JPH0764744B2 - 標的細胞障害性因子とヒトインタ−フェロンとを有効成分として含有する悪性腫瘍治療剤 - Google Patents

標的細胞障害性因子とヒトインタ−フェロンとを有効成分として含有する悪性腫瘍治療剤

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JPH0764744B2
JPH0764744B2 JP56187627A JP18762781A JPH0764744B2 JP H0764744 B2 JPH0764744 B2 JP H0764744B2 JP 56187627 A JP56187627 A JP 56187627A JP 18762781 A JP18762781 A JP 18762781A JP H0764744 B2 JPH0764744 B2 JP H0764744B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、標的細胞障害性因子とヒトインターフェロン
とを有効成分として含有する悪性腫瘍治療剤に関する。
標的細胞障害性因子(Target Cell Lysis Factor、以
下、単に「TCLF」と略称する。)は、マウスL−929細
胞を標的細胞とし、この細胞に障害(Cytotoxicity)を
与え、その細胞を死滅破壊(Cytolysis)させる因子で
リンホトキシン、ツモアネクロシスファクターなどが知
られている。
リンホトキシンは、青木隆一ほか共著、「リンホカイ
ン」、新免疫学業書6、1979年、医学書院、Bloom,B.R.
とGlade.P.R.共著、「In vitro methods in cell−medi
ated immunity」、Academic Press、1971年などにも記
載されているように、例えば、感作されたTリンパ球細
胞に抗原を作用させるか、ミトーゲンとしてフィトヘマ
グルチニン、コンカナバリンAをはじめとするリンホト
キシン誘導剤をTリンパ球細胞に作用させることによっ
て、その細胞内外に誘導生成する蛋白性物質であって、
細胞障害機能を持つ物質に与えられた名称である。リホ
トキシンは、マウスL−929細胞のみならず、ヒト腫瘍
細胞さらにはヒト正常細胞にも障害を与えると報告され
ている。また、ツモアネクロシスファクターは、Carswe
ll,E.A.等、Pr.Natl.Acad.Sci.UAS、第72巻、第9号、
第3666〜3670頁(1975年)及びE.Pick編、Tumor Necros
is Factor in“Lymphokines"、第II巻、第235〜第272
頁、Academic Press (1981年)などにも記載されてい
るように、例えば、ウサギにBacillus Calmette Guerin
(BCG)、Corynebacterium parvum、エンドトキシンな
どのツモアネクロシスファクター誘導剤を非経口的に投
与することによって、その血清中のマクロファージ細胞
が誘導生成する蛋白性物質であって、Meth A肉腫出血性
壊死能を持つ物質に与えられた名称である。ツモア ネ
クロシスファクターは、マウスL−929細胞のみなら
ず、ヒト腫瘍細胞にも障害を与えそれを死滅破壊させる
が、ヒト正常細胞には実質的に障害を与えないことが知
られている。
このように、マウスL−929細胞を標的細胞とするTCLF
は、腫瘍細胞に対して細胞障害機能を持っていることに
より、悪性腫瘍治療剤として期待されてきた。TCLFには
種特異性がほとんど見られないので、ウサギ、ラットな
ど種々の動物由来の細胞から調製したTCLFを利用するこ
とも考えられるが、ヒトの治療に供するには、ヒトの生
細胞由来であることが、治療上に生ずる抗原性などの副
作用の懸念もなく極めて安全であり、優れている。
本発明者は、工業的規模で容易に実施し得るヒトのTCLF
の製造方法を検討し、そのTCLFが悪性腫瘍治療剤として
有用であるか否かを鋭意研究した。
その結果、TCLF産生能を有する培養株化されたヒト由来
のBリンパ芽球様細胞を増殖させて得られるBリンパ芽
球様細胞に、TCLF誘導剤を作用させることによって、TC
LF及びヒトインターフェロンが高活性で誘導生成され、
TCLF及びヒトインターフェロンとを多量容易に製造し得
ることを見出した。又、TCLF自体が悪性腫瘍の治療剤と
して優れていることを確認すると共に、TCLFとヒトイン
ターフェロンの混合物は、治療効果、副作用が少ない等
の点において、TCLF単品よりも遥かに優れていることを
確認して本発明を完成した。本発明で使用し得るTCLFと
ヒトインターフェロンの混合物としては、TCLFの精製途
中で得られるTCLFとヒトインターフェロンとの混合物、
或は、一度、別々に精製採取したTCLFとヒトインターフ
ェロンとを後で混合して得られる混合物が適宜使用され
る。
このようにして製造されたTCLFは、分子量約1〜10万の
範囲に存在し、少なくとも3種の糖蛋白質としてのTCLF
が存在することが明らかとなり、その作用は、マウスL
−929細胞のみならず、ヒト腫瘍細胞に障害を与え死滅
させる能力を有しているが、ヒト正常細胞には実質的に
障害を与えないことが判明した。
すなわち、本発明は、有効成分として、下記の理化学的
性質を有するTCLFとヒトインターフェロンを含有する悪
性腫瘍治療剤を要旨とするものである。
(i)物質としての本質 蛋白性物質である。
(ii)分子量 ゲル濾過法により測定すると、約1万乃至2万、約3.5
万乃至5万又は約7万乃至9万の分子量値を示す。
(iii)産生方法 ヒト由来のBリンパ芽球様細胞にα−インターフェロン
誘導剤又はγ−インターフェロン誘導剤を作用させるこ
とにより産生させることができる。
(iv)精製方法 塩析、透析、濾過、遠心分離、濃縮、凍結乾燥、イオン
交換体への吸着−溶出、ゲル濾過、等電点分画、電気泳
動、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマト
グラフィー、カラムクロマトグラフィー、アフィニティ
クロマトグラフィーなどの蛋白性物質を精製するための
通常一般の方法により精製することができる。
(v)作用 マウスL−929細胞及びヒト腫瘍細胞に障害を与え、死
滅破壊する。
以下、本発明のTCLFの製造方法について詳細に説明す
る。
本発明に使用する培養株化されたヒト由来のBリンパ芽
球様細胞には、常法に従って、生体外(in vitro)で増
殖させた細胞が使用できる。しかしながら、本発明の場
合には、Bリンパ芽球様細胞の増殖に際し、ヒト以外の
温血動物体内に直接移植するか、または拡散チャンバー
内へ接種して、その温血動物の体液の供給を受けながら
増殖させたBリンパ芽球様細胞を使用する方が望まし
い。即ち、生体外(in vitro)で増殖させる場合とは違
って、高価な血清などを含む栄養培地が不要または大幅
に節約できるばかりでなく、細胞増殖中の維持管理も極
めて容易であり、その上、誘導生成されるTCLFの活性が
高い特徴を有している。
ヒト以外の温血動物を利用する方法は、培養株化された
ヒト由来のBリンパ芽球様細胞をヒト以外の温血動物体
内に移植し、あるいは、その動物の体液の供給を受ける
ことのできる拡散チャンバー内に収容し、このチャンバ
ーを動物体内に埋設して通常の飼育をすれば、温血動物
体から供給される栄養物を含有する体液を利用してその
細胞が容易に増殖し得るのである。更に生体外(in vit
ro)で増殖させる場合と比較して、この細胞の増殖が安
定していること、その増殖速度が大きいこと、得られる
細胞量が多いこと、更には細胞当りのTCLFの収量が著増
することも大きな特徴である。
本発明で使用する培養株化されたヒト由来の細胞は、ヒ
ト以外の温血動物体内に移植して容易に増殖し得て、し
かもTCLF産生能を有するBリンパ芽球様細胞であればよ
い。例えば、「Journal of Clinical Microbiology」、
第1巻、第116〜117頁(1975年)に記載されているNama
lwa細胞、I.Miyoshi著、「Nature」、第267巻、第843〜
844頁(1977年)に記載されているBALL−1細胞、「組
織培養」、第6巻、第13号、第527〜546頁(1980年)に
記載されているJBL細胞、EBV−Sa細胞、EBV−Wa細胞、E
BV−HO細胞や、その他BALM2細胞、CCRF−SB細胞(ATCC
CCL 120)、CCRF−CEM細胞(ATCC CCL 119)などの株化
細胞、更には、薬剤、放射線などで処理して培養株化さ
れた細胞などが自由に使用される。
また、これらBリンパ芽球様細胞のTCLF産生能を有する
遺伝子を、例えばポリエチレングリコールやセンダイウ
ィルスなどを利用する細胞融合の手段や、DNAリガー
ゼ、制限酵素(ヌクレアーゼ)、DNAポリメラーゼなど
の酵素を利用する遺伝子組み換えの手段などによって処
理し、その増殖速度を高めたり、細胞当りのTCLF産生能
を高めたりして使用してもよく、本明細書に記載する株
化細胞のみに限定されるものではない。これらの細胞
は、後に述べるTCLFを誘導生成させるまでの過程で、単
独で又は2種以上を混合して自由に利用される。必要な
らば、これに、例えばヒトの新鮮血から調製される白血
球を併用することもできる。
本発明で使用する温血動物は、ヒト由来の細胞が増殖し
得るものであればよく、例えばニワトリ、ハトなどの鳥
類、イヌ、ネコ、サル、ウサギ、ヤギ、ブタ、ウマ、ウ
シ、モルモット、ラット、ハムスター、普通マウス、ヌ
ードマウスなどの哺乳類が使用できる。
これらの動物に、ヒト由来のリンパ芽球様細胞を移植す
ると、好ましくない免疫反応を起こすおそれがあるの
で、その反応をできるだけ抑えるため、使用する動物
は、できるだけ幼若な状態、即ち卵、胚、胎児、または
新生期、幼少期のものの方が好ましい。
また、これら動物に、例えば200〜600レム程度のエック
ス線若しくはガンマ線を照射するか、または、抗血清若
しくは免疫抑制剤などを注射するなどの前処理をほどこ
して、免疫反応を弱めて移植してもよい。
使用する動物がヌードマウスの場合には、成長したもの
であっても免疫反応が弱いので、これらの前処理を必要
とすることもなく、培養株化されたヒト由来のBリンパ
芽球様細胞が移植でき、急速に増殖できるので特に好都
合である。
また、培養株化されたヒト由来のBリンパ芽球様細胞
を、例えば先ずハムスターに移植し増殖させた後、この
細胞を更にヌードマウスに移植するなどのように、ヒト
以外の混血動物間で移植してヒト由来のBリンパ芽球様
細胞の増殖をより安定化したり、更にそれから誘導生成
されるTCLF量を増加させることも自由である。
この場合、同種間、同属間は勿論のこと、同綱間、同門
間移植であってもよい。ヒト由来のBリンパ芽球様細胞
を移植する動物体内の部位は、移植した細胞が増殖し得
る部位であればよく、例えば尿液腔、静脈、腹腔、皮下
などが自由に選ばれる。
また、直接動物体内にヒト由来の細胞を移植することな
く、動物細胞の通過を阻止し得る多孔性の濾過膜、例え
ば孔径約10-7〜10-5mを有するメンブランフィルター、
限外濾過膜、またはホローファイバーなどを設けた公知
の各種形状、大きさの拡散チャンバーを動物体内、例え
ば腹腔内に埋設して、動物体からの栄養物を含む体液の
供給を受けつつ、そのチャンバー内で前述の培養株化さ
れたヒト由来のBリンパ芽球様細胞を何れも増殖させる
ことができる。
また必要に応じて、このチャンバー内の栄養物を含む溶
液を動物体内の体液と接続し、潅流させるようにしたチ
ャンバーを、例えば動物体表に取り付け、チャンバー内
のヒト由来のBリンパ芽球様細胞の増殖状態を透視でき
るようにすることも、また、このチャンバー部分のみを
着脱交換できるようにして、動物を屠殺せずに寿命一杯
細胞を増殖させて、動物個体当りの細胞生産量を更に高
めることもできる。
これらの拡散チャンバーを利用する方法は、ヒト由来の
Bリンパ芽球様細胞が動物細胞と直接接触しないので、
ヒト由来のBリンパ芽球様細胞のみが容易に採取できる
だけでなく、好ましくない免疫反応を起こす心配も少な
いので、免疫反応を抑制する前処理の必要もなく、各種
混血動物を自由に利用できる特徴を有している。
移植した動物の維持管理は、その動物の通常の飼育管理
を続ければよく、移植後といえども、特別の取扱いは何
ら必要としないので好都合である。
ひと由来のBリンパ芽球様細胞を増殖させるための期間
は、通常約1〜10週の期間で目的を達成することができ
る。このようにして得られるヒト由来のBリンパ芽球様
細胞数は、動物個体当り約107〜1012個、またはそれ以
上に達することも見出した。
換言すれば、本発明で使用するTCLFの製造方法により増
殖させたヒト由来のBリンパ芽球様細胞数は、動物個体
当り移植した細胞数の約102〜107培、またはそれ以上に
も達し、生体外の栄養培地に接種して増殖させる場合の
約101〜106倍、またはそれ以上にも達して、TCLFの製造
のために極めて好都合である。
このようにして増殖させたヒト由来のBリンパ芽球様細
胞から、TCLFを誘導生成させる方法は自由である。それ
が増殖した動物体内のままでTCLF誘導剤を作用させるこ
ともできる。例えば、腹腔内の腹水に浮遊状態で増殖し
たヒト由来のBリンパ芽球様細胞に、また皮下に生じた
腫瘍細胞に、TCLF誘導剤を直接作用させてTCLFを誘導生
成させ、次いでその血清、腹水または腫瘍からTCLFを精
製採取すればよい。
また、ヒト由来の増殖細胞を、ヒト以外の動物体内から
取り出し、生体外でTCLF誘導剤を作用させて、TCLFを誘
導生成させることもできる。
例えば、腹水中で増殖したヒト由来のBリンパ芽球様細
胞を採取し、または皮下に生じたヒト由来のBリンパ芽
球様細胞を含む腫瘍を摘出、分散し、得られる細胞を約
20〜40℃に保った栄養培地に細胞濃度が約105〜108/mL
になるように浮遊させ、これにTCLF誘導剤を作用させる
ことによって、TCLFを誘導生成させ、これを精製採取す
ればよい。
更に、ヒト由来のBリンパ芽球様細胞を拡散チャンバー
内で増殖させた場合は、増殖させた細胞をチャンバー内
のままで、またはチャンバーから取り出し、TCLF誘導剤
を作用させ、TCLFを誘導生成させることもできる。
また、例えば増殖させたヒト由来のBリンパ芽球様細胞
に、先ず動物体内のままでTCLFを誘導生成させた後、次
いで同一動物個体の特定の部位または全体から採取した
ヒト由来のBリンパ芽球様細胞に、動物体外でTCLFを誘
導生成させる方法、また一度TCLFの誘導生成に使用した
細胞を更に二度以上TCLFの誘導生成に使用する方法、ま
たは動物体内に埋設、若しくは接続するチャンバーを交
換して得られる細胞数を増加させる方法などによって、
使用する動物個体当りのTCLFの生産量を更に高めること
も自由である。
本発明のTCLF誘導剤としては、α−インターフェロン誘
導剤として知られるウィルス、核酸、ポリヌクレオチド
などや、γ−インターフェロン誘導剤として知られてい
るフィトヘマグルチニン、コカナバリンA、ポークウィ
ードミトーゲン、リポポリサッカライド、エンドトキシ
ン、多糖類、細菌などが適宜用いられるが、通常、α−
インターフェロン誘導剤を使用する方が、高活性のTCLF
を誘導生成できるので好都合である。また、感作化され
た細胞にとっては、抗原もTCLFの誘導剤である。
更に、ヒト由来のBリンパ芽球様細胞からTCLFを誘導生
成させるに際し、TCLF誘導剤として、α−インターフェ
ロン誘導剤とγ−インターフェロン誘導剤とを併用する
ことにより、TCLFの生成量を著増し得ることが判明し
た。
また、これらの誘導生成によってTCLFが産生されるだけ
でなく、種特異性の高いヒトインターフェロンも同時に
産生されることが判明した。
このことは、貴重な2種以上のヒト生理活性物質の同時
産生を可能にし、更に、ヒト由来のBリンパ芽球様細胞
の高度利用を可能にし、ヒトTCLF及びヒトインターフェ
ロンを大量に安価に供給する点から極めて好都合であ
る。
このようにして誘導生成させたTCLFは、公知の精製分離
法、例えば、塩析、透析、濾過、遠心分離、濃縮、凍結
乾燥などを行うことによって容易に精製分離し、採取す
ることができる。更に高度の精製を必要とする場合に
は、例えば、イオン交換体への吸着−溶出、ゲル濾過、
等電点分画、電気泳動、イオン交換クロマトグラフィ
ー、高速液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラ
フィーなどの公知の方法を組合せれば、最高純度のTCLF
を採取することも可能だが、抗体を用いたアフィニティ
クロマトグラフィーや、コンカナバリンA−セファロー
スを用いたアフィニティクロマトグラフィーは、高純度
のTCLFを極めて簡便かつ迅速に製造できるので非常に好
都合である。
このようにして製造されたTCLFは、分子量約1〜10万の
範囲に、少なくとも3種の糖蛋白質、すなわち分子量約
1〜2万、約3.5〜5万及び約7〜9万の存在が明らか
となり、その作用は、マウスL−929細胞のみならずヒ
ト腫瘍細胞に障害を与え死滅させる能力を有している
が、ヒト正常細胞には実質的に障害を与えないことが判
明した。また、TCLFとヒトインターフェロンとを併用す
れば、マウスL929細胞及びヒト腫瘍細胞に障害を与え死
滅させる作用が、相乗的に発揮されることも判明した。
従って、本発明のTCLFとヒトインターフェロンとを有効
成分として含有する悪性腫瘍治療剤は、TCLF感受性疾
患、例えば、悪性腫瘍の予防剤、治療剤なかでも、従
来、治療が極めて困難とされてきたヒトの各種悪性腫瘍
治療剤として有利に用いることができる。
TCLFの活性は、Bloom,B.R.とGlade,P.R.共著、「In vit
ro methods in cell−mediated immunity」、Academic
Press(1971年)に報告されているリンホトキシンの場
合の方法に従って、マウスL−929細胞を標的細胞とし
て使用し、一定時間後の生残細胞数を測定する方法を用
いた。
ヒトに種特異性の高いインターフェロンの活性は、「蛋
白質核酸酵素」、第20巻、第6号、第616〜643頁(1975
年)に報告されているヒト羊膜由来のFL細胞を使用し
て、公知のプラーク半減法で測定した。
赤血球凝集価は、J.E.Salk著、「Journal of Immunolog
y」、第49巻、第87頁(1944年)の方法に準じて測定し
た。
次に、TCLFの生産に関する実験Aを述べる。
[実験 A] 生体外(in vitro)又は、生体内(in v
ivo)で増殖させて得た細胞によるTCLF産生能試験 実験 A−1 生体外(in vitro)での増殖 ヒト由来のBリンパ芽球様細胞であるBALL−1細胞を、
牛胎児血清を20%補足したRPMI1640培地(pH7.2)に接
種し、37℃で浮遊培養した。得られた細胞を、血清無添
加のRPMI1640倍地(pH7.2)で洗浄し、同培地に約1×1
06/mLになるよう懸濁した。
実験 A−2 生体内(in vivo)での増殖 新生児のハムスターに、ウサギから公知の方法で調製し
た抗血清を注射して、ハムスターの免疫反応を弱めた
後、その皮下にBALL−1細胞を移植し、その後通常の方
法で3週間飼育した。皮下に生じた腫瘤を摘出し細切
し、生理食塩水中で分散させほぐした。得られた細胞
を、血清無添加のRPMI1640培地(pH7.2)で洗浄し、同
培地に約1×106/mLになるように懸濁した。
実験 A−3 TCLFの産生 実験A−1、A−2で得たBALL−1細胞の懸濁液に、セ
ンダイウィルス若しくはフィトヘマグルチニンを単用す
るか、またはセンダイウィルスとフィトヘマグルチニン
を併用して、TCLFを誘導生成させた。即ち、約1×106/
mLの細胞濃度を有する懸濁液に、センダイウィルスをmL
当り約300赤血球凝集価の割合で添加し、37℃で2日間
保ってTCLFを誘導生成させた。また、フィトヘマグルチ
ニンの場合には、細胞懸濁液mL当り約50μgを添加し、
37℃で2日間保ってTCLFを誘導生成させた。また、セン
ダイウィルスとフィトヘマグルチニンとを併用する場合
には、センダイウィルスをmL当り約300赤血球凝集価及
びフィトヘマグルチニンをmL当り約50μgを添加し、37
℃で2日間保ってTCLFを誘導生成させた。この際、TCLF
以外に多量のα−インターフェロン、γ−インターフェ
ロンが同時に産生されていた。TCLFの産生結果は第1表
に示す。
第1表の結果から明らかなように、TCLFは生体外で増殖
させた細胞からも生成される。しかしながら、生体内で
増殖させた細胞から誘導生成させる方がTCLF量が多く、
生体外で誘導生成されるものの約10倍以上である。ま
た、センダイウィルスによって誘導生成されるTCLFは、
フィトヘマグルチニンを使用する場合と同等以上であ
る。
また、TCLF誘導剤が、センダイウィルス単独またはフィ
トヘマグルチニン単独の場合に誘導生成されるTCLF活性
と、センダイウィルス及びフィトヘマグルチニンとを併
用する場合に誘導生成されるTCLF活性に着目すると、生
体外で増殖させた細胞を用いた場合も、生体内で増殖さ
せた細胞を用いた場合のいずれもセンダイウィルスとフ
ィトヘマグルチニンとの相乗効果が認められる。
その相乗効果の程度は、生体内で増殖させた細胞を用い
た場合の方が特に顕著である。
以上述べた実験結果から明らかなように、種特異性のな
いTCLFの誘導生成に種特異性の高いインターフェロン誘
導剤、なかでもα−インターフェロン誘導剤及びγ−イ
ンターフェロン誘導剤の併用が好都合である。
次に、TCLFの製造例を述べる。
製造例 1 新生児のハムスターに、ウサギから公知の方法で調製し
た抗血清を注射して、ハムスターの免疫反応を弱めた
後、その皮下にヒト由来のリンパ芽球様細胞であるBALL
−1細胞を移植し、その後通常の方法で3週間飼育し
た。皮下に生じた約15gの腫瘤を摘出し細切し、生理食
塩水中で分散させほぐした。得られた細胞を血清無添加
のRPMI1640培地(pH7.2)で洗浄し、同培地に約5×106
/mLに懸濁した。この懸濁液に、センダイウィルスをmL
当り約1,000赤血球凝集価及びフィトヘマグルチニンをm
L当り約200μgを添加し、37℃で2日間保ってTCLFを誘
導生成させた。これを約4℃、約1,000gで遠心分離し、
沈澱物を除去し、得られた上清を、pH7.2、0.01Mリン酸
塩緩衝液を含有する生理食塩水で2時間透析し、更に精
密濾過して得た瀘液を濃縮し、凍結乾燥してTCLF活性を
含有する粉末を得た。得られたTCLFの活性は、ハムスタ
ー1匹当り約5,000万単位であった。なお、本品は、ヒ
トインターフェロンを約3,200万単位含有していた。
製造例 2 ヒト由来のリンパ芽球様細胞であるBALL−1細胞を、牛
胎児血清を約20%補足したEagleの最小基本培地(pH7.
4)に接種し、37℃で常法に従い生体外(in vitro)で
浮遊培養した。得られた細胞を、血清無添加のEagleの
最小基本培地(pH7.4)で洗浄し、同培地に約1×107/m
Lになるように懸濁した。この懸濁液に、センダイウィ
ルスをmL当り約1,000g赤血球凝集価及びコンカナバリン
AをmL当り約5μgを添加し、38℃で1日保ってTCLFを
誘導生成させた。これを4℃、約1,000gで遠心分離し、
得られた上清を、pH7.2、約0.01Mリン酸塩緩衝液を含有
する生理食塩水で15時間透析し、更に精密濾過して得た
瀘液を濃縮し、TCLF活性を含有する溶液を得た。得られ
たTCLFの活性は、誘導生成時の懸濁液1L当り約450万単
位であった。なお、本液のヒトインフェロン活性は、誘
導生成時の懸濁液1L当り約1,200万単位であった。
製造例 3 成長したヌードマウスの腹腔内に、ヒト由来のリンパ芽
球様細胞であるNamalwa細胞を移植後、通常の方法で5
週間飼育した。この腹腔内へ、約3,000赤血球凝集価の
ニューカッスル病ウィルスを、紫外線によって予めほと
んど失活させて注入し、24時間後に屠殺して腹水を採取
した。以後、製造例1と同様に精製し、濃縮してTCLF活
性を有する粉末を得た。得られたTCLFの活性は、ヌード
マウス1匹当り約900万単位であった。なお、本品は、
ヒトインターフェロン約520万単位を含有していた。
製造例 4 成長した普通マウスに、約400レムのエックス線を予め
照射してマウスの免疫能を弱めた後、そのマウスの皮下
に、培養株化されたヒト由来のBリンパ芽球様細胞であ
るCCRF−SB細胞を移植し、その後通常の方法で3週間飼
育した。皮下に生じた約10gの腫瘤を摘出した後、製造
例1と同様にして細胞を分散させた。この細胞を製造例
1と同様に培地に懸濁した後、この懸濁液に、センダウ
ィルスをmL当り約500赤血球凝集価及びコンカナバリン
AをmL当り約0.8μgを添加し、37℃で日間保ってTCLF
を誘導生成させた。以後、製造例1と同様に精製濃縮し
てTCLF活性を有する粉末を得た。得られたTCLFの活性
は、マウス1匹当り約2,400万単位であった。なお、本
品は、ヒトインターフェロンを約1,900万卑位含有して
いた。
製造例 5 新生児のハムスターに、製造例1と同様にしてヒト由来
のリンパ芽球様細胞であるJBL細胞を移植し、その後通
常の方法で4週間飼育した。皮下に生じた約20gの腫瘤
を、製造例1と同様にほぐして約3×106/mLの細胞懸濁
液を得た。本懸濁液に、センダイウィルスをmL当り約1,
000赤血球凝集価を添加し36℃で2日間保ってTCLFを誘
導生成させ、次いで製造例2と同様に精製濃縮してTCLF
活性を有する濃縮液を得た。得られたTCLFの活性は、ハ
ムスター1匹当り約1,600万単位であった。なお、本液
は、ハムスター1匹当り約700万単位のヒトインターフ
ェロンを含有していた。
製造例 6 孔径0.5ミクロンのメンブランフィルターを設けた内容
量約10mLのプラスチック製円筒型拡散チャンバー内に、
培養株化されたヒト由来のBリンパ芽球様細胞であるEB
V−HO細胞を生理食塩水で浮遊させ、これを成長したラ
ットの腹腔内に埋設した。このラットを通常の方法で4
週間飼育した後、この拡散チャンバーを取り出した。こ
れにより得られたヒト由来のBリンパ芽球様細胞の濃度
は約6×108/mLであって、生体外の栄養培地を用いて炭
酸ガスインキュベーター中で増殖させる場合の約102
以上にも達することがわかった。この細胞を製造例2と
同様に懸濁し、この懸濁液に、mL当り約500赤血球凝集
価のニューカッスル病ウィルスを、紫外線で予めほとん
ど失活させて加え、さらにフィトマグルチニンをmL当り
約100μg加え、37℃で2日間保ってTCLFを誘導生成さ
せた。以後、製造例1と同様に精製し濃縮してTCLF活性
を有する粉末を得た。得られたTCLFの活性は、ラット1
匹当り約540万単位であった。なお、本品は、ヒトイン
ターフェロンを約680万単位含有していた。
製造例 7 37℃で5日間保ったニワトリの受精卵に、培養株化され
たヒト由来のBリンパ芽球様細胞であるBALL−1細胞を
移植した後、37℃で1週間保った。この卵を割卵した
後、増殖細胞を採取した。この細胞を製造例1と同様に
5×106/mLに懸濁した。この懸濁液に、mL当り約1,000
赤血球凝集価のセンダイウィルスを添加し、37℃で1日
間保ってTCLFを誘導生成させ、次いで製造例2と同様に
精製濃縮してTCLF活性を有する濃縮液を得た。得られた
TCLFの活性は、受精卵10個当り約90万単位であった。な
お、本液は、受精卵10個当り約35万単位のヒトインター
フェロンを含有していた。
製造例 8 製造例1の方法で調製したTCLF含有粉末を、G.Bodoの報
告(Symposum on preparation,standardization and cl
inical use ofinterferon,11th International Immunob
iological Symposium,8 & 9,June 1977,Zagreb.Yugosl
avia)に準じてイオン交換体への吸脱着、ゲル濾過によ
る分子量分画、濃縮及び精密濾過などの手段によりヒト
インターフェロンを除去し、さらに硫安塩析により濃縮
精製を行ない、その後、pH7.4、0.01Mリン酸塩緩衝液中
でフィトヘマグルチニン−セファロースアフィニティク
ロマトグラフィーを行ない、吸着画分を0.1M N−アセチ
ル−D−ガラクトサミンを含有する上記緩衝液で溶出さ
せ、得られた画分を上記緩衝液で透析し、濃縮後、凍結
乾燥してTCLF活性を有する粉末を得た。このようにして
得られたTCLFは、比活性30,000単位/mg蛋白質であっ
た。
さらに、ゲル濾過法により分子量分画したところ、分子
量7〜9万、分子量3.5〜5万及び分子量1〜2万のTCL
Fが活性量比約1:1:2で分取された。これらのTCLFは、い
ずれも糖蛋白質で、その糖含量は分子量の違いによって
も異なるが、約5〜45%である。
又、前期TCLFの精製工程の過程において除去したヒトイ
ンターフェロンを、前記G.Bodoの報告に準じてイオン交
換体への吸脱着、ゲル濾過による分子量分画、濃縮及び
精密濾過などの手段により精製して、比活性2×106
位/mg蛋白質のヒトインターフェロンを得た。
以上述べた製造例のようにして得た本発明のTCLFは、ヒ
トインターフェロンとの混合物として、または、更にそ
の混合物に1種若しくは2種以上の他の物質を含有せし
めることにより、例えば注射薬、内服薬、点眼薬、点鼻
薬、外用薬などとしてTCLF感受性疾患の予防剤、治療剤
として有利に用いることができる。TCLF感受性疾患と
は、TCLFによって予防若しくは治療される疾患であり、
例えば、乳癌、肺癌、膀胱癌、子宮癌、大腸癌、胃癌、
白血病、リンパ腫、皮膚癌などの悪性腫瘍である。
次に、TCLFの有効性、毒性、用法及び用量について実験
Bで明らかにする。
[実験] B TCLFの有効性、毒性試験 実験 B−1 BALB/c由来ヌードマウスに人乳癌組織片を背部皮下に移
植した。腫瘍体積が約200mm3になった時期から製造例8
の方法で得られたTCLFの分子量7〜9万、分子量3.5〜
5万、分子量1〜2万の混合品(以下、単に「TCLF混合
品」と称する)を4及び40単位/kg、1日2回に別けて
静注し、15日目にマウスを殺して腫瘍重量を測定した。
なお、対照としてはTCLF無含有生理食塩水を静注した。
その結果を第2表に示した。
実験 B−2 体重25g前後のBDF1雄マウスを各群10匹とし、2mm角に切
断したルイス肺癌を背部皮下に移植した。移植後8日目
から製造例8の方法で得られたTCLF混合品及び分子量1
〜2万のTCLFをそれぞれ4及び40単位/kg、1日2回に
別けて連日静注し、21日目にマウスを殺して腫瘍重量を
測定した。なお、対照としてはTCLF無含有生理食塩水を
静注した。その結果を第3表に示した。
実験 B−3 体重25g前後のBDF1雄マウス各群20匹とし、これに白血
病L1210細胞を移植した。移植後1日目から製造例8の
方法で得られたTCLF混合品をそれぞれ30単位/kgおよび3
00単位/kgを1日1回又は1日2回投与して連日静注
し、生残率が50%に低下するまでの日数を比較した。な
お対照としては、TCLF無含有生理食塩水又はマイトマイ
シン0.5mg/kgを同様に静注した。結果は第4表に示し
た。
第4表の結果から、TCLF混合品の投与量が比較的少ない
場合でもその投与方法を1日1回から1日2回に増せば
極めて有効である。
実験 B−4 体重25g前後のBDF1雄マウスを各群20匹とし、これに白
血病P388細胞を移植した。移植後1日目から製造例8の
方法で得られたTCLF混合品を1日1回、連日、腹腔内に
30日間注入し、TCLF混合品の投与量、生残日数及び生残
率(%)の関係を求めた。なお対照としてはTCLF無含有
生理食塩水はマイトマイシン0.5mg/kg/日を注入した。
結果は第5表に示した。
第5表の結果から明らかなように、TCLF混合品は、1,00
0単位以上/kg/日の大量投与が予防剤、治療剤として極
めて有効である。
実験 B−5 BALB/c由来ヌードマウスに人乳癌組織片を実験B−1と
同様に移植し、その腫瘍体積が約200mm3になった時期か
ら製造例8の方法で得られた分子量7〜9万、分子量3.
5〜5万、分子量1〜2万のTCLFまたはTCLF混合品およ
び/またはヒトインターフェロンを生理食塩水に溶解し
た状態で1日2回に分けて静注し、15日目にマウスを殺
し、腫瘍重量を測定した。なお、対照としてはTCLF及び
ヒトインターフェロン無含有生理食塩水を静注した。そ
の結果を第6表に示した。
第6表の結果から、TCLFとインターフェロンによる人乳
癌に対する抗腫瘍効果を見るのに、TCLFもインターフェ
ロンをも使用しない対照における場合の腫瘍重量が10.8
±1.2gであるのに対して、それぞれのTCLFを40単位/kg/
日使用した場合における腫瘍重量は7.4±0.5g〜7.6±0.
5g、また、インターフェロンを1,000単位/kg/日使用し
た場合における腫瘍重量は7.7±0.5gとそれぞれ減少し
ていることから、それぞれのTCLFを40単位/kg/日使用す
る場合と、インターフェロンを1,000単位/kg/日使用す
る場合とは、人乳癌に対する抗腫瘍効果がほぼ同じ程度
にあることが明らかである。
しかも、この同じ程度に抗腫瘍効果のあるそれぞれのTC
LF40単位/kg/日とインターフェロン1,000単位/kg/日と
を併用する場合には、その腫瘍重量は6.3±0.5〜6.4±
0.4gと、更に減少することから、その併用に伴う人乳癌
に対する抗腫瘍効果は、一段と向上することが明らかと
なった。
一方、実験B−1において、TCLFの使用量と、人乳癌に
対する抗腫瘍効果との関係を同様の条件で実験している
が、TCLFを4単位/kg/日使用した場合における腫瘍重量
が7.9±0.7gであるのに対し、TCLFを40単位/kg/日とそ
の10倍量使用した場合における腫瘍重量は7.4±0.5gで
あることから、TCLFの使用量による人乳癌に対する抗腫
瘍効果には大きな変化がないことがみとめられている。
このようなことから、同じ程度に人乳癌に対する抗腫瘍
効果のあるTCLFとインターフェロンとの併用に伴う前記
の人乳癌に対する抗腫瘍効果は、相乗的に著しく増強し
たものと認められる。
しかも、とかくその多量投与に伴う発熱、悪寒、倦怠
感、さらには悪液質などの副作用が問題視されているTC
LFの使用量を少量に抑え、比較的に副作用が弱いインタ
ーフェロンによって、これを効果的に補い、副作用も抑
えることができるのであるから、このTCLFとインターフ
ェロンとの併用は、悪性腫瘍治療剤として極めて効果的
であることが認められる。
実験 B−6 急性毒性 生後20日のマウスを使用して、製造例1の方法で得られ
たTCLF、製造例8の方法で得られたTCLF混合品、及び、
製造例8の方法で得られたヒトインターフェロンの急性
毒性試験をしたところ、それらの毒性は極めて低く、腹
腔内に注射した時のLD50は、それぞれ、1,000,000単位/
kg以上、1,000,000単位/kg以上、及び、20,000,000単位
/kg以上であることが判明した。
また、ヒト正常細胞とヒト腫瘍細胞とを用いて、常法に
従って生体外で細胞の生育を50%阻害するTCLF混合品の
濃度を調べた。
その結果、Intestine(407)細胞、Liver(Chang)細胞
又はGirardi Heart細胞などの正常細胞では、いずれも2
0,000単位以上/mLと高濃度であるのに対し、KB(鼻咽頭
癌)細胞、HEP#2(咽喉癌)細胞又はHLE(肺癌)細胞
ではそれぞれ18単位/mL、24単位/mL、33単位/mLと極め
て低濃度であった。
以上の実験からも明らかなように、本発明のTCLFは、そ
の有効用量からも極めて安全であり、TCLF感受性疾患の
予防剤、治療剤として用いることができる。
更には、悪性腫瘍に適用するにあたっては、例えば患者
の腫瘍の一部を取り、本発明のTCLFと生体外で処理する
ことによって腫瘍の免疫原性を高めた後、腫瘍患者の体
内に戻すことにより、この悪性腫瘍の治療を行なうこと
もできる。
本発明のTCLFの成人1日あたりの用量は、5〜50,000,0
00単位であり、好ましくは、局所注射および点眼などの
局所適用用量は、5〜1,000,000単位、軟膏の場合10〜
5,000,000単位、静注および筋注の場合50〜10,000,000
単位、経口投与の場合500〜50,000,000単位であるが、
用法あるいは症状に応じて適宜増減することができる。
必要に応じて、任意、慣用の製薬用担体、基剤あるいは
賦形剤とともに慣用の方法で医薬用製造に調製すること
ができるが、TCLFの毒性、有効量及び安全性などを考慮
すると医薬用製剤グラム当り5単位以上のTCLF及び1単
位以上のヒトインターフェロンを含有せしめることが望
ましい。
本発明のTCLFとヒトインターフェロンとを有効成分とし
て含有するTCLF感受性疾患の予防剤、若しくは治療剤
は、その目的に応じてその形状を自由に選択できる。
経口投与剤としてはカプセル剤、錠剤、散散などの腸溶
製剤、直腸内投与剤として直腸坐剤、注射剤としては、
例えば用時に注射用蒸留水に溶解して使用する凍結乾燥
注射剤、その他点鼻薬若しくは点眼、軟膏剤として用い
ることもできる。
以下に製剤の実施例を示すが、製剤はこれらのみに限定
されるものではない。
実施例 1 注 射 剤 製造例8の方法で調製したTCLF混合品20,000単位、及
び、ヒトインターフェロン10,000単位を、200mLの生理
食塩水に溶解し、メンブランフィルターを用いて無菌的
に濾過する。瀘液を滅菌したガラス容器に2mLずつ充填
して凍結乾燥し、これを密栓して、凍結乾燥粉末製剤と
する。
本品は、乳癌、肺癌、肝癌、白血病などの治療に好適で
ある。
実施例 2 軟 膏 剤 製造例3の方法で調製したTCLFとヒトインターフェロン
との混合品を、常法に従い少量の流動パラフィンに研和
した後、ワセリンを加え軟膏薬を調製した。本軟膏薬
は、TCLF50単位/g及びヒトインターフェロン30単位/gを
含有する。
実施例 3 点 眼 剤 蒸留水800mLとβ−フェニルエチルアルコール5mLと製造
例6の方法で調製したTCLF40,000単位とヒトインターフ
ェロン50,000単位の混合品とに、等張化するよう食塩を
加え、蒸留水で1,000mLとし点眼剤とした。
本品は、網膜芽細胞腫などの治療に好適である。
実施例 4 腸溶性錠剤 製造例8の方法で調製した分子量1〜2万のTCLF及びヒ
トインターフェロンを、常法に従って澱粉とマルトース
とを混合使用して打錠するに際し、このTCLFを製品1錠
(100mg)当り2,000単位及びヒトインターフェロンを5,
000単位となるように含有せしめて錠剤を製造し、これ
にメチルセルロースフタレートをコーティングして腸溶
性錠剤とした。
本品は、大腸癌、結脹癌、肝癌などの治療に好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−16687(JP,A) 特開 昭58−15921(JP,A) 特開 昭58−21621(JP,A) 青木隆一他「新免疫学叢書6 リンフォ カイン」(第1版)(1974)医学書院P. 87〜105 Concer,45〔5〕(1980)P. 1248〜1253 Proc.Nat.Acad.Sci, 72〔9〕(1975)P.3666−3670 E.Pick編,「Tumor Nec rosis Factor in Lym phokimes」第▲II▼巻(1981) Aoademic Press P.235 〜272

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有効成分として、下記の理化学的性質を有
    する標的細胞障害性因子とヒトインターフェロンを含有
    することを特徴とする悪性腫瘍治療剤。 (i)物質としての本質 蛋白性物質である。 (ii)分子量 ゲル濾過法により測定すると、約1万乃至2万、約3.5
    万乃至5万又は約7万乃至9万の分子量値を示す。 (iii)産生方法 ヒト由来のBリンパ芽球様細胞にα−インターフェロン
    誘導剤又はγ−インターフェロン誘導剤を作用させるこ
    とにより産生させることができる。 (iv)精製方法 塩析、透析、濾過、遠心分離、濃縮、凍結乾燥、イオン
    交換体への吸着−溶出、ゲル濾過、等電点分画、電気泳
    動、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマト
    グラフィー、カラムクロマトグラフィー、アフィニティ
    クロマトグラフィーなどの蛋白性物質を精製するための
    通常一般の方法により精製することができる。 (v)作用 マウスL−929細胞及びヒト腫瘍細胞に障害を与え、死
    滅破壊する。
  2. 【請求項2】標的細胞障害性因子が糖質を約5乃至45%
    含有する糖蛋白質であることを特徴とする請求項1に記
    載の悪性腫瘍治療剤。
  3. 【請求項3】標的細胞障害性因子とヒトインターフェロ
    ンを、1グラム当たり、それぞれ5単位以上又は1単位
    以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の
    悪性腫瘍治療剤。
  4. 【請求項4】標的細胞障害因子が、標的細胞障害性因子
    産生能を有する培養株化されたヒト由来のBリンパ芽球
    様細胞をヒト以外の温血動物体内に直接移植するか、ま
    たは、拡散チャンバー内に接種して、その温血動物の体
    液の供給を受けながら増殖させ、得られたヒト由来のB
    リンパ芽球様細胞に標的細胞障害性因子誘導剤を作用さ
    せ、生成した標的細胞障害性因子を精製採取したもので
    あることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の悪性
    腫瘍治療剤。
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