JPH0751631B2 - 硬化性組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性組成物およびその製造方法

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JPH0751631B2
JPH0751631B2 JP1190203A JP19020389A JPH0751631B2 JP H0751631 B2 JPH0751631 B2 JP H0751631B2 JP 1190203 A JP1190203 A JP 1190203A JP 19020389 A JP19020389 A JP 19020389A JP H0751631 B2 JPH0751631 B2 JP H0751631B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、光学材料、コーティング剤、封止剤、塗料、
接着剤等の産業分野、特に光学材料の分野に有用な貯蔵
安定性に優れたポリチオエーテル骨格を有するプレポリ
マーを含む硬化性組成物およびその製造方法に関し、さ
らに詳しくは重合に際して高屈折率、低吸水性であり、
かつ光学的均一性にすぐれた硬化物を与えるポリチオエ
ーテル骨格を有するプレポリマーを含む硬化性組成物お
よびその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、光学材料には、ポリスチレン系樹脂、ポリメチル
メタクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジエチ
レングリコールビスアルカーボネートの重合体等が利用
されており、これらは軽量性、安全性、加工性、染色性
等に優れていることから近年その需要が増大している。
しかし、従来の有機光学材料は、例えばポリメチルメタ
クリレート系樹脂の場合、その樹脂特性として吸湿性が
大きいため形状や屈折率が変化し、光学材料としては、
不安定である。またポリスチレン系樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂の場合は、光学的な複屈折、散乱光の発生、経
時変化による透明度の低下等の欠点を有している。さら
にジエチレングリコールビスアリルカーボネートの重合
体は、屈折率が低い(屈折率=1.498)ために光学材料
としての応用範囲に自ずから制限があった。
これらの欠点を改善するために、種々の光学材料用樹脂
が提案されている。これらの例としては、例えば特開昭
57−28115号公報、同57−28116号公報、同59−184210号
公報、同60−7314号公報、同60−179406号公報、同60−
217301号公報、同60−186514号公報、同60−166307号公
報、同60−103301号公報、同60−124607号公報、同62−
232414号公報、同62−235901号公報、同62−267316号公
報、同63−15811号公報、同63−46213号公報、同63−72
707号公報等をあげることができる。しかし、これら先
行技術によって得られる硬化物は、光学的に不均一であ
ったり、耐候着色が著しかったり、寸法安定性に欠けた
りする等、光学材料として必ずしも満足すべき材料では
なかった。また、ポリエンとポリチオールからなる硬化
性組成物については、特公昭53−28959号公報、特開昭5
3−134096号公報、同57−125025号公報、同57−130572
号公報、同58−80317号公報などに開示されている。し
かしながら、これら先行技術においては、メルカプト基
の連鎖移動剤としての作用により、暗所保存下でも重合
が進行しやすい問題を有する。さらに、ポリエン化合物
が(メタ)アクリル酸誘導体である場合には、ポリエン
化合物同志の重合が起こりやすく、このためメルカプト
基が残存しやすくなり、重合硬化物の硬化不足、耐薬品
性の低下、硬化物の不均質性といった問題を有する。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、前記従来の光学材料用樹脂の欠点を克
服し、高屈折率の光学材料として好適であるばかりでな
く、コーティング剤、封止剤、塗料、接着剤等の材料と
して使用することもできる、光学的均一性、低吸水性等
の諸物性を兼備したバランスのとれた硬化物を製造する
ために好適な硬化性組成物およびその製造方法を提供す
ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、前記従来技術の欠点を解決するために鋭意検
討した結果、予め4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)
ジフェニルスルフィドおよびポリチオール類とからな
る、ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーと他の
重合性モノマーを含む硬化性組成物が、低粘度でかつ貯
蔵安定性に優れ、重合に際して均質、低吸水性であり、
かつ高屈折率の硬化物を与えることを見いだし本発明を
完成した。
すなわち、本発明は、 (A)式(I) で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
ェニルスルフィドおよび (B)式(II) RSH) (II) (式中、Rは多価の脂肪族または芳香族炭化水素からな
る有機基を示し、nは2以上の整数を示す。) で表わされるポリチオール類とを付加反応させて得られ
るポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーと他の重
合性モノマーとを含むことを特徴とする硬化性組成物に
関する。
また、本発明は、 (A)式(I) で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
ェニルスルフィドおよび (B)式(II) RSH) (II) (式中、Rは多価の脂肪族または芳香族炭化水素からな
る有機基を示し、nは2以上の整数を示す。) で表わされるポリチオール類とを、(A)成分のメタク
リロイル基に対する(B)成分のメルカプト基の官能基
当量比が0.02〜1.01の範囲で、他の重合性モノマー中、
塩基触媒の存在下に付加反応させることを特徴とするポ
リチオエーテル骨格を有するプレポリマーを含む硬化性
組成物の製造方法に関する。
本発明の硬化性組成物は、ポリチオエーテル骨格を有す
るプレポリマーを予め合成して他の重合性モノマーと混
合して調整してもよいし、または反応容器中で前記式
(I)で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチ
オ)ジフェニルスルフィドと前記式(II)で表わされる
ポリチオール類とを他の重合性モノマー中で反応させ
て、ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーを直接
合成して調整してもよいが、一般的には硬化性組成物の
調整工程が簡潔である後者の方法が好ましく用いられ
る。
ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーと他の重合
性モノマーを混合して本発明の硬化性組成物を調整する
場合は、ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマー
は、予め(A)成分として使用される前記式(I)で表
わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニ
ルスルフィドと(B)成分として使用される前記式(I
I)で表わされるポツチオール類とを付加反応させるこ
とによって合成される。
本発明において(A)成分として使用される前記式
(I)で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチ
オ)ジフェニルスルフィドは、下記式(III) で表わされる4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィ
ドを、例えばアルカリ水溶液に溶解させ、これにメタク
リル酸クロリドを反応させて得ることができる。
前記式(I)で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイ
ルチオ)ジフェニルスルフィドは、他の有機化合物との
混合が容易である上、水との親和性が極めて低く、かつ
高い屈折率(単独重合体の屈折率=1.689)を有すると
いう特徴がある。
また、本発明において(B)成分として使用される前記
式(II)で表わされるポリチオール類としては、nが2
以上、好ましくはnが2〜5の整数である脂肪族ポリチ
オール類または芳香族ポリチオール類が用いられる。こ
のようなポリチオール類の代表例としては、例えば、9,
10−アントラセンジメタンチオール、1,11−ウンデカン
ジチオール、4−エチルベンゼン−1,3−ジチオール、
1,2−エタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,
18−オクタデカンジチオール、2,5−ジクロロベンゼン
−1,3−ジチオール、1,3−(4−クロロフェニル)プロ
パン−2,2−ジチオール、1,1−シクロヘキサンジチオー
ル、1,2−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキ
サンジチオール、1,1−シクロヘプタンジチオール、1,1
−シクロペンタンジチオール、4,8−ジチアウンデカン
−1,11−ジチオール、ジチオペンタエリスリトール、ジ
チオスレイトール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジ
チオール、1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル−2′,
3′−ジメルカプトプロピルエーテル、2,3−ジヒドロキ
シプロピル−2′,3′−ジメルカプトプロピルエーテ
ル、2,6−ジメチルオクタン−2,6−ジチオール、2,6−
ジメチルオクタン−3,7−ジチオール、2,4−ジメチルベ
ンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,
3−ジチオール、3,3−ジメチルブタン−2,2−ジチオー
ル、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、1,3−
ジ(4−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオー
ル、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、10,11
−ジメルカプトウンデカン酸、6,8−ジメルカプトオク
タン酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、
2,2′−ジメルカプトビフェニル、4,4′−ジメルカプト
ビフェニル、4,4′−ジメルカプトビベンジル、3,4−ジ
メルカプトブタノール、3,4−ジメルカプトブチルアセ
テート、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−
ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、2,3−ジメルカプ
トプロピオン酸、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエ
ーテル、2,3−ジメルカプトプロピル−2′,3′−ジメ
トキシプロピルエーテル、3,4−チオフェンジチオー
ル、1,10−デカンジチオール、1,12−ドテカンジチオー
ル、3,5,5−トリメチルヘキサン−1,1−ジチオール、2,
5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,
4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオー
ル、2,6−ナフタレンジチオール、1,9−ノナンジチオー
ル、ノルボルネン−2,3−ジチオール、ビス(2−メル
カプトイソプロピル)エーテル、ビス(11−メルカプト
ウンデシル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチ
ル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィ
ド、ビス(18−メルカプトオクタデシル)スルフィド、
ビス(8−メルカプトオクチル)スルフィド、ビス(12
−メルカプトデシル)スルフィド、ビス(9−メルカプ
トノニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトブチル)
スルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)エーテ
ル、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィド、ビス
(6−メルカプトヘキシル)スルフィド、ビス(7−メ
ルカプトヘプチル)スルフィド、ビス(5−メルカプト
ペンチル)スルフィド、2,2′−ビス(メルカプトメチ
ル)酢酸、1,1′−ビス(メルカプトメチル)シクロヘ
キサン、ビス(メルカプトメチル)ヂュレン、フェニル
メタン−1,1−ジチオール、1,2−ブタンジチオール、1.
4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、2、2
−ブタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−
プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,2−
ヘキサンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,5−
ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、2,6−
ヘプタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,4−
ペンタンジチオール、3.3−ペンタンジチオール、7,8−
ヘプタンデカンジチオール、1,2−ベンゼンジチオー
ル、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオー
ル、2−メチルシクロヘキサン−1,1−ジチオール、2
−メチルブタン−2,3−ジチオール、エチレングリコー
ルジチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−
メルカプトプロピオナート)等のジチオール類の他、1,
2,3−プロパントリチオール、1,2,4−ブタントリチオー
ル、トリメチロールプロパントリチオグリコラート、ト
リメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオ
ナート)、ペンタエリスリトールトリチオグリコラー
ト、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロ
ピオナート)、1,3,5−ベンゼントリチオール、2,4,6−
メシチレントリチオール等のトリチオール類、およびネ
オペンタンテトラチオール、2,2′−ビス(メルカプト
メチル)−1,3−プロパンジチオール、ペンタエリスリ
トールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)、
1,3,5−ベンゼントリチオール、2,4,6−トルエントリチ
オール、2,4,6−メシチレントリチオール等があげられ
る。以上のように例示された(B)成分のポリチオール
類は一種または二種以上の混合物として用いることもで
きる。
(A)成分として使用される前記式(I)で表わされる
4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフ
ィドと(B)成分として使用される前記式(II)で表わ
されるポリチオール類とを付加反応させるに際しては、
(A)成分のメタクリロイル基に対する(B)成分のメ
ルカプト基の官能基当量比が、0.02〜1.01の範囲内であ
ることが好ましく、特に0.05〜0.60の範囲であることが
望ましい。(A)成分のメタクリロイル基に対する
(B)成分のメルカプト基の官能基当量比が0.02未満の
場合は、硬化物は一般に脆く、十分な耐衝撃性を得るこ
とはできない。また、(A)成分のメタクリロイル基に
対する(B)成分のメルカプト基の官能当量比が1.01よ
りも大きい場合は、未反応のメルカプト基による組成物
の安定性の低下、組成物粘度の過剰な上昇、重合反応の
不均一化による硬化物の不均質性等の問題点を有する。
(A)成分と(B)成分との付加反応は、ジエチルエー
テル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等
の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、四塩化炭素
等の塩素系溶媒などの比較的低沸点の溶媒中、塩基触媒
の存在下で行なわれる。付加反応終了後は、溶媒を除去
することによってポリチオエーエル骨格を有するプレポ
リマーが得られる。付加反応用塩基触媒としては、塩基
性イオン交換樹脂、カリウム−t−ブトキサイド、フォ
スフィン系化合物、アミン系化合物を使用することが可
能であるが、特にフォスフィン系化合物またはアミン系
化合物の使用が好ましい。
フォスフィン系化合物の例としては、トリフェニルフォ
スフィン、トリn−ブチルフォスフィン、トリエチルフ
ォスフィン等があげられる。また、アミン系化合物の例
としては、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ
エチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(iso−プロピ
ル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(iso−
ブチル)アミン、トリ(sec−ブチル)アミン、ジメチ
ルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミ
ン、モノメチルジエタノールアミン等があげられる。
これらの塩基触媒は、単独でも組合わせて用いてもよ
く、その使用量は、使用する(B)成分の種類およびそ
の使用量によって異なるため一概には規定できないが、
一般には(A)成分および(B)成分の総量に対して0.
01〜3重量%、好ましくは0.03〜1重量%である。塩基
触媒の使用量が0.01重量%未満では、実質的に触媒の作
用を果さず、しばしば(A)成分のメタクリロイル基の
単独重合が起る。一方、塩基触媒の使用量が3重量%を
越えた場合は、大量に用いる効果が認められないばかり
でなく、重合の際に着色を起すため好ましくない。ま
た、反応後の塩基触媒を除去するにしても、除去剤を多
量に必要とすることから却って好ましくない。
(A)成分と(B)成分の付加反応において、高沸点の
溶媒を使用すると、溶媒除去の際、加熱を伴う方法を採
用した場合、(A)成分が残っていると、(A)成分の
単独重合によるゲル化を招き易いため、好ましくない。
ゲル化に対しては、フェノール系あるいはアミン系の禁
止剤を次段階の他の重合性モノマー間の重合を阻害しな
い範囲で添加することが可能である。また、付加反応用
塩基触媒の除去を必要とする場合には、公知の吸着、抽
出、真空吸引等の方法を次段階の重合に影響しない範囲
で適用しうる。特に、アミン系化合物の除去について
は、中性、酸性アルミナ、酸性イオン交換樹脂による吸
着除去方法を適用することができ、アミン系化合物が低
沸点のアミン系化合物の場合、真空吸引による除去方法
も利用することができる。
付加反応を行なう際の温度は、(B)成分の種類、配合
量、あるいは使用する塩基触媒の種類および量により異
なるため一概に規定できないが、一般には0〜100℃、
好ましくは20〜60℃である。付加反応温度が100℃を越
えても、使用する塩基触媒の種類および量によっては
(A)成分の単独重合を防止できる場合もあるが、しば
しばケル化を起すので好ましくない。一方、0℃未満で
も付加反応は進むが、反応速度が極めて遅く、生産上好
ましくない。
付加反応に際しては、(B)成分の自動酸化によるジス
ルフィドの生成を防ぐために付加反応は不活性ガス雰囲
気中で行うことが好ましい。
かくして得られるポリチオエーテル骨格を有するプレポ
リマーは、分子末端が重合性ビニル基でキャッピングさ
れた構造を有し、貯蔵安定性に優れている。
上記のごとくして得られたポリチオエーテル骨格を有す
るプレポリマーは、他の重合性モノマーと混合される。
他の重合性モノマーとしては、ポリチオエーテル骨格を
有するプレポリマーと共重合可能なものであればいずれ
でもよく、例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニ
ル化合物、不飽和脂肪酸およびその誘導体、不飽和二塩
基酸およびその誘導体、(メタ)アクリルニトリル等の
シアン化ビニル化合物等があげられる。不飽和脂肪酸エ
ステルとしては、メチル(メタ)アクリレート(本明細
書においてはメチルアクリレートおよびメチルメタアク
リレートの両者を指す。他の場合も同じ)、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オ
クタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アク
リレート、(イソ)ボルニル(メタ)アクリレート、ア
ダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)
アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジ
ル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリ
レート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロ
ロフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メ
タ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリ
レート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、シア
ノフェニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)
アクリレート、ブロモベンジル(メタ)アクリレート等
のアクリル酸芳香族エステル、フルオロメチル(メタ)
アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート、ブ
ロモエチル(メタ)アクリレート、トリクロロメチル
(メタ)アクリレート、等のハロアルキル(メタ)アク
リレート、、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールエステ
ル等の他、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル
アミノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エ
ステルがあげられる。また、α−フルオロアクリル酸エ
ステル、α−シアノアクリル酸エステル等のα−置換ア
クリル酸エステル等があげられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、またはα−メ
チルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロルスチレ
ン等のα−置換スチレン、フルオロスチレン、クロロス
チレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、メト
キシスチレン等の核置換スチレンがあげられる。
不飽和脂肪酸およびその誘導体としては、(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)ア
クリルアミド類、(メタ)アクリル酸等があげられる。
不飽和二塩基酸およびその誘導体としては、N−メチル
マレイミド、N−エチルマレイミド、、N−ブチルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニル
マレイミド、、N−メチルフェニルマレイミド、N−ク
ロロフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレ
イミド等のN−置換マレイミド、マレイン酸、無水マレ
イン酸、フマル酸等があげられる。
上記単官能性の重合性モノマーの他、本発明に用いられ
る他の重合性モノマーとしては、架橋性多官能モノマー
があげられる。例えば、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5
−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレ
ート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブ
タジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−
(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−(ω−(メタ)アクリロイルオキシポリエ
トキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ω−
(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)ジブロモフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ω−(メタ)ア
クリロイルオキシポリプロポキシ)フェニル)プロパ
ン、ビス(4−(ω−(メタ)アクリロイルオキシポリ
エトキシ)フェニル)メタン等のジ(メタ)アクリレー
トやジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジ
アリルテレフタレート、ジアリルカーボナート、ジエチ
レングリコールジアリルカーボナート、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルビフェニル、N,N′−m−フェニレンビス
マレイミド等の二官能性の架橋性モノマー、トリメチロ
ールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイ
ソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリル
クロレンデート等の三官能性の架橋性モノマー、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのごとき四
官能性の架橋性モノマー等があげられる。以上の他の重
合性モノマーは、二種以上混合して使用してもよい。
ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーと他の重合
モノマーとの配合割合は、ポリチオエーテル骨格を有す
るプレポリマー30〜90重量%と他の重合性モノマー10〜
70重量%、好ましくはポリチオエーテル骨格を有するプ
レポリマー50〜85重量%と他の重合性モノマー15〜50重
量%からなることが望ましい。ポリチオエーテル骨格を
有するプレポリマーの配合量が30重量%未満では、最大
の特色である高屈折率という物性が生かされなくなるの
で好ましくない。
またポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーの配合
量が90重量%より多い場合は、組成物が高粘度となって
取り扱い難く、工業化の際の生産上好ましくない。
ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーと他の重合
性モノマーとの混合には、通常、よく知られた方法を用
いることができる。
また、本発明の硬化性組成物を反応容器中で直接調整す
る場合は、(A)成分として使用される前記式(I)で
表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェ
ニルスルフィドと(B)成分として使用される前記式
(II)で表わされるポリチオール類とを、他の重合性モ
ノマー中、塩基触媒の存在下に付加反応させることによ
って調整することができる。
上記方法において使用される(A)成分、(B)成分、
塩基触媒および塩基触媒の使用量は、前記の予めポリチ
オエーテル骨格を有するプレポリマーを合成する場合と
同様である。
(A)成分と(B)成分とを付加反応させるに際して
は、前記の予めポリチオエーテル骨格を有するプレポリ
マーを合成する場合と同様に、(A)成分のメタクリロ
イル基に対する(B)成分のメルカプト基の官能基当量
比が、0.02〜1.01の範囲内であることが好ましく、特に
0.05〜0.60の範囲であることが望ましい。(A)成分の
メタクリロイル基に対する(B)成分のメルカプト基の
官能基当量比が0.02未満の場合は、一般に硬化物は脆
く、十分な耐衝撃性を得ることはできない。また、
(A)成分のメタクリロイル基に対する(B)成分のメ
ルカプト基の官能当量比が1.01よりも大きい場合は、未
反応のメルカプト基による組成物の安定性の低下、組成
物粘度の過剰な上昇、重合反応の不均一化による硬化物
の不均質性等の問題点を有する。
(A)成分と(B)成分を付加反応させる際に使用され
る他の重合性モノマーとは、通常のラジカル重合開始剤
の存在下で重合するものであれば特に制限はないが、反
応制御の観点から、常温で液体であって、塩基触媒の存
在下で(B)成分と反応しないかもしくは反応しにく
く、すなわち(B)成分と実質的に反応性を有せず、一
般的なラジカル重合開始剤で硬化可能なものが好まし
く、具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、
α−エチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレ
ン、クロロスチレン、ブロモスチレン、2,4−ジクロロ
スチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、ジビニル
ベンゼン、ジビニルビフェニル等のごとき芳香族系ビニ
ルモノマーがあげられる。
これらの芳香族系ビニルモノマーは、2種以上を混合し
て用いてもよい。
他の重合性モノマーの使用量は、(A)成分と(B)成
分とを付加反応させる際、(A)成分、(B)成分およ
び他の重合性モノマーの総量中、10〜70重量%、好まし
くは15〜50重量%であることが好ましい。他の重合性モ
ノマーの使用量が10重量%未満では、高粘度の組成物と
なり、取り扱い上、工業化の際の生産上好ましくなく、
また70重量%より多い場合は(A)成分が有する高屈折
性が生かされないので好ましくない。
反応容器中で硬化性組成物を直接調整する場合におい
て、付加反応温度等の付加反応条件や付加反応用塩基触
媒の除去を必要とする場合の条件は、前記の予めポリチ
オエーテル骨格を有するプレポリマーを合成する場合と
同様に行なわれる。
かくして得られるポリチオエーテル骨格を有するプレポ
リマーを含む硬化性組成物は、組成物中のプレポリマー
の分子末端が重合性ビニル基でキャッピングされた構造
を有し、貯蔵安定性に優れている。
この硬化性組成物には、必要に応じてさらに前記ポリチ
オエーテル骨格を有するプレポリマーと共重合可能な他
の重合性モノマーを配合して使用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、4,4′−ビス(メタクリロイ
ルチオ)ジフェニルスルフィド、ポリチオール類および
他の重合性モノマーを単に混合した組成物は、安定性が
十分でなく、それから得られる硬化物は均質性に劣ると
いう問題があるのに対し、室温で20時間以上放置しても
ゲル化せず、粘度が上昇することはほとんどなく極めて
安定であり、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は
光学的均一性に優れている。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合によって硬化さ
せることができる。ラジカル重合において用いられるラ
ジカル重合開始剤は、熱、マイクロ波、赤外線、または
紫外線によってラジカルを生成し得るものであればいず
れのラジカル重合開始剤の使用も可能であり、硬化性組
成物の用途、目的に応じて適宜選択することができる。
熱、マイクロ波、赤外線による重合に際して使用できる
ラジカル開始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2′−アゾビスイソバレロニトリ
ル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、
メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノ
ンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド等のケ
トンパーオキシド類、イソブチリルパーオキシド、2,4
−ジクロロベンゾイルパーオキシド、o−メチルベンゾ
イルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、p−クロ
ロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド
類、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロパーオキ
シド、ジイソプロピルベンゼンパーオキシド、クメンヒ
ドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシド等のヒドロ
パーオキシド類、ジクミルパーオキシド、t−ブチルク
ミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、トリ
ス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン等のジアルキル
パーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシク
ロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン
等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシピバ
レート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−
ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t
−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ
−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパー
オキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート等
のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボナート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボ
ナート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボナー
ト等のパーカーボナート類があげられる。
紫外線による重合に際して使用できるラジカル重合開始
剤としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ
−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセ
トフェノン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミン)
ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、メチル(o−ベンゾ
イル)ベンゾエート、1−フェニル−1,2−プロパンジ
オン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−
フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイ
ル)オキシム、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイ
ンオクチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタ
ール、ベンジルジエチルケタール、ジアセチル等のカル
ボニル化合物、メチルアントラキノン、クロロアントラ
キノン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサン
トン、2−イソプロピルチオキサントン等のアントラキ
ノンまたはチオキサントン誘導体、ジフェニルジスルフ
ィド、ジチオカーバメート等の硫黄化合物があげられ
る。
ラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル重合開始剤の
種類、仕込モノマーの種類および組成比により変化する
ので一概には決められないが、通常はポリチオエーテル
骨格を有するプレポリマーを含む硬化性組成物の総量に
対して0.001〜20モル%の範囲、好ましくは0.01〜10モ
ル%の範囲である。ラジカル重合開始剤の使用量が0.00
1モル%未満では、重合が実質的に進まず、また20モル
%を越える使用量では、経済的でないばかりか場合によ
っては重合中に発泡したり、重合によって得られる硬化
物の分子量が著しく小さくなるために好ましくない。
本発明の硬化性組成物は、透光性が特に要求されない場
合には必要に応じて種々の充填材を配合して使用するこ
とも可能である。ここで用いられる充填材としてはガラ
スファイバー、アルミナ繊維、カーボンファイバー、ア
ラミド繊維等の他、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、
酸化チタン等の粉末状充填材があげられる。その他、難
燃剤、染料、顔料等も併用できることは言うまでもな
い。
また、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて重合禁
止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤
およびその他の添加剤を添加することができる。
硬化性組成物の硬化に際しての重合温度および重合時間
については、使用するラジカル重合開始剤の種類および
その使用量により異なるため一概には規定できないが、
重合温度については通常0〜200℃の範囲が好ましく、
重合時間については通常0.5〜50時間の範囲が好まし
い。
〔実施例〕
以下、実施例および比較例をあげて本発明をさらに詳細
に説明する。
なお、ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーを含
む硬化性組成物の物性は、下記の方法に従って測定し
た。
(1)メルカプト基の分析(Volhard法) ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーを含む硬化
性組成物サンプル1〜2gに、トルエン10ml、エタノール
10mlを加えて溶解させ、これに0.1N−AgNO310mlを添加
し、鉄ミョウバン指示薬を加えて、0.025N−NH4SCNで、
過剰AgNO3を逆滴定し、メルカプト基残存量を分析す
る。これより、仕こみからのメルカプト基相対減少率
(反応率)を算出した。
(2)メタクリロイル基の分析1 H−NMR(日立(株)製、R−24B型)を用い、メタクリ
ロイル基に帰属されるケミカルシフトの積分値とフェニ
ルプロトンに帰属されるケミカルシフトの積分値の相対
比の減少率から算出した。
(3)粘度 B型粘度計(東京計器製、BL型)を用い、25℃における
粘度を測定した。
(4)貯蔵安定性 ポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーを含む硬化
性組成物を40℃で空気中に静置保存したときに、ゲル分
が発生するまでの時間が20時間以上の場合のものを◎、
10〜20時間の場合のものを○、10時間以下の場合のもの
を×とした。
実施例1 2のセパラブルフラスコに、攪拌機、滴下ロートをセ
ットし、室温で4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジ
フェニルスルフィド500gを仕込み、蒸留ジクロロメタン
600mlに溶解させた。窒素気流下、攪拌を続けながら、
室温にてジエチルアミン0.8gを添加し、次にエチレング
リコールジチオグリコレート50gを滴下しながら加え
た。反応温度は、25℃〜35℃に制御した。その後、さら
に3時間攪拌を続け、反応を完結させた。反応の終結は
Volhard法によるメルカプト基の分析においてメルカプ
ト基の消失を確認することによって判断した。反応終了
後、強塩基吸着用無機吸着剤(共和化学工業(株)製、
キョーワード700SL)を50g添加して、ジエチルアミンを
除去した。吸着剤を別後、減圧濃縮し、高粘度シロッ
プ状の液体を得た。この時点で、1H−NMRスペクトルに
よるメタクリロイル基に帰属されるケミカルシフトピー
クの減少率から、メタクリロイル基の反応率を計算し
た。この液体400gをスチレン182gで稀釈し、低粘度の組
成物を得た。結果を第1表に示す。
実施例2 2のセパラブルフラスコに、攪拌機、滴下ロートをセ
ットし、室温で4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジ
フェニルスルフィド500gおよびスチレン250gを仕込み、
強く攪拌して溶解させた。窒素気流下、攪拌を続けなが
ら、室温にてジエチルメチルアミン0.8gを添加し、次
に、エチレングリコールジチオグリコレート50gを滴下
ロートで滴下しながら加えた。反応温度は、25℃〜35℃
に制御した。その後、さらに3時間攪拌を続け、反応を
完結させた。反応の終結は、1H−NMRスペクトルにおい
て、メタクリロイル基に帰属されるケミカルシフトピー
クの減少率とVolhard法によるメルカプト基の分析にお
いてメルカプト基の消失を確認することによって判断し
た。反応終了後、強塩基吸着用無機吸着剤(協和化学工
業(株)製、キョーワード 700SL)を40g添加して、ジ
エチルメチルアミンを除去した。吸着剤を別し、液状
の生成物を得た。結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1において、塩基触媒としてのジエチルメチルア
ミンを加えず、予備重合を行なわずに、4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィド500g、ス
チレン250gおよびエチレングリコールジチオグリコレー
ト50gを混合して硬化性組成物を調整した。結果を第1
表に示した。
実施例3〜9および比較例2〜3 (A)成分の4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
ェニルスルフィド、(B)成分のポリチオール類、重合
モノマーおよび塩基触媒を第1表に示した割合で混合し
た以外は、実施例1と同様の操作にて付加反応を行なっ
た。結果を第1表に示した。
MPSDMA:4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニル
スルフィド 1G:エチレングリコールジメタクリレート St:スチレン CSt:p−クロルスチレン DVB:ジビニルベンゼン DVBP:3,3′−ジビニルビフェニル DMES:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド DMB:1,2−ジメルカプトベンゼン TOS−21:エチレングリコールジチオグリコレート KOS−4:ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート POS−306:1,1,1−トリメチロールプロパントリチオプロ
ピオネート 実施例10 実施例1で得られた硬化性組成物100重量部にアゾビス
イソブチロニトリル0.3重量部を混合、溶解したものを7
0mmφ×3mmおよび70mmφ×0.1mmのガラスモールドにそ
れぞれ注入した。これらの注型物を熱風炉中で35℃、6
時間保持後、5時間かけて80℃まで昇温し、その後、80
℃で2時間保持して硬化させた。脱型後、100℃で2時
間アニーリング処理した。得られた硬化物の物性を第2
表に示した。
なお、硬化物の諸物性は下記の方法により評価・測定し
た。
(1)屈折率 アッベ屈折計(島津製作所製、3L型)を用いて、20℃に
おける屈折率を測定した。
(2)光透過率 分光光度計(日立製作所製、150−20型)を用いて、波
長500nmの光による厚さ3mmの平板の透過率の測定を行な
った。
(3)ガラス転移温度(Tg) 粘弾性測定装置(オリエンテック社製、レオバイブロン
DDV−II−EP型)を用いてtanδのピークを読みとること
によって、試料(厚さ0.1mm)のガラス転移温度(Tg)
とした。
(4)吸水率 JIS−K−7209の試験片を用い、50℃で5日間減圧乾燥
させたサンプル100℃の水中に2時間浸漬した際の重量
増加の割合を乾燥重量を基準にして示した。
(5)耐衝撃性 中心厚1.6mmの−2ディオプター80mmφのレンズを成形
し、その中心に高さ127cmの高さから16.30gの鉄球を自
由落下させ、変化のないものを○、ヒビが入るかもしく
は割れるものを×と評価した。
(6)硬化物外観 目視による観察により、ムラ、透明性を評価し、無色透
明で均一に見えたものを○とした。
実施例11〜14 実施例3、5、7および9で得られたポリチオエーテル
骨格を有するプレポリマーを含む硬化性組成物を使用し
た以外は、実施例10と同様な方法で重合を行ない、それ
ぞれ硬化物を得た。これら硬化物の物性値を第2表に示
した。
比較例4〜6 比較例1、2および3で得られた硬化性組成物を使用し
た以外は、実施例10と同様な方法で重合を行ない、それ
ぞれ硬化物を得た。これら硬化物の物性値を第2表に示
した。
比較例7 ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100重量
部に、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート3重量
部配合した組成物を使用した以外は、実施例10と同様な
方法で重合を行ない、硬化物を得た。結果を第2表に示
した。
第2表から明らかなごとく、実施例10〜14と比べた場
合、比較例4では、硬化物の均一性に問題があり、比較
例5では耐衝撃性が劣り、比較例6〜7では高い吸水率
を示している。
従って、本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化
物は、高屈折率である上に、光学的均一性、耐熱性、低
吸水性、耐衝撃性に優れた特性を有していることがわか
る。また、第1表から明らかなように、本発明の硬化性
組成物は、貯蔵安定性にも優れ、組成物の配合比を調整
することによって低粘度に設定できるので極めて実用的
である。
〔発明の効果〕
本発明の硬化性組成物は、優れた硬化性を有しているば
かりでなく、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物
は、高屈折率、高耐熱性、低吸水性等の物性的特長を有
しているため、特に光学材料の産業分野で有用である
他、コーティング剤、封止剤、塗料、接着剤等の産業分
野にも有用である。
フロントページの続き (72)発明者 吉田 晴雄 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分研究所内 (72)発明者 田越 宏孝 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分研究所内 (56)参考文献 特開 平3−21638(JP,A) 特開 平2−160762(JP,A) 特開 平2−113027(JP,A) 特開 平2−298506(JP,A) 特公 平6−70003(JP,B2) 特公 平6−81770(JP,B2)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)式(I) で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
    ェニルスルフィドおよび (B)式(II) RSH) (II) (式中、Rは多価の脂肪族または芳香族炭化水素からな
    る有機基を示し、nは2以上の整数を示す。) で表わされるポリチオール類とを付加反応させて得られ
    るポリチオエーテル骨格を有するプレポリマーと他の重
    合性モノマーとを含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】(A)式(I) で表わされる4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
    ェニルスルフィドおよび (B)式(II) RSH) (II) (式中、Rは多価の脂肪族または芳香族炭化水素からな
    る有機基を示し、nは2以上の整数を示す。) で表わされるポリチオール類とを、(A)成分のメタク
    リロイル基に対する(B)成分のメルカプト基の官能基
    当量比が0.02〜1.01の範囲で、他の重合性モノマー中、
    塩基触媒の存在下に付加反応させることを特徴とするポ
    リチオエーテル骨格を有するプレポリマーを含む硬化性
    組成物の製造方法。
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