JP2667152B2 - 合成繊維編織物 - Google Patents
合成繊維編織物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、合成繊維からなるものでありながら、透水
性や水分の偏在保水性に優れた編織物に関する。 さらに詳しくは、水分を布帛の一方の面(裏の面)か
ら他方の面(表の面)へ移動させる機能において優れ、
かつ該表面の面で偏在して保水する能力・特性に優れて
いるために、例えば、合成繊維からなっていながらも発
汗処理に優れたかつ風合的にも優れた、スポーツ衣料と
して最適に用られる合成繊維編織物に関するものであ
る。 すなわち、本発明の合成繊維編織物は、上記の如く、
裏面から表の面に向けて水分を透水する機能と、表の面
で偏在保水する機能に優れており、同時に、該裏面側か
らの連続吸水性、さらに速乾性の点においても優れた特
質を有していて、例えばスポーツ衣料として該裏面が着
用者の肌側になる如くして用いられたときには、優れた
発汗処理機能と速乾性、ウォッシュアンドウェア性を発
揮するものである。 〔従来の技術〕 スポーツ衣料用に向けられる編織物には、木綿を始め
とする天然繊維100%物、ポリエステル、ポリアミド等
の合成繊維100%物、そして天然繊維と合成繊維との交
編織物などがある。 一般に、スポーツ衣料は、肌に接触して着用され着用
時には激しい発汗をともなう場合が多いため、その生地
は、激しく発汗されてくる汗を長時にわたり連続的に吸
水し、かつその水分を速やかに外気中に蒸散し易く、乾
燥性がよくまた頻繁に洗濯が必要とされるためウォッシ
ュアンドウエアー性のあるものが理想的なものである。 しかし、現在、吸水性、透水性、蒸散性さらには速乾
性・ウォッシュアンドウエアー性を兼備したものは見あ
たらないのが実状である。 すなわち、木綿、ウール等の天然繊維100%物は、吸
水性、保水性に優れているため汗を良く吸い取るが、い
ったん吸い取った汗はその後容易に蒸散せず、また連続
吸汗性にも劣り、さらに洗濯後、脱水に供しても繊維内
部にかなりの水が残り、乾燥に長時間を要する。 一方、従来の合成繊維100%物は、ウォッシュアンド
ウエアー性にも優れているが、反面、水と接触したとき
の吸水速度が遅くかつ透水能力に劣るため、汗の吸汗、
移動が行なわれず汗漏れによる不快感、ムレ感を招くと
いう問題があった。 このような問題を少しでも解決する従来例として、本
発明者らは合成繊維編織物であって、透水能力を付加し
たものとして、先に、単糸繊度の異なる複数の非吸湿性
繊維糸条で構成されていて、片面が単繊維繊度1.0〜2.5
デニールの範囲の糸条からなり、他面がそりよりも1.5
倍以上大きい単繊維繊度の糸条からなっている透水性編
織物を提案し(実開昭59−133688号公報)、具体的に
は、上記の大小関係下にて、単繊維繊度が小さい側の糸
条が配置される側を表の面とし、裏面の肌面側には単繊
維繊度の大きい側の糸条を配置することにより、糸条の
単繊維繊度に基づいてもたらされる繊維間間隙の差を利
用して裏面から表の面へ水分が移動する透水機能を有し
た編織物を提案した。 〔本発明が解決しようとする問題点〕 しかし、上記従来技術による編織物は、透水性、乾燥
性は良くとも、下記(イ)〜(ハ)のような問題があっ
た。 (イ)編織物の表の面において単繊維繊度の細い糸を使
用して、単に、該繊維間の間隙にのみ保水を行なうもの
であるため、保水力、保水量の点で今一つであり、多く
の汗を編織物の表の面に充分に保水することができな
い。 (ロ)編織物の裏面に単繊維繊度の比較的大きい糸条を
用いるために、該糸条の繊維間間隙としては大きくな
り、また、それを利用するものでもあるが、これでは逆
に、糸条単独の性能としては良好な毛細管現象による吸
水能力が得られないことに結びつく。すなわち、本来
は、適度に繊維間間隙が小さい方が、良好な吸水能力を
得ることができる。 また、単繊維繊度が大きいために肌ざわりが悪くな
る。 (ハ)一方、編織物の表の面には単繊維繊度の比較的小
さい糸条を用いるため、編織物としての耐久性、強度面
で劣り、特に、スポーツ衣料などて過酷な使われ方をさ
れる場合には、これは重大な問題となる。 そして、耐久性、強度面で単繊維繊度の小さい糸条を
用いるよりは大きい糸条を用いれば良いことは一般的に
知られていても、そのようにすることは、単繊維繊度の
差による繊維間の間隙の差を利用して水分を編織物の裏
面から表の面へ透水する機能を達成しようとする以上、
不可能であった。 本発明の目的は、上記したような点に鑑み、汗が編織
物の裏面で吸汗され表の面へ移動するいわゆる透水性に
優れ、また連続吸汗性に優れ、かつ表の面で多くの水分
を保水する能力を有するという発汗処理機能に優れてい
て、かつ衣料としての良好な肌ざわりと高度な耐久性を
もむろん有する編織物を提供せんとするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 上記した目的を達成する本発明の合成繊維編織物は、
以下の構成からなる。 すなわち、複数の合成繊維糸条を用いて構成された多
層構造編織物であって、該編織物の表面(A面)を主と
して構成する糸条よりなる編織物のバイレック法による
水の上昇距離HAと、裏面(B面)を主として構成する糸
条よりなる編織物のバイレック法による水の上昇距離HB
とが、下記(a)、(b)式を満足する関係にあり、か
つ、少なくともA面を主として構成する糸条の構成繊維
の断面形状と少なくともB面を主として構成する糸条の
構成繊維の断面形状が相違しており、少なくともA面を
主として構成する糸条の構成繊維が繊維長手方向に沿っ
てのびる実質的に溝様の窪みを複数有するものであり、
さらに、(前記B面を主として構成する糸条の構成単繊
維繊度)/(前記A面を主として構成する糸条の構成単
繊維繊度)の比が1.5未満であることを特徴とする合成
繊維編織物。 HA≧1.5×HB ……(a) HB≧20(mm) ……(b) なお、上記した本発明の合成繊維編織物において、少
なくともA面を主として構成する糸条の構成繊維が、繊
維長手方向に沿って溝様の窪みを有するものであること
が、好ましい実施態様例である。 〔作用〕 以下、本発明の合成繊維編織物について、さらに詳し
く説明する。 本発明の編織物は、特に、前記した目的を達成するた
めに、主に構成繊維の断面形状の相違に基づいて水を吸
引する特性(糸条特性)が異ならしめられている複数の
合成繊維糸条が巧みに組合せ用いられて構成されるもの
である。 本発明において、上記の水を吸引する糸条特性の評価
法としては、後述規定によるバイレック法において水が
上昇する距離Hの測定による評価を採用するものであ
り、編織物の表面(A面)を主として構成する糸条のバ
イレック法による水の上昇距離HAと、裏面(B面)を主
として構成する糸条のバイレック法による水の上昇距離
HBとが、HA/HB≧1.5の関係を満足するのが本発明にかか
る編織物である。すなわち、本発明の編織物では、裏面
と表の面とを実質的に異なった糸条にて構成させた編織
物とし、特にその際、バイレック法による該水の上昇距
離Hがより大きい糸条を表の面に配置し、小さい方の糸
条を裏面に配置することによって、毛細管現象効果に基
づいて水分と接触する面、すなわち肌側の面(裏面)は
速やかに水分を吸収し、かつ吸収された水分は速やかに
肌面から離れた側の表の面に移動し、保水され、さらに
外気へ蒸散されるという機能を実現させたことに特徴が
ある。さらに、本発明においては、HBは20mm以上のもの
を用いるものである。HBはある一定以上のレベルを持つ
ことが重要であり、該HBが低レベルであれば、特に、吸
汗(吸水)機能を十分に実現させることが難しくなり、
従って、その結果、該機能を発揮させることが前提とな
る裏面から表面への移動機能、さらには表面から蒸散と
いう機能を良好に実現するのが難しくなるものである。
特に、本発明で主たる狙いとするスポーツ衣料分野等に
おいては、後述実施例でも説明する如く、HBは20mm以上
であることが本発明の効果を良好に得る上で重要であ
る。前述の従来技術(実開昭59−133688号公報)では、
このような毛細管現象を単繊維の繊度差によってもたら
したものであるが、本発明では、表の面の糸条と裏面の
糸条の単繊維繊度に大きな差を付与しなくとも上記機能
を実現させた点に特徴があって、本発明は繊維の断面形
状の相違を利用するものであり、たとえば繊維の長手方
向に沿ってのびる連続的もしくは非連続的に溝様の窪み
を複数有する繊維をA面の糸条に用いることなどによ
り、前述した本発明の目的を達成するものである。 本発明における、前述バイレック法による水を吸引す
る糸条特性の評価法について、以下に説明する。 すなわち、まず、合成繊維編織物の主として表面(A
面)を構成する糸条、主として裏面(B面)を構成する
糸条のそれぞれについて、糸条トータル繊度に応じて第
1表に定めた編機ゲージのシングル編機を用いて編地を
作成し、その編地を最終的に該合成繊維編織物を製造す
る際に用いられる染色加工条件に順じて仕上げる。ただ
し、仕上ヒートセットは、コース方向、ウェール方向共
にフリー状態で行なうものとする。 以上により作成した2種類の編地を、下記のバイレッ
ク法の試験手順(1)〜(5)により水の上昇距離Hを
測定する。 (1)1cm×約20cm試験片を、たて、よこ方向にぞれぞ
れ5枚ずつ採取する。 (2)採取した試験片を温度20℃、湿度60±5%RHの環
境下で5時間以上放置する。 (3)温度20℃、湿度60±5%RHの環境下において第3
図に示すように試験片の一端をつかみに固定し、他端約
2cmを20±2℃の蒸溜水中に浸す。 (4)10分後の毛細管現象による水の上昇距離(mm)を
はかり(0.5mm単位まで読み取る)タテ、ヨコ方向それ
ぞれ5回の平均値で表わす(整数位まで)。 (5)次に、タテ方向、ヨコ方向の各々の平均値から、
さらに平均値を求め、その値を水の上昇距離Hとする。 (注)なお、水の上昇が読みにくい場合は、蒸溜水中に
インクもしくは水溶性染料(エオシンなど)を入れる
か、あらかじめブラシを用いて水溶性染料(エオシンな
ど)を試験片に付着させておくかの、いずれかの方法を
用いる。また、繊度値が、第1表に記載されている糸条
トータル繊度値の中間のものであるときには、同表に示
されている繊度値のうちいずれか近い方のものを採用す
る。 なお、上記した通りのバイレック法による測定法は、
JIS L1096を準用するものである。 該Hが大きいことは該糸条が重力に抗して高い位置ま
で水分を運び上げる能力に優れていることを示し、言い
換えれば該糸条の透水能力が大きいことを示す。 本発明の合成繊維編織物は、水が上昇する距離Hが相
対的に大きい糸条を表の面に、該Hが相対的に小さい糸
条を裏面に配置するものであり、表の面の糸条の該Hを
裏面の糸条の該Hより1.5倍以上大きくするのである。 好ましい実施態様として、本発明では少なくとも該編
織物の表の面には、繊維の長手方向に沿った溝様の構造
を有する繊維からなる糸条を使用する。該繊維は、例え
ば第1図に外観モデルを示すような 横断面などの形状を有するものであり、繊維の長手方向
に複数の溝様の窪みを有するものである。すなわち、単
繊維1本1本が複数の溝様の構造を有するものであり、
この溝が1本の毛細管の働きをなすことになる。 通常の丸型断面、三角型断面の繊維からなる糸条も、
構成繊維間の間隙によって毛細管現象を生じ得るが、上
記のような明確な溝様構造を有する単繊維からなる糸条
は、繊維間間隙による毛細管現象に加えて、繊維自体1
本1本が有するミクロな溝の毛細管現象が付加されるた
め優れた透水性が得られるのである。 ちなみに、単繊維繊度と上記バイレック法による水の
上昇距離Hとの関係について説明すると、一般的には単
繊維の繊度が小さいほど繊維間間隙が小さくなり、すな
わち毛細管が小さくなるために該Hは大きくなる。従っ
て、通常の丸型、三角断面の繊維からなる糸条を用い
て、本発明の如き布帛の裏面から表の面へ透水する機能
を得ようとすれば、従来技術の通りに該表の面を構成す
る糸条の単繊維繊度を小さく、逆に該裏面を構成する糸
条の単繊維繊度を少なくとも1.5倍以上大きくする必要
があったものである。 これに対し、本発明は該編織物の表の面に上記したよ
うな単繊維1本1本が、代表的には溝様構造を有してい
る異型断面繊維からなる糸条を用いることにより、従来
技術では達成し得なかった、裏面を構成する糸条の単繊
維繊度と同等程度もしくはそれ以上でも編織物の裏面か
ら表の面への透水機能の付与を可能にしたものである。 勿論、裏面を構成する糸条の単繊維繊度を表の面を構
成する糸条の単繊維繊度より大きくすることも可能であ
るが、裏面を構成する糸条の単繊維繊度を大きくする
と、裏面かろの吸水能が低下する、肌ざわりが悪くなる
等の理由により、裏面を構成する糸条の単繊維繊度を、
表の面を構成する糸条の単繊維繊度より1.5倍未満にす
ることが必要である。そして、本発明では、特に裏面を
構成する糸条の単繊維繊度が、表面を構成する糸条の単
繊維繊度と同等もしくはそれ以下であっても編織物の裏
面から表の面へ透水する機能を得ることができる。上記
値が1.5以上のものになると前記(従来技術)の項で述
べた(イ)、(ロ)、(ハ)の問題が生じ好ましくな
い。 本発明の編織物は、表の面に単繊維の長手方向に沿っ
て溝様構造を有する繊維100%からなる糸条を用いるこ
とが好ましい実施態様である。 単繊維の横断面形状は、第1図に例示した形状のもの
に限定されるものでなく、繊維の長手方向に沿って複数
の溝様構造を呈し得るものであればよく、具体的にはこ
の他にも多数考えられる。例えば前記の の他、横断面形状として文字もしくは記号等でモデル的
に表すと、E、F、H、K、M、N、T、W、X、Y、
Z、+等が考えられるものである。糸の製造工程におけ
る製糸の容易性と断面形状の安定性の観点から、 H、Y、T形状がより好ましい。なお、毛細管現象の原
理から言えば、毛細管の管が細いほど重力に抗して上層
部へ水を移動できるので、管が狭いほど透水力は大きく
なる。。 本発明に用いられる糸条において、構成繊維の繊度は
特に限定されるものでないが、衣料用として用いること
を考慮すると0.3d〜5d程度が好ましい範囲である。 本発明でいう合成繊維糸条とは、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリアクリルニトリル、ポリプロピレンなどの
合成繊維の延伸糸、捲縮加工糸、紡績糸などである。 本発明の編織物としては、表の面を主として構成する
糸条と裏面を主として構成する糸条が異なっている多層
布帛構造を有するものであれば何でもよく、特別な組織
等に限定されるものでないが、例えば編物であればダブ
ルジャージ、シングルジャージ、ダブルトリコット、ダ
ブルラッセル、シングルラッセル等、織物であれば一重
織物、ヨコ2重織物、タテ2重織物、タテ、ヨコ2重織
物などで構成することができる。また、編織物の裏の面
についても、異形断面繊維を用いてもよく、むろん繊維
の長手方向に沿ってのびる溝様構造を有する繊維からな
る糸条を使用して裏面を構成してもよい。 また、本発明において、水分を速く吸い取るために編
織物を構成する繊維表面を親水性のものにしてもよく、
このようにすれば吸水機能、特に吸水速度をさらに良好
にすることができる。 なお、繊維表面を親水性にする方法としては、例えば
ポリエステル繊維をアルカリで処理する、あるいはPEG
系樹脂を用いて繊維表面を親水化する等の後処理方法に
よれか、または、ポリビニルピロリドンとナイロンのブ
レンド、PEGとポリエステルのブレンドなどのように改
質したポリマを繊維形成に用いる方法などがある。 〔実施例〕 繊維横断面が である第1図に示したごとき断面形状を有する繊維から
なるポリエステルマルチフィラメント75D(デニール)
−24F(フィラメント)を用い、仮ヨリ数3360T/M、仮ヨ
リ温度210℃、再熱セット温度180℃の条件下で仮ヨリ加
工を行ない、糸条1を作成した。 また、繊維横断面が通常の丸型のポリエステルマルチ
フィラメント75D−24Fを用い、糸条1と同一条件で仮ヨ
リ加工を行ない、糸条2を作成した。 さらに、繊維横断面が通常の丸型のポリエステルマル
チフィラメント75D−36Fを用い糸条1と同一条件で、仮
ヨリ加工を行ない糸条3を作成した。 作成した糸条1、2、3の各々を用い、32Gのシング
ル編機を用いて編成し、精錬し、さらに130℃浴中での
染色の後、180℃乾熱でフリー状態下でヒートセットを
行ない、バイレック法による評価用の編地を作成した。 得られた各々の編地について本分中に記載するバイレ
ック法で該Hを測定した比較した結果、下記の通りであ
った。 次に糸条1、2、3を組合せて、下記実施例1〜2、
比較例1〜2に示す編地を作成した。 実施例1 28Gダブルジャージ編機を用い、変形リバーシブル組
織で編地の表の面を前記糸条1で、編地裏面を前記糸条
2で形成されるように編成し、精錬し、130℃の浴中で
の染色の後、180℃の乾熱ヒートセットを行ない仕上げ
た。このとき、表の面を構成する糸条のバイレック法に
よる水の上昇距離HAと裏面を構成する糸条のバイレック
法による水の上昇距離HBの比、すなわちHA/HBは、3.75
である。また(裏面を構成する糸条の単繊維繊度)/表
の面を構成する糸条の単繊維繊度)の比は、1.0であ
る。 実施例2 実施例1と同様に、編地の表の面が前記糸条1で形成
され、編地裏面が前記糸条3で形成された編地を作成し
た。この場合のHA/HBは1.53である。また、(裏面を構
成する糸条の単繊維繊度)/(表の面を構成する糸条の
単繊維繊度)の比は、0.67である。 比較例1 実施例1と同様に、編地の表の面が前記糸条2で形成
され、編地裏面が同じく前記糸条2で形成された編地を
作成した。この場合のHA/HBは、1.00である。また、
(裏面を構成する糸条の単繊維繊度)/(表の面を構成
する糸条の単繊維繊度)の比は、1.0である。 比較例2 実施例1と同様に、編地の表の面が前記糸条2で形成
され、編地裏面が前記糸条3で形成された編地を作成し
た。この場合のHA/HBは、0.41である。また、(裏面を
構成する糸条の単繊維繊度)/(表の面を構成する糸条
の単繊維繊度)の比は、0.67である。 そして、上記の実施例1、実施例2、比較例1、比較
例2のそれぞれで得られた編地について透水、拡散能力
を評価した結果は第2表の通りであった。 かかる第2表からも明らかなように、本発明による編
織物は、表の面を構成する糸条の単繊維繊度と裏面を構
成する糸条の単繊維繊度を大幅に相異させるなどの手段
をとらなくとも同表中の拡散面積比で表わされている通
り編地裏面から表の面へ透水する能力に優れていること
が判る。 なお、第2表における透水、拡散能テストは、次の方
法で測定、算出したものである。 すなわち、ガラス板上に市販のインクを2.0倍に水で
希釈したインキ液を0.1cc滴下し、その上に各水準の実
施例と比較例のサンプルを編地の裏面を下にすなわちイ
ンク液に接する側にして載せる。そして60秒間放置し、
インク液を吸引させた後、今度は別のガラス板上に移動
し、ここでも裏面を下にして3分間放置する。このよう
にして得たサンプル編地の表の面、裏の面のインク液の
拡散面積を測定し、その測定値とその値により算出した
面積比(表の面の拡散面積/裏面の拡散面積)を示し
た。拡散面積波の大小はインク液の吸引状態を示すもの
であり、表の面の拡散面積が大きく、かつ前記面積比が
大きいものは滴下されたインク液を効率よく表の面側に
移動するいわゆる透水能力に優れていることを表わすも
のである。また、表の面側の拡散面積が大きいことは、
大気との接触効率が良くなるので蒸散能も大きいと思わ
れるものである。 〔発明の効果〕 以上述べた通りの本発明の合成繊維編織物は、裏面で
の吸水性と該裏面から表の面に水分が移動する透水性、
さらに連続吸水性に優れ、かつ表の面で多くの水分を保
水する能力に優れているため発汗処理機能に優れている
ものである。 本発明においては、裏面から速やかに水分が表の面側
に移動し、そしてむろん裏面の構成繊維が合成繊維であ
るので、汗で濡れても冷たさを感じることも少ない。さ
らに合成繊維で構成されているため、速乾性、ウォッシ
ュ・アンド・ウエア性も兼ね備えているものである。 また、特に編織物の表の面を構成する糸条と裏面を構
成する糸条として、特に大きな単繊維繊度差を付与しな
くともよいため、衣料としての良好な肌ざわりと高度な
耐久性を付与し得る。 本発明の合成繊維編織物は、機能性、風合に優れてい
るため、特にスポーツシャツ、スポーツパンツ、ウォー
ムアップスーツ等のスポーツ衣料分野に最適に使用する
ことができる。
性や水分の偏在保水性に優れた編織物に関する。 さらに詳しくは、水分を布帛の一方の面(裏の面)か
ら他方の面(表の面)へ移動させる機能において優れ、
かつ該表面の面で偏在して保水する能力・特性に優れて
いるために、例えば、合成繊維からなっていながらも発
汗処理に優れたかつ風合的にも優れた、スポーツ衣料と
して最適に用られる合成繊維編織物に関するものであ
る。 すなわち、本発明の合成繊維編織物は、上記の如く、
裏面から表の面に向けて水分を透水する機能と、表の面
で偏在保水する機能に優れており、同時に、該裏面側か
らの連続吸水性、さらに速乾性の点においても優れた特
質を有していて、例えばスポーツ衣料として該裏面が着
用者の肌側になる如くして用いられたときには、優れた
発汗処理機能と速乾性、ウォッシュアンドウェア性を発
揮するものである。 〔従来の技術〕 スポーツ衣料用に向けられる編織物には、木綿を始め
とする天然繊維100%物、ポリエステル、ポリアミド等
の合成繊維100%物、そして天然繊維と合成繊維との交
編織物などがある。 一般に、スポーツ衣料は、肌に接触して着用され着用
時には激しい発汗をともなう場合が多いため、その生地
は、激しく発汗されてくる汗を長時にわたり連続的に吸
水し、かつその水分を速やかに外気中に蒸散し易く、乾
燥性がよくまた頻繁に洗濯が必要とされるためウォッシ
ュアンドウエアー性のあるものが理想的なものである。 しかし、現在、吸水性、透水性、蒸散性さらには速乾
性・ウォッシュアンドウエアー性を兼備したものは見あ
たらないのが実状である。 すなわち、木綿、ウール等の天然繊維100%物は、吸
水性、保水性に優れているため汗を良く吸い取るが、い
ったん吸い取った汗はその後容易に蒸散せず、また連続
吸汗性にも劣り、さらに洗濯後、脱水に供しても繊維内
部にかなりの水が残り、乾燥に長時間を要する。 一方、従来の合成繊維100%物は、ウォッシュアンド
ウエアー性にも優れているが、反面、水と接触したとき
の吸水速度が遅くかつ透水能力に劣るため、汗の吸汗、
移動が行なわれず汗漏れによる不快感、ムレ感を招くと
いう問題があった。 このような問題を少しでも解決する従来例として、本
発明者らは合成繊維編織物であって、透水能力を付加し
たものとして、先に、単糸繊度の異なる複数の非吸湿性
繊維糸条で構成されていて、片面が単繊維繊度1.0〜2.5
デニールの範囲の糸条からなり、他面がそりよりも1.5
倍以上大きい単繊維繊度の糸条からなっている透水性編
織物を提案し(実開昭59−133688号公報)、具体的に
は、上記の大小関係下にて、単繊維繊度が小さい側の糸
条が配置される側を表の面とし、裏面の肌面側には単繊
維繊度の大きい側の糸条を配置することにより、糸条の
単繊維繊度に基づいてもたらされる繊維間間隙の差を利
用して裏面から表の面へ水分が移動する透水機能を有し
た編織物を提案した。 〔本発明が解決しようとする問題点〕 しかし、上記従来技術による編織物は、透水性、乾燥
性は良くとも、下記(イ)〜(ハ)のような問題があっ
た。 (イ)編織物の表の面において単繊維繊度の細い糸を使
用して、単に、該繊維間の間隙にのみ保水を行なうもの
であるため、保水力、保水量の点で今一つであり、多く
の汗を編織物の表の面に充分に保水することができな
い。 (ロ)編織物の裏面に単繊維繊度の比較的大きい糸条を
用いるために、該糸条の繊維間間隙としては大きくな
り、また、それを利用するものでもあるが、これでは逆
に、糸条単独の性能としては良好な毛細管現象による吸
水能力が得られないことに結びつく。すなわち、本来
は、適度に繊維間間隙が小さい方が、良好な吸水能力を
得ることができる。 また、単繊維繊度が大きいために肌ざわりが悪くな
る。 (ハ)一方、編織物の表の面には単繊維繊度の比較的小
さい糸条を用いるため、編織物としての耐久性、強度面
で劣り、特に、スポーツ衣料などて過酷な使われ方をさ
れる場合には、これは重大な問題となる。 そして、耐久性、強度面で単繊維繊度の小さい糸条を
用いるよりは大きい糸条を用いれば良いことは一般的に
知られていても、そのようにすることは、単繊維繊度の
差による繊維間の間隙の差を利用して水分を編織物の裏
面から表の面へ透水する機能を達成しようとする以上、
不可能であった。 本発明の目的は、上記したような点に鑑み、汗が編織
物の裏面で吸汗され表の面へ移動するいわゆる透水性に
優れ、また連続吸汗性に優れ、かつ表の面で多くの水分
を保水する能力を有するという発汗処理機能に優れてい
て、かつ衣料としての良好な肌ざわりと高度な耐久性を
もむろん有する編織物を提供せんとするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 上記した目的を達成する本発明の合成繊維編織物は、
以下の構成からなる。 すなわち、複数の合成繊維糸条を用いて構成された多
層構造編織物であって、該編織物の表面(A面)を主と
して構成する糸条よりなる編織物のバイレック法による
水の上昇距離HAと、裏面(B面)を主として構成する糸
条よりなる編織物のバイレック法による水の上昇距離HB
とが、下記(a)、(b)式を満足する関係にあり、か
つ、少なくともA面を主として構成する糸条の構成繊維
の断面形状と少なくともB面を主として構成する糸条の
構成繊維の断面形状が相違しており、少なくともA面を
主として構成する糸条の構成繊維が繊維長手方向に沿っ
てのびる実質的に溝様の窪みを複数有するものであり、
さらに、(前記B面を主として構成する糸条の構成単繊
維繊度)/(前記A面を主として構成する糸条の構成単
繊維繊度)の比が1.5未満であることを特徴とする合成
繊維編織物。 HA≧1.5×HB ……(a) HB≧20(mm) ……(b) なお、上記した本発明の合成繊維編織物において、少
なくともA面を主として構成する糸条の構成繊維が、繊
維長手方向に沿って溝様の窪みを有するものであること
が、好ましい実施態様例である。 〔作用〕 以下、本発明の合成繊維編織物について、さらに詳し
く説明する。 本発明の編織物は、特に、前記した目的を達成するた
めに、主に構成繊維の断面形状の相違に基づいて水を吸
引する特性(糸条特性)が異ならしめられている複数の
合成繊維糸条が巧みに組合せ用いられて構成されるもの
である。 本発明において、上記の水を吸引する糸条特性の評価
法としては、後述規定によるバイレック法において水が
上昇する距離Hの測定による評価を採用するものであ
り、編織物の表面(A面)を主として構成する糸条のバ
イレック法による水の上昇距離HAと、裏面(B面)を主
として構成する糸条のバイレック法による水の上昇距離
HBとが、HA/HB≧1.5の関係を満足するのが本発明にかか
る編織物である。すなわち、本発明の編織物では、裏面
と表の面とを実質的に異なった糸条にて構成させた編織
物とし、特にその際、バイレック法による該水の上昇距
離Hがより大きい糸条を表の面に配置し、小さい方の糸
条を裏面に配置することによって、毛細管現象効果に基
づいて水分と接触する面、すなわち肌側の面(裏面)は
速やかに水分を吸収し、かつ吸収された水分は速やかに
肌面から離れた側の表の面に移動し、保水され、さらに
外気へ蒸散されるという機能を実現させたことに特徴が
ある。さらに、本発明においては、HBは20mm以上のもの
を用いるものである。HBはある一定以上のレベルを持つ
ことが重要であり、該HBが低レベルであれば、特に、吸
汗(吸水)機能を十分に実現させることが難しくなり、
従って、その結果、該機能を発揮させることが前提とな
る裏面から表面への移動機能、さらには表面から蒸散と
いう機能を良好に実現するのが難しくなるものである。
特に、本発明で主たる狙いとするスポーツ衣料分野等に
おいては、後述実施例でも説明する如く、HBは20mm以上
であることが本発明の効果を良好に得る上で重要であ
る。前述の従来技術(実開昭59−133688号公報)では、
このような毛細管現象を単繊維の繊度差によってもたら
したものであるが、本発明では、表の面の糸条と裏面の
糸条の単繊維繊度に大きな差を付与しなくとも上記機能
を実現させた点に特徴があって、本発明は繊維の断面形
状の相違を利用するものであり、たとえば繊維の長手方
向に沿ってのびる連続的もしくは非連続的に溝様の窪み
を複数有する繊維をA面の糸条に用いることなどによ
り、前述した本発明の目的を達成するものである。 本発明における、前述バイレック法による水を吸引す
る糸条特性の評価法について、以下に説明する。 すなわち、まず、合成繊維編織物の主として表面(A
面)を構成する糸条、主として裏面(B面)を構成する
糸条のそれぞれについて、糸条トータル繊度に応じて第
1表に定めた編機ゲージのシングル編機を用いて編地を
作成し、その編地を最終的に該合成繊維編織物を製造す
る際に用いられる染色加工条件に順じて仕上げる。ただ
し、仕上ヒートセットは、コース方向、ウェール方向共
にフリー状態で行なうものとする。 以上により作成した2種類の編地を、下記のバイレッ
ク法の試験手順(1)〜(5)により水の上昇距離Hを
測定する。 (1)1cm×約20cm試験片を、たて、よこ方向にぞれぞ
れ5枚ずつ採取する。 (2)採取した試験片を温度20℃、湿度60±5%RHの環
境下で5時間以上放置する。 (3)温度20℃、湿度60±5%RHの環境下において第3
図に示すように試験片の一端をつかみに固定し、他端約
2cmを20±2℃の蒸溜水中に浸す。 (4)10分後の毛細管現象による水の上昇距離(mm)を
はかり(0.5mm単位まで読み取る)タテ、ヨコ方向それ
ぞれ5回の平均値で表わす(整数位まで)。 (5)次に、タテ方向、ヨコ方向の各々の平均値から、
さらに平均値を求め、その値を水の上昇距離Hとする。 (注)なお、水の上昇が読みにくい場合は、蒸溜水中に
インクもしくは水溶性染料(エオシンなど)を入れる
か、あらかじめブラシを用いて水溶性染料(エオシンな
ど)を試験片に付着させておくかの、いずれかの方法を
用いる。また、繊度値が、第1表に記載されている糸条
トータル繊度値の中間のものであるときには、同表に示
されている繊度値のうちいずれか近い方のものを採用す
る。 なお、上記した通りのバイレック法による測定法は、
JIS L1096を準用するものである。 該Hが大きいことは該糸条が重力に抗して高い位置ま
で水分を運び上げる能力に優れていることを示し、言い
換えれば該糸条の透水能力が大きいことを示す。 本発明の合成繊維編織物は、水が上昇する距離Hが相
対的に大きい糸条を表の面に、該Hが相対的に小さい糸
条を裏面に配置するものであり、表の面の糸条の該Hを
裏面の糸条の該Hより1.5倍以上大きくするのである。 好ましい実施態様として、本発明では少なくとも該編
織物の表の面には、繊維の長手方向に沿った溝様の構造
を有する繊維からなる糸条を使用する。該繊維は、例え
ば第1図に外観モデルを示すような 横断面などの形状を有するものであり、繊維の長手方向
に複数の溝様の窪みを有するものである。すなわち、単
繊維1本1本が複数の溝様の構造を有するものであり、
この溝が1本の毛細管の働きをなすことになる。 通常の丸型断面、三角型断面の繊維からなる糸条も、
構成繊維間の間隙によって毛細管現象を生じ得るが、上
記のような明確な溝様構造を有する単繊維からなる糸条
は、繊維間間隙による毛細管現象に加えて、繊維自体1
本1本が有するミクロな溝の毛細管現象が付加されるた
め優れた透水性が得られるのである。 ちなみに、単繊維繊度と上記バイレック法による水の
上昇距離Hとの関係について説明すると、一般的には単
繊維の繊度が小さいほど繊維間間隙が小さくなり、すな
わち毛細管が小さくなるために該Hは大きくなる。従っ
て、通常の丸型、三角断面の繊維からなる糸条を用い
て、本発明の如き布帛の裏面から表の面へ透水する機能
を得ようとすれば、従来技術の通りに該表の面を構成す
る糸条の単繊維繊度を小さく、逆に該裏面を構成する糸
条の単繊維繊度を少なくとも1.5倍以上大きくする必要
があったものである。 これに対し、本発明は該編織物の表の面に上記したよ
うな単繊維1本1本が、代表的には溝様構造を有してい
る異型断面繊維からなる糸条を用いることにより、従来
技術では達成し得なかった、裏面を構成する糸条の単繊
維繊度と同等程度もしくはそれ以上でも編織物の裏面か
ら表の面への透水機能の付与を可能にしたものである。 勿論、裏面を構成する糸条の単繊維繊度を表の面を構
成する糸条の単繊維繊度より大きくすることも可能であ
るが、裏面を構成する糸条の単繊維繊度を大きくする
と、裏面かろの吸水能が低下する、肌ざわりが悪くなる
等の理由により、裏面を構成する糸条の単繊維繊度を、
表の面を構成する糸条の単繊維繊度より1.5倍未満にす
ることが必要である。そして、本発明では、特に裏面を
構成する糸条の単繊維繊度が、表面を構成する糸条の単
繊維繊度と同等もしくはそれ以下であっても編織物の裏
面から表の面へ透水する機能を得ることができる。上記
値が1.5以上のものになると前記(従来技術)の項で述
べた(イ)、(ロ)、(ハ)の問題が生じ好ましくな
い。 本発明の編織物は、表の面に単繊維の長手方向に沿っ
て溝様構造を有する繊維100%からなる糸条を用いるこ
とが好ましい実施態様である。 単繊維の横断面形状は、第1図に例示した形状のもの
に限定されるものでなく、繊維の長手方向に沿って複数
の溝様構造を呈し得るものであればよく、具体的にはこ
の他にも多数考えられる。例えば前記の の他、横断面形状として文字もしくは記号等でモデル的
に表すと、E、F、H、K、M、N、T、W、X、Y、
Z、+等が考えられるものである。糸の製造工程におけ
る製糸の容易性と断面形状の安定性の観点から、 H、Y、T形状がより好ましい。なお、毛細管現象の原
理から言えば、毛細管の管が細いほど重力に抗して上層
部へ水を移動できるので、管が狭いほど透水力は大きく
なる。。 本発明に用いられる糸条において、構成繊維の繊度は
特に限定されるものでないが、衣料用として用いること
を考慮すると0.3d〜5d程度が好ましい範囲である。 本発明でいう合成繊維糸条とは、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリアクリルニトリル、ポリプロピレンなどの
合成繊維の延伸糸、捲縮加工糸、紡績糸などである。 本発明の編織物としては、表の面を主として構成する
糸条と裏面を主として構成する糸条が異なっている多層
布帛構造を有するものであれば何でもよく、特別な組織
等に限定されるものでないが、例えば編物であればダブ
ルジャージ、シングルジャージ、ダブルトリコット、ダ
ブルラッセル、シングルラッセル等、織物であれば一重
織物、ヨコ2重織物、タテ2重織物、タテ、ヨコ2重織
物などで構成することができる。また、編織物の裏の面
についても、異形断面繊維を用いてもよく、むろん繊維
の長手方向に沿ってのびる溝様構造を有する繊維からな
る糸条を使用して裏面を構成してもよい。 また、本発明において、水分を速く吸い取るために編
織物を構成する繊維表面を親水性のものにしてもよく、
このようにすれば吸水機能、特に吸水速度をさらに良好
にすることができる。 なお、繊維表面を親水性にする方法としては、例えば
ポリエステル繊維をアルカリで処理する、あるいはPEG
系樹脂を用いて繊維表面を親水化する等の後処理方法に
よれか、または、ポリビニルピロリドンとナイロンのブ
レンド、PEGとポリエステルのブレンドなどのように改
質したポリマを繊維形成に用いる方法などがある。 〔実施例〕 繊維横断面が である第1図に示したごとき断面形状を有する繊維から
なるポリエステルマルチフィラメント75D(デニール)
−24F(フィラメント)を用い、仮ヨリ数3360T/M、仮ヨ
リ温度210℃、再熱セット温度180℃の条件下で仮ヨリ加
工を行ない、糸条1を作成した。 また、繊維横断面が通常の丸型のポリエステルマルチ
フィラメント75D−24Fを用い、糸条1と同一条件で仮ヨ
リ加工を行ない、糸条2を作成した。 さらに、繊維横断面が通常の丸型のポリエステルマル
チフィラメント75D−36Fを用い糸条1と同一条件で、仮
ヨリ加工を行ない糸条3を作成した。 作成した糸条1、2、3の各々を用い、32Gのシング
ル編機を用いて編成し、精錬し、さらに130℃浴中での
染色の後、180℃乾熱でフリー状態下でヒートセットを
行ない、バイレック法による評価用の編地を作成した。 得られた各々の編地について本分中に記載するバイレ
ック法で該Hを測定した比較した結果、下記の通りであ
った。 次に糸条1、2、3を組合せて、下記実施例1〜2、
比較例1〜2に示す編地を作成した。 実施例1 28Gダブルジャージ編機を用い、変形リバーシブル組
織で編地の表の面を前記糸条1で、編地裏面を前記糸条
2で形成されるように編成し、精錬し、130℃の浴中で
の染色の後、180℃の乾熱ヒートセットを行ない仕上げ
た。このとき、表の面を構成する糸条のバイレック法に
よる水の上昇距離HAと裏面を構成する糸条のバイレック
法による水の上昇距離HBの比、すなわちHA/HBは、3.75
である。また(裏面を構成する糸条の単繊維繊度)/表
の面を構成する糸条の単繊維繊度)の比は、1.0であ
る。 実施例2 実施例1と同様に、編地の表の面が前記糸条1で形成
され、編地裏面が前記糸条3で形成された編地を作成し
た。この場合のHA/HBは1.53である。また、(裏面を構
成する糸条の単繊維繊度)/(表の面を構成する糸条の
単繊維繊度)の比は、0.67である。 比較例1 実施例1と同様に、編地の表の面が前記糸条2で形成
され、編地裏面が同じく前記糸条2で形成された編地を
作成した。この場合のHA/HBは、1.00である。また、
(裏面を構成する糸条の単繊維繊度)/(表の面を構成
する糸条の単繊維繊度)の比は、1.0である。 比較例2 実施例1と同様に、編地の表の面が前記糸条2で形成
され、編地裏面が前記糸条3で形成された編地を作成し
た。この場合のHA/HBは、0.41である。また、(裏面を
構成する糸条の単繊維繊度)/(表の面を構成する糸条
の単繊維繊度)の比は、0.67である。 そして、上記の実施例1、実施例2、比較例1、比較
例2のそれぞれで得られた編地について透水、拡散能力
を評価した結果は第2表の通りであった。 かかる第2表からも明らかなように、本発明による編
織物は、表の面を構成する糸条の単繊維繊度と裏面を構
成する糸条の単繊維繊度を大幅に相異させるなどの手段
をとらなくとも同表中の拡散面積比で表わされている通
り編地裏面から表の面へ透水する能力に優れていること
が判る。 なお、第2表における透水、拡散能テストは、次の方
法で測定、算出したものである。 すなわち、ガラス板上に市販のインクを2.0倍に水で
希釈したインキ液を0.1cc滴下し、その上に各水準の実
施例と比較例のサンプルを編地の裏面を下にすなわちイ
ンク液に接する側にして載せる。そして60秒間放置し、
インク液を吸引させた後、今度は別のガラス板上に移動
し、ここでも裏面を下にして3分間放置する。このよう
にして得たサンプル編地の表の面、裏の面のインク液の
拡散面積を測定し、その測定値とその値により算出した
面積比(表の面の拡散面積/裏面の拡散面積)を示し
た。拡散面積波の大小はインク液の吸引状態を示すもの
であり、表の面の拡散面積が大きく、かつ前記面積比が
大きいものは滴下されたインク液を効率よく表の面側に
移動するいわゆる透水能力に優れていることを表わすも
のである。また、表の面側の拡散面積が大きいことは、
大気との接触効率が良くなるので蒸散能も大きいと思わ
れるものである。 〔発明の効果〕 以上述べた通りの本発明の合成繊維編織物は、裏面で
の吸水性と該裏面から表の面に水分が移動する透水性、
さらに連続吸水性に優れ、かつ表の面で多くの水分を保
水する能力に優れているため発汗処理機能に優れている
ものである。 本発明においては、裏面から速やかに水分が表の面側
に移動し、そしてむろん裏面の構成繊維が合成繊維であ
るので、汗で濡れても冷たさを感じることも少ない。さ
らに合成繊維で構成されているため、速乾性、ウォッシ
ュ・アンド・ウエア性も兼ね備えているものである。 また、特に編織物の表の面を構成する糸条と裏面を構
成する糸条として、特に大きな単繊維繊度差を付与しな
くともよいため、衣料としての良好な肌ざわりと高度な
耐久性を付与し得る。 本発明の合成繊維編織物は、機能性、風合に優れてい
るため、特にスポーツシャツ、スポーツパンツ、ウォー
ムアップスーツ等のスポーツ衣料分野に最適に使用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、それぞれ本発明の合成繊維編織物の少なくと
も片面を構成する糸条の構成繊維の一実施態様を説明す
るモデル外観図であり、第2図は、バイレック法による
水の上昇距離Hを測定する方法の説明図である。
も片面を構成する糸条の構成繊維の一実施態様を説明す
るモデル外観図であり、第2図は、バイレック法による
水の上昇距離Hを測定する方法の説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所
D04B 21/00 D04B 21/00 A
B
(56)参考文献 特開 昭59−204939(JP,A)
特開 昭57−193559(JP,A)
実開 昭58−31292(JP,U)
実開 昭59−133688(JP,U)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.複数の合成繊維糸条を用いて構成された多層構造編
織物であって、該編織物の表面(A面)を主として構成
する糸条よりなる編織物のバイレック法による水の上昇
距離HAと、裏面(B面)を主として構成する糸条よりな
る編織物のバイレック法による水の上昇距離HBとが、下
記(a)、(b)式を満足する関係にあり、かつ、少な
くともA面を主として構成する糸条の構成繊維の断面形
状と少なくともB面を主として構成する糸条の構成繊維
の断面形状が相違しており、少なくともA面を主として
構成する糸条の構成繊維が繊維長手方向に沿ってのびる
実質的に溝様の窪みを複数有するものであり、さらに、
(前記B面を主として構成する糸条の構成単繊維繊度)
/(前記A面を主として構成する糸条の構成単繊維繊
度)の比が1.5未満であることを特徴とする合成繊維編
織物。 HA≧1.5×HB ……(a) HB≧20(mm) ……(b)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP61157035A JP2667152B2 (ja) | 1986-07-03 | 1986-07-03 | 合成繊維編織物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61157035A JP2667152B2 (ja) | 1986-07-03 | 1986-07-03 | 合成繊維編織物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPS6312741A JPS6312741A (ja) | 1988-01-20 |
JP2667152B2 true JP2667152B2 (ja) | 1997-10-27 |
Family
ID=15640768
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61157035A Expired - Fee Related JP2667152B2 (ja) | 1986-07-03 | 1986-07-03 | 合成繊維編織物 |
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Cited By (1)
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JP5698448B2 (ja) * | 2009-09-15 | 2015-04-08 | 旭化成せんい株式会社 | 布帛 |
Family Cites Families (4)
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JPS6014778Y2 (ja) * | 1980-12-30 | 1985-05-10 | 東レ株式会社 | 衣料用薄地編物 |
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JPS59204939A (ja) * | 1983-05-02 | 1984-11-20 | 東レ株式会社 | 合成繊維多層編織物 |
-
1986
- 1986-07-03 JP JP61157035A patent/JP2667152B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7000375B2 (en) | 2002-12-19 | 2006-02-21 | Teijin Limited | Polyester false-twist yarn and method of manufacturing the yarn |
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