JP2532025B2 - 新リンホカインiiiを有効成分とする抗腫瘍作用を有するリンホカインの活性増強剤 - Google Patents

新リンホカインiiiを有効成分とする抗腫瘍作用を有するリンホカインの活性増強剤

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JP2532025B2
JP2532025B2 JP5202683A JP20268393A JP2532025B2 JP 2532025 B2 JP2532025 B2 JP 2532025B2 JP 5202683 A JP5202683 A JP 5202683A JP 20268393 A JP20268393 A JP 20268393A JP 2532025 B2 JP2532025 B2 JP 2532025B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトインターフェロン
共存下でKB細胞に対して細胞増殖抑制活性を有する新
リンホカインIIIの用途に関する。更に詳細には、新
リンホカインIIIを有効成分とする抗腫瘍作用を有す
るリンホカインの活性増強剤に関する。
【0002】
【従来の技術】腫瘍細胞に対して細胞障害活性を有する
リンホカインとしては、リンホトキシンやツモア・ネク
ロシス・ファクターなどが知られている。
【0003】リンホトキシンは、青木隆一ほか共著『リ
ンホカイン』、新免疫学叢書6、第87〜105頁(1
979年)、医学書院、ブルーム・ビー・アール(Bl
oom B.R.)とグレイド・ピー・アール(Gla
de P.R.)との共編『イン・ビトロ・メソッズ・
イン・セルメディエイテッド・イムニティー(Invi
tro methods in cell−media
ted immunity)』、アカデミック・プレス
(Academic Press)(1971年)およ
び『セルラー・イムノロジー(Cellular Im
mnology)』、第38巻、第388〜402頁
(1978年)などに記載され、ツモア・ネクロシス・
ファクターは、カーズウェル・イー・エイ(Carsw
ell E.A.)による『プロシーディングズ・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ
・オブ・ザ・ユー・エス・エイ(Proceeding
sof the National Academy
of Sciences of the U.S.
A.)』、第72巻、第9号、第3666〜3670頁
(1975年)およびイー・ピック(E.Pick)編
『ツモア・ネクロシス・ファクター・イン・リンホカイ
ンズ(Tumor Necrosis Factor
in Lymphokines)』、第II巻、第23
5〜272頁、アカデミック・プレス(Academi
c Press)(1981年)などに記載されてい
る。
【0004】また、最近、大西治夫等は、特開昭58−
146293号公報で、本発明者等は特開昭60−12
6228号公報でリンホカインの一種である抗腫瘍性糖
蛋白質を明らかにしている。
【0005】本発明者等は、リンホカインについて多年
研究してきた。その結果、従来知られているこれらリン
ホカインとは全く違った理化学的性質を有する新リンホ
カインIIIの存在を認め、その製造方法を確立し、さ
らにインターフェロン共存下での各種悪性腫瘍細胞に対
する著しい細胞障害活性を認め、その用途を確立して本
発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、理化学的性質が、 分子量 15,000±2,000他 等電点 pI=4.5±0.5 易動度 Disc−PAGEで、Rf=0.73±0.05 紫外線吸収スペクトル 280nm付近に最大吸収 溶剤に対する溶解性 水、生理食塩水またはリン酸塩緩衝液に可溶 エチルエーテル、酢酸エチルまたはクロロホルムに難溶
乃至不溶 呈色反応 ローリー法またはミクロビューレット法で蛋白質陽性反
応を示し、フェノール硫酸法またはアントロン硫酸法で
糖質陽性反応を示す KB細胞に対する細胞増殖抑制活性、 L929
胞に対する細胞障害活性、インターロイキン活性および
インターフェロン活性を実質的にいずれも示さず、ヒト
αーインターフェロン共存下でKB細胞に対して細胞増
殖抑制活性を示す 水溶液での活性安定性 pH7.2で30分間保持する条件により60℃まで安
定、4℃で16時間保持する条件によりpH2.0乃至
11.0の範囲で安定 −10℃での凍結貯蔵で1カ月以上安定 である新リンホカインIII(本明細書を通じて、本物
質を新リンホカインIIIと言う。)の用途に関する。
【0007】新リンホカインIIIの製造方法は、例え
ば新リンホカインIII産生能を有するヒト由来の細
胞、例えば白血球、リンパ球、培養株化された細胞など
に誘導剤を作用させて生成せしめればよい。
【0008】ヒト由来の白血球、リンパ球は、ヒトから
採取した血液を分離して調製すればよい。
【0009】培養株化されたヒト由来の細胞は、常法に
したがって生体外(in vitro)で増殖させた細
胞が使用できる。
【0010】しかしながら、本発明の場合には、培養株
化された細胞の増殖に際し、ヒト以外の温血動物体内に
直接移植するか、または拡散チャンバー内へ接種して、
その温血動物の体液を受けながら増殖させる方が望まし
い。
【0011】即ち、生体外(in vitro)で増殖
させる場合とは違って、高価な血清などを含む栄養培地
が不要、または大幅に節約できるばかりでなく、細胞増
殖中の維持管理も極めて容易であり、その上、得られた
細胞から誘導生成される新リンホカインIIIはその活
性が高い特徴を有している。
【0012】ヒト以外の温血動物を利用する方法は、培
養株化されたヒト由来の細胞を、ヒト以外の温血動物体
内に移植し、あるいは、その動物の体液の供給を受ける
ことのできる拡散チャンバーを、動物体内に埋設して通
常の飼育をすれば、温血動物体から供給される栄養物を
含有する体液を利用してその細胞が容易に増殖しうるの
である。
【0013】更に、生体外(in vitro)で増殖
させる場合と比較して、この細胞の増殖が安定であるこ
と、その増殖速度が大きいこと、得られる細胞量が多い
こと、また、細胞当たりの新リンホカインIIIの収量
が著しく増加することも大きな特徴である。
【0014】本発明で使用する培養株化されたヒト由来
の細胞は、ヒト以外の温血動物体内に移植して容易に増
殖し得て、しかも新リンホカインIII産生能を有する
細胞であればよく、例えば『蛋白質核酸酵素』、第20
巻、第6号、第616〜643頁(1975年)に記載
されているヒト由来の各種株化細胞を用いることができ
る。とりわけ、『ジャーナル・オブ・クリニカル・マイ
クロバイオロジー(Journal of Clini
cal Microbiology)』、第1巻、第1
16〜117頁(1975年)に記載されているNam
alwa細胞、アイ・ミヨシ(I.Miyoshi)
著、『ネイチャー(Nature)』、第267巻、第
843〜844頁(1977年)に記載されているBA
LL−1細胞、TALL−1細胞、NALL−1細胞、
『ザ・ジャーナル・オブ・イムノロジー(The Jo
urnal of Immunology)』、第11
3巻、第1334〜1345頁(1974年)記載のM
−7002細胞、B−7101細胞、『組織培養』、第
6巻、第13号、第527〜546頁(1980年)に
記載されているJBL細胞、EBV−Sa細胞、EBV
−wa細胞、EBV−HO細胞、MOLT−3細胞や、
その他BALM−2細胞、CCRF−SB細胞、(AT
CC CCL 120)、CCRF−CEM細胞、DN
D−41細胞などの株化されたリンパ球球様細胞や、ま
た、正常な単核細胞、顆粒性白血球細胞などを各種ウイ
ルス、薬剤、放射線などで処理し培養株化させた細胞な
どが好適である。
【0015】また、これらヒト由来の細胞の新リンホカ
インIII産生能を有する遺伝子を、例えば、ポリエチ
レングリコールやセンダイウイルスなどを利用する細胞
融合の手段、DNAリガーゼ、制限酵素(ヌクレアー
ゼ)、DNAポリメラーゼなどの酵素を利用する遺伝子
組換えの手段などによって処理し、その増殖速度を高め
たり、細胞当たりの新リンホカインIII産生能を高め
たりして使用してもよく、本明細書に記載する株化細胞
のみに限定されるものではない。これらの細胞は、後で
述べる新リンホカインIIIを誘導生成させるまでの過
程で、単独、または二種以上を混合して自由に利用され
る。必要ならば、これに、例えばヒトから採取し調製さ
れる白血球、リンパ球などを併用することもできる。
【0016】本発明で使用する温血動物は、ヒト由来の
細胞が増殖し得るものであればよく、例えば、ニワト
リ、ハトなどの鳥類、イヌ、ネコ、サル、ウサギ、ヤ
ギ、ブタ、ウマ、ウシ、モルモット、ラット、ヌードラ
ット、ハムスター、普通マウス、ヌードマウスなどの哺
乳類が使用できる。
【0017】これらの動物にヒト由来の細胞を移植する
と好ましくない免疫反応を起こす恐れがあるので、その
反応をできるだけ抑えるため、使用する動物はできるだ
け幼若な状態、即ち卵、胚、胎児、または新生期、幼少
期のものの方が好ましい。
【0018】また、これらの動物に、例えば200〜6
00レム程度のエックス線若しくはガンマ線を照射する
か、または抗血清若しくは免疫抑制剤などを注射するな
どの前処理をほどこして、免疫反応を弱めて移植しても
よい。
【0019】使用する動物がヌードマウスあるいはヌー
ドラットの場合には、成長したものであっても免疫反応
が弱いので、これらの前処理を必要とすることもなく、
培養株化されたヒト由来の細胞が移植でき、急速に増殖
できるので特に好都合である。
【0020】また、培養株化されたヒト由来の細胞を例
えば先ずハムスターに移植し増殖させた後、この細胞を
更にヌードマウスに移植するなどのように、ヒト以外の
温血動物間で移植してヒト由来の細胞の増殖をより安定
化したり、更にそれから誘導生成される新リンホカイン
III量を増加させることも自由である。
【0021】この場合、同種間、同属間は勿論のこと、
同綱間、同門間移植であってもよい。ヒト由来の細胞を
移植する動物体内の部位は、移植した細胞が増殖し得る
部位であればよく、例えば尿液腔、静脈、腹腔、皮下な
ど自由に選ばれる。
【0022】また、動物体内にヒト由来の細胞を移植す
ることなく、動物細胞の通過を阻止し得る多孔性の濾過
膜、例えば孔径約10-7〜10-5mを有するメンブラン
フィルター、限外濾過膜またはフォローファイバーなど
を設けた公知の各種形状、大きさの拡散チャンバーを動
物体内、例えば腹腔内に埋設して、動物体からの栄養物
を含む体液の供給を受けつつ、そのチャンバー内で前述
の培養株化されたヒト由来の細胞の何れをも増殖させる
ことができる。
【0023】また必要に応じて、このチャンバー内の栄
養物を含む溶液を動物体内の体液と接続し、灌流させる
ようにしたチャンバーを、例えば動物体表に取り付け、
チャンバー内のヒト由来の細胞の増殖状態をその表面に
設けた窓を通じて透視できるようにすることも、また、
このチャンバー部分のみを着脱交換できるようにして動
物を屠殺せずに寿命一杯細胞を増殖させて、動物個体当
たりの細胞生産量を更に高めることもできる。
【0024】これらの拡散チャンバーを利用する方法
は、ヒト由来の細胞が動物細胞と直接接触しないので、
ヒト由来の細胞のみが容易に採取できるだけでなく、好
ましくない免疫反応を起こす心配も少ないので、免疫反
応を抑制する前処置の必要もなく、各種温血動物を自由
に利用できる特徴を有している。
【0025】移植した動物の維持管理は、その動物の通
常の飼育管理を続ければよく、移植後といえども特別の
取り扱いは何等必要としないので好都合である。
【0026】ヒト由来の細胞を増殖させるための期間は
通常1〜10週の期間で目的を達成することができる。
このようにして得られるヒト由来の細胞数は動物個体当
り約107〜1012個、またはそれ以上に達することも
見出した。
【0027】換言すれば、動物生体内で増殖させたヒト
由来の細胞の細胞数は、動物個体当り移植した細胞数の
約102〜107倍、またはそれ以上にも達し、生体外の
栄養培地に接種して増殖させる場合の約10〜10
6倍、またはそれ以上にも達して、新リンホカインII
Iの製造のために極めて好都合である。
【0028】このようにして増殖させたヒト由来の細胞
から新リンホカインIIIを誘導生成させる方法は自由
である。それが、増殖した動物体内のままで新リンホカ
インIII誘導剤を作用させることもできる。例えば、
腹腔内の腹水に浮遊状で増殖したヒト由来の細胞に、ま
た皮下に生じた腫瘍細胞に、新リンホカインIII誘導
剤を直接作用させて新リンホカインIIIを誘導生成さ
せ、次いで、その血清、腹水または腫瘍から新リンホカ
インIIIを精製採取すればよい。
【0029】また、ヒト由来の細胞の増殖細胞をヒト以
外の温血動物体外から取り出し、生体外で新リンホカイ
ンIII誘導剤を作用させて新リンホカインIIIを誘
導生成させることもできる。例えば、腹水中で増殖した
ヒト由来の細胞を採取し、または皮下に生じたヒト由来
の細胞を含む腫瘍を摘出、分散し、得られる細胞を約2
0〜40℃に保った栄養培地に細胞濃度が約105〜1
8個/mlになるように浮遊させ、これに新リンホカ
インIII誘導剤を作用させることによって新リンホカ
インIIIを誘導生成させ、これを精製採取すればよ
い。
【0030】更に、ヒト由来の細胞を拡散チャンバー内
で増殖させた場合は、増殖させた細胞をチャンバー内の
ままで、またはチャンバーから取り出して、新リンホカ
インIII誘導剤を作用させることもできる。
【0031】また、前述のようにヒト以外の温血動物を
利用して得られるヒト由来の細胞を、必要ならば、更に
生体外(in vitro)で1〜4日間程度培養し、
細胞の増殖世代を同調させるなどした後、新リンホカイ
ンIII誘導剤を作用させ新リンホカインIIIを誘導
生成させることも自由である。
【0032】また、例えば、増殖させたヒト由来の細胞
に先ず動物体内のままで新リンホカインIIIを誘導生
成させた後、次いで、同一動物個体の特定の部位または
全体から採取したヒト由来の細胞に動物体外で新リンホ
カインIIIを誘導生成させる方法、また、一度新リン
ホカインIIIの誘導生成に使用した細胞を、更に2度
以上使用する方法、または動物体内に埋設、若しくは接
続するチャンバーを交換して得られる細胞数を増加させ
る方法などによって、使用する動物個体当たりの新リン
ホカインIII生成量を更に高めることも自由である。
【0033】本発明の新リンホカインIII誘導剤とし
ては、α−インターフェロン誘導剤として知られている
ウイルス、核酸、ヌクレオチドやγ−インターフェロン
誘導剤として知られているフィトヘマグルチニン、コン
カナバリンA、ポークウィードミトーゲン、リポポリサ
ッカライド、エンドトキシン、多糖類、細菌などが適宜
用いられる。また、感作された細胞にとっては、抗原も
新リンホカインIIIの誘導剤である。
【0034】更に、ヒト由来の細胞から新リンホカイン
IIIを誘導生成させるに際し、新リンホカインIII
誘導剤として、α−インターフェロン誘導剤とγ−イン
ターフェロン誘導剤とを併用することにより新リンホカ
インIIIの生産量を高めることも自由である。
【0035】また、これらの誘導方法によれば、新リン
ホカインIIIが産生されるだけでなく、種特異性の高
いヒトインターフェロンも同時に産生されることが判明
した。
【0036】このことは、貴重な2種以上のヒト生理活
性物質の同時生産を可能にし、更に、ヒト由来の細胞の
高度利用を可能にし、新リンホカインIIIおよびヒト
インターフェロンを大量に安価に供給する点から極めて
好都合である。
【0037】このようにして誘導生成された新リンホカ
インIIIは、公知の精製分離法、例えば、塩析、透
析、濾過、遠心分離、濃縮、凍結乾燥などを行うことに
よって容易に精製分離し、採取することができる。更に
高度の精製を必要とする場合には、例えば、イオン交換
体への吸着−溶出、ゲル濾過および等電点分画、電気泳
動、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマト
グラフィー、カラムクロマトグラフィー、アフィニティ
クロマトグラフィーなどの公知の方法を組合わせれば、
最高純度の新リンホカインIIIを採取することも可能
である。
【0038】また、このようにして得られた新リンホカ
インIIIを、抗原としてヒト以外の温血動物を免疫
し、該動物から抗体産生細胞を採取して、この細胞と骨
髄腫細胞とを融合せしめ、得られる融合細胞から抗新リ
ンホカインIII抗体産生能を有する融合細胞を選択
し、この選択細胞を増殖させ、生成したモノクローナル
抗体を、例えば、ブロムシアン活性化セファロースと反
応させて得られる固定化モノクローナル抗体を用いて精
製し、高純度の新リンホカインIIIを高収率で採取す
ることも有利に用いることができる。
【0039】このようにして精製し製造された新リンホ
カインIIIは、理化学的性質が、 分子量 15,000±2,000 等電点 pI=4.5±0.5 易動度 Disc−PAGEで、Rf=0.73±0.05 紫外線吸収スペクトル 280nm付近に最大吸収 溶剤に対する溶解性 水、生理食塩水またはリン酸塩緩衝液に可溶エチルエー
テル、酢酸エチルまたはクロロホルムに難溶乃至不溶 呈色反応 ローリー法またはミクロビューレット法で蛋白質陽性 反応を示し、フェノール硫酸法またはアントロン硫酸法
で糖質陽性反応を示す KB細胞に対する細胞増殖抑制活性、 L929
胞に対する細胞障害活性、インターロイキン活性および
インターフェロン活性を実質的にいずれも示さず、ヒト
αーインターフェロン共存下でKB細胞に対して細胞増
殖抑制活性を示す 水溶液での活性安定性 pH7.2で30分間保持する条件により60℃まで安
定、4℃で16時間保持する条件によりpH2.0乃至
11.0の範囲で安定 −10℃での凍結貯蔵で1カ月以上安定 であることが判明した。
【0040】また、新リンホカインIIIは、インター
フェロン共存下で多くのヒト腫瘍細胞に障害を与え死滅
させる能力を有しているが、ヒト正常細胞には実質的に
障害を与えないことも判明した。
【0041】したがって、新リンホカインIIIは、こ
れを有効成分とする抗腫瘍作用を有するリンホカインの
活性増強剤として、例えば、悪性腫瘍の予防剤、治療剤
なかでも、従来、治療が極めて困難とされていたヒトの
各種悪性腫瘍治療剤として使用されてきたヒトインター
フェロンなど他のリンホカインと共に有利に用いること
ができる。
【0042】作用は、標的細胞としてKB細胞、または
929細胞を用いて調べた。
【0043】即ち、KB細胞を用いる場合には、『キャ
ンサー・ケモセラピー・リポーツ(Cancer Ch
emotherapy Reports)』、パーツ
(Parts)3、第3巻、第2号(1972年9月)
の記載に準じて、KB細胞の増殖抑制活性を測定し、ま
たは、この測定に際し、高純度のヒトα−インターフェ
ロン(比活性2×108単位/mg蛋白質)をml当り
20,000単位共存させてKB細胞の増殖抑制活性を
測定した。
【0044】L929細胞を用いる場合には、イー・ピッ
ク(E.Pick)編、『ツモア・ネクロシス・ファク
ター・イン・リンホカインズ(Tumor Necro
sisFactor in Lymphokine
s)』、第II巻、第245〜249頁、『アカデミッ
ク・プレス(Academic Press)』(19
81年)の記載に準じて、アクチノマイシンD存在下で
のL929細胞に与える細胞障害活性を測定した。
【0045】新リンホカインIIIの活性は、本明細書
を通じて特に断らない限り、ヒトα−インターフェロン
を共存させたKB細胞の増殖抑制活性を測定する方法を
採用した。
【0046】インタロイーキン活性については、ダイア
ナ・ボラッシ(Diana Boraschi)等によ
る『ザ・ジャーナル・オブ・イムノロジー(The J
ournal of Immunology)』、第1
33巻、第2号(1984年8月)の記載に準じてイン
ターロイキン−1の活性を測定し、また、ステベン・ギ
リス(Steven Gillis)等による『ザ・ジ
ャーナル・オブ・イムノロジー(The Journa
l of Immunology)』、第120巻、第
6号(1978年6月)の記載に準じてインターロイキ
ン−2の活性を測定した。
【0047】ヒトに種特異性の高いインターフェロンの
活性は、『蛋白質核酸酵素』、第20巻、第6号、第6
16〜643頁(1975年)に報告されているヒト羊
膜由来のFL細胞を使用して公知のプラーク半減法で測
定した。
【0048】赤血球凝集価は、ゼイ・イー・サーク
(J.E.Salk)著、『ザ・ジャーナル・オブ・イ
ムノロジー(The Journal of Immu
nology)』、第49巻、第87頁(1944年)
の方法に準じて測定した。
【0049】次に、本発明を実験により説明する。
【0050】
【実験A−1 部分精製した新リンホカインIIIの調
製】新生児のハムスターに、ウサギから公知の方法で調
製した抗血清を注射して、ハムスターの免疫反応を弱め
た後、その皮下にBALL−1細胞を移植し、その後通
常の方法で3週間飼育した。皮下に生じた腫瘤を摘出し
て細切し、生理食塩水中で分散させほぐした。得られた
細胞を血清添加のRPMI 1640培地(pH7.
2)で洗浄し、同培地に約2×106個/mlになるよ
うに懸濁した。本細胞懸濁液に対して、ml当り約40
0赤血球凝集価のセンダイウイルスを添加し、37℃で
24時間保って新リンホカインIIIを誘導生成させ
た。
【0051】これを約4℃、約1,000gで遠心分離
し、沈殿物を除去し、得られた上清をpH7.2、0.
01Mリン酸塩緩衝液を含有する生理食塩水で20時間
透析し、更に、精密濾過して得た濾液を、抗インターフ
ェロン抗体を固定化している抗体カラムに流し、その非
吸着画分を採取し、更に、これをクロマトフォーカッシ
ング法により活性画分を採取し、濃縮し、凍結乾燥して
新リンホカインIII活性を有する粉末を得た。
【0052】本粉末の比活性は、約105単位/ml蛋
白質であった。また、新リンホカインIIIの収量は、
ハムスター1匹当り約1,000,000単位であっ
た。
【0053】
【実験A−2 抗新リンホカインIII抗体の調製】実
験A−1の方法で得た新リンホカインIIIを生理食塩
水に蛋白質濃度として約0.05w/w%になるように
溶解し、これとフロイント完全アジュバント乳化液とを
等量混合して、この混合液0.2mlをマウスの皮下に
注射し、7日後再び同様に注射してマウスを免疫した。
その抗体産生能を有する細胞に抗新リンホカインIII
抗体を誘導生成せしめ、このマウスからひ臓を摘出し、
細切分散して得られるひ臓細胞とマウス骨髄腫細胞P3
−X63−Ag8『フロー・ラボラトリーズ(Flow
Laboratories)』社製とを、血清無含有
Eagleの最少基本培地で調製した50w/v%ポリ
エチレングリコール−1000溶液(pH7.2、温度
37℃)に、それぞれ104個/mlになるように浮遊
させて5分間保った後、前記基本培地で20倍に希釈
し、ダビソン(Davison)などが『ソマティック
・セル・ゼネティックス(Somaticcell G
enetics)』に報告している方法に準じて、ヒポ
キサンチン−アミノプテリン−チミジン培養液で増殖し
うる融合細胞を採取し、この融合細胞から抗新リンホカ
インIII抗体産生能を有する融合細胞を選択した。得
られた融合細胞をマウス腹腔内に1匹当り約106個移
植して2週間飼育した後、これを屠殺して腹水、血液な
どの体液を集め、遠心分離し、この上清を硫安塩析して
飽和度30〜50%の沈殿画分を集め、次いで透析し、
更に、この液を、実験A−1の方法で得た新リンホカイ
ンIIIをブロムシアン活性化セファロースと室温下で
反応させて得られる固定化新リンホカインIIIゲルを
用いてアフィニティクロマトグラフィーを行い、抗新リ
ンホカインIII抗体画分を得、透析した後濃縮し、凍
結乾燥して新リンホカインIIIのモノクローナル抗体
粉末を採取した。
【0054】本品は、新リンホカインIIIの活性に対
して免疫学的に特異的な中和活性を示した。
【0055】
【実験A−3 高度に精製した新リンホカインIIIの
調製とその理化学的性質】実験A−1の方法で調製した
新リンホカインIIIの部分精製品を、実験A−2の方
法で調製したモノクローナル抗体を固定化したゲルを用
いてアフィニティクロマトグラフィーを行い新リンホカ
インIIIの活性画分を採取し、透析し、濃縮して凍結
乾燥した。
【0056】本品は、高純度に精製された新リンホカイ
ンIIIであって、その比活性は、約107単位/mg
蛋白質であった。
【0057】本品を用いて、理化学的性質を調べた。
【0058】 分子量ケイ・ウェーバー・アンド・エ
ム・オズホーン(K.Weber and M.Osb
orn)、『ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ
ストリー(Journal of Biologica
l Chemistry)』、第244巻、第4406
頁(1969年)の記載に準じて、SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動により調べた。即ち、0.1%S
D存在下、10%アクリルアミドゲルカラムに試料約1
0μgを負荷し、カラム当り8mAで4時間泳動後、抽
出し、その活性測定から分子量を求めたところ、15,
000±2,000であった。
【0059】 等電点スウェーデン、LKB社製、等
電点電気泳動用ゲル、商品名『AMPHOLINE P
AGPLATE(pH3.5〜9.5)』を用いて、2
5W、2時間泳動した結果、等電点pIは4.5±0.
5であった。
【0060】 電気易動度ビー・ゼイ・デービス
(B.J.Davis)、『アニュアル・オブ・ザ・ニ
ューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンシーズ(An
nual of theNew York Acade
my of Sciences)』、第121巻、第4
04頁(1964年)の記載に準じて、7.5%アクリ
ルアミドゲルカラムに試料を約10μg負荷し、pH
8.3、カラム当り3mAで2時間泳動後、抽出してそ
の活性測定から電気易動度を求めたところ、Rfは0.
73±0.05であった。
【0061】 紫外線吸収スペクトル株式会社島津製
作所製の分光光度計、商品名『UV−250』を用いて
紫外部での吸収スペクトルを調べた結果、280nm付
近に最大吸収を示した。
【0062】 溶剤に対する溶解性水、生理食塩水ま
たはリン酸塩緩衝液に可溶エチルエーテル、酢酸エチル
またはクロロホルムに難溶乃至不溶であった。
【0063】 呈色反応ローリー法またはミクロビュ
ーレット法で蛋白質陽性反応を示し、フェノール硫酸法
またはアントロン硫酸法で糖質陽性反応を示した。
【0064】 作用単独では、KB細胞に対する細胞
増殖抑制活性、L929細胞に対する細胞障害活性、イン
ターロイキン活性およびインターフェロン活性は実質的
にいずれも示さなかった。ヒトα−インターフェロン共
存下で、KB細胞に対して細胞増殖抑制活性を示した。
【0065】 水溶液での活性安定性 1)熱安定性 約1×103単位/mlの試料を各温度によりpH7.
2で30分間保持した後、残存する活性を測定した結
果、60℃まで安定であった。
【0066】2)pH安定性約1×104単位/mlの
試料0.1mlを各pH緩衝液(pH2〜7...マッ
クルベイン緩衝液(Mcllvaine buffe
r)、pH7〜8...リン酸塩緩衝液(Phosph
ate buffer)、pH8〜11...グリシン
−水酸化ナトリウム緩衝液(Glycine−NaOH
buffer))1mlに加え、4℃で16時間保持
した後、この0.1mlをpH7.2、0.05Mリン
酸塩緩衝液で、pH7.2に調整して残存する活性を測
定した結果、pH2.0乃至11.0の範囲で安定であ
った。
【0067】 凍結乾燥による安定性pH7.2の水
溶液を−10℃で凍結し1カ月間貯蔵した後、融解し、
活性を測定した結果、活性の低下は見られなかった。
【0068】以上の結果から、新リンホカインIII
は、従来知られているリンホトキシン、ツモア・ネクロ
シス・ファクター、インターロイキン、インターフェロ
ンなどのリンホカインとは、明らかに違った理化学的性
質を有する。
【0069】
【実験B−1 悪性腫瘍細胞に対する増殖抑制作用】実
験A−3の方法で得た新リンホカインIIIを用いて、
ヒト由来の各種細胞に対する増殖抑制作用を調べた。
【0070】牛胎児血清を補足した公知の栄養培地1m
lにヒト由来の各種細胞を106個ずつとり、1日培養
した後、これに実験A−3の方法で調製した新リンホカ
インIIIを20単位またはこの20単位とともにヒト
α−インターフェロン(比活性2×108単位/ml蛋
白質)2,000単位含有する生理食塩水0.1mlを
加え、37℃で2日間培養した。培養終了後、『アプラ
イド・マイクロバイオロジー(Applied Mic
robiology)』、第22巻、第4号、第671
〜677頁(1971年)に記載されている方法に準じ
て、染色剤ニュートラルレッドで生細胞を染色し、続い
て、この染色剤をアシドエタノールで溶出し、溶出液の
540nmにおける吸光度から生細胞量を測定した。
【0071】なお、対照実験には、新リンホカインII
Iを含まない生理食塩水0.1mlを用いた。
【0072】細胞の増殖抑制率(%)は、次の式1から
算出した。
【式1】
【0073】その結果を、表1に示した。
【表1】
【0074】第1表の結果から明らかなように、新リン
ホカインIIIは、各種悪性腫瘍細胞に対しては、ヒト
インターフェロン共存下でその増殖を著しく抑制するこ
とが判明した。また、新リンホカインIIIまたは高純
度のヒトα−インターフェロンは、それぞれ単独では、
正常細胞、悪性腫瘍細胞に対して殆ど影響を与えないこ
とも判明した。
【0075】
【実験B−2 悪性腫瘍細胞に対する増殖抑制作用】B
ALB/c由来ヌードマウスにヒト乳癌組織片を背部皮
下に移植し、その腫瘍体積が約200mm3なった時期
から、実験A−1、または実験A−3の方法で得られた
新リンホカインIIIを生理食塩水に溶解した状態で、
毎日1回、ヒトα−インターフェロン(比活性2×10
8単位/mg蛋白質)5,000単位とともに、50ま
たは500単位/kgずつ20日間静脈注射を行った。
その後、ヌードマウスを屠殺して腫瘍の重量を測定し
た。
【0076】その結果を、表2に示した。
【表2】
【0077】
【実験B−3 急性毒性試験】生後20日のマウスを使
用して、実験A−3の方法で得られた新リンホカインI
IIの急性毒性試験をしたところ、新リンホカインII
Iの毒性は極めて低く、腹腔内に注射した時のLD
50は、108単位以上であることが判明した。
【0078】以上の結果からも明らかなように、本発明
の新リンホカインIIIは、インターフェロンと併用し
て、生体外(in vitro)のみならず、生体内に
おいても悪性腫瘍の増殖抑制に極めて有効であり、その
有効用量から見て安全性は極めて高い。
【0079】本発明の新リンホカインIIIの成人1日
当りの用量は、1〜100,000,000単位であ
り、好ましくは局所注射および点眼などの局所適用用量
は1〜1,000,000単位、軟膏または坐剤などの
経皮または経粘皮適用の場合10〜50,000,00
0単位、静注および筋注など全身注射の場合10〜1
0,000,000単位、経口投与の場合50〜10
0,000,000単位であるが、用法あるいは症状に
応じて適宜増減することができる。必要に応じて任意、
慣用の製薬用担体、基剤あるいは賦形剤とともに慣用の
方法で医薬用製剤に調製することができる。その使用量
は、新リンホカインIIIの毒性、有効量および安全性
を考慮すると医薬用製剤グラム当り1単位以上の新リン
ホカインIIIを含有せしめるのが望ましい。
【0080】新リンホカインIIIを含有する抗腫瘍作
用を有するリンホカインの活性増強剤、例えば、悪性腫
瘍の予防剤、治療剤は、その目的に応じてその形状を自
由に選択できる。
【0081】経口投与剤としては、カプセル剤、錠剤、
散剤などの腸溶製剤、直腸内投与剤としては直腸坐剤、
注射剤としては、例えば、用事に注射用蒸留水に溶解し
て使用する凍結乾燥注射剤、その他点鼻もしくは点眼、
軟膏剤として用いることもできる。
【0082】また、新リンホカインIIIとともにイン
ターフェロンを用いて悪性腫瘍を治療するに際し、例え
ば、患者の腫瘍の一部を取り、これを新リンホカインI
IIで処理することによって、その腫瘍の免疫原性を高
めた後、腫瘍患者の体内に戻し、次いで、インターフェ
ロンを投与するなどの方法により、この悪性腫瘍の治療
を効果的に行うこともできる。また、新リンホカインI
IIと共に用いるインターフェロンとしては、α−イン
ターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフ
ェロンのいずれでもよく、また、ヒト由来の細胞が産生
した天然型のインターフェロンであっても、微生物が産
生した遺伝子組換型のインターフェロンであってもよ
い。また、他の各種抗腫瘍剤、例えばツモア・ネクロシ
ス・ファクター、リンホトキシン、インターロイキンな
どの他のリンホカイン、β−1,3グルカン、アラビノ
マンナン、リポポリサッカライド、OK−432(ピシ
バニール)、PSK(クレスチン)、レンチナンなどの
抗腫瘍性多糖類、メソトレキサート(MTX)、フルオ
ロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗剤、トキソルビ
シン(ADM)、マイトマイシンC(MMC)などの抗
生物質などと併用することも有利に実施できる。
【0083】以下、参考例で本発明における新リンホカ
インIIIの製造例を、また実施例で本発明の活性増強
剤である各種薬剤の製造例を述べる。
【0084】
【参考例1】ヒト由来のリンパ芽球様細胞BALL−1
細胞牛胎児血清を20%補足したEagleの最少基本
培地(pH7.4)に接種し、37℃で常法にしたがい
生体外(in vitro)に浮遊培養した。得られた
細胞を血清無添加のEagleの最少基本培地(pH
7.4)で洗浄し、同培地に約1×107個/mlにな
るように懸濁した。この懸濁液にセンダイウイルスをm
l当り約1,000赤血球凝集価添加し、38℃で1日
保って、新リンホカインIIIを誘導生成させた。これ
を4℃、約1,000gで遠心分離し、得られた上清を
pH7.2、0.01Mリン酸塩緩衝液を含有する生理
食塩水で15時間透析し、更に精密濾過して得た濾液を
実験A−1と同様に抗インターフェロン抗体カラムに流
し、その非吸着画分を、実験A−3で述べた方法でモノ
クローナル抗体のゲルカラムを用いてアフィニティクロ
マトグラフィーにより精製し、濃縮して比活性約107
位/mg蛋白質を有する新リンホカインIIIの濃縮
液を得た。
【0085】活性収率は、誘導生成時の懸濁液1ml当
り約20,000単位であった。
【0086】
【参考例2】新生児のハムスターに、ウサギから公知の
方法で調製した抗血清を注射してハムスターの免疫反応
を弱めた後、その皮下に培養株化されたヒト由来のリン
パ芽球様細胞BALL−1細胞を移植し、その後通常の
方法で3週間飼育した。皮下に生じた約15gの腫瘤を
摘出し細切し、生理食塩水中で分散させほぐした。得ら
れた細胞を血清無添加のRMPI 1640培地(pH
7.2)で洗浄し、同培地に約5×106個/mlに懸
濁した。この懸濁液に、センダイウイルスをml当り約
1,000赤血球凝集価およびE.coli由来のエン
ドトキシンをml当り約10μgを添加し、37℃で1
日間保って新リンホカインIIIを誘導生成させた。こ
れを約4℃、約1,000gで遠心分離し、沈殿物を除
去し、得られた上清をpH7.2、0.01Mリン酸塩
緩衝液を含有する生理食塩水で21時間透析し、更に精
密濾過して得た濾液を、参考例1と同様に抗体カラムを
用いて精製し、得られる溶液を濃縮し、凍結乾燥して比
活性約1×107単位/mg蛋白質を有する新リンホカ
インIIIの粉末を得た。
【0087】活性収率は、約1,500,000単位で
あった。
【0088】
【参考例3】成長したヌードマウスの腹腔内に、培養株
化されたヒト由来のリンパ芽球様細胞TALL−1細胞
の移植後、通常の方法で5週間飼育した。この腹腔内
へ、約3,000赤血球凝集価のニューカッスル病ウイ
ルスを紫外線によって予め殆ど失活させて注入し、24
時間後に屠殺して腹水を採取した。以後、参考例2と同
様に精製し濃縮乾燥して新リンホカインIIIの粉末を
得た。活性収率は、ヌードマウス1匹当たり約300,
000単位であった。
【0089】
【参考例4】成長した普通マウスに約400レムのエッ
クス線を予め照射してマウスの免疫能を弱めた後、その
マウスの皮下に培養株化されたヒト由来のリンパ芽球様
細胞Mono−1細胞を移植し、その後通常の方法で3
週間飼育した。皮下に生じた約10gの腫瘤を摘出した
後、参考例2と同様にして細胞を分散させた。この細胞
を参考例2と同様に懸濁した後、この懸濁液に、センダ
イウイルスをml当り約500赤血球凝集価およびコン
カナバリンAをml当り0.8μgを添加し、37℃で
1日間保って新リンホカインIIIを誘導生成させた。
以後、参考例2と同様に精製、濃縮、乾燥して新リンホ
カインIIIの粉末を得た。
【0090】活性収率は、マウス1匹当たり1,00
0,000単位であった。
【0091】
【参考例5】新生児のハムスターに参考例2と同様にし
て培養株化されたヒト由来のリンパ芽球様細胞Nama
lwa細胞を移植し、その後通常の方法で4週間飼育し
た。皮下に生じた約20gの腫瘤を参考例2と同様にほ
ぐして約3×106個/ml細胞懸濁液を得た。本懸濁
液にセンダイウイルスをml当り約1,000赤血球凝
集価を添加し36℃で2日間保って新リンホカインII
Iを誘導生成させ、次いで参考例1と同様に精製濃縮し
て新リンホカインIIIの濃縮液を得た。
【0092】活性収率は、ハムスター1匹当たり約1,
300,000単位であった。
【0093】
【参考例6】孔径0.5ミクロンのメンブランフィルタ
ーを設けた内容量約10mlのプラスチック製円筒型拡
散チャンバー内に、培養株化されたヒト由来のリンパ芽
球様細胞NALL−1細胞を生理食塩水で浮遊させ、こ
れを成長したラットの腹腔内に埋設した。このラットを
通常の方法で4週間飼育した後、この拡散チャンバーを
取り出した。これにより得られたヒト由来の細胞濃度は
約5×108個/mlであって、生体外の栄養培地に炭
酸ガスインキュベーター中で増殖させる場合の約102
倍以上にも達することがわかった。この細胞を参考例2
と同様に懸濁し、この懸濁液に、ml当り約500赤血
球凝集価のニューカッスル病ウイルスを紫外線で予め殆
ど失活させて加え、さらにフィトヘマグルチニンをml
当り約500μg加え、37℃で1日間保って新リンホ
カインIIIを誘導生成させた。以後、参考例2と同様
に精製し、濃縮、乾燥して新リンホカインIIIの粉末
を得た。
【0094】活性収率は、ラット1匹当たり約400,
000単位であった。
【0095】
【参考例7】37℃で5日間保ったニワトリの受精卵
に、ヒト由来の株化細胞CCRF−CEM細胞を移植し
た後、37℃で1週間保った。この卵を割卵した後、増
殖細胞を採取した。この細胞を参考例1と同様に5×1
6個/mlに懸濁した。この懸濁液にml当り約50
0赤血球凝集価のセンダイウイルスを添加し、37℃で
1日間保って新リンホカインIIIを誘導生成させ、次
いで参考例2と同様に精製し、濃縮乾燥して新リンホカ
インIIIの粉末を得た。
【0096】活性収率は、受精卵10個当たり約50,
000単位であった。
【0097】
【実施例1 注射液】参考例2の方法で調製した新リン
ホカインIII500,000単位を200mlの生理
食塩水に溶解し、メンブランフィルターを用いて無菌的
に濾過する。濾液を滅菌したガラス容器に2mlずつ充
填して、凍結乾燥し、凍結乾燥粉末製剤とする。
【0098】本品は、ヒトα−インターフェロン注射
剤、ヒトβ−インターフェロン注射剤などとともに用い
ることにより、乳癌、肺癌、肝癌、白血病などの治療に
好適である。
【0099】
【実施例2 注射剤】実施例1の注射剤の製造におい
て、新リンホカインIII200,000単位と共に、
リンパ芽球様細胞由来のヒトα−インターフェロン30
0,000,000単位を生理食塩水200mlに溶解
したほかは、実施例1と同様に製造して凍結乾燥粉末製
剤を得た。
【0100】本品は、乳癌、肺癌、肝癌、胃癌、白血病
などの治療に好適である
【0101】
【実施例3 軟膏剤】参考例3の方法で調製した新リン
ホカインIIIおよびヒトα−インターフェロンを常法
にしたがい少量の流動パラフィンに研和した後、ワセリ
ンを加えg当りそれぞれ1,000単位、100,00
0単位含有する軟膏薬とした。
【0102】本品は、皮膚癌、乳癌、リンパ腫などの治
療に好適である
【0103】
【実施例4 点眼剤】蒸留水800mlに、β−フェニ
ルエチルアルコール5ml、参考例4の方法で調製した
新リンホカインIII1,000単位、ヒトα−インタ
ーフェロン10,000,000単位および食塩を加え
等張化するよう蒸留水で1,000mlとし点眼剤とし
た。
【0104】本品は、網膜芽細胞腫などの治療に好適で
ある。
【0105】
【実施例5 腸溶性錠剤】参考例7の方法で調製した新
リンホカインIIIを常法にしたがって澱粉とマルトー
スとを混合使用して打錠するに際し、新リンホカインI
IIを製品1錠(100mg)当り200,000単位
になるように含有せしめて錠剤を製造し、これにメチル
セルロースフタレートをコーティングして腸溶性錠剤と
した。
【0106】本品は、ヒトα−インターフェロンまたは
ヒトγ−インターフェロンを含有する各種投与経路の薬
剤などと併用して大腸癌、結腸癌、肝癌などの治療に好
適である。
【0107】
【発明の効果】上記したことから明らかなように、本発
明の新リンホカインIIIを有効成分とする抗腫瘍作用
を有するリンホカインの活性増強剤は、インターフェロ
ンなどのリンホカインと共に使用したとき、それらリン
ホカインの抗腫瘍作用を増強することから、例えば、悪
性腫瘍の予防剤、治療剤なかでもヒトの各種悪性腫瘍治
療剤として有利に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 C12R 1:91) (C12P 21/00 (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) (C12P 21/08 A61K 37/66 ADUG C12R 1:91) 9162−4B C12N 15/00 C

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 理化学的性質が、 分子量 15,000±2,000 等電点 pI=4.5±0.5 易動度 Disc−PAGEで、Rf=0.73±0.05 紫外線吸収スペクトル 280nm付近に最大吸収 溶剤に対する溶解性 水、生理食塩水またはリン酸塩緩衝液に可溶 エチルエーテル、酢酸エチルまたはクロロホルムに難溶
    乃至不溶 呈色反応 ローリー法またはミクロビューレット法で蛋白質陽性反
    応を示し、フェノール硫酸法またはアントロン硫酸法で
    糖質陽性反応を示す KB細胞に対する細胞増殖抑制活性、 L929
    胞に対する細胞障害活性、インターロイキン活性および
    インターフェロン活性を実質的にいずれも示さず、ヒト
    αーインターフェロン共存下でKB細胞に対して細胞増
    殖抑制活性を示す 水溶液での活性安定性 pH7.2で30分間保持する条件により60℃まで安
    定、4℃で16時間保持する条件によりpH2.0乃至
    11.0の範囲で安定 −10℃での凍結貯蔵で1カ月以上安定 である新リンホカインIIIを有効成分として含有する
    ことを特徴とする抗腫瘍作用を有するリンホカインの活
    性増強剤
  2. 【請求項2】 抗腫瘍作用を有するリンホカインが、
    ンターフェロン、ツモア・ネクロシス・ファクター、リ
    ンホトキシンおよびインターロイキンから選ばれる1種
    以上のリンホカインであるこことを特徴とする特許請求
    の範囲第項記載の活性増強剤
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