JP2518635B2 - ヒト ツモア・ネクロシス・フアクタ− - Google Patents

ヒト ツモア・ネクロシス・フアクタ−

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JP2518635B2
JP2518635B2 JP62028311A JP2831187A JP2518635B2 JP 2518635 B2 JP2518635 B2 JP 2518635B2 JP 62028311 A JP62028311 A JP 62028311A JP 2831187 A JP2831187 A JP 2831187A JP 2518635 B2 JP2518635 B2 JP 2518635B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ヒト ツモア・ネクロシス・ファクター
(以下、hTNFと略称する。)産生能を有するNamalwa細
胞、BALL−1細胞、TALL−1細胞、NALL−1細胞、M−
7002細胞、B−7101細胞、および培養株化した単核細
胞、顆粒性白血球細胞およびリンパ芽球細胞から選ばれ
るヒト由来の細胞を増殖させてhTNFを産生せしめ、これ
を精製し採取した下記の理化学的性質を有するhTNFに関
する。
物質 蛋白性物質 精製方法 イオン交換体への吸脱着、ゲル濾過による分子量分画
および硫安塩析下でのCon Aセファロースによるアフ
ィニティークロマトグラフィーを含む一連の精製方法に
より精製することができる。
比活性 前記の精製方法により精製したものを、L929細胞に
加え、アクチノマイシンD共存下で18時間培養した後の
生残細胞数を測定し、細胞が50%死滅したとき1単位と
する活性測定方法により測定したとき、約350,000単位/
mg蛋白質の比活性を示す。
生物学的作用 悪性腫瘍に対し抗腫瘍作用を示し、正常細胞に対し悪
影響を及ぼさない。
Meth A肉腫に対する出血性壊死能を有する。
L929細胞に対する細胞障害活性を有する。
急性毒性 生後20日目のマウスの腹腔内に注射した時のLD50は、
200,000単位/kg以上である。
ツモア・ネクロシス・ファクター(Tumor Necrosis F
actor、以下、TNFと略称する。)は、イー・エー・カー
ズウェル(E.A.Carswell)等、「プロシーディングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
ーズ・ユー・エス・エー(Proceedings of the Nationa
l Academy of Sciences,USA)」、第72巻、第9号、第3
666〜3670頁(1976年)およびイー・ピック(E.Pick)
編、「リンホカインズ(Lymphokines)」、第2巻、第2
35〜272頁、アカデミック・プレス(Academic Press)
社発行(1981年)などにも記載されているように、例え
ば、ウサギにbacilli Calmette−Guerin(BCG)、コリ
ネバクテリウム・バルバム(Corynebactrium parvu
m)、エンドトキシンなどのTNF誘導剤を非経口的に投与
することによって、その血清中に誘導産生する蛋白性物
質であって、Meth A肉腫出血壊死能を持つ物質に与え
られた名称であり、特に腫瘍細胞に対して細胞障害機能
を持っていることは公知である。
TNFの持つこのような機能から、TNFはその発見の当初
より悪性腫瘍治療剤として期待されて来た。
TNFは、ウサギ、ラットなどの動物血清から調製さ
れ、種特異性はないとされているけれども、ヒトの治療
に供するには、本質的にヒトの生細胞由来のhTNFである
ことが、治療上に生じる抗原性などの副作用面において
極めて安全であり、優れている。
しかしながら、従来、hTNFの製造方法は知られておら
ず、その作用効果についても不明である。まして、hTNF
がヒト悪性腫瘍の治療に有効であるかどうかについては
全く知られていない。
本発明者は、工業的規模で容易に実施し得るhTNFの製
造方法を検討し、そのhTNFの悪性腫瘍の治療剤として有
用であるか否かを鋭意検討して来た。
その結果、ヒト由来の細胞が高活性のhTNFを産生し得
ること、また、精製、採取したhTNFがヒトの各種悪性腫
瘍に対して比較的少量で細胞障害性活性を示し、更に、
hTNFの安全性の高いことなどを見いだし、本発明を完成
した。
本発明のhTNFは、hTNF産生能を有する細胞を増殖させ
て産生せしめ、これを精製し採取したものであればよ
く、例えば、hTNF産生能を有するヒト由来の細胞、また
は、ヒト由来の細胞のhTNF産生能を有する遺伝子を細胞
融合または遺伝子組み換えなどの手段により導入した細
胞などを増殖させ、これら細胞から産生されるhTNFを精
製し、採取して製造される。
hTNFの望ましい製造例を述べれば、ヒト由来の細胞
を、ヒト以外の温血動物体内に移植し、または、拡散チ
ャンバー内に接種してその動物体から栄養物を含有する
体液の供給を受けつつ増殖させ、得られる細胞に生体内
(in vivo)または生体外(in vitro)でTNF誘導剤を作
用させることによって、hTNFが高活性で誘導産生され、
これを精製し採取することによってhTNFが多量且つ容易
に製造し得る。
このように、ヒト由来の細胞を、ヒト以外の温血動物
を利用し、その体液の供給を受けつつ増殖させる場合に
は、生細胞を生体外で増殖させる場合とは違って、高価
な血清などを含む栄養培地が不要または大幅に節約でき
るばかりでなく、細胞増殖中の維持管理も極めて容易で
あり、その上産生されるhTNF活性が高い特徴を有してい
る。即ち、ヒト由来の細胞をヒト以外の温血動物体内に
移植し、あるいは、その動物の体液の供給を受けること
のできる拡散チャンバー内に収容し、このチャンバーを
動物体内に埋設し通常の飼育をすれば、温血動物体から
供給される栄養物を含有する体液を利用してその細胞が
容易に増殖し得るのである。更に生体外で増殖させる場
合と比較して、その細胞の増殖が安定していること、そ
の増殖速度が大きいこと、得られる細胞量が多いこと、
更には細胞当りのhTNF量が著増することも大きな特徴で
ある。
ヒト由来の細胞としては、容易に増殖し得て、しかも
hTNF産生能を有するものであればよい。例えば、「ジャ
ーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー(Jo
urnal of Clinical Microbiology)」、第1巻、第116
〜117頁(1975年)に記載されているナマルバ(Namalv
a)細胞、アイ・ミヨシ(I.Miyoshi)、「ネーチャー
(Nature)」、第267巻、第843〜844頁(1977年)に記
載されているBALL−1細胞、TALL−1細胞、NALL−1細
胞、「ザ・ジャーナル・オブ・イムノロジー(The Jour
nal of Immunology)」、第113巻、第1334〜1345頁(19
74年)記載のM−7002細胞、B−7101細胞などの株化細
胞や、また、正常な単核細胞、顆粒性白血球細胞などを
各種ウィルス、薬剤、放射線などて処理し培養株化させ
た細胞などが自由に使用され、また、これら細胞のhTNF
産生能を持つ遺伝子を、例えばポリエチレングリコール
やセンダイウィルスなどを利用する細胞融合の手段や、
DNAリガーゼ、制限酵素(ヌクレアーゼ)、DNAポリメラ
ーゼなどの酵素を利用する遺伝子組み換えの手段などに
よって、より容易に継代培養し得る培養株化されたリン
パ芽球様細胞、微生物などに導入し、その増殖速度を高
めたり、細胞当りのhTNF産生能を高めたりして使用して
もよく、本明細書に記載する細胞のみに限定されるもの
ではない。これらの細胞は、後に述べるhTNFを産生させ
るまでの工程で、単独または二種以上を混合して自由に
使用される。必要ならば、これに、例えば、ヒトの新鮮
血から調製される白血球を併用することもできる。
細胞増殖に使用されるヒト以外の温血動物としては、
ヒト由来の細胞が増殖し得るものであればよく、例え
ば、ニワトリ、ハトなどの鳥類、イヌ、ネコ、サル、ウ
サギヤギ、ブタ、ウマ、ウシ、モルモット、ラット、ハ
ムスター、普通マウス、ヌードマウスなどの哺乳類が使
用できる。
これらの動物にヒト由来の細胞を移植すると好ましく
ない免疫反応を起こすおそれがあるので、その反応をで
きるだけ抑えるため、使用する動物はできるだけ幼若な
状態、即ち、卵、胚、胎児、または新生期、幼少期のも
のの方が好ましい。
また、これら動物に、例えば、200乃至600レム程度の
エックス線若しくはガンマ線を照射するか、または抗血
清若しくは免疫抑制剤などを注射するなどの前処理をほ
どこして、免疫反応を弱めて移植してもよい。
使用する動物がヌードマウス、ヌードラットなどの免
疫不全動物の場合には、成長したものであっても免疫反
応が弱いので、これらの前処理を必要とすることなく、
培養株化されたヒト由来の細胞が移植でき、急速に増殖
することができるので特に好都合である。
また、培養株化されたヒト由来の細胞を、例えば、先
ずハムスターに移植し増殖させた後、この細胞を更にヌ
ードマウスに移植するなどのように、ヒト以外の温血動
物間で移植してヒト由来の細胞の増殖をより安定化した
り、更にそれらから産生されるhTNF量を増加させること
も自由である。
この場合、同種間、同属間は勿論のこと、同綱間、同
門間移植であってもよい。ヒト由来の細胞を移植する動
物体内の部位は、移植した細胞が増殖し得る部位であれ
ばよく、例えば尿液腔、静脈、腹腔、皮下などが自由に
選ばれる。
また、直接動物体内にヒト由来の細胞を移植すること
なく、動物細胞の通過を阻止し得る多孔性の濾過膜、例
えば孔径約10-7乃至10-3mを有するメンブランフィタ
ー、限外濾過膜またはホローファイバーなどを設けた公
知の各種形状、大きさの拡散チャンバーを動物体内、例
えば腹腔内に埋設して、動物体からの栄養物を含む体液
の供給を受けつつ、そのチャンバー内で前述の培養株化
されたヒト由来の細胞を何れも増殖させることができ
る。
また、必要に応じて、このチャンバー内の栄養物を含
む溶液を動物体内の体液と接続し、灌流させるようにし
たチャンバーを、例えば動物体表に取り付け、チャンバ
ー内のヒト由来の細胞の増殖状態を透視できるようにす
ることも、また、このチャンバー部分のみを着脱交換で
きるようして動物を虐殺せずに寿命一杯細胞を増殖させ
て、動物個体当りの細胞生産量を更に高めることもでき
る。
これらの拡散チャンバーを利用する方法は、ヒト由来
の細胞が動物細胞と直接接触しないので、ヒト由来の細
胞のみが容易に採取できるだけでなく、好ましくない免
疫反応を起こす心配も少ないので、免疫反応を抑制する
前処置の心配もなく、各種温血動物を自由に利用できる
特徴を有している。
移植した動物の維持管理は、その動物の通常の飼育管
理を続ければよく、移植後といえども、特別の取扱いは
何等必要としないので好都合である。
ヒト由来の細胞を増殖させるための期間は、通常1乃
至10週の期間で目的を達成することができる。このよう
にして得られるヒト由来の細胞数は、動物個体当り約10
7乃至1012個、またはそれ以上に達することを見出し
た。
換言すれば、このようにして増殖させたヒト由来細胞
数は、動物個体当り移植した細胞数の約102乃至107培、
またはそれ以上にも達し、生体外の栄養培地に接種して
増殖させる場合の約10乃至106倍、またはそれ以上にも
達して、hTNFの製造のために極めて好都合である。
このようにして増殖させたヒト由来の生細胞から、hT
NFを産生させる方法は自由である。それが増殖した動物
体内のままで、TNF誘導剤を作用させることもできる。
例えば、腹腔内の腹水に浮遊状で増殖したヒト由来の細
胞に、または皮下に生じた腫瘍細胞に、TNF誘導剤を直
接作用させて、hTNFを誘導産生させ、次いでその血清、
腹水または腫瘍から、hTNFを精製し採取すればよい。
また、ヒト由来の増殖細胞を動物個体から取り出し、
生体外でTNF誘導剤を作用させて、hTNFを誘導産生させ
ることもできる。例えば、腹水中で増殖したヒト由来の
細胞を採取し、または皮下に生じたヒト由来の細胞を含
む腫瘍摘出、採取し、得られる細胞を約20乃至40℃に保
った栄養培地に細胞濃度が約105乃至108個/mlになるよ
うに浮遊させ、これにTNF誘導剤を作用させることによ
って、hTNFを誘導産生させ、これを精製し採取すればよ
い。
更に、ヒト由来の細胞を拡散チャンバー内で増殖させ
た場合には、増殖させた細胞をチャンバー内のままで、
またはチャンバーから取り出して、TNF誘導剤を作用さ
せ、hTNFを誘導産生させることもできる。
また、例えば増殖させたヒト由来の細胞に、先ず動物
体内のままでhTNFを産生させた後、次いで同一動物個体
の特定の部位または全体から採取したヒト由来の細胞に
動物体外でhTNFを誘導産生させる方法、または一度hTNF
の産生に使用した細胞を、更に二度以上hTNFの産生に使
用する方法、または同動物体内に埋設若しくは接続する
チャンバーを交換して得られる細胞数を増加させる方法
などによって、使用する動物個体当りのhTNF生成量を更
に高めることも自由である。
TNF誘導剤としては、通常、例えばBCG、コリネバクテ
リウム・パルバム、リポポリサッカリド、エンドトキシ
ン、多糖類などの一種若しくは二種以上が用いられる。
一般的には、先ず、ヒト由来の細胞を移植したヒト以外
の温血動物に、例えば、BCG、コリネバクテリウム・パ
ルバムなどの一種または二種以上を非経口的に投与し一
定期間経過した後、ヒト由来の細胞を採取し、例えばリ
ポポリサッカリド、エンドトキシン、多糖類などの一種
または二種以上を生体内で作用させて、hTNFを誘導産生
させればよい。
このようにして産生されたhTNFは、公知の蛋白質物質
の精製分離法、例えば、塩析、透析、濾過、遠心分離、
濃縮、凍結乾燥などを行なうことによって容易に精製分
離し、採取することができる。更に高度の精製を必要と
する場合には、例えばイオン交換体への吸着・溶出、ゲ
ル濾過および等電点分画、電気泳動、高速液体クロマト
グラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの
公知の方法を組み合わせれば、最高純度のhTNFを採取す
ることも可能である。
hTNFの活性は、イー・ピック(E.Pick)編、「リンホ
カインズ(Lymphokines)」、第2巻、第235〜272頁、
アカデミック・プレス(Acadcmic Press)社発行(1981
年)に報告されているBALB/cマウスでのMeth A肉腫出
血性壊死能の有無、並びに、L−929細胞を使用して、
これにhTNFのサンプルを加え、アクチノマイシンD共存
下で18時間培養した後の生残細胞数を測定し、この場
合、細胞が50%死滅した時1単位とする公知の方法を用
いた。
以下、本発明の製造例を述べる。
製造例 生後間もないハムスターの皮下に、SV−40ウィルスで
処理し培養株化されたヒト由来の単核細胞を移植し、通
常の方法で1週間飼育した後、BCGの生細胞を腹腔内に1
07個注入し、更に2週間飼育した。皮下に生じた約15g
の腫瘍を摘出し細切した後、トリプシン含有の生理食塩
水に懸濁して細胞を分散分取した。この細胞を、ヒト血
清5v/v%含有するpH7.2のイーグル(Eagle)の最少基本
培地で洗浄し、37℃に保った同じ組成の培地に細胞濃度
が約5×106個/mlになるように希釈し、これにイー・コ
リ(E.coli)由来のエンドトキシンを約10μg/mlの割合
で加えて16時間保って、hTNFを誘導産生せしめた。これ
を4℃、約1,000×gで遠心分離し、沈殿物を除去し、
得られた上清をpH7.2、0.01Mリン酸塩緩衝液を含有する
生理食塩水で21時間透析し、更に精密濾過して得た濾液
を濃縮し、凍結乾燥してhTNF活性を有する粉末を得た。
得られた粉末を、1977年6月8日、9日にザクレブで開
催されたインターフェロンの製造、標準化および臨床用
途に関する第11回国際免疫生物学シンポジウム(Sympos
ium on Preparation,Standardization and Clinical Us
e of Interferon,11th International Immunobiologica
l Symposium,8 & 9 June 1977,Zagreb,Yugoslavia)で
ジー・ボド(G.Bodo)が報告した方法に準じてイオン交
換体への吸脱着、ゲル濾過による分子量分画、濃縮およ
び精密濾過などの手段によりインターフェロンを除去
し、更に硫安塩析、Con Aセファロースによるアフィ
ニティークロマトグラフィーにより精製し、MethA肉腫
に出血性壊死能を有し且つ正常細胞に何等の悪影響も及
ぼさないことを特徴とする高純度hTNFを約1,000,000単
位得た。このようにして得られたhTNFは、用いた誘導剤
の混入もなく、比活性は約350,000単位/mg蛋白質であっ
た。
尚、前記Con Aセファロースによるアフィニティー
クロマトグラフィーを用いてのhTNFの精製方法について
述べると以下の通りである。例えば、不純物としてヒト
リンホトキシン(hLT)を含有するような粗hTNF標品か
らhTNFを精製、採取する場合、この粗hTNF標品を90%飽
和硫安で塩析後、この沈澱をCon Aセファロースを充
填したカラムにかけ、硫安濃度を90%から0%まで直線
的に減少させることによりhTNFを溶出させる。一方、hL
TはhTNFが溶出してくる前記条件下では溶出して来ない
が、溶出剤として、α−メチルマンノシド(α−MM)を
用いていることにより溶出させることができる。この際
の溶出パターンを図に示す。
この図から明らかなように、前記条件下におけるCon
Aセファロースに対するhTNFとhLTの溶出パターンは
全く異なることから、精製すべく粗hTNF標品中にhLTが
混在するような場合であっても、両者を個々に分離し、
精製し、採取することが可能である。
また、本願発明のhTNFは、hTNFが有する下記の理化学
的性質から、hLTと容易に区別することができる。
物質 蛋白性物質 精製方法 イオン交換体への吸脱着、ゲル濾過による分子量分画
および硫安塩析下でのCon Aセファロースによるアフ
ィニティークロマトグラフィーを含む一連の精製方法に
より精製することができる。
比活性 前記の精製方法により精製したものを、L929細胞に
加え、アクチノマイシンD共存下で18時間培養した後の
生残細胞数を測定し、細胞が50%死滅したとき1単位と
する活性測定方法により測定したとき、約350,000単位/
mg蛋白質の比活性を示す。
生物学的作用 悪性腫瘍に対し抗腫瘍作用を示し、正常細胞に対し悪
影響を及ぼさない。
Meth A肉腫に対する出血性壊死能を有する。
L929細胞に対する細胞障害活性を有する。
急性毒性 生後20日目のマウスの腹腔内に注射した時のLD50は、
200,000単位/kg以上である。
以下、本発明のhTNFの有効性、毒性、用法及び用量に
ついて説明する。
実験例 1 BALB/c由来ヌードマウスに人乳癌組織片を背部皮下に
移植する。腫瘍体積が約200mlの時期から前述の製造例
で得られたhTNFを、100または1,000単位/kgずつ毎日一
回静注し、15日目にマウスを殺し、腫瘍重量を測定し
た。その結果を、第1表に示した。なお、対照は、hTNF
無含有生理食塩水を静注した。
実験例 2 体重25g前後のBDF1雄マウスを1群10匹とし、2mm角に
切断したルイス肺癌を背部皮下に移植した。移植後8日
目から前述の製造例で得られたhTNFを、100または1,000
単位/kgずつ毎日一回静注し、21日目にマウスを殺して
腫瘍重量を測定した。
その結果を第2表に示した。なお、対照はhTNF無含有
生理食塩水を静注した。
実験例 3 急性毒性 生後20日目のマウスを使用して、前述の製造例で得ら
れたhTNFの急性毒性試験をしたところ、hTNFの毒性は極
めて低く、腹腔内に注射した時のLD50は200,000単位/kg
以上であることが判明した。
以上の結果からも明らかなように、本発明のhTNFは、
その有効量からも極めて安全であり、各種悪性腫瘍の治
療に有利に用いることができる。
本発明でいう悪性腫瘍とは、hTNFによって予防若しく
は治療される疾患であり、例えば、乳癌、肺癌、肝癌、
膀胱癌、子宮癌、胃癌、大腸癌、白血病、リンパ腫、皮
膚癌、神経芽腫などの悪性腫瘍である。
更には、悪性腫瘍に適用するにあたっては、例えば患
者の腫瘍の一部を取り、本発明のhTNFと生体外で処理す
ることによって腫瘍の免疫原性を高めた後、腫瘍患者の
体内に戻すことにより、この悪性腫瘍の治療を行うこと
もできる。
本発明のhTNFの成人1日当りの用量は、1乃至50,00
0,000単位であり、好ましくは局所注射および点眼など
の局所適用用量は1乃至1,000,000単位、軟膏などの場
合10乃至5,000,000単位、静注および筋注など全身注射
の場合100乃至10,000,000単位、経口投与の場合100乃至
50,000,000単位であるが用法あるいは症状に応じて適宜
増減することができる。必要に応じて、任意、慣用の製
薬用担体、基剤あるいは賦形剤とともに慣用の方法で医
薬用製剤に調製することができる。
製剤当りの使用量は、その有効量、毒性、安全性など
を考慮すると、グラム当り1単位以上、望ましくは10乃
至1,000,000,000単位が好適である。
本発明のhTNFを有効成分として含有する悪性腫瘍治療
剤は、その目的に応じてその形状を自由に選択できる。
経口投与剤としては、カプセル剤、錠剤、散剤などの
腸溶性製剤、直腸内投与剤としては直腸坐剤、注射剤と
しては、例えば用時に注射用蒸留水に溶解して使用する
凍結乾燥注射剤、その他点鼻若しくは点眼、軟膏剤とし
て用いることもできる。
参考例 1 注射剤 生理食塩水200mlに、前述の製造例で調製したhTNFを5
00,000単位溶解し、メンブランフィルターを用いて無菌
的に濾過する。濾液を滅菌したガラス容器に2mlずつ充
填して凍結乾燥し、これを密栓して、凍結乾燥粉末製剤
とする。
本品は、乳癌、肺癌、肝癌、白血病などの治療に好適
である。
参考例 2 軟膏剤 前述の製造例で調製したhTNFを、常法に従い少量の流
動パラフィンに研和した後、ワセリンを加え20,000単位
/gの軟膏剤とした。
本品は、皮膚癌、乳癌、リンパ腫などの治療に好適で
ある。
参考例 3 点眼剤 蒸留水800mlとβ−フェニルエチルアルコール5mlと前
述の製造例で調製したhTNFを20,000,000単位とに等張化
するよう食塩を加え、蒸留水で1,000mlとし点眼剤とし
た。
本品は、網膜芽細胞腫などの治療に好適である。
参考例 4 腸溶性錠剤 前述の製造例で調製したhTNFを、常法に従って澱粉と
マルトースとを混合使用して打錠するに際し、hTNFを製
品1錠(100mg)当り200,000単位になるように含有せし
めて錠剤を製造し、これにメチルセルロースフタレート
をコーティングして腸溶性錠剤とした。
本品は、大腸癌、結腸癌、肝癌などの治療に好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
図は、Con Aセファロースによるアフィニティークロ
マトグラフィーを用いてhTNFとhLTとを溶出させた時の
溶出パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 畔柳武雄外1名編「新免疫学叢書 (6)リンフォカイン」昭54−4−1, 医学書院、P.88〜102 Cancer,45,P.1248〜1253 (1980) Cancer Letters,6, P.235〜240(1979) Molecular Immunol ogy,17,P613〜623(1980)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト ツモア・ネクロシス・ファクター
    (hTNF)産生能を有するNamalwa細胞、BALL−1細胞、T
    ALL−1細胞、NALL−1細胞、M−7002細胞、B−7101
    細胞、および培養株化した単核細胞、顆粒性白血球細胞
    およびリンパ芽球細胞から選ばれるヒト由来の細胞を増
    殖させてヒト ツモア・ネクロシス・ファクターを産生
    せしめ、これを精製し採取することにより得ることので
    きる下記の理化学的性質を有したヒト ツモア・ネクロ
    シス・ファクター。 物質 蛋白性物質 精製方法 イオン交換体への吸脱着、ゲル濾過による分子量分画お
    よび硫安塩析下でのCon Aセファロースによるアフィ
    ニティークロマトグラフィーを含む一連の精製方法によ
    り精製することができる。 比活性 前記の精製方法により精製したものを、L929細胞に加
    え、アクチノマイシンD共存下で18時間培養した後の生
    残細胞数を測定し、細胞が50%死滅したとき1単位とす
    る活性測定方法により測定したとき、約350,000単位/mg
    蛋白質の比活性を示す。 生物学的作用 悪性腫瘍に対し抗腫瘍作用を示し、正常細胞に対し悪影
    響を及ぼさない。 Meth A肉腫に対する出血性壊死能を有する。 L929細胞に対する細胞障害活性を有する。 急性毒性 生後20日目のマウスの腹腔内に注射した時のLD50は、20
    0,000単位/kg以上である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cancer,45,P.1248〜1253(1980)
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畔柳武雄外1名編「新免疫学叢書(6)リンフォカイン」昭54−4−1,医学書院、P.88〜102

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