JPH0745583Y2 - 両面パイル編地 - Google Patents
両面パイル編地Info
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- JPH0745583Y2 JPH0745583Y2 JP10477189U JP10477189U JPH0745583Y2 JP H0745583 Y2 JPH0745583 Y2 JP H0745583Y2 JP 10477189 U JP10477189 U JP 10477189U JP 10477189 U JP10477189 U JP 10477189U JP H0745583 Y2 JPH0745583 Y2 JP H0745583Y2
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- Japan
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- knitted fabric
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Description
本考案は吸水性能に加え乾燥性能にも極めてすぐれ，家
庭用・業務用のタオルや布巾などに適した両面パイル編
地に関するものである。
庭用・業務用のタオルや布巾などに適した両面パイル編
地に関するものである。
吸水性や水分発散性を追求した編地は従来から数多く提
案されている。 例えば，天然繊維やセルロース系繊維等繊維自体が親水
性である糸条を用いた編地・疎水性合成繊維からなるも
のに化学的又は物理的な処理を施して吸水性を付与した
編地・親水性糸条と疎水性糸条とを交編した編地等が挙
げられる。このような編地はいずれも性能的に長短を有
している。 天然繊維やセルロース繊維の紡績糸を使用した編地は，
吸水性が良好であるが，糸条自身に水分を取り込むため
水分発散性や脱水性において極めて劣る。 また，セルロース系長繊維糸条を用いた編地は水分吸収
により繊維が膨潤し軟弱となって拭取り性が低下し，乾
燥後に編地表面に皺が生じたり硬質化するなどの問題を
有している。 一方疎水性繊維からなるものに化学的又は物理的な処理
を施した編地は比較的脱水性が良いものの，吸水堅牢性
が低いことや力学的性質が低いという理由から長期使用
に耐えられないものである。 更に親水性糸条と疎水性糸条の交編によるものは吸水性
や脱水性のいずれにおいても中途半端な性能しか示さな
い編地であった。
案されている。 例えば，天然繊維やセルロース系繊維等繊維自体が親水
性である糸条を用いた編地・疎水性合成繊維からなるも
のに化学的又は物理的な処理を施して吸水性を付与した
編地・親水性糸条と疎水性糸条とを交編した編地等が挙
げられる。このような編地はいずれも性能的に長短を有
している。 天然繊維やセルロース繊維の紡績糸を使用した編地は，
吸水性が良好であるが，糸条自身に水分を取り込むため
水分発散性や脱水性において極めて劣る。 また，セルロース系長繊維糸条を用いた編地は水分吸収
により繊維が膨潤し軟弱となって拭取り性が低下し，乾
燥後に編地表面に皺が生じたり硬質化するなどの問題を
有している。 一方疎水性繊維からなるものに化学的又は物理的な処理
を施した編地は比較的脱水性が良いものの，吸水堅牢性
が低いことや力学的性質が低いという理由から長期使用
に耐えられないものである。 更に親水性糸条と疎水性糸条の交編によるものは吸水性
や脱水性のいずれにおいても中途半端な性能しか示さな
い編地であった。
上述のように従来から知られている編地では一長一短が
あり実用性の面で吸水性や乾燥性を十分に満足すること
が出来ないものであった。 本考案はこれら従来編地の現状の問題を解決するもので
あり，編地の吸水拡散速度を向上させ，同時に保水性を
兼備し，更に脱水性や水分発散性をも格段に向上させる
ことにより高次元の吸水性能と乾燥性能を有する編地を
提供することを目的とするものである。
あり実用性の面で吸水性や乾燥性を十分に満足すること
が出来ないものであった。 本考案はこれら従来編地の現状の問題を解決するもので
あり，編地の吸水拡散速度を向上させ，同時に保水性を
兼備し，更に脱水性や水分発散性をも格段に向上させる
ことにより高次元の吸水性能と乾燥性能を有する編地を
提供することを目的とするものである。
本考案者らは，上記目的を達成するために鋭意研究の結
果，編地構造と繊維特性を巧みに活用し，その相乗効果
により従来にない優れた吸水性能と乾燥性能を有する編
地が得られることを見い出し，本考案に到達した。 すなわち，本考案は編地表裏部が平面状編目を構成する
糸条のうち，少なくとも15％（重量比）がポリエステル
マルチフイラメント糸とレーヨンマルチフイラメント糸
の混繊交絡糸であり，編地表裏部の起立状編目を構成す
る糸条が多溝条断面もしくは多孔質の合成繊維を含む紡
績糸からなることを特徴とする両面パイル編地を要旨と
する。 以下，本考案において編地表裏部の平面状編目を構成す
る糸条のうち，少なくとも重量比で15％がポリエステル
マルチフイラメント糸とレーヨンマルチフイラメント糸
の混繊交絡糸で構成されていることが必須条件である。 すなわちポリエステルマルチフイラメント糸とレーヨン
マルチフイラメント糸の混繊交絡糸（以下，混繊交絡糸
という。）は，親水性であるレーヨンマルチフイラメン
ト糸の吸水性に加え，フイラメント相互の交絡によるフ
イラメント間空隙が多数存在し，該空隙においても水分
を多量に保有することができ，このため吸水，保水に極
めて優れた機能を発揮する。しかも該空隙は単に水分が
保有されている状態であるため，絞りや遠心力などの外
圧により容易に水分を脱水できしかも気化蒸散作用も活
発に生じるものである。一方，疎水性であるポリエステ
ルマルチフイラメント糸は後述する起立状編目で吸収さ
れた水分を編地内面部全体へ素早く拡散するための導水
的効果をはたし，また疎水性であるため，水分吸収によ
る編地の軟弱化を防ぎ，拭き取り性や製品価値の低下を
きたすことがない。 したがってかかる上記作用効果を果たすためには，編地
表裏部の平面状部を構成する糸条の少なくとも15％（重
量比）がポリエステルフイラメント糸とレーヨンフイラ
メント糸の混繊交絡糸条であることが必要であり,20％
以上であればさらに好ましい。上記混繊交絡糸の重量比
が15％より少なくなると編地表裏部の平面状部での吸水
性や保水性が充分発揮されにくい。 また混繊交絡糸の水分吸収性・保水性・脱水性等の機能
を効率よく発現させるためには，混繊交絡糸においてレ
ーヨンマルチフイラメント糸が重量比で30〜80％存在す
ることが好ましい。これが30％未満のときは混繊交絡糸
としての吸水性に劣り,80％を越えると水分の脱水性が
低下し，しかも水分吸収時における編地の軟弱化の原因
となる。 なお，本考案における混繊交絡糸としてはインターレー
スによる交絡糸であっても，タスラン加工に代表される
ような糸条表面にループやタルミを有するものであって
もよく，電気開繊や他の手法による混繊交絡糸であって
も差支えない。 次に，本考案の両面パイル編地は，編地表裏部の起立状
編目を構成する糸条として多溝条断面もしくは多孔質の
合成繊維を含む紡績糸であることが第二の必須条件であ
る。 すなわち，多溝状断面もしくは多孔質の合成繊維は本質
的には疎水性である。しかし，これらは微細孔・溝条形
などによる多量の空隙を有するため，多溝条断面もしく
は多孔質の合成繊維を含む紡績糸（以下，紡績糸とい
う。）は繊維表面の空隙に加えて，撚構造や短繊維群な
どにより，大量の水分を吸水・保水でき，しかも疎水性
の繊維物性と紡績糸特有の繊維集束形態により毛細管作
用が働き，吸水・保水した水分を前述した表裏平面部に
速やかに移行させるものである。 また，上記空隙や撚構造あるいは短繊維群の間隙などに
保有された水分は絞りや遠心力等の外圧により極めてた
やすく脱水させることができる。しかも，紡績糸を編地
表裏部の起立状編目に配することにより，柔軟な使用感
や極めてソフトタツチの肌触りを編地に与え，例えば頭
髪などに付着した水分を拭き取る際，起立状編目の間隙
に頭髪が入り込みやすく，優れた水分拭き取り性を発揮
する。 また起立状編目が立体構造となって個々に独立している
から編地としての表裏面積を極めて大きくしている。し
たがって，脱水後の乾燥時間を大幅に短縮できるもので
ある。 本考案者等の実験によると，上記紡績糸の吸保水性や脱
水性をより向上させるためには，多溝条断面繊維もしく
は多孔質繊維が40％重量比以上であれば良好であると判
った。該繊維が40％重量比より少なくなると混紡される
他の繊維性質に左右され，例えば吸水繊維であれば吸水
性が向上するものの，脱水性に劣るものとなり，疎水性
繊維では吸水性に劣るものとなる。 本考案の両面パイル編地を構成する糸条として，上記混
繊交絡糸と紡績糸の他に第３の糸条を編地の基礎部分に
加えてもなんら差し支えない。 例えば嵩高性・伸縮性の向上のためには熱可塑性合成繊
維の捲縮糸を用いたり，吸水・保水性能や脱水性能をよ
り追求するには，編地表裏部の平面編地や起立編目を構
成する糸条を併用しあうなど，その目的によりいかなる
糸条を使用してもよい。 以下，本考案を図面に基づき説明する。 第１図は本考案の両面パイル編地の一実施態様を示す断
面模式図である。編地は表裏部の平面状編目1,起立状編
目２及び表裏の中間である内層部３を有する構造であ
る。 第２図は編地表裏部の平面状編目１を構成する糸条形態
の一例を示す模式図であり，ポリエステルマルチフイラ
メント糸４とレーヨンマルチフイラメント糸５の混繊交
絡糸６であって，両糸条の交絡によるフイラメント間の
空隙７を無数に有するものである。 第３図は（イ）及び（ロ）とも起立状編目２の紡績糸の
一部を構成する合成繊維を示す模式図であり（イ）は合
成繊維フイラメント８に中空部９や微細孔10を有するも
の，（ロ）は，合成繊維フイラメント８に溝条11を有す
るものである。 第４図は本考案の両面パイル編地を製造するための編成
作用図の一例である。給糸口1Fではシリンダー針C1・C3
で表部の平面状編目，ダイヤル針D1・D3で裏部の平面状
編目を形成し，同時に表裏編目を接合する。給糸口2Fで
はダイヤル針D2・D4で裏部の起立状編目となる編目を形
成し，同時にシリンダー針C1・C3でタック編を行い表部
と接合させる。給糸口3Fではシリンダー針C2・C4で表部
の起立状編目となる編目の形成と，ダイヤル針D1・D3の
タック編で裏部と接合させる。給糸口4Fではダイヤル針
D1・D3で裏部平面状編目，及び給糸口5Fではシリンダー
針C1・C3で表部平面状編目をそれぞれ形成する。最後に
給糸口6Fにシリンダー針C2・C4とダイヤル針D2・D4で表
裏の編目を形成する。かかる編成作用順において給糸口
2F,3Fに紡績糸，給糸口1F,4F,5Fに混繊交絡糸，給糸口6
Fは水溶性糸条をそれぞれ給糸して編成した編地を，染
色加工工程時の精錬において水溶性糸条を溶解除去する
ことによって給糸口F2,F3で形成された表裏編目の連結
が解かれ，その結果，該表裏編目が起立し，本考案の両
面パイル編地が得られる。
果，編地構造と繊維特性を巧みに活用し，その相乗効果
により従来にない優れた吸水性能と乾燥性能を有する編
地が得られることを見い出し，本考案に到達した。 すなわち，本考案は編地表裏部が平面状編目を構成する
糸条のうち，少なくとも15％（重量比）がポリエステル
マルチフイラメント糸とレーヨンマルチフイラメント糸
の混繊交絡糸であり，編地表裏部の起立状編目を構成す
る糸条が多溝条断面もしくは多孔質の合成繊維を含む紡
績糸からなることを特徴とする両面パイル編地を要旨と
する。 以下，本考案において編地表裏部の平面状編目を構成す
る糸条のうち，少なくとも重量比で15％がポリエステル
マルチフイラメント糸とレーヨンマルチフイラメント糸
の混繊交絡糸で構成されていることが必須条件である。 すなわちポリエステルマルチフイラメント糸とレーヨン
マルチフイラメント糸の混繊交絡糸（以下，混繊交絡糸
という。）は，親水性であるレーヨンマルチフイラメン
ト糸の吸水性に加え，フイラメント相互の交絡によるフ
イラメント間空隙が多数存在し，該空隙においても水分
を多量に保有することができ，このため吸水，保水に極
めて優れた機能を発揮する。しかも該空隙は単に水分が
保有されている状態であるため，絞りや遠心力などの外
圧により容易に水分を脱水できしかも気化蒸散作用も活
発に生じるものである。一方，疎水性であるポリエステ
ルマルチフイラメント糸は後述する起立状編目で吸収さ
れた水分を編地内面部全体へ素早く拡散するための導水
的効果をはたし，また疎水性であるため，水分吸収によ
る編地の軟弱化を防ぎ，拭き取り性や製品価値の低下を
きたすことがない。 したがってかかる上記作用効果を果たすためには，編地
表裏部の平面状部を構成する糸条の少なくとも15％（重
量比）がポリエステルフイラメント糸とレーヨンフイラ
メント糸の混繊交絡糸条であることが必要であり,20％
以上であればさらに好ましい。上記混繊交絡糸の重量比
が15％より少なくなると編地表裏部の平面状部での吸水
性や保水性が充分発揮されにくい。 また混繊交絡糸の水分吸収性・保水性・脱水性等の機能
を効率よく発現させるためには，混繊交絡糸においてレ
ーヨンマルチフイラメント糸が重量比で30〜80％存在す
ることが好ましい。これが30％未満のときは混繊交絡糸
としての吸水性に劣り,80％を越えると水分の脱水性が
低下し，しかも水分吸収時における編地の軟弱化の原因
となる。 なお，本考案における混繊交絡糸としてはインターレー
スによる交絡糸であっても，タスラン加工に代表される
ような糸条表面にループやタルミを有するものであって
もよく，電気開繊や他の手法による混繊交絡糸であって
も差支えない。 次に，本考案の両面パイル編地は，編地表裏部の起立状
編目を構成する糸条として多溝条断面もしくは多孔質の
合成繊維を含む紡績糸であることが第二の必須条件であ
る。 すなわち，多溝状断面もしくは多孔質の合成繊維は本質
的には疎水性である。しかし，これらは微細孔・溝条形
などによる多量の空隙を有するため，多溝条断面もしく
は多孔質の合成繊維を含む紡績糸（以下，紡績糸とい
う。）は繊維表面の空隙に加えて，撚構造や短繊維群な
どにより，大量の水分を吸水・保水でき，しかも疎水性
の繊維物性と紡績糸特有の繊維集束形態により毛細管作
用が働き，吸水・保水した水分を前述した表裏平面部に
速やかに移行させるものである。 また，上記空隙や撚構造あるいは短繊維群の間隙などに
保有された水分は絞りや遠心力等の外圧により極めてた
やすく脱水させることができる。しかも，紡績糸を編地
表裏部の起立状編目に配することにより，柔軟な使用感
や極めてソフトタツチの肌触りを編地に与え，例えば頭
髪などに付着した水分を拭き取る際，起立状編目の間隙
に頭髪が入り込みやすく，優れた水分拭き取り性を発揮
する。 また起立状編目が立体構造となって個々に独立している
から編地としての表裏面積を極めて大きくしている。し
たがって，脱水後の乾燥時間を大幅に短縮できるもので
ある。 本考案者等の実験によると，上記紡績糸の吸保水性や脱
水性をより向上させるためには，多溝条断面繊維もしく
は多孔質繊維が40％重量比以上であれば良好であると判
った。該繊維が40％重量比より少なくなると混紡される
他の繊維性質に左右され，例えば吸水繊維であれば吸水
性が向上するものの，脱水性に劣るものとなり，疎水性
繊維では吸水性に劣るものとなる。 本考案の両面パイル編地を構成する糸条として，上記混
繊交絡糸と紡績糸の他に第３の糸条を編地の基礎部分に
加えてもなんら差し支えない。 例えば嵩高性・伸縮性の向上のためには熱可塑性合成繊
維の捲縮糸を用いたり，吸水・保水性能や脱水性能をよ
り追求するには，編地表裏部の平面編地や起立編目を構
成する糸条を併用しあうなど，その目的によりいかなる
糸条を使用してもよい。 以下，本考案を図面に基づき説明する。 第１図は本考案の両面パイル編地の一実施態様を示す断
面模式図である。編地は表裏部の平面状編目1,起立状編
目２及び表裏の中間である内層部３を有する構造であ
る。 第２図は編地表裏部の平面状編目１を構成する糸条形態
の一例を示す模式図であり，ポリエステルマルチフイラ
メント糸４とレーヨンマルチフイラメント糸５の混繊交
絡糸６であって，両糸条の交絡によるフイラメント間の
空隙７を無数に有するものである。 第３図は（イ）及び（ロ）とも起立状編目２の紡績糸の
一部を構成する合成繊維を示す模式図であり（イ）は合
成繊維フイラメント８に中空部９や微細孔10を有するも
の，（ロ）は，合成繊維フイラメント８に溝条11を有す
るものである。 第４図は本考案の両面パイル編地を製造するための編成
作用図の一例である。給糸口1Fではシリンダー針C1・C3
で表部の平面状編目，ダイヤル針D1・D3で裏部の平面状
編目を形成し，同時に表裏編目を接合する。給糸口2Fで
はダイヤル針D2・D4で裏部の起立状編目となる編目を形
成し，同時にシリンダー針C1・C3でタック編を行い表部
と接合させる。給糸口3Fではシリンダー針C2・C4で表部
の起立状編目となる編目の形成と，ダイヤル針D1・D3の
タック編で裏部と接合させる。給糸口4Fではダイヤル針
D1・D3で裏部平面状編目，及び給糸口5Fではシリンダー
針C1・C3で表部平面状編目をそれぞれ形成する。最後に
給糸口6Fにシリンダー針C2・C4とダイヤル針D2・D4で表
裏の編目を形成する。かかる編成作用順において給糸口
2F,3Fに紡績糸，給糸口1F,4F,5Fに混繊交絡糸，給糸口6
Fは水溶性糸条をそれぞれ給糸して編成した編地を，染
色加工工程時の精錬において水溶性糸条を溶解除去する
ことによって給糸口F2,F3で形成された表裏編目の連結
が解かれ，その結果，該表裏編目が起立し，本考案の両
面パイル編地が得られる。
本考案の両面パイル編地は，上記したように水分と接触
する表裏部の起立状編目に吸水・保水性と導水性を付与
し，平面状編目には水分の拡散性と吸水・保水性を持た
せ，更に該両編目に脱水性と乾燥性を備えさせたことを
主作用とするものである。 すなわち起立状編目を形成する多溝条断面繊維もしくは
多孔質の合成繊維を含む紡績糸は，該合成繊維の疎水性
や短繊維群による毛細管作用により，吸収した水分を速
やかに平面状編目に移行させるとともに紡績糸自身にも
多量の水分を保有できる。また平面状編目を形成する混
繊交絡糸は起立状編目から移行する水分を疎水性ポリエ
ステルマルチフイラメント糸により速やかに拡散し，同
時にすばやく親水性レーヨンマルチフイラメント糸で吸
水する。 しかも，交絡形態によるフイラメント間の空隙部に水分
を多量に保有できるため，起立状編目に水分が逆流する
ことがない。 また起立状編目の紡績糸や混繊交絡糸など，それぞれの
空隙に保有された水分は絞りや遠心力によりたやすく編
地外部に放出することができ，起立状編目の立体的構造
から生まれた大きな編地表面積により乾燥時間が極めて
短いものとなる。
する表裏部の起立状編目に吸水・保水性と導水性を付与
し，平面状編目には水分の拡散性と吸水・保水性を持た
せ，更に該両編目に脱水性と乾燥性を備えさせたことを
主作用とするものである。 すなわち起立状編目を形成する多溝条断面繊維もしくは
多孔質の合成繊維を含む紡績糸は，該合成繊維の疎水性
や短繊維群による毛細管作用により，吸収した水分を速
やかに平面状編目に移行させるとともに紡績糸自身にも
多量の水分を保有できる。また平面状編目を形成する混
繊交絡糸は起立状編目から移行する水分を疎水性ポリエ
ステルマルチフイラメント糸により速やかに拡散し，同
時にすばやく親水性レーヨンマルチフイラメント糸で吸
水する。 しかも，交絡形態によるフイラメント間の空隙部に水分
を多量に保有できるため，起立状編目に水分が逆流する
ことがない。 また起立状編目の紡績糸や混繊交絡糸など，それぞれの
空隙に保有された水分は絞りや遠心力によりたやすく編
地外部に放出することができ，起立状編目の立体的構造
から生まれた大きな編地表面積により乾燥時間が極めて
短いものとなる。
以下，本考案を実施例にもとずいて具体的に説明する。 第４図に示す編成作用図にしたがい，第１表に示す糸使
いで，市販の20ゲージ丸編機を用いて実施例・比較例の
３点を製編した。得られた編地を通常の染色仕上加工を
行い，水溶性ビニロンを溶解除去して両面パイル編地と
した。 実施例・比較例の評価方法は下記に基づいて実施し，評
価結果を第２表に示す。 ［保水性］ 試料（10×10cm）を12時間水に浸漬し，取り上げて10分
間吊り干しした後試料重量を測定し，次式により算出し
た。 ［水分移行性］ 15cm×15cmのウールフエルト（250g/m2）を２枚重ねた
上に200ccの水を与えその上に試料（10×10cm）を載せ
て25g/cm2の圧力を加え,1分後に除圧して試料重量を測
定し，次式により算出した。 ［脱水性］ 試料（10×10）を５分間水に浸漬し，引き揚げた直後の
重量を測定し，続いて１分間遠心脱水を行った直後の重
量を測定し，次式により算出した。 ［乾燥性］ 試料（10×10）を５分間水に浸漬し，引き揚げた直後の
重量を測定し，続いて１分間遠心脱水を行った直後の重
量を測定した後,30℃×50％RHの環境下で吊り干して,1
時間後の試料重量を測定し，次式により算出した。 第２表に示すごとく，両面パイル編地の本考案による実
施例はいずれの評価においても良好であり，タオルや布
巾としての性能を十分に満足するものであった。一方比
較例１は吸水・保水性に欠け，比較例２は脱水性や乾燥
性に劣り，実用には不適当な編地であった。
いで，市販の20ゲージ丸編機を用いて実施例・比較例の
３点を製編した。得られた編地を通常の染色仕上加工を
行い，水溶性ビニロンを溶解除去して両面パイル編地と
した。 実施例・比較例の評価方法は下記に基づいて実施し，評
価結果を第２表に示す。 ［保水性］ 試料（10×10cm）を12時間水に浸漬し，取り上げて10分
間吊り干しした後試料重量を測定し，次式により算出し
た。 ［水分移行性］ 15cm×15cmのウールフエルト（250g/m2）を２枚重ねた
上に200ccの水を与えその上に試料（10×10cm）を載せ
て25g/cm2の圧力を加え,1分後に除圧して試料重量を測
定し，次式により算出した。 ［脱水性］ 試料（10×10）を５分間水に浸漬し，引き揚げた直後の
重量を測定し，続いて１分間遠心脱水を行った直後の重
量を測定し，次式により算出した。 ［乾燥性］ 試料（10×10）を５分間水に浸漬し，引き揚げた直後の
重量を測定し，続いて１分間遠心脱水を行った直後の重
量を測定した後,30℃×50％RHの環境下で吊り干して,1
時間後の試料重量を測定し，次式により算出した。 第２表に示すごとく，両面パイル編地の本考案による実
施例はいずれの評価においても良好であり，タオルや布
巾としての性能を十分に満足するものであった。一方比
較例１は吸水・保水性に欠け，比較例２は脱水性や乾燥
性に劣り，実用には不適当な編地であった。
【考案の効果】 以上のように，本考案の両面パイル編地は，その表裏部
の起立状編目による立体構造と該編目を形成する紡績糸
の構成繊維特性及び，平面状編目を形成する親水性繊維
と疎水性繊維の混繊交絡糸の糸条特性の３要素による相
乗効果により，吸水・保水性能，拡散導水性能あるいは
脱水乾燥性能等実用的機能が格段に向上しうるものであ
って，家庭用や業務用のタオルや布巾に極めて適したも
のである。
の起立状編目による立体構造と該編目を形成する紡績糸
の構成繊維特性及び，平面状編目を形成する親水性繊維
と疎水性繊維の混繊交絡糸の糸条特性の３要素による相
乗効果により，吸水・保水性能，拡散導水性能あるいは
脱水乾燥性能等実用的機能が格段に向上しうるものであ
って，家庭用や業務用のタオルや布巾に極めて適したも
のである。
第１図は本考案の両面パイル編地の一実施例態様を示す
断面模式図，第２図はポリエステルマルチフイラメント
糸とレーヨンマルチフイラメント糸の混繊交絡糸の一例
を示す模式図，第３図は（イ）及び（ロ）とも本考案で
用いられる多溝条断面繊維と多孔質の合成繊維の例を示
す模式図であり，第４図は本考案両面パイル編地を製造
するための編成作用図の一例である。 （１）……表裏部の平面状編目 （２）……表裏部の起立状編目 （３）……編地中間層 （４）……ポリエステルマルチフイラメント糸 （５）……レーヨンマルチフイラメント糸 （６）……ポリエステルマルチフイラメント糸とレーヨ
ンマルチフイラメント糸の混繊交絡糸 （７）……フイラメント間空隙 （８）……合成繊維フイラメント （９）……中空部 （10）……微細孔 （11）……溝状孔 D1〜D4……ダイヤル針 C1〜C4……シリンダー針
断面模式図，第２図はポリエステルマルチフイラメント
糸とレーヨンマルチフイラメント糸の混繊交絡糸の一例
を示す模式図，第３図は（イ）及び（ロ）とも本考案で
用いられる多溝条断面繊維と多孔質の合成繊維の例を示
す模式図であり，第４図は本考案両面パイル編地を製造
するための編成作用図の一例である。 （１）……表裏部の平面状編目 （２）……表裏部の起立状編目 （３）……編地中間層 （４）……ポリエステルマルチフイラメント糸 （５）……レーヨンマルチフイラメント糸 （６）……ポリエステルマルチフイラメント糸とレーヨ
ンマルチフイラメント糸の混繊交絡糸 （７）……フイラメント間空隙 （８）……合成繊維フイラメント （９）……中空部 （10）……微細孔 （11）……溝状孔 D1〜D4……ダイヤル針 C1〜C4……シリンダー針
Claims (1)
- 【請求項１】編地表裏部が平面状編目と起立状編目から
なる編地であって，該平面状編目を構成する糸条のう
ち，少なくとも15％（重量比）がポリエステルマルチフ
イラメント糸とレーヨンマルチフイラメント糸の混繊交
絡糸であり，該起立状編目を構成する糸条が多溝条断面
もしくは多孔質の合成繊維を含む紡績糸からなることを
特徴とする両面パイル編地。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10477189U JPH0745583Y2 (ja) | 1989-06-23 | 1989-09-05 | 両面パイル編地 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7423589 | 1989-06-23 | ||
| JP1-74235 | 1989-06-23 | ||
| JP10477189U JPH0745583Y2 (ja) | 1989-06-23 | 1989-09-05 | 両面パイル編地 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0355890U JPH0355890U (ja) | 1991-05-29 |
| JPH0745583Y2 true JPH0745583Y2 (ja) | 1995-10-18 |
Family
ID=31718455
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10477189U Expired - Lifetime JPH0745583Y2 (ja) | 1989-06-23 | 1989-09-05 | 両面パイル編地 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0745583Y2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010043394A (ja) * | 2008-08-18 | 2010-02-25 | Asahi Co Ltd | 業務用タオルの制作方法 |
| CN109310216B (zh) * | 2016-07-28 | 2022-02-11 | 爱维福股份有限公司 | 寝具及寝具用罩单 |
-
1989
- 1989-09-05 JP JP10477189U patent/JPH0745583Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0355890U (ja) | 1991-05-29 |
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