JPH0763424B2 - 誘導加熱炊飯器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、一般家庭で使用され、かつ誘導加熱を利用し
た誘導加熱炊飯器に関するものである。

従来の技術 一般に誘導加熱を利用した誘導加熱炊飯器としては、第
７図に示されているような構造のものが知られている。
すなわち、図において、上下面が開口する筒状に外ケー
ス101の下面には支持脚102を有する底板103がねじ止め
によって固着されている。また耐熱性のプラスチックに
よって形成された鍋収納部104はその上端部に設けた鍔
部104aを外ケース101の上面にねじ止めによって固着し
ている。前記鍋収納部104の側面部104bには第１の誘導
コイル105をモールドによって埋設している。磁性材
料，例えば鉄により形成された鍋107は鍋収納部104の底
面部104c上に着脱可能に載置される。

また鍋収納部104の底面部104cの中心部に設けた貫通孔1
04dの下部には支持板109がビス止めされている。また支
持板109を介して固着された磁気式サーモスタット108の
感熱部108aは、このサーモスタット108aに連結されたバ
ネによって上方に付勢され、鍋107の底面部107bに密着
するようになっている。鍋107の側面部107aの温度を検
知する、例えばサーミスタ等からなる温度検知スイッチ
110の感熱部110aは基端部を鍋収納部104の側面部104bに
設けられた挿通孔111内に挿通すると共に、ばね112によ
って常に鍋107の方向に付勢されており、その感熱部110
aの先端部が鍋107の側面部107aに圧着するようになって
いる。また、つまみ114を有する蓋113は鍋収納部104の
鍔部104aの上に着脱自在に載置される。前記底板103の
上面に固着された制御基板115には電気回路の一部が配
設されている。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の誘導加熱炊飯器において、サーモ
スタット108は誘導コイル106の磁界を反射するようには
なっていないため、誘導コイル106の発振により、サー
モスタット108にノイズがのって回路が誤動作するおそ
れがあり、またサーモスタット108自体とそのリード線
が発熱して正確に温度感知が行えなくなるおそれがある
ものであった。

本発明は上記従来の課題を解決するもので、誘導コイル
の発振による回路の誤動作，感熱素子への過熱を防止
し、鍋の温度を正確に感知して精度よく温度制御を行う
誘導加熱炊飯器を提供することを目的とするものであ
る。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明の誘導加熱炊飯器は、
インバータ回路により励振して鍋を誘導加熱する誘導コ
イルと、アルミ合金で形成されかつ前記誘導コイルの中
心部分の穴部に配設されるとともにバネにより前記鍋に
接触する有天筒状の感熱体と、絶縁して前記感熱体内に
配設されかつ前記鍋の温度を感知する感熱素子と、前記
感熱体に密着して結合され前記感熱体とともに前記感熱
素子を挟持しかつ前記感熱体の熱を前記感熱素子に伝え
る裏面感熱体と、前記感熱体を保持すると共に前記穴部
に摺動自在に保持される樹脂製の感熱支持体とを備え、
前記感熱体の下端は、前記裏面感熱体の下端より低くか
つ前記誘導コイルより高く位置するものである。

また、感熱体の円周部下端面に複数個の爪部を形成する
とともに、これらの爪部間に位置して溝部を設け、この
溝部と、感熱支持体に外向きに設けた凸部を嵌合させる
ことにより、両者の回転方向の位置決めを行なうととも
に、前記爪部を中心方向に折り曲げることにより、この
感熱体を前記感熱支持体に保持したものである。

また、感熱体の円周部にＬ字型の掛部を形成し、このＬ
字型の掛部と、感熱支持体に形成した爪掛部とを係合さ
せることにより、回転方向の位置決めをして感熱体を感
熱支持体に保持したものである。

作 用 上記のように感熱体、裏面感熱体および誘導コイルの関
連構成により、誘導コイルの磁界は感熱体または裏面感
熱体によって反射されることになり、これにより感熱素
子にはノイズがのらなくなり、誘導コイルの発振による
自己発熱は起こりにくくなる。

また、感熱体の爪部および溝部と、感熱支持体の凸部構
成により、回転方向の位置決めをして感熱体を感熱支持
体に保持するものである。

また、感熱体の円周部の掛部掛部と、感熱支持体に形成
した爪掛部とを係合させることにより、両者が仮止めさ
れるため、組み立て性がすぐれたものとなっているもの
である。

実 施 例 以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。第１図〜第６図において、鍋１は保護枠３内に着脱
自在に収納され、そしてこの保護枠３の外面に誘導加熱
源である誘導コイル２を配設し、かつこの誘導コイル２
を前記保護枠３により絶縁した状態でコイル支持板４に
より保持している。また前記誘導コイル２はインバータ
回路５により励振されるものである。６は感熱装置で、
この感熱装置６は次のような部材により構成されてい
る。すなわち、鍋１の底面と接触して熱伝導を行なうと
ともに、アルミ合金で有天筒状に構成された感熱体７
と、この感熱体７からの熱を受けてその温度を実質的に
感知して回路に伝達するサーミスタよりなる感熱素子８
と、この感熱素子８を覆う絶縁チューブ９と、前記感熱
体７の裏面と熱接触して感熱素子８を裏面から覆うとと
もに、感熱素子８に熱を伝達する裏面感熱体10と、誘導
コイル２の中心部分、すなわち保護枠３の中心部分に設
けた穴部11に上下摺動自在に保持され、かつ端面で前記
感熱体７を保持している樹脂製の感熱支持体12と、前記
感熱体７を鍋１に常時接触させる方向にバネ付勢された
バネ13とにより構成されている。また前記感熱装置６
は、感熱支持体12の下部にある保持穴部14に差し込んだ
レバー15により上下動自在に保持されている。さらにレ
バー15は、前記コイル支持板４に設けた保持凸部16に回
動自在に保持されている。

上記した構成から明らかなように、本発明の一実施例に
おいては、鍋１と接触して温度を感知する感熱体７をア
ルミ合金で有天筒状に構成し、しかもその内部にサーミ
スタよりなる感熱素子８を収納するようになっているた
め、感熱体７の有天筒状部が誘導コイル２の磁界を反射
することになり、その結果、サーミスタよりなる感熱素
子８にノイズがのるということはなくなるため、異常発
熱も未然に防止することができるものである。

また、感熱体７を鍋１に接触させる構成は、保護枠３の
中心部分に設けた穴部11に感熱支持体12を上下摺動自在
に保持し、この感熱支持体12の上端部に感熱体７を設
け、この感熱体７をバネ13の付勢力により鍋１に接触さ
せるようにしており、また感熱支持体12を樹脂で形成し
ているため、誘導コイル２の発振による自己発熱はなく
なり、その結果、サーミスタよりなる感熱素子８及び感
熱体７への熱影響をなくすことができるとともに、その
構成も簡単であるため、組み立てやすくなる。

そしてまた感熱体７を鍋１に接触させて鍋１とサーミス
タよりなる感熱素子８との熱伝導を大幅に向上させるよ
うにしているため、温度感知もスムーズとなり、かつ室
温依存も小さく、微小な温度制御が可能となる。また感
熱体７の裏面に裏面感熱体10を配置し、この裏面感熱体
10と前記感熱体７との間にサーミスタよりなる感熱素子
８を装備するとともに、この感熱体７の下端を、前記裏
面感熱体10の下端より低くかつ前記誘導コイル２より高
く位置させてなるので、感熱素子８及び裏面感熱体10と
誘導コイル２との間には感熱体７が介在することとな
り、よって誘導コイル２の磁界は感熱体７で反射されて
裏面感熱体10及び感熱素子８には作用しにくく、これに
より、サーミスタよりなる感熱素子８にノイズがのるの
を防止することができ、自己発熱も防止することができ
るものである。さらに感熱素子８のリード線8aを感熱体
７と裏面感熱体10との間に絶縁チューブを介して近接あ
るいは当接させることにより、上記した効果はより増大
するものである。

また、感熱体７の円周部下端面には、第３図a,bに示す
ように部分的に複数個の爪部17を形成するとともに、こ
れらの爪部17間に位置して溝部18を設け、さらに感熱支
持体12には第４図に示すように、外向きに凸部19を設
け、この凸部19と溝部18を第５図に示すように嵌合させ
ることにより回転方向の位置決めを行い、そして爪部17
を第３図ｂに示すように、中心方向に折り曲げることに
より、感熱体７を感熱支持体12に保持している。このよ
うに、爪部17を部分的に複数個設けているため、少ない
かしめ力で爪部17を中心方向に折り曲げることができ、
これにより樹脂で形成した感熱支持体12にかかる応力も
少なくなって感熱体７を保持することができるものであ
る。さらに前記中心方向に折り曲げた爪部17は誘導コイ
ル２の磁界の内側まわり込みも反射させることができる
ため、これによっても感熱素子８の保護が図れるもので
ある。

また、感熱体７は、第３図a,bに示すように、円周部に
Ｌ字型の掛部20を形成し、一方、感熱支持体12には、第
４図に示すように、外向きに爪掛部21を形成し、この爪
掛部21と掛部20とを、第６図に示すように回転させて係
合させることにより、両者が相互に入りこみ、仮止めが
なされるため、爪部17の中心方向への折り曲げを行う治
具へのセットも容易となって、組み立てが容易になると
ともに、爪部17の中心方向への折り曲げも安定して行え
るため、品質が高まるものとなる。

発明の効果 以上の説明から明らかなように本発明の誘導加熱炊飯器
は、感熱体の下端を裏面感熱体の下端より下方に位置さ
せてなるので、感熱素子に向かう誘導コイルの磁界は感
熱体で反射されて感熱素子には近づきにくく、また誘導
コイルの磁界が感熱体で反射されずに感熱素子に向かっ
たとしてもこの磁界は裏面感熱体で反射されるため、感
熱素子にはノイズがのりにくく、これにより感熱素子の
異常発熱を未然に防止することができる。

そして、感熱体の下端は誘導コイルより上方に位置して
いるため、すなわち感熱体，裏面感熱体および感熱素子
は誘導コイルより上方に位置しているため、これらの部
材と誘導コイルとの距離はこれらが誘導コイルと同じ高
さに位置している場合に比べて長く、その分これらの部
材が誘導加熱されにくく、従ってこのことによっても上
記効果が得られるものとなる。

また感熱体を鍋に接触させる場合、誘導コイルの中心部
分に設けた穴部に摺動自在に保持される感熱支持体に感
熱体を保持し、この感熱体をバネにより鍋に接触させる
ようにし、さらに感熱支持体を樹脂で形成しているた
め、誘導コイルの発振による自己発熱はなくなり、その
結果、感熱素子および感熱体への熱影響をなくすことが
できるものである。

さらに感熱体を鍋に直接接触させるようにしているた
め、鍋から感熱素子への熱伝導も大幅に向上させること
ができ、これにより、温度感知もスムーズとなり、その
結果、ご飯をおいしく炊きあげることが可能となる。

また、感熱体の爪部および溝部と、感熱支持体の凸部構
成により、回転方向の位置決めをして感熱素子の保護を
図りつつ感熱体を感熱支持体に保持することができるも
のである。

また、感熱体の円周部の掛部掛部と、感熱支持体に形成
した爪掛部とを係合させることにより、両者が仮止めさ
れるため、組み立て性がすぐれたものとなっているもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す誘導加熱炊飯器の断面
図、第２図は同誘導加熱炊飯器の要部拡大断面図、第３
図は同誘導加熱炊飯器における感熱体を示したもので、
ａは側面図、ｂは上面図、第４図は同誘導加熱炊飯器に
おける要部の横断面図、第５図および第６図は同誘導加
熱炊飯器の感熱体と感熱支持体の関係を示す下面図、第
７図は従来例を示す誘導加熱炊飯器の断面図である。 １……鍋、２……誘導コイル、５……インバータ回路、
７……感熱体、８……感熱素子、10……裏面感熱体、11
……穴部、12……感熱支持体、13……バネ、17……爪
部、18……溝部、19……凸部、20……Ｌ字型の掛部、21
……爪掛部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インバータ回路により励振して鍋を誘導加
   熱する誘導コイルと、アルミ合金で形成されかつ前記誘
   導コイルの中心部分の穴部に配設されるとともにバネい
   より前記鍋に接触する有天筒状の感熱体と、絶縁物して
   前記感熱体内に配設されかつ前記鍋の温度を感知する感
   熱素子と、前記感熱体に密着して結合され前記感熱体と
   ともに前記感熱素子を挟持しかつ前記感熱体の熱を前記
   感熱素子に伝える裏面感熱体と、前記感熱体を保持する
   と共に前記穴部に摺動自在に保持される樹脂製の感熱支
   持体とを備え、前記感熱体の下端は、前記裏面感熱体の
   下端より低くかつ前記誘導コイルより高く位置する誘導
   加熱炊飯器。
2. 【請求項２】感熱体の円周部下端面に複数個の爪部を形
   成するとともに、これらの爪部間に位置して溝部を設
   け、この溝部と、感熱支持体に外向きに設けた凸部を嵌
   合させることにより、両者の回転方向の位置決めを行な
   うとともに、前記爪部を中心方向に折り曲げることによ
   り、この感熱体を前記感熱支持体に保持した請求項１記
   載の誘導加熱炊飯器。
3. 【請求項３】感熱体の円周部にＬ字型の掛部を形成し、
   このＬ字型の掛部と、感熱支持体に形成した爪掛部とを
   係合させることにより、前記感熱体を前記感熱支持体に
   保持した請求項１記載の誘導加熱炊飯器。