JP4023219B2 - プリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルム - Google Patents

プリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
本発明はプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性から各種光学用フィルムとして多く利用されている。特に、液晶ディスプレイの部材に用いられるプリズムレンズシート、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、拡散板などのベースフィルム、及び陰極線管用の破砕防止フィルムの用途は、優れた強度、寸法安定性が要求されるため比較的厚手のフィルムが好適に用いられる。この様な光学用フィルムに用いられるフィルムは優れた透明性とプリズムレンズ加工やハードコート加工、AR(アンチリフレクション)加工に対する優れた易接着性が要求される他、フィルム中に含まれる微小な異物も光学的な欠点となるため極力少ないことが望まれ、この傾向は画像表示装置の高精細化にともない近年ますます強まっている。
【0003】
また、高い透明性を維持するには平滑な表面が必要であるが、微小な突起が表面に存在すると易接着層塗布時に塗布斑を発生させやすく著しい品質の低下につながっていた。また、基材フィルムの厚み斑が大きいと後加工におけるハードコートやプリズムレンズ加工の品質にも悪影響を与え、さらには基材フィルムの表面と裏面の反射光による干渉縞が鮮明になり、目立ちやすい傾向にある。
【0004】
本発明で言う易接着コート性に悪影響を与えうる微小な突起とは高さ0.5μm程度以上の突起を言うが、一般に行われる(たとえば特許公報3031520記載)クロスニコル法では、光学的に視認できる比較的直径の大きな異物は検出できるものの、厚さ0.1μm程度の極薄い易接着塗布層を塗布する際に悪影響を及ぼし得る、大きさが比較的小さくても、鋭く高い突起の検出には十分な検出方法ではなかった。また、一般に突起高さは、触針式3次元粗さ計を用いて行なわれるが、この方法では測定面積は、通常1mm程度の触針式3次元粗さ計ではその微小突起の発生頻度から十分な測定面積を得ることが困難なだけでなく、触針計の針が突起の頂点を検出する確率が低いため、コート斑と相関のある突起検出が困難であった。
【0005】
通常、ポリエステルフィルムは、ポリエステルを溶融押出した後、2軸延伸して得られる。すなわち、押出機により溶融押出されたシート状物を回転する冷却ドラムの表面に密着させて引き取り、次いで、該シート状物を冷却ドラムの後段に配置された延伸ロールへと導いて縦延伸し、さらに、テンターで横延伸した後、熱固定(熱セット)される。ここで、フィルムの厚みの均一性を高め、また、キャスティングの速度を高めるには、押出口金から溶融押出したシート状物を回転冷却ドラム表面で冷却する際に、該シート状物とドラム表面とが十分に高い付着力で密着していなければならない。このため、シート状物と回転ドラムの表面との付着力を高めるための方法として、押出口金と冷却回転ドラムの間にワイヤー状の電極を設けて高電圧を印加し、未固化のシート状物の表面に静電気を析出させて、該シート状物を冷却ドラムの表面に静電付着させて、急冷する、所謂、静電密着キャスト法が多く使用されている。すなわち、冷却ドラムにシート状物を静電付着させることで、ドラムの表面にシート状物が該表面との間に隙間を形成することなく高い付着力で密着し、冷却回転ドラムの回転速度を速めてもシート状物が位置ずれすることなく引き取られて一様にキャスティングされ、厚みの均一性に優れたフィルムが効率良く製造される。
【0006】
静電密着キャスト法において、シート状物の冷却ドラムへの静電密着性を向上させるにはシート状物表面における電荷量を多くすることが有効であり、該電荷量を多くするには、原料となるポリエステル(以下、原料ポリエステルと称す)を改質してその比抵抗を低くすることが有効であることが知られている。そして、この比抵抗を低くする方法として、原料ポリエステルの製造段階において、エステル化またはエステル交換反応中にアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を添加すること等が行われている。
【0007】
一方、ポリエステルフィルムは厚みの均一性が高くても、それのみでは十分な品質を有しているとは言えず、フィルム中の異物量を少なくして、微小な突起や光学的欠点等の欠陥を極力少なくする必要がある。
【0008】
我々は鋭意検討の結果、易接着層表面の3次元表面粗さ(Ra)が0.005μm以下で、測定面積が500mm以上の時の高さ分布の平均歪度が0以上50以下にした時、高透明で且つ比較的易接着コート斑による光学欠点が少ない光学易接着ポリエステルフィルムが得られることをつきとめた。すなわち、測定面積が500mm以上の時の高さ分布の平均歪度が50以上の時、さらに広範囲の面積において易接着層コート時に塗布斑を与え得る突起が多いものと考えられる。
【0009】
高さ分布の歪度とは次式で表されるものであり、0であれば高さ分布が左右対称で正ならば高さの高い方へスソをひいていることを意味し、負であれば高さの低い方へスソをひいていることを意味する。
Figure 0004023219
また、RMSは自乗平均平方根表面粗さのことであり、平均面を基準とした表面粗さの分布をいい、統計的には粗さ分布(ガウス分布)の1σを示す。計算式を以下に示す。
RMS=√(1/(lx・ly)×∬f(x,y))dxdy
上記の2つの式において、f(x、y)は測定点(x,y)の平均面からの高さを示し、lx及びlyはそれぞれx及びy方向の測定範囲を示し、f(x,y)meanは平均高さであり、1/(lx・ly)×∬f(x,y)dxdyで定義される。
【0010】
前記易接着層表面の高さ分布の歪度が0以上50以下にするためには原料ポリエステルに高度の清澄度が必要となり、清澄度を高めるための対策がとられている。その一つとして、ポリエステルの反応生成物であるポリマーを微細なフィルターを使ってろ過することによって清澄度を高める方法が一般に採用されている。
【0011】
しかしながら、近年、LCD等の光学用フィルムとして使用するポリエステルフィルムにおいては、より光学欠点の少ないポリエステルフィルムが要求され、従来の原料ポリエステルを成膜して得られるポリエステルフィルムでは、かかる要求に十分に対応できていなかった。すなわち、均一な厚みを保持するため溶融比抵抗を0.15〜0.45(×10Ω・cm)に維持しつつ微小異物による突起、及び光学的欠点を低減することは極めて困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、フィルム中に異物の存在量が極めて少なく、光学欠点の少なく、且つフィルム厚みの均一性が高く、干渉縞が目立ちにくいプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
、本発明は、アンチモン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を含む、厚さ50〜300μmの二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂の少なくとも一種の樹脂を主たる構成成分とする易接着層を設けたプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムであって、該基材は実質的に粒子を含有せず、かつ275℃での溶融比抵抗が0.15〜0.45(×10Ω・cm)であり、該易接着層表面はRaが0.005μm以下で、下記式で定義する突起高さ分布の平均歪度が0〜50であることを特徴とするプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムを提供する。
突起高さ分布の歪度(SK)=1/(RMS)×1/(lx・ly)×∬(f(x,y)−f(x,y)mean) dxdy(ここで、RMSは自乗平均平方根表面粗さ、lx及びlyはx方向及びy方向の測定長、f(x,y)は測定点(x,y)における平均面からの高さ、f(x,y)meanは平均高さを示す。)
【0014】
本発明において、「エステル化反応」とは、ジカルボン酸とグリコールジエステルおよび/またはそのオリゴマーを生成する反応を意味し、特に断りがない場合、直接エステル化反応に限らず、エステル交換反応をも含む概念である。また、「エステル化反応缶」とは、かかる「エステル化反応」が行われる反応缶を意味する。
【0015】
上記275℃での溶融比抵抗とは、275℃で溶融したポリエステル中に2本の電極(ステンレス針金)を置き、120Vの電圧を印加した時の電流(i)を測定し、これを次式に当てはめて求めた比抵抗値Si(Ω・cm)である。
Si(Ω・cm)=(A/L)×(V/i
[A:電極間面積(cm)、L=電極間距離(cm)、V=電圧(V)]
【0016】
かかるポリエステルの275℃での溶融比抵抗(比抵抗値Si(Ω・cm))は、ポリエステルを静電密着キャスト法で製膜する際の静電密着性の指標として用いており、これが0.15〜0.45(×10Ω・cm)の範囲であれば、良好な静電密着性が得られて、厚みの均一性に優れたフィルムを安定に形成することができる。かかる溶融比抵抗が0.15(×10Ω・cm)未満であると、そのようなポリエステルは、概ね抵抗調整剤(低抵抗化剤)が過多であり、不溶性の異物が多量に存在して高度の清澄度が得られない。逆に、0.45(×10Ω・cm)を超えるようなものは、シート(フィルム)の表面に静電気が十分に析出されず、良好な静電密着性が得られない。
【0017】
静電密着性は、押出機の口金部と冷却ドラムの間にタングステンワイヤー製の電極を設け、電極とキャスティングドラム間に10〜15KVの電圧を印加してキャスティングを行い、得られたキャスティング原反の表面を肉眼で観察し、ピンナーバブルの発生が起こり始めるキャスティング速度で評価する。キャスティング速度が大きいポリマー程、静電密着性が良好である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムに基材として用いるポリエステルは、重縮合触媒にアンチモン化合物を使用し、アルカリ土類金属化合物とリン化合物を添加することによって製造できる。以下にその詳細を説明する。
【0019】
本発明のプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムに基材として用いるポリエステルの原料としては、目的の高度の清澄度を有する観点から、主たるエステル単位(繰り返し単位)がエチレンテレフタレートからなるものが好適であり、具体的には、全エステル単位(繰り返し単位)の好ましくは80モル%以上、より好ましくは90〜100モル%がエチレンテレフタレートからなるものが好適である。本発明に用いられる原料成分としては、ジカルボン酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等が挙げられる。また、グリコール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール類;p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の芳香族グリコール類等が挙げられる。かかる共重合成分は、ジカルボン酸成分及びグリコール成分のいずれにおいても、いずれか1種を単独で使用しても、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
【0020】
本発明の基材に用いるポリエステルの重縮合触媒として使用するアンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイド等が挙げられ、これらはいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。特に三酸化アンチモンが好ましい。
【0021】
前記アンチモン化合物は、最終的に得られるポリエステルに対するアンチモン原子の含有量が100〜200ppmとなる量添加するのが好ましく、100ppm未満であると重合生産性が低下し、逆に、200ppmを超えると、不溶性の異物を生じやすくなる。より好ましいアンチモン原子の含有量は140〜170ppmである。
【0022】
なお、本発明において、重合触媒には、上記アンチモン化合物以外のものを併用してもよく、該アンチモン化合物以外の重合触媒としては、例えば、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などが挙げられる。これらの使用量は、それぞれ、最終的に得られるポリエステルに対するゲルマニウム原子またはチタン原子の含有量が多くても50ppm以下となる量である。
【0023】
本発明で使用するアルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム化合物が好ましく用いられ、例えば、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウムのような低級脂肪酸塩や、マグネシウムメトキサイドのようなアルコキサイド等が挙げられ、これらはいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。特に酢酸マグネシウムが好ましい。
【0024】
前記アルカリ土類金属化合物として好ましく用いられるマグネシウム化合物は、最終的に得られるポリエステルに対するマグネシウム原子の含有量が40〜70ppmとなる量を添加するのが好ましく、40ppm未満であると、そのようなポリエステルは溶融比抵抗が十分に低下せず、製膜時に十分な静電密着性が得られにくく、逆に、70ppmを超えると、そのようなポリエステルは、不溶性の異物(Mg塩)の生成量が多くなり、好ましくない。より好ましいマグネシウム原子の含有量は50〜65ppmである。
【0025】
本発明で使用するリン化合物は、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられ、具体例としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチル、フェニールホスホン酸ジメチル、フェニールホスホン酸ジエチル、フェニールホスホン酸ジフェニール等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、これらのうちでもリン酸トリメチルおよび/またはリン酸が好ましい。
【0026】
前記リン化合物は、最終的に得られるポリエステルに対するリン原子の含有量が20〜55ppmとなる量添加するのが好ましく、20ppm未満であると、そのようなポリエステルは耐熱性が低下し、また、溶融比抵抗が十分に低下せず、逆に、55ppmを超えると、不溶性の異物(Mg塩)の生成量が多くなり、好ましくない。より好ましいリン原子の含有量は35〜45ppmである。
【0029】
本発明のポリエステルは、0.580〜0.630dl/gの極限粘度を有することが好ましい。極限粘度が0.580dl/g未満であるようなポリエステルは、製膜して得られるフィルムの力学的特性が劣悪になるため好ましくなく、逆に、0.630dl/gを超えるようなポリエステルは、重縮合反応後に製造したポリエステルチップをシート状に押出す際の押出機負荷が大きくなって、生産性が低下するので好ましくない。より好ましい極限粘度は0.600〜0.620dl/gである。
【0030】
また、本発明のポリエステルは、10〜25eq/tonの酸価を有することが好ましい。酸価が10eq/ton未満のポリエステルを得ようとすると、重合生産性が低下する傾向となり、逆に、酸価が25eq/tonを超えるようなポリエステルは、加水分解安定性が低下し、フィルムに製膜する際の極限粘度が低下してしまう。より好ましい酸価は15〜20eq/tonである。
【0031】
さらに、上記ポリエステルには、各種の添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。
【0032】
また、本発明のポリエステル系基材フィルムには、易滑性付与を目的とした粒子は添加されていない。インラインで積層される易接着層に均一な粒径の微小粒子含有により滑り性をもたせておけば、良好な巻き取り性、キズ発生防止機能を付与できるため、ポリエステル系基材フィルム中への粒子の添加は不要であるし、高透明易接着ポリエステルフィルムを得るにはポリエステル系基材フィルム中への粒子は添加しない方が適している。
【0033】
本発明における二軸延伸ポリエステルフィルムは、50μm以上のフィルム厚みであるが、直読ヘイズメーター(東洋精機株式会社製)で測定するフィルムヘイズ値が1.0%以下、好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.6%以下が好ましい。フィルムヘイズ値が2.0%を超えると、該フィルムをLCD用のレンズフィルムや、ブラウン管用ARフィルム等に用いた場合、画面の鮮明度が低下するので好ましくない。
【0034】
上記の微小な突起を有しない基材フィルムは例えば下記の方法で製造される。
本発明の基材として用いられるポリエステルは、重縮合触媒にアンチモン化合物を使用し、かつ、マグネシウム化合物とリン化合物を添加して製造でき、その際に次の(a)〜(c)の条件を満たすことが好ましい。
(a)缶内を常圧以上の圧力とした少なくとも3缶以上のエステル化反応缶を用いてエステル化反応を行う。
(b)マグネシウム化合物は前記3缶以上のエステル化反応缶のうちの第2番目以降のエステル化反応缶に添加する。
(c)リン化合物は前記3缶以上のエステル化反応缶のうちのマグネシウム化合物を添加するエステル化反応缶以降のエステル化反応缶であって、少なくとも2缶以上の反応缶に分けて添加する。
【0035】
すなわち、上記(a)〜(c)の条件を満足することは、以下の技術内容を意味する。
エステル化反応缶の缶内を減圧状態にすると、マグネシウム化合物およびリン化合物が逃散してしまう。従って、これを避けるためにエステル化反応缶の圧力を常圧以上にする。圧力の上限は29.4kPaが好ましい。29.4kPaを超えると、ジエチレングリコール(DEG)の副生量が増加し、ポリエステルの軟化点を低下させ、フィルムの製膜時にフィルムの破断等を生じて、製膜作業を悪化させてしまう。
【0036】
エステル化反応缶内に、ジカルボン酸(またはそのジアルキルエステル)とグリコールを供給すると、エステル化反応によって、ジカルボン酸−グリコールジエステルおよび/またはそのオリゴマーを生成する(例えば、テレフタル酸とエチレングリコールを供給した場合、ビス−(β−ヒドロキシエチルテレフタレート)および/またはそのオリゴマーを生成する。)が、第1エステル化反応缶では生成するオリゴマーの酸価が大きく、この段階でマグネシウム化合物を供給(添加)すると、マグネシウム化合物とジカルボン酸間で不溶性の異物(Mg塩)が生成しやすくなる。従って、マグネシウム化合物を2缶目以降のオリゴマーの酸価が小さいエステル化反応缶に供給する。
【0037】
リン化合物は液状のものが多く、リン化合物をマグネシウム化合物が存在しない反応缶に添加すると、逃散して反応系に有効に取り込まれなくなる。従って、マグネシウム化合物の存在下に添加する(マグネシウム化合物と反応させる)のが好ましく、そのために、リン化合物を、マグネシウム化合物を供給(添加)する反応缶と同じ反応缶に添加する。また、リン化合物は1つの反応缶に添加するよりも、2つ以上の反応缶に分けて添加することによって、不溶性の異物(Mg塩)の低減効果がより高くなる。
【0038】
マグネシウム化合物は前記のように第2番目以降のエステル化反応缶に供給(添加)すればよいが、第3番目以降のエステル化反応缶に供給(添加)すれば、生成オリゴマーの酸価がより小さくなっており、不溶性の異物(Mg塩)の低減効果がより高くなり、好ましい。
【0039】
なお、かかる本発明のポリエステルの製造方法において、重合触媒であるアンチモン化合物の添加時期は特に制限されない。すなわち、エステル化反応における初期段階で添加しておいても、その後に添加してもよい。また、マグネシウム化合物およびリン化合物は、供給精度の点からエチレングリコール溶液として添加するのが好ましい。
【0040】
また。3缶以上のエステル化反応缶における缶内(反応系)温度は通常240〜280℃、好ましくは255〜265℃である。240℃未満では、オリゴマーが固化しやすくなり、反応速度が低下するので、好ましくなく、逆に、280℃を超えるとDEGの副生量が増大したり、生成ポリマーの色相が変化する傾向を示したりするので好ましくない。エステル化反応缶は、ポリエステルの製造効率の観点からは、5缶以下とするのが好ましい。
【0041】
また、最終生成物(ポリマー)はろ過してから、チップ化されるのが好ましい。かかるろ過には、通常、目開き3〜20μm程度のフィルターが使用されるが7μm以下好ましくは5μm以下である。
【0042】
本発明のプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムにはプリズムレンズやハードコートに用いられるアクリレート系樹脂に対する十分な接着性を得るために高分子易接着層を有する。
【0043】
本発明の高分子易接着層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂の少なくとも一種の樹脂を主たる構成成分とする。共重合ポリエステル系樹脂単独ではポリエステル系基材フィルムとの接着性は十分であるが、プリズムレンズやハードコートに用いられるアクリレート系樹脂との接着性に劣る場合がある。また、ポリウレタン系樹脂単独ではアクリレート系樹脂との接着性には優れるがポリエステル系基材フィルムとの接着性に劣る場合がある。
【0044】
本発明の易接着層に用いる共重合ポリエステル系樹脂とは分岐したグリコール成分を構成成分とする。ここで言う分岐したグリコール成分とは例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0045】
上記の分岐したグリコール成分は全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としてはエチレングリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
【0046】
共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチルおよびイソフタル酸、イソフタル酸ジメチルが最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸;ジフェニルカルボン酸及び2,6−ナルタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。
【0047】
上記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えば、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
【0048】
本発明の易接着層に用いるポリエステルの重縮合触媒としては、アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイド等が挙げられ、これらはいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。特に三酸化アンチモンが好ましい。また酢酸亜鉛も使用することができる。
【0049】
本発明の易接着層に用いるポリウレタン樹脂とは例えばブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに上記樹脂の末端基等とも反応する。後述する塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。
【0050】
上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
【0051】
上記樹脂において使用される、ウレタンプレポリマーの化学組成としては(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは、(3)分子内に少なくとも2個活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネート基を有する化合物である。
【0052】
上記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。
【0053】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキシド及び、プロピレンオキシド等アルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物がある。
【0054】
ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。これらは、コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
【0055】
さらに、ポリエステルポリオールとしては、ラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。
【0056】
上記(2)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0057】
上記(3)の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。上記(3)のウレタンポリマーを合成するには通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要である。
【0058】
さらに遊離のイソシアネート基の含有量は10質量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7質量%以下であるのが好ましい。
【0059】
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
【0060】
上記に説明したブロック型イソシアネート基を含有する樹脂の1例としては、第一工業製薬(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
【0061】
アクリル樹脂を構成するモノマ成分として下記のものを例示することができるが、公知の方法によって製造することができ、本発明の効果を阻害しない範囲において特に限定されない。
【0062】
該アクリル樹脂の重合に供するモノマとしてはアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基など)を基本骨格とし、更に上記官能基を付与するため以下のような官能基を有するモノマと共重合される。
【0063】
すなわち官能基としてはカルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)あるいはアルキロール化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基などを例示することができ、これらの塩、エステル化物を共重合しても良い。
【0064】
カルボキシル基および/またはその塩、あるいは酸無水物基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、これらのカルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、あるいは無水物などが挙げられる。
【0065】
スルホン酸基および/またはその塩を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0066】
アミド基あるいはアルキロール化されたアミド基を有する化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0067】
アミノ基あるいはアルキロール化されたアミノ基および/またはその塩を有する化合物としてはジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、およびそれらのアミノ基をメチロール化したもの、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトンなどにより四級塩化したものなどが挙げられる。
【0068】
水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0069】
エポキシ基を有する化合物としてはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
【0070】
架橋性官能基を有するアクリル樹脂の好ましい具体例としては、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート及び/又はブチルアクリレートに架橋性官能基を有するアクリル酸、N−メチロールアクリルアミドを所望の割合に共重合した四元アクリル共重合体などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0071】
さらに、上記以外に次のような化合物を併用しても良い。すなわちアクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノあるいはジアルキルエステル、イタコン酸モノあるいはジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルトリスアルコキシシランなどであり、勿論これらに限定されるものではない。
【0072】
これらの架橋性官能基を有するモノマおよび他の化合物は基本骨格となるモノマと任意の比率で共重合され、2種以上のモノマを共重合させてもよい。好ましい比率の具体例としては、基本骨格となるモノマに対して架橋性官能基を有するモノマの割合は、通常1〜10質量%程度である。
【0073】
本発明において用いるアクリル樹脂のガラス転移温度は0℃以上、100℃以下、好ましくは20℃以上、80℃以下とすることが望ましい。ガラス転移温度が低いアクリル樹脂を用いた場合には高温高湿下での密着性が劣る傾向にあり、逆に高過ぎる場合は延伸時に亀裂を生じることがある。
【0074】
アクリル樹脂のガラス転移温度は用いるモノマによって任意に設定することができ、例えば高いガラス転移温度のポリマーを得るにはメチルメタクリレートの共重合量を増加させ、低いガラス転移点の樹脂を得るには長鎖のアルキルアクリレートの共重合が有効である。また、アクリル樹脂の分子量を45万以上とすることにより、易接着層の強靭性が増すので特に好ましい。
【0075】
本発明に用いられるメラミン樹脂は、特に限定されないが、メチロール化メラミンが好ましい。
【0076】
本発明で使用される、分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)およびブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)の質量比は(A):(B)=90:10〜10:90が好ましく、更に好ましくは(A):(B)=80:20〜20:80の範囲である。固形分質量に対する上記樹脂(A)の割合が10質量%未満では、基材フィルムへの塗布性が不適で、表面層と該フィルムとの間の接着性が不十分となる。また、10質量%未満の場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある接着性が得られない。
【0077】
本発明で使用される水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
【0078】
上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤およびノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50質量%未満となるまで混合してもよい。
【0079】
さらに、10質量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50質量%未満とする。有機溶剤の添加量が50質量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50質量%を越えると、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災などの危険性も考えられる。
【0080】
上記方法によって易接着塗膜を積層する場合にはアクリル樹脂は水に溶解あるいは乳化、懸濁し得るものが環境汚染や防爆性の点で好ましく、このような共重合体は親水性基を有するモノマ(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)との共重合や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、界面活性剤を用いないソープフリー重合など公知の方法によって作成することができる。
【0081】
また、本発明は上記アクリル樹脂に有機金属化合物を添加することが好ましい。本発明でいう有機金属化合物とは特に限定されるものではないが、金属種としてチタン、アルミニウム、ジルコニウムを含んだ有機金属化合物が好ましく、中でもテトラアルコキシチタン、チタンアシレート、チタンキレートに分類されるチタン有機化合物が好ましい。チタン有機化合物の中でもチタンキレート化合物、特に水性ポリアミド樹脂を水性チタンキレート化合物で架橋変成した水溶性チタンキレート化合物が環境汚染や防爆性の点、あるいは自身の安定性、希釈安定性、基材との密着性などから特に望ましい。
【0082】
代表例としては、ジ−イソ−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、イソ−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンなどを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。このようなチタンキレート化合物は市販のものを使用することができ、例えばTA−50(TAA)、TAT(いずれも日本曹達(株)製)あるいはオルガチックスTC300、TC310(いずれも松本製薬工業(株)製)などが好適である。
【0083】
チタンキレート化合物の添加量は、本発明の効果をより顕著に発現させるにはアクリル樹脂(A)/チタンキレート化合物(B)が固形分質量比で99/1〜20/80、好ましくは98/2〜60/40、更に好ましくは97/3〜70/30の範囲が好ましい。チタンキレート化合物化合物が1質量%未満では耐スクラッチ性改良効果に乏しく、逆に80質量%を超えるようになると被膜との密着性が劣るようになるので好ましくない。これらのチタンキレート化合物は二種以上併用してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲であるならば、シランカップリング剤、メラミンなど他の架橋剤を併用してもよい。
【0084】
本発明では基材フィルム中に易滑性付与を目的とした滑剤を添加しないため、上記水性塗布液には、粒子を添加しフィルム表面に適度な突起を形成するのが好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。中でもシリカがポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため最も好適である。
【0085】
上記水性塗布液に添加する粒子の平均粒径は、通常1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。平均粒径が1.0μmを超えるとフィルム表面が粗面化し、フィルムの透明性が低下する傾向がある。また、上記塗液中に含まれる粒子含有量は、通常、塗布、乾燥後で塗布膜の粒子含有量が60質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下になるよう添加する。塗布膜の粒子含有量が60質量%を超えるとフィルムの易接着性が損なわれることがある。フィルム中に、上記粒子を2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足することが好ましい。上記塗布液を塗布する際には塗布液中の粒子の粗大凝集物を除去するために塗布直前に塗布液が精密濾過されるように濾材を配置する必要がある。
【0086】
本発明で用いられる塗布液を精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下(初期濾過効率95%)であることが必要である。25μm以上では粗大凝集物が十分除去できず、除去できなかった多くの粗大凝集物は塗布、乾燥後一軸延伸、あるいは二軸延伸した際に易接着層に粒子の粗大凝集物が広がって100μm以上の凝集物として認識され結果として多くの光学欠点が発生する。
【0087】
塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0088】
上記水性塗布液の組成物には、その効果を消失しない限りにおいて帯電防止剤、紫外線吸収防止剤、可塑剤、顔料、有機フィラーおよび潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
【0089】
次に、本発明のプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムの製造方法について、説明する。前記製法で得たポリエステルペレットを十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸PETシートを製膜する。概ペレットを移送するには通常、所定の配管を用いて空送で行うがこの際の空気は埃混入防止のため、HEPAフィルターを用い、清浄化された空気を用いることが重要である。この際に用いるHEPAフィルターは、公称濾過精度0.5μm以上の埃を95%以上カットの性能を有するフィルターを用いるのが好ましい。この際、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は特に限定はされないがステンレス焼結体の濾材がSi、Ti、Sb、Ge、Cu、を主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
【0090】
さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下が好ましい。15μm以上では20μm以上の異物が十分除去できない。濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、光学欠点の少ない光学用フィルムを得るには特に重要である。
【0091】
得られた未延伸シートを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0092】
この工程中の任意の段階でポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前述した塗布液を塗布する。上記水性塗布液を塗布するには、公知の任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。尚、塗布液を塗布する際の環境のクリーン度は、埃の付着を少なくする点から、クラス1000以下とすることが好ましい。
【0093】
上記水性塗布液を塗布する工程は、通常の塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルムに塗布する工程でもよいが、該フィルムの製造工程中に塗布することがより好ましい。さらに好ましくは結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。
【0094】
水溶液中の固形分濃度は通常30質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。該水性塗布液は、走行しているフィルム1mあたり0.04〜5g、好ましくは0.2〜4gが付着されるように塗工される。該水性塗布液が塗布されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系績層フィルムとなる。
【0095】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において、TPAはテレフタル酸、EGはエチレングリコール、TMPAはリン酸トリメチルを意味する。また、各特性、物性値は下記の試験方法で測定した。
【0096】
(1)極限粘度
ポリエステルをフェノール(60質量部)と1,1,2,2−テトラクロルエタン(40質量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定した。
【0097】
(2)275℃での溶融比抵抗
上記275℃での溶融比抵抗とは、275℃で溶融したポリエステル中に2本の電極(ステンレス針金)を置き、120Vの電圧を印加した時の電流(i)を測定し、これを次式に当てはめて求めた比抵抗値Si(Ω・cm)である。
Si(Ω・cm)=(A/L)×(V/i
[A:電極間面積(cm)、L=電極間距離(cm)、V=電圧(V)]
【0098】
(3)酸価
ポリエステルチップを粉砕、乾燥し、0.2gの乾燥物を10mlのベンジルアルコールにより加熱溶解し、酒精カリでフェノールレッドを指示薬として滴定により求めた。
【0100】
(5)全光線透過率
フィルムの全光線透過率は、ヘイズメーター(東京電色工業社製モデルTC−H3DP)を用いて測定した。
【0101】
(6)高さ分布の平均歪度測定方法
マイクロマップ社製3次元形状測定装置TYPE550を用いて測定した。
測定条件:waveモード
対物レンズ 10倍
測定面積1.331mm×1.227mmを測定場所を変え、500カ所について高さ分布の歪度を測定しその平均値を高さ分布の平均歪度とした。
【0102】
(7)Raの測定方法
マイクロマップ社製3次元形状測定装置TYPE550を用い測定した。
測定条件:waveモード
対物レンズ 10倍
測定面積1.331mm×1.227mmを測定場所を変え、500カ所についてRaを測定し、その平均値を求めた。
【0103】
(8)厚み斑測定方法
実施例及び比較例で得られたフィルムを長さ30cm、幅5cmに切り取り試料とし、安立電気社製連続厚み計を用いて測定し厚みの最大値、最小値、及び平均厚みを求め、フィルムロールの長手方向、幅方向それぞれ5カ所づつ測定し平均値を厚み斑とした。平均厚みは上記試料の長さ方向における5cm間隔5点の厚みの平均値より求めた。
厚み斑(%)=((最大値−最小値)/平均厚み)×100
【0104】
(9)コート欠点評価方法(光学欠点の検出方法)
以下に説明する光学欠点検出装置により、250mm×250mmのフィルム片16枚について光学的に50μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出した。
光学欠点の検出原理
投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテーブル下方400mmに配置し、スリット幅10mmのマスクを設ける。投光器と受光器を結ぶ線上と測定するフィルム面の鉛直方向となす角度を12度で入射すると、そこに光学欠点が存在すると光り輝き、その光量をXYテーブル上方500mmに配置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し、微分してスレッシュホールドレベルとコンパレータで比較して、光学欠点の検出信号を出力する。また、CCDイメージセンサカメラから入力されたビデオ信号を画像手順により光学欠点の大きさを計測し設定された大きさの光学欠点の位置を表示する。前述の光学欠点検出装置を用い、検出した欠点部分からコートに斑が存在する光学欠点、コートが局部的に剥がれている欠点を計数し、下記の基準で評価した。
○:1個以下/m
△:2〜4個/m
×:5個以上/m
【0105】
(塗布液の調整)
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。尚、特に断らない限り、下記で用いる「部」は全て「質量部」を意味する。
【0106】
(1)塗布液Aの調製
ジメチルテレフタレート95部、ジメチルイソフタレート95部、エチレングリコール35部、ネオペンチルグリコール145部、酢酸亜鉛0.1部および三酸化アンチモン0.1部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)で2時間かけて重縮合反応を行い、分子量19500、軟化点60℃のポリエステル樹脂を得た。
【0107】
上記で得られたポリエステル樹脂の30質量%水分散液を6.7部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(B)の20%水溶液(第一工業製薬製:商品名エラストロンH−3)を40部、エラストロン用触媒(Cat64)を0.5部、水を47.8部およびイソプロピルアルコールを5部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を1質量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製:スノーテックスOL)を5質量%添加し塗布液とした(以下、塗布液Aとする)。
【0108】
(2)塗布液Bの調整
(A)架橋性官能基を有するTgが30℃のアクリル樹脂エマルジョン:75質量%(組成比:メチルメタアクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミド=60質量部/40質量部/2質量部/4質量部)
(B)メチロール化メラミン:5質量%
(C)ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン:20質量%
(A)、(B)、及び(C)を含む水性溶液100質量部に対し、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製:スノーテックスOL)5質量部を添加し、塗布液とした(以下塗布液Bと記す)。
【0109】
実施例1
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を使用し、TPAを2トン/hrとし、EGをTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間で255℃で反応させた。
【0110】
次に、上第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成ポリマー(生成PET)に対し8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウムを含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のTMPAを含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1.5時間で260℃で反応させた。
【0111】
次に、上記第2エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、さらに生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のTMPAを含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間0.5時間で260℃で反応させた。
【0112】
上記第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、さらに、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度5μm粒子90%カット)で濾過し、極限粘度0.620dl/gのポリエステルペレットを得、該ポリマーの特性、物性値を測定した。
【0113】
前記方法で得たペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。
【0114】
この時、溶融樹脂の異物除去用濾材として濾過粒子サイズ15μm(初期濾過効率95%)のステンレス製焼結濾材を用いた。次に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
【0115】
その後、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で片面に塗布液Aを塗布、乾燥した。塗布後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して130℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に4.0倍に延伸し、さらに230℃で10秒間熱固定を行ない、130℃で横方向に3%弛緩処理し、厚さ125μmのフィルムを得た。この時の易接着層の厚さは0.07μmであった。上記測定法に基づき測定を行い、得られた結果を表1に示す。
【0116】
実施例2
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する4段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を使用し、TPAとEGの供給量は実施例1と同様にして、実施例1において第2エステル化反応缶に供給した酢酸マグネシウムとTMPAを第3エステル化反応缶に供給するようにし(第2エステル化反応缶には第1エステル化反応缶から留去されるEGのみ供給)、さらに、実施例1において第3エステル化反応缶に供給したTMPAを第4エステル化反応缶に供給し、第1〜第3エステル化反応缶における圧力、滞留時間および温度は実施例1と同じにし、第4エステル化反応缶は圧力を常圧、滞留時間を0.5時間、温度を260℃にして反応を行った。
【0117】
上記第4エステル化反応缶内に生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、極限粘度0.620dl/gのポリエステルを得た。該ポリマーの特性、物性値を測定するとともに、実施例1と同様の条件で厚み50μmの光学用易接着ポリエステルフィルムを得た。上記測定法に基づき測定を行い、得られた結果を表1に示す。
【0118】
実施例3
塗布液をBとした以外は実施例1と同様の方法で厚さ125μmの光学用易接着ポリエステルフィルムを得た。なお、易接着層の厚さは0.07μmであった。上記測定法に基づき測定を行い、得られた結果を表1に示す。
【0119】
比較例1
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する2段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を使用し、TPAとEGの供給量は実施例1と同様にして、実施例1において第2エステル化反応缶に供給した酢酸マグネシウムとTMPAを第1エステル化反応缶に供給し、さらに実施例1において第3エステル化反応缶に供給したTMPAを第2エステル化反応缶に供給するようにし(第2エステル化反応缶には第1エステル化反応缶から留去されるEGとTMPAを供給)、第1および第2エステル化反応缶における圧力、滞留時間および温度は実施例1と同じにして反応を行った。
【0120】
上記第2エステル化反応缶内に生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、極限粘度0.620dl/gのポリエステルを得た。該ポリマーの特性、物性値を測定するとともに、実施例1と同様の条件で厚み125μmの光学用易接着ポリエステルフィルムを製膜し、上記測定法に基づき測定を行った。この結果を表1に示す。
【0121】
比較例2
エステル化反応装置として、実施例1と同様の攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を使用し、TPA、EGの供給量は実施例1と同様にし、さらに実施例1で使用した量と同量の酢酸マグネシウムおよびTMPAを第2エステル化反応缶にのみ供給するようにし(第2エステル化反応缶には第1エステル化反応缶から留去されるEGと酢酸マグネシウム(全量)とTMPA(全量)を供給。)、第1〜第3エステル化反応缶における圧力、滞留時間および温度は実施例1と同じにして反応を行った。
【0122】
上記第3エステル化反応缶内に生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、極限粘度0.620dl/gのポリエステルを得た。該ポリマーの特性、物性値を測定するとともに、実施例1と同様の条件で厚み125μmの光学用易接着ポリエステルフィルムを製膜し、上記測定法に基づき測定を行った。この結果を表1に示す。
【0123】
比較例3
原料空気移送フィルターを用いなかった以外は比較例2と同様の方法で光学用易接着ポリエステルフィルムを製膜し、上記測定法に基づき測定を行った。この結果を表1に示す。
【0124】
比較例4
酢酸マグネシウムおよびTMPAを添加しなかった以外は比較例2と同様の方法で光学用易接着ポリエステルフィルムを製膜し、上記測定法に基づき測定を行った。この結果を表1に示す。
【0125】
【表1】
Figure 0004023219
表1において、EGTは第1エステル化反応缶から留去されるEGを示す。
【0126】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、光学欠点、易接着コート欠点のきわめて少ないプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムを得ることができる。

Claims (4)

  1. アンチモン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を含む、厚さ50〜300μmの二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂の少なくとも一種の樹脂を主たる構成成分とする易接着層を設けたプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムであって、該基材は実質的に粒子を含有せず、かつ275℃での溶融比抵抗が0.15〜0.45(×10Ω・cm)であり、該易接着層表面はRaが0.005μm以下で、下記式で定義する突起高さ分布の平均歪度が0〜50であることを特徴とするプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルム。
    突起高さ分布の歪度(SK)=1/(RMS)×1/(lx・ly)×∬(f(x,y)−f(x,y)mean) dxdy(ここで、RMSは自乗平均平方根表面粗さ、lx及びlyはx方向及びy方向の測定長、f(x,y)は測定点(x,y)における平均面からの高さ、f(x,y)meanは平均高さを示す。)
  2. 前記アルカリ土類金属化合物がマグネシウム化合物であることを特徴とする請求項1記載のプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルム。
  3. 前記基材の主原料としてのポリエステルが下記(1)〜(5)の条件を満たすことを特徴とする請求項2記載プリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルム。
    (1)極限粘度:0.580〜0.630dl/g
    (2)酸価:基材として用いるポリエステル中に10〜25eq/ton
    (3)マグネシウム化合物の含有量:基材として用いるポリエステル中にマグネシウム原子換算で40〜70ppm
    (4)リン化合物の含有量:基材として用いるポリエステル中にリン原子換算で20〜55ppm
    (5)アンチモン化合物の含有量:基材として用いるポリエステル中にアンチモン原子換算で100〜200ppm
  4. 前記プリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルムの全光線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項記載のプリズムレンズシート用易接着ポリエステルフィルム。
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