JPH0791392B2 - ポリエステル成形品の製造法 - Google Patents
ポリエステル成形品の製造法Info
- Publication number
- JPH0791392B2 JPH0791392B2 JP3057988A JP3057988A JPH0791392B2 JP H0791392 B2 JPH0791392 B2 JP H0791392B2 JP 3057988 A JP3057988 A JP 3057988A JP 3057988 A JP3057988 A JP 3057988A JP H0791392 B2 JPH0791392 B2 JP H0791392B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester
- pellets
- melting point
- thermotropic liquid
- liquid crystalline
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,実質的に非晶質のサーモトロピック液晶性ポ
リエステルのペレットから耐ハンダ浴性に優れた耐熱性
成形品を得ることのできるポリエステル成形品の製造法
に関するものである。
リエステルのペレットから耐ハンダ浴性に優れた耐熱性
成形品を得ることのできるポリエステル成形品の製造法
に関するものである。
(従来の技術) 従来,耐熱性高分子として全芳香族ポリエステルが注目
されており,これを用いた成形品について盛んに研究さ
れている。
されており,これを用いた成形品について盛んに研究さ
れている。
しかしながら,全芳香族ポリエステルの大部分は,物性
に優れているにもかかわらず,非常に融点が高く,ま
た,同時に溶融粘度が高いため,高温,高圧で加工しな
ければならないという極めて不都合なものである。
に優れているにもかかわらず,非常に融点が高く,ま
た,同時に溶融粘度が高いため,高温,高圧で加工しな
ければならないという極めて不都合なものである。
そこで,溶融加工性に優れたサーモトロピック液晶性ポ
リエステルの開発に関心が注がれ,多くの提案がなされ
て来たのである。
リエステルの開発に関心が注がれ,多くの提案がなされ
て来たのである。
例えば,アルキレンテレフタレート単位と4−ヒドロキ
シ安息香酸残基単位とからなるサーモトロピック液晶性
コポリエステル(特公昭56−18016号)や4−ヒドロキ
シ安息香酸残基単位と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸
残基単位とからなるサーモトロピック液晶性コポリエス
テル(米国特許第4,161,470号)が提案されている。
シ安息香酸残基単位とからなるサーモトロピック液晶性
コポリエステル(特公昭56−18016号)や4−ヒドロキ
シ安息香酸残基単位と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸
残基単位とからなるサーモトロピック液晶性コポリエス
テル(米国特許第4,161,470号)が提案されている。
また,本発明者らも特定の含リン芳香族ジオールと芳香
族ジカルボン酸及び芳香族ヒドロキシカルボン酸から得
られるコポリエステルについて,先に提案した(特開昭
62−174228号)。
族ジカルボン酸及び芳香族ヒドロキシカルボン酸から得
られるコポリエステルについて,先に提案した(特開昭
62−174228号)。
しかしながら,このようなポリエステルからなる成形品
は,通常260℃のハンダ浴に浸漬すると30秒以内に変形
するという問題点を残していた。
は,通常260℃のハンダ浴に浸漬すると30秒以内に変形
するという問題点を残していた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は,従来のサーモトロピック液晶性ポリエステル
からなる成形品の欠点を解消し,耐ハンダ浴性に優れた
耐熱性成形品を得ることのできるポリエステル成形品の
製造法を提供しようとするものである。
からなる成形品の欠点を解消し,耐ハンダ浴性に優れた
耐熱性成形品を得ることのできるポリエステル成形品の
製造法を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは,上記の課題を解決するために鋭意研究の
結果,実質的に非晶質のサーモトロピック液晶性ポリエ
ステルのペレットを成形するに際し,あらかじめ,ペレ
ットを熱処理して結晶化させて融点を発現させ,その融
点よりも低い温度で成形することにより,得られる成形
品の耐ハンダ浴性が格段に向上することを見出し,本発
明を完成した。
結果,実質的に非晶質のサーモトロピック液晶性ポリエ
ステルのペレットを成形するに際し,あらかじめ,ペレ
ットを熱処理して結晶化させて融点を発現させ,その融
点よりも低い温度で成形することにより,得られる成形
品の耐ハンダ浴性が格段に向上することを見出し,本発
明を完成した。
すなわち,本発明は,実質的に非晶質のサーモトロピッ
ク液晶性ポリエステルのペレットから成形品を製造する
に際し,あらかじめ,ペレットを熱処理して結晶化さ
せ,ガラス転移点よりも50℃以上高い融点を有するペレ
ットとし,その融点よりも10℃以上低い温度で成形する
ことを特徴とするポリエステル成形品の製造法を要旨と
するものである。
ク液晶性ポリエステルのペレットから成形品を製造する
に際し,あらかじめ,ペレットを熱処理して結晶化さ
せ,ガラス転移点よりも50℃以上高い融点を有するペレ
ットとし,その融点よりも10℃以上低い温度で成形する
ことを特徴とするポリエステル成形品の製造法を要旨と
するものである。
通常のサーモトロピック液晶性ポリエステルからなる成
形品は,サーモトロピック液晶状態が準安定状態であ
り,これを凍結させて固体としたものであるので,普通
にいう結晶状態や非晶状態のいずれとも異なっている
が,サーモトロピック液晶性ポリエステル自体の構造や
成形方法に伴い後述するようにその性状が異なってく
る。
形品は,サーモトロピック液晶状態が準安定状態であ
り,これを凍結させて固体としたものであるので,普通
にいう結晶状態や非晶状態のいずれとも異なっている
が,サーモトロピック液晶性ポリエステル自体の構造や
成形方法に伴い後述するようにその性状が異なってく
る。
本発明において,実質的に非晶質とは,示差走査熱量計
で測定したときにガラス転移点は観測されるが,実質的
な融点が観測されないものをいい,結晶質とは,実質的
な融点が観測されるものをいう。
で測定したときにガラス転移点は観測されるが,実質的
な融点が観測されないものをいい,結晶質とは,実質的
な融点が観測されるものをいう。
本発明の方法が適用されるサーモトロピック液晶性ポリ
エステルとしては,下記式〜で示される構成単位か
らなり,各構成単位のモル比が,ととが実質的に等
しく,ととが5/90〜45/10,好ましくは10/80〜35/3
0,最適には15/70〜30/40であるサーモトロピック液晶性
を有するランダムコポリエステルが好適である。
エステルとしては,下記式〜で示される構成単位か
らなり,各構成単位のモル比が,ととが実質的に等
しく,ととが5/90〜45/10,好ましくは10/80〜35/3
0,最適には15/70〜30/40であるサーモトロピック液晶性
を有するランダムコポリエステルが好適である。
−O−Ar1−O− −OC−Ar2−CO− −O−Ar3−CO− 〔Ar1,Ar2及びAr3は2価の芳香族基を示す。〕 式は芳香族ジオール残基であり,特に次式で示される
嵩高な含リン置換基を有する芳香族ジオール残基とし,
この単位を主鎖を構成する単位の5〜45モル%含有する
コポリエステルとすると成形品が高度の難燃性を有する
とともに,実質的に非晶質で熱処理によって効果的に結
晶化するので好ましい。
嵩高な含リン置換基を有する芳香族ジオール残基とし,
この単位を主鎖を構成する単位の5〜45モル%含有する
コポリエステルとすると成形品が高度の難燃性を有する
とともに,実質的に非晶質で熱処理によって効果的に結
晶化するので好ましい。
〔R1,R2はアルキル基,アルコキシ基,アリール基又は
アリロキシ基を示し,R1とR2とは互いに環を形成してい
てもよい。また,Ar0は3価の芳香族基を示す。〕 上記式におけるAr0としては,ベンゼン環及びナフタレ
ン環が好ましく,芳香環の水素原子は炭素原子数1〜20
のアルキル基,アルコキシ基,炭素原子数6〜20のアリ
ール基,アリロキシ基もしくはハロゲン原子で置換され
ていてもよい。
アリロキシ基を示し,R1とR2とは互いに環を形成してい
てもよい。また,Ar0は3価の芳香族基を示す。〕 上記式におけるAr0としては,ベンゼン環及びナフタレ
ン環が好ましく,芳香環の水素原子は炭素原子数1〜20
のアルキル基,アルコキシ基,炭素原子数6〜20のアリ
ール基,アリロキシ基もしくはハロゲン原子で置換され
ていてもよい。
この構成単位を形成する好ましい芳香族ジオールの具体
例としては,次の式(a)〜(d)で表されるものが挙
げられるが,特に好ましいものは(a)又は(c)で表
されるものである。
例としては,次の式(a)〜(d)で表されるものが挙
げられるが,特に好ましいものは(a)又は(c)で表
されるものである。
上記の芳香族ジオールの他,ハイドロキノン,レゾルシ
ン,ナフトハイドロキノン,4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニル,2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン,ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン,ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エーテル等を用いることもでき
る。
ン,ナフトハイドロキノン,4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニル,2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン,ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン,ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エーテル等を用いることもでき
る。
また,式の構成単位を形成する芳香族ジカルボン酸と
しては,テレフタル酸,イソフタル酸,4,4′−ジカルボ
キシジフェニル,2,6−ナフタレンジカルボン酸,2,2−ビ
ス(4′−カルボキシフェニル)プロパン,ビス(4−
カルボキシフェニル)メタン,ビス(4−カルボキシフ
ェニル)エーテル等が挙げられるが,特にテレフタル酸
及びイソフタル酸が好適である。
しては,テレフタル酸,イソフタル酸,4,4′−ジカルボ
キシジフェニル,2,6−ナフタレンジカルボン酸,2,2−ビ
ス(4′−カルボキシフェニル)プロパン,ビス(4−
カルボキシフェニル)メタン,ビス(4−カルボキシフ
ェニル)エーテル等が挙げられるが,特にテレフタル酸
及びイソフタル酸が好適である。
また,式の構成単位を形成する芳香族ヒドロキシカル
ボン酸としては,4−ヒドロキシ安息香酸,4−ヒドロキシ
−3−クロル安息香酸,4−ヒドロキシ−3−フェニル安
息香酸,2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸,1−ヒドロキシ
−4−ナフトエ酸等が挙げられるが,特に4−ヒドロキ
シ安息香酸が好適である。
ボン酸としては,4−ヒドロキシ安息香酸,4−ヒドロキシ
−3−クロル安息香酸,4−ヒドロキシ−3−フェニル安
息香酸,2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸,1−ヒドロキシ
−4−ナフトエ酸等が挙げられるが,特に4−ヒドロキ
シ安息香酸が好適である。
この他,ポリエステルの耐熱性を損なわない範囲内でエ
チレングリコール,1,4−シクロヘキサンジメタノール,
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸,1,4−シクロヘキサ
ンジオール,ペンタエリスリトール,アジピン酸,トリ
メリット酸等の成分を共重合してもよい。
チレングリコール,1,4−シクロヘキサンジメタノール,
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸,1,4−シクロヘキサ
ンジオール,ペンタエリスリトール,アジピン酸,トリ
メリット酸等の成分を共重合してもよい。
本発明の方法が適用される成形品を構成するサーモトロ
ピック液晶性ポリエステルとしては,上述のようなコポ
リエステルの他,アルキレンテレフタレート単位と4−
ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなるコポリエステ
ル,4−ヒドロキシ安息香酸残基単位と2−ヒドロキシ−
6−ナフトエ酸残基単位とからなるコポリエステル,4,
4′−ジヒドロキシジフェニル残基単位とテレフタル酸
残基及び/又はイソフタル酸残基単位と4−ヒドロキシ
安息香酸残基単位からなるコポリエステル等を使用する
こともできる。
ピック液晶性ポリエステルとしては,上述のようなコポ
リエステルの他,アルキレンテレフタレート単位と4−
ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなるコポリエステ
ル,4−ヒドロキシ安息香酸残基単位と2−ヒドロキシ−
6−ナフトエ酸残基単位とからなるコポリエステル,4,
4′−ジヒドロキシジフェニル残基単位とテレフタル酸
残基及び/又はイソフタル酸残基単位と4−ヒドロキシ
安息香酸残基単位からなるコポリエステル等を使用する
こともできる。
本発明の方法が適用されるサーモトロピック液晶性ポリ
エステルペレットは,実質的に非晶質であるが,熱処理
によって,結晶化することが必要であり,通常,流動開
始温度が330℃以下,好ましくは300℃以下,最適には25
0〜300℃,ガラス転移点が150℃以上,好ましくは155℃
以上,最適には160〜200℃のコポリエステルからのもの
が適当である。
エステルペレットは,実質的に非晶質であるが,熱処理
によって,結晶化することが必要であり,通常,流動開
始温度が330℃以下,好ましくは300℃以下,最適には25
0〜300℃,ガラス転移点が150℃以上,好ましくは155℃
以上,最適には160〜200℃のコポリエステルからのもの
が適当である。
また,ポリエステルの極限粘度は,成形物にした状態
で,0.3以上,好ましくは0.3〜5.0,最適には0.5〜3.0と
なるようにすることが望ましい。極限粘度がこの範囲よ
り小さいと耐熱性を始めとする各種の物理的,機械的特
性値が劣り,一方,極限粘度がこの範囲より大きいと溶
融粘度が高くなりすぎて流動性が損なわれたり,流動開
始温度が高くなりすぎたりして好ましくない。
で,0.3以上,好ましくは0.3〜5.0,最適には0.5〜3.0と
なるようにすることが望ましい。極限粘度がこの範囲よ
り小さいと耐熱性を始めとする各種の物理的,機械的特
性値が劣り,一方,極限粘度がこの範囲より大きいと溶
融粘度が高くなりすぎて流動性が損なわれたり,流動開
始温度が高くなりすぎたりして好ましくない。
さらに,ポリエステル中に補強材や充填剤を混合してお
くことにより,耐熱性や耐衝撃性を一層向上させること
ができる。
くことにより,耐熱性や耐衝撃性を一層向上させること
ができる。
補強材としては,ガラス繊維,炭素繊維あるいはウィス
カー,例えばAl2O3,SiC,黒鉛等のセラミックウィスカー
及びクロム,銅,鉄,ニッケル等の金属系ウィスカーが
挙げられる。
カー,例えばAl2O3,SiC,黒鉛等のセラミックウィスカー
及びクロム,銅,鉄,ニッケル等の金属系ウィスカーが
挙げられる。
また,充填剤としては,アルミニウム,銅,鉄等の金属
粉,マイカ,クレー,タルク,アスベストなどのケイ酸
質,グラファイト,カーボンブラック等の炭化物あるい
はアルミナ,酸化アンチモン,炭化ジルコニウム等の金
属酸化物,同炭化物が挙げられる。
粉,マイカ,クレー,タルク,アスベストなどのケイ酸
質,グラファイト,カーボンブラック等の炭化物あるい
はアルミナ,酸化アンチモン,炭化ジルコニウム等の金
属酸化物,同炭化物が挙げられる。
補強材,充填剤の添加量は,通常5〜50重量%,好まし
くは20〜40重量%が適当である。
くは20〜40重量%が適当である。
このようなサーモトロピック液晶性ポリエステルのペレ
ットを熱処理して結晶化させ,融点を発現させる。
ットを熱処理して結晶化させ,融点を発現させる。
ペレットを熱処理するに際して,ポリエステル中の水分
率が100ppm程度を超えていると,熱処理によってポリエ
ステル成形品の極限粘度が低下する場合があるので,予
め乾燥しておくことが好ましい。ポリエステル成形品中
の水分率を100ppm程度以下とするには,100〜150℃の温
度で,8〜48時間程度乾燥すればよい。
率が100ppm程度を超えていると,熱処理によってポリエ
ステル成形品の極限粘度が低下する場合があるので,予
め乾燥しておくことが好ましい。ポリエステル成形品中
の水分率を100ppm程度以下とするには,100〜150℃の温
度で,8〜48時間程度乾燥すればよい。
ペレットの熱処理は,ポリエステルのガラス転移点を超
えない温度,通常,ガラス転移点より20℃程度低い温度
から熱処理を開始し,徐々に昇温(通常,4℃/hr程度)
で徐々に昇温して,結晶化させ,融点を出現させる。
えない温度,通常,ガラス転移点より20℃程度低い温度
から熱処理を開始し,徐々に昇温(通常,4℃/hr程度)
で徐々に昇温して,結晶化させ,融点を出現させる。
熱処理は空気中で実施してもよいが,ポリエステルを劣
化させないために,酸素を遮断した状態で行うことが望
ましい。酸素を遮断するためには不活性ガスの雰囲気下
あるいは,20トル以下の減圧下で行うことが好ましく,
最適には,1トル未満の減圧下において熱処理する。
化させないために,酸素を遮断した状態で行うことが望
ましい。酸素を遮断するためには不活性ガスの雰囲気下
あるいは,20トル以下の減圧下で行うことが好ましく,
最適には,1トル未満の減圧下において熱処理する。
融点がガラス転移点よりも50℃以上高くなるまで熱処理
する必要がある。融点とガラス転移点との差が50℃未満
であると,実質的に結晶化させた効果が発現せず,成形
品としたとき,耐ハンダ浴性を始めとする耐熱性がほと
んど改良されない。
する必要がある。融点とガラス転移点との差が50℃未満
であると,実質的に結晶化させた効果が発現せず,成形
品としたとき,耐ハンダ浴性を始めとする耐熱性がほと
んど改良されない。
したがって,融点出現後も融点よりも10℃以上低い温度
で熱処理を続行することにより,融点がガラス転移点よ
りも50℃以上高くなるまで融点を上昇させる必要があ
る。
で熱処理を続行することにより,融点がガラス転移点よ
りも50℃以上高くなるまで融点を上昇させる必要があ
る。
そして,最終的に得られるペレットの融点が200℃〜400
℃,好ましくは250℃〜380℃,最適には280℃〜360℃と
なるようにするのが好ましい。
℃,好ましくは250℃〜380℃,最適には280℃〜360℃と
なるようにするのが好ましい。
融点が200℃未満であると耐熱性に劣り,融点が400℃を
超えると流動性が悪くなったり,成形時に熱分解を起こ
したりして,好ましくない。
超えると流動性が悪くなったり,成形時に熱分解を起こ
したりして,好ましくない。
このようにして得られたペレットを汎用の成形機,例え
ば,ポリエチレンテレフタレート用の成形機を用いて,
常法に従って成形する。
ば,ポリエチレンテレフタレート用の成形機を用いて,
常法に従って成形する。
成形に際しては,成形温度を融点よりも10℃以上低い温
度とすることが必要であり,好ましくは融点よりも10〜
80℃低い温度,最適には融点よりも25〜45℃低い温度で
成形するのがよい。
度とすることが必要であり,好ましくは融点よりも10〜
80℃低い温度,最適には融点よりも25〜45℃低い温度で
成形するのがよい。
成形温度が上記温度よりも高いと,ペレットを熱処理し
て結晶化させた効果が失われ,耐ハンダ浴性を有する成
形品が得られない。
て結晶化させた効果が失われ,耐ハンダ浴性を有する成
形品が得られない。
(作用) 本発明の方法によれば,サーモトロピック液晶性ポリエ
ステルから容易に耐ハンダ浴性の成形品を得ることがで
きる。
ステルから容易に耐ハンダ浴性の成形品を得ることがで
きる。
すなわち,サーモトロピック液晶性ポリエステルのペレ
ットを熱処理して結晶化させて融点を発現させ,その融
点を保持したまま成形するので,結晶質の成形品を得る
ことができ,耐ハンダ浴性を始めとする耐熱性の向上し
た成形品が得られるのである。
ットを熱処理して結晶化させて融点を発現させ,その融
点を保持したまま成形するので,結晶質の成形品を得る
ことができ,耐ハンダ浴性を始めとする耐熱性の向上し
た成形品が得られるのである。
なお,重合度を高める目的で,サーモトロピック液晶性
ポリエステルのペレットを熱処理した固相重合ペレット
を成形に供することは,良く知られているが,単に固相
重合ペレットを成形するだけでは,耐ハンダ浴性の成形
品は得られない。
ポリエステルのペレットを熱処理した固相重合ペレット
を成形に供することは,良く知られているが,単に固相
重合ペレットを成形するだけでは,耐ハンダ浴性の成形
品は得られない。
(実施例) 以下,実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
特性値の測定法は次のとおりである。
極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合溶媒中,20℃
で測定した溶液粘度から求めた。
で測定した溶液粘度から求めた。
ただし,実施例8の〔η〕のみは,ペンタフルオロフェ
ノール溶媒中,60℃で測定した溶液粘度から求めた。
ノール溶媒中,60℃で測定した溶液粘度から求めた。
アイゾット衝撃強度IZ ASTM D256に準拠し,厚さ1/8インチ,ノッチ付で測定し
た。(単位はkgf・cm/cm) 流動開始温度Tf フローテスター(島津製作所製CFT−500型)を用い,荷
重100kg/cm2,ノズル径0.5mmの条件で200℃から10℃/
分の速度で昇温して行き,ポリマーが流出し始める温度
として求めた。
た。(単位はkgf・cm/cm) 流動開始温度Tf フローテスター(島津製作所製CFT−500型)を用い,荷
重100kg/cm2,ノズル径0.5mmの条件で200℃から10℃/
分の速度で昇温して行き,ポリマーが流出し始める温度
として求めた。
融点Tm及びガラス転移点Tg 示差熱走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−2型)
を用いて測定した。
を用いて測定した。
熱変形温度HDT ASTM D648に準拠して,大荷重にて測定した。
耐ハンダ浴性 厚さ1/8インチのダンベル1号型試験片に予備成形し,
試験片を所定の温度のハンダ浴に浸漬し,外観の変化の
有無によって次の基準で評価した。
試験片を所定の温度のハンダ浴に浸漬し,外観の変化の
有無によって次の基準で評価した。
◎:260℃のハンダ浴に60秒間,280℃のハンダ浴に30秒
間,300℃のハンダ浴に10秒間浸漬しても外観に変化のな
いもの ○:260℃のハンダ浴に60秒間,280℃のハンダ浴に30秒間
浸漬しても外観に変化はないが,300℃のハンダ浴に10秒
間浸漬すると,外観が変化するもの ×:260℃のハンダ浴に30秒間浸漬すると,外観が変化す
るもの なお,サーモトロピック液晶性はホットステージ付Leit
z偏光顕微鏡で確認した。
間,300℃のハンダ浴に10秒間浸漬しても外観に変化のな
いもの ○:260℃のハンダ浴に60秒間,280℃のハンダ浴に30秒間
浸漬しても外観に変化はないが,300℃のハンダ浴に10秒
間浸漬すると,外観が変化するもの ×:260℃のハンダ浴に30秒間浸漬すると,外観が変化す
るもの なお,サーモトロピック液晶性はホットステージ付Leit
z偏光顕微鏡で確認した。
実施例1 反応装置に前記式(a)の芳香族ジオール(PHQ),テ
レフタル酸(TPA),4−ヒドロキシ安息香酸(4HBA)及
び無水酢酸(Ac2O)をモル比で25:25:75:130の割合で仕
込み,窒素雰囲気下,常圧,135℃で2時間混合しながら
反応させた。この反応物を常圧下,240℃で2時間,さら
に,280℃で2時間反応させた。次いで,この反応物を徐
々に減圧し,0.1トルの減圧下,順次昇温して反応を行
い,最終的に320℃まで温度を上げて,その温度で2時
間溶融重合した。
レフタル酸(TPA),4−ヒドロキシ安息香酸(4HBA)及
び無水酢酸(Ac2O)をモル比で25:25:75:130の割合で仕
込み,窒素雰囲気下,常圧,135℃で2時間混合しながら
反応させた。この反応物を常圧下,240℃で2時間,さら
に,280℃で2時間反応させた。次いで,この反応物を徐
々に減圧し,0.1トルの減圧下,順次昇温して反応を行
い,最終的に320℃まで温度を上げて,その温度で2時
間溶融重合した。
得られたポリエステルは,〔η〕2.1,Tf275℃,Tg192℃
で,色調に優れたサーモトロピック液晶性コポリエステ
ルであった。
で,色調に優れたサーモトロピック液晶性コポリエステ
ルであった。
このコポリエステルのペレットを減圧下,120℃で8時間
乾燥後,空気中で3時間かけて200℃とし,さらに6時
間かけて230℃とし,この温度で12時間熱処理を行っ
た。
乾燥後,空気中で3時間かけて200℃とし,さらに6時
間かけて230℃とし,この温度で12時間熱処理を行っ
た。
熱処理したペレットは,Tgのピークがほぼ消失し,代わ
って,365℃にシャープなTmピークを示した。
って,365℃にシャープなTmピークを示した。
このペレットを,常法に従って,成形温度320℃で厚さ1
/8インチのダンベル1号型試験片に成形した。
/8インチのダンベル1号型試験片に成形した。
この成形品の耐ハンダ浴性は○であったが,熱処理前ペ
レットを用いた成形品の耐ハンダ浴性は×であった。
レットを用いた成形品の耐ハンダ浴性は×であった。
実施例2 実施例1と同様にして重合して得られたペレットを減圧
下120℃で8時間乾燥後,空気中で3時間かけて200℃と
し,さらに6時間かけて230℃とし,この温度で2時間
熱処理を行った。
下120℃で8時間乾燥後,空気中で3時間かけて200℃と
し,さらに6時間かけて230℃とし,この温度で2時間
熱処理を行った。
このペレットを実施例1と同様にして成形して得られた
成形品は,Tgのピークがほぼ消失し,代わって,289℃に
シャープなTmピークを示した。
成形品は,Tgのピークがほぼ消失し,代わって,289℃に
シャープなTmピークを示した。
実施例3 実施例1で得たポリエステル70重量部にガラスフィラー
30重量部を混合して,実施例1と同様にして成形品を製
造した。
30重量部を混合して,実施例1と同様にして成形品を製
造した。
なお,この成形品の耐ハンダ浴性は◎であったが,熱処
理前のペレットを用いた成形品の耐ハンダ浴性は×であ
った。
理前のペレットを用いた成形品の耐ハンダ浴性は×であ
った。
実施例4 実施例1において,PHQ:TPA:4HBA:Ac2Oのモル比を35:35:
65:140とした以外は,実施例1と同様にしてポリエステ
ル成形品を製造した。
65:140とした以外は,実施例1と同様にしてポリエステ
ル成形品を製造した。
実施例5 実施例1において,芳香族ジカルボン酸としてTPAとと
もにイソフタル酸(IPA)を用い,PHQ:TPA:IPA:4HBA:Ac2
Oのモル比を25:20:5:75:130とした以外は,実施例1と
同様にしてポリエステル成形品を製造した。
もにイソフタル酸(IPA)を用い,PHQ:TPA:IPA:4HBA:Ac2
Oのモル比を25:20:5:75:130とした以外は,実施例1と
同様にしてポリエステル成形品を製造した。
実施例6 PHQの代わりに前記式(c)の芳香族ジオール(PPQ)を
用いた以外は,実施例1と同様にしてポリエステル成形
品を製造した。
用いた以外は,実施例1と同様にしてポリエステル成形
品を製造した。
実施例7 エチレンテレフタレート単位と4HBA残基単位とからなる
サーモトロピック液晶性コポリエステルであるLC−5000
(ユニチカ社製)を用い,実施例1と同様にしてポリエ
ステル成形品を製造した。
サーモトロピック液晶性コポリエステルであるLC−5000
(ユニチカ社製)を用い,実施例1と同様にしてポリエ
ステル成形品を製造した。
実施例8 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸残基単位と4HBA残基単
位とからなるサーモトロピック液晶性コポリエステルで
あるベクトラA−950(米ヘキストセラニーズ社製)を
用い,実施例1と同様にしてポリエステル成形品を製造
した。
位とからなるサーモトロピック液晶性コポリエステルで
あるベクトラA−950(米ヘキストセラニーズ社製)を
用い,実施例1と同様にしてポリエステル成形品を製造
した。
以上の実施例の結果をまとめて第1表に示す。
(発明の効果) 本発明の方法においては,サーモトロピック液晶性ポリ
エステルのペレットを熱処理して結晶化させて融点を発
現させ,その融点を保持したまま成形するので,結晶質
の成形品を得ることができ,耐ハンダ浴性を始めとする
耐熱性の向上した成形品が得られる。
エステルのペレットを熱処理して結晶化させて融点を発
現させ,その融点を保持したまま成形するので,結晶質
の成形品を得ることができ,耐ハンダ浴性を始めとする
耐熱性の向上した成形品が得られる。
そして,本発明によれば,サーモトロピック液晶性ポリ
エステルを耐ハンダ浴性が必要とされる用途に用いるこ
とが可能になる。
エステルを耐ハンダ浴性が必要とされる用途に用いるこ
とが可能になる。
Claims (2)
- 【請求項1】実質的に非晶質のサーモトロピック液晶性
ポリエステルのペレットから成形品を製造するに際し,
あらかじめ,ペレットを熱処理して結晶化させ,ガラス
転移点よりも50℃以上高い融点を有するペレットとし,
その融点よりも10℃以上低い温度で成形することを特徴
とするポリエステル成形品の製造法。 - 【請求項2】サーモトロピック液晶性ポリエステルが主
鎖を構成する単位の5〜45モル%が下記式で示される単
位からなるコポリエステルである請求項1記載のポリエ
ステル成形品の製造法。 〔R1,R2はアルキル基,アルコキシ基,アリール基又は
アリロキシ基を示し,R1とR2とは互いに環を形成してい
てもよい。また,Ar0は3価の芳香族基を示す。〕
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3057988A JPH0791392B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | ポリエステル成形品の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3057988A JPH0791392B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | ポリエステル成形品の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01204927A JPH01204927A (ja) | 1989-08-17 |
JPH0791392B2 true JPH0791392B2 (ja) | 1995-10-04 |
Family
ID=12307764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3057988A Expired - Lifetime JPH0791392B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | ポリエステル成形品の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0791392B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4639756B2 (ja) * | 2003-11-05 | 2011-02-23 | 住友化学株式会社 | 芳香族液晶ポリエステルおよびそのフィルムならびにそれらの用途 |
-
1988
- 1988-02-12 JP JP3057988A patent/JPH0791392B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01204927A (ja) | 1989-08-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5089594A (en) | Wholly aromatic polyester of isophthalic acid, terephthalic acid, p-hydroxybenzoic acid, hydroquinone and an arylene diol | |
JPH04500081A (ja) | 溶融加工性、液体結晶性ポリエステル | |
US5066767A (en) | Wholly aromatic polyesters comprising isophthalic acid, terephthalic acid, p-hydroxybenzoic acid, hydroquinone and an arylene diol | |
JPH02127424A (ja) | 芳香族ポリエステルの製造方法 | |
JPH0791392B2 (ja) | ポリエステル成形品の製造法 | |
JPH0757534B2 (ja) | ポリエステル成形品の処理方法 | |
EP0237358B1 (en) | Melt-moldable wholly aromatic polyester | |
JP2657083B2 (ja) | 芳香族コポリエステル | |
JP2507735B2 (ja) | サ−モトロピツク液晶性コポリエステルの製造法 | |
JPH0813878B2 (ja) | サ−モトロピツク液晶性コポリエステル | |
JPH0832771B2 (ja) | 溶融成形可能な全芳香族ポリエステル | |
JP2547820B2 (ja) | 芳香族コポリエステル | |
JPH07119006B2 (ja) | ポリエステル成形物とその製造法 | |
JP2537524B2 (ja) | ポリエステルの製造方法 | |
JPH0813879B2 (ja) | 芳香族コポリエステル | |
JPS62164723A (ja) | ポリエステル成形品 | |
JPH02133424A (ja) | 芳香族コポリエステル | |
JP4815655B2 (ja) | 芳香族ポリエステルおよびその成形体 | |
JPH04122723A (ja) | 全芳香族コポリエステル | |
JPH0819322B2 (ja) | ポリエステル系樹脂組成物 | |
JPH0813880B2 (ja) | 液晶性ブロックコポリエステル | |
JPH0826134B2 (ja) | サ−モトロピツク液晶性コポリエステル | |
JPH0715044B2 (ja) | ポリエステル樹脂組成物 | |
JPH0369933B2 (ja) | ||
JPH0771816B2 (ja) | ポリエステルの溶融成形方法 |