シート状の溶融P
ETを回転冷却ドラムに密着させる際に、冷却ドラムと
の接触面とは反対側の表面に、例えば高速気流を吹きつ
けて冷却する方法、スプレーノズルで蒸散する液体を塗
布する方法、槽内の冷却用液体に接触させる方法、など
を併用することにより未延伸PETシートの両面を急冷
する方法が、易接着フィルムの全光線透過率を90%以
上にするのに有効である。
【0096】得られた未延伸PETシートを、80〜1
20℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍
延伸して、一軸延伸PETフィルムを得る。さらに、フ
ィルムの端部をクリップで把持して、70〜140℃に
加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜
5.0倍に延伸する。引き続き160〜240℃の熱処
理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配
向を完了させる。
【0097】このフィルム製造工程中の任意の段階で、
PETフィルムのどちらか片面に、前記の樹脂を主たる
構成成分とする塗布液を塗布する。塗布液中の固形分濃
度は、5〜30重量%であることが好ましく、特に好ま
しくは7〜15重量%である。
【0098】この塗布液中には、特定粒径の微粒子を特
定量含有させ、被覆層表面に凹凸を形成させることが好
ましい。さらに、被覆層を構成する樹脂が芳香族ポリエ
ステル系樹脂または酸価が200eq/t以上のアクリ
ル系樹脂から選ばれる単独樹脂、樹脂混合物または共重
合体樹脂である場合には、2重結合を有する酸無水物を
含有する少なくとも1種のモノマーからなるラジカル重
合体を5重量%以上含有させ、塗布液中に酸化合物を樹
脂に対して1〜10重量%添加することが好ましい。
【0099】さらに、塗布液中の異物を除去すること
は、本発明の易接着フィルムの光学欠点を低減し,全光
線透過率を90%以上にするために有効である。
【0100】塗布液を精密濾過するための濾材は、濾過
粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が25μm以下で
あることが好ましい。濾過粒子サイズが25μmを超え
ると、粗大凝集物の除去が不十分となりやすい。そのた
め、濾過で除去できなかった粗大凝集物は、塗布乾燥後
の一軸延伸又は二軸延伸工程での延伸応力により広がっ
て、100μm以上の凝集物として認識され、フィルム
の光学欠点となったり全光線透過率を低下させる原因に
なりやすい。
【0101】塗布液を精密濾過するための濾材のタイプ
は、上記性能を有していれば特に限定はなく、例えば、
フィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられ
る。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は、上記性
能を有しかつ塗布液に悪影響を及ばさない限り特に限定
はなく、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0102】この塗布液を塗布するには、公知の任意の
方法で行うことができる。例えば、リバースロール・コ
ート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロール
ブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート
法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含
浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げら
れ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うこ
とができる。
【0103】被覆層は、二軸延伸PETフィルム基材に
上記塗布液を塗布しても良いし(オフラインコート
法)、未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステルフィル
ム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥し、さらに一軸
延伸あるいは二軸延伸を行なった後、熱固定を行っても
良いが(インラインコート法)、本発明の効果の点から
後者のインラインコート法が好ましい。該塗布液が塗布
されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンター
に導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な
被膜を形成することができる。
【0104】未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステル
フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸す
る、いわゆるインラインコート法の場合、塗布後の乾燥
工程では水等の溶剤分のみを取り除き、かつ被覆層の架
橋反応が進行しない温度及び時間を選定する必要があ
る。
【0105】乾燥温度は70〜140℃ で行うことが
好ましく、乾燥時間は塗布液の固形分濃度及び塗布量に
応じて調整するが、温度(℃)と時間(秒)の積として
3,000以下とすることが好ましい。積が3,000
を越えると、被覆層が延伸前に架橋反応を起こし、被覆
層に割れ等が生じるため、本発明の目的を達成すること
が困難となる。
【0106】また、被覆層は延伸後、フィルム幅長が変
化しない様にフィルムを固定した状態で、赤外線ヒータ
ーにより被覆層を250〜260℃ で0.5〜1秒間
の短時間で加熱処理することが架橋反応を促進する上で
好ましい。この際、水性塗布液中に酸化合物を水性樹脂
に対して1〜10重量%添加していると、架橋反応がさ
らに促進され被覆層がより強固となる。そのため、フィ
ルムを加熱した際にフィルム表面に析出してくるオリゴ
マーを被覆層によりブロックし、被覆層表面にオリゴマ
ーが析出するのを抑制することができる。その結果、フ
ィルム加熱後のヘイズ値の変化を低減するのに特に有効
である。但し、この方法を適用する場合、基材フィルム
中のオリゴマーの析出を被覆層によりブロックするとい
う作用の点から、基材フィルムの両面に被覆層を設ける
ことが好ましい。
【0107】延伸後のフィルムは通常2〜10%程度の
弛緩処理を行うが、本発明においては被覆層の歪みが少
ない状態、すなわちフィルム幅長が変化しないように固
定した状態で、赤外線ヒーターで被覆層を加熱すること
が好ましい。このような方法を採用することにより、被
覆層内の架橋が促進されより強固となり、本発明の効果
を発現しやすくなる。加熱温度または時間が前記条件よ
り大きいと、フィルムの結晶化または溶解が起こりやす
くなるため好ましくない。また、逆に条件が加熱温度ま
たは時間が前記条件より小さいと、被覆層の架橋が不十
分となり、本発明の効果が不十分となりやすい。
【0108】最終的に得られる被覆フィルム表面の被覆
層の乾燥後塗布量(フィルム単位面積当りの固形分重
量)は、0.04〜5.0g/m2であることが好まし
く、特に好ましくは0.2〜4.0g/m2である。乾
燥後の塗布量が0.04g/m2未満であると、接着性
が不十分となる。塗布量が5.0g/m2を超えると、
光学欠点となる被覆層中の異物の数が相対的に増加する
とともに、全光線透過率が低下し、好ましくない。
【0109】本発明の易接着フィルムは、被覆層と該被
覆層に積層される各種材料との接着性をさらに向上させ
るために、必要に応じて、該被覆層にコロナ処理、火炎
処理、電子線照射等による表面処理を行なってもよい。
【0110】なお、未延伸フィルム作成後から塗布工程
における空気中のクリーン度(0.5μ以上の粒子数/
ft3)を、クラス100,000となるようヘパフィ
ルターによりコントロールすることは、フィルム表面に
付着する異物を低減させるのに有効である。
【0111】本発明における易接着フィルムの厚みは、
50〜300μmが好ましく、特に好ましくは100〜
250μmである。フィルム厚みが50μm未満では、
剛性が不十分となり好ましくない。一方、フィルム厚み
が300μmを超えると、フィルム中に存在する光学欠
点となる異物が相対的に増加し、全光線透過率を低下さ
せるので好ましくない。
【0112】
【実施例】次に、本発明の光学用易接着フィルムを実施
例及び比較例により詳しく説明するが、当然これらに限
定されるものではない。また、本実施例で得られたフィ
ルムの特性の評価は下記の方法により行なった。
【0113】(1)ポリエステルの固有粘度 フェノール60重量%と1,1,2,2−テトラクロロ
エタン40重量%の混合溶媒にポリエステル樹脂を溶解
し、固形分をガラスフィルターで濾過した後、30℃に
て測定した。
【0114】(2)異物の個数 (a)光学欠点の検出 まず、250mm×250mmのフィルム片16枚を準
備する。投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテー
ブル下方400mmに配置し、スリット幅10mmのマ
スクを設ける。投光器と受光器を結ぶ線上と、測定する
フィルム面の鉛直方向との角度を12度にし、光を入射
する。光学欠点が存在すると、その部分が光り輝く。そ
の光量をXYテーブル上方500mmに配置したCCD
イメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信
号を増幅し、微分してスレッシュホールドレベルとコン
パレータで比較して、光学欠点の検出信号を出力する。
また、CCDイメージセンサカメラから入力されたビデ
オ信号を画像処理により光学欠点の大きさを計測し、5
0μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出し、そ
の位置を表示する。この測定をフィルム片16枚すべて
について行なった。
【0115】(b)異物または凝集粗大物の大きさ 前記(a)の方法で検出した欠点部分から、異物による
光学欠点及び被覆層中の粗大凝集物による光学欠点を選
び出す。さらに適当な大きさに切り取って、スケール付
き顕微鏡を用い、フィルム面に対して垂直方向から観察
した時の大きさを測定した。基材フィルム中の異物によ
る光学欠点の場合、20μm以上の最大径を有する異物
の個数(個/m2)を求めた。被覆層中の粗大凝集物の
場合、100μm以上の最大径を有する異物の個数(個
/m2)を求めた。フィルム両面に被覆層を有する場
合、基材フィルムの異物の測定は一方の被覆層を溶剤で
除去して行なった。
【0116】(c)フィルム表面の凹凸の高さ及び深さ 前記(a)の方法で検出した欠点部分から、基材フィル
ム表面及びフィルム中の異物による光学欠点、及び被覆
層中の粗大凝集物による光学欠点を選び出した。さらに
適当な大きさに切り取って、アルミニウム蒸着を行なっ
た。アルミニウム蒸着面を非接触式三次元粗さ計(マイ
クロマップ社製、550)を用いて、フィルム面に対し
て垂直方向から観察した時の大きさ、高さ及び深さを測
定した。
【0117】フィルム表面の異物の個数とは、フィルム
表面に存在する凸部の高さが1μm以上で最大径が20
μm以上の形状を有し、凸部に隣接している所から10
0μm以内の凹部の深さが0.5μm以上の異物の個数
(個/m2)を意味する。
【0118】フィルム中の異物の個数とは、フィルム中
に存在する最大径が20μm以上の異物をフィルム面に
対して垂直方向から観察したときの個数(個/m2)を
意味する。
【0119】被覆層の粗大凝集物の個数とは、被覆層の
表面及び内部に存在する最大径が100μm以上の異物
の個数(個/m2)を意味する。
【0120】(3)接着性 フィルムの被覆層面に、ハードコート剤(大日精化社
製、セイカビームEXF01(B))を#8ワイヤバー
により塗布し、70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した。
次いで、フィルムを送り速度5m/分で走行させなが
ら、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー200mJ/c
2、照射距離15cmの条件下で、厚み3μmのハー
ドコート層を形成させた。
【0121】得られたフィルムをJIS−K5400の
8.5.1記載に準じた試験方法を計3回繰り返し、接
着性を求めた。具体的には、隙間間隔2mmのカッター
ガイドを用いて、ハードコート層と被覆層を貫通して基
材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をつけ
る。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、40
5番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、
消しゴムでこすって完全に付着させる。
【0122】その後、垂直にセロハン粘着テープをフィ
ルムから引き剥がした。さらに、同一箇所にセロハン粘
着テープを貼り付けて引き剥がす操作を、繰り返して最
初の操作を含めて計3回行なった。計3回の操作後、フ
ィルムから剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式
から接着性を求める。なお、マス目の中で部分的に剥離
しているものも剥がれたマス目として数える。 接着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×
100
【0123】(4)耐水性値 フィルムの被覆層面に、オフセットインキ(ティーアン
ドケイ東華社製、ベストキュア161)をRIテスター
(明製作所社製、RI−3)により転写させた。次い
で、フィルムを送り速度5m/分で走行させながら、高
圧水銀灯を用いて照射エネルギー200mJ/cm2
照射距離15cmの条件下で、厚み1μmのインキ層を
形成させた。
【0124】得られたフィルムを水の入ったオートクレ
ーブ(トミー精工社製、SR−240)に入れ、120
℃で1時間加圧ボイル処理した。ボイル処理後、オート
クレーブを常圧に戻し、オートクレーブ内からフィルム
を取りだした。フィルム表面に付着した水を取り除き、
室温で12時間放置した。
【0125】ボイル処理後のフィルムのインキ層側表面
に対し、前記(3)と同様にJIS−K5400の8.
5.1記載に準じた試験方法で接着性を求め、耐水性値
とする。なお、マス目の中で部分的に剥離しているもの
も剥がれたマス目として数える。 耐水性値(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)
×100
【0126】(5)耐水性 前記(3)に記載の方法で作成した、厚み3μmのハー
ドコート層を被覆層面に形成させたポリエステルフィル
ムを、60℃、95%RHの雰囲気下で静置した。50
0時間経過後、フィルムを取りだし、23℃、60RH
%の雰囲気下で12時間放置した。
【0127】その後、前記(3)と同様にJIS−K5
400の8.5.1記載に準じた試験方法を計3回繰り
返し、接着性を求めた。具体的には、隙間間隔2mmの
カッターガイドを用いて、ハードコート層と被覆層を貫
通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り
傷をつける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社
製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼
り付け、消しゴムでこすって完全に付着させる。
【0128】その後、垂直にセロハン粘着テープをフィ
ルムから引き剥がした。さらに、同一箇所にセロハン粘
着テープを貼り付けて引き剥がす操作を、繰り返して最
初の操作を含めて計3回行なった。計3回の操作後、フ
ィルムから剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式
から接着性を求め、耐水性とする。なお、マス目の中で
部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え
る。 耐水性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×
100
【0129】(6)ヘイズ JIS−K7105に準拠し、ヘイズメーター(東京電
色工業社製、モデルTC−H3DP)を用いて測定し
た。
【0130】(7)色相 色差計(日本電色社製、Z−1001DP)によりLa
b値を測定し、黄色度の尺度であるb値を使用した。b
値が高いほど、黄色度が強いことを示す。ポリエステル
の場合、熱劣化していることを示す尺度となる。
【0131】(8)溶融成型後の変色値 被覆層を有するポリエステルフィルムを短冊状に裁断
し、133Paの減圧下で135℃で6時間乾燥した
後、押出し機(池具鉄工社製、PCM−30)に投入
し、吐出量200g/分、シンリンダ温度280℃、回
転数80rpmで溶融樹脂を直径5mmのノズルからス
トランド状に押し出しした後、水槽中で冷却し、次いで
切断することによって回収ペレットを得た。前記押出し
機への短冊状フィルムの供給開始から、ノズルからの溶
融樹脂の流出開始までの経過時間は130秒であった。
【0132】この回収ペレットのb値(b)、およびテ
スト前の積層フィルムのb値(b0)を色差計により測
定し、これらの差を溶融成型後の変色値と定義する。 変色値=b−b0
【0133】(9)回収原料を用いたフィルム中の異物 フィルム原料ポリマーとして、固有粘度が0.62dl
/gで、かつ粒子を実質上含有していないPET樹脂ペ
レットと前記(7)で作成した回収ペレットを60:4
0の重量比で混合し、133Paの減圧下、135℃で
6時間乾燥した。
【0134】その後、ペレット混合物を押出し機(池貝
鉄工社製、PCM−30)に供給し、シリンダ温度28
0℃、吐出量250g/分、回転数150rpmでTダ
イよりシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に
保った回転冷却金属ロール上で静電印加法により急冷固
化し、厚さ1400μmの未延伸シートを得た。前記押
出し機への短冊状フィルムの供給開始から、Tダイから
の溶融樹脂の流出開始までの経過時間は310秒であっ
た。
【0135】次に、この未延伸シートを加熱されたロー
ル群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周
速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸
配向PETフィルムを得た。続いて、フィルムの端部を
クリップで把持して、130℃に加熱された熱風ゾーン
に導き乾燥した後、幅方向に4.0倍に延伸し、厚さ1
00μmの二軸延伸PETフィルムを得た。
【0136】得られたフィルムを前記(2)記載の方法
によりフィルム中の20μm以上の最大経を有する異物
の個数(個/m2)を求めた。
【0137】(10)回収ポリマーを用いたフィルムの
外観 得られたフィルムを透過光及び反射光により観察し、目
視でフィルムの状態を観察し、下記の基準でランク分け
をする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、
最も多いランクを評価ランクとする。仮に、2つのラン
クで同数となった場合には、3つに分かれたランクの中
心を採用した。例えば、◎と○が各2名で△が1名の場
合は○を、◎が1名で○と△が各2名の場合には○を、
◎と△が各2名で○が1名の場合には○を、それぞれ採
用する。
【0138】 ◎:着色がなく、透明で均一である ○:僅かに着色しているが、透明で均一である △:着色しており、少し濁りが観察される ×:著しく着色しており、濁りや不透明な部分が観察さ
れる
【0139】(11)加熱後のヘイズ値の変化 フィルムを8cm×10cmの短冊状に2枚切り取り、
ヘイズメーター(東京電色社製、TC−H3DP)で各
8点を2回測定する。計16点の測定値の平均値を初期
ヘイズ値H0(%)とする。これらの短冊状のフィルム
をクリップで保持し、150℃の熱風オーブン中で30
分間加熱した。フィルムを放冷した後、上記初期ヘイズ
値H0の測定方法と同様にして、加熱後のヘイズ値H
1(%)を測定する。これらのヘイズ値の差(H1
0)を加熱後のヘイズ値の変化と定義する。
【0140】(共重合ポリエステルの調製)撹拌機、温
度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレスス
チール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート3
45重量部、1,4−ブタンジオール211重量部、エ
チレングリコール270重量部、およびテトラ−n−ブ
チルチタネート0.5重量部を仕込み、160℃から2
20℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。
次いで、フマル酸14重量部およびセバシン酸160重
量部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇
温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇
温し、反応系を徐々に減圧した後、29.3Paの減圧
下で1時間30分反応させ、ポリエステル(a−1)を
得た。得られたポリエステルは、淡黄色透明であった。
【0141】同様の方法で、別の共重合組成のポリエス
テル樹脂(a−2)を得た。得られたポリエステル樹脂
(a−1)及び(a−2)の、NMRで測定した組成及び
重量平均分子量を表1に示す。
【0142】
【表1】
【0143】実施例1 (グラフト樹脂の調整)撹拌機、温度計、還流装置と定
量滴下装置を備えた反応器に共重合ポリエステル樹脂
(a−1)75重量部、メチルエチルケトン56重量部
およびイソプロピルアルコール19重量部を入れ、65
℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解
した後、無水マレイン酸15重量部をポリエステル溶液
に添加した。
【0144】次いで、スチレン10重量部、およびアゾ
ビスジメチルバレロニトリル1.5重量部を12重量部
のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/分
でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続
けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、
メタノール5重量部を添加した。次いで、水300重量
部とトリエチルアミン15重量部を反応溶液に加え、1
時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、
メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰の
トリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散性グラフ
ト樹脂(b−1)を得た。この水分散性グラフト樹脂
(b−1)は淡黄色透明であった。この樹脂の酸価は1
400eq/tであった。
【0145】(塗布液の調整)得られた水分散性グラフ
ト樹脂(b−1)の25重量%水分散液を40重量部、
水を24重量部およびイソプロピルアルコールを36重
量部、それぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤の
10重量%水溶液を0.6重量部、プロピオン酸を1重
量部、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製、スノ
ーテックスOL、平均粒径40nm)の20重量%水分
散液を塗布液に対し5重量%添加し、塗布液(以下、塗
布液C−1と略記)とした。
【0146】(PET樹脂の製造)エステル化反応缶を
昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を8
6.4重量部及びエチレングリコールを64.4重量部
からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三
酸化アンチモンを0.017重量部及びトリエチルアミ
ンを0.16重量部添加した。次いで、加圧昇温を行い
ゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で、加圧エス
テル化反応を行った。
【0147】その後、エステル化反応缶内を常圧に戻
し、酢酸マグネシウム4水和物0.071重量部、次い
でリン酸トリメチル0.014重量部を添加した。さら
に、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル
0.012重量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036
重量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応
生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から2
80℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行っ
た。
【0148】重縮合反応終了後、95%カット径が5μ
mのナスロン製フィルターで濾過処理を行った。ヘパフ
ィルターで空気中の1μm以上の異物を減少させた密閉
された部屋で、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行
なった冷却水を流しながら、冷却水槽中に溶融樹脂をノ
ズルから押し出し、このストランド状PET樹脂をカッ
トしてPETチップを得た。得られたPETチップ
(A)は、固有粘度が0.62dl/g、Sb含有量が
144ppm、Mg含有量が58ppm、P量が40p
pm、カラーL値が56.2、カラーb値が1.6であ
り、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していな
かった。
【0149】(易接着PETフィルムの製造)このPE
T樹脂を133Paで減圧下135℃で6時間乾燥した
後、押し出し機に供給し、280℃で再溶融した。メル
トライン中で溶融樹脂を濾過粒子サイズ(初期濾過効率
95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いて濾
過し、滞留時間6分でTダイのスリットからシート状に
押し出し、表面温度が30℃の回転冷却ロール上で静電
印加法を用いて急冷固化し、厚さ1400μmの未延伸
シートを得た。
【0150】次に、この未延伸シートを加熱されたロー
ル群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周
速差のあるロール群で長手方向に二段階に分け総縦延伸
倍率3.5倍で延伸して縦一軸延伸PETフィルムを得
た。
【0151】次いで、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初
期濾過効率95%)が25μmのフェルト型ポリプロピ
レン製濾材で精密濾過し、リバースロール法により縦一
軸延伸PETフィルムの両面に塗布した。塗布後引き続
いて、フィルムの端部をクリップで把持して、130℃
に加熱された熱風ゾーンに導き1秒間乾燥した後、幅方
向に4.0倍に延伸し、さらにフィルムの幅方向の長さ
を固定した状態で赤外線ヒーターにより250℃で0.
6秒間熱処理して、両面に被覆層を有する厚さ100μ
mの二軸延伸PETフィルムを得た。被覆層の最終塗布
量は固形分量で0.50g/m2であった。条件を表2
に、得られた結果を表3に示す。
【0152】実施例2 共重合ポリエステルをA−2とした以外は、前記と同様
の方法により塗布液C−2を得た。このグラフト体の酸
価は1370eq/tであった。この塗布液を用いて、
未延伸シートの厚さが1750μm、製膜後の厚さが1
25μmであること以外は、実施例1と同様の方法で、
両面に被覆層を有する二軸延伸PETフィルムを得た。
条件を表2に、得られた結果を表3に示す。
【0153】実施例3 未延伸シートの厚さが2632μm、製膜後の厚さが1
88μmであり、冷却ロールとの接触面とは反対側の表
面に高速気流を吹きつけて冷却をした以外は、実施例1
と同様の方法で、両面に被覆層を有する二軸延伸PET
フィルムを得た。条件を表2に、得られた結果を表3に
示す。
【0154】実施例4 溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初
期濾過効率95%)が10μmのステンレス製焼結濾材
を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、両面に被覆
層を有する厚さ100μmの二軸延伸PETフィルムを
得た。条件を表2に、得られた結果を表3に示す。
【0155】実施例5 溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初
期濾過効率95%)が10μmのステンレス製焼結濾材
を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面に被覆
層を有する厚さ100μmの二軸延伸PETフィルムを
得た。条件を表2に、得られた結果を表3に示す。
【0156】実施例6 塗布液を精密濾過するための濾材として、濾過粒子サイ
ズ(初期濾過効率95%)が10μmのフェルト型ポリ
プロピレン製濾材を用いた以外は、実施例1と同様の方
法で、両面に被覆層を有する厚さ100μmの二軸延伸
PETフィルムを得た。条件を表2に、得られた結果を
表3に示す。
【0157】比較例1 被覆層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にし
て、両面に被覆層を有する厚さ100μmの二軸延伸P
ETフィルムを得た。条件を表2に、得られた結果を表
3に示す。
【0158】比較例2 実施例1において、プロピオン酸のみを添加しなかった
塗布液を調整した(塗布液C−1’)。この塗布液C−
1’を使用し、かつ赤外線ヒーターではなく温風ヒータ
ーで加熱した以外は実施例1と同様の方法で、両面に被
覆層を有する厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム
を得た。条件を表2に、得られた結果を表3に示す。
【0159】比較例3 異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率
95%)が20μmのステンレス製焼結濾材を用いた以
外は、実施例1と同様の方法で、両面に被覆層を有する
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。条件
を表2に、得られた結果を表3に示す。
【0160】比較例4 共重合ポリエステルA−3のみの水分散体(グラフト体
なし)を塗布液(塗布液C−3)として用いた以外は、
実施例2と同様の方法で、両面に被覆層を有する厚さ1
25μmの二軸延伸PETフィルムを得た。条件を表2
に、得られた結果を表3に示す。
【0161】比較例5 フィルム用PET樹脂(B)として、平均粒径(遠心沈
降式光透過型粒度分布測定法;島津製作所製、SA−C
P3)が1.0μmの凝集体シリカ粒子のエチレングリ
コールスラリー(11重量%)を、2番目のトリメチル
フォスフェート添加後に生成PET樹脂に対しシリカ粒
子として2000ppmをエステル化反応缶に添加した
こと、及び重縮合反応完了後に95%カット径が28μ
mのナスロン製フィルターで濾過処理を行ったこと以外
は、実施例1と同様な方法でPET樹脂を得た。
【0162】得られたPET樹脂(B)は、固有粘度が
0.60dl/g、Sb含有量が144ppm、Mg含
有量が58ppm、P量が40ppm、カラーL値が5
7.6、カラーb値が1.2であり、シリカ粒子をPE
Tに対して2000ppm含有していた。
【0163】前記の粒子を含有していないPET樹脂
(A)と上記シリカ粒子含有PET樹脂(B)を90:
10の重量比で混合し、PET樹脂の溶融押出し工程で
溶融樹脂を濾過処理する際に濾過粒子サイズ(初期濾過
効率95%)20μmのステンレス製焼結濾材を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして、両面に被覆層を有
する厚み100μm二軸配向PETフィルムを得た。条
件を表2に、得られた結果を表3に示す。
【0164】比較例6 塗布液を精密濾過するための濾材として、濾過粒子サイ
ズ(初期濾過効率95%)が50μmのフェルト型ポリ
プロピレン製濾材を用いた以外は、実施例3と同様の方
法で両面に被覆層を有する厚み188μm二軸配向PE
Tフィルムを得た。条件を表2に、得られた結果を表3
に示す。
【0165】比較例7 異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率
95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いて、
冷却ロールとの接触面とは反対側の表面に高速気流を吹
きつけて冷却することをしなかった以外は、実施例5と
同様の方法で両面に被覆層を有する厚み188μm二軸
配向PETフィルムを得た。条件を表2に、得られた結
果を表3に示す。
【0166】比較例8 塗布液(C−4)として、塗布液(C−3)100部、
多官能性エポキシ架橋剤(デナコールEX−313、ナ
ガセ化成(株)製)20部と45重量%のほうふっ化亜
鉛水溶液2部の混合液を用いた以外は、実施例2と同様
の方法で両面に被覆層を有する厚み125μm二軸配向
PETフィルムを得た。条件を表2に、得られた結果を
表3に示す。
【0167】
【表2】
【0168】
【表3】
【0169】
【発明の効果】本発明の被覆層を有する光学用易接着フ
ィルムは、次のような作用効果がある。
【0170】第1に、被覆層の架橋を強固とすることで
被覆層の耐水性値を高くすることができ、耐水性に優れ
るという効果が得られる。
【0171】第2に、強固な架橋を有する被覆層を基材
フィルムの両面に設けることで、表面層へのオリゴマー
の析出を防止し、加熱後のヘイズ値の変化を低減するこ
とができる。また、基材フィルムの原料ポリエステルを
低オリゴマー化処理し、かつメルトライン中での溶融樹
脂の滞留時間を短縮することで、フィルム中のオリゴマ
ー量を低減し、加熱後のヘイズ値の変化を低減すること
ができる。その結果、後加工工程でフィルムの加熱白化
を防止することができる。
【0172】第3に、基材フィルム中に粒子を実質的に
含有させず、被覆層中に特定の平均粒径を有する粒子を
特定量含有させ、さらに基材フィルムの製造時及び塗布
液を高精度濾過することで、光学欠点を減少させること
ができる。
【0173】第4に、被覆層樹脂を架橋させる際に、窒
素原子及び芳香環を中心とした共役構造を有する化合物
を使用しないことで、製品とならなかった被覆層を有す
るポリエステルフィルムを回収・再利用する際に、加熱
後の変色が小さく、かつ異物の析出も少ないという効果
が得られる。
【0174】すなわち、本発明の光学易接着フィルム
は、実質的に粒子を含有しない二軸延伸ポリエステルフ
ィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面に水溶性ま
たは水分散性樹脂を主たる構成成分とする被覆層を設け
てなる被覆フィルムであり、基材フィルム表面の特定形
状を有する異物が少なく、かつ加熱後の変色値、および
加熱後のヘイズ値の変化を小さく、さらに前記被覆フィ
ルムの耐水性値を特定範囲とすることで、光学欠点が少
なく、接着性、耐水性、回収性、加熱白化防止性、透明
性に優れるという特徴を有している。
【0175】そのため、本発明のフィルムの用途は光学
用フィルムの全般にわたり、プリズムレンズシート、A
R(アンチリフレクション)フィルム、ハードコートフ
ィルム、拡散板、破砕防止フィルムなどのLCDやフラ
ットTV、CRTなどの光学用部材のベースフィルム、
プラズマディスプレイ用の前面板に部材である近赤外線
吸収フィルタ、タッチパネルやエレクトロルミネッセン
スなどの透明導電性フィルム、などに好適に使用するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09J 7/02 C09J 7/02 Z (72)発明者 東浦 真哉 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社フィルム開発研究所堅田フィル ムセンター内 (72)発明者 佐藤 昌由 大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内 (72)発明者 水野 直樹 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社フィルム開発研究所敦賀フィルムセ ンター内 (72)発明者 松岡 幹雄 大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内 Fターム(参考) 4F100 AA20B AA20C AK24B AK24C AK25B AK25C AK41A AK42A AK42B AK42C AL04B AL04C AL05B AL05C BA03 BA06 BA10B BA10C BA15 CA18B CA18C CA23B CA23C DD19B DD19C DE01B DE01C DE01H EJ38A GB41 GB90 JB07 JB07B JB07C JJ03 JK06 JL16 JM01B JM01C JN08B JN08C JN28B JN28C YY00B YY00C 4J002 BC042 BD122 BG001 BG002 BG062 CF001 CK001 CM042 CP032 DD036 DE146 DE236 DG026 DG046 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 EG036 4J004 AA10 AA15 CA06 CC02 CC03 FA04 FA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に粒子を含有しない二軸延伸ポリ
    エステルフィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面
    に粒子を含有する被覆層を設けてなる被覆フィルムであ
    って、前記基材表面に存在する、高さ1μm以上で最大
    径20μm以上の凸部と、凸部に隣接している所から1
    00μm以内の深さが0.5μm以上である凹部を有す
    る異物の個数が10個/m2以下であり、前記被覆フィ
    ルムの耐水性値が90以上、溶融成型後の変色値が10
    以下、加熱後のヘイズ値の変化が20%以下であること
    を特徴とする光学用易接着フィルム。
  2. 【請求項2】 前記被覆層を構成する樹脂が芳香族ポリ
    エステル系樹脂または酸価が200eq/t以上のアク
    リル系樹脂から選ばれる単独樹脂、2種以上の樹脂混合
    物、または共重合体樹脂であることを特徴とする請求項
    1記載の光学用易接着フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の樹脂が、2重結合を有す
    る酸無水物を含有する少なくとも1種のモノマーからな
    るラジカル重合体を5重量%以上含有することを特徴と
    する光学用易接着フィルム。
  4. 【請求項4】 前記被覆フィルムの被覆層の表面及び内
    部に存在する最大径が100μm以上の異物の数が3個
    /m2以下であることを特徴とする請求項1乃至3記載
    の光学用易接着フィルム。
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