JPH1036492A - 全芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリエステルの製造方法

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JPH1036492A
JPH1036492A JP21611696A JP21611696A JPH1036492A JP H1036492 A JPH1036492 A JP H1036492A JP 21611696 A JP21611696 A JP 21611696A JP 21611696 A JP21611696 A JP 21611696A JP H1036492 A JPH1036492 A JP H1036492A
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JP
Japan
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aromatic polyester
wholly aromatic
prepolymer
polymerization
melt
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Application number
JP21611696A
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English (en)
Inventor
Yoshikuni Yamada
佳邦 山田
Satoshi Murouchi
聡士 室内
Toshitaka Kobayashi
俊孝 小林
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融重合と固相重合の二段階重合を用いる場
合において、溶融粘度およびアウトガス量の低い全芳香
族ポリエステルの製造方法を提供する。 【解決手段】 全芳香族ポリエステルの融点より70〜
100℃低い温度範囲内において3〜20時間固相重合
を行い、特定の3種類の繰返し構造単位を所定の割合で
含み、かつ特定条件下における溶融粘度が1〜200ポ
アズである光学的溶融異方性を示すポリエステルを得る
ことを特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全芳香族ポリエス
テルの新規な製造方法に関する。さらに詳しくは封止材
料に特に適した全芳香族ポリエステルの新規な製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】全芳香族ポリエステルは、その構造に基
づき優れた性質を有するが、特に耐熱性の点ではあらゆ
る樹脂の中で最も優れている。なかでもp−ヒドロキシ
安息香酸もしくはその誘導体を主要成分として含む全芳
香族ポリエステルは、射出成形が可能であり、かつ各種
物性、特に機械的性質や電気的特性に優れている上、高
い耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐放射線性、寸法安定性
などプラスチックの使用分野における要求性能のほとん
ど全てを兼ね備えている樹脂であることが知られてい
る。
【0003】これらの全芳香族ポリエステルの用途の一
つとして、電気電子部品の保護を目的とした封止材料が
挙げられる。全芳香族ポリエステルを封止材料として用
いる場合、溶融粘度が高いと射出成形時に高い圧力を必
要とし、その結果封止成形を受ける精密な電子部品が損
傷を受けるという問題が発生することから、比較的低い
溶融粘度のものが用いられている。溶融粘度の低い全芳
香族ポリエステルを製造するためには、通常重合時間を
短くして低重合度に抑える方法が一般的である。しかし
ながら、この製造方法では重合時間を短く制限するた
め、得られた全芳香族ポリエステルは酢酸等の脱離基や
未反応モノマーおよび分解物等からなるアウトガスを多
量に内包し、封止材料として用いた場合に問題が生ず
る。
【0004】また溶融粘度の低い全芳香族ポリエステル
を製造する他の方法としては、製造時にモノマーの送入
量のバランスを崩したり、一官能性モノマーを導入して
末端官能基を安定化することなどにより重合度を制御す
る手段がある。この方法によれば、溶融重合のみで全芳
香族ポリエステルを製造する場合には、重合時間を十分
に長くすることができ、アウトガスの除去には効果があ
る。しかしながら、溶融重合と固相重合の二段階重合で
ポリマーを製造する場合には、重合度を抑制する効果が
認められず、実質的に重合時間を長くすることができず
内包するアウトガスの除去が困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、電気電
子用封止材料に用いる全芳香族ポリエステルは、内部素
子を損傷させないために十分低い溶融粘度を有し、かつ
内包するアウトガス量の極めて少ないものでなければな
らない。従って、本発明の目的は、溶融重合と固相重合
の二段階重合を用いる全芳香族ポリエステルの製造にお
いて、溶融粘度およびアウトガス量のいずれも低い全芳
香族ポリエステルの製造方法を提供することにある。さ
らに詳しくは封止材料に特に適した全芳香族ポリエステ
ルの新規な製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、低
溶融粘度でありかつアウトガス量の少ない光学的溶融異
方性を有する全芳香族ポリエステルの溶融重合と固相重
合の二段階重合による製造について鋭意研究を行った結
果、特定の組成割合の原料を用いて、特定の重合温度で
固相重合を行うことにより、低い溶融粘度でかつアウト
ガス量の少ない全芳香族ポリエステルが得られることを
見出して本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、溶融重合によりプレポリマーを得た後、プレポリマ
ーの固相重合を行って全芳香族ポリエステルを得る場合
において、固相重合を全芳香族ポリエステルの融点(T
m)より70〜100℃低い温度範囲内において3〜2
0時間行い、下記式〔I〕、〔II〕および〔III〕に示す
繰返し構造単位からなり、かつTm +20℃および剪断
速度(γ)=100sec-1の条件下における溶融粘度が
1〜200ポアズの範囲にある光学的溶融異方性を示す
全芳香族ポリエステルを得ることを特徴とする全芳香族
ポリエステルの製造方法に関するものである。
【化3】 〔式中、k、lおよびmは、ポリエステル中の各構造単
位の含有割合(モル%)をそれぞれ示し、10≦k≦9
0、lとmは実質的に等しく、上式中のAr は
【化4】 であり、XおよびYは炭化水素基、−O−、−S−、−
SO−または−CO−であり、s、t、uおよびvは0
または1である。また、各式中の置換基は互いにパラま
たはメタの位置にある。〕
【0007】以下に本発明をさらに説明する。本発明に
おける上記式〔I〕の繰返し構造単位に対応する芳香族
ポリエステル前駆体モノマーとしては、p−ヒドロキシ
安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸およびこれらの機能
誘導体が挙げられる。機能誘導体としては、エステル化
反応により式〔I〕の繰返し構造単位を生成し得る前駆
体モノマー、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸フェニ
ル、p−アセトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸
メチル、p−アセトキシ安息香酸メチルなどが例示され
る。これらの前駆体モノマーは単独でもまた混合物とし
ても使用することができる。好ましくは、p−ヒドロキ
シ安息香酸またはこれらの機能誘導体である。
【0008】上記式〔II〕の繰返し構造単位に対応する
芳香族ポリエステル前駆体モノマーとしては、芳香族ジ
カルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、p,
p'−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(4−カル
ボキシフェニル)プロパン、4,4'−ジカルボキシジフ
ェニルエーテル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4'−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4'−ジカ
ルボキシジフェニルスルフィドまたはそれらの機能誘導
体が挙げられる。機能誘導体としては、エステル化反応
により式〔II〕の繰返し構造単位を生成し得る前駆体モ
ノマー、例えば、上記ジカルボン酸のジフェニルエステ
ル、ジメチルエステル、ジエチルエステルなどが例示さ
れる。これらの前駆体モノマーは単独でもまた混合物と
しても使用することができる。好ましくは、テレフタル
酸、イソフタル酸またはこれらの機能誘導体である。さ
らに好ましくは、テレフタル酸またはその機能誘導体
と、イソフタル酸またはその機能誘導体との混合物であ
る。
【0009】また上記式〔III〕の繰返し構造単位に対
応する芳香族ポリエステル前駆体モノマーとしては、芳
香族環を有するジオール、例えばヒドロキノン、レゾル
シン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス
フェノールA、2,6−ナフタレンジオールまたはこれ
らの機能誘導体等が挙げられる。機能誘導体としては、
エステル化反応により式〔III〕の繰返し構造単位を生
成し得る前駆体モノマー、例えば、4,4'−ジアセトキ
シジフェニルなどが例示される。これらの前駆体モノマ
ーは単独でまたは混合物として使用することができる。
【0010】得られる全芳香族ポリエステル全体におけ
る各構造単位の含有割合としては、式〔I〕の構造単位
の割合k(モル%)は10≦k≦90の範囲にあること
が必要であり、この範囲をはずれると得られる全芳香族
ポリエステルの成形性が著しく低下するので好ましくな
い。また式〔II〕と〔III〕の構造単位の割合、すなわ
ちlおよびmは実質的に等しい値である。これらの関係
により本発明のポリエステルの組成が定まる。
【0011】これらのモノマーの組み合わせとしては、
式〔I〕に該当するモノマーとしてp−ヒドロキシ安息
香酸またはそのエステル誘導体、式〔II〕に該当するモ
ノマーとしてテレフタル酸、イソフタル酸、p,p'−ビ
フェニルジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフ
ェニル)プロパン、4,4'−ジカルボキシジフェニルエ
ーテル、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそれら
のエステル誘導体、および式〔III〕に該当するモノマ
ーとして4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ヒドロキノ
ン、2,6−ナフタレンジオールまたはそれらのエステ
ル誘導体から選ばれる組み合わせのものが好ましい。
【0012】また本発明の全芳香族ポリエステルの製造
方法は、溶融重合と固相重合の二段階重合により製造す
るものであり、溶融重合により一旦全芳香族ポリエステ
ルのプレポリマーを製造し、これを固相重合によりさら
に重合させる方法であれば、いずれの公知の方法も採用
することができる。溶融重合の代表的な方法としては例
えば次の(1)〜(4)が挙げられる。 (1)芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物、芳香
族ヒドロキシカルボン酸のアシル化物および芳香族ジカ
ルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 (2)芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸および芳香族ジカルボン酸、ならびに無水酢酸
から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 (3)芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸
のジフェニルエステル、および芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸のフェニルエステルから脱フェノール重縮合により
製造する方法。 (4)芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカル
ボン酸を所望量のジフェニルカーボネートと反応させ、
カルボキシル基をフェニルエステル化した後、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応によ
り製造する方法。 例えば、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル(BP)、テレフタル酸(TP
A)を反応器に入れ、無水酢酸を加えて無水酢酸還流下
にアセトキシ化を行い、その後昇温して250〜350
℃の温度範囲で酢酸を留出しながら脱酢酸溶融重縮合を
行うことによりポリエステルのプレポリマーが得られ
る。プレポリマーの生成が溶融状態で進行するならば、
いずれの溶融重合方法も採用することができる。溶融重
合の時間は1時間〜数十時間の範囲で適宜に選択するこ
とができる。
【0013】その後、ポリエステルのプレポリマーを粉
砕した後、固相重合を公知の方法により、例えば、窒素
などの不活性雰囲気下で熱処理することにより行う。固
相重合は、粉体を攪拌しながら行ってもよく、また攪拌
することなく静置した状態で行ってもよい。本発明の固
相重合は、一旦得られたプレポリマーについて、重合用
溶媒を使用せずにさらに重合を進行させる方法であれ
ば、従来公知のいずれの方法も採用することができる。
【0014】重合反応に使用する触媒としては、従来ポ
リエステルの重縮合用触媒として公知の触媒を使用する
ことができ、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブ
チルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、三酸化アンチモン、金属触媒が代表的である。しか
し、無触媒で行うこともできる。
【0015】また、重合器は特に限定されるものではな
いが、一般の高粘度反応に用いられる攪拌設備、例え
ば、錨型、多段型、螺旋帯、螺旋軸等の各種形状の攪拌
機またそれらを変形したものを備えた攪拌糟型重合器、
具体的には、ワーナー式ミキサー、バンバリーミキサ
ー、ポニーミキサー、ミューラーミキサー、ロールミ
ル、連続操作可能なコニーダー、パグミル、ギヤーコン
パウンダーなどが挙げられるが、特に限定されるもので
はない。
【0016】本発明の全芳香族ポリエステルの製造にお
いては、固相重合を、得られる全芳香族ポリエステルの
示差走査熱量測定法(DSC)により測定される融点
(Tm)より70〜100℃低い温度範囲内で3〜20
時間行うことが必須要件である。固相重合温度がTm の
100℃以下よりも低いと、アウトガスの除去効果が不
十分であり、固相重合温度がTm の70℃以下よりも高
い場合は、重合時間が短くなるためアウトガスの除去を
十分に行うことができず、いずれも好ましくない。あら
かじめ予備的な実験を行い、得られるポリエステルの融
点を確認した上で固相重合をすることが好ましい。ま
た、固相重合時間が3時間未満ではアウトガスの除去効
果は不十分であり、20時間よりも長いと生産コストが
高くなり好ましくない。
【0017】このようにして得られる全芳香族ポリエス
テルは、Tm+20℃および剪断速度(γ)=100sec
-1の条件下において1〜200ポアズの低い溶融粘度を
有し、光学的溶融異方性を示す。低い溶融粘度を有する
ため、特に封止材料に適する。光学的溶融異方性とは、
溶融時に光学的異方性を示すことであり、常法により例
えばホットステージ付きの偏光顕微鏡下の観察などによ
り判定することができる。ここで、溶融粘度はキャピラ
リーレオメーター(例えば、商品名:モデル 201
0、インテスコ(株)製)を用い、L/D=40/1(mm
/mm)、流入角90゜のキャピラリーによりTm +2
0℃およびγ=100sec-1の条件で測定する。
【0018】なお、本発明でいうTm は、上記のように
DSCで測定される融点であって、全芳香族ポリエステ
ルを完全に溶融させた後、10℃/分の冷却速度で室温
まで冷却し、再度20℃/分の昇温速度で昇温したとき
に得られるDSCの融解ピークから求めたものである。
Tm は用いるモノマーおよび組成により異なるが、29
0℃〜440℃の範囲にあることが好ましい。特に好ま
しくは、300℃〜420℃である。Tm が290℃未
満では、熱変形温度で示される耐熱性が著しく低下し、
また440℃より高いと成形性が著しく低下するので、
特に封止材料としてはいずれの場合も好ましくない。
【0019】本発明の製造方法により得られる全芳香族
ポリエステルは、各種用途に用いることができる。一般
的な成形品として用いる場合には、主として機械的強度
の向上のために各種の繊維状、粉粒状、板状の無機およ
び有機充填材を配合することができる。繊維状の充填材
としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、
シリカアルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにア
ルミニウム、チタン、銅などの金属の繊維状物などの無
機繊維状物質が挙げられる。代表的なものはガラス繊維
である。粒状充填材としては、カーボンブラック、黒
鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスフ
ァイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸アルミニウム、タルク、クレー、ケイ藻土、
ウォラストナイトのようなケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナ、硫酸カル
シウム、炭酸カルシウム、その他各種の金属粉末が挙げ
られる。また、板状充填材としては、マイカ、ガラスフ
レーク、各種の金属箔などが挙げられる。そのほか、有
機充填材の例を挙げれば、芳香族ポリエステル、芳香族
ポリアミドまたはポリイミド繊維などの耐熱性高強度繊
維などがある。これら充填材の使用にあたっては、必要
に応じ表面処理剤を使用することが望ましい。繊維状充
填材の場合には、さらに収束剤を用いることができる。
【0020】また、上記以外に従来公知の酸化防止剤、
熱安定剤、増量剤、補強剤、顔料、難燃化剤等の種々の
添加剤を適宜の量添加することができる。これらの添加
剤および充填材は1種または2種以上併用することがで
きる。
【0021】無機充填材を用いる場合の配合量は、組成
物全体に対して95重量%以下、好ましくは80重量%
以下である。95重量%を超える量の無機充填材を配合
すると、機械的強度はむしろ低下するので好ましくな
い。なお、封止材料としては、上記の光学的溶融異方性
を有する全芳香族ポリエステルを単独でも用いることが
できる。しかしながら、電気電子部品等の封止材料とし
ては、組成物全体に対して10〜90重量%の無機充填
材を配合して用いることが好ましい。
【0022】封止材料に配合する無機充填材としては、
熱膨張が小さく、熱伝導率が大きく、かつ電気電子部品
の電気的動作を妨害する懸念のある有害物質をできる限
り除去した無機充填材であれば、特に限定されない。好
ましくは、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化
亜鉛、ケイ酸チタン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸リチ
ウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、
チタン酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ
素、タルク、マイカ等の球状粒子や破砕粒子およびガラ
スビーズ、ガラスファイバー等が例示される。
【0023】封止材料に用いる粒状充填材の粒径、また
は繊維状充填材の直径およびアスペクト比等は、適宜に
任意の範囲から選択して使用することができる。これら
の充填材は単独で用いることができ、また2種以上を混
合することもできる。これらの内では、流動性と耐熱性
の両方を考慮すると、シリカ、アルミナ、ガラスビー
ズ、ガラスファイバーおよびタルクから選ばれる1種ま
たは2種以上の混合物が好ましい。
【0024】封止材料としての流動性および耐熱性を良
好に保つためには、充填材の量を樹脂組成物全体に対し
て前述のように10〜90重量%配合することが好まし
く、30〜65重量%が特に好ましい。10重量%未満
では熱膨張率や熱伝導率があまり向上せず、一方90重
量%より多いと樹脂の流動性が低下し、表面状態が劣る
ものとなるので、いずれも好ましくない。
【0025】本発明のポリエステル封止材料による電子
部品の封止は、公知の方法により適宜に行うことができ
る。例えば、樹脂温度270〜330℃、金型温度20
〜170℃で射出成形し、対象とする電気電子部品を例
えばインサート成形により封止することができる。
【0026】
【発明の実施の態様】以下に実施例により本発明を説明
する。なお、以下の各実施例および比較例により得られ
た全芳香族ポリエステルは、偏光顕微鏡を用いる常法に
より測定したところ、いずれも溶融時に光学的異方性を
示した。
【実施例】
<測定方法>本発明における実施例に示されている各物
性値は次の方法で測定した。 (1)融点(Tm) DSC装置(商品名:SSC−5020、セイコー電子
工業(株)製)を用い、前記の方法により測定する。 (2)溶融粘度 キャピラリーレオメーターを用い、前記の方法により測
定する。 (3)アウトガス量 射出成形により成形された試験片を1mmに粉砕し、粉
砕物1.0gをアルミニウムシールした小型ガラスびん
に入れ、150℃で24時間加熱して、ガスクロマトグ
ラフィーにより発生する酢酸ガスを定量する。 <試験片の作製>射出成形機(商品名:SG−25型、
住友重機械工業(株)製)を使用し、常法に従い射出成形
を行って試験片を得た。
【0027】<参考例1>錨型攪拌翼を有し、重合槽の
槽壁と攪拌翼とのクリアランスの小さい重合槽に、p−
ヒドロキシ安息香酸1330.10g(9.63モル)、
4,4'−ジヒドロキシビフェニル598.33g(3.2
1モル)、テレフタル酸400.04g(2.41モル)
およびイソフタル酸133.40g(0.80モル)を入
れ、真空乾燥の後、無水酢酸1721gを加えて、15
0℃で3時間無水酢酸還流下にアセトキシ化反応を行っ
た。その後、0.5℃/分の昇温速度で加熱しながら酢
酸を留去し、温度が320℃に達した後その温度で15
分間保持して溶融重合を行った。得られた重合体を抜き
出し口より取り出し、粉砕機により1mm以下に粉砕し
プレポリマーAを得た。
【0028】<参考例2>参考例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸1330.10g(9.63
モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル388.92
g(2.09モル)、テレフタル酸266.64g(1.
60モル)、イソフタル酸266.64(1.60モル)
およびヒドロキノン123.71g(1.12モル)を入
れ、参考例1と全く同様にしてプレポリマーBを得た。
【0029】<実施例1>参考例1で得られたプレポリ
マーAを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
260℃まで120分をかけて昇温し、260℃で6時
間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融点
をDSCで測定したところ340℃であり、溶融粘度は
20ポアズであった。得られた重合体とミルドガラスフ
ァイバーとを60/40重量比で押出機により混合し、
340℃で試験片を射出成形した。得られた試験片を粉
砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示す。
【0030】<実施例2>参考例1で得られたプレポリ
マーAを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
250℃まで120分をかけて昇温し、250℃で10
時間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融
点をDSCで測定したところ340℃であり、溶融粘度
は25ポアズであった。得られた重合体とミルドガラス
ファイバーとを60/40重量比で押出機により混合
し、340℃で試験片を射出成形した。得られた試験片
を粉砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示
す。
【0031】<実施例3>参考例2で得られたプレポリ
マーBを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
220℃まで120分をかけて昇温し、220℃で6時
間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融点
をDSCで測定したところ302℃であり、溶融粘度は
25ポアズであった。得られた重合体とミルドガラスフ
ァイバーとを60/40重量比で押出機により混合し、
300℃で試験片を射出成形した。得られた試験片を粉
砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示す。
【0032】<実施例4>参考例2で得られたプレポリ
マーBを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
210℃まで120分をかけて昇温し、210℃で9時
間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融点
をDSCで測定したところ300℃であり、溶融粘度は
15ポアズであった。得られた重合体とミルドガラスフ
ァイバーとを60/40重量比で押出機により混合し、
300℃で試験片を射出成形した。得られた試験片を粉
砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示す。
【0033】<比較例1>参考例1で得られたプレポリ
マーAを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
290℃まで120分をかけて昇温し、290℃で6時
間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融点
をDSCで測定したところ350℃であり、溶融粘度は
950ポアズであった。得られた重合体とミルドガラス
ファイバーとを60/40重量比で押出機により混合
し、350℃で試験片を射出成形した。得られた試験片
を粉砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示
す。
【0034】<比較例2>参考例1で得られたプレポリ
マーAを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
290℃まで120分をかけて昇温し、290℃で0.
5時間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の
融点をDSCで測定したところ345℃であり、溶融粘
度は50ポアズであった。得られた重合体とミルドガラ
スファイバーとを60/40重量比で押出機により混合
し、345℃で試験片を射出成形した。得られた試験片
を粉砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示
す。
【0035】<比較例3>参考例2で得られたプレポリ
マーBを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
260℃まで120分をかけて昇温し、260℃で4時
間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融点
をDSCで測定したところ310℃であり、溶融粘度は
1050ポアズであった。得られた重合体とミルドガラ
スファイバーとを60/40重量比で押出機により混合
し、310℃で試験片を射出成形した。得られた試験片
を粉砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示
す。
【0036】<比較例4>参考例2で得られたプレポリ
マーBを2.0リットルの回転式筒状加熱器に入れ、窒
素を0.5リットル/分の流量で流しながら、室温から
220℃まで120分をかけて昇温し、220℃で2時
間固相重合を行い重合体を得た。得られた重合体の融点
をDSCで測定したところ305℃であり、溶融粘度は
10ポアズであった。得られた重合体とミルドガラスフ
ァイバーとを60/40重量比で押出機により混合し、
305℃で試験片を射出成形した。得られた試験片を粉
砕してアウトガス量の測定を行った結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表の結果から、本発明における固相重合方
法を用いることにより、アウトガス量の少ない成形品が
得られることがわかる。一方、固相重合条件が本発明の
方法と相違する場合には、アウトガス量の低減効果が認
められなかったり、溶融粘度の制御が困難となる。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法により製造される全芳香族
ポリエステルは、低い溶融粘度を有し、かつアウトガス
の発生量が著しく低減されている。従って、本発明の方
法は、封止材料の製造方法として好適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融重合によりプレポリマーを得た後、
    該プレポリマーの固相重合を行って全芳香族ポリエステ
    ルを得る場合において、該固相重合を全芳香族ポリエス
    テルの融点(Tm)より70〜100℃低い温度範囲内
    において3〜20時間行い、下記式〔I〕、〔II〕およ
    び〔III〕に示す繰返し構造単位からなり、かつTm +
    20℃および剪断速度(γ)=100sec-1の条件下に
    おける溶融粘度が1〜200ポアズの範囲にある光学的
    溶融異方性を有する全芳香族ポリエステルを得ることを
    特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法、 【化1】 〔式中、k、lおよびmは、ポリエステル中の各構造単
    位の含有割合(モル%)をそれぞれ示し、10≦k≦9
    0、lとmは実質的に等しく、上式中のAr は 【化2】 であり、XおよびYは炭化水素基、−O−、−S−、−
    SO−または−CO−であり、s、t、uおよびvは0
    または1である。また、各式中の置換基は互いにパラま
    たはメタの位置にある。〕
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6774203B1 (en) 1999-11-18 2004-08-10 Polyplastics Co., Ltd. Method for producing liquid crystalline polyester
JP2006028287A (ja) * 2004-07-14 2006-02-02 Ueno Seiyaku Oyo Kenkyusho:Kk 液晶ポリエステル樹脂およびその製造方法
JP2006089714A (ja) * 2004-06-22 2006-04-06 Toray Ind Inc 液晶性樹脂、その製造方法、液晶性樹脂組成物および成形品
JP2010174207A (ja) * 2009-02-02 2010-08-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 液晶ポリエステルの製造方法

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