JPH0754525Y2 - 家具用蝶番 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、家具用蝶番に関する。
さらに詳しくは、納入先で組上げられるノックダウン方
式の家具等に使用され、家具本体の側板に扉を簡単な作
業で取付けることができるようにした家具用蝶番におい
て、その扉側への装着性に係る改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、家具用蝶番としては、例えば、実
開平２−１１８０７６号公報に記載のものが知られてい
る。

【０００３】この従来の家具用蝶番は、家具本体の扉に
取付け固定されたカップケースと、これに嵌合装着され
るカップ型取付部材とからなり、カップケースとカップ
型取付部材との嵌合側面に嵌合により係合される係合部
を２箇所に対称的に設けてなるもので、家具等の納入先
においてカップケース，カップ型取付部材の嵌合という
ワンタッチ作業で扉側への取付作業を完了することがで
きるようにしたものである。また、この従来の家具用蝶
番によると、家具等の納入先までは扉にカップケースの
みが取付け固定されているのみで扉から突出した部分が
設けられていないことになるため、扉の梱包，搬送を容
易にすると共に、蝶番各部の損傷を防止することができ
るという利点がある。

【０００４】なお、このような従来の家具用蝶番では、
通常、カップ型取付部材にリンク部材を介して家具本体
の側板側に固定される取付部材が連結されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】前述の従来の家具用蝶
番では、カップケース，カップ型取付部材の嵌合が嵌合
側面の２箇所に対称的に設けられた係合部の係合によっ
てのみ保持されているため、扉側へ緊密に装着され難い
という傾向がある。このため、扉の開閉の際にカップケ
ース，カップ型取付部材の嵌合がガタ付いて、扉の開閉
精度が得られなかったり、異音が発生したり、カップケ
ース，カップ型取付部材の摩耗，亀裂等の損傷で長期使
用が不能になる等という問題点がある。

【０００６】とくに、扉の開閉に伴う回転トルクがカッ
プ型取付取付部材のリンププレートを取付した反対側に
発生するので、この反対側からガタ付きが発生し易いも
のであった。

【０００７】本考案は、このような問題点を考慮してな
されたもので、扉側への装着の緊密性の高い家具用蝶番
を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本考案に係る家具用蝶番は、次のような手段を採用
する。

【０００９】即ち、請求項１では、扉に埋込固定された
カップケースとこれに嵌合装着され回動自在なリンクプ
レートを有するカップ型取付部材とからなり、カップケ
ースとカップ型取付部材との嵌合側面に嵌合により係合
される一対の係合部が設けられ、カップケースの嵌合側
面の上縁にはカップ型取付部材の斜め方向からの押し込
みを係合可能にする庇形の係合片がカップ型取付部材の
リンクプレートの反対側に位置して設けられていること
を特徴とする。

【００１０】また、請求項２では、請求項１の家具用蝶
番において、カップケースの嵌合底面にカップ型取付部
材の嵌合底面を押圧するバネを設けたことを特徴とす
る。

【００１１】

【作用】前述の手段によると、請求項１では、カップケ
ース，カップ型取付部材の嵌合が、従来の嵌合側面の係
合部の係合に加えて、カップケースの係合片，カップ型
取付部材の上縁からなる別構造の新たな係合部の係合に
よっても保持されることになる。このため、全体の係合
保持力が高められて、扉側への装着の緊密性が高められ
る。扉の開閉に伴う回転トルクは、庇形の係合片で押え
付けされる。

【００１２】また、請求項２では、前述の請求項１の作
用において、バネが係合部の係合を押圧して係合に遊び
が生ずるのを防止する。

【００１３】

【実施例】以下、本考案に係る家具用蝶番の実施例を図
面に基いて説明する。

【００１４】この実施例では、図１に示されるように、
扉Ｄ側に固定される部分であるカップ型取付部材１が、
リンクプレート２を介して家具本体の側板（図示せず）
側に固定される部分であるフレーム型取付部材３に回動
可能に連結されたものを示してある。

【００１５】このカップ型取付部材１は、平面形状が略
小判形のカップ形に形成されてなるもので、外周面が後
述のカップケース４に嵌合する嵌合側面１１となり、外
底面が同じく嵌合底面１２となっている。これ等の嵌合
側面１１，嵌合底面１２が突き合わされた角部１３は、
カップケース４への嵌合を容易にするためにアール形に
角取りされている。また、嵌合側面１１のリンクプレー
ト２が取付けられている側の曲面的なリンク側面１１ａ
は、後述するようなカップケース４への嵌合姿勢のため
に、角部１３へ向けて少し湾曲傾斜している（図４参
照）。

【００１６】このようなカップ型取付部材１の嵌合側面
１１の相対する平面的な２つの面１１ｂ，１１ｃには、
対称的な位置に係合溝１４が夫々設けられている。この
係合溝１４は、前記面１１ｂ，１１ｃに４角形に掘り込
まれたような構造からなるもので、上端部がカップ型取
付部材１の上縁に開放された開放口１４ａとなり、下端
部が外側へ下降傾斜した係止面１４ｂとなっている。

【００１７】カップ型取付部材１が嵌合されるカップケ
ース４は、カップ型取付部材１が嵌合収納されるカップ
部４１と、カップ部４１の上縁の外側に翼形に一体形成
されたフランジ部４２とからなる。

【００１８】カップ部４１は、扉Ｄに穿設された掘込穴
Ｈに嵌合されるカップ形に形成されてなるもので、内周
面がカップ型取付部材１の嵌合する嵌合側面４１１とな
り、内底面が同じく嵌合底面４１２となっている。この
嵌合側面４１１の相対する平面的な２つの面４１１ｂ，
４１１ｃ（カップ型取付部材１の嵌合側面１１の相対す
る平面的な２つの面１１ｂ，１１ｃに対応）には、対称
的な位置にカップ型取付部材１の係合溝１４と係合可能
な係合爪４１３が夫々設けられている。この係合爪４１
３は、く字形にカップ部４１の内側に切り起こされたよ
うな形状をして弾性を有している。なお、この係合爪４
１３とカップ型取付け部材１の係合溝１４とによって、
２箇所の係合部ａが構成される。また、嵌合底面４１２
には、嵌合されたカップ型取付部材１の嵌合底面１２を
僅かに押圧する皿形のバネ部材１４が複数個設けられて
いる。カップ部４１が合成樹脂製の場合には、嵌合底面
４１２よりも僅かにバネ部材を突出成形することで設け
ることができる。

【００１９】フランジ部４２は、扉Ｄの掘込穴Ｈの周囲
の取付け面に当接するような板形に形成されてなるもの
で、ビス等の取付け孔４２１が設けられている。また、
このフランジ部４２の一部は、カップ部４１の嵌合側面
４１１の曲面的な１つの面４１１ｄの上縁に庇形に突出
して、嵌合したカップ型取付部材１の嵌合側面１１の曲
面的な１つの面１１ｄ（前述の面１１ａに相対する面）
の上縁が係合可能な係合片４２２となっている。なお、
この係合片４２２は、カップ型取付部材１を斜め方向か
らカップケース４のカップ部４１に押し込み嵌合するこ
とができるような突出度合いに設定されている。この係
合片４２２とカップ型取付部材１の嵌合側面１１の曲面
的な１つの面１１ｄの上縁とによって、前述の係合部ａ
とは構造が異なる別の１箇所の係合部ｂが構成される。

【００２０】このような実施例によると、扉Ｄに対して
は、製造工場等で予めカップケース４のみを埋込固定し
ておくことになる。従って、前述の従来例と同様に、扉
Ｄには突出した部分が設けられていないことになるた
め、扉Ｄの梱包，搬送が容易で蝶番各部の損傷を防止す
ることができるという利点が損なわれることはない。な
お、このカップケース４については、ダボ付きネジ等で
ワンタッチで扉Ｄに取付けることができるようにして、
家具等の納入先で取付けるようにすることも可能であ
る。

【００２１】そして、前述の従来例と同様に、ワンタッ
チでカップケース４のカップ部４１にカップ型取付部材
１を嵌合装着することになる。この嵌合装着において
は、前述のような係合片４２２が設けられている関係
上、カップケース４のカップ部４１とカップ型取付部材
１とを正対させて嵌合させることができないため、図２
以下に詳細に示されるように、カップケース４のカップ
部４１に対してカップ型取付部材１を斜め方向から押し
込むようにして嵌合させることになる。なお、このよう
な斜め方向からの嵌合は、正対させて嵌合させる場合よ
りも、位置決めが容易で嵌合装着の作業性が良好であ
る。

【００２２】このような嵌合をさらに詳細に説明する
と、図２に示すようにカップケース４のカップ部４１に
対してカップ型取付部材１を斜め方向に位置させてか
ら、図３に示すようにカップ型取付部材１の嵌合側面１
１の１つの面１１ｄをカップ部４１の嵌合側面４１１の
１つの面４１１ｄに押し付けるようにして、カップ型取
付部材１の一端部（リンクプレート２，フレーム型取付
部材３が設けられていない側）をカップ部４１に差し込
み、カップケース４の係合片４４２とカップ型取付部材
１の前記面１１ｄの上縁とを軸にしてカップ型取付部材
１を回転させるようにしてカップ部４１に押し込む。こ
のカップ型取付部材１の押し込みでは、カップ型取付部
材１の嵌合側面１１の湾曲傾斜したリンク側面１１ａ
が、相対するカップ部４１の嵌合側面４１１の１つの面
４１１ａ上を滑動するため、円滑に動作することにな
る。また、このカップ型取付部材１の押し込みによっ
て、カップ部４１の係合爪４１３が図６に示すように外
側方向へ押し広げられてから図７に示すように確実にカ
ップ型取り付け部材１の係合溝４に係合することにな
り、カップ型取付部材１の前記面１１ｄの上縁もカップ
ケース４の係合片４４２に確実に係合することになる。

【００２３】このような嵌合状態では、２種類の３箇所
の係合部ａ，ｂによってカップ型取付部材１，カップケ
ース４の嵌合装着が保持されることになるため、全体の
係合保持力が高められて扉Ｄ側への装着の緊密性が高く
なる。特に、カップ型取付部材１の係合溝１４の係止面
１４ｂが傾斜していて、カップ型取付部材１がカップケ
ース４の係合爪４１３によってカップケース４のカップ
部４１の嵌合底面４１２側へ押圧されるため、前述の装
着の緊密性がより高められることになる。さらに、カッ
プケース４のカップ部４１の嵌合底面４１２に設けられ
ているバネ４１４が係合部ａ，ｂの係合を押圧して係合
に遊びが生ずるのを防止するため、前述の装着の緊密性
が極めて高くなる。

【００２４】この結果、扉Ｄの開閉の際にカップ型取付
部材１とカップケース４との嵌合がガタ付いて、扉Ｄの
開閉精度が得られずに扉Ｄが家具本体の側板に衝突した
り挟み込まれてしまったり、軋み等の異音が発生した
り、カップ型取付部材１，カップケース４の摩耗，亀裂
等の損傷で長期使用が不能になる等ということがなくな
る。

【００２５】なお、カップ型取付部材１をカップケース
４から取り外すには、図８に示すように、カップ型取付
部材１の係合溝１４の開放口１４ａからドライバ等の工
具５０，５０を差し込んで、カップケース４のカップ部
４１の係合爪４１３を押し曲げて係合部ａの係合を解除
し、カップ型取り付け部材１をカップ部４１から斜め方
向へ引き抜くようにすればよい。

【００２６】以上、図示した実施例の外に、係合部ａの
係合構造を他の構造の溝，爪からなる実施例とすること
も可能である。

【００２７】さらに、カップ型取付部材１に連結される
リンクプレート２，フレーム型取付部材３等を他の構造
とする実施例も可能である。

【００２８】

【考案の効果】以上のように本考案に係る家具用蝶番
は、カップケース，カップ型取付部材の嵌合が三個の係
合部の係合によって保持されるために全体の係合保持力
が高められ、扉側への装着の緊密性が高くなる効果があ
る。特に、リンクプレートと反対側で係合保持されるた
めに、扉の開閉に伴う回転トルクに対応することができ
るうえ、扉の開閉の際のガタ付きによって、扉の開閉精
度が得られなかったり、異音が発生したり、カップケー
ス，カップ型取付部材の摩耗，亀裂等の損傷で長期使用
が不能になるということが防止される効果が生ずる。

【００２９】さらに、納入先まで扉には突出した部分が
設けられないため、扉の梱包，搬送が容易で蝶番各部の
損傷を防止することができるという従来例の利点が損な
われることがない効果がある。

【００３０】さらに、カップケースに対してカップ型取
付部材を斜め方向から嵌合するため、位置決めが容易で
嵌合装着の作業性が良好になる効果がある。

【００３１】さらに、請求項２のみとして、バネで係合
部の係合を押圧して係合に遊びが生ずるのを防止するこ
とができるため、扉側への装着の緊密性が極めて高くな
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る家具用蝶番の実施例を示す非装着
状態の斜視図である。

【図２】図１の装着動作を示すもので、装着動作の初動
状態の要部の断面図である。

【図３】図２に続く装着動作状態を示す要部の断面図で
ある。

【図４】図３に続く装着動作状態で、装着完了状態を示
す要部の断面図である。

【図５】図１の装着動作を示すもので、図２の直交方向
の断面図である。

【図６】図１の装着動作を示すもので、図３の直交方向
の断面図である。

【図７】図１の装着動作を示すもので、図４の直交方向
の断面図である。

【図８】図１の取り出し動作を示すもので、図４の直交
方向の断面図である。

【符号の説明】

１ カップ型取付部材 １１ 嵌合側面 １２ 嵌合底面 １４ 係合溝 ４ カップケース ４１ カップ部 ４１１ 嵌合側面 ４１２ 嵌合底面 ４１３ 係合爪 ４２ フランジ部 ４２２ 係合片 ａ，ｂ 係合部 Ｄ 扉

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 扉に埋込固定されたカップケースとこれ
   に嵌合装着され回動自在なリンクプレートを有するカッ
   プ型取付部材とからなり、カップケースとカップ型取付
   部材との嵌合側面に嵌合により係合される一対の係合部
   が設けられ、カップケースの嵌合側面の上縁にはカップ
   型取付部材の斜め方向からの押し込みを係合可能にする
   庇形の係合片がカップ型取付部材のリンクプレートの反
   対側に位置して設けられていることを特徴とする家具用
   蝶番。
2. 【請求項２】 請求項１の家具用蝶番において、カップ
   ケースの嵌合底面にカップ型取付部材の嵌合底面を押圧
   するバネを設けたことを特徴とする家具用蝶番。